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2016年9月28日 (水)

兄の意地

先週土曜の中山芝1600mで行われた新馬戦を勝ったのは、丸田恭介騎乗のライジングリーズンだった。

5r 

ライジングリーズンの父は2004年のスプリングSを勝ち、皐月賞でも2番人気に推されたブラックタイド。今ではキタサンブラックの父と言った方が通りが良いだろうか。いずれにせよ「ディープインパクトの全兄」などという説明は、もはや必要あるまい。

そもそも、繁殖牝馬ウインドインハーヘアの名前を我が国に知らしめたのは、このブラックタイドだったのである。デビューから武豊騎手が手綱を取り、きさらぎ賞まで4戦連続1番人気。むしろ、ディープインパクトの方が「ブラックタイドの弟」と呼ばれていた。それは武豊騎手にしても同じ。だが、ほどなくしてブラックタイドは「ディープインパクトの兄」と呼ばれるようになる。弟が4歳で引退したあとも、兄は「ディープの兄」の看板を背負いながら7歳になるまで走り続けた。

Black1 

種牡馬入りはディープインパクトより2年遅い。しかも、重賞実績はGⅡ勝ちがひとつだけ。正直、「ディープインパクトの全兄」という看板に頼った種牡馬入りだったことは否定できない。だが、弟とは対照的な500キロ前後の雄大な馬体は、生産者の目を引くにじゅうぶんだった。50万円という種付け料も弟に比べれば魅力だったに違いない。それで初年度は150頭の配合相手が集まった。この年の新種牡馬としてはチチカステナンゴの151頭に次ぐ数字。その世代が3年後にデビューすると、チチカステナンゴらを抑えて、新種牡馬ランキングトップの栄冠を勝ち取る。

これまでJRA重賞は7勝。ディープインパクトの産駒がいまだに勝てていない菊花賞と春の天皇賞を、いとも簡単に勝ってしまったあたりが、ブラックタイド産駒の真骨頂であろう。切れ味では弟に劣っても、パワーとスタミナの勝負なら負けない。札幌2歳Sのブラックオニキスのレースぶりなどは、まさにその典型ではなかったか。稍重の中山をしぶとく伸びてきたライジングリーズンにも、その一端が垣間見えたような気がする。

Black2 

今年のブリーダーズスタリオンステーションの種牡馬展示会では、ゼンノロブロイやシンボリクリスエスといった実績馬を差し置いて、ブラックタイドが大トリの大役を務めた。7年前、50万円からスタートした種付け料は、今年ついに300万円に到達。それでも弟の10分の1でしかないが、競馬に行ってしまえば関係ない。男兄弟の長兄たる私としては、兄の意地に期待したいところである。

 

***** 2016/09/28 *****

 

 

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