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2016年8月29日 (月)

台風競馬

台風10号の上陸が避けられない情勢である。

先週末の予報では関東直撃と見られており、明日から始まる大井開催を心配していたのもつかの間、どうやら当初の予想より東寄りのコースを進むらしい。となると今度は明日の門別開催が心配になってくる。

門別競馬は8月17日にも台風7号の影響で中止を余儀なくされたばかり。明日の門別10レースに出走予定のアルポケット、ストーミーダンディ、ビービーロンギングの3頭は、前走をその台風で流されていた。前々走でも濃霧中止の憂き目を見たビービーロンギングに至っては、3戦連続で出走レースを失う可能性さえある。こうなると体調の維持も簡単ではあるまい。走ってナンボの競走馬。台風が馬の一生を左右することもある。

かつて、我が国史上最悪の被害をもたらすことになる伊勢湾台風が刻々と近づく中、京都競馬が開催されたという記録が残されている。現在のような精密な予報ができなかった時代の話とはいえ、激しい風雨をものともせず1923人の来場者を記録した。古来より競馬ファンは多少の風雪にはくじけない。

近年では1990年のサファイアS当日の中京競馬が、いわゆる「台風競馬」だった。死者・不明4名を出し、東海道新幹線をも全線でストップさせた台風20号が東海地方に上陸。だが、その強い雨と風のさなか、16569人の来場者を集めて中京競馬は開催されたのである。

ターフビジョンでは再三にわたってNHKの台風情報が流され、瞬間最大風速11メートルの猛烈な風が吹きつける競馬場で第8回サファイアS(GⅢ)は行われた。レースは逃げるイクノディクタスを3番手から追走したヌエボトウショウが直線で鮮やかに抜け出して完勝。ちなみに、翌年の朝日チャレンジカップも台風17号の通過直後に行われたが、このレースもヌエボトウショウが勝ち、「雨の鬼」ならぬ「台風の鬼」として名を馳せることになったとか、ならないとか。

ヌエボトウショウとは逆にJR武蔵野線は台風に滅法弱い。そのあおりで中山も東京も、ちょっとした台風で中止を余儀なくされる。ちなみに東京競馬が初めて中止となったのは1961年9月16日のことだった。1レースから4レースまで行ったところで、台風が近づいていることを理由に中止が決まったという。

中止直前に行われた新馬戦を勝ったのは翌62年のダービーを勝つことになるフェアーウイン。この日は名手・野平祐二の手綱で、芝1100mを1分7秒0のレコード勝ちだった。そう、台風が近づいているとか言いながら、中止直前まで馬場状態は「良」だったのである。その時点で東京に雨は降っていなかった。

Fairwin 

「たしかに風は強かったかもしれないけど、中止になるほどとは思いませんでしたね」とは生前の野平氏の言葉。だが、その台風こそ死者・不明202名という甚大な被害をもたらすことになる第2室戸台風だったのである。この日、東京4レースが行われたことはフェアーウインにとって幸運だったと言うべきであろう。もし中止の判断が早まっていたら、1962年のダービー馬は違っていたかもしれない。やはり、台風が馬の一生を左右することもあるのである。

 

***** 2016/08/29 *****

 

 

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