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2016年11月30日 (水)

降級廃止という名のリストラ

今日付けのスポーツ報知のコラム「こちら日高支局です」の内容が話題になっている。日高で行われた講演会で、とあるオーナーブリーダーが「中央競馬が再来年に降級制度をなくす動きをしている」ことについて意見を述べていたというお話。コラムはネットでも公開されているから誰でも読むことができる。私自身もセリの会場などで噂には聞いていたが、表立った話としてはこれが初めてではないか。

現在のクラス分けのシステムは10年前から実施されている。その原則は、「ひとつの条件を勝った馬は、同じ条件にとどまることなく昇級する」というもの。ただし、4歳6月になると収得賞金が半額に減額され、大くの馬が降級となる。たとえば、その時点で2勝して収得賞金が900万の場合は半分の450万になるから、1000万条件から500万条件へとクラスがひとつ下がるというわけだ。降級制度をなくすということは、この4歳6月の収得賞金の半減措置をなくすということ―――。私はそう理解している。

実は、昔は4歳(当時表記「5歳」)6月だけでなく、5歳(当時表記「6歳」)にも二度目の降級があった。ある程度ベテランの方なら覚えていらっしゃるだろう。当時はレース条件に

 蔵王特別(4歳400万下、5歳800万下、6歳上1200万下)
 新潟日報賞(4歳900万下、5歳1800万下、6歳上2700万下)
 神無月S(4歳1400万、5歳2800万、6歳上4200万下)

などと記載されていたものだ。4000万円の収得賞金を持ちながら「条件馬」というのは、今の感覚からすれば驚かれるかもしれない。でも、当時はこれで普通だった。

ルール改定がなされたのは1988年6月の札幌開催からである。このタイミングで「6歳上」という区分がなくなり、5歳上としてひとくくりになった。もはや6歳馬は降級の恩恵にあずかれない。いやそればかりか、中には強制的に「昇級」を強いられる馬も現れた。

さすがにこれでは6歳馬が気の毒だと思ったのであろう。本来なら降級するはずなのに、そのまま現級にとどまることになった6歳馬には、斤量を2キロ減とする救済措置を施したが、この札幌開催での6歳以上の馬の成績は惨憺たるものだった。900万条件を例に挙げると、5歳馬はのべ31頭が出走して1着6頭、2着6頭(連対率.387)であったのに対し、6歳以上はのべ54頭が出走して1着2頭、2着2頭(連対率.074)という記録が残っている。

6歳馬降級廃止の発端となったのは、同じクラスを何勝もする馬が続出したからだ。この年、ビギンザビギンは900万条件ばかりで5勝目をマーク。1959年にはヒダカスピードが900万条件6勝の怪記録を残した。しかも降級馬が増えれば、高額条件のレースが手薄になってしまうことは必至。降級制度の縮小は、オープンや準オープンの少頭数対策の一面も担っていた。

現在でも5月になると「勝って同条件」とか「降級を待って」などというフレーズが関係者のコメント欄を賑わす。降級馬が馬券の妙味を削ぐこともあろう。降級制度がさまざまな問題を内包していることを否定するつもりはない。ただ、降級制度がなくなれば、そのクラスで頭打ちになった馬の逃げ場はどこにもなくなる。早熟で早いうちに稼いでしまった馬や、たまたま好条件が重なってうっかり勝ってしまう馬だってゼロではあるまい。彼らは身の丈に合わぬクラスで苦戦を強いられ続ける。それが嫌なら速やかに退場願いたい―――。それが降着制度廃止論の本音であろう。そうすれば在厩頭数が減り、除外問題も解決する―――。

Sekiya 

影響を受けるのは条件戦ばかりではない。夏のローカル重賞に高齢馬が活躍するのは、「暑さに強い」とか「平坦が向く」などの理由もあろうが、実は4歳のオープン馬が思うように重賞に出られないという事情が大きいのである。なぜか。夏競馬直前の6月に収得賞金が半額になるので、準オープンに降級になったり、オープンに残っても賞金順で下位に回されて除外対象になってしまうからだ。

「夏のローカルは高齢馬を狙え」というような格言もいずれ消えてしまうのだろうか。いずれにせよ高齢馬には肩身の狭い話。しかも今回は2キロ減のような措置が取られるでもなく、カネで解決するような動きもあるとも聞く。こうなると、なにやら企業のリストラ策にも似やしないか。かつて二度の降級があった当時を知るベテランファンにとっては、あまり心躍る話ではあるまい。むろん私もそのひとりである。

 

***** 2016/11/30 *****

 

 

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2016年11月29日 (火)

真打はまだか

JC当日に行われたベゴニア賞は、過去4年の優勝馬のうち2頭が朝日杯FSを制している出世レースでもある。今年はムーア騎手のサトノアレスが内から鋭く抜け出して優勝を果たした。この勝利はディープインパクト産駒のJRA通算1259勝目であり、1258勝のヒンドスタンを上回って歴代単独9位となったという。わずか7世代。産駒デビューから6年5ヶ月での達成だと思えば、やはりすごいと言わざるを得ない。

Satono 

今年もサイアーランキングは1位を独走中。GⅠ7勝のジェンティルドンナを筆頭に、昨年のJC馬ショウナンパンドラ、今年の宝塚記念を勝ったマリアライトなど、海外を含め27頭のGⅠ馬を送り出している。

しかし気になることがひとつ。最近の国内古馬戦線を牽引する牡馬といえば、キタサンブラック、ゴールドアクター、モーリスの3頭で異論はなかろう。実はディープインパクト牡馬が国内の古馬GⅠを勝つシーンは意外にも少ない。ミッキーアイルが勝ったマイルチャンピオンシップは実に2年ぶりの勝利だった。その前となるとスピルバーグの天皇賞(秋)まで遡らなければならない。春秋の天皇賞、ジャパンカップ、有馬記念、宝塚記念の古馬ビッグタイトルを勝った牡馬産駒にしても、そのスピルバーグただ一頭。毎週のようにGⅠを勝ちまくっている印象を受けるのは、実は牝馬の活躍によるところが大きいのである。

ディープ牡馬の3歳クラシックでの活躍は疑いようがない。なにせ、今年は異なる3頭の産駒によるクラシック三冠という快挙を為した。強いディープ産駒ほど海外を目指す昨今の傾向を思えば、日本の古馬戦線が手薄になるという事情も理解できる。だが、エイシンヒカリやリアルスティールが、国内でモーリスやキタサンブラックに軽くあしらわれる姿を見るに、そろそろ真のエースを待望する声が大きくなっていることも否定できない。

Deep 

ディープインパクトは今年もう14歳。今春10年目の交配をこなした。来年は15歳になる。

多くの種牡馬は、15歳前後に大物を輩出するとされる。たとえばステイゴールドがそうだった。オルフェーヴルが生まれたのはステイゴールド14歳のとき。翌年にはゴールドシップも誕生している。ディープ自身もまた、父のサンデーサイレンスが15歳のときに種付けされた。ディープもそろそろ自身を超える牡馬の大物を送り出したい。そう思いつつも、今年の2歳戦線を見ればやはり牝馬優勢の様相。大物の出現は来年以降だろうか。いずれにせよ、これからは今まで以上にディープ牡馬の動向を注意深く見守りたい。

 

***** 2016/11/29 *****

 

 

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2016年11月28日 (月)

サブちゃんのJC

パドックに姿が現れると、周囲を取り囲んだ観客から「おぉ!」という声が上がった。

ジャパンカップ出走の1枠1番キタサンブラック……ではない。そのオーナー、北島三郎氏その人である。

頸椎症性脊髄症と診断されたのは8月下旬のこと。9月に手術を受けたばかり。博多の公演ではイスに座ったまま歌われたとも聞いた。そんなサブちゃんが東京競馬場に駆けつけるという。例年ならタレントや大物スポーツ選手がゲストとして招かれるのが当然のジャパンカップなのに、今年はそれがほとんど話題にならなかった。自前の柔道選手を起用したJRAの対応も意味深長に思える。そういう意味で、サブちゃんは今年のJCの主役だった。パドックで愛馬を見つめるその姿にファンも安心したに違いない。

しかるのちにJC出走馬たちが姿を現した。先頭はキタサンブラック。その姿を見て、今度はサブちゃんが安心したことだろう。530キロの雄大な馬体は明らかに他を圧倒しており、しかも極限まで研ぎ澄まされている。ゴールドアクターの応援にやってきたという関係者でさえ、「(キタサンブラックは)すごいな……」と言ったきり声を失った。

Take 

これまでのキタサンブラックは常に挑戦者という印象だったが、今回は受けて立つ立場である。果たして、これだけのメンバー相手に府中の2400mを押し切れるのか―――。

そんな心配はまったくの杞憂に終わった。楽にハナに導くと、前半1000mは61秒7。早くはないが、かといってスローでもない。まさに絶妙。この時点で勝負あった。直線に向いて、リアルスティール、ゴールドアクター、サウンズオブアースといったライバルたちが次々と襲いかかるが誰も追いつけない。並ばれかけて諦めてしまうような、そんなレベルの逃げ馬ではないのである。いやそもそも「逃げ馬」という呼び方すら、もはやふさわしくはなかろう。ラチに頼らぬレースぶりが何よりの証拠。馬場の真ん中を駆け抜けたその大きくしなやかなストライドは、最後まで乱れることはなかった。

Kita 

レース後、検量前に下りてこられたサブちゃんの涙は忘れがたい。生まれ育った北海道のご実家では、馬、ニワトリ、アヒル、そしてタヌキまで飼われていたという。動物好きが高じて競馬好きになったとご自身はおっしゃるが、馬を見つめるその姿からは、馬を愛してやまないその人柄が溢れ出ていて止まるところがない。それがファンにも伝わるのであろう。ウイナーズサークルに向かう地下馬道で、ファンが歌う「まつり」が聞こえてくると、サブちゃんはまた涙をぬぐった。

実はサブちゃんの体調は万全ではなかったとお察しする。地下馬道ではカートのような乗り物に乗って移動し、パドックにも車椅子が用意されていたほど。しかし、そんなことを微塵も感じさせない足取りで表彰式に登場し、ファンと一緒に「まつり」を熱唱される姿を見て、こちらのほうが涙を禁じえなかった。馬ではなく、かといって騎手でもなく、これほどまでにオーナーが祝福されたジャパンカップはおそらく過去にはあるまい。タレントや歌手などのゲストを呼ばなくて正解。今年のジャパンカップは、間違いなくサブちゃんのレースだった。

 

***** 2016/11/28 *****

 

 

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2016年11月27日 (日)

熱狂、贔屓、そして…

いきなり私事で恐縮だが、ヒシアマゾンの引退を最後に特定の馬を熱狂的に応援することはやめている。もう20年も昔のことになる。

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もちろん“贔屓”程度の馬はたくさんいる。だが、“熱狂”というのは

「その馬が走るとなれば、あらゆる予定を差し置いて京都だろうが札幌だろうがアスコットだろうが、世界のあらゆる競馬場にスッ飛んで行き」

なおかつ

「万一その馬が敗地に塗れれば周囲を憚らず号泣する」

―――くらいの熱意を注ぐに値する一頭をここでは指すことにする。ヒシアマゾン以前に私が熱狂したダイタクヘリオスは負けることの多い馬だったから、私はあちこちの競馬場で泣いてばかりいた……というのはちょっと大袈裟だけど、まあそれくらいの気持ちを抱ける馬ということだ。

ちょうど競馬場での撮影にも本腰を入れようかという頃で、撮影業務に影響を及ぼしかねないファクターは排除すべきであろうと自分なりに考え、至極公平に競馬に接するようになった。ラチ下でカメラを構えながら特定の馬の名を連呼し、レースが終わてからは一転嗚咽が止まらないなんてザマでは仕事にならんばかりか周囲に多大な迷惑をかけてしまう。

ただ、クセというのはすぐには治らないもので、1995年の香港国際カップではフジヤマケンザンの快挙に興奮するあまり、世界中から集まったホースマンや報道陣の前でワケの分からない奇声を発しまくった挙げ句、日本人カメラマンに対する国際的な評価を暴落せしめたのである。この時の深い反省から、特定の馬にやみくもに肩入れするのはやめよう、と固く誓った。

Fujiyama 

「特定の馬を好きになることで、その馬をより美しく撮ることができる」という教えもある。私としてもそれを否定するつもりは毛頭ない。むしろ的を得ていると思う。ただ、私の仕事に当て嵌まらなかっただけのハナシ。当時の私の仕事で重要とされたのは均等性と網羅性だから、コンセプトがまるで逆だったというわけだ。

「どの馬にも公平に…」と振る舞うのは思いのほか難儀した。

馬券を買えば公平性は途端に失われるし、たとえ馬券を離れても勝って欲しいと思う馬というのは常在する。馬券は買わなければ済むことだが、後者の思いは簡単に拭い去ることはできない。あとは撮影に影響を及ぼさぬ程度に押し留める努力を繰り返すことになるのだが、それでもたいていの馬は負けるのが競馬。となれば、ひとつのレースが終わるたび「はあ…」と溜め息をつきながらターフビジョンのリプレイを見ることが多かった。

ところが数年前から妙な感覚を覚えるようになったのである。レース後になんとなく良い気分を感じることが増えたのだ。むろん、「勝って欲しい」と思う馬が、突如として勝ち始めたわけではない。

とりたてて思い当たるフシもなく、なんだか気持ち悪いな…とモヤモヤしていたのだが、今日のジャパンカップで久しぶりに顔を合わせたとある作家と会話をするうち、ハタと膝を打った。曰く「長く(競馬を)やってると、勝って欲しいと思う馬より、負けて欲しいと思う馬の方が多くなるよなあ…」と言うのである。

「負けて欲しい馬の方が多い」までは行かぬが、私としてもそういう馬の存在を否定しない。私の中にもそういう悪魔が潜んでいるのである。それが私の競馬をつまらなくしていることは疑いようもないのだが、それを排除する術を私は持たない。

「深いほどに、長いほどに……。避けられんよ、こればかりは」と作家は言った。どうにかして、その悪魔と上手く付き合って行くほか道はないのだろう。それでもジャパンカップを勝ったキタサンブラックが勝って欲しい馬だったことは幸いだった。

 

***** 2016/11/27 *****

 

 

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2016年11月26日 (土)

お客様感謝デー

今日の大井競馬場は非開催日。

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場内は閑散としている……

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……ハズが! なんだ、この人だかりは!?

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答えはコチラ。

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今日は年に一度の「お客さま感謝デー」。場内には馬ではなく、新幹線が走ってます。

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もちろん馬もいます。

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大きな馬もいます。

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加えて今回は、お馴染み「肉フェス」と

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「全国ねぎサミット」もコラボ。

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深谷の公認キャラクター「ふっかちゃん」も大人気です。

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しかし、それにも増して人気だったのは、この方。

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右の方ですよ。

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そう、我らがレジェンド・的場文男騎手ですな。誰よりも動いて、誰よりもファンサービスに徹していた姿が印象に残る。まさに的場騎手の座右の銘「奮闘努力」が垣間見えた。

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「肉フェス」と「ねぎサミット」。二つのビッグイベントの助けがあったとはいえ、今回のお客様感謝デー全体の入場者数は主催者の予想を上回ったようだ。パッと見ではあるが、競馬ファンの姿は全体の1割にも届くまい。ベビーカーで埋まる競馬場内を歩くのは、多少なりとも新鮮な思いがするものだ。

かつての美濃部東京都知事は大井競馬を「公害」とまで言い放ち、その廃止に執念を燃やした。今にして思えば、まったく慧眼を欠いた政策と呆れるほかはないが、おかげで後楽園競輪と大井オートはホントに潰されてしまったのだから呆れてばかりもいられない。あの当時から40余年を経て、こうして善良な家族連れが楽しく休日を過ごす大井競馬場の姿を見て、美濃部氏は何と言うだろうか。まあ、聞きたくもないけど。

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今日のこうした状況は大井競馬に関わるすべての関係者の、それはそれは言葉にも尽くせぬ努力によって掴み取ったものだ。その努力を無駄にしてはならない。そんな関係者の思いを感じたファン感謝デーだった。

 

***** 2016/11/26 *****

 

 

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2016年11月25日 (金)

引越狂騒曲

仕事場が変わったので、仕事上のお引っ越しをした。

とはいえ、たいした荷物はない。もともと書類を溜め込むタイプではない上、数少ない手持ちの資料はこういう機会を捉えてことごとく破棄する。文房具とお泊りセット、そしてはずれ馬券。荷物といえばその程度か。紙クズ同然のはずれ馬券をいつまでも捨てずに持っているのは恥ずかしい話だが、馬名が馬名である。時が経つにつれ、ますます捨てづらくなってしまった。

Baken 

むしろたいへんなのは、パソコンデータのお引っ越しですね。皆さんも経験があると思う。特にメール。こいつがもっとも時間を要した。メールはたしかに便利だが、アドレス帳や過去のメールがないと仕事にならないから、こうして四苦八苦しながら引っ越しをしなければならない。新しい便利は、それと等量の不便を必ずもたらす。熱力学の第二法則を実感する。

それでも私の引っ越しなんてラクなもんですよ。たとえば、昔々美浦トレセンが完成した時はたいへんだった。あれは1978年のこと。なにせ中山競馬場の厩舎関係者が約2300人。東京は約2200人。さらにJRA職員や獣医など約500人。総勢5千人がいっせいに美浦村へと居を移した。ちなみに、当時の美浦村の人口は8600人余。どれほどのイベントであったかご想像いただけるだろう。むろん、引っ越すのは人間だけではない。これに2200頭の馬が加わる。その引っ越しのための費用は5億円を要した。ちなみに、この年のダービーの1着賞金は5500万円である。

この引っ越しは最初から順調に進んだわけではない。

トレセンは中山競馬場まで79キロ、東京競馬場までは125キロの距離にある。これを問題視した馬主協会が、「世界でも例を見ない過酷な輸送を馬たちが強いられる」として移転に反発。厩務員組合の一部も「馬に負担をかけさせるべきではない」とこれに同調したことで、厩舎引っ越し問題は競馬界を揺るがす大騒動になった。

JRAは試験的な輸送を何度か行い、体重、心拍数、心電に著しい影響は見られなかったとする調査結果を提示したが、馬主協会は納得しない。それどころか競走馬の移動を禁止する仮処分を東京地裁に申請したのである。その背景には、年間1兆円を超えたばかりの売り上げの賞金分配問題があったとされる。金絡みで馬が人質に取られるのは厩務員春闘と同じ。ともあれ、引っ越し当日になっても、馬を連れて行くことができない。なので人間だけがまず美浦村に向かった。

両者の和解が成立したのは、引っ越し当日の午後3時半。その一報を受け、急遽馬運車によるピストン輸送が始まった。この日最後の入厩馬の到着は深夜零時近くだったという。「馬が負担をかけさせるな!」と騒いだ末の顛末がこの様では、笑い話にもならないではないか。かつての厩務員ストライキも然り。なんだかんだでワリを食うのが、いつも馬たちであることが、私をいらだたせるのである。

 

***** 2016/11/25 *****

 

 

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2016年11月24日 (木)

屈辱を果たして何になる?

東京は朝から雪が舞った。北海道にお住まいの方からすれば、とても「積雪」などと呼べる量ではない。なのに、例によって都内はひとしきり混乱した。

11月の初雪は54年ぶり。積雪となると観測史上初めてだという。それがまた騒ぎを大きくした。だが、極めて個人的なことを書けば、今日は「私がシーズン最初にコートを着る日」でもある。なぜか。かつてはジャパンカップに出走する外国馬の公開調教が行われていたのが、この木曜日だった。この時季、早朝の府中はことさら冷込む。なにせ二十四節季で言えば「小雪」。雪が降ったところで、さほど驚く必要はない。

むしろ、ちょいと早めの雪景色に、そこはかとなく得した気分さえ抱いた。都会の薄汚れた景色が白く染まりゆく様を眺めるのは、悪い気がするものではない。ちなみに「雪ぐ」と書いて「そそぐ」と読む。「汚名を雪ぐ」や「雪辱」のように、「雪」という漢字には「汚れを清める」「恥辱を洗い落とす」といった動詞としての意味がある。だから「雪辱を晴らす」という用法は誤り。晴らすべきは「屈辱」であり、「雪辱」なら「果たす」が正しい。それなのに、この手の誤用は新聞でも後を絶たない。

News1 

昨年5着の雪辱を晴らすため―――。

日本語のプロがこんなザマでは、ホッコータルマエだってがっかりして走れませんよ、そりゃ。

それにしても、気になるのは週末の競馬である。東京競馬場の芝コースは完全に雪に覆われたそうだ。土曜までにはさすがに溶けるだろうが、日曜日には再び雨の予報が出ている。しかも今年に限れば、「妖怪あめふらし」の異名を持つIカメラマン氏が初めてJCの撮影に赴くとも聞いた。道悪競馬になる可能性が高い。

フランスからの遠征馬・イラプトが気になって仕方ないのは、そのせいもある。前走はカナディアンインターナショナルを優勝。時計は遅いが、JCもそんな馬場になるかもしれない。そこからBCを挟まなかったのは、むしろ好材料であろう。昨年もJCに挑んで6着。だが勝ったショウナンパンドラからは0.3秒しか離されてなかった。目指すのは昨年の雪辱。時ならぬ東京の雪は、ひょっとしたらこの「雪辱」が果たされるという天からのサインではあるまいか。

それでイラプトに関する記事を熱心に読んでいたら、さっきと同じ新聞にこんな記載を見つけてしまった。

News2 

昨年の屈辱を果たしたいです―――。

「雪辱を晴らす」の誤用は珍しくないが、その逆の誤用を見たのは初めてだ。「屈辱」を「果たし」たところでいったい何になるのか? こういう記事を読まされては馬券を買う気も失せる。だいたいがインタビューした相手に失礼であろう。屈辱を知るべきはこうしたメディア。さすがの雪をもってしても、これほどの恥辱は雪いではくれまい。

 

***** 2016/11/24 *****

 

 

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2016年11月23日 (水)

火曜日の重賞

普段通りなら今日の勤労感謝の日に行われるはずの浦和記念だが、今年は昨日の実施だった。今日の兵庫ジュニアカップに譲った形。JRAのIPATに売上の大半を委ねる昨今ともなれば、互いに目玉番組の重複は避けなければならない。

南関東では珍しい火曜の重賞だが、そのおかげでイイこともある。

浦和競馬場から徒歩10分の距離にある『まつ奈』は、地元で人気のうどん専門店。しかし、あろうことか水曜定休である。普段の重賞開催日に立ち寄ることはできない。

Matsu 

地元埼玉県産の粉を使っているという麺は、うっすらとピンク色がかっているが、いわゆる武蔵野うどんに比べればかなり細め。とはいえ、軽く噛むとクンと押し返してくるコシはしなやかで、喉を通るたびに地粉特有の甘い香りが鼻をくすぐる。

Udon 

メニューには「並」と「中」しか記載がない。正直「中」の量ではやや物足りなさが残る。ご主人はもともと蕎麦屋で修行されていたそうだが、蕎麦の分量ならこれで十分な大盛りでも、うどんだともっと欲しいという客がいそうな気がする……というか現にここにいる(笑) 

それでも久しぶりの『まつ奈』に満足して迎えた浦和記念。だが、ここで毎年恒例の問題に直面することになる。

それがこちら。

Hikage 

ゴール前の直線が、日なたと日陰のエリアにくっきり分かれてしまった。こうなるとカメラマンは辛い。もちろん昨今のカメラには、こうしたシチュエーションに自動で対応してくれる機能も搭載されてはいる。だが、それでは足りないほど極端なシチュエーションだし、そもそもプロはなかなかそういう機能を使いたがらない。だから、1着になりそうな馬が日陰から日なたに入るその瞬間に、露出を操作して露出を変えたりする。それでも、ゴール寸前で大外からボランタスが飛んでくるような流れになっては、その技も使えない。

Kt1 

我々のそんな心配をよそに、直線はケイティブレイブの独走劇だった。1番人気馬の圧勝劇にファンは沸いたし、カメラマンの皆さんも安堵。よかったよかった。

Kt2 

武豊騎手はこれが地方で行われるダートグレードの100勝目だという。ダートグレードが始まった1997年から毎年勝ち続けて、ちょうど20年での節目達成。現時点での2位は岩田康誠騎手の58勝だから、武豊騎手の成績は突出ぶりは歴然だ。彼自身がダートグレードの歴史を作ってきたと言っていい。

実際、彼が乗るというだけで競馬場に足を運ぶという人も、まだたくさんいる。昨日も平日の昼間だというのに、ずいぶんとお客さんが入っていた。「100勝」を機に、NARとしては武豊騎手を表彰してみてはどうか。この20年、地方競馬は彼にいったいどれだけ助けられたことか。ファンもしかり。今年、武豊騎手は南関東で9度騎乗して(7,2,0,0)。連対率10割は凄い。

 

***** 2016/11/23 *****

 

 

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2016年11月22日 (火)

愛宕山階段上りに挑む

ジャパンカップ絡みの野暮用でテレビ東京までやってきた。仕事ではない。知り合いの英国人コーディネータをテレビ東京まで案内してあげただけ。そのついでに、愛宕神社に立ち寄ってみた。

Atago 

愛宕神社のある愛宕山は港区随一の“山”。標高25.7mを示す三角点もちゃんと存在する。国土地理院発行の地形図でも「山」として表記されているその頂きからは、かつては房総半島が広く見渡せたというが、今では立ち並ぶ高層ビル群がそれを遮る。

神社正面には男坂という急階段がある。その段数86。

Kaidan 

階段は極めて急峻。むろん途中に踊り場などない。そびえ立つように立ち上がる階段の前に立てば、誰もがその威圧感に圧倒されよう。もともと愛宕山は火の神を祭る信仰の山。神聖な空間と俗世を結ぶに相応しい威厳を保ち続けている。階段を上る途中で背後を振り返れば、真っ逆さまに転落してしまいそうな、そんな錯覚にも苛まれる。

Kaidan1 

この階段を馬で登り、梅の枝を手折って再び馬で階段を下りてきたという江戸時代の講談『愛宕山誉れの石段』をご存じだろうか。

たまたま愛宕神社の前を通りかかった将軍家光が、誰か馬で石段を登ってあの梅を折ってこれるものはいないかと家臣に問う。お供の者は顔を見合わせて皆尻込みし、それでも何人かの腕に覚えのある馬術の達人が果敢にチャレンジを試みるが、誰も成功するものはいない。あまりの不甲斐なさに家光が機嫌を損ねたところに間垣平九郎盛澄なる人物が登場する。間垣は、その場で五回ほど輪乗りをして馬の気持ちを静めたのち、一気に石段を駆け上りる。さらに梅の枝を手折ると、上りよりも難しいとされる下りさえも馬でこなし、家光公の賞賛を浴びるというストーリーである。

Ume 

この逸話の真偽や、そもそも間垣平九郎という人物が実在したかどうかも実は不明確で、実話である可能性は低いとされるが、逸話を自らの手で具現させようとこの急階段に馬で挑んだ人物が少なくとも10人いる。(※一般に「3人」とされているが、認知度の差だと思われる)

 一森彦三郎広有
 進藤重之丞延秋
 小松忠蔵
 佐脇大学
 四戸三平
 石川清馬(1881年)
 岩木利夫(1925年)
 里見国啓(1936年)
 須田福延(1939年)
 渡辺隆(1982年)

このうち、1925年11月8日の岩木利夫の挑戦では、その年に愛宕神社の隣りでラジオ放送を始めたばかりのJOAK(現在のNHK)が馬での階段上りの模様を生中継している。上りが成功したところで、下りもあることを臨時ニュースで知らせたところ、大勢の見物客が殺到したと言うから、かなりのイベントだったのだろう。ちなみに、これが我が国における生中継の嚆矢。日本初の実況生中継は、なんと馬の“階段上り”だった。

岩木利夫は陸軍参謀本部の馬丁の職にあった人物。当時自分がかわいがっていた8歳のサラブレッド「平形」が廃馬にされてしまうということを耳にして、「この馬の真価を天下に知らせたい」と石段上りを決行したと言われている。

この話は美談として参謀総長から昭和天皇にも伝えられた。結果、平形は廃用を免れ、騎兵学校の将校用乗馬に転用され天寿を全うしたと伝えられている。自らの職務上の立場のみならず、命をも賭して階段上りに挑んだ岩木の思いはここに実を結ぶこととなった。

Kaidan2 

それにしても、この階段を駆け上がった馬が10頭もいるという事実にあらためて驚く。実際に自分の脚で上ってみたら、見物に集まった野次馬たちの気持ちが分かったような気がした。

 

***** 2016/11/22 *****

 

 

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2016年11月21日 (月)

ライバルの系譜

先週水曜日の大井では、2歳重賞のハイセイコー記念が行われた。

個人的注目は2番人気のビーザライトである。彼のレースぶりを過去に見たわけではない。目を引いたのはその血統にあった。父フレンチデピュティ。母ラシルフィード。母の父サンデーサイレンス。ここまでならどうということはない。さらに母の母マクダヴィアの名前を目にしたところでハッと思った。

マクダヴィアとサンデーサイレンスとの間に生まれたアスペンリーフという牝馬に、フレンチデピュティを配して誕生したのが2008年の桜花賞馬レジネッタ。つまりビーザライトとレジネッタは、単なるいとこ同士にとどまらず、血統的には「同血」ということになる。加えてヤネが森泰斗騎手なのだから、注目するなと言われる方が難しい。

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しかし、勝ったのは1番人気のミサイルマンだった。道中は3番手を追走。直線で早々と抜け出すと、後続に2馬身差をつけてみせた。着差はそれほどでもないが、その落ち着いたレースぶりは2歳馬離れしていると言うほかはない。ひとこと完勝であろう。

Tsubasa 

ミサイルマンがデビューしたのは、4月22日。南関東で行われた今年最初の2歳戦である。そこを9馬身差で逃げ切って、南関東の1番星に輝いた。それから6ヶ月の休養を経た前走では中団からの競馬を試みたが、その課題もあっさりクリア。そして今回、一気に強化されたメンバーを相手に、好位からの競馬で鮮やかに勝って見せたのだから、鞍上の笹川翼騎手が「モノが違う」と感じたのも無理はない。このあとは休養。来年は京浜杯からクラシックを目指すという。

ビーザライトは9着に終わった。私の注目が足枷になったのだとしたら、馬に申し訳ない。そんなことを思いつつ、勝ったミサイルマンの血統を眺めていたら、2代母カツラドライバーの名に聞き覚えがある。なんだろう?と調べてみると、2008年の桜花賞でレジネッタの2着に敗れたエフティマイアのお母さんではないか。つまり、今回のハイセイコー記念では、エフティマイアの甥がレジネッタと同血のいとこ相手にリベンジを果たした格好になる。

レジネッタとエフティマイアは通算7度の対戦があった。着順後先の単純比較ではレジネッタの5勝に対してエフティマイアの2勝。その数字から受ける印象以上に、良いライバル関係にあった。ミサイルマンとビーザライトの対戦はこれが初めて。できることならよきライバルとして、来年のクラシックを盛り上げてもらいたい。

 

***** 2016/11/21 *****

 

 

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2016年11月20日 (日)

時には競馬を忘れて

府中本町駅のロータリー側の改札を出てから、左手奥の階段を下りて歩くこと1分。『LAMPIONE(ランピオーネ)』というイタリア料理店の看板が目に入ってくる。

Lampione 

テーブル席が20席ほどにカウンター3席というこじんまりとした店内は、いつ行ってもガラガラということがない。つまり人気店である。お昼どきは12時前であっても入れないことも。平日であろうが土日であろうが同じ。カウンターの向こうでは若きオーナーシェフと奥様が忙しそうに動き回っている。

Bread 

人気の秘密は美味しさ―――と書くのは簡単だが、この店に関して言えば「安さ」を先に取り上げなければなるまい。もちろんどの料理も美味いのである。美味いのに安い。そこがポイント。パスタにサラダとパンとスープと食後のコーヒーがついて、なんと900円である。むろんパスタはいくつかの種類の中から好きなモノをチョイス可能。私は例によってミートソース(メニューでは「ボロネーゼ」)を選んだ。チーズの雲の隙間からトロりと溶け出す半熟玉子がたまらない。

Pasta 

府中本町駅から1分も歩かないのに、まったく競馬の匂いがしないということもポイントのひとつ。はやる気持ちを落ち着かせたい時もあろう。できることならグラスワインでも傾けつつ、カフカなんかを読みながら昼下がりの時間を過ごしたい。だが、「満席」に諦めて帰ってゆくお客さんを何組も横目に見てしまったからには、長っ尻は憚られる。昼どきはサッと食べてサッと席を立つのもマナーのひとつ。それが馬券、あるいは愛馬の好成績につながると信じたい。

Koguma 

『ランピオーネ』から線路を挟んだ反対側。大圀魂神社に隣接する狭い小道沿いに、『こぐま屋珈琲店』というこじんまりとしたカフェがある。ここも競馬場に近いのに、競馬の匂いはしない。客席は1階と2階。お座敷の2階カウンター席からは大國魂神社の杜が見える。

Coffee 

この店もメニューにミートソースがある。西国分寺の「Giappone」製の生パスタを使った一皿は、コーヒーがセットでついて1240円。ほら。これを聞くと『ランピオーネ』の安さが際立つでしょう。

Meat 

でも、生パスタはもっちりして美味いし、ミートソースは私の好きな肉ゴロゴロ系だし、深煎りのコーヒーはとびきりの鎮静効果で頭をクリアにしてくれるし、目の前に広がる大國魂神社の杜はどこまでも深い。だから私としても文句を言うつもりはまったくない。だから競馬場からいったん外に出てまで、わざわざやってきているのである。1日まるまる競馬に費やす日であっても、昼どきくらい競馬を忘れてみるのも決して悪くはない。つまりそういうことです。

 

***** 2016/11/20 *****

 

 

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2016年11月19日 (土)

ハッスルハッスル

思えば、去年の今頃は日本中がラグビーブームに沸いていた。日本代表選手は各方面から引っ張りだこ。中でも人気知名度ナンバーワンの五郎丸歩選手は、ジャパンカップのプレゼンターも務めた。JCや有馬記念のプレゼンターには、世界で活躍するアスリートが名を連ねることが少なくない。前年のプレゼンターはヤンキースの田中将大投手である。五郎丸選手は間違いなく2015年の顔だった。

あれから1年。日本中を熱狂の渦に巻き込んだラグビー熱は、いったいどこに行ってしまったのだろうか?

―――なんてお嘆きの貴兄は、東京競馬場の隣町、分倍河原に店を構える『レストラン・ハッスル』に行ってみるといい。昼時には行列も珍しくない地元の人気洋食店。店内にはラグビー選手のサインや、リーグのポスターなどが所狭しと貼り巡らされている。運が良ければトップリーグの選手に遭遇するかもしれない。府中はサントリー・サンゴリアスと東芝ブレイブルーパス、両チームのお膝元である。

Hustle1 

人気の秘密は、味や値段もさることながら、やはりそのボリュームにあろう。オムライスもランチプレートもスパゲティも、デフォルトサイズが既に他店の大盛りに匹敵しているのだから「ハッスル」の屋号はダテではない。私がオーダーしたスパゲティ・ミートソースも、敢えて「普通盛り」に留めた。興味本位の大盛りオーダーは控えた方が良い。

Hustle2 

厨房ではマスターがたった一人で無数のフライパンたちと格闘している。その姿は、たった一人で敵のディフェンスラインに挑むラガーマンのようでもある。実際のところラグビー経験者らしい。だが、詳しくは知らない。マスターはいつも黙々とフライパンを振っている。

Hustle3 

やがてスパゲティを豪快にフライパンに投入し、じゃっじゃっと炒め始めた。麺は量がある。ほどよく炒め終えたところで、大き目のお皿にザッとひと盛りすると、別のフライパンで火にかけていたミートソースを回しかけて完成。そのまま私に手渡された。

Hustle4 

茹でたての生パスタに、「濃厚」とか「こく旨」と称する濃い味付けのミートソースをたっぷりとかけ、生クリームで仕上げるようなタイプのミートソースが巷では流行っているようだが、どうもラーメンやつけ麺を追随しているように思えてならない。それはそれで美味いのだが、茹で置き麺をフライパンで炒めて、挽肉の味で食わせる洋食店や喫茶店のミートソースが私の舌には合うようだ。でなければ、ラガーマンでもない私がこの量をこともなげに食べることはできまい。ちなみに土曜は営業しているが、日曜は定休。競馬に合わせる場合はご注意を。

 

***** 2016/11/19 *****

 

 

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2016年11月18日 (金)

牛炊が胃に染みる

東京競馬場のお隣、多摩川競艇のスタンド1Fに店を構える『ウェイキー』は、多摩川名物「牛炊」のお店として競艇ファンには知られた一軒。テレビ朝日の番組「怒り新党」でも紹介されたほどから、競艇ファンでなくとも知っているという人はいらっしゃるかもしれない。

Wakey 

「牛炊」とは、ご飯にネギと牛スジを乗せて、その上からスープをかけたもの。雑炊のような一杯だと思ってもらえばいいだろうか。

Gyusui 

味のキモはもちろんこのスープにある。テールスープのように半透明で、口当たりもサラリと軽い。なのに、しっかりと旨味が染み出ている。牛バラ肉と野菜を4時間も煮込むという触れ込みはダテではあるまい。付添えのキムチを入れると全体がピリッと引き締まった。さらりとした旨味と、辛味の調和。これは二日酔いにも効果がありそうだ。

Kimuchi 

―――と、ここまで書いて思ったのだけど、これが多摩川名物として名を馳せた裏には、数多の二日酔いの客の存在があったのではないか。

似たような料理に大阪の「肉吸い」があるが、あれにしても常連客が「二日酔いでうどんは食べられないけど、ダシだけ飲みたい」と言って誕生した経緯がある。実際、二日酔いを思わせる客の割合は競馬に比べて多い。

多いのは二日酔いの客だけではない。なにより年配者が多い。私もいいトシのはずだが、府中本町駅からの連絡バスの車中では、間違いなく私が最年少だった。同じことを先日の場外車券施設「サテライト成田」でも感じたばかり。競馬に比べ、競艇、競輪は客層の高齢化が著しい。これでは将来が思いやられる。

ところで、なぜこの日私は多摩川競艇にやってきたのか?

Boat 

わざわざ「牛炊」を食べに来たわけではない。本当は競馬に行きたかった。だが、昼間はどこもやってないのである。大井、川崎はもとより、船橋までナイター開催が当たり前の南関東では、平日の昼間に競馬を楽しめるのは浦和だけ。その唯一の頼みの浦和にしても、開催日数は南関4場でいちばん少ないのだから、私のような昼間からブラブラしている人間の悩みはなお深い。

仕事をやめたら毎日朝から競馬三昧だ―――。

かつて私はそんな楽しみを抱いていた。高崎や宇都宮にだって行けなくはない。なにせ、時間はたっぷりあるはずだ。

しかし、そんな私のささやかな定年後ライフは既に破綻が決定的になっている。平日の競馬が始まるのは早くても15時。それまで何をして過ごそう。家に居ても疎ましがられるだけ。外に出てもやることがない。競馬場からの帰りにしても満員電車はゴメンだ。ようやく通勤ラッシュから解き放たれたばかりだというのに―――。

そんなことを考えると、競艇や競輪の高齢化は決して他人事とは思えなくなってくる。ナイター開催の増加。場内飲食店の総ファストフード化。若者ばかりを意識したイベント戦略。昨今の競馬が打ち出す施策は、すなわちベテランプレイヤーの締め出しにほかならないのではないか。ベテランに囲まれて牛炊を啜っていると、そんなことを考えずにはいられない。あぁ、旨味の溶け出たスープとキムチの唐辛子が胃に染みる。

 

***** 2016/11/18 *****

 

 

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2016年11月17日 (木)

第四の門

東京競馬場には門とそれに対応する最寄駅が、それぞれ4つずつあるのをご存じだろうか。

「正門」に直結する府中競馬場正門前駅がメインステーション。さらに東府中駅は「東門」へ、JR府中本町駅は「西門」への最寄駅となる。そして最後のひとつが西武鉄道の是政駅。あまり知られてないが、「南門」に通じる立派な最寄駅である。

Station 

是政駅を降りて、競馬場に向かって歩き出すと、洋食店『はなみ』がすぐに目に入ってくる。安くて美味しいと地元で評判の一軒は、土日も営業しているのが競馬ファンにも嬉しい。

Hanami 

ハンバーグランチは700円。注文するとソース(和風 or デミグラス)、付け添え(ポテト or キャベツ)、スープ(コーンポタージュ or シジミの味噌汁)を訊かれるから、好みに応じて選択しよう。ちなみに私はデミ、ポテト、コーンをチョイス。このジャガイモが美味いんですよ。カウンターの奥に並ぶ大量のジャガイモは壮観のひと言に尽きる。

Hanami2 

店を出て畑の中の道を歩き、

Michi 

中央道の下をくぐると

Chuodo 

こちらが東京競馬場南門。

Minami 

向こう正面の直線走路をくぐると、

Chikado 

そこは……、

Sky 

見慣れた内馬場の光景です。

Uchibaba 

是政駅から南門まで歩いて10分程度。それなら府中本町とさして変わらない。たまにはこういうルートを辿るのも悪くないものです。

 

***** 2016/11/17 *****

 

 

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2016年11月16日 (水)

夜うどん

府中界隈の讃岐うどん店というと競馬場へのアクセスの良さからどうしても府中本町の『厨』ばかりに足を運ぶことになるのだけど、『厨』がオープンする2年前までは、隣町の分倍河原に暖簾を掲げる『喜三郎』に足繁く通っていた。もしこの店が東京競馬場の界隈にあったならば、競馬開催時におけるランチ事情は激変していたであろう。少なくとも私に限って言えば、これは誇張ではない。

こないだチラッと書いたが、たいていの店ではオーストラリア産ベースの小麦粉を使っている中にあって、こちらでは北海道産100%の粉にこだわり続けている。釜たま一杯600円と、やや値が張るのは、そういう事情にもよる。

だが、そのぶんうどんは美味い。

Kama 

温泉玉子を崩し、醤油を少なめにかけ回してから、一気にうどんを掻き混ぜる。もわっと立ち上がる湯気から溢れ出る小麦の香りの、そのなんと芳しいことか。北海道産の小麦だと思うと、その香りがいっそう親密に感じられるのである。

湯気が収まるのを待って、うどんをひと口。麺にはほんのりと薄い塩味がついていて、醤油は少なめで十分。聞けば、海水から精製した自然海塩を使っているそうだ。塩はうどんのコシを生み出す原動力にもなるが、あまり多いと風味に角が立つ。その絶妙なバランスを舌で感じ、しかるのちに痛快な喉越しを味わう。まさに至福の瞬間である。

Chochin 

こちらには夜うどんの楽しみもある。つまりおつまみも充実している。双璧はジャコ天とイリコのかき揚げ。この2点は外せない。

ジャコ天の原料は瀬戸内で「ハランボ」の別名で知られるスズキ科の小魚「ホタルジャコ」。それを骨ごとすり身にして揚げる。適度に脂が乗っていながら、さっぱりした味わい。なにより弾力のある身と、かすかに感じられる小骨の食感がたまらない。

Jako 

イリコは関東で言う「煮干し」のこと。うどんのダシには欠かせないが、天ぷらにしても美味しい。その身は思いのほか柔らかく、サクッと噛めば旨味が口の中に広がる。なにせそれ自体が旨味の塊である。

Iriko 

酒を飲んだあとの〆は肉うどん。普段は釜たまやぶっかけうどんを好む私とて、飲んだあとは汁物が恋しくなるもの。イリコが香る温かいダシが胃に染みる。いやぁ、ホッとしますね。おでんや湯豆腐の始まるこれからの季節が、『喜三郎』の真骨頂かもしれない。

Niku 

 

***** 2016/11/16 *****

 

 

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2016年11月15日 (火)

天ぷらカレーライス、再び

東京競馬場西門から歩いて10分。サントリービール工場の隣に広がる「大東京綜合卸売センター」は、鮮魚、青果、精肉などの店舗が軒を連ねる多摩地域の台所だ。

Doc 

この市場内に店を構える『そこそこ』については、過去2度このブログでも紹介している。最初はうどん、二度目は牛スジカレー。どちらも市場内で働く関係者が愛してやまない人気メニューだが、今回はこのトッピングアイテムを紹介したい。

Toriten1 

鶏天、ですね。

こちらの店では、うどんやそばに天ぷらをトッピングすると、しばし待たされる。なぜか。それは、こちらの天ぷらは注文を受けてから揚げるから。しょうゆとダシのバランスの取れた関東風のツユに浸された熱々の天ぷらが、美味しくないはずがない。なかでも鶏天は出色。柔らかなムネ肉にはほんのり下味がついていて、それだけ食べてもじゅうぶんに美味い。しかもご覧の大きさである。

Toriten2 

ならば、アレをやってみるか……。

そう、以前チャレンジするも失敗に終わった天ぷらカレー。普通のカレーライスにトッピングの天ぷらを載せてみたのだが、カレーをまとった天ぷらは思ったほど美味しくはならなかった。しかし、この店ならイケるような気がする。もともと美味いと評判の牛スジカレーに、揚げたて熱々の鶏天である。

そこで注文したのが、人気の牛スジカレーに大きな鶏天が3本も載ったこちらの「鶏天カレーライス」。おぉ、美味そうじゃないか! さっそくいただきます。

Toriten3 

うーむ……。やっぱ、別々の方が美味いかも(笑)

とはいえ、こういうことはチャレンジし続けることが大事ですよね。なんて具合に、オノレを慰めつつ次のチャンスを待つことにしよう。

 

***** 2016/11/15 *****

 

 

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2016年11月14日 (月)

なごりの府中

私事であるが、このたび仕事場が変わり、府中を離れることになった。

私の仕事場が府中にあると他人に言うと、「いいですね、競馬三昧じゃないですか」などと言われる。それが困ることも少なくなかった。たとえ仕事場が府中にあったとしても、競馬場に行きやすいとは限らんのですよ。なにせ土日も仕事。しかもひとたび仕事場に入れば一歩も外には出られない。距離的に大井、船橋のナイターに駆け付けるのは絶望的。この2年余りで、私と競馬との関わりはほとんど消えたと言っていい。いまや馬券だけの付き合いに成り果てた。だからエフケイバ成田なのであり、オフト京王閣なのである。

ただ、当然のことだが府中の町にもいろいろとお世話になった。特にお食事処。なので、今週は府中界隈のお店を何軒か紹介させていただく。東京開催も残りわずかだし、競馬場から歩いていけぬ距離のお店も含まれるが、まあ知っていても損はないでしょう。

Mise 

初回は東京競馬場の隣町、分倍河原の蕎麦店『よし木』。

分倍河原駅から徒歩5~6分。分梅駐在所交差点近くにあるこの店は、蕎麦好きが高じて脱サラ開業したというご主人が営むお店。その蕎麦は啜るほどに薫り高く、噛むほどに味わい深い。使用しているのは、そば通にとって垂涎の「常陸秋そば」。丁寧に手引きして、一晩寝かせてから打つという。

蕎麦というのは奥が深くしかも蘊蓄の塊でもある。そういう意味ではワインに近い。知り合いのソムリエが、「ワインの味わいを言葉で完璧に表現できるはずがない」と半ば開き直り気味に話していたことを思い出す。ならば、蕎麦の味わいを言葉で完璧に表現できるはずもないのである。しかもそのソムリエ氏は「あとは飲んでくれ!と言いたくなる」とも言ってたから、ここでも「あとは食ってみてくれ」と言うほかはない。

今はまさに新そばが美味しい季節だが、鴨もますます旨くなる。ゆえにおすすめは鴨せいろ。鴨の旨味が染み込んだツユは、蕎麦湯で割るよりも早く、思わず飲み干してしまう味わいだ。

Yoshiki 

ただし、主人ひとりで切り盛りしている店だから、注文の品が出てくるまで時間がかかることもある。そういう場合は、ゆっくりと酒でも飲みながら待つのがいちばん。幸い酒の種類は豊富だ。

オーダーをする際も主人の呼吸に合わせよう。「すみません!」などと大声を出すのは野暮。相手の見える位置で、さりげなく手を挙げる。蕎麦屋は客も粋でなければならない。

有難いことに土日も営業しているが、府中本町駅からだと歩いて15分ほど。ということは競馬場から歩けば30分近くもかかる。競馬場の昼休みに出るには遠すぎるし、夜の営業は18時から。競馬と重ねるのは難しいかもしれないが、それでも行ってみる価値はあろうかと思う。

 

***** 2016/11/14 *****

 

 

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2016年11月13日 (日)

“裏開催”の東京にて

好天の日曜だというのに、東京競馬場は閑散としている。ルメールもデムーロもムーアも不在。京都ではエリザベス女王杯。福島では福島記念。しかしここ東京で重賞は行われない。なんとなく裏開催感さえ漂う。

Tokyo 

となれば注目は新馬2鞍。5レースは芝のマイル戦に12頭。今日の福島記念で2番人気に推されているマイネルハニーが、昨年勝ち上がった新馬戦でもある。今年のレースを勝ったのは1番人気のハーツブライト。スタートは決して速くはなかったが、道中じっくり進めて直線で一気に抜け出した。鞍上は内田博幸騎手。そういえば、昨年マイネルハニーがこの新馬を勝った時も、ヤネは内田騎手ではなかったか。ともあれハーツクライ産駒が2歳の新馬戦を勝ったのだから、当然ながら期待は大きい。

5r 

続く6レースは芝1400mの新馬戦。こちらは、今日の東京10レース・多摩川ステークスで2番人気に推されているドーヴァーが、昨年デビュー勝ちを果たしたレース―――と言ってもあまり覚えている人いないかもしれない。「チェッキーノが2着に負けた新馬戦」と書いた方が印象に残っているだろうか。

Jacky 

今年のレースを勝ったのは2番人気のジャッキー。早めに先頭に立ったせいか、外から追い込んだ2着馬にいったんは並ばれたが、それでもハナだけ凌ぎ切った。5レースに続いて、またもや内田博幸騎手の手綱である。今日のウチパクは3勝の固め打ち。ちなみに戸崎騎手も3勝。そして柴山騎手が2勝。デムーロ、ルメール、ムーアの居ぬ間に存在感を出したのは、やはり地方出身ジョッキーたちだった。

ちなみにマイネルハニーは福島記念で4着、ドーヴァーも多摩川ステークス3着。彼らはもう立派な“大人”になっている。馬場入りの時にヒンヒン鳴いていたハーツブライトやジャッキーは、1年後に果たしてどのような馬になっているだろうか。そういうことを想像するのも、新馬戦の楽しみのひとつ。裏開催感漂う1日。しかも、ダート戦と見まごうばかりの勝ち時計ではあったが、それでも新馬たちの走りは脳裏に焼き付けておいて損はない。

 

***** 2016/11/13 *****

 

 

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2016年11月12日 (土)

ダートの猛者たち

東京競馬場は小春日和。日なたは暖かいと言うより暑いほどだが、それでも番組はぼちぼち冬を意識させる。今日の注目はダートのマイル戦2鞍だった。

6レースの新馬戦に、昨年のセレクトセールで2億3000万円の高値で取引された評判のフォギーナイトが登場。これだけの高額馬がダートでデビューというのも珍しいが、血統的にはバリバリのダート猛者なのだから仕方ない。レースでは内目の4番手を追走。直線に向いて抜け出すと、瞬く間に後続を2馬身半突き放してみせた。

6r 

勝ち時計1分38秒3は驚くような時計ではない。なにせ今日のダートはレコード連発の高速馬場。37秒台前半、ひょっとしたら36秒台も。そうなれば朝日杯もアリかも―――。なーんて思っていたのは、勝手な外野の願望だったようだ。

メインは武蔵野ステークス。1番人気はフェブラリーS勝ちのモーニンだが、59キロが影響したのか直線の伸びはもうひとつ。2番人気ゴールドドリームも直線で外に出せずに四苦八苦している。そうこうするうちに先に抜け出したタガノトネールのリードは決定的になった。なにせ今日は高速馬場である。1分33秒8のレコードで走られては、もう後続は追いつくことができない。

11r 

実は昨年のこのレースでもタガノトネールが直線坂下で完全と抜け出し、後続を引き離した瞬間があった。誰もが「大勢決した」と思ったはず。だが、後続馬群の中からノンコノユメが飛び出すと、徐々に差を詰め、最後の一完歩でついにタガノトネールをハナだけ捉えて勝ったのである。それなのに単勝36倍はタガノトネールに失礼だったかもしれない。ともあれタガノトネールは、見事昨年のリベンジを果たした。優先出走権を得たチャンピオンズCには、果たして向かうのか。

2003 

タガノトネールの3代母ダル―ゼットは、名牝フェアリードールの従姉妹。つまりタガノトネールはトゥザヴィクトリーやサイレントディールの遠縁ということになる。トゥザヴィクトリーはドバイワールドカップであわやの2着。サイレントディールも武蔵野Sを勝ち、その翌年にドバイワールドカップに挑んだ。一族にはダートの猛者がたくさんいる。調教師は明言を避けたが、タガノトネールにもダートの王道を歩んでもらいたい。

 

***** 2016/11/12 *****

 

 

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2016年11月11日 (金)

なごりの京王閣

昨夜来の雨が上がりそうで上がり切らぬ午後、私が向かった先は……。

京王閣競輪?

Keiokaku 

いや今日は非開催日。バンクには誰もいない。

Banc 

なんて、もちろんやって来たのはここ。オフト京王閣です。

Offt1 

実は、諸事情あってしばらくこちらに来れなくなりそうなのだが、会費は来年分まで既に払い込んである。だから少しでも元を取っておこうと、こうしてやってきた次第。

とはいえ、今日の船橋は1レースから3レースまでが新馬戦。しかも水の浮く不良馬場とあっては、馬券的にはとても手を出せない。そこは見るだけに留めて、こちらにも顔を出しておこう。

Menkoya 

もともとは、この『めんこや』のうどんが食べたくて、オフト京王閣の会員になったと言っても過言ではない。これまで食べたことのないカレーうどんを注文。テレビ番組のカレーうどんランキングで3位を獲得した人気メニューだ。

Udon1 

カレー汁はうどんが沈まないほどとろみがついている。それを箸でひとしきり沈めてから一口。ねじれのある独特の形をした麺にカレーがよく絡む。カレーもちゃんと辛い。

Udon2 

麺がなくなってしまったら、替え玉(250円)を頼むか、白飯(150円)を追加オーダーしよう。私は後者を選択。ダシの風味たっぷりのカレーライスができあがった。この店に来ることも、もうないかもしれないと思うと、ひと口ひと口の味わいが違う。といっても、『めんこや』さんは幡ヶ谷にも五反田にもあるんですけどね。

Carry 

さあ、新馬3鞍が終わって、勝負の船橋4レースがやってきた―――と思ったら、4レースも一筋縄ではいかないメンバーではないか。3歳馬同士の1500m戦に挑む10頭はすべて南関東初出走。つまり全馬転入初戦である。その前走は笠松、金沢、札幌、中山、阪神、門別、佐賀とまちまち。力の比較などしようがない。

しかし勝ったのは1番人気のプリマレジェンドだった。皆さん、見る目ありますね。

母パーソナルレジェンドだから、ミラクルレジェンドやローマンレジェンドの妹。たしか元中日ドラゴンズの山本昌さんが命名した馬で、昌さんご本人も一口出資されていたはず。3歳11月、しかも船橋での初勝利は、正直想定外だろうが、JRA復帰を目指す上ではこの勝利は大きい。山本昌さんも、とりあえずホッとしているのではないか。そういえば山本昌さんはカレー好きで有名。もう少し想像力を働かせれば、取れていた馬券かもしれない。

 

***** 2016/11/11 *****

 

 

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2016年11月10日 (木)

女王陛下のレース

「京都ではディープインパクト産駒にやられてしまう」

先日行われたブリーダーズカップ・フィリー&メアターフに出走し、11着と敗れたヌーヴォレコルトを管理する斎藤誠調教師の言葉である。もともと強い海外志向を持つトレーナーであり、ヌーヴォレコルト自身もこの春は香港に遠征していた。だが、芝の中距離を得意とする同馬にとって、秋は国内にエリザベス女王杯というGⅠが用意されている。それなのに、なぜ敢えて米国遠征に踏み切ったのか―――?

それに対する師の答えが、冒頭の言葉だ。

たしかにエリザベス女王杯は2年続けてディープインパクト産駒が優勝している。しかも2年続けてその2着に敗れたのは、他でもないヌーヴォレコルト。その事実を思えば「ディープインパクト産駒にやられてしまう」という気持ちも分らなくはない。先月の秋華賞も菊花賞もディープ産駒が勝った。京都のディープ産駒はたしかに強い。マリアライト、ミッキークイーン、タッチングスピーチ。今年のエリザベス女王杯でも、3頭のディープ産駒が人気を集めることは間違いなかろう。

エリザベス女王杯は、1975年のエリザベス女王陛下の来日をきっかけに創設された。

我が国の競馬が英国の競馬を手本として発展してきたことは周知の通り。陛下の来日スケジュールに京都観光が含まれていることを知ったJRAは、京都競馬場で来日記念レースを開催し女王陛下によるご観戦を実現させるべく奔走するも、結果的に京都競馬場への来場は叶わなかった。理由は「スケジュール多忙のため」とされたが、実際には警備上の問題であったらしい。なにせ大の競馬好きでも知られる女王陛下のことである。競馬と聞けばスケジュールなど平気で変えてしまったに違いない。

陛下のご臨席は賜ることができなかったが、来日記念レースは予定通り行われた。この年の5月10日、3回京都開催5日目の京都9レース「エリザベス女王御来日記念」は、準オープンクラスによる芝2000mハンデ戦。5歳牝馬のユウダンサーズが、福永洋一騎手の巧みな手綱捌きで逃げ切っている。

そのレース結果を伝え聞いた女王陛下が、「勝ち馬の写真と優勝カップのレプリカをもらいたい」と希望された。後日JRAが、写真を届けに英国大使館を訪ねたところ、応対した公使から「これを機に、毎年女王杯レースを実施されてはどうか」と予想外の提案を受ける。話はとんとん拍子に進み、翌年のエリザベス女王杯創設へと相成った。エリザベス女王杯の創設には、実は福永祐一騎手のお父さんが多少関わっている。

ちなみに、この前年の英1000ギニーと仏オークスの優勝馬ハイクレアは、エリザベス女王陛下の自家生産馬&所有馬として知られるが、もっと分かりやすいところではディープインパクトの3代母であろう。日本における歴史的名馬の血統には、実はエリザベス女王陛下が強く関わっている。

だとすれば、エリザベス女王杯でディープインパクト産駒が無類の強さを発揮するのも当然か。おっと、ディープインパクトの全兄弟ブラックタイドの3代母も、当然ながらハイクレア。日曜のレースではアスカビレンも無視できない。

Asuka 

 

***** 2016/11/10 *****

 

 

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2016年11月 9日 (水)

切り札登場

昨日、JR博多駅前の道路に巨大な穴が開いて大騒ぎになった。それを「大穴の啓示だ!」と叫んだのは我が馬券仲間。となれば、エリザベス女王杯か。あるいは武蔵野Sで大穴が飛び出すのか。いやいや、今夜の平和賞が大波乱になるのか―――?

すると米国大統領選挙でトランプ氏が勝ったではないか。直前まであれほど「クリントン優勢」が報じられていたのだから、これも大穴のひとつと見るべきか。ただし、もしこれが競馬ならトランプの単勝に1票を投じた―――そんな思いを抱く競馬ファンは少なくあるまい。今回の大統領選を馬券的に見れば、初めからそんな流れだったように思えてならない。

英国のEU離脱にせよ、今回の大統領選挙にせよ、事前の予測はことごとくハズれた。予測したのはその道のプロのはず。それでも投票ごとを読み切るのは難しい。次回の選挙から「予測」の言葉は使わずに、競馬と同じく「予想」としてはどうか。アナリストも「予想屋」を名乗ればいい。それならハズれても仕方ない

ともあれ、「トランプ大統領」の誕生が本決まりになった。日本で「トランプ」と呼ばれるカードゲームは、英語では「プレイング・カード」、あるい単に「カード」と呼ばれる。「トランプ」とは本来「切り札」の意。日本に伝わった際、ゲームの中で外国人が切り札の意味で発した「トランプ」という言葉を、カードそのもののことだと誤解したのが間違いの始まり。結局そのまま日本語に定着してしまった。果たしてトランプ大統領は米国の切り札たり得るか。

Trump 

件の馬券仲間はエリザベス女王杯の狙いを「馬番⑫番」に決めたそうだ。なぜかと聞けば、「トランプ」で「女王」と言えば「12」の札だからだという。

「そのまま“クイーン”(ミッキークイーン、クイーンズリング)で良いんじゃないか?」

「それじゃ、大穴にならないだろう」

12番枠にマリアライトが入ったらどうするのか?と聞いてみたかったが、キリがないのでやめた。何であれ先のことは見通せないのである。

トランプ大統領誕生後の世界情勢についても、どのメディアも「混乱」としか表現していない。これまでも世界情勢は混乱の連続だったはず。そもそも混乱のない世の中など有り得るのか。もっとも混乱しているのは、「クリントン優勢」を訴え続けた記者本人だったりする。

さらに彼らは口を揃えて来年以降の経済停滞を指摘するが、明日のことさえ読めぬ連中が来年の話をするとは笑止千万も甚だしい。先のことなど誰も分らない。だから時として大穴が飛び出すのである。

 

***** 2016/11/09 *****

 

 

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2016年11月 8日 (火)

続・レース選択の謎

11月2日付「レース選択の謎」の続き。そこで名前を挙げさせていただいた3頭のレース結果を振り返りたい。まずは敢えて牡馬相手のGⅡ京王杯2歳Sに出走したレーヌミノルから。

Minoru 

スタートから持ち前のスピードに任せて無理なく2番手を追走。残り200m先頭に立った時は「おぉ! こりゃ勝ったか!」と思わせたが、外から馬体を併せてきたモンドキャンノの末脚に半馬身屈しての2着だった。仕掛けのタイミングが早かったわけではない。その証拠に3着馬は3馬身も離している。ここは勝った相手を褒めるしかない。

そのモンドキャンノは函館2歳Sで2着に敗れていた。とはいえ、道中馬群に包まれて身動きが取れず、直線でようやく抜け出して半馬身差まで詰め寄ったそのレースぶりに、能力の片鱗を見せていたのも事実。血統的にもスピード一辺倒かと思われた同馬にとって、この経験は大きかったに違いない。ちなみにその時は戸崎騎手の手綱だった。今回勝ったルメール騎手は、戸崎騎手にも感謝すべきであろう。

Keio 

ともあれ、函館2歳Sの2着馬が京王杯を勝った。となれば、札幌2歳S2着のブラックオニキスが気になる。もちろん先日のブログで名前を挙げた2頭目。さあ、京都ではフェアリーSの発走だ。

ところが、そのブラックオニキスは8着に敗れてしまった。イレ込みがきつくてレースにならなかったと城戸騎手。馬体はなんとか前走と同じレベルを保っていたが、輸送の影響が別のところに出たのかもしれない。ただ、私個人の感触としては、1400mの競馬に対応する前にレースが終わってしまったように見えた。札幌の1800と京都の1400では、やはり求められるものが違う。

最後にアルゼンチン共和国杯のワンアンドオンリー。トップハンデタイの58キロを背負ってコンマ6秒差なら悪くないかもしれないが、勝ったシュヴァルグランが58キロを克服した以上、力負けを認めぬわけにはいくまい。「よーいドンの競馬になってしまった」と、柴山騎手は瞬発力勝負の展開になってしまったことを悔やんだが、それでも天下のダービー馬。負けるにしても、負け方というものがある。逃げたクリールカイザーさえ捕まえ切れなかった。今回のレースを見る限り、スローで流れた天皇賞に出ていたとしても、似たような結果になっていた可能性が高い。

ワンアンドオンリーを敢えて馬込みに入れてレースを進めたのは予定通りだという。レース中に気を抜かないようにするための策とのこと。だが超スローの展開に、直線に向いても馬群はバラけぬまま。ストライドの大きなワンアンドオンリーにとっては、苦しい直線となった。モンドキャンノの函館2歳Sのように、この経験がジャパンカップに生きることを期待したい。ダービー馬が苦しむ姿を見るのは正直つらいのである。

 

***** 2016/11/08 *****

 

 

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2016年11月 7日 (月)

さぬきの夢

“うどん通”の会話を聞いていると、「スズメ」とか「金魚」とか「アヒル」というワードが出てくることがある。

店の名前ではない。当然ながらトッピングの話でもない。「スズメうどん」とか「金魚うどん」というのがあったら、ちょっと引きますよね。

実はこれ、小麦粉のブランド名である。「アヒル」は日讃製粉の、「スズメ」や「金魚」は日清製粉の商品名で、オーストラリア産の小麦粉をベースに細かなブレンドが施されている。ちなみにうどんの本場香川県内に限れば、他県にはない香川県特別仕様のブレンドもあるそうだ。凄いですね。

Maruka 

神田小川町の讃岐うどんの名店『まるか』ではスズメを使用しているらしい。スズメの中でも(香)と(特)のマーク付き。粘りと風味に優れ、讃岐うどん特有の強いコシを生み出してくれる小麦粉だそうだ。その25キロ袋が店内に山積みになっているその様は、なかなか壮観である。

Komugi 

その『まるか』に入り、例によってカマタマを注文。こちらの店ではネギが入った状態で出てくるので、小麦粉の香りを純粋に味わいたいという方は、オーダー時に「ネギ抜き」とか「少なめ」などと指定しよう。

Kamatama 

小麦粉はうどんの命と言っても過言ではない。

香川県は自他共に認めるうどん王国だが、実はそこで使われる小麦粉の大半は前述したようにオーストラリア産である。地元では「香川の風土で育った小麦でうどんを」との声は強くあり、県の農業試験場などが2000年、粘りと弾力に優れた「さぬきの夢2000」を品種登録したが、うどん店や客からの評判がたいそう悪く、自然消滅してしまったという経緯がある。

そうした反省から、2009年に再び開発された「さぬきの夢」の選考に際しては、うどん店主や製麺業者を中心にプロジェクトチームを編成。1000人規模の無料試食会も開催した。王国の威信をかけた試みの末に誕生したのが「さぬきの夢2009」。この粉を使ったうどんを東京でも味わうことができる。それが、有楽町電気ビルヂングの地下に暖簾を掲げるうどん店『たも屋』。本場を謳うだけあって、ひやかけ1杯270円と、この立地にしてはかなり安い。

Tamoya 

それにしても、うどんを食べて小麦粉の違いなど分かるのか―――?

大半の人はそう思うであろう。実際、私だって分かるとは言えない。しかし、香川では違う。なにせ丸亀競艇の開催期間中には、県内の人気店が日替わりで場内で営業する「うどん祭り」も開かれるほどのお土地柄。誰もがうどんには一言持っている。

それにしても丸亀競艇の「うどん祭り」は羨ましい。ぜひ東京の競馬場でもやってもらえないだろうか。もし、やっていただけるなら、『まるか』と『たも屋』の出店を強く望む。粉の違いを実感してみたい。

 

***** 2016/11/07 *****

 

 

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2016年11月 6日 (日)

溢れるタコ愛

この秋から東京競馬場スタンド4Fで営業を開始した『築地銀だこハイボール酒場』は、今日もなかなかの盛況ぶり。以前この場所で営業していた『むぎんぼう(夢吟坊)』贔屓だった私としては心中複雑だが、たしかに銀だこのたこ焼きは美味しいですからね。こればかりは仕方ない。

Gindako 

その『夢吟坊』の三宿本店には、珍しい「たこ天うどん」がメニューに掲載されている。いつもはゴボウたっぷりのかき揚げうどんを頼むのだが、タコ繋がりに縁を感じて先日初めてオーダーしてみた。

欧米人はタコのことを「デビル・フィッシュ(悪魔の魚)」と呼んで忌み嫌い、イタリア、ギリシア、スペインなど地中海沿岸のごく一部を除いて、決してタコを食べようとはしない。それに比べて日本人の“タコ愛”は筋金入りだ。なにせ石器時代の遺跡からタコツボが発見されたほど。煮ても焼いても、もちろん揚げても美味しい。

たこ天うどんが運ばれてきた。

Udon1 

温かいうどんと、5ミリほどに削ぎ切りされたタコの身を揚げた天ぷらが別皿に添えられている。堅過ぎず、かといって歯応えを失ったわけでもなく、官能的とも言える絶妙な柔らかさを残したタコは噛むほどに甘い。この店独特の昆布ダシをたっぷり吸った衣との組み合わせも抜群。もうこれだけで良い。なのに、そこにふんわりとした喉越しのうどんまでついてくるではないか。これに匹敵する愉悦を探せと言われても、なかなか思い浮かぶものではない。―――なんて、多少大袈裟だけど、まあ美味いことには間違いない。

Udon2 

蛸薬師、蛸地蔵などがある関西では、タコは信仰の対象にもなってきた。もちろん以前にも書いたように、「多幸」に繋がる縁起物でもある。それなら競馬場のたこ焼きが人気を集めるのも当然か。ここぞというところで無意識にタコにすがるのは、日本人のDNAに刻まれた“タコ愛”の為せる業であろう。

Takomeshi 

門別の『いずみ食堂』では、名物のそばに加えてご覧の「たこ飯」も大人気。かつては門別競馬場の限定メニューだったが、最近では本店の方でないと食べられないらしい。使われているのは地元産の水だこ。大きなものは3mにもなるらしいが、かといって大味ということはなく、むしろ味は繊細だ。私も本店を訪れると、そばと一緒についついオーダーしてしまう。こうしてまた少しずつ太っていくのである。

 

***** 2016/11/06 *****

 

 

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2016年11月 5日 (土)

繋がらぬ天皇賞とJC

ジャパンカップ35年の歴史の中で一度もなかったことが、今年ついに起きるかもしれない―――。

Special 

先日の天皇賞が終わったあと、漠然とそう感じた。いったい何か。天皇賞(秋)からJCに向かう馬が、今年は一頭もいないかもしれないのである。しかし、それは危惧ではない。なんとも不思議な思いと言うほかはない。

今年の秋天をひと言で表せば、モーリスが距離の壁を克服してマイルと同じ強さを示したレースだった。だが、実は2着のリアルスティールにしても2000m以上の重賞を勝ったことはない。3着ステファノスにしても同じこと。天皇賞上位組は、どの馬も多かれ少なかれ距離への不安を抱えていた。彼らがJCへの参戦意欲が湧かないというのも致し方ない。

しかし、天皇賞で掲示板を逃した面々からもJC参戦に前向きな言葉が聞こえてこないのである。現時点でJC出走を明言している有力馬を列記してみる。いずれも天皇賞には出走していない馬ばかりだ。

キタサンブラック
サウンズオブアース
ラストインパクト
ヒットザターゲット
ゴールドアクター
シュヴァルグラン
トーホウジャッカル

天皇賞出走組の中では、リアルスティールとラブリーデイがJC参戦の可能性を匂わせてはいるものの、どちらも香港カップとの両睨み。特にラブリーデイに至っては「香港カップに選出されなければJCに」と、滑り止め感を隠そうともしない。かねてより「2400mは長い」と陣営も言い続けているだけに、今は香港カップに選出されることを祈る毎日であろう。

1981年にJCが創設された際、それまで11月後半に行われていた天皇賞は、その前哨戦と位置付けられ1か月前倒しになった。日本の最強馬と海外の強豪の激突を演出するためである。なのに、天皇賞を走った強豪馬たちが思うようにJCに参戦してくれない。その理由は、天皇賞の3200mを走った疲労が1か月では抜けぬというもの。日本側の代表たるべき天皇賞組が出走しなければ、JCの国際競走としての価値は半減してしまう。そこで競馬会は大胆な改革を打ち出した。それが秋天の2000mへの短縮である。「伝統のレースを貶めるものだ」と抗議するファンによって、競馬会の電話回線がパンク状態となったのは、今もJRA内部では語り草だ。

とはいえ、それで日本馬のJC参戦が劇的に増えたかと言えば、そうでもなかった。来日する外国馬に勝てない時代が長く続いたせいもある。1996年などは「古馬3強」と呼ばれたサクラローレル、マヤノトップガン、マーベラスサンデーの3頭が、秋天を普通に走っておきながら、揃いも揃ってJCを逃げるという醜態を晒して非難を浴びた。国際的なレースの格ではJCの方が上であっても、当時の国内の競馬関係者は天皇賞や有馬記念に重きを置いていた感は否めない

それでも、天皇賞からJCに参戦する馬がゼロだったことは一度としてない。しかも、1993年と95年を除けば、天皇賞で1~3着に好走した馬が少なくとも1頭は参戦していた。じゃあ、かといって今年のJCに出走する日本馬が手薄になりそうなのかと言えば、そうでもない。だから「不思議」なのである。

永らく日本の競馬では2000mと2400mは「ほぼ同じ領域」として扱われてきた。同じ府中コースならなおのこと。だが、両者の間には明確な境界線が引かれ始めているのかもしれない。事実、キタサンブラックもゴールドアクターもラストインパクトも、秋天には見向きもしなかった。折しも、来春には2000mのGⅠ大阪杯が新設される。それでも「2000mでは短いが3200mでは長い」という馬が出てくるに違いない。それならそれで日経賞をGⅠにするとでも言うのか。細か過ぎるカテゴリ分けは、もうたくさんだ。

 

【秋天→JC出走頭数(丸数字は天皇賞1~3着馬の参戦)】

1981 6頭 ①②③
1982 3頭 ②③
1983 4頭 ①③
1984 2頭 ① 
1985 4頭 ①②③
1986 5頭 ①③
1987 2頭 ②
1988 3頭 ①②
1989 6頭 ①②
1990 3頭 ①
1991 2頭 ②
1992 4頭 ①③
1993 2頭 -
1994 4頭 ③
1995 2頭 -
1996 4頭 ①
1997 4頭 ①②
1998 4頭 ②
1999 4頭 ①②
2000 5頭 ①②
2001 4頭 ②
2002 5頭 ①②
2003 4頭 ①②
2004 4頭 ①
2005 8頭 ①②
2006 2頭 ②
2007 7頭 ①
2008 6頭 ①③
2009 8頭 ②③
2010 4頭 ①②
2011 7頭 ①③
2012 6頭 ①②③
2013 6頭 ②③
2014 9頭 ①②③
2015 8頭 ①
2016 ?頭 ?

※1989年オグリキャップはマイルCS経由
※1992年イクノディクタスはマイルCS経由

 

***** 2016/11/05 *****

 

 

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2016年11月 4日 (金)

成田で見るコスモス

ここは、競走馬のふるさと案内所……と言っても静内に来ているわけではありません。例によって、千葉の富里です。

Furusato 

さすが馬の街。街灯にも馬のオブジェが。

Gaitou_2 

道端のコスモスを眺めつつ向かった先は……、

Cosmos

サテライト成田? なんだ? 競輪の車券買いに来たのか?

Fkeiba 

いや、この建物の2階部分が「成田場外勝馬投票券発売所」(通称:エフケイバ成田)なんですね。ただ、川崎競馬の1レースまではまだ時間があるので、車券でも買って時間を潰そうというワケ。ずらりと並んだモニタは、富山、防府、そして京王閣の様子を映し出している。

Monitor 

売店では専門紙を買うことができ、

Shop 

小さいながら食堂もあります。

Menu 

定食は500円。きつねうどん350円。かけうどん300円。場外発売施設内であることを思えば劇的に安い。

Udon 

よく分らないまま購入した車券は3連敗。ビギナーズラックの女神が微笑んでくれそうな気配もないので、いそいそと2階へ移動。ようやく川崎競馬が始まる。

2f 

1階に比べてこちらはやや狭い。サテライト成田が800人収容であるのに対し、こちらのエフケイバは500人。発券払戻機も5機しかないが、それでも客の数からすれば十分に事足りるのであろう。ちなみに、2階のテラスからは成田に着陸する飛行機を眺めることができる。

Plane 

2レースに話題の馬が登場してきた。フリオーソ産駒の2歳牡馬コスモス。あの岡田繁幸氏をして「(札幌2歳Sを勝った)トラストより強い」と言わしめる期待馬だ。単勝1.5倍の圧倒的支持を集めている。

Monitor2 

だが私が購入した馬券はこんな感じ。場外で勝負する人間はトコトン現実的でなければならない。

Baken 

そしたら③スノーブラスト(真島)はゲートで暴れて競走除外の悲劇。一瞬にしてこの馬券は無かったことになった。

結果はコスモスの圧勝。まあ、外れたはずの馬券が払い戻されたと思えば御の字か。競馬場のスタンドでは「おぉ~」と歓声が上がったかもしれないが、こちらでは誰ひとりとして声を上げたりはしない。真島騎手に文句を言う人はいたけど。

見ている限り、1階と2階を行ったり来たりしながら、競輪と競馬の両方を楽しむ人は少ないようだ。ざっと数えたところ利用人数は1階が約200人、2階が100人といったところ。少なくとも今は競馬の完敗。ただ、夜になれば変わるのかもしれない。

Cosmos2 

場外馬券売り場周辺でもコスモスが咲き誇っていた。ピンク色の花弁が秋空に映えて美しい。川崎のコスモスも開花。だが、このままではJRAのレースに挑戦することはできない。川崎の新馬戦はJRA認定競走ではないのである。そういう意味では、まだ一分咲きといった程度か。彼の競走生活は始まったばかりだ。

 

***** 2016/11/04 *****

 

 

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2016年11月 3日 (木)

馬券の日を作るなら

今日11月3日は文化の日。日本国憲法は1946年11月3日に公布され、翌5月3日に施行されている。これを踏まえ、1948年制定の祝日法で、5月3日を「憲法記念日」、11月3日を「文化の日」と定められた。法律の中では「自由と平和を愛し、文化をすすめる」日だとされている。

だが、もともと11月3日は文化と直接関係のある日ではない。かつては「明治節」と呼ばれていた。すなわち明治天皇の誕生日のこと。だから、この日に秋の天皇賞が行われたことも多い。1966年の年度代表馬・コレヒデが勝ったのも11月3日の天皇賞だった。

11月3日は他にも「まんがの日」であり「文具の日」であり「ハンカチーフの日」であり「ゴジラの日」であるらしい。かように記念日乱立の昨今だが、競馬絡みの記念日はまだない。9月23日の「愛馬の日」は馬に親しんでもらう日であるし、JRAが「競馬の日」と呼ぶ9月16日は、単なる創立記念日。内輪の話に過ぎない。

かつてここで似たようなことを書いた時、敢えて「競馬記念日」を作るならば4月24日ではどうか?と書いた記憶がある。1932年に第1回日本ダービーが開催された記念すべき日。先人の苦労を忘れてはならない。

一方で、敢えて「馬券の日」というのを作るなら、明日11月4日が相応しいのではないかと秘かに考えている。実は1935年のこの日、根岸競馬6レースで、馬券を買った人全員が的中という慶事が起きているのだ。

3600mの障害コースを走り抜けた1番人気メイラン(59木戸)と2番人気プランプトン(61梶)の接戦は、ついに決着がつかなった。すなわち同着である。しかもこのレースは2頭立て。発売された馬券は単勝だけだから、はずれ馬券はなかったことになる。

配当は「特払い」。当時は1枚20円の馬券に対して17円だから、当たっても赤字だ。観客は苦笑いであろう。しかし、やはりめでたい。それを祝しての「馬券の日」である。むろん現代の競馬において、全員的中が再現される可能性は限りなくゼロに近い。

Horse 

ちなみに、11月3日は気象上の特異日で、昔から晴天の日が多いそうだ。今日の東京も日中は素晴らしい青空が広がった。JBCが行われた川崎も同様であろう。明治はもとより、昭和も今では遠くはなったが、菊の香薫る晴ればれとした季節であることに変わりはない。

 

***** 2016/11/03 *****

 

 

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2016年11月 2日 (水)

レース選択の謎

アルゼンチン共和国杯の登録を見て驚いたという方は多いのではあるまいか。そう、ダービー馬・ワンアンドオンリーの登録である。ブログのタイトルにその写真を使っている身としても、「まさか」の思いを禁じ得ない。

Oneandonly 

アルゼンチン共和国杯は今年で54回を迎える歴史と伝統の重賞レース。過去の優勝馬にはスピードシンボリやメジロアサマと言ったレジェンドの名も並ぶ。ゆえにクラシックホースの出走自体も珍しいことではない。実際、菊花賞馬・ミナガワマンナが連覇を果たしている。だが、そこはあくまでハンデ戦。世代の頂点を極めたダービー馬の出走馬となると、少なくとも私の記憶にはない。

しかも今週の重賞には、他にも気になる登録馬がいるのである。まずは土曜の京王杯2歳Sに登録してきたレーヌミノル。その名前から牡馬かと思えばそうではない。立派な牝馬。しかも関西馬である。そこが分からない。芝1400mの重賞なら同じ日にファンタジーSがあるではないか。なぜわざわざ輸送をしてまで牡馬相手の一戦を選んだのか。来春のNHK杯を意識してのことかもしれないし、敢えて厳しいレースを経験させたいのかもしれないし、ただ単にGⅡの方が賞金が高いからかもしれない。いずれにせよ、京王杯2歳Sに関西所属の牝馬が出走すれば、2003年のダンツアイリッシュ以来13年ぶりのこととなる。

気になるもう一頭は逆のパターン。ファンタジーSに登録したブラックオニキスは関東所属の小柄な牝馬。クローバー賞を勝ち、札幌2歳Sでも2着と好走した。それならマイルのアルテミスSあたりを使うのかと思っていたら、わざわざ関西に遠征して1400m戦を使うという。

関東所属の牝馬がファンタジーSを使うケースは少ない。なぜか。ファンタジーSを使う馬の大半は阪神JFを目標に据えているのだから、短期間の間に2度の長距離輸送を強いられる。そもそもアルテミスSが創設されたのは、そんな経緯もあってのこと。410キロにも満たない馬体のブラックオニキスには酷なシチュエーションに思えなくもない。あるいは、そのまま栗東に入って阪神JFに備えるのだろうか。それなら分かるが。

馬の調子、相手関係、コース、賞金、騎手の都合に馬主の都合……等々。競馬におけるレース選択は、私よりも競馬に詳しいプロたちが様々な要素を考慮した上で決定する。もちろん外野がとやかく言う問題ではない。だが、それを探ることはファンの楽しみのひとつ。それが馬券に繋がることもある。

だから改めて調べてみた。アルゼンチン共和国杯にダービー馬が出走ことは過去に1度だけある。記念すべき第1回目のことで、出走したダービー馬はフエアーウイン。ハンデ57キロで結果は3着だった。これだけ書くと好走のようにも聞こえるが、2着馬からは6馬身離されていた上、4着との差は1馬身半。ちなみに、このレースは4頭立て(6頭立てのところ2頭が取消)だったから、あやうくしんがり負けを喫するところだった。

54年を経た今年、果たしてワンアンドオンリーはどういう競馬をするだろうか。まがりなりにもダービー馬である。天皇賞を捨て、敢えてここを選んだ理由も、必ずあるはず。出てくる以上は能力全開を期待したい。

 

***** 2016/11/02 *****

 

 

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2016年11月 1日 (火)

続・好き嫌い

5月20日付「好き嫌い」の続きになる。まだ読んでいないという方は、ぜひとも合わせて読んでいただけると有難い。

なぜ突然続編を書くことになったのか。

実は、仕事場の机を整理していたら、古いメモ帳がたくさん出てきた。その中に個々の馬の好き嫌いを取材したメモが残されていたのである。パラパラとめくってみると、なかなか楽しい。なにせ最初の1頭はエルプス。懐かしいですねぇ。読み返していたら、あっと言う間に時間が過ぎてしまった。それにしても昔からこんなことばかり聞いて回っていたのだなぁと、今更ながら反省する。もう少し馬券に役に立つことを聞けなかったのか。私の馬券下手はこの頃から始まっていた。

馬は根菜類が好きなようだと前回書いたが、メモによればエルプスはゴボウが大好物とある。なかなか大人の嗜好だけど、いったいどういう経緯でゴボウを食べさせることになったのだろうか。そこが気になるが、残念ながらメモには書いてない。ダメだなぁ。我ながらツメが甘い。エルプスを見倣え。

逆に子供っぽいところではホワイトストーンのバナナ。輪切りにして飼い葉に混ぜると、最初にバナナばかりを選んで食べてしまうほど好きだったらしい。彼は好きなモノは後の楽しみに取っておいたりせず、真っ先に食べるタイプなのであろう。そういえば、サイレンススズカもバナナ好きだった。宝塚記念を勝ったご褒美に、皮を剥いたバナナをまるまる1本与えられて、美味しそうに頬張る姿を厩舎で見た覚えがある。バナナは栄養価も高く人間のアスリートも好んで摂取するくらいだから、子供っぽいと言いつつ実は理にかなった食材なのかもしれない。

Suzuka 

変わったところでは、ミホノブルボンの「海藻」というのがある。ワカメだろうか、コンブだろうか。そこが聞けてないのもダメ。私もまだ若かった。あと、特に馬の名前の記載はないが、ドジョウの稚魚を食べさせる厩舎もあったようだ。滋養強壮に効果があったのかもしれないが、馬の内臓でドジョウを消化できるのだろうか。ちょっと心配にもなる。

むかし小倉競馬で出走予定の馬に生玉子10個を食べさせるという事件が起きた。その馬はひどい下痢を発症して出走取消。「スタミナを付けさせてやりたかった」という厩務員に、悪意はなかったのかもしれないが、馬にしてみればたまったものではあるまい。ここ一番という時にスタミナドリンクに生玉子を何個も入れてひと息で飲むのが流行っていた当時のこと。だが、それはあくまでも人間の話だ。バナナとはわけが違う。

アドラーブルやスズカコバンはキャベツを好んだ。名馬にキャベツ好きは多い。たしかコスモバルクもニンジンよりはキャベツ派だったはず。メモ帳には「胃にやさしい」と書いてあるが、いったいこれは何であろうか。本当にいい加減な取材だな(笑)

今となっては思い出すこともできないから、ここから先は想像でしかないが、当時は馬の胃潰瘍が問題視されていた時期でもある。キャベツに胃炎を抑える効果があることが話題になったのかもしれない。だが、やはりそれもあくまで人間の胃の話。馬に「キャベジン」を飲ませるようなものであろう。

 

***** 2016/11/01 *****

 

 

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