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2016年5月29日 (日)

偉業と悲願

「金子さんのダービー4頭出しなんて異常だよ」

このブログに何度も登場している釧路馬主が、東京競馬場のレストランでそう叫んだ。昼時で店内は混雑している。

「“偉業”、ですよね」

私は慌てて訂正した。隣のテーブルに関係者がいないとも限らない。なにせ今日はダービー、その当日である。

それでも思わず「異常」と言ってしまうその気持ちは分からないでもない。同一馬主のダービー4頭出しはフルゲートが18頭となった1992年以降3例目で、15年サンデーレーシングの5頭に続く頭数だという。だが、サンデーレーシングの場合、ダービー出走5頭の出資者が全く同じであるはずがない。それを「同一」と呼ぶのは無理がある。クラブ法人全盛のこのご時世。金子真人オーナーの偉業は俄かに信じがたい。

Padock

一方で今年のダービーは、蛯名正義騎手の悲願達成にも注目が集まっている。

「だがなぁ、持っている人は持っているけど、持ってない人は持ってないもんだぞ」

レストランでの会話は続く。調教師が完璧に仕上げて、騎手が完璧なレースをしても、それだけではダービーは勝てない。なぜか。ほかの17頭も同じように死力を尽くすからである。そこで「運」の出番となる。「ミスター競馬」とまで呼ばれた野平祐二は、騎手として25回ダービーに挑んだが、ついに志を得なかった。ダービーを勝つのはトップジョッキーとは限らない。

Menko

結果、「持っていた」のは金子オーナーと川田将雅騎手であった。冷静で知られる川田騎手の涙は、ダービーというレースのエッセンスを具現化したものであろう。見ていてすがすがしかった。金子オーナーは最多記録に並ぶダービー3勝目の偉業達成。やはり持っている人は違う。

Derby 

一方、3着に敗れた蛯名騎手は、取り囲んだ記者たちに淡々とレースを振り返っていたが、最後に「運がなかった」とひと言付け加えた。その言葉かすべてを表している。ともあれ彼の24回目の挑戦は終わった。来年はおそらく野平祐二に並ぶ。だが、そんな記録は更新しても意味がない。そのためにも来年でピリオドを打とう。来年のダービーに向けた戦いは、今週からもう始まる。

 

***** 2016/05/29 *****

 

 

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