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2016年5月 5日 (木)

【訃報】スマートボーイ

ブルーコンコルドとほぼ同じタイミングでスマートボーイの訃報が届いたことには驚いた。21歳。ダート戦線で長く活躍した名馬の死が相次ぐ。徹頭徹尾の逃げにこだわるダート1800mのスペシャリスト。似た馬を探せと言われても、すぐに浮かんでこない。そういう意味では数少ない個性派だった。馬の死は常に悲しいが、それが個性派となるとなお悲しい。

スマートボーイについて書こうとするとき、昨日書いたブルーコンコルドと似た点がひとつと、まったく逆の点がひとつ、それぞれ頭に思い浮かぶ。

似た点というのは、ベストパートナーの存在である。言うまでもなく伊藤直人騎手のこと。スマートボーイは通算62戦を走ったが、そのうち実に41回が伊藤直騎手の手綱による。特にオープン入りしてからは、ごく稀に乗り替わることはあっても、2戦続けて伊藤直騎手から手が離れるということはなかった。伊藤直騎手が手にした重賞6勝のうち5勝はスマートボーイによるものである。スマートボーイにとってのベストパートナーが伊藤直騎手と言うよりは、伊藤直騎手のベストパートナーがスマートボーイと言った方が正しいかもしれない。

Smart 

一方でブルーコンコルドとまったく逆―――と言うか、その置かれた立場の違いをあらためて考えさせられこと。それは、スマートボーイがGⅠ優勝どころかGⅡ勝ちすらない実績のまま、めでたく種牡馬入りできたことである。GⅠは3度挑戦して、7着、13着、16着という成績に留まる。もちろんGⅢ5勝という成績が足りないと言うつもりはない。ただ、この5勝はすべてJRAのレース。JRAのダート重賞5勝は、たしか史上初の出来事だった。

種牡馬になるには成績のみならず持って生まれた血統も重視されるが、スマートボーイの場合はオーナーブリーダーの生産馬であった点も見逃せまい。結果、地方とはいえトウホクビジンやナンテカ、ドラゴンウィスパーといった重賞ウイナーを輩出するだけにとどまらず、最近ではモダンウーマンの母の父としても存在感を保っている。スマートボーイは死んだが、その血はしばらく我々の前から消えることはない。

Ito 

スマートボーイは種牡馬として一定の実績を残してこの世を去った。ここで私が言えるのはその程度のことだ。「GⅠをいくつ勝てば……」という単純な視点では語り切れぬところが、一部のファンをやきもきさせるのであろう。その気持ちは痛いほど分かるが、生産は需要と供給の世界であることも忘れてはならない。安易な種牡馬入りは、不幸な馬を増やすだけに終わる危険性も孕む。その責任を誰が取るのか。その答えを今の私は持っていない。

 

***** 2016/05/05 *****

 

 

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