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2016年7月14日 (木)

もうひとりの女性騎手

昨日の話。大井競馬場はジャパンダートダービーの夜を迎えようとしていた。

なのに、目当てはその前だというお客さんも少なくなかったように思える。だって見てくださいよ、このパドックの人だかり。これメインレースではありませんよ。9レースはJRA交流のフォーチュネイトひまわり特別。そのパドックがエラいことになっていたのである。

Padock 

人だかりの理由は例によって藤田菜七子騎手。いやはや、彼女もいい加減たいへんな忙しさですね。平日はJRA開催が無いとはいえ、やることがないわけでもない。「若いうちは経験が大事」と言われれば否定のしようもないが、くれぐれも体調を崩したりせぬよう、そして悪い大人に利用されぬよう気を付けて欲しい。

菜七子騎手は続く10レースにも騎乗。すると、その10レースを見届けるや、なんと一部の客が帰り始めたではないか。いや、騎手に注目することが悪いとは言わない。しかし競馬で走るのはあくまでも馬。しかも今宵の舞台はGⅠである。最高峰の舞台に挑む3歳馬たちの戦いを見て欲しい。

実はこの最高峰の舞台に、もうひとりの女性ジョッキーが騎乗していたのをご存じだろうか。カツゲキキトキトの手綱を取る木之前葵騎手。日曜日に23歳になったばかりの彼女は、今年既に39勝を挙げている名古屋競馬のトップジョッキーのひとりだ。

Aoi1 

宮崎県の出身。競馬好きだったおばさんに連れられて、3歳の時から競馬場に足を運んでいたという。こういう逸話では「競馬好きのおじさん」がしばしば登場するけど、「おばさん」というのは珍しい。ともあれ、小学6年の時にJRAの宮崎育成牧場を見学したことがきっかけで、同牧場のスポーツ少年団に入団。騎手になることを志した。

だが中学卒業前に受験したJRA競馬学校は不合格。それでも「毎日馬に乗れる環境で馬を極めたい」と家族を説得して、千葉県内の東関東馬事高等学院に進むことを選んだ。開校間もない同校は女子用の設備もままならない状況で、女子生徒の入学に困惑した部分もあったらしいが、彼女自ら学校関係者を説き伏せて入学。しっかりと騎乗技術を磨き、ついに地方競馬教養センターへの入所を果たした。所属場に名古屋を選んだのは、女性騎手の国内最多勝記録626勝を挙げた宮下瞳さんが在籍していたからにほかならない。

デビューから3年余りで167勝(12日現在)をマーク。今年は初めての重賞制覇も果たした。昨年は、英・リングフィールド競馬場で行われた「レディース・ワールド・チャンピオンシップ」の招待選手に選ばれ、海外初騎乗を勝利で飾るという離れ業も演じている。そんな彼女が東海ダービー馬の手綱を取ってGⅠ・ジャパンダートダービーに参戦するのだから、もっともっと注目されても良いはず。菜七子騎手のレースを見届けて帰ったお客さんや、それに迎合しようと過熱するメディア関係者に強くそう訴えたい。

Aoi2 

「歓声が大きくて感動しました」という木之前葵騎手とカツゲキキトキトのJDDは6着に終わった。相手を考えれば健闘の部類だろうが、本人は「道中ロスがあった」と反省も忘れない。JDDに騎乗馬がいなかった菜七子騎手は、先輩ジョッキーのレースぶりをどう見ただろうか。期せずしてこの日、名古屋のレジェンド・宮下瞳騎手の現役復帰が正式に発表された。木之前騎手にしてみれば、これ以上の刺激材料はあるまい。女性騎手同士がGⅠの舞台でぶつかり合う日も、そう遠くはなさそうだ。

 

***** 2016/07/14 *****

 

 

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