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2016年8月10日 (水)

もうしご

日曜の関屋記念には、昨年の覇者レッドアリオンが登場する。関屋記念の連覇は過去2頭。1996-97年のエイシンガイモンと、2001-02年のマグナーテン。特にマグナーテンは、関屋記念の前哨戦として行われていたオープン特別も連覇していたから、新潟芝は4戦4勝。まさに新潟のもう死語、もとい、申し子と言って良い。

この4勝すべての手綱を取ったのが名手・岡部幸雄騎手。中でも連覇を果たした02年の関屋記念のレースぶりが圧巻だった。新潟の1600mは向こう正面をスタートしてから3コーナーまでの距離が長く、スピードのある馬は引っ掛かることが多い。ハナを切ったミデオンビットの半マイルは46秒4。決して速いとは言えないこの流れを、2番手で追いかけているマグナーテンは、たしかに引っ掛かっているように見えた。だが岡部騎手は拳は低い位置に保ち、馬とケンカする寸前のところで我慢させていたという。

馬を我慢させるには、人も我慢を強いられる。見た目には引っ掛かっているようにも見えるこの姿勢を保つのも、実際はかなり苦しい。いずれにせよ後続の騎手たちは「マグナーテンは止まる」と思ったことだろう。

マグナーテンのデビューは3歳夏と遅かった。しかもそこから未勝利を6戦するも勝ち上がることができない。初勝利は去勢手術を経た4歳の6月。盛岡の中央交流レースである。2勝目も同じ盛岡。珍しいことに岡部騎手がわざわざ駆け付けて手綱を取った。未勝利の当時から、その高い素質に惚れ込んでいたのであろう。そんな人馬のコンビは、関屋記念で通算21戦目を迎えていた。岡部騎手はマグナーテンをすっかり手の内に入れていたに違いない。

ミデオンビットが先頭のまま馬群は直線を向いた。

徐々に後続馬が接近してくる。すると岡部騎手はハミを緩めながらマグナーテンを徐々に加速させた。マグナーテンが気を抜かぬよう、ミデオンビットに馬体を併せにいったのである。そして残り200mで一気に追い始めると、懸命に粘るミデオンビットをあっさりと競り落とした。1年前と寸分違わぬ時計で連覇達成。繊細にして大胆とは、まさにこのこと。わずか1分32秒足らずとはいえ、それはそれは濃密な時間だった。

Sekiya 

レッドアリオンと川須栄彦騎手とのコンビはこれまで16度を数える。昨年のこのレースでは、意表を突く逃げの手に出で栄冠を勝ち取った。今年はいったいどんなレースを見せてくれるのか……と楽しみにしていたら、なんと今回は乗り替わりだという。そう思ってよくよく見れば、関屋記念出走16頭のうち、12頭までが乗り替わりでないか。そういえば先週の小倉記念も12頭中8頭が乗り替わりだった。「お手馬」という言葉は、もう死語になってしまったのかもしれない。

 

***** 2016/08/10 *****

 

 

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