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2016年9月29日 (木)

68秒後の頂点へ

最近10年のスプリンターズSを性別で振り返ると、牡馬4勝に牝馬4勝、そしてセン馬が2勝。牝馬の健闘が目立つ。グレード制が導入される以前のスプリンターズSでも、牝馬が9勝8敗と牡馬を抑えていた。

1979年などは上位6着までを牝馬が独占している。この年のスプリンターズSを勝ったのはサニーフラワー。その勝ち時計は1分12秒8とかかった。この年のスプリンターズSがダート変更になったわけではない。当時の芝コースは、ひとたび雨が降ればたちまち泥田と化した。だから、状況によってはダートの方が時計が出ることもある。1977~78年のスプリンターズS連覇の快速牝馬メイワキミコは、芝とダートのそれぞれで1200mのレコードをマークしたが、芝が1分9秒3(新潟)に対し、ダートは1分9秒2(中山)である。当時、芝とダートの時計関係はこんなもんだった。

中山の1200mで1分8秒の壁が初めて破られたのは、1990年のスプリンターズS。バンブーメモリーが1分7秒8で優勝し、それまでのレコードをコンマ3秒縮めてみせた。実はスプリンターズSはこの年からGⅠ昇格したばかり。そういう意味では、レースの格がタイムに現れやすい条件ともいえる。翌年はダイイチルビーが1分7秒6で優勝。以後、スプリンターズSでは1分7秒台の決着が珍しくなくなる。そしてついに4年前にはロードカナロアが1分6秒台での優勝を果たしたした。

Sakura 

スプリンターズSで1分5秒台が叩き出され日も近いのではないか―――。

そう思ったのもつかの間、にわかに状況が変わってきた。中山の芝で時計が出なくなったのである。たとえば昨年の京成杯AHの勝ちタイムは、良馬場なのに1分33秒3だった。例年なら1分32秒台や31秒台は当たり前。2012年には1分30秒7の日本レコードも飛び出していたはず。なのに、もはやあの高速馬場の面影はない。昨年のスプリンターズSの勝ち時計も1分8秒1である。

馬場変貌の理由のひとつに「エアレーション効果」を挙げる声は少なくない。地面に穴を開けて空気を送り込み、地盤を柔らかくする作業のこと。おかげで、多少の雨で馬場が極端に悪化することはなくなった。先週などは中間に210ミリもの降雨があったにも関わらず、週末の競馬では土が飛んだり、芝が剥がれるというシーンが見られなかったのである。サニーフラワーの当時を知る者とすれば、隔世の感を禁じ得ない。

一方で、今の中山開催で行われた芝1200m戦6鞍の平均タイムは1分9秒5。最速でも、先週土曜のセプテンバーSの1分8秒7にとどまる。極端に悪くはならないが、時計も出にくい―――。そんな中山で行われるスプリンターズSは、実は曲がり角を迎えつつあるのかもしれない。

とはいえ、6ハロン戦自体が戦後なってから行われるようになった比較的新しい距離。1946年のレコードタイムはヤスヒサの1分15秒4/5(当時は1/5秒単位の計時)だった。70年間を経て9秒以上も縮まっているが、歴史的に見れば未だ変遷の最中であってもおかしくない。今年も8秒台の決着か。それとも3年ぶりに7秒台が出るのか。あるいは4年ぶりの6秒台か。勝ち馬はもちろん、勝ち時計にも注目だ。

 

***** 2016/09/29 *****

 

 

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