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2016年7月15日 (金)

馬産地・青森

「1頭当たりの平均価格3831万円!」

「2日間の売り上げ総額、なんと149億4210万円!!」

いずれも過去最高を記録したセレクトセールの熱気もまだ醒めやらぬうちに、1頭当たりの平均価格251万円、売上総額6530万円のセリの話をするのは気が引けるのだが、7月5日に青森県八戸家畜市場にて東北唯一の競走馬セールである「八戸市場」が開催された。

青森の馬産の歴史は古い。そも、青森・岩手の両県にまたがって、一戸町、二戸市、三戸町、五戸町、六戸町、七戸町、八戸市、九戸村と連なる特徴的な地名は、かつてこの地で栄華を誇った奥州藤原氏が、馬産地を把握するために当時の行政単位であった「戸」で管理した名残りとされる。ここで生産された良質の馬が、藤原氏の繁栄に寄与したことは言うまでもない。その伝統は現代に受け継がれ、カネケヤキ、グリーングラス、カブトシローなどの名馬が続々と青森から誕生した。だが21世紀に入った現在、青森県の生産界に往時の活気は見られない。昨年、日本国内で生産されて血統登録されたサラブレッドは6582頭。そのうち青森県産馬はわずか76頭だった。

そんな折もおり、先日のジャパンダートダービーをキョウエイギアが優勝。抜群の手応えのまま直線に向くと、瞬く間に後続を4馬身も置き去りにしてみせたのである。

Jdd_2 

矢作調教師は嬉しい地元大井での凱旋勝利。戸崎騎手もかつての地元で2度目のJDD制覇。オーナーの田中氏はこの日がなんとお誕生日―――!

いや、そんなこと(と書いては失礼だが)よりも、ここでは勝ったキョウエイギアが青森産であることに注目して欲しい。青森産馬のGⅠ勝利はエスプリシーズの川崎記念以来12年ぶりの出来事。しかもキョウエイギアの母ローレルアンジュも青森産馬として2006年のエンプレス杯を勝っていることを思えば、青森の生産界にとっては快挙とも言える勝利なのである。

Tosaki 

5日に行われた八戸市場の売上額は、たしかにセレクトセールとは比べものにならないかもしれない。ただ、売却率は61.9%を記録。同市場のサラブレッドセールとしては過去最高の売却率をマークしたことは注目に値しよう。なにせエスプリシーズが川崎記念を勝った2004年の八戸市場の売却率は15.1%である。6頭に1頭も売れない状況に、市場の存続さえ危ぶまれたのも無理からぬ話だった。

あれから12年。今年は北海道新幹線も開業し、函館競馬場から新幹線を利用して八戸市場を訪れた関係者もいたという。セールの売却率アップとキョウエイギアのGⅠ優勝。青森の生産者にとって、これ以上勇気づけられることはあるまい。来年のセールのさらなる活況と、今後の青森産馬のますますの活躍を期待しよう。馬産地・青森の灯を消してはならない。

 

***** 2016/07/15 *****

 

 

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