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2016年8月13日 (土)

本命乱立

せっかくの夏だというのに、ここ数日はぼんやりとオリンピック中継を見てばかり。新潟は遠い。札幌はなおさら。写真を撮ることをやめてしまったから、地元川崎競馬場にさえ行く機会もない。人生始まって以来の暇な夏を過ごしている。

そんな私の置かれた状況を察してくれたのだろうか。久しぶりに原稿依頼が飛び込んできた。競馬とはまったく無関係の仕事だけど。

締切はまだずっと先。だが、生来のせっかち気質のせいか、締切を抱えたまま何もせずに過ごすというのが性に合わない。さしたる理由のないまま手を着けるのが遅れたりすると、逆に着手のきっかけが掴めなくて依頼そのものを忘れてしまいかねないので、たとえ締切が1ヶ月先であっても、とりあえず書いてしまうことにしている。

書き終えて、プリントして、読み直して、手直しして、バックアップを取って(昔ならコンビニでコピーを取って)、あとは先方に送るだけ―――。という地点で、いったん作業を停止。

あまりに早く送って、相手に「手を抜いて書いたんじゃねぇか?」と思われたりしたら癪なので、ここはもったいぶって手元で温めておくことにする。この安心感は、若駒Sを見ただけでマカヒキをダービーの本命と決めてしまい、それを胸に温めたまま春の競馬を見続ける気分とちょっと似ているかもしれない。

ところが、数日後に昼飯用のスパゲティを茹でている最中に、突然啓示が降ってきたりする。こないだ書いた原稿とはまるで違う文章がパッと浮かび上がるのである。書き物をされる方なら同じような経験をお持ちであろう。書き出しから結末まで、一瞬にして全文章が思い浮かぶから不思議。なぜか字数もピッタリである。しかもテーマを考えるとこちらの方が相応しい。鍋の中で渦巻くスパゲティなどうち捨てて、慌ててパソコンに向かうことになる。

こうしてよもやの2作目が完成。タイミングとしては、冬場から決めていたダービーの本命を、皐月賞のレースぶりを見てディーマジェスティに変えてしまったようなものだろうか。蛯名にもダービーを勝たせたいし。

さらに、「さて、そろそろ原稿を送ろうか」と思いつつ湯船に浸かっているその時に、3作目の天恵を授かったりするから始末に負えない。とはいえ「名作は風呂場で生まれる」と聞いたことがあった。となれば、こんどこそ本命であろう。まるで、ダービーの追い切りを見て、「やっぱサトノダイヤモンドはモノが違うよなぁ」と、またまた本命を変えてしまう様にも似る。

さらにさらに、原稿を送る朝になって4作目を思いついたりしたら、もうこれは悲劇である。ダービーのパドックを見て、リオンディーズのデキには逆らえないぞと感じてしまえば、もはやその思いを無視はできまい。

こうして、目の前に4本の本命候補が並べられた。競馬ならBOX買いという手段もあるが、依頼原稿で「4点勝負」などという話は聞いたことがない。そう、私は生来のせっかち気質であるが、それ以上に優柔不断なところもあったのである。結果、依頼主への提出は締切ギリギリになってしまうのだから笑い話にもならない。

Derby 

締切前に苦悩するのも、また最初に書いた一本が一番良いデキであることが多いのも馬券検討に通ずる。とはいえ、依頼原稿や写真で「ハズレ」は許されるものではない。「あぁ、マカヒキのままにしておけば良かったぁ!」と派手に悔やむことができるのは、しょせん馬券であることの気楽さ故でもある。さあ、どうしようか。

 

***** 2016/08/13 *****

 

 

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コメント

ありがとうございます。
ヒマを持て余してるんでエントリにも力入れましたcoldsweats01

投稿: 店主 | 2016年8月14日 (日) 07時43分

このネタはすごい!
すごく素敵な文章でした。

投稿: tsuyoshi | 2016年8月14日 (日) 06時28分

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