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2016年8月11日 (木)

競馬実況にさも似たり

日本時間の10日に行われたリオ五輪水泳200mバタフライの決勝。最後のターンを終えて先頭は王者マイケル・フェルプス選手。それをタマシュ・ケンデレシ選手、チャド・レクロー選手、そして瀬戸大也選手が追い掛ける。実況アナウンサーは瀬戸の名前を連呼。さあ瀬戸、今大会2個目のメダルに届くか―――。

そう思った瞬間、私と一緒にTV中継を見ていた娘が「大外!」と叫んだ。画面手前。第7レーンを豪快に伸びてくる坂井聖人選手の勢いに、彼女はいち早く気付いたのである。

頻繁に競馬中継を観る人ならば、TV画面の端から伸びてくる伏兵の脚色を見逃すことはあるまい。とはいえ、これは水泳。プールには内も外もないが、それでも画面手前を伸びてくると、たしかに「大外!」と叫びたくなる。そういえば、アテネ五輪で銅メダルを獲得した森田智己選手が、第1レーンでのレースプランを問われて「最内枠を利して大逃げします」と冗談を飛ばしたこともあった。

Gate 

競馬以外のスポーツに競馬用語が飛び出すことは珍しくない。中でも水泳はその最たるものではないか。

実況アナが「逃げ切り」を叫ぶのは日常茶飯事。「いっぱいか」というフレーズも聞いたことがある。冒頭の坂井選手は直後のインタビューで「フェルプスが見えたので差そうと思ったんですが……」と、差し切れなかったことを悔やんだ。200m自由形で敗れた萩野公介選手の「先生の指示で前半脚をタメていった」というコメントなどは、敗戦を振り返る騎手のそれにしか聞こえない。「ラストを32秒台で上がってきた」と解説者が興奮気味に振り返ったのは、もちろん関屋記念などではなく、五輪記録をマークした渡辺一平選手の200m平泳ぎ準決勝だ。

もちろん、これらの言葉は決して誤用などではない。どれも正しいし、むしろ他の言葉を使うよりニュアンスが伝わるものもある。競馬用語が他競技にも溢れるのは、それが便利だからであろう。競馬ファンは胸を張って良い。

むかし、とある水泳解説者が「1身長」と言うべきところを、誤って「1馬身」と言ってしまったことがある。これはさすがに間違いだが、どことなく微笑ましくも感じやしないか。だが、ゴール目前で「そのまま!」と叫ぶ水泳実況には、残念ながらまだ巡り合ったことがない。

 

***** 2016/08/11 *****

 

 

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