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2016年5月31日 (火)

【訃報】カネヒキリ

ダービーの熱狂に浮かれて忘れていたわけではない。先週金曜に届いた訃報。カネヒキリ事故死のことだ。

Kane 

その訃報とほぼ同時に自宅に届けられた社台グループの会報誌「サラブレッド」に、カネヒキリの記事が掲載されていたことは果たして偶然だろうか。社台ホースクリニックで治療を受けて、不治の病から蘇った馬の例として、ダイワメジャー(喘鳴症)、アーバニティ(重度の骨折)と共に紹介されている。

カネヒキリが紹介されていたのは言うまでもなく屈腱炎からの復活例。4歳夏に発症し美浦で手術を施されるも5歳秋に再発し、社台ホースクリニックで幹細胞移植手術(非培養脂肪由来幹細胞投与術)を受けた。臀部の組織から抽出した幹細胞を屈腱炎の患部に注入し、新しい腱を形成させるというもの。国内でも新しい治療法でサンプルも少なく、確実に回復する保証もない。それでも2年4か月の休養を経て6歳秋の武蔵野Sでレースに復帰。続くジャパンカップダートでは、なんとヴァーミリアンらを破って優勝してしまう。

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屈腱炎がサラブレッドにとって不治の病と言われている状況は、当時も今も変わりがない。

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症状が比較的軽度ならレーザーや冷却、温泉治療などでカムバックすることもできる。実際、ダンツシアトルやオフサイドトラップが屈腱炎を克服してGⅠレースを制覇した例もあった。しかし、幹細胞移植手術を施すほど重度な屈腱炎の場合、仮に治療で症状は治まったとしても、発症前と同等の競走能力を期待するのは難しい。だから、カネヒキリが2年4か月ものブランクを克服してJCダートを勝ち、さらに続く東京大賞典と川崎記念をも勝ってGⅠ3連勝を達成したことを、誰もが「奇跡」と呼んだのである。

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ただ、それでも気になることはある。最初の屈腱炎発症の時点で、既にカネヒキリはGⅠレースを4勝もしていた。手術をすれば長期休養は避けられない。それでもなぜ周囲は現役続行にこだわったのか。

勘の良い読者の方ならすぐに答えは見つかるであろう。ダートのタイトルは種牡馬として評価されにくいのである。

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「たしか角居先生自身がそう(評価されにくいと)言ってたんだっけな」

一昨日のダービーのパドック。リオンディーズに寄り添う角居調教師の姿を見てそんなことを思い出した。そう思ったら金子真人氏の勝負服を背負ったマカヒキが、なんだかカネヒキリに見えてくる。武豊騎手やルメール騎手の姿を見てもカネヒキリを連想してしまう。マカヒキやサトノダイヤモンドを目の前にしながら、私はカネヒキリのことばかり考えてきた。表彰式の後、金子オーナーは「カネヒキリのおかげかな」と呟いたとされるが、似たような気持ちを抱いていた人は、きっとたくさんいたことだろう。

 

***** 2016/05/31 *****

 

 

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2016年5月30日 (月)

祭りのあと

ダービーの余韻もまだ覚めやらぬ中、朝から私が向かった先はこちら。

Urawa 

開催初日の浦和競馬場です。まあ、昨日の雰囲気とは雲泥の差だけど(失礼)、私はこちらの方が正直落ち着く。馬は近いし、馬主席が人で溢れかえるなんてこともない。山口瞳先生がおっしゃった「インチメイトな競馬」がここにはある。

1Rは2歳馬による1300m戦。すると目の前で競馬新聞を見ていたお兄さんが、驚いたような声を挙げた。

「前走で新馬を勝っている馬が混ざってます!」

つまり、その人はこのレースを「2歳未勝利戦」だと思っていたのであろう。おそらくJRAの競馬に馴染んだファンだと思われる。

「それがどうした?」

連れと思しきオジサンが一蹴した。こちらは地方競馬のベテランの風貌。10頭立てのこのレース、1番から9番までは全て未勝利馬である。大外にポツンと1勝馬が入ったもんだから、お兄さんは新聞の誤植か番組編成上の事故と勘違いしたのかもしれない。

JRAで新馬1着馬と6着馬が次のレースで再び同じレースを走ることはない。もしそんな番組があればあれば、私だって事故を疑う。でもここは浦和。地方には地方の流儀がある。「こんなことじゃ、同じ馬がずっと勝ち続けてしまうぞ」なんて指摘は百も承知。だから地方のファンは勝ち数だけで強さを推し測るようなことはしない。

たとえば2012年の東京ダービーで4着したダイヤモンドダンス。ダービーまで10戦未勝利だったにも関わらず、南関東のファンは彼を4番人気に推していた。未勝利でも強い馬はいるし、逆にたくさん勝っているのに能力的にはイマイチという馬も珍しくない。地方とJRAとでは勝利に関するルールも重みも違う。だから私はことあるごとに、競馬における勝利数に関する記録で地方とJRAを一緒に扱うなと訴えているのである。

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浦和の1レースに話を戻す。結果から言えば、唯一の1勝馬シェナトウコンは未勝利馬相手に勝つことができなかった。勝ったのはデビューから2戦続けて2着だったサヴァアルジャン。父がアメリカンボスだから道悪の巧拙が出たのかもしれない。初勝利おめでとうございます。

一方で馬券を買う立場としては、勝ち馬だけを見ていると後で痛い目に遭う。先週の川崎の新馬2鞍は、どちらも4頭立てだった。3頭に先着すれば勝ち。そんなレースでは、着順よりも馬体や走りっぷりに目を光らせたい。今週からJRAでも新馬が始まる。祭りは終わりだ。

 

***** 2016/05/30 *****

 

 

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ポテトフライ

浦和競馬場では様々なフライたちに魅了されます。 こちらはおおぶりに切ったじゃがいもにパン粉を付けて揚げただけの「ポテトフライ」。ひと串120円は安い。じゃがいも好きにはたまりません。

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買うとお店のおばちゃんに「ソースは?」と訊かれます。そのままで十分美味しいのだけれども、ソースのしみた衣も捨てがたい。それで、「半分だけ」とオーダーするのですが、ご覧のようにたいてい付け過ぎになりますcoldsweats01

 

***** 2016/05/30 *****

 

 

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十万石まんじゅう

開催初日の浦和に到着。

ゲートをくぐると、先着800名にサービスされるという十万石まんじゅうと配っていたのですが、なんと私の分でちょうど800個が品切れというミラクルがおきました。なんとなく私の後ろの方に申し訳ない気分です。

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私の目の前の人で品切れするならいつものことですが(笑)、こんなことはもちろん初めて。こりゃあ今日はツイてるのかもしれません。まんじゅうにあやかって、10万馬券狙って見ます。

 

***** 2016/05/30 *****

 

 

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2016年5月29日 (日)

偉業と悲願

「金子さんのダービー4頭出しなんて異常だよ」

このブログに何度も登場している釧路馬主が、東京競馬場のレストランでそう叫んだ。昼時で店内は混雑している。

「“偉業”、ですよね」

私は慌てて訂正した。隣のテーブルに関係者がいないとも限らない。なにせ今日はダービー、その当日である。

それでも思わず「異常」と言ってしまうその気持ちは分からないでもない。同一馬主のダービー4頭出しはフルゲートが18頭となった1992年以降3例目で、15年サンデーレーシングの5頭に続く頭数だという。だが、サンデーレーシングの場合、ダービー出走5頭の出資者が全く同じであるはずがない。それを「同一」と呼ぶのは無理がある。クラブ法人全盛のこのご時世。金子真人オーナーの偉業は俄かに信じがたい。

Padock

一方で今年のダービーは、蛯名正義騎手の悲願達成にも注目が集まっている。

「だがなぁ、持っている人は持っているけど、持ってない人は持ってないもんだぞ」

レストランでの会話は続く。調教師が完璧に仕上げて、騎手が完璧なレースをしても、それだけではダービーは勝てない。なぜか。ほかの17頭も同じように死力を尽くすからである。そこで「運」の出番となる。「ミスター競馬」とまで呼ばれた野平祐二は、騎手として25回ダービーに挑んだが、ついに志を得なかった。ダービーを勝つのはトップジョッキーとは限らない。

Menko

結果、「持っていた」のは金子オーナーと川田将雅騎手であった。冷静で知られる川田騎手の涙は、ダービーというレースのエッセンスを具現化したものであろう。見ていてすがすがしかった。金子オーナーは最多記録に並ぶダービー3勝目の偉業達成。やはり持っている人は違う。

Derby 

一方、3着に敗れた蛯名騎手は、取り囲んだ記者たちに淡々とレースを振り返っていたが、最後に「運がなかった」とひと言付け加えた。その言葉かすべてを表している。ともあれ彼の24回目の挑戦は終わった。来年はおそらく野平祐二に並ぶ。だが、そんな記録は更新しても意味がない。そのためにも来年でピリオドを打とう。来年のダービーに向けた戦いは、今週からもう始まる。

 

***** 2016/05/29 *****

 

 

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5月の空

青空の下、色とりどりの勝負服に身をまとった騎手たちがパドックに散ってゆきました。

Jockey 

これから8レースの青嵐賞。ダービーまであと2鞍です。

 

***** 2016/05/29 *****

 

 

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ダービーデー

今年のダービーデーは好天に恵まれて、まさにラブリーデーです。

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東京6レースは芝1400mの3歳500万条件戦。セイウンコウセイが三浦コウセイ騎手を背に逃げ切り、2勝目を挙げました。

ラブリーデーというからには、やはりダービーは金子オーナーの馬を狙った方が良いですかね。4頭もいるから迷うなぁ……。

 

***** 2016/05/29 *****

 

 

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2016年5月28日 (土)

大当たり

本日2本目のエントリは、東京2レースの一件が終わったあとの話。

目当ての馬が負けて凹みながらトボトボ場内を歩いていたら、こんなテントが目に留まった。なにやら抽選をやっているらしい。

Suntry 

そうだ、知人に貰った抽選券がある。たしか、明日のダービーの指定席が当たるんだった。

思い出して良かったとばかりに抽選機を回したら、なんと同じ模様が3つ並んでピタリと止まったではないか。係のお姉さんも「ああっ!おめでとうございま~す。当たりで~す!」と興奮気味。やった、やった。さては明日の指定席か。ダービーデーの指定席となればプラチナシートだ。いやぁ、悪いことがあれば良いこともあるんですね。人生は捨てたもんじゃない。

「はーい。こちら賞品になりま~す」

そういって渡されたのは、巨大な紙袋。

Kami 

紙袋?

「あ、あの……。これ何ですか?」

「ビールサーバーで~す。おめでとうございま~す」

指定席ではなかったけどビールサーバーも嬉しい。ただ、これ持って競馬場で一日過ごすというのは、なかなかしんどかったですよ、サントリーさん。苦労して自宅にかえって梱包を解いたらこんな感じでした。

Beer 

嬉しいのはこんな刻印がしてあること。

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これで飲むビールは美味いに違いない。明日はダービーの馬券を当てて、これで注いだビールで祝杯をあげよう。もちろんビールはプレミアムモルツ。明日も、いや明日こそ大当たりといきたい。

 

***** 2016/05/28 *****

 

 

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負けた相手は

今日は珍しく競馬場から一本アップしてみます。

東京2レース。私が強く応援していた馬は、ゴール寸前で差されて負けてしまった。騎手も外を見て「ああ、ダメか……」という表情をしている。

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人気だから勝てるほど競馬は甘くはない。それはじゅうじゅう承知している。それでも今日は無理してでも見に来なきゃならないレースだった。何を差し置いても見なければならないレースというものが、この世の中にはある。長く競馬を続けている方なら、お分かりいただけるだろう。だから、私なりに結構な犠牲を払って今日この東京競馬場にやってきたのである。いったいこの悔しさをどう晴らせばよいのか。こうなったら、勝った騎手に飛び蹴りのひとつでも食らわしてやらなければ気が済まない。

エレベーターを待つ時間も惜しく、階段を駆け降りて検量にたどり着くと、ちょうど1着馬が戻ってくるところだ。ここぞとばかりに助走をつけてキックをお見舞いしようとしたその瞬間、盛大な拍手が沸き起こった。

なんだ、なんだ? ダービーは明日だぞ?

うろたえる私の前に、ちょうど鞍を外した騎手がやってきた。

藤田菜七子騎手である。

目が合ったので、「あ……、おめでとうございます」と声を書けると、「ありがとうございます」と丁寧に会釈してくれた。良い子である。根本調教師のご指導の素晴らしさも伺える。

後検量を待つ間、みんなが「よかった」「良かったよね」と言い続けていた。思えばスタンドの歓声も、土曜の午前中の未勝利とは思えないほど大きかった気がする。スタンドの全員が菜七子騎手の馬券を買っていたのだろうか? 関係者の全員が菜七子騎手を応援していたのだろうか。菜七子騎手が勝ってガッカリしている私の方がおかしいのだろうか。

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「まあ、相手が菜七子騎手なら仕方ないか……」

なーんて言ってられる余裕などないですよ!

あぁ、悔しい~crying

でも、負けて悔しいのは正常ですよね。こっちは真剣勝負しているんですから。ただし、勝った騎手に飛び蹴りするのはまったく理屈に合わない。今になって私もようやく冷静さを取り戻したようだ。飛び蹴りを食らわす相手は、あまりに早く先頭に立ち、格好の目標になって案の定差されたあの騎手だ。

吉田豊はどこ行ったぁ?!

 

***** 2016/05/28 *****

 

 

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2016年5月27日 (金)

髪を切りに競馬場へ

例年、ダービーが行われる2、3日前に散髪に行くことを慣わしとしてきた。競馬の祭典に赴くにあたり身を清めるのは当然のこと。だが、切りたての髪ほどヤボなものもないので、「2、3日前」という微妙な調整期間を挟むようにしている。

幼少の当時から、私は近所の床屋さんに通っていた。夫婦二人で経営してて、店内にはAMのラジオが流れ、背後では漫画雑誌を読みながら近所の子供が順番を待っているような、そんないわゆる「町の床屋さん」である。だが、あの顔剃りとマッサージが、子供心にどうしても馴染めない。なので長じてからはいわゆるカットサロンのお世話になった。うつ伏せから仰向けへの変革である。ただ、長年通い続けた馴染みのカットサロンが15年ほど前に移転してしまってからは、千円のクイックカットで済ませることもしばしば。他人に髪を洗ってもらうあの感覚を忘れて久しい。

私が行くクイックカットの店は決まっている。ウィラ大井、川崎駅東口、南浦和駅構内、そして船橋ららぽーとの4か所。すなわち、競馬場に行ったついでに髪を切っているわけだ。競馬場に向かう途中とか、レースの合間とかに髪を切るので、とにかく早く済むことが大事。なので料金はあまり問題ではない。2千円払って5分で終わるならそっちを選ぶ。

だが、最近になって私自身が競馬場に行く機会が激減してしまった。なので、髪はボーボーに伸び放題。もう2か月以上も切ってないもんなぁ。こんな頭でダービーに行ったりしたら吉川良先生に叱られそうな気がする。

そこで今日は散髪のために川崎競馬場に行ってきた。もともと競馬場の敷地だったエリアにこの春オープンしたばかりのショッピングモール「マーケットスクエア川崎イースト」内に、クイックカットのお店が出店しているのである。

Scuare 

1Rの新馬戦を見て、

1r 

髪を切り、

3q 

2Rの新馬戦に間に合いました。ちょいギリでしたけどね(笑)。でもこの距離感はありがたい。今後は川崎駅東口ではなく、圧倒的にこちらですね。ともあれ、これでダービーに行く準備は整った。あとは馬券だ。

2r 

 

***** 2016/05/27 *****

 

 

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2016年5月26日 (木)

安田伊左衛門の理念

なんとなく昨日の続き。

第1回日本ダービーが行われた目黒競馬場は、その敷地わずか1万坪。しかも、その大部分は借地であり、返却の期限が迫っていた。加えて地元からは「競馬場が町の発展を妨げている」として、競馬場排除論が沸き起こる有り様。ダービー創設の当時、競馬場の移転は急務の課題であった。だが、それが一躍「24万坪の大競馬場構想」へと飛躍したのは、「日本競馬の父」とも称される安田伊左衛門の、「サラブレッドは大きな馬場で自由闊達に走らせたい」との理念の現れにほかならない。

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移転先選定に先立ち、安田は新競馬場の要件として次の6点を掲げた。

 ・土地の広大なこと
 ・交通の便利なこと
 ・良質の草が採草できること
 ・水質の良好なること
 ・物資の供給を受けられること
 ・警察署並びに役所の所在地なること

これに手を挙げた候補地は実に百箇所以上。そこから数十箇所を選定し、実地調査を行った。特に暴風雨や出水の時を選んで出掛けたのも、氏の理想に適う競馬場を造りたい一心からであろう。候補地を他人に悟られないために、家人にも行き先を明かさず、尾行にも常に気を配っていたというから、苦労のあとが偲ばれる。

その結果、東京府下北多摩群府中町・大國魂神社下の24万坪を候補地として選定した。多摩川に近く、その水質は競走馬の飲料水に最適であり、また多摩川の土手には青草が豊富に生えているなど好条件に恵まれていた。

ところが、競馬場が完成してついに競馬開催にこぎ着けると、馬場が広大過ぎて双眼鏡がないとレースが見えないと非難が起きる。むろん、安田としてもファンの気持ちが分からないでもなかったが、それ以上に競走本位の理念を貫いた。その思いが通じたのであろう。次第に沸き上がる賛美の声に、些細な非難はかき消されることとなる。

Yasuda2 

東京競馬場がもっとも熱く盛り上がる日が、今年もやって来る。今年も檜舞台を見ることができる幸せを噛み締めたい。その建設に心血を注いだ安田伊左衛門は、今もパドック脇から出走馬たちをそっと見守っている。

 

***** 2016/05/26 *****

 

 

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2016年5月25日 (水)

目黒競馬場の面影

所用で目黒に出向いたついでに元競馬場界隈を歩いてみた。ご存じの通り、第1回目の日本ダービー(東京優駿)が行われた由緒ある土地。いまは目黒記念にその名を残している。

Bus 

競馬場の跡地は既に宅地化されおり、その痕跡はほとんど残されていない。競馬場の余韻を現代に伝えるのは、不自然にカーブした路地と「元競馬場前」というバス停の名前だけだ。

まだ農村地帯だったこの地に、競馬場が姿を現したのは1907年のこと。コースは一周1600mの芝コースと、内馬場をクロスする障害コースがあるだけで、府中に比べるとかなり狭い。ちなみに府中とは逆回りの右回りコースだった。

Meguro 

ダービーのスタートは向こう正面の右奥、3コーナー手前にあった。スタートして150mほどで3コーナーに飛び込むコース形態からすれば内枠の有利は動かぬであろう。第1回優勝のワカタカは最内1番枠からの逃げ切り勝ちであったという。

そのワカタカの父でもあるトウルヌソルの銅像を、現在の目黒通り元競馬場バス停の近くに見ることができる。6頭の日本ダービー優勝馬を送り出したのは、サンデーサイレンスと並ぶ史上最多記録だ。

Bronze 

トウルヌソルの銅像から目黒通りを挟んだ反対側、大きな肉まんで有名な『目黒五十番』の向こうは、かつての厩舎地区。手狭なため、2キロも離れた碑文谷に外厩を作ってどうにか凌いでいたが、関東大震災直後から周辺の宅地化が進むにつれ、悪臭や騒音の苦情が出るうようになった。また、競馬開催日には、港区魚藍坂から権之助坂を経て競馬場までびっしりと車列が連なり、鉄道もマヒしてしまうなど、競馬そのものが社会問題化し始める。競馬場の移転問題は急務とされていたようだ。

府中への移転後、その跡地は戦時中の食料確保のためジャガイモ畑に転用されたこともあったという。華やかな勝負服がファンを熱狂させた競馬風景から一転、真っ白なジャガイモの花が一面に咲き誇る光景はさぞや壮観であったことだろう。

 

***** 2016/05/25 *****

 

 

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2016年5月24日 (火)

ふるさとコーナーにて

東京は5月だというのに2日連続の真夏日。しかし北海道も負けずにここ数日は暑かったらしいですね。そんな札幌のトレーニングセールに行けなかった私が向かった先はこちら。

Tck 

大井競馬場です。

Stand 

と言っても今週は川崎開催だから競馬は行われていない。パドックでは職人さんがペンキ塗りの真っ最中。

Paddock 

私の目当てはこちら。

Furusato 

「ふるさとコーナー」です。そう、道営競馬の馬券を買いにきたんですな。

Furusato2 

本当なら今頃私は門別にいるはずだった。オークスの馬券は外れたが、それはいつものこと。その程度で諦めていては、どこにも行けなくなってしまう。昨日の内にエアドゥの一番機と帰りの最終便とレンタカーを予約し準備万端。……かと思われた。

最近、こういうシチュエーションで出かけられずに困っている。外的要因ではない。内側の問題。さあ行くぞ思うと逆に気持ちが萎えてしまう。朝が早い。夜が遅い。どうせ目当ての馬は負けるに決まっている。そのためだけに日帰りで門別まで行くなんてバカげてないか。帰りの便で疲れ果てている自分を思い浮かべる。無理だ。行けない。結果、キャンセル。その繰り返しである。

北海道だからというわけではない。毎週の競馬でも同じ。電車で20分とかからない東京競馬場でも安心はできない。今週のダービーは大丈夫だろうか。周囲から夏の福島ツアーに誘われているが、ホントに行けるかどうか。今から不安で仕方ない。

自分では精神的な老化だと思っているが、周囲は「鬱ではないか」と心配してくれる。なるほどそうかもしれない。こんだけ馬券が当たらなければ、そりゃ鬱にもなりますよ。だが、鬱であろうがなかろうが、家に引きこもっているよりは出歩いた方が良いに決まっている。だからせめて大井には行こう。現地に行けなくても馬券くらいは買おう。そういう意味では一念発起の大井競馬場なのだが、やはり後ろめたさも禁じ得ない。羽田を飛び立つ飛行機がやたらと目に入る。

Shimbun 

目当てのブリリアントアリスは3番手の評価。だが、調教は思いのほか動いたらしいし、リーディングジョッキーを配してきた陣営の意気込みも買える。馬体重406キロは如何ともしがたいが、それでも昨夏に比べればずいぶん成長した。

Baken 

ゲートは遅れたわけでもないが、早くもない。先行集団を前に見る5番手追走から3コーナーでうまく外に持ち出すつ、直線を向いて先頭を伺うポジションに付けた。やった! これは勝てるぞ!

―――と思ったのは一瞬のこと。そこからさらに伸びるだけの余力は残ってなかった。結果は6着。勝ったピンクドッグウッドは強い。それを負かしに行っての結果だから、着順は気にすまい。まずは2歳の5月にデビューできた無事を喜ぼう。母のポーカーアリスもデビューから2連敗。3戦目のアタックチャレンジを6馬身差で圧勝したではないか。ブリリアントアリスの競走人生は始まったばかり。やはり、いつかは門別に応援に行かねば。

 

***** 2016/05/24 *****

 

 

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2016年5月23日 (月)

12頭の三冠馬、3頭の3歳女王

東京競馬場内・JRA競馬博物館では、春季特別展として「三冠馬 ~世代の頂点に輝いた優駿たち~」が開催されている。

Poster 

そこで紹介されているのは12頭の三冠馬たち……いや待て、過去の三冠馬は7頭のはずではなかったか。

セントライト(1938年)
シンザン(1964年)
ミスターシービー(1983年)
シンボリルドルフ(1984年)
ナリタブライアン(1994年)
ディープインパクト(2005年)
オルフェーヴル(2011年)

「三冠馬」とは、3歳馬のみが出走可能なクラシックレース、すなわち、桜花賞、皐月賞、オークス、ダービー、菊花賞のうち3つのタイトルを制した馬に与えられる称号である。これは我が国が手本とした英国に倣ったもの。ほぼ全世界共通と言っても良い。そのルールに従えば1943年のオークス、ダービー、菊花賞を制した牝馬のクリフジも立派な三冠馬である。なのに、これまでJRAはクリフジを正式な三冠馬として認めようとしなかった。ようやく自らの誤りに気付いたのであろうか。にしても、クリフジ1頭を加えたところで三冠馬は8頭しかいない。残る4頭の「三冠馬」はどこから来たのか?

まあ、もうお分かりですよね。その4頭と言うのは、メジロラモーヌ(1986年)、スティルインラヴ(2003年)、アパパネ(2010年)、そしてジェンティルドンナ(2012年)。彼女らは春の桜花賞、オークスのクラシック2冠に加え、秋の3歳牝馬限定GⅠを勝っているから、この際いっしょに「三冠馬」としてしまえ、ということなのだろう。

クリフジを加えたところまでは良かったが、勢い余って4頭を付け加えたのは正直いただけない。「三冠馬」の称号を安売りしては、クラシックレースの看板はいずれ色褪せる

秋華賞やエリザベス女王杯がクラシックレースではないことは動かしようがない。「歴史が浅いだけで、GⅠであることには変わりない」という声もあろうが、その「歴史」がキモなのである。昨日のオークスは77回目。今週のダービーは83回目。競馬においては、賞金よりも往々にして歴史や伝統が重みを持つ。でなければ、エイシンヒカリが1着賞金2000万円にも満たないイスパーン賞のために、わざわざ渡仏することもない。ちなみにイスパーン賞は1873年の創設。途中、大戦での中止もあったが、それでも今年で139回目を迎える。

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とはいえ、それがクラシックであろうとなかろうと、今年の秋華賞は注目の一戦になりそうだ。なにせ、現3歳世代では3頭の3歳女王が誕生している。桜花賞馬のジュエラー、NHKマイルカップのメジャーエンブレム、そして昨日のオークスを勝ったシンハライト。異なるカテゴリのチャンピオン同士が右回りの2000mで覇を競えば、いったい誰がいちばん強いのか―――?

Mejar 

秋華賞はたしかにクラシックレースではないが、時に重要なレースとなり得る。それで十分ではないか。それでも心配の種は尽きない。もしメジャーエンブレムが秋華賞を勝ったとして 、「二冠馬の誕生」などと騒ぐ輩が表れたりすることはあるまいな。桜花賞もオークスも勝ってない牝馬の「二冠馬」が誕生すれば、それは前代未聞の出来事だ。

 

***** 2016/05/23 *****

 

 

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2016年5月22日 (日)

レッドディザイアのオークス

突然、火曜日にHBAのトレーニングセールと門別競馬をハシゴしたくなった。すなわち「羽田→札幌競馬場→門別競馬場→羽田」の日帰り強行軍である。それには先立つものが必要。ならば今日のオークスで飛行機代を捻出するまでだ。桜花賞馬も、桜花賞1番人気馬さえも不在のオークスならば、きっと一筋縄では収まるまい。大穴をズバッと当てて北海道に行ってやる。

それで久しぶりにやって来た東京競馬場で穴馬探しに四苦八苦していると、頭上のモニタがプリークネスSの映像を流し始めた。「泥田」という表現ではとても足りないほどの極悪馬場を、ラニと武豊が真っ黒になりながら追い込んでくる。

その姿を見ていて、ふとレッドディザイアのことを思い出した。彼女の訃報が伝えられたのは、つい昨日の事。10歳と聞けば悲しさより、むしろ悔しさが先に立つ。

Red 

2009年のオークスの最後の直線。レッドディザイアが馬群をこじ開けて先頭に立った時、大半の観衆は彼女の勝利を確信したことだろう。実は私もその一人。異次元の末脚で大外から襲いかかったブエナビスタとの着差はわずかにハナ。そこにはもはや能力差など存在しない。両者を分けたのは単なる運だ。

レッドディザイアも、そしてピムリコ競馬場の泥にまみれて5着に追い込んでみせたラニも、どちらも同じく松永幹夫調教師の管理馬。今年のオークスには松永幹調教師の管理馬はいないが、レッドディザイアと同じ四位騎手のマンハッタンカフェ産駒を見つけた。3枠5番ペプチドサプル。8番人気なら穴馬として申し分ない。さあ、私を北海道に連れて行ってくれ!

実際のレースはどことなくレッドディザイアのオークスを彷彿させるものだった。馬群をこじ開けるように伸びてきたシンハライトが、瞬く間に先頭に立つ。桜花賞2着で涙を飲んだのも同じなら、ゼッケン3番も同じ。違ったのは、大外を追い込んでくるブエナビスタがいなかったことくらい。ともあれ、母シンハリーズに、ついにGⅠタイトルがもたらされた。これが何を意味するかは、4月9日付「アメリカンオークス3着馬の娘」を参照されたい。

Oaks 

穴にと期待したペプチドサプルは5着。8番人気を思えば上出来であろう。残念だが、トレーニングセールと門別競馬はネットで見守ることにする。ちなみに、この世に残されたレッドディザイアの産駒は3頭で、うち2頭が牝馬。2頭のどちらかがオークスに出る日が来ることを切に願う。そこでブエナビスタの娘との対戦が実現すれば言うことはない。

 

***** 2016/05/22 *****

 

 

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2016年5月21日 (土)

中央フリーウェイ

明日の東京10Rは芝7ハロンのフリーウェイS。だが、いまひとつ注目されにくいレースでもある。みんなオークスのことで頭がいっぱい。フリーウェイSが発走する頃には、ファンも関係者もパドック周辺を埋め尽くしている。そういう意味では、ダービー当日のむらさき賞と立場が似ていなくもない。

下の写真は2000年のフリーウェイSを勝ったグリーンプラネット。鞍上は驚くなかれ二本柳壮騎手である。ああ、この当時はGⅠ当日の準オープンを勝ったりしてたんですねぇ……。なんてしみじみ懐かしんでいたら、明日の出走表に壮君の名前があるではないか。6枠12番カシノワルツ。これは買わねばなるまい。余計なことに気付いてしまった(笑)

So 

フリーウェイSは1988年の創設以来、一度だけ芝1600mで行われたことを除けば、一貫して芝1400mで行われてきた。レース名の「フリーウェイ」は、言うまでもなく「高速道路」の意。その高速道路とは、すなわち東京競馬場の向こう正面を走る中央自動車道にほかならない。それにちなむレースである以上、スターティングゲートを高速道路の近くに据える必要がある。芝2000mやダート2100mでは高速道路をイメージしにくい。

このレースでは馬場入場時に松任谷由美(発表時は荒井由美)さんの名曲「中央フリーウェイ」の楽曲が流されることでも知られる。中央道を調布から西に向かって、米軍の調布基地(現在は調布飛行場)を過ぎて、高尾の山に向かって走れば、やがて府中市内に入る。すると右に見えるのが競馬場、左はビール工場。高速道路から見える車窓の風景を並べているだけなのに、それがユーミンの手にかかると、ノスタルジックな小説のように聞こえてくるから不思議だ。そこは天才たる所以であろう。

Mitora 

フリーウェイSを勝ったのち、GⅠを勝つまでに昇り詰めた馬は残念ながらまだいない。それでもマグナーテンやミトラのように、ここを1分19秒台で勝てるようなら、のちに重賞ウイナーとなる可能性はじゅうぶんにある。果たして今年はどうか。「中央フリーウェイ」の中では「この道はまるで滑走路♪」と歌われているが、人馬にとっては525.9mの直線こそが滑走路であろう。直線をトップで駆け抜けて、大舞台へと飛び立て。

 

***** 2016/05/21 *****

 

 

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2016年5月20日 (金)

好き嫌い

好き嫌いの話の続き。

チョコが嫌いな私のことを、周囲が「おかしい」とか「ありえない」とか「人間じゃない」などとからかうので、いろんな人に嫌いなモノを聞いて回ったことがある。質問の方法は、「とんねるずの『食わず嫌い王』に出演するとしたら何を嫌いだと指定するか?」というもの。以下、その回答の一部を紹介する。

いなり寿司(油揚げがダメ。きつねうどんは揚げ抜きで注文する。50代男性)

玉子焼き(生玉子も目玉焼きもOKなんですけど……。40代女性)

ミョウガ(※筆者注:ちなみにこの人は忘れっぽいと評判。50代男性)

イナゴ(カニは大好きなんだけどね。40代男性)

パン(綿みたいだから。50代男性)

猿の脳味噌(こればかりはダメだなぁ。50代男性)

―――おかしなのばかりじゃないですか!(爆)

きつねうどんの揚げ抜きは素うどんだろ! イナゴとカニは全く別モンだよ! 『食わず嫌い王』に猿の脳味噌が出るわけないじゃん!―――と、まあ突っ込みどころ満載なのである。一方で、玉子焼きとかパンが食べられないというのも、これまでさぞやたいへんな人生だったことだろう。ともかく食べ物の好き嫌いは人それぞれということがよく分かった。チョコが嫌いだからといって、人間失格みたいな言い方はしないでくださいね。

さて、この話題はもともとは「馬にもニンジン嫌いがいる」という話だった。じゃあ逆にどんな好物があるのか。昨日紹介した角砂糖以外では、まずリンゴが多い。エルコンドルパサーもリンゴ派。欧州遠征では現地のリンゴが口に合わず、慌てて日本からリンゴを取り寄せたという逸話も残る。向こうのリンゴは酸っぱいですからね。日本の甘いリンゴは馬も認める世界一の味だという実例。

甘党がいれば左党もいる。1972年春の天皇賞を勝ったベルワイドはビールの味を知っていたと言われるし、メイヂヒカリなどは人がたばこを吸うと、嬉しそうにその煙の中に首をのばしてきたという。

Vega 

他では、ホクトベガやメジロライアンはダイコンを、マヤノトップガンやニッポーテイオーはレンコンを好んだ。根菜類は馬の口に合うのかもしれない。レンコンといえば、その形状から「先が見える」としてゲンを担ぐ株屋さんが好む食材だと聞いたことがある。先を見通したいのは株ばかりではあるまい。馬券とて同じこと。私が食べるべきはチョコレートではなくレンコンだ。

 

***** 2016/05/20 *****

 

 

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2016年5月19日 (木)

ベストパートナー

下の娘がニンジン嫌いを克服して食べるようになった。既に中学生であることを思えば恥ずかしい話だが、それでも当人にとっては大きな進歩。間もなく五十を迎える私でも、大嫌いなチョコレートを克服できるかもしれない。

Carrot 

武豊騎手のニンジン嫌いは有名。「馬の食べるもの」と言っていっさい口にしないらしい。ただ、馬によってはニンジンがそれほど好きではない場合もある。ほとんどの馬が揃って好物なのは角砂糖くらいではあるまいか。中でもダンスパートナーは角砂糖に目が無かった。サンデーサイレンス牝馬の割には気性がおっとりしていた彼女も、角砂糖を持っている人を見つけたら、貰えるまで大騒ぎしたという。

そんな武豊騎手とダンスパートナーは、まさに“ベストパートナー”だったことで知られる。語り草はダンスパートナーが勝った1995年のオークス。この年、武豊騎手はスキーキャプテンと共に、日本調教馬として初めてケンタッキーダービーに挑戦した。結果次第では、ケンタッキーダービーに続きプリークネスSにも挑戦する予定である。だが、プリークネスS日程は日本のオークスと重なっているから、武豊騎手はダンスパートナーに乗れない。

「そうなったら、ダンスパートナーはオークスではなく日本ダービーに向かう」

オーナーサイドの発表に競馬界はざわめいた。ダンスパートナーの能力に抱く大いなる自信と、武豊騎手に対する揺るぎのない信頼がこの言葉に集約されている。

実際には、スキーキャプテンはプリークネスSを回避。ダンスパートナーは武豊と共にオークスを走り、2分26秒7で圧勝した。そのレースぶりから「ダービーに出ていても勝っていた」という声は今も聞こえてくる。実際、翌週の日本ダービーの勝ち時計は2分27秒3だったから、私としてもその意見を否定する理由はない。だからこそ秋はエリザベス女王杯ではなく菊花賞を選んだのであろう。

そんなダンスパートナーの産駒は9頭がデビューし、JRAでは24勝を挙げているのだが、実は武豊騎手の手綱による勝利がまだ一度もない。“ベストパートナー”の当時を良く知る我々世代からすれば、これが不思議であり、また不満でもある。

Dance 

そんな折、先週の千葉セリでダンスパートナーの14(父ワークフォース)が落札された。オーナーによれば、関東の戸田厩舎が有力とのこと。戸田厩舎と武豊騎手の組み合わせでは過去6勝。うち1勝はブレイクランアウトの共同通信杯である。期待してもいいのではあるまいか。

―――なんてことを考えながら今日は美浦界隈をクルマであちこち行ったり来たり。そしたら偶然にも戸田調教師にバッタリお会いして、ひっくり返った。サンデーレーシングの1歳馬の話をした程度で、さすがにダンスパートナーの話にはなりませんでしたけど(笑)。でもなんとなく縁を感じる。もし記念すべき勝利が実現したら、頑張ってチョコレートでお祝いしてみようか。

 

***** 2016/05/19 *****

 

 

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2016年5月18日 (水)

老化が止まらない

昨日のエントリを読み返して、「高齢牝馬」という書き方はちょいと失礼だったかなと反省している。いみじくも女性に対して「高齢」はマズかった。今やいかなる計算式を用いても、6歳馬や7歳馬を「高齢」とは呼べない。「4倍すれば人間の……」などと安易に扱っていたのはもはや前世期の話。彼女たちは若さと活力に満ち溢れている。

その一方で、実は自分自身の高齢化が気になる昨今なのである。久しぶりに東京競馬場を訪れた先日、いつもの電車に乗って、いつもの通り府中本町駅で降り、これならいつものレースに間に合うだろうと専用通路を歩いて西門をくぐったら、いつものレースに間に合わなかった。ダイヤ改正があったわけはなく、レース施行時刻が変わったわけでもない。あれ? おかしいな。ひとしきり悩んだのち、ハタと膝を叩いた。なんのことはない、オノレの歩く速度が遅くなっていただけなのである。

遅くなったのは歩くことだけではない。筋肉痛が翌日ではなく翌々日に来るなんてことは言うに及ばず、徹夜で辛いのも翌日ではなくむしろ翌々日だったりする。深酒をした翌朝の体調がことのほか良く、「おお、全然酒が残ってないな」とうっかり喜んだりすると、夕方になって突然二日酔いの症状が表れたりするから油断できない。馬券の買い目がなかなか決まらず、締切ブザーに間に合わないなんてこともザラ。とにかくあらゆる動作や感覚が遅くなった気がしてならない。これは老化の一端であろう。高齢化が気になるのは、それが自分自身の問題だからだ。

そんなことを考えていたら、昨日の大井・ゆりかもめオープンにコアレスピューマが出走していた。今年12歳のシーズンを迎える南関東最年長馬。ウオッカやダイワスカーレットらと同期生なのだと思えば、畏敬の念さえ禁じ得ない。このレースには9歳馬が2頭に8歳馬が6頭も出走しているが、コアレスピューマからすれば若造であろう。そんな彼が5着に入る姿を見るに、自分自身が老化を語るのはまだまだ早いと痛感する。この5着でコアレスピューマは13歳になる来年も現役続行の権利を得た。(写真は2013年ゆりかもめオープン優勝時)

Puma 

ともあれ、馬券検討に時間がかかるようになったことは切実な問題だ。先日などは時間に追われるあまり買い目を絞ることを諦め、3連複2頭軸流し、馬単ボックス、ワイド、枠連、単勝など、気がつけば89通りもの馬券をバラバラと購入していた。こうなると、自分がどの馬を応援しているのかもよく分らない。そんな馬券が当たるものか。考えがまとまらない。集中できない。決まらない。これを「老化」などと生易しい表現をするのは間違っている。もはや立派なボケの症状であろう。

 

***** 2016/05/18 *****

 

 

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2016年5月17日 (火)

揺らぐ常識

ヴィクトリアマイルを勝ったストレイトガールは、その強さもさることながら7歳という年齢が話題になっている。JRAにおける7歳でのGⅠ優勝は、これが12頭目。だが、過去の11頭は牡馬かセン馬に限られていた。牝馬ではストレイトガールが初めて。しかも今回は昨年よりも強敵を相手にしながら、なおかつ昨年よりも強い勝ち方をしてみせたのだから凄い。7歳にしてますます強さに磨きがかかっている。(写真は一昨年のヴィクトリアマイル出走時)

Straight 

牝馬の7歳といえば大半が繁殖入りしている時期である。実際、ストレイトガールも昨年の香港スプリントの9着を最後に引退するはずだった。だから、広崎オーナーから現役延長を打診された藤原調教師は困ったことであろう。なにせGⅠ牝馬の7歳現役続行は例がない。これには藤原英師も「時間をください」と即答を避けたという。

昔の牝馬のイメージといえば、牡馬より仕上がりが早く、そのぶんピークも早く訪れ、その後はいかに能力を維持できるかが勝負を分ける―――といったものだった。明け6歳ともなれば、さすがに能力低下は避けられない。だから多くのクラブは内規で「6歳春の牝馬は引退」を謳っているのである。だが、そんな古い考えはもはや捨て去る時期に来ているのかもしれない。

ひと昔前なら、7歳はおろか6歳の牝馬が重賞を勝てば、ちょっとしたニュースになった。しかし、調教技術の向上や飼料の進歩などにより、競走馬は以前に比べて長く現役生活を送ることができる。しかも牝馬のレース体系は充実一途。無理のないレース選択が可能となったことで、馬にかかる負担も格段に減った。なにより生産頭数漸減のこのご時世、慌てて繁殖に上がる必要もない。

そう思うと、俄かにこれまでの常識が怪しくなってくる。本当に牝馬がピークを迎える年齢は早いのか。7歳牝馬によるGⅠ制覇が初めてだったのは高齢牝馬が突然強くなったわけではなく、ただ単に6歳や7歳になっても現役を続ける牝馬が増えただけの話なのではあるまいか。

実際、昨年は6歳牝馬が重賞レースを6つも勝っている。しかもそのうち3勝がGⅠレースであった。さらに今年は6歳と7歳が既に重賞を5勝。逆に、これまでの常識では能力のピークを迎えているはずの4歳が1勝、5歳でさえ3勝に留まる。牝馬の能力のピークは実は6~7歳なのかもしれない。だとしたら過去の多くの牝馬たちは、本当の強さを我々に見せてくれる前にターフに別れを告げていたことになる。

Meisho 

GⅠにこだわらなければ、ブロードアピールとジョリーダンスがいずれも8歳時に重賞を勝っているし、ダートグレードではメイショウバトラーが船橋マリーンカップを9歳で勝っている。すべての牝馬がその能力のピークを6歳春までに迎えるとは限らない。6歳12月にチャンピオンズカップを勝ったサンビスタしかり。ストレイトガールによる7歳牝馬のGⅠ勝利は空前の出来事だが、絶後になるとは思えない。それを「高齢だから」と言って切り捨てるようでは、もはや馬券的中など覚束ぬ。我々も意識改革を迫られている。

 

***** 2016/05/17 *****

 

 

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2016年5月16日 (月)

馬産地千葉を盛り上げよう

始発の電車に揺られて千葉サラブレッドセールにやって来た。今年も大勢のお客さんが、ここ船橋競馬場に集結。南関東はもちろん、道営、JRA、はては佐賀の調教師まで来場されている。下の写真の右端にさりげなく写っているのは、JRAの超有名調教師のおひとり。大半の調教師が馬主と一緒にゴール前に陣取る中、スタンドのいちばん隅にたったひとりで座り、無言で双眼鏡を覗いていらした。言うまでもなくその眼は真剣そのもの。名伯楽の瞳に第二のモーリスは映っているだろうか。

Funabashi 

昨年はムーンレディの13が話題をさらったが、今年もディープインパクト産駒が上場してきた。ただ、予定では2頭いたはずなのに、1頭が取り消してしまったのは残念としか言い様がない。セール全体の盛り上がりに影響するし、何より実馬を見たかった。血統が血統だけに、いろいろと勘ぐってしまうのも良くない。

ともあれ唯一のディープ産駒は上場番号40番コージーロージの14。プレザントリーパーフェクト産駒の母は米重賞3勝で、GⅠイエローリボンSでも2着している。24.6-11.5のタイムは目立つものではないが、併せた相手が走らなすぎたから、これは仕方ない。落札額は8000万円。

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注目という点では、上場番号ダンスパートナーの14(牡・父ワークフォース)も負けてはいまい。果たしてこの血統で2歳のこの時期にどれだけ仕上がってくるのか。興味津々の調教タイムは25.7-11.4。セリには滅多に出てこないダンスパートナー産駒だけに、3700万円はお買い得かもしれない。

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個人的に狙っていたのは上場番号43番サヤカの14。芦毛の牝馬は重賞ウイナーを母に持ち、父は今をときめくスクリーンヒーローである。27.8-12.2という平凡なタイムにもかかわらず600万円で落札された。もうちょっと安くなると思ったんだけど……。千葉セリをなめてはいけませんな。

43

今年、1ハロン11秒を切ったのは63頭中1頭のみ。24.5-10.9をマークした上場番号57番ミルルーテウスの14(父ワークフォース)。ミルレーサーの孫という血統も込みで2700万円はお値打ち感がある。

57 

血統的視点と調教的視点の両面から楽しめるのが、この千葉サラブレッドセールの醍醐味でもある。ただひとつ残念なことは、もうひとつの楽しみでもある千葉県産馬の上場が、今年はなかったことだ。

かつて馬産王国だった千葉に、今では往時の面影を感じることはほとんどない。もとはといえば、その低迷を打開するために始められたのがこのセリだったはず。ちなみに昨年のセリでは、富里産のカントリーウーマンの13が1000万円という価格で取引された。フジマサキングの名で大井からデビューし、既に1勝を挙げている。今週木曜には大井のオープス中郷賞に出走予定である。千葉の馬産の灯を消してほしくはない。

 

***** 2016/05/16 *****

 

 

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2016年5月15日 (日)

木更津場外問題

天気も良いので千葉に馬を見に行く。日曜の割にアクアラインはガラガラ。昼前だというのに海ほたるPAにもすんなり入れた。皆さん、ゴールデンウィークで燃え尽きちゃったんですかね。

Bridge 

渋滞を見込んでいたので、約束の時間までかなりある。どっかに寄って時間を潰さねばならない。さて、どこに行こうか。びわソフトクリームを舐めつつひとしきり考えた。

Soft 

そうだ。木更津にJ-PLACE(エフケイバ木更津)があったはず。そこで馬券を買ってレースを観ていれば時間なんてあっという間に過ぎる。我ながら良いアイディアだと自賛しつつ実際に現地に到着してから、ハタと気が付いた。ここはJ-PLACEの中でも例外的に「会員制」だったのである。会員になるには入会金+年会費合わせて千円を支払わなくてはならない。会員になったところで、この先来ることがあるだろうか。だいたいが競馬場の入場料200円で文句を言う私にとって、千円はちと高い。そもそも今日の目的は単なる時間潰しである。

木更津は90年代の後半から場外馬券売り場誘致問題が延々と議論されてきたお土地柄。誘致は市議会でも決議された市の方針だったが、「競馬をやるような人間が集まると街が汚れる」と主張する反対派の方々が署名活動などで抵抗してきた経緯がある。会員制の採用は推進派と反対派の妥協の産物であろう。実際、私のような人間を排除することには成功した。

現在のエフケイバ木更津は駅前の商業施設の地下に設置されているが、最初に誘致運動が湧きあがった時は、もっと海に近い郊外が候補地とされた。この案件が特殊だったのは、発起人としてWINS誘致に乗り出したのが地元の漁協だった点にある。漁業機材置き場として利用されなくなった空地をWINSの管理会社に賃貸することで、土地の有効活用を目論んだのだった。

しかし、当のJRAが安易なWINSの建設に否定的な方針を打ち出した時期と重なったこともあり、千葉県初となるWINS設立構想は立ち消えとなった。あれから20年近く。紆余曲折を経て誕生したエフケイバ木更津は、テナント撤退が相次ぐ駅前の商業施設の有効活用に一役買っている。この商業施設ビルの所有者はほかならぬ木更津市。テナント確保は市政上の緊急課題でもあった。場外馬券売場の設置に反対運動はつきもの。驚くこともない。馬産地静内でさえ、反対運動は起きているのだから。

 

***** 2016/05/15 *****

 

 

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2016年5月14日 (土)

Tシャツを買いに

いやあ、暑いですね。ここ数日の陽気は本格的な夏の到来を思わせる。夏と言えばTシャツ。だが、私いちばんのお気に入りの「TCK勝負服Tシャツ」は色褪せが甚だしい。そこでTシャツを買いに東京競馬場に足を運んだ。

今日の東京5Rは芝2000mの3歳未勝利戦である。

私が注目していたのはルールブリタニアだった。母ミュージカルウェイに父ディープインパクトという血統は、オークス馬にして秋華賞馬でもあるミッキークイーンの全妹にほかならない。しかも、そのミッキークイーンは明日のヴィクトリアマイルの前売り1番人気に推されている。それが気にならないという方がおかしい。

実は、さっき売店でミッキークイーンのTシャツを買おうかと悩んだばかりなのである。と言ってもミッキークイーンのやつが欲しかったわけではない。探していたのは白いTシャツ。なのにドゥラメンテのTシャツも、モーリスのTシャツも、ストレイトガールのTシャツも、揃いもそろってみんな黒。純粋な白はミッキークイーンしかなかった。

こうなったらルールブリタニアの単勝を買って、首尾よく勝った暁にはあの白いミッキークイーンのTシャツを買うことにしよう。

そんな思いで馬券を握り締めて迎えたレースの結果は……、

5r 

アドヴェントスの完勝でしたcoldsweats01

アドマイヤサンデーにジャングルポケットということは、トールポピーやアヴェンチュラと同じ配合ではないか。オークス馬と秋華賞馬の全妹はもう1頭いたわけだ。一方、私が期待したルールブリタニアは10着。ここまで負ける馬ではない。ということは私の馬券のせいであろうか。関係者にお詫びしたい。

そんなことより驚かされたのはアドヴェントスの強さである。ここがデビュー戦にもかかわらず、経験馬相手に中団追走から直線で抜け出したレースセンスは立派のひと言。こうなると彼女の2戦目のレースぶりはさらに注目である。今日とは違った展開でも好走できるようならば、そこで仮に負けたとしても期待は膨らむ。オークスにはちょいと間に合いそうもないが、秋華賞の姉妹制覇を期待するのはアリかもしれない。

T_shirt 

結局、ミッキークイーンには縁が無かったようなので、こちらのTシャツを購入してそそくさと帰宅。厳密には白ではなく、薄めのグレーというのが気になるが、ラブリーデイには昨年馬券でお世話になったのでこれでヨシとする。明日はこれを着て出かけよう。ついでに明日のヴィクトリアマイルの前売馬券でもミッキークイーンを完全に外して買ったので、明日はミッキークイーンが圧勝するかもしれませんよ(笑)

 

***** 2016/05/14 *****

 

 

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2016年5月13日 (金)

2歳馬を確保せよ

今週の南関東は川崎の5日間開催だったが、重賞が実施されなかった。中止とかではなく、もともと予定されていないのである。5月にそんな開催があっただろうか? ここ数年では記憶にない。しかも来週の大井を挟んで再来週も川崎で開催されるらしい。なにもそこまで川崎を推すこともあるまいに。おかげで今開催は1日あたり10レースの日がやたらと目立つ。出走馬を集めるのもひと苦労だ。

そう思って出馬表を見れば、今日の川崎1Rは6頭立てとある。なんじゃこりゃ?と思ったら、なんのことはない2歳新馬戦であった。近年の2歳競馬の前倒し傾向は留まるところを知らない。1歳年上のダービーもオークスだってまだ1か月も先ではないか。なのに大井でも、浦和でも、船橋でも2歳馬が続々と勝ち上がっている。

馬主としては早く走ってくれるに越したことはない。だが、ファン目線ではどうか。まず頭数が揃わないから馬券的興味が湧かない。先月の大井の新馬戦は、当初6頭立てで確定したのに、直前に2頭が取り消してなんと4頭立てで行われた。こうなるとレースは調教と大差ない。スタート直後から隊列が変わらないままゴール。しかもその着差が、9馬身、大差、4馬身では、見ている方も盛り上がりようがない。それで3連複の配当は140円ときた。これを「商品」として提供するのは、さすがに無理がなかったか。なにせまだ4月である。能験はクリアできても競馬に耐え得る水準に達していない2歳馬がいたとしても、さして驚くことではない。

浦和と船橋の新馬戦もそういう意味では似たり寄ったりと言える。浦和で行われた新馬2鞍はどちらも5頭立てで、3連複の配当は130円と180円だった。船橋にしても6頭立てと7頭立てでは胸を張るわけにもいかない。いずれにせよ関係者が優先したのは「商品の質」よりも「番組の成立」。レースが不成立になったりしたら、馬主から何を言われるか分からない。

大井で取り消した2頭は、番組成立のために取消を前提に投票だけさせたんじゃないか―――。

なんて筋書きは勘ぐり過ぎかもしれないが、そう思われても仕方ない気がする。仮にそうではないにせよ、「新馬戦はその競馬場の所属馬しか出走できない」というルールがおかしい。例えば船橋の所属馬が「ちょっと動きが悪いからデビューを1週伸ばして次の川崎で……」という選択は認められない。だから、多少無理をしても使おうということになり、それが大差負けに繋がる。

逆に開催日数が多い大井所属馬は、デビューの選択肢が比較的広い。気軽に新馬戦の取り消しができるのも、そういう背景があるからだろうか。ともあれ、新馬戦の頭数を確保したいという主催者の思惑がこうしたルールを生むのだろうが、馬にもファンにもいいことはない気がする。

さて、今年最初の川崎の新馬戦は馬体重359キロのシュールが逃げ、それを直線で捉えた383キロのマックスベルンが初勝利を飾った。こころなしか騎手が大きく見える。

Shimba 

川崎の牝馬が目指すのは地元で行われるオークスに違いあるまい。だがその目標は遥か1年以上も先にある。果たして彼女たちはその日まで走り続けることができるのだろうか。小さな身体で一所懸命に走る姿を見て、少しばかり不安になった。

 

***** 2016/05/13 *****

 

 

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2016年5月12日 (木)

桜花賞馬の復活劇

ヴィクトリアマイルは今年が11回目。データ派にとってはようやく過去10回のサンプルを得たことになる。「たった10回」と言われればそれまで。だが、少なくとも波乱傾向にあることは疑いようがない。なにせ1番人気で3着以内に入った馬が3頭しかいないのである。古くはカワカミプリンセスやスイープトウショウが人気を集めては敗れ、国内外で牡馬相手に好走を続けるヌーヴォレコルトでさえ、昨年のこのレースでは着外に飛んだ。

本命党の悩みは、ずっと低迷してきた馬が、このレースで突如として激走するケースが多いことであろう。もともと牝馬は消長が激しい。「陰りを見せた女馬には手を出すな」の金言もある。「もう終わった」という周囲の評価をよそに、「こんなはずではない」と追いかけ続けるのは、牝馬に限って言えば危険な賭けのはずだった。一度不調の波にのまれた牝馬を再び好調の波に乗せるのは、そう簡単なことではない。

だが、このヴィクトリアマイルに限れば、不振に苦しむ牝馬たちが突然何かを思い出したかのように激走し、そのたびに穴馬券を演出してきた。昨年のストレイトガールも、一昨年のヴィルシーナも、ヴィクトリアマイルを勝つまではいずれも6連敗。1年以上勝ち星から遠ざかっていたのである。中でも極端なのが第1回の覇者ダンスインザムード。デビューから4連勝で桜花賞を制した女王も、オークスで4着と敗れてから実に14連敗という泥沼に喘いでいた。

Dance1 

いま思えば、彼女は初モノに縁のある馬だったような気がしてならない。ヴィクトリアマイルの初代チャンピオン。北村宏司騎手はそれがGⅠ初制覇。さらにこの夏には米国に遠征してキャッシュコールマイルを勝ち、日本調教馬として米国で重賞を勝ったサンデーサイレンス産駒の第1号にもなった。遡れば、3歳時の桜花賞制覇は藤沢和雄調教師にとって初めてとなるクラシックのタイトルでもある。

Dance2 

その藤沢師は、ヴィクトリアマイルを勝った北村騎手に、「ムチが2回も入ってた。岡部騎手なら叩かなかったぞ」と言って周囲を笑わせた。これにはさすがの北村騎手も苦笑いするしかない。愛弟子の初めてのGⅠ勝利が嬉しくないはずがないのに、そんなシチュエーションでも注文を付けるのが藤沢流。あるいは名手を引き合いに出したことで、褒めたつもりになっているのかもしれない。ともあれ見事な桜花賞馬の復活劇だった。

さて、今年のメンバーを見渡して、不振を極める1頭の桜花賞馬に目が留まった。古馬牝馬によるマイルGⅠは一年でこの一度きり。復活を目指すレッツゴードンキにとって、これ以上の舞台はあるまい。新たな10年間のスタートにあたり、再び歴史が繰り返されることが果たしてあるのだろうか。ちょっと見てみたい気もする。

 

***** 2016/05/12 *****

 

 

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2016年5月11日 (水)

はなまる

東京競馬場フジビュースタンド4階のうどん店『むぎんぼう』が閉店して、はや3ヶ月。その跡地に新たな店舗が入る気配はまだないが、フジビュースタンド2階ウエストホール『なとり』の跡地に、なんとあの『はなまるうどん』がオープンした。「むぎんぼうロス」に苦しむ貴兄にとって、少しは明るいニュースになるだろうか。

Hanamaru 

「はなまる」の東京進出は2002年の秋だったと記憶する。渋谷公園通りに開店した都内1号店が、行列のできる人気うどん店としてTVや雑誌に大きく取り上げられた。なんと30分待ちもザラ。香川の人は笑うかもしれない。しかしそれが当時の東京のうどん事情だったことも事実。ともあれ、あれから14年。ついに「はなまる」が競馬場にやって来た。

もともと安さが魅力のチェーンで、通常店舗では「かけうどん(小)」を130円という驚きの安さで提供している。それが競馬場ではどうなるか。さんざん食べて味は知っているのだから、どうしても興味は価格に向けられる。

結果はある意味驚くべきものであった。かけうどん一杯300円。競馬場全体の料金体系からすればきわめて安いが、通常店舗の倍以上だと思えば注文する声も若干上ずる。いや、待てよ。ひょっとしたら「中」(2玉)で出てくるのかもしれない。それならアリか。などとアレコレ考えるうちに目の前に出された丼がコチラ。

Udon 

やっぱ1玉でした。まあ、デフォルトが2玉では困る人もいますよね。

食べ終えた丼を返却口に戻し、そのまま列に並んでもう一杯注文。今度はぶっかけ(冷)にちくわ天をトッピングしてもらうことに。

Chikuwa 

通常店舗で300円のぶっかけは400円だった。ただし、トッピングのちくわ天は110円だったはずだが、ここでは逆に10円安い100円。おかげでこの一杯がちょうど500円に収まる。

競馬場の飲食店はどこも高めに料金設定をしていると思われがちだが、吉野家にせよ、モスバーガーにせよ、通常店舗と同じメニューについては値段を変えたりはしていない。外で食べても中で食べても同じ。むしろ閉店した『むぎんぼう』などは、メニューを工夫して通常店舗より安く提供していた。だからいっそう閉店が惜しまれるのである。

ただ、『はなまるうどん』からちょっと離れた場所では、従来からのそば・うどん店が営業を続けていることも忘れてはならない。その店の「かけうどん」は一杯340円。そんなところに大手チェーンが乗り込んできて、一杯130円で同じものを出されたらたまったものではない。300円という値段設定は様々な妥協が生んだギリギリのラインであろう。

だとしたら、何かしらの付加価値が欲しい。私の前に並んだ女性はスタッフに「冷たいかけうどんはできませんか?」と訊いて、あえなく断られていた。実際、はなまるの通常店舗でも「ひやかけ」は出してない。とはいえ暑くなるこれからの季節、冷たいかけうどんが食べたくなる気持ちはよく分かる。だったら競馬場限定で「ひやかけ」をやってみてはどうか。価格設定の理由付けにもなるし、巷の“はなまるファン”がわざわざ競馬場に食べにやって来る―――なんてこともあるかもしれない。

夏は冷たいうどんに限る。『むぎんぼう』は原則どのメニューも同じ価格で「冷やし」にしてくれた。ほどよく冷やされた、あのすっきりした味わいのダシが今となっては懐かしい。

 

***** 2016/05/11 *****

 

 

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2016年5月10日 (火)

東京でいちばん空いてるGⅠ

東京競馬場では芝・ダートを含めて8つのGⅠレースが行われている。その中で、もっともお客さんが入るGⅠが日本ダービーであることは言うまでもない。では、もっとも空いているGⅠはどれだろうか。

おそらく「フェブラリーS」と答える人が多いのではないか。だが、フェブラリーSに匹敵するほど“入らない”GⅠがもうひとつある。それがおととい行われたNHKマイルカップ。入場者数は49,303人だから、今年のフェブラリーSの入場者数53,315人を4千人余り下回ったことになる。

Tokyo 

天気が悪かったわけでもない。強いと評判の2歳女王の参戦もあった。なのに、GⅠどころか重賞も行われなかった5月1日(59,737人)にまるで及ばず、あろうことか土曜の青葉賞(50,783人)にも届かない始末。実際、場内はレース中でもご覧の通りガラガラ。レストランにも並ばずに入れた。折しも世間は10連休とも言われるゴールデンウイークの最終日。精根尽き果てたお父さんが多かったのかもしれないが、これではGⅠの看板が泣く。

NHKマイルカップとフェブラリーSの入場者数を比較すると、過去10年でNHKマイル4勝に対し、フェブラリーSが6勝。なんとNHKマイルが負け越している。10年間の平均でもNHKマイルはフェブラリーSよりも少ない。そういう意味では、東京競馬場でもっとも空いているGⅠは、実はNHKマイルの方だったりする。

年  NHK  フェブ
-------------------
2016 49,303 53,315
2015 47,222 44,861
2014 47,433 47,362
2013 62,079 50,771
2012 50,634 50,900
2011 52,400 53,584
2010 53,855 61,304
2009 56,662 70,014
2008 51,015 53,029
2007 55,166 51,111

平均 52,577 53,625

今年のNHKマイルを勝ったのはメジャーエンブレム。2着はロードクエスト。結果的に桜花賞と皐月賞で敗れた馬同士のワンツーとなった。

メジャーエンブレムの勝利を「リベンジ成功」と評した見出しを見つけたが、これは用法的に間違っている。桜花賞で負けた相手、すなわちジュエラー、シンハライト、アットザシーサイドを負かして初めてリベンジではないか。桜花賞で敗れた相手がいないなら勝って当然。だからファンは彼女を1番人気に推した。ロードクエストにしても同様であろう。「勝ち上がり組」ではなく「負け残り組」同士の勝負に興味が湧かないのも無理はない。土曜のGⅡにも負けるような入場者数が、ファンの気持ちを如実に表している。

そもそもNHKマイルは、海外からの外国産馬へのクラシック開放圧力を緩和させるための、いわば政治判断で創設された経緯がある。開放が進めばその存在意義が危うくなることは、初めから分かり切っていたことだ。

実際、第1回から6年連続して外国産馬が上位を独占するが、外国産馬へのクラシック開放が進むにつれ、NHKマイルカップは外国産馬の最終目標ではなく、ダービーへのステップレースという色合いを強めてきた。タニノギムレット、キングカメハメハ、そしてディープスカイ。彼らのダービー制覇は、NHKマイルカップから「NHK杯」への先祖返りを思わせる。おとといのパドックでも、「2着で足りる」と言う声が聞こえてくる始末。そんなGⅠを果たしてファンは見たがるか。

レースに向かう陣営の思惑が様々なのは仕方ないが、メジャーエンブレムやロードクエストに関する限り、当初からこのレースを3歳春の最大目標にしていたとは到底思えない。だが、そんな2頭が凌ぎを削る姿を見て、逆に胸を打たれた。GⅠにしては少ない歓声の中で、それでも馬たちは必死に走っているのである。彼らはレースの存在意義など気にも留めていない。走れと言われたところで、ただただ全力を尽くすのみ。その姿が愚かな人間の不作為を忘れさせてくれた。

 

***** 2016/05/10 *****

 

 

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2016年5月 9日 (月)

ネッシーは実在するか

ドゥラメンテとマカヒキが凱旋門賞への登録を済ませたと聞いて、さっそくウィリアムヒルのホームページをチェックすると、ドゥラメンテ11倍(日本流にいえば12倍)、マカヒキ17倍(同18倍)のオッズが示されていた。これを高いと見るか低いと見るか。感じ方は人それぞれであろう。なにせまだ5月。半年先のレースとなれば、そもそも出走するかどうかも分らない。

ウイリアムヒルで思い出した。サッカー日本代表の岡崎慎司選手が所属するレスターが、英国プレミアリーグで初優勝を果たし、そのオッズが5001倍にも及ぶとして話題になっている。

「ネッシー実在(501倍)」や「2017年までに宇宙人が見つかる(1001倍)」、果ては「エルヴィス・プレスリーが生きていた(5001倍)」などを見るに、レスターの優勝は「起こり得ないこと」という扱いをされていたわけだが、それが実現したのだからサッカーに詳しくない私でも、とてつもないことが起きたのだと思わないでもない。

一方で、一昨年のサッカー・ワールドカップブラジル大会で「日本が優勝する」というオッズは151倍。波乱が少ないと言われるラグビーでさえ、昨年のワールドカップで日本優勝のオッズは501倍だった。5001倍というオッズ設定は、実は「501倍」の誤りだったのではないかとさえ感じる。ウイリアムヒルほどの老舗ブックメーカーが、こんな無謀なオッズを提示して負けたのはプロ集団として恥ずべきことだ。

サッカーやラグビーに比べて番狂わせが多い競馬では、一般に101倍がオッズの上限であることが多い。

2009年のグランドナショナルを勝ったモンモムは、単勝オッズ101倍の超大穴馬だった。なにせ重賞未勝利。前年のグランドナショナル初挑戦では、勝ち馬から60馬身も離されていたのである。これでは評価を下げていても仕方ない。ちなみにグランドナショナルの第7号障害にその名を残す「フォイネイヴォン」は、1967年のグランドナショナルでやはり「101倍馬」となっダークホース。モンモムもフォイネイヴォンにしても、有力馬に人気が偏りがちな日本式のオッズならば、もっと大きな単勝配当をもたらしたに違いない。

Odds 

我が国における単勝配当記録は2001年7月18日の姫路競馬2レースで飛びだした。11頭立て11番人気のハッピーランが勝って、その単勝配当はなんと2057.6倍である。JRAに限れば、2014年4月26日の福島8Rで勝ったリバティーホールの569.4倍が最高記録らしい。ちなみにリバティーホールの的中数は279票。それに投じた人たちは「ネッシー実在」に匹敵する確率に賭け、そして見事勝ったことになるわけだが、そう考えると「ネッシーって意外といるんじゃね?」などと思ってしまう今日この頃である。

 

***** 2016/05/09 *****

 

 

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2016年5月 8日 (日)

次の10年へ

今日のNHKマイルカップで8着だったブレイブスマッシュを生産したエスティファームは、「トーセン」の冠名でお馴染みの島川オーナーが経営するオーナーブリーディングファーム。開場は2006年だから歴史は浅いが、それでもトーセンベニザクラ(12年フェアリーS)とブレイブスマッシュ(15年サウジアラビアロイヤルC)と2頭のJRA重賞ウイナーを輩出し、地方でもトーセンウィッチが東京プリンセス賞を勝っている。創業10年の実績としては悪くあるまい。ここから始まる新たな10年では、さらなる飛躍を予感させる。

Brave 

それを示すのが2歳馬たちの活躍である。先週は船橋でも今年最初の新馬戦が2鞍行われたが、なんとエスティファーム生産馬の連勝という結果に終わった。

ひとつ目の新馬を勝ったマッシュクールは父トーセンブライトも、母マッシュレイヤーも島川オーナーの服色で走った馬。これぞオーナーブリーディングの醍醐味であろう。6頭立ての4番人気ながら、楽な手応えのまま後続に7馬身差をつけてみせた。

Shotaro 

ふたつ目の新馬を勝ったのはキャプテントゥーレ産駒のホワイトソニック。こちらは先ほど違って4角4番手から直線では追われ通しの競馬。それでもアタマはないかなと思わせたが、ゴール寸前でさらにもうひと伸び。鼻面を並べたところがゴールだった。

Usui 

微妙な写真判定になりそうだが、乗っている騎手は分かっているもの。1番人気スターマイボーイの森泰斗騎手は、戻ってくるなり「クソッ」と吐き捨てて「2着」の枠へと馬を誘導した。それを見たホワイトソニックの臼井健太郎騎手が、「あぁ、良かった」と馬上で呟く声が私の耳に聞こえてくる。つい本心が出たのであろう。デビュー2年目の臼井騎手はこれが今年の4勝目。早くも昨年の勝ち星に並んだ。こちらも目が離せない。

Usui2 

勝ち時計1分03秒5は平凡。しかし、この時期の新馬戦ならこんなものか。それでもエスティファームにすればこの結果に文句はあるまい。新馬戦の好成績は生産・育成・トレーニングの3場分業が機能していることの証。NHKマイルカップのブレイブスマッシュにしても、8着とはいえコンマ3秒差である。11年目のエスティファームから目が離せない。

 

***** 2016/05/08 *****

 

 

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2016年5月 7日 (土)

トニービン産駒最後のGⅠ

明日のNHKマイルカップは、1996年の創設から2001年まで6年続けて外国産馬のワンツーフィニッシュが続いた。「マルガイダービー」の異名で呼ばれた時代もある。その流れにストップをかけたのが2002年の覇者テレグノシス。しかしその勝利は微妙な“判定勝ち”だった。

Tele 

ゴール入線はテレグノシス、アグネスソニック、さらに人気のタニノギムレットの順。だが、直線でスターエルドラードが外に膨れてタニノギムレットに接触。そのスターエルドラードが膨れた隙間を狙ったテレグノシスが、スターエルドラードの進路までカットしてしまい、そのあおりを受けて再度タニノギムレットの進路が塞がれてしまったのである。

当然ながら審議のランプが灯った。

テレグノシスはもちろんのこと、勝浦騎手も杉浦調教師も、勝てばこれが初めてのGⅠ制覇となる。2月のうぐいす賞で2勝目を挙げると、スプリングSの2着で念願の皐月賞の出走権を手にした。だが、その反動は思いのほか大きく、皐月賞は泣く泣く断念。このNHKマイルCも回避の可能性を匂わせていた。だが、杉浦師自ら調教に跨って体調の回復を確信。結果、大本命のタニノギムレットを破ってみせたのだから、その手腕は讃えられていい。

審議はまだ続いている。

Tanino 

タニノギムレットを管理する松田国英調教師と武豊騎手には、前年のクロフネに続くこのレース連覇がかかっていた。皐月賞3着からという異例のステップにも関わらず、単勝オッズは1.5倍。ファンの期待も大きい。しかも皐月賞ではその期待を裏切ったばかり。負けられないという思いはことさら強かったに違いない。しかもビデオを見る限り、あれだけの不利を受けながら、そこから猛然と追い上げて3着まで来ているのである。脚が残っていなかったのならまだしも、これでは怒りも収まるまい。

20分もの審議がようやく終わった。失格及び降着馬はないという。

人前であれほど怒りを露わにした武豊騎手を見たのは、あの時が初めてではなかろうか。裁決の見解は、スターエルドラードの斜行とテレグノシスの斜行はまったく別個の事案であり、それぞれの事案は単体では走行妨害には値しないから結果として降着にはならない、というものだった。すなわち「合わせ技一本」にはならないんだよ、ということである。

杉浦調教師と勝浦騎手にとってこの20分間はとてつもなく長く感じられたことだろう。と同時に、現行の審議基準に照らし合わせた場合、このケースがどのように裁かれるのかも興味深い。

Katsuura 

ともあれ、この勝利は種牡馬トニービンにとっても大きな1勝となった。東京得意として知られるトニービン産駒は、この勝利によって東京競馬場で当時行われていた芝のGⅠ6レース(オークス、ダービー、安田記念、天皇賞・秋、ジャパンC、NHKマイルC)の完全制覇を達成。また、結果的にトニービン産駒によるれが最後のGⅠ勝利でもあった。せっかくそんなことを思い出したのだから、明日はトニービンの血を引くアーバンキッド、シャドウアプローチ、ブレイブスマッシュの3頭を買ってみようか。

 

***** 2016/05/07 *****

 

 

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2016年5月 6日 (金)

見納めの景色

かしわ記念や東京湾カップと日程が重なることから、最近は足を運ぶ機会がまるで無かったのだが、今年はちょいと事情が異なる。ともあれ、昨日は船橋ではなく敢えてここへやって来た。

Baba 

今年で45回目を迎える馬事公苑のビッグイベント「ホースショー」は、障害馬術競技会としては国内トップクラスの人馬が集まる日本馬術連盟公認の競技会。それに相応しいハイレベルの熱戦が、目にも鮮やかなターフの上で今年も繰り広げられた。見どころは馬術競技だけではない。体験乗馬や馬車試乗会など馬に親しむための馬事アトラクションが盛りだくさん。まさに日本最大級の馬事文化イベントと言っても過言ではあるまい。

Zennno 

競技の合間のイベントに姿を現した栗毛馬はゼンノパルテノン。2009年の東京スプリントを勝った重賞ウイナーは、引退後は乗馬としてここで過ごしている。フジノウェーブを瞬く間に置き去りにしたあのスピードは見事だった。

Tck 

パドックの木陰で涼んでいるのは、2004年の朝日杯を勝ったマイネルレコルト。GⅠ馬を身近に、しかも気軽に見ることができる施設など、そうそうあるものではない。

Miner 

かつては騎手の養成施設として岡部幸雄や福永洋一といった数多くの名手を送り出し、前回の東京五輪では馬術競技の会場にもなった馬事公苑は1940年に開苑。76年間もの長い歴史を誇る。今では馬のいる公苑として近隣住民の憩いの場となっているが、戦時中には一時的ではあるにせよここで競馬が行われていたことを知る人はほとんどいまい。ミスター競馬こと野平祐二騎手の記念すべき初勝利は、ここ馬事公苑のレースだった。ダート1300mを1分39秒0。騎乗馬はタカラヤマである。

そんな歴史を誇る馬事公苑が、2020年東京五輪の馬術会場に選定された。それに合わせて来年1月から2019年の夏までの間、リニューアル工事のため閉苑することが既に決まっている。すなわち、昨日のホースショーは、今の姿の馬事公苑で行われる最後のホースショーだった。ならば目に焼き付けておかねばなるまい。そう思った人は私のほかにも大勢いたのだろうか。私が知るホースショーとしては、これまでにない大観衆だった。

リニューアルの間、マイネルレコルトやゼンノパルテノンといった在厩馬たちは、東京競馬場などに引っ越すことになるらしい。そのために東京競馬場の乗馬苑も既に拡張リニューアル済み。新たな住処が彼らにとって居心地のよい場所となるよう祈りつつ、2020年東京五輪の馬術競技の開催を楽しみに待つこととしよう。

 

***** 2016/05/06 *****

 

 

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2016年5月 5日 (木)

【訃報】スマートボーイ

ブルーコンコルドとほぼ同じタイミングでスマートボーイの訃報が届いたことには驚いた。21歳。ダート戦線で長く活躍した名馬の死が相次ぐ。徹頭徹尾の逃げにこだわるダート1800mのスペシャリスト。似た馬を探せと言われても、すぐに浮かんでこない。そういう意味では数少ない個性派だった。馬の死は常に悲しいが、それが個性派となるとなお悲しい。

スマートボーイについて書こうとするとき、昨日書いたブルーコンコルドと似た点がひとつと、まったく逆の点がひとつ、それぞれ頭に思い浮かぶ。

似た点というのは、ベストパートナーの存在である。言うまでもなく伊藤直人騎手のこと。スマートボーイは通算62戦を走ったが、そのうち実に41回が伊藤直騎手の手綱による。特にオープン入りしてからは、ごく稀に乗り替わることはあっても、2戦続けて伊藤直騎手から手が離れるということはなかった。伊藤直騎手が手にした重賞6勝のうち5勝はスマートボーイによるものである。スマートボーイにとってのベストパートナーが伊藤直騎手と言うよりは、伊藤直騎手のベストパートナーがスマートボーイと言った方が正しいかもしれない。

Smart 

一方でブルーコンコルドとまったく逆―――と言うか、その置かれた立場の違いをあらためて考えさせられこと。それは、スマートボーイがGⅠ優勝どころかGⅡ勝ちすらない実績のまま、めでたく種牡馬入りできたことである。GⅠは3度挑戦して、7着、13着、16着という成績に留まる。もちろんGⅢ5勝という成績が足りないと言うつもりはない。ただ、この5勝はすべてJRAのレース。JRAのダート重賞5勝は、たしか史上初の出来事だった。

種牡馬になるには成績のみならず持って生まれた血統も重視されるが、スマートボーイの場合はオーナーブリーダーの生産馬であった点も見逃せまい。結果、地方とはいえトウホクビジンやナンテカ、ドラゴンウィスパーといった重賞ウイナーを輩出するだけにとどまらず、最近ではモダンウーマンの母の父としても存在感を保っている。スマートボーイは死んだが、その血はしばらく我々の前から消えることはない。

Ito 

スマートボーイは種牡馬として一定の実績を残してこの世を去った。ここで私が言えるのはその程度のことだ。「GⅠをいくつ勝てば……」という単純な視点では語り切れぬところが、一部のファンをやきもきさせるのであろう。その気持ちは痛いほど分かるが、生産は需要と供給の世界であることも忘れてはならない。安易な種牡馬入りは、不幸な馬を増やすだけに終わる危険性も孕む。その責任を誰が取るのか。その答えを今の私は持っていない。

 

***** 2016/05/05 *****

 

 

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2016年5月 4日 (水)

【訃報】ブルーコンコルド

かしわ記念の直前になって2007年のこのレースの覇者であるブルーコンコルドの訃報が伝えられた。16歳は若い。さしものGⅠ7勝馬も蹄葉炎には勝てなかった。

Blue2 

2歳時に京王杯2歳Sを勝ってはいたものの、開眼したのは4歳の12月になってから。それまで8人もの騎手が目まぐるしく乗り替わりながら19戦3勝。だが、ギャラクシーSで初めてコンビを組んだ幸英明騎手との出会いが彼の運命を変えた。そこから引退までの31戦は幸騎手以外でコンビを組んだことは一度もない。なにせ彼は、競馬開催日でもブルーコンコルドの調教のためだけに栗東に戻ることを選んだほど。文字通りのベストパートナー。GⅠ7勝は馬と人との絆の賜物でもあった。

Blue1 

ブルーコンコルドがマイラーとして成績を積み重ねたことは、南部杯3連覇の記録を見ればわかる。なにせ幸騎手が乗るようになってから、マイル戦では(5,4,0,2)。5勝はすべてGⅠだからケチのつけようがない。にも関わらず、距離延長を調教師に進言したのは、ほかならぬ幸騎手だった。

実は幸騎手には、ブルーコンコルドとのレースで印象に残るレースがふたつあるという。いちばん悔しいのが9着に敗れた2006年のJCダート。そして、いちばん嬉しいレースは、優勝した同年の東京大賞典だ。

自ら距離延長を調教師に進言したにも関わらず、JCダートは前が壁になり不完全燃焼のままレースが終わってしまった。だが、その敗因が「距離」にあると断じた評論家も少なくない。自分の意見の正しさを証明するためには東京大賞典を勝つ必要がある。それを見事に実現し、リベンジを果たしたのだから嬉しさも倍増であろう。この勝利でこの年の3つ目のダートGⅠタイトルを獲得。「最優秀ダート馬」のタイトルも確実かと思われた。

だが、フタを空けてみれば、JCダートを勝っただけのアロンダイトが選ばれるという意外な結末。関係者は屈辱だったに違いない。しかしそれが周囲の評価であることも事実。いずれ種牡馬となるためにはJRAのタイトルが絶対に必要―――。2100mのJCダートに挑まんとして距離延長を進言したその源にあったものは、実はパートナーへの思いやりだったのではあるまいか。結果的に実現することのなかった種牡馬への道を思う時、どうしてもそんなことを考えてしまうのである。

 

***** 2016/05/04 *****

 

 

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2016年5月 3日 (火)

【千葉うどん旅②】しょうね家

朝早く起きて千葉へ。それでもアクアラインは大渋滞ですよ。いやはやGWはたいへんですね。普段から盆も正月もGWもない生活を送っているだけに、こういう状況にはなかなか慣れない。

それでもアクアラインを渡ってしまえばこっちのもの。大半の車が観光地を目指すのを横目に、こちらは観光とは縁もゆかりもない下総地域を目指す。やがて辿り付いた八街界隈では店頭で落花生を干す姿もチラホラ。今日は好天。絶好の落花生干し日和だ。

Rakkasei 

さらに車を走らせると、今度は馬の姿がチラホラ。もちろん天日干しをしているわけではない。この馬は現役競走馬だが今は休養中。青空のもとで英気を養ってるわけだ。

Uma 

このあたりは江戸時代に幕府直轄の馬の牧場が営まれていたことをご存じだろうか。戦国大名の北条氏政が下総を拠点としていた千葉氏に命じて設置させた牧(まき)を、結果的に徳川家康が引き継いだ。現在の八街市から佐原市までに及ぶ広大な牧には、当時3千頭以上の馬が放牧されていたとされる。社台ファーム、シンボリ牧場、出羽牧場、下河辺牧場、千代田牧場、等々。日本の競馬を支えてきた名門牧場のルーツがこの下総地域にあるのは、そうした歴史的背景があってのことだ。

八街市から県道43号を北上。富里市に入ってしばらく進んだあたりに、『しょうね家』という讃岐うどん専門店が看板を掲げている。

Kanban 

注文のぶっかけは出色の美味さ。ツユは辛過ぎず、甘過ぎず、麺のツヤ、コシも都内の名店とそん色ない。成田に戻ってきて真っ先にこの店に立ち寄る人もいるという話も、これを食べれば頷けようと言うもの。こんなお店が近くにある八街、富里の皆さんが羨ましい。

Bukkake 

実は「両国のセリ」でお馴染みの千葉県両総馬匹農業協同組合はこの近くにある。ちょっと前まで千葉サラブレッドセールはここで行われていた。ちょいと……と言うか、かなり遠いですよねぇ。仕事を持つ人が、平日の早朝から簡単に行ける場所ではない。それが今では船橋競馬場で行われるから便利なもの。願わくば船橋競馬場の近くに、これくらい美味しいうどん屋さんがあれば、言うことないのだが……。

 

***** 2016/05/03 *****

 

 

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2016年5月 2日 (月)

ダービーの秘密兵器を探せ

モーリスが香港チャンピオンズマイルを勝ち、日香の古馬マイルGⅠ4冠を完全制覇した。もはやアジアに狙うべきレースは無い。となれば次は欧州であろう。日本で生産され調教された馬が欧州のGⅠを勝つようなことがあれば、それは史上初の快挙である。

先日も書いたように、モーリスは2013年の北海道トレーニングセールで一番時計を叩き出して注目を集めた一頭だった。その調教タイムは21秒80-10秒93。2ハロン連続の10秒台はモーリス一頭だったと記憶する。今年のセールは今月23日に行われるが、今回のモーリスの勝利がセールに勢いをもたらすことは間違いあるまい。上場250頭(※現時点の予定)の中に、世界的マイラーが眠っている可能性もある。

ところで、そうなると昨年の一番時計馬の動向が気になるという方もいるのではないか。

2015年北海道トレーニングセールの一番時計は20秒77-10秒25。モーリスよりも速いタイムを叩き出したのは「プラススキー2013」というスェプトオーヴァーボード産駒の牡馬だった。その後、ライゾマティクスと名付けられて昨年7月の門別・スーパーフレッシュチャレンジ競走では、2着馬を2秒8も千切るという衝撃のデビューを飾っている。

続くブリーダーズゴールドジュニアカップではレース中に外傷を負って敗れてしまうが、直後の南関東転入緒戦は楽勝。「ハッピースプリント級か、それ以上」との声も上がった。だがその翌日に右前遠位端骨折が判明。全日本2歳優駿は諦めるしかない。クラシックに間に合うかどうか―――。そこは微妙なところだった。

そのライゾマティクスが、先週の浦和で復帰したのである。管理する小久保調教師は「まだ6~7分の仕上がり」と言うものの、実際には軽めの時計を3回出した程度。傍から見れば「5分にも満たないんじゃないか」とも思えた。それでも調教師は「無事に回ってくればいい」と自信満々。実際、レースはソロっとした出だしからジワっとハナ。1周目のゴール通過時に外からポッドブロンコに絡まれて多少エキサイトした瞬間もあったが、それをやり過ごしたあとは特に何もせぬまま4馬身差をつけて逃げ切ってみせた。まあ、強いこと。

Sakai 

結果を見れば、ここでは能力がまるで違ったとしか言いようがない。1分36秒1の勝ち時計は平凡とはいえ、今回のテーマは「無事に回ってくること」だったはず。そういう意味では良い始動戦だった。翌日も脚元には問題はなかったと聞く。東京ダービーへの望みは繋がった。注目の次走は大井のダービートライアル。羽田盃にも東京湾カップにも間に合わなかった以上、ダービーを目指すならここを勝つしかない。果たしてタービランスの強敵となり得るか。運命のダービートライアルは5月16日、大井11レースだ。

 

***** 2016/05/02 *****

 

 

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2016年5月 1日 (日)

遅れて来た大物を探せ

「明日は競馬場に行けそうもない」

昨日そう書いたばかりだが―――。

Tokyo 

なんと来れちゃいました。こうなったらキタサンブラックの単勝1億円買わなきゃダメですかね(笑)

ともあれ仕事の予定が遅れたので今日は4レースまで競馬場にいられる。未勝利戦ばかりだけど、せっかく入場料を払うのだから、やはりナマのレースを見ておきたい。んで、できることなら、その未勝利を勝った馬が、のちにGⅠを勝ってくれたりするとなお嬉しい。なんて、そんな都合の良い話はないですよね。なにせ今日から5月。未勝利戦のメンバーもいささか枯れてきている。

ところが、その4レースに3頭もの初出走馬を見つけた。デビュー戦を迎える馬がいるとなれば話は別。ぜんぜん枯れてない。先週の東京ダートの未勝利戦でデビュー戦を飾ったヨクエロマンボのレースぶりをご覧になっただろうか。見てないと言う方は、どうかJRAのサイトからレース映像をご覧いただきたい。ダートで35秒台の末脚に「遅れて来た大物」の香りがぷんぷん漂う。思えば、タイキシャトルのデビュー戦も4月の東京開催。ダートの未勝利戦を経験馬相手に圧勝だった。

この東京4Rでデビューを迎える3頭の中に、果たして「遅れて来た大物」はいるのだろうか。

まずフォルテミニョン。彼女のお母さんは……、おお! 天皇賞連覇フェノーメノを産んだディラローシェではないか。お父さんはステイゴールドからディープインパクトに変わったが、マイル戦が舞台ならむしろ好都合であろう。もちろん戸田厩舎所属。3番人気。

05 

続いてヴィオレッタ。父・シンボリクリスエス、母・プリンセスカメリアということは、なんと朝日杯を勝ったアルフレードの全妹である。手塚厩舎所属というのもお兄さんと同じ。9番人気。

08 

最後にマンボキッス。お母さんがスコルピオンキッスだから、スティンガーの孫娘ということになる。血統的に初戦から能力発揮してもおかしくはない。ただ、父がハービンジャーだからもう少し距離が欲しいだろうか。12番人気。

16 

血統を見る限り「遅れて来た大物」の資格は十分。こうなったら馬券もこの3頭を買おう。果たしてレースの結末は―――。

1頭として掲示板にすら載りませんでしたcoldsweats01

奇跡的に転がり込んできた時間でようやく見ることができたナマの競馬だが、だからと言って夢と希望に満ち溢れた結果に終わるとは限らない。そんなことを思い知らされて競馬場を後にした。経験馬相手のデビュー戦はやはり不利なのである。ヨクエロマンボはつくづく凄い。

 

***** 2016/05/01 *****

 

 

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