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2016年7月23日 (土)

はもをはむ

京都の7月と言えば祇園祭。クライマックスの前祭山鉾巡行は終わってしまったが、明日は後祭山鉾巡行と花笠巡行が行われる。京都の夏はまだ終わらない。

祇園祭には行けないが、せめてハモだけは食べておかねばなるまい。別名「ハモ祭」とも呼ばれる祇園祭に、ハモは欠かせぬ食材である。

ハモは生命力が強く、水揚げから長時間鮮度を保つことができる。言い換えれば、暑い夏の時期に海のない京都まで運べる魚といえば、かつてはハモだけだった。京都で様々なハモ料理が考案されたのは、半ばやむを得ぬことだったのであろう。

Hamoume 

そんなハモを噛み締めていたら、知人からメールが届いた。南相馬の夏を彩る一大イベント「相馬野馬追」を観んがため現地入りしているという。羨ましいですね。福島第一原発事故の影響で南相馬市内のあちこちに出されていた避難指示は、12日に大半が解除されたばかり。その中には野馬追の重要地区である小高区も含まれる。昨年までの小高区の参加者は、出場準備のために一時帰宅(特例宿泊)の手続きを踏まねばならなかった。だが、今年はその必要がない。南相馬の復興はゆっくりとではあるが、着実に進んでいるようだとそのメールは伝えている。

野馬追は千年以上の歴史を誇る伝統行事だが、祇園祭の歴史も負けていない。その起源は西暦869年(貞観11年)、東日本の厄災を鎮め、平安を願って都で行われた御霊会(ごりょうえ)にあるとされる。この年、東日本で何が起きたのか。それは近年になって大きくクローズアップされた貞観地震にほかならない。津波により東日本の太平洋岸だけで千人以上の死者を出したとされる大災害だ。

貞観地震と同規模の津波が福島第一原発を襲う危険性を、研究者たちは東日本大震災の発生以前から指摘していた。だが、その声が原発の安全対策に生かされた形跡はない。自然と歴史に対する謙虚さが足りないと言われても仕方なかろう。

ハモは古くは「ハム」と呼ばれたそうだ。食物を噛んで食べることを古語では「はむ」と言い、鋭い歯で噛んでくるハモの特徴から「ハム」と名付けられたという。ちなみに馬具の「ハミ」の語源もこれと同じ。ともあれ、我々人間は自然を飼い慣らしているものと油断してはいまいか。そうすると、ある日突然自然に手を噛まれる。ごくまれに噛まれる程度で済まないことも。我々は肝に銘じなければなるまい。相馬の野馬追は25(月)まで。

 

***** 2016/07/23 *****

 

 

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