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2016年10月17日 (月)

見えにくい節目

先月18日の阪神4R。勝ったメイショウヤクシマの手綱を取った武豊騎手にとって、これが通算4000勝目の節目の勝利となった。

セレモニーでは「デビュー時からというより、父の代からお世話になっているオーナーの馬なので、父も喜んでいると思う」とコメント。直前に亡くなった父の邦彦氏を引合いに出すあたりが、いかにも武豊騎手らしい。しかし、私が「おや?」と思ったのは、その直後の言葉である。

「次はJRAの4000勝もしたい」

JRA4000勝?

それを、たったいま達成したんじゃないの? そのセレモニーじゃないのか?

ひょっとしたら「5000勝」と言うべきところを間違えたのかもしれぬ。だが、武豊騎手に限って、そんなしょうもない間違いをするはずがない。

そんな具合にひとり混乱していたら翌日の新聞紙面が答えを教えてくれた。JRA主催競馬場での通算勝利数にJRA所属馬の手綱を取って参戦した地方や海外の勝利数を加えた数字が「4000」だというのである。なーんだ。

つまり、JRAが主催する競馬の勝利数は4000に達していない。あの4Rを終えた時点で3835勝である。それにJRA所属馬で臨んだ地方での154勝と海外の11勝を加えると「4000」だというわけ。

ところが、JRA所属でない馬で掴み取った地方での29勝と海外の102勝はここでは加算されない。シーキングザパールで勝ったモーリス・ド・ゲスト賞はカウントするけど、スキーパラダイスで勝ったムーラン・ド・ロンシャン賞はカウントしない。一般のファンには分かりにくい話であり、コアなファンには理解しがたい話であろう。こんな意味不明なことをやっているのは、世界でも日本だけではあるまいか。

Kizuna 

主催者ごとに馬のレベルが大きく異なる地方や外国の競馬の、競走馬の勝利数記録を同じ土俵で論じることに慎重であるべきことは分かる。だが、どのようなレベルの競走であれ、勝利を目指して馬を操るという騎手の評価において、JRAと地方・海外との間にさほどの差異があるとも思えない。いやむしろ、JRAを上回るレベルの争いが展開されている競馬場もあるではないか。だからこそ、武豊騎手は鞭一本で世界中の競馬場を飛び回っているのである。

Uchida2 

先々週土曜、内田博幸騎手が通算1000勝を達成した。これはJRA競馬場だけの数字のはず。しかし、彼は地方所属時代にJRA所属馬に乗っていくつもレースを勝っている。先日の武豊騎手と同じ計算法なら、もっと早く「1000勝」を達成していたことにならないか。「1000」とか「4000」という節目の数字は誰もが分かりやすい。だからそれを祝うのである。それを様々な条件で分かりにくくするくらいなら、無理して祝う必要もない。

武豊騎手のセレモニーで掲げられていたプラカードには、「祝 武豊騎手 JRA・地方・海外通算 4000勝達成」と書かれていた。だが、これはウソである。JRAと地方と海外の勝利数を単純に合算すれば、あの時点で4133勝を彼は挙げていた。「JRA式計算やね」と武豊騎手は苦笑いしたそうだが、こういうおかしな問題が沸き起こるのも、世界を股にかけて活躍する第一人者ゆえであろう。

 

***** 2016/10/17 *****

 

 

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