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2016年7月21日 (木)

避けられぬ誤報

7月13日付「避けられぬ誤審」の続き。

主催者が間違いを犯すのだから、思い込みやうっかりミスに対するチェックが厳しいはずの報道機関とて例外ではいられない。かつてはこんな記事が堂々と紙面に掲載されていた。こちらは1991年7月1日付の某一般紙の切り抜きである。

Kiji 

いやあ、ツッコみどころ満載じゃないですか。なんとこの当時、アイルランドダービーは2000mだったんですねぇ。それで2分33秒かかってんだから、向こうの馬場はやっぱりタフなんだなぁ―――なんて、そんなワケない!(笑)

記事の書き方にしても「英国」、「仏」、「アイルランド」という具合に統一感がないし。

そもそも「ソーベダンサー」っていったい何者だ? フランスダービー馬だからってんで、SuaveDancerの「Suave」だけ無理やりフランス語読みしようと頑張ってみたんだろか?

国際的な通信社が、こんないい加減なニュースを配信していたのだから、当時の外国の競馬情報での間違いなど笑って済ませるのがいちばん。実際それで済んでいたのだから、ある意味では良い時代だったのかもしれない。

そんな時代を象徴する出来事が、ソーベダンサー事件と同じ1991年の夏に起きている。この年の8月初旬、リーディングトップをひた走る岡部幸雄騎手は、当時夏の恒例となっていたアメリカ遠征のためシカゴに旅立った。

すると8月7日、さっそくアーリントン競馬場の3レースの未勝利戦でバーアイルという馬に騎乗し、4馬身半差で圧勝したとの連絡がJRAに届く。JRAはさっそくそのニュースリリースをマスコミ各社に配信。翌日の新聞に「さすが岡部。早くも勝利!」などという題字が躍ったのである。

だがコレ、なんと誤報であった。岡部騎手は、そのレースに乗っていなかったのである。だから勝つことなどありえない。ただし、競馬場の公式成績表「デイリー・レーシング・フォーム」には、「1着」とはっきり明記されていたというから余計に謎は深まる。JRA担当者も首を捻るばかりだ。

このエピソードは、当時の情報伝達がいかに不安定なものだかったのかを象徴するエピソードとして、私はとても興味深く記憶している。海外の競馬というものは、あらゆる意味で今よりずっと遠い存在だった。

Okabe 

それにしても岡部騎手はさすがだ。レースに乗ってもいないのに「勝って」しまうなんて、並のジョッキーにできる芸当ではない。

 

***** 2016/07/21 *****

 

 

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