« 我慢の結実 | トップページ | ホシホマレのオークス »

2016年9月 2日 (金)

秋の札幌

札幌2歳ステークスの撮影のため、毎年秋になると札幌に足を運んでいた時期がある。秋の札幌開催が行われていた当時、札幌2歳Sは9月末か10月初めの実施だった。メインたる中山、阪神に加え、日本馬の凱旋門賞遠征が重なれば、カメラマン不足は避けられない。そこでヒマそうな私に声が掛かったのであろう。

Admire 

秋の札幌はパラダイスである。

観光客は減り、飛行機代は割安となり、しかも食べ物は日を追うごとに美味くなる。寒さに震えるにはまだ早く、残暑の東京から一気に秋のど真ん中に飛び込む爽快さは、この季節限定のちょっとした贅沢でもあった。

ところが今ではそんな声がかかることもないし、そもそも秋の札幌開催自体がない。秋の札幌を満喫する機会は完全に失われてしまった。東京の残暑に焼かれつつ京橋から銀座に向かって路地裏をトボトボ歩いていると、目に飛び込んできたのはド派手な黄色い看板。2階のガラス窓には『スープカリー専門店・札幌DOMINICA』とある。

Dominica1 

札幌に行けないのなら、せめて腹一杯になるまで鮨でも食ってやりたい。だが、一向に出走の気配すら見せない愛馬の飼い葉代もままならない経済事情ではそれも無理。それでも、スープカレーくらい食べてもバチは当たらないんじゃないか―――。

そんな控え目な思いが功を奏してか、スープカレーそのものは望外の旨さであった。どっしりとした豚骨ベースのスープと様々なスパイスが見事に調和したカレーに、ゴロゴロと投入された素材の味が溶け込んで、何とも言えぬまろやかなコクを生み出している。一気に私の心は秋の札幌に飛んだ。

Dominica2 

聞けば、札幌の有名店『ドミニカ』からの暖簾分け店だそうである。私の心はサトウカエデが色づく大通公園を歩き、市電の軌道をまたいで、東急ハンズ札幌店の裏手にある同店にまでついに辿り着いた。大きな木彫り象が迎える独特の店構えであったと記憶する。

スープカレーが北海道で人気となった理由については諸説あるが、スープカレーの魅力の一つである丸ごと入っているジャガイモ、タマネギ、ニンジンは、北海道の代表的な農産物であり、それら新鮮な食材を美味しく食べようとした当然の帰結であるとする説が有力である。さらに、札幌には元々普通のカレー店が少なく、スープカレーをきっかけにカレー店が急増したとも言われる。

Namura 

満腹になって店を出た。WINS銀座は目と鼻の先である。ここで札幌2歳Sの馬券を買うことができれば、「疑似札幌遠征」と呼べるのかもしれないが、残念ながら1日早い。しかし、仮に馬券を買うことができたとしても、それでは私の知る「秋の札幌」の神髄にはまるで届かないんだろうな。名物食って馬券を買うだけでは飽きたらぬ何かに触れるために出かける。それこそが旅打ちなのであろう。

 

***** 2016/09/02 *****

 

 

|

« 我慢の結実 | トップページ | ホシホマレのオークス »

グルメ・クッキング」カテゴリの記事

競馬」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 我慢の結実 | トップページ | ホシホマレのオークス »