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2016年5月31日 (火)

【訃報】カネヒキリ

ダービーの熱狂に浮かれて忘れていたわけではない。先週金曜に届いた訃報。カネヒキリ事故死のことだ。

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その訃報とほぼ同時に自宅に届けられた社台グループの会報誌「サラブレッド」に、カネヒキリの記事が掲載されていたことは果たして偶然だろうか。社台ホースクリニックで治療を受けて、不治の病から蘇った馬の例として、ダイワメジャー(喘鳴症)、アーバニティ(重度の骨折)と共に紹介されている。

カネヒキリが紹介されていたのは言うまでもなく屈腱炎からの復活例。4歳夏に発症し美浦で手術を施されるも5歳秋に再発し、社台ホースクリニックで幹細胞移植手術(非培養脂肪由来幹細胞投与術)を受けた。臀部の組織から抽出した幹細胞を屈腱炎の患部に注入し、新しい腱を形成させるというもの。国内でも新しい治療法でサンプルも少なく、確実に回復する保証もない。それでも2年4か月の休養を経て6歳秋の武蔵野Sでレースに復帰。続くジャパンカップダートでは、なんとヴァーミリアンらを破って優勝してしまう。

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屈腱炎がサラブレッドにとって不治の病と言われている状況は、当時も今も変わりがない。

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症状が比較的軽度ならレーザーや冷却、温泉治療などでカムバックすることもできる。実際、ダンツシアトルやオフサイドトラップが屈腱炎を克服してGⅠレースを制覇した例もあった。しかし、幹細胞移植手術を施すほど重度な屈腱炎の場合、仮に治療で症状は治まったとしても、発症前と同等の競走能力を期待するのは難しい。だから、カネヒキリが2年4か月ものブランクを克服してJCダートを勝ち、さらに続く東京大賞典と川崎記念をも勝ってGⅠ3連勝を達成したことを、誰もが「奇跡」と呼んだのである。

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ただ、それでも気になることはある。最初の屈腱炎発症の時点で、既にカネヒキリはGⅠレースを4勝もしていた。手術をすれば長期休養は避けられない。それでもなぜ周囲は現役続行にこだわったのか。

勘の良い読者の方ならすぐに答えは見つかるであろう。ダートのタイトルは種牡馬として評価されにくいのである。

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「たしか角居先生自身がそう(評価されにくいと)言ってたんだっけな」

一昨日のダービーのパドック。リオンディーズに寄り添う角居調教師の姿を見てそんなことを思い出した。そう思ったら金子真人氏の勝負服を背負ったマカヒキが、なんだかカネヒキリに見えてくる。武豊騎手やルメール騎手の姿を見てもカネヒキリを連想してしまう。マカヒキやサトノダイヤモンドを目の前にしながら、私はカネヒキリのことばかり考えてきた。表彰式の後、金子オーナーは「カネヒキリのおかげかな」と呟いたとされるが、似たような気持ちを抱いていた人は、きっとたくさんいたことだろう。

 

***** 2016/05/31 *****

 

 

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コメント

すかどん様

ソルテの強さには目を見張りました。
来週の東京ダービーではカネヒキリ産駒トロヴァオに注目してます。

投稿: 店主 | 2016年6月 2日 (木) 17時27分

店主様
カネヒキリの突然の訃報は私も胸が痛みました。若輩の私としては彼の産駒を応援する時代からのスタートでしたが、武勇伝を聞く度に誇らしい気持ちになったものです。合掌
今日は南関の宝ソルテが勝ちましたね。とても嬉しいです。今宵は今時珍しい強制馬具を必要としない名馬ソルテに乾杯です。

投稿: すかどん | 2016年6月 1日 (水) 21時41分

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