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2016年10月 8日 (土)

敗因

凱旋門賞から1週間が経つ。あの日、私はフジテレビのTV中継を見ていた。

発走直前、「1969年 スピードシンボリ 着外」というテロップが流れる。初めての挑戦から47年。するとなぜか「強いから勝つのではない。勝った馬が強いのだ」というナレーションが入って、スタート地点の映像に切り替わった。間もなく凱旋門賞のゲート入りが始まる。

Arc 

先日のオータムセールでも凱旋門賞が話題となった。勝つのは難しいと思ってたという意見が大半。その一方で、「14着は負け過ぎ」という声も少なからずあった。「何かあったのか?」と私に聞いてくる人までいる。

残念ながら私はマカヒキの敗因を知らない。知る人などいないのではないか。騎手も、オーナーも、調教師ですら首をかしげた。ニエル賞からの中2週のローテを敗因に求める声もある。だが、それなら勝った馬も同じ。ディープインパクトが負けた時は、前哨戦を使わなかったことが敗因だと叩かれた。

札幌の寿司屋の主人は「競馬にもチームプレーがあるんですね」と言う。1着~3着はチーム「バリードイル」が独占。たしかに今回のレースは彼らが思い描いた通りに進んだのであろう。他の客が「日本もチームで遠征しなきゃ勝てないよ」と言うので、私が「それならフルゲートの18頭で遠征すれば絶対勝てる」と返したら店中大笑いである。あながち冗談で言ったつもりもないのだけれど。

静内に戻る車でラジオを聞いていたら、たまたま凱旋門賞の話になった。マイクの向こうの専門家は「シャンティイの馬場は日本馬に合わなかった」と指摘している。「時計の速いシャンティイでなら日本馬に有利」とか「シャンティイでの代替開催は千載一遇のチャンス」などと、メディアはこぞってシャンティイの馬場を歓迎していたはずなのに、いざ終わってみればこのざまか。「時計が速い=日本馬に有利」という図式は必ずしも当て嵌まるものではない。

「もう凱旋門賞への遠征はやめたらどうか」

ついには、そんな声まで聞こえてきた。

しかし、日本馬の資質の向上を欧州に知らしめるためにも、凱旋門賞への挑戦はぜひ続けて欲しい。簡単なミッションではない上に、実は凱旋門賞が「世界最高峰」のレースではないことも承知の上で敢えて言う。47年間も続けてきたチャレンジを途中で諦めては、日本人の名がすたるではないか。これは矜持の問題でもある。

その47年前に日本人として初めて凱旋門賞に挑んだ野平祐二氏から、何度もこう聞かされていたことを思い出す。

―――
日本では勝つためにどうしたら良いかということばかり考えていたのに、向こうの競馬では「強い馬が勝つ」んです。私はミルリーフと対戦したことがありますが(※下注)、強い馬はどう乗っても強い。それを嫌というほど思い知らされました。本来、競馬は「強いから勝つ」と言わしめるものでなければならないのです。理屈ではなく実質的な強さ。有無を言わせぬ圧倒的な強さ。それを見せつける競馬をしなければ、勝ったことにはなりませんよ。
―――

馬券発売があったのだから、マカヒキの敗因を求める議論が盛り上がるのは当然だと思う。でも、一歩下がって日本代表としてのマカヒキを思ったとき、細かな敗因に固執するのは良くない。オルフェーヴルは中2週で2年続けて結果を出したのだし、エルコンドルパサーは相手の作戦などお構いなしに逃げた。シャンティイの馬場にしても、エイシンヒカリがイスパーン賞をぶっちぎったばかりではないか。本当に強い馬は、ローテーションも、展開も、馬場の違いも無関係に強いのである。

Longchamp 

だから「現地の馬場に合いそうな馬を選んで連れていく」という意見には反対だ。誰もが認める日本のチャンピオンが行くからこそ意味がある。普段の競馬であれば、フジテレビが言うように「勝った馬が強い」でも構わない。だが、凱旋門賞は事情が異なる。たまたま行ったら勝っちゃった、では意味がない。強いから勝つ―――。そんな日本の馬の姿を、いつか彼らに見せつけてやりたい。

(注:1972年のガネー賞でロンバートに騎乗し11着。ミルリーフが10馬身差で優勝)

 

***** 2016/10/08 *****

 

 

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コメント

良くも悪くもディープ産駒ですからねぇcoldsweats01

投稿: 店主 | 2016年10月13日 (木) 11時47分

個人的見解は、距離なんじゃないかと思います。

スローの瞬発力なら良いが、スタミナ比べとなると‥
有馬、春天に出走するなら無印で良いかと。

投稿: tsuyoshi | 2016年10月12日 (水) 06時15分

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