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2016年10月 7日 (金)

夏か、秋か

おととい終了したオータムセールの3日間の売上総額は15億2870万円(税抜/前年比1億6120万円増)、売却率71.8%(同5.9%増)。いずれも過去最高の数字を記録した。詳しくは私があれこれ書くより、「netkeiba.com」内のコラム「生産地便り(10/6付・オータムセール終了)」の中で、田中哲実氏が現場ならではの視点から詳述されているから、そちらを参照されたい。ともあれたくさんの売れたのは良かった。

巷が好景気に沸いているわけではない。ではなぜ売れたのか?

2011年から、サマーセールには上場されない「新規申込馬」をオータムセールの前半日程に固定し、サマーセールで売れなかった「再申込馬」を後半に回した。この日程改革が功を奏したのであろう。オータム前半日程のセリ名簿が早い段階で確定することで、購買関係者も早目に動き出すことができるようになったのである。

おかげで新しい馬主やJRA調教師らの来場数も増加。これまでなら落札しても一声が多かったのが、期せずして活発な競り合いが展開されるシーンも目につくようになった。それが落札額を押し上げ、その金額がさらに注目されてまた人が集まる。今回のオータームセールには、昨年を10%も上回る735人の購買者登録があった。そりゃあ駐車場も満車になるわけだ。

落札額の上昇は、予定頭数を買い揃えられぬバイヤーも生み出す。今回も「思うように買えないよ~」という嘆き節があちこちから聞こえた。「300万の予算で目を付けた馬が500万に競り上がってなって手を引いた」。「売れ残りを狙ってるのにぜんぜん残らない」等々。そういう人たちが、最終日まで残ってサマーセールからの転戦組を買ってくれる。この好循環が今のオータムセールの活況を支えている。

Sale 

思い返せば2005年の売上総額は5億3773万円。売却率も26.8%に留まっていた。4頭に1頭しか売れないのである。「売れ残り馬一掃セール」と揶揄されたあの当時から10年余り。オータムセールの様相は大きく変わった。

その変容ぶりについて行けてなかったのは、実は私だったりする。実は、サマーセールで主取に終わった生産馬を今回のオータムセールへ上場するにあたり、「この馬は最初からオータム狙いの方が良かったのでは?」という指摘を3人からいただいていたのである。それが、生産者、スタリオン関係者、育成業者というそれぞれのプロフェッショナルであるから、余計にその言葉が胸に刺さった。

売れるものなら早く売りたい。サマーセールからオータムセールまでの経費だってバカにならない。オータムセールなんかに出されたら買い叩かれるに決まっている―――。

そういう考えは捨てるべきなのである。1歳馬の成長速度は思いのほか速い。サマーからオータムまでの1か月半の間に馬は大きく変わる。もっとも良い状態の馬をバイヤーに見てもらう―――それも生産者の務めのひとつ。そこに思いの至らぬ私は、まだまだ勉強不足であろう。オータムセールは売れ残り馬のバーゲンセールなどではない。期せずして生産に対する思いを新たにした。

さらに嬉しい出来事がひとつ。セール会場で田中哲実氏に久しぶりにお会いできたことを書き添えておかねばなるまい。例によってキャップを前後逆にかぶり、望遠レンズを装着した一眼レフを抱えながら、忙しそうに撮影に走り回られている姿を見て、「ああ、私ももうちょっと頑張らなければなぁ」と、ここでも思いを新たにした次第。私は日高に行くたびに別の人間になって帰って来る。日高自体が私にとって良い薬のような場所なのであろう。

 

***** 2016/10/07 *****

 

 

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