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2016年4月30日 (土)

ジンクスに負けるな

天皇賞は春と秋の年2回行われるが、かつては「堅い春、荒れる秋」というのが定説だった。東京2000mのような枠順による有利不利もなく、距離も3200mと長いから多少の出遅れがあってもカバーできる。だからこそ、春の盾こそ真の実力日本一を決めるレースと讃えられてきたのである。

だが、いつの頃からか巷では「荒れる春、堅い秋」と語られるようになり、いまではそっちの方が定説化しているのだという。

潮目が変わったのは2002年頃ではなかろうか。01年までに春の天皇賞は63回実施され、1番人気は35勝を挙げていた。勝率にして.556のハイアベレージ。一方、秋は62回のうち1番人気は15勝どまり。同.242である。たしかに春は堅く、そして秋は荒れていた。

だが2002年以降の1番人気馬の成績を見ると、春が(1,0,4,9)であるのに対し、秋は(6,3,2,3)。両者の立場は完全に逆転している。春の勝利は2006年のディープインパクトのみ。つまり春の1番人気馬は昨年まで9連敗中で、しかも2着すらないのである。

理由は考えられる。いまや特殊領域と化した3200mという距離のレースを勝ったところで、種牡馬としての評価にはつながりにくい。今年で言えば、2冠馬ドゥラメンテも、菊花賞2着のリアルスティールも、最優秀古馬ラブリーデイも、ダービー馬ワンアンドオンリーも、みんな春天には見向きもしなかった。こうなると出走馬の力量の比較そのものが難しくなってしまう。1番人気が勝てないのではなく、勝てない馬を1番人気にしてしまった―――。問題は人の側にある。

明日の天皇賞で1番人気に指示されているのはゴールドアクター。有馬記念を含めて5連勝中なのだから、この人気は間違っていまい。だが、その有馬記念は8番人気。正直気楽な立場だった。今回は1番人気のプレッシャーに加え、春天1番人気9連敗中のジンクスとも戦わなくてはならない。

個人的にはゴールドアクターに勝ってもらいたいなと思っている。さらに、その1時間半後に発走する香港チャンピオンズマイルのモーリスにも勝ってもらって、スクリーンヒーロー産駒による日香同日GⅠ制覇の達成を見てみたい。世界的な種牡馬なら珍しくもない記録だろうけど、スクリーンヒーローが達成するとなれば話は別。だってスクリーンヒーローですよ。種牡馬入り当初は受胎条件30万円の評価に過ぎなかった。そこからこんな2頭が生まれることもあるから、生産はロマンなのである。

Hero 

それでも春天1番人気受難の流れは如何ともしがたい。できることなら2番人気キタサンブラックの単勝を1億円ほど購入して、私の力でゴールドアクターを2番人気にしてあげたいと思う。だが、残念なことに明日は競馬場にも場外にも行くことができそうもない。申し訳ないが、ゴールドアクターには自らの力でプレッシャーとジンクスに打ち勝ってもらうしかなさそうだ。

 

***** 2016/04/30 *****

 

 

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2016年4月29日 (金)

ジンクスに逆らえ

青葉賞は重賞に格上げされてから今年が22回目。過去には2頭の年度代表馬がここで重賞初勝利を挙げている。

Symboli 

ダービーと同じスタート地点から発走するトライアルとして注目されるべき一戦。だがしかし、過去の青葉賞馬はダービーで(0,6,1,14)といまだ勝てないでいある。青葉賞が指定オープンだった時代も、レオダーバンの2着が精一杯。青葉賞馬はダービーを勝てない―――。いつの頃からか、そんなことがダービーのジンクスとして語られるようになった。

青葉賞勝ち馬は、なぜダービーを勝てないのか?

こういう疑問を「単なるジンクス」として放置せず、なんとか合理的に解明しようと試みるのが、日本の正しい競馬ファンの姿である。ローテーションに目を付けた人は、中3週で東京の2400mを2度走ることの負担を口にするし、レースの格を重んじる人は、皐月賞と青葉賞とではレースの激しさが違うのだから皐月賞組優位は当然だろうとクールに言ってのけたりする。

それでも20回以上もやっていれば、一度くらいはダービー優勝馬が出てもおかしくないように思えてならない。なのに、シンボリクリスエス、ゼンノロブロイ、フェノーメノといった逸材を以てしても、その壁は越えることができなかった。ダービーでの2着6回という数字には逆に恐怖さえ感じる。ジンクスというより、もはや呪いではないか。アプレザンレーヴ(父シンボリクリスエス)、10年ペルーサ(父ゼンノロブロイ)、14年ショウナンラグーン(父シンボリクリスエス)。その呪いは、あろうことか親から子へと受け継がれてなお青葉賞馬たちを苦しめているのだ。

Robroy 

だがしかし、我々はフサイチコンコルドやウオッカの、まるで奇跡としか思えないダービー制覇を目撃するたびに、「ジンクスは破られるためにある」の格言を思い知らされてきた。むろん呪いなどあるものか。「競馬に絶対はない」。これこそもっとも競馬で使い古された格言。ジンクスよりは格言を信じよう。今年の青葉賞馬が1か月後にはダービー馬となっている可能性だってある。歴史の目撃者となるためには、まずは土曜の青葉賞をしっかり見ておかねばなるまい。

 

***** 2016/04/29 *****

 

 

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2016年4月28日 (木)

絶対当たる馬券

実は昨日の話には続きがある。

たった200円分の馬券を買うのに、それと同額の入場料を払わされた私はアタマに来ていた。アホらしい。それならもっとたくさん馬券を買うんだった。いまからもう一回行ってやろうか。でも、そんなことしたら、もう一回入場料を取られるし。立川まで行けばWINSがあるけど、立川まで行けば電車賃の方が高くつく。困ったな……。

そんな折もおり、競馬場にいる知り合いから連絡が入ったのである。

「あー、もしもし。今どこにいてはるんですか? ええっ? いてない? どっか具合でも悪いんでっか?」

まだこういう反応する人がいるのかと驚いたが、ともかく良いタイミングで連絡をくれた。彼に馬券を頼もう。しかし何を買ったところで当たる気がしない。むざむざ負けを増やすのは癪に障る。

「何か絶対当たる馬券はないもんかなぁ……」

冗談で言ったつもりであった。競馬に絶対などあるはずがない。だから競馬が競馬として成立するのである。そしたら、電話の向こうから「あー、それなら良いのがありますよ」という声が聞こえてくるではないか。

私の冗談に付き合っているのだろうが、そんなものがあれば苦労しない。しょーもないウソをつくな!と一喝しようとしたら、「えーと、東京のメトロポリタンステークスですね。あれれ、メインじゃなくて10レースなんや。うわ、間違えるとこやった」と相手は平然と話を続けるのである。

「ええですか。このレース6頭しか出走しないんですよ。そんなら3連単を全通り買っても120点やないですか。ちょっと狂えば万馬券なんて簡単にでますやろ。しかも絶対にハズれることはありまへん」

……なるほど。

しかし百円ずつ買っても1万2千円かぁ。私は平場のレースに3千円以上を投じることはほとんどない。GⅠでもせいぜい5千円が限度。ダービーは特別だから1万円。むろんあくまで原則に過ぎないが、それで40年近くやってきた。なのに、こんなところでダービーを超える額を投じるのは正直気が引ける。なにせ怒りのもとは200円に過ぎないのだし、配当が120倍に届かなければ赤字だしなぁ……。。

んで、悩んだ挙句に購入した馬券はコチラ。

3renpuku 

かなりチキってしまいました(笑) でも「絶対に当たる馬券」に違いはない。あとは荒れろ荒れろと念じてレースを見守るのみ。んで、その結果は……。

 東京10R・メトロポリタンS
--------------------------------
1着⑤モンドインテロ 1人気
2着①タマモベストプレイ 3人気
3着④フレージャパン 6人気
4着⑥プランスペスカ 5人気
5着③クリールカイザー 4人気
6着②ジャングルクルーズ 2人気

 3連複 ①④⑤ 3,080円
 3連単 ⑤①④ 8,900円

おお!プラスだ!! 最低人気で3着に食い込んだフレージャパンは偉い

たった千円ちょっとの儲けとはいえ、もし3連単で勝負していたら3100円の赤字だったことを思えば、まあ悪くない。馬柱の印だけを見れば、まさかこんな結果になるとは思えないけど、やっぱ競馬はやってみなければ分かりませんな。

Denma 

ただし思ったことがひとつある。普通に予想して30倍の3連複を的中させた時のような興奮は、今回まったく感じることがなかった。荒れろと思ってみていると、心の奥底で何かアクシデントのようなものを期待してしまいそうでいけない。これならハズれてイジケてる方が、まだ性に合っている。「絶対に当たる馬券」は「絶対に楽しい馬券」ではない。いまさらそんなことを勉強させてもらった。

 

***** 2016/04/28 *****

 

 

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2016年4月27日 (水)

テラ銭

先週土曜の話をする。

朝、仕事場に向かう途中に馬券を仕入れようと東京競馬場に向かった。京都の10Rに出走するシゲルノコギリザメの馬券を買いたい。実はこの馬と私にはちょっとした縁がある。それで単勝だけでも買っておこうと立ち寄ったのだが……、

Gate 

なんと200円の入場料を取られた。

この日から東京開催が始まっていたことをすっかり忘れていたのである。前の週まではタダで入れたのに、今週からそうもいかなくなる。むろんこのあとは仕事だからレースを見るわけでもない。200円の馬券を買うのに、400円を支払う虚しさを理解していただけるだろうか。私だけ控除率50%みたいなもんじゃないか。いや、厳密には違うな。単複の馬券にはそもそも約20%の控除が発生しているのだから、400円使ったうちの240円をJRAに取られたことになる。その控除率はなんと60%! アホらしい。こんなアコギなギャンブルがあるもんか。

Baken 

実際には、宝くじやサッカーくじの控除率は50%を超えている。しかし、これらはあくまでも「くじ」である。馬券の控除率は一般に25%として広まっているが、これも平均値に過ぎない。厳密には法によって定められた複雑な計算式がある。ともあれ、競馬の控除率としては世界的に見てもべらぼうに高い。昨今話題の闇カジノや野球賭博でもテラ銭は5~10%。違法とはいえ客にはずいぶんと優しい。そこは客商売たる所以であろう。

なぜ、日本の競馬の控除率はこうも高いのか。その歴史は戦時中まで遡る。25%もの高い控除率は、かさむ一方の戦費捻出に協力するための窮余の策だった。しかし戦争が終わっても、復興のための費用が必要だから下げるわけにもいかない。そのままズルズルと今日に至った。年間売上が数十億円だった当時はまだしも、2兆円産業となった現在でも同率のままとは、お上もちゃっかりしている。

もっとも、その使い道が納得ができるものなら、私だって文句はない。競馬の収益金のうち75%は畜産振興費。なのに牛肉の値段が世界一とはどういうことか。昨今ならまず熊本地震であろう。JRAも1000万円を寄付すると発表したが、騎手ひとりが数百万円を寄付している状況を鑑みてバランス的にどうかという思いが拭えない。いっそ開催の上がりすべてを寄付するくらいしてみてはどうか。

江戸時代もバクチは御法度だったが、それでもバクチを打ちたい面々はお寺の中に賭場を開帳したという。なぜか。寺の中なら、町奉行といえど易々と捜査に踏み込めない。そこで賭場を開帳させてくれたお礼にと、博徒はお寺にいくばくかの寄進をした。だから「テラ銭」であり、だから「坊主丸儲け」なのである。JRAは現代の“坊主”になってやしないか。

なんて、ぶつぶつ文句を言いながらシゲルノコギリザメは健闘及ばず3着に終わった。私の場合、そもそも控除率は100%であることがほとんど。文句を言うなら、せめて25%程度になるまで腕を上げてから言うべきなのだろう。

 

***** 2016/04/27 *****

 

 

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2016年4月26日 (火)

セン馬の天皇賞

今回で153回を数える天皇賞。第1回が行われたのは1937年の秋だが、その前身となるレースは1905年、根岸競馬場での「皇帝陛下御賞杯」にまで遡る。

歴史と伝統を誇るレースだけに競走条件は様々に変わってきた。前身時代は、芦毛馬の出走が禁止となっていたこともある。我が国の競馬は軍馬育成という錦の御旗の下に発展してきた。加齢とともに馬体が白くなる芦毛は、戦場で目立つことこの上ない。加えて「芦毛は弱い」という根拠のないレッテルを貼られていたせいもある。世が世なら、タマモクロス、メジロマックイーン、ビワハヤヒデ、ゴールドシップらは、天皇賞に挑戦すらできなかった。

一方で、去勢された馬、すなわちセン馬の出走が認められたのは2008年だからごく最近のこと。以来、のべ8頭が挑戦して(0,0,2,6)の成績が残る。2度の3着はレッドカドーとカレンミロティック。いずれも「春」というところが興味深い。そしたら今年の春天にはなんと3頭ものセン馬が登録してきたではないか。仮に3頭が揃って出走すれば天皇賞史上初の出来事となる。

Karen 

カレンミロティック(セン8)
ファタモルガーナ(セン8)
ヤマニンボアラクテ(セン5)

「8歳」というといかにも年寄り臭く感じるかもしれないが、セン馬はタフに長く活躍することで知られる。タネ馬になれないからと、無理矢理走らされているばかりでは決してない。10歳で小倉大賞典を勝ったアサカディフイートが好例。米国の伝説のセン馬ジョンヘンリーやケルソを持ち出すまでもない。カレンミロティックは昨年の3着馬。ファタモルガーナは8歳にして春天初挑戦だが、ステイヤーズSとダイヤモンドSに3年連続で出走して(0,3,1,2)なら期待できる。

Fata 

牡馬を去勢してセン馬とするには、やむを得ない事情がある。クラシックレースへの出走も不可なら、やがて種牡馬となることもできない。それでもあえてセン馬とするのは、前面に出てしまう気難しさを何とか和らげ、ちゃんとした競走馬になって欲しいからだ。どれだけ素晴らしい血統を有しても、どれだけ目を引く馬体を誇っても、まずは競走馬にならなければどうにもならない。彼らが走る姿を見るたび、そんな関係者の逡巡にまで思いが及んでしまう。

ちなみに、2007年までセン馬の出走が認められていなかった天皇賞だが、前身時代にはセン馬の優勝が記録に残っている。1906年、池上競馬場で行われたレースを勝った桂(カツラ)がその一頭。今回もしセン馬が勝てば、実に110年ぶりの出来事となるのだが、果たして……。

 

***** 2016/04/26 *****

 

 

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2016年4月25日 (月)

募金

「熊本の人たちに募金したい」

そう言って娘が千円札を渡してきた。昨日の話である。

それにしても、我が子ながらなんと見上げた心がけであろうか。月々のお小遣いの額を考えれば、彼女の千円は大金である。できれば何か物を送りたいのだが、それは難しいようだから募金したいのだという。

「なるほど。それは良い心がけだ」

私は褒めちぎりたい気持ちをグッと抑え、さも当然という口調でそう答えた。軽々しく褒めては親の権威にかかわる。

「ならばJRAのジョッキーたちが募金活動をしているらしいから、それに協力しなさい。今から競馬場に行けば最終レースに間に合うだろう。募金は最終レースのあとだ」

そう言いながら、いざ来てみればメインに間に合ってしまった。オークストライアルのフローラS。一昨日このブログで取り上げたチェッキーノが出るのなら、彼女の単勝をちょこっと買ってみようか。万一当たったらその払戻金も募金すればいい。

Flora 

そしたらホントに勝ってしまった。しかも大外枠をものともせぬ3馬身差。1分59秒7の勝ち時計も速い。なんとなく厩舎の大先輩・シンボリクリスエスが連覇を決めた秋の天皇賞を思い出した。ジュエラーやシンハライト相手でも、きっと好勝負になるに違いない。

それにしても、私の単勝が当たるなんていつ以来だろうか? だがしかし、いま思えば、「払戻金は募金する」と決めた時点で、すでに私の馬券ではなかったのであろう。なのに、それを「好調」と勘違いした私はバカである。これならもっと募金額を増やせるかもしれない―――。

「募金」と言いながら、実際には欲目丸出しの私である。それで続く最終レースはがっつり馬連で予想した挙句、結果1・3着、2・3着に終わった。嗚呼、やっぱり……。

だからと言って、娘の千円だけを募金して帰るわけにもいかぬ。ここは親としての範を示す時。さあ、いくら募金しようか。やっぱ、さっきいったん手にしたフローラSの払戻と同じ金額かなあ……。などとゴソゴソ財布を探りつつ募金エリアにやってきたら、なんと顔見知りの騎手が目の前に立っていた。ほかにも騎手は大勢いるのに、なんでよりによって彼の前に来てしまったんだ。

「おっ!●●さん(私の名前)。募金ありがとうございますっ!!」

その声に圧倒されて、思わずドーンと行ってしまったのである。このトシになってもなお、欲と見栄に勝てぬ自分が情けない。これでは娘の方がよっぽど大人ではないか。どうか募金は有意義に使ってください。熊本をはじめ、地震の被害に遭われた九州の皆様にも、この場を借りてお見舞い申し上げます。

 

***** 2016/04/25 *****

 

 

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2016年4月24日 (日)

あと一歩

その場に行って見てきたようなことを書くのは気が引けるのだが、先週木曜に大井で行われた東京プリンセス賞をリンダリンダが勝った。

いや、「ついに勝った」と書くべきか。東京2歳優駿牝馬、ユングフラウ賞、桜花賞と、3戦続けてあと一歩及ばなかったモダンウーマンの牙城をついに破ったのだから、関係者の喜びもひとしおであろう。直線での桑村真明騎手の追いっぷりには、TVの画面を通してでも鬼気迫るものを感じた。このレースをナマで見ることができなかったことは痛恨至極。雨にも関わらず現地で観戦された方には敬意を表したい。

レースの写真がないので、代わりにこの写真を掲載する。左海誠二騎手を背に馬場入りするのはクリムゾンルージュ。10年ほど前に北海道と南関東で活躍したエンドスウィープ産駒の牝馬だが、いまとなってはリンダリンダのお母さんと紹介した方が通りが良さそうだ。

Sakai 

彼女は通算で3勝を挙げているが、重賞となると(0,2,4,2)とあと一歩が届かなかった。TCK女王盃では勝ったサウンドザビーチにタイム差無しの悔しい3着。スパーキングレディCでもライラプスやヤマトマリオンに先着しながらやはり3着である。JRAへの遠征にも積極的で、芝ばかり6戦して(0,2,2,2)なら悪くない。だから南関東限定重賞ならいつでも勝てるだろう。周りはそう思っていたような気がする。だが、彼女の同期にはチャームアスリープがいた。言わずと知れた2006年の南関3冠牝馬。この年の東京プリンセス賞でも、クリムゾンルージュはチャームアスリープの3着に敗れた。

Princess 

リンダリンダの出馬表の母親欄にクリムゾンルージュの名前を見つけたのは、昨年暮れの東京2歳優駿牝馬の時。それで期待を込めてレースを見届けると、圧倒的人気のモダンウーマンの2着に頑張ったではないか。ちょっとした喜びののち、だがしかし多少悲しい気持ちにもなった。お母さんと同じように、リンダリンダも重賞であと一歩だけ届かないような現役生活を送ることになるのかもしれない。モダンウーマンはあの時のチャームアスリープなのではあるまいか―――。失礼ながらそんなことを思ったりしたものである。

Rinda 

その後のリンダリンダは、ユングフラウ賞がモダンウーマンの3着。桜花賞でもモダウンウーマンの2着。あと一歩が届かない。私の危惧は現実のものになりつつあった。そんな予想が当たっても嬉しくはない。そんな矢先のリンダリンダの快勝劇である。申し訳ないが、正直言って喜びよりも驚きが先に立った。あれ? 勝っちゃった……?

桑村騎手は前日の門別で北斗盃を勝ったばかり。しかも騎乗機会4戦全勝とノリにノッていた。そんな運も味方に付けたとはいえ、自らの走りでお母さんのリベンジを果たしたリンダリンダは偉い。次走、関東オークスでは、やはりお母さんがあと一歩届かなかったダートグレードのタイトル奪取がかかる。楽しみだ。

 

***** 2016/04/24 *****

 

 

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2016年4月23日 (土)

目指せオークス

フローラS(サンスポ賞4歳牝馬特別)の出走メンバーに桜花賞組の名を見なくなって久しい。

マックスビューティ、メジロラモーヌ、リーゼンクロス、…等々。かつては桜花賞馬の参戦さえ珍しくなかった由緒あるレースである。1988年のアラホウトクを最後に桜花賞馬が出てくることはなくなったが、それでも桜花賞で敗れた馬がオークスに向けての仕切り直しで出走してくることは珍しくなかった。

「桜花賞出走組」vs「遅れてやって来た上がり馬」。果たしてどちらが強いのか―――。

それこそが、このレース最大の関心事ではなかったか。桜花賞との間隔が中1週になった2000年以降も、フューチャサンデー、テイエムプリキュア、イクスキューズ、その他数多の桜花賞出走馬がフローラSに出走してきた。だがそれも2011年のダンスファンタジアを最後に途絶えている。

しかも今年のメンバーには前走アネモネS1着というチェッキーノが名を連ねた。桜花賞トライアルの1着馬が、桜花賞に出ることなくオークストライアルに出てくるというケースも当方記憶にない。同じく藤澤和雄調教師の管理馬であるペルーサが、若葉Sを勝ちながら皐月賞をソデにして青葉賞に出てきたことを思い起こさせるローテーションだ。

藤澤調教師は「サンスポ賞4歳牝馬特別」時代のこのレースを2勝している。1勝目はサイレントハピネスで勝った1995年。その直後の藤澤師のコメントが忘れられない。「(オークスまでの)中2週で馬体が回復するかどうか。ローテーション的にはダービーの方が良いかな」。そう言ってダービーへの特別登録も済ませた。それでもなんだかんだでオークスに出ることになったのだが、レース2日前になって体調不良を理由に回避。結局はオークスにもダービーにも出ることはなかった。

その4年後に、サイレントハピネスの妹・スティンガーでこのレース2勝目を目指した藤澤師は「NHKマイルカップも視野にある」としつつも、フサイチエアデールを差し切ったレースぶりを見てオークス参戦を明言。今度は無事にオークスに出走したもののウメノファイバーの4着と敗れている。

Stinger 

その後も、藤澤師はレディミューズ、ハッピーパス、シャイニンルビー、ダンスインザムード、バウンスシャッセと次々とオークスに送り込んだ。しかもシャイニンルビーとダンスインザムードは1番人気の評価を得た。ダンスインザムードに至っては単勝オッズ1.4倍である。それでも勝てないのだからオークスの壁は厚い。ちなみにハッピーパスは8番人気で7着だった。チェッキーノはぜひともここを勝って、管理調教師だけでなく母の悲願をも果たす舞台に立ちたい。

 

***** 2016/04/23 *****

 

 

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2016年4月22日 (金)

6頭立ての衝撃

明日のメトロポリタンSは6頭立てで行われる。出馬表を見て戸惑った方もいらっしゃるのではないか。極端な少頭数のためメインレースは準オープンの鎌倉Sに置き換わった。メトロポリタンSは東京10R。馬券を買う際には注意されたい。

とはいえ、頭数が少なくなることは登録段階から予測できた。登録13頭のうち大半が翌日の府中SにもW登録していたのである。結局、エバーグリーン、キングストーン、コモノドラゴン、ザトゥルーエアー、ロードエフォール、ローレルブレットの6頭が府中Sへ回り、コスモロビンは出馬投票せず、最終的に6頭が残った。頭数が揃いにくい2歳や3歳戦ならともかく、古馬のオープンクラスで6頭立てのレースは極めて珍しい。JRAでは2000年の巴賞以来。こと東京競馬場に限れば、シンコウラブリイの勝った1992年の富士S以来24年ぶりの出来事となる。

Fujis 

富士S(1992年11月15日東京10R)
------------------------------
1着③シンコウラブリイ 1人気
2着①キョウエイボナンザ 2人気
3着③カリブソング 4人気
4着④タイティアラ 5人気
5着⑥スカーレットブーケ 3人気
6着⑤アマミオウジ 6人気

これで枠連配当は290円。いま思えば、むしろつけた感を受けやしないか。ともあれ、ファンは予想よりもオッズとの闘いに苦労したに違いない。発売された馬券は、単、複、枠連の3種のみ。それを思えば3連単が用意されている現代のファンは、まだ幸せな方と言える。

もっと昔には1頭のみの競走、すなわち「単走」も珍しくはなかった。むろん単走でも1勝は1勝。賞金だってもらえる。とはいえ検量手続きの不備や落馬などで、失格の可能性もなくはない。18戦全勝のエクリプスも実はそのうちの8勝が単走だったのだし、名馬物語にたびたび登場するキンツェムにしても54勝のうち6勝が単走での勝利である。

我が国では1943年11月6日の京都で単走が記録されている。以来73年間、単走レースは行われていない。JRAの施行規定では今も単走レースを想定しているが、それが実現する可能性となると、ほとんどゼロであろう。

 

***** 2016/04/22 *****

 

 

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2016年4月21日 (木)

目指せ1番時計

千葉サラブレッドセールに続き、北海道トレーニングセールのカタログが届いた。昨日は門別で今年最初の2歳競馬が行われ、明日は大井でも新馬戦が行われる。競馬に関わっていると一年があまりに早い。皐月賞が終わったばかりだというのに、もう気持ちは2歳馬に向いてしまっている。

Catalog 

カタログの表紙はもちろんモーリス。「メジロフランシスの11」という2歳馬が、札幌競馬場のダートコースで21秒80~10秒93という猛時計を叩き出したのは3年前のこと。前年のサマーセールで150万円という廉価で取引された馬が、8か月間の鍛錬を経て1000万円の評価を得た。さらにそこから3年足らずで4億7千万円を稼ぎ出し、海外GⅠ馬となり、JRA年度代表馬にも選ばれたのだからひと言すごい。いまでは世界のモーリスである。

Yasuda 

トレーニングセールと言えば、昨年の千葉サラブレッドセールで落札された「ムーンレディの13」がまだ記憶に新しい。ダービー馬エイシンフラッシュの弟にして父はディープインパクト。1億9千万円の落札額は我が国トレーニングセール史上最高価格だった。マツリダバッハと名付けられた同馬は、セールから5か月後の新馬を勝ち、その仕上がり具合をアピールしたまでは良かったが、なかなか2勝目を挙げることができず、今は休養中。春のクラシックに乗ることはできないでいる。

マツリダバッハは公開調教で特筆すべき時計を叩き出したわけではなかった。しかも、2頭併せで遅れているのである。「この遅れがどれくら価格に響くか」。あのときはそんなことを思った。だが、実際のセリに入ると落札価格はみるみる上昇してゆく。そのときつくづく思った。結局は血統じゃないか。ならば、さっきの公開調教はいったい何のためにやったんだ。

Chiba 

トレーニングセールで評価すべきは公開調教でありタイムである。少なくとも血統はその次。私はそう思っている。だから、決して大きな牧場の生まれではなく、血統にもさほど見るべきもののないモーリスだが、それでも1番時計を叩き出して大オーナーの目に留まり、やがてGⅠを3つも勝つ名馬となったことが嬉しくて仕方ない。否応なしに親から受け継いだ血統や生まれた牧場の大小に関係なく、すべての馬たちは自らの力で未来を切り開くことができる。それが競馬の原点ではないか。

ところで、トレーニングセールでタイムが重要だと思う所以は、何もモーリス一頭によるわけではない。昨年の千葉セリでは、調教で10秒台を出す馬がなぜか1頭も出なかった。そこからこれといった活躍馬が未だに出ていないことと無関係だとはどうしても思えぬ。今年の千葉セリはタイムにこだわって見てみたい。

 

***** 2016/04/21 *****

 

 

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2016年4月20日 (水)

軽量馬の逆襲

オークスと言えば小柄な牝馬の活躍が目立つレースとしても知られる。

1971年の優勝馬カネヒムロは384キロで勝った。この数字は史上最軽量でのクラシックレース優勝記録でもある。これは極端な例としても、馬体重が記録として残されるようになったこの71年以降、昨年まで46頭のオークス馬が誕生しているが、そのうち430キロ台までの優勝馬は20頭を数える。昨年の勝ち馬ミッキークイーンも430キロでの勝利だった。

オークストライアルのフローラSにビッシュが登録してきた。ノーザンファーム生産のディープインパクト産駒は、ここまで牡馬相手に2戦2勝。東京で行われた新馬戦では後続を5馬身も千切り捨てている。だが、心配の種は馬体重。前走は408キロにまで減っていた。もともと成長が遅く、それでデビューが遅れたという経緯の持ち主でもある。

Bish 

今年の桜花賞は上位人気馬が強いレースをしたことからレベルは低くないと考えられる。だから他路線組がオークスで割って入るのは難しいかもしれない。しかしそれでも、ビッシュがここで権利が取れるようなら―――そのレースぶり次第という条件は付くが―――オークスでも注目してみたい一頭になる。半世紀近くも軽量馬がオークスで活躍しているのは決して偶然ではあるまい。小柄な馬の方がスタミナのロスが少ないのは事実。無駄なエネルギーを使わなくて済む。

逆に最重量でのオークス優勝となると、75年テスコガビーの486キロが記録として残っている。いまや500キロを超える牝馬も珍しくない時代。なのに桜花賞2着のオウケンサクラは490キロで臨んだオークスで5着に敗れ、522キロの雄大な馬体を買われて2番人気に推されたザレマも、10着と辛酸を舐めた。オークスの女神は重量馬に厳しい。こうなると、やはり偶然とは思えぬ。

とにかく今年のオークスでは馬体重が気になる私である。なぜか。桜花賞を勝ったジュエラーは494キロの馬体を誇る。すなわち彼女が2冠を達成する時は、41年間破られなかったテスコガビーの記録が塗り替えられる時である可能性が高い。

逆に桜花賞2着のシンハライトは426キロ。3着のアットザシーサイドも430キロだった。狙いはむしろこっちか。穴党がオークスで本命を買うわけにはいかない。まずは、ビッシュの出走権獲得がなるかに注目だ。

 

***** 2016/04/20 *****

 

 

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2016年4月19日 (火)

「三強」を生んだのは

きさらぎ賞勝ち馬が2.7倍で1番人気。弥生賞2着馬が2.8倍でそれに続き、弥生賞勝ち馬が3.7倍の3番人気。それに次ぐ4番人気馬の単勝オッズは16.1倍だから、上位3頭とそれ以外の15頭との間には大きな溝が横たわっていた。いわゆる「3強」の典型的なオッズパターンである。

日本人は物事を比較したり並べたりするときに、やたらと「3」という数字を好むらしい。「三種の神器」に始まり、「御三家」や「日本三景」は言うに及ばず、「三大夜景」や「三大珍味」のような「三大~」系のくくりは列挙に暇がない。「三」が含まれていなくても、例えば「巨人、大鵬、玉子焼き」といったフレーズも同じ土壌にあろう。競馬における「三強対決」が盛り上がるのは日本文化特有の現象かもしれない。

三強の筆頭格はトウショウボーイ、テンポイント、グリーングラスのいわゆる「TTG」。だが、クラシックという視点なら、1968年のアサカオー、マーチス、タケシバオーを推す声が多く挙がりそうだし、ウイニングチケット、ナリタタイシン、ビワハヤヒデの93年も捨てがたい。最近ではスペシャルウィーク、セイウンスカイ、キングヘイローの98年。およびその翌年のアドマイヤベガ、ナリタトップロード、テイエムオペラオーらの争いが、3強のクラシックとして記憶に残る。

とはいえ、上記以外にも「三強」ともてはやされたクラシックは何度もあった。手元にある古新聞は、2002年の日本ダービーを展望する記事の中で、「タニノギムレット、ノーリーズン、テレグノシスの3強の争い」と紹介しているのだが、前述の三強たちに比べれば格落ち感は否めない。日本人が三強という枠組みを好むせいなのかしらんが、こういう記事を目にすると、マスコミが無理矢理に三強を捻り出すこともあるように思える。

1999

マウントロブソン(未勝利→あすなろ賞→スプリングS)
アドマイヤダイオウ(未勝利→梅花賞→若葉S)
ディーマジェスティ(未勝利→共同通信杯)

一昨日の皐月賞には、三強以外にも連勝のまま前哨戦を勝ってきた馬が3頭もいた。しかも、いずれもディープインパクトの産駒。普通なら上位人気になっておかしくない。なのに揃って6~8番人気に留まった。私はひそかに彼らを「裏三強」と呼んで応援していたのだが、そこから勝ち馬が出たことはささやかな痛快事である。

今年の牡馬クラシック戦線では、例年以上に無敗馬の存在がクローズアップされてきたように思う。

無敗のままデイリー杯を制したエアスピネルがまず注目を集め、それを朝日杯で破ったリオンディーズは無敗の2歳チャンプとなり、さらにホープフルSを勝って2戦2勝としたハートレーこそ実力ナンバーワンではないか?と騒がれ、年が明けると、マカヒキ、サトノキングダム、サトノダイヤモンド、ドレッドノータス、レーヴァテインらが新馬~特別を連勝して、無敗のクラシック候補生が次々と誕生した。

最近は、一部の牧場の思惑によりクラシック有力候補が前哨戦を使い分ける傾向にある。しかも有力であればあるほど、早い時期にぶつかることは少ない。背景には、トライアルを使わないでも本番に臨めるプライベートなトレーニングセンターの存在もある。メジャーエンブレムや昨年のルージュバックを思い出してみると良い。こうした事情が「無敗のクラシック候補」をますます増加させている。

しかし、どれだけ強い馬でも一度や二度の負けは本来仕方のないもの。オルフェーヴルは皐月賞を勝つまで(2,2,1,1)だったし、昨年のドゥラメンテにしても(2,2,0,0)だった。むろん敗戦で得るものもある。今年に限れば、みんなの視線が例年以上に厳し過ぎたのではあるまいか。実際、三強と裏三強の実力差はほとんどなかったはず。たとえあったとしても、オッズはそれに見合うものではなかった。そんな現象を生み出したのは、マスコミと言うよりは、三強という枠組みにそこはかとなく落ち着きを感じる、我ら日本人の特性だったように思えてならないのである。

 

***** 2016/04/19 *****

 

 

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2016年4月18日 (月)

【千葉うどん旅①】讃岐将軍

昨日は雨がやむのを待って、強風吹き荒れる千葉へ。といっても中山競馬場ではありません。念のため。

ちょっとでも油断すると、横風にハンドルを持って行かれそうになって危ない。道路上には風で飛ばされてきたビニール袋や、段ボール箱や、木の枝が散乱している。むろんアクアラインは通行止め。武蔵野線や京葉線も運転を見合わせているようだし、中山10Rでは強風による機器の誤作動で、勝ち時計が1秒以上遅く表示される珍事まで起きた。こんな状況下では、皐月賞とて一筋縄では収まるまい。

だから、レースレコードの決着と聞いていたく驚いた。終始追い風だったのならともかく、向かい風と横風のシチュエーションでは人馬ともに競馬はしにくい。だが、勝った蛯名正義騎手は、「(風のせいで)ペースが速いのかどうか分からなかった」と振り返る。そんな感覚が乱ペースを生み出したのだろうか。ともあれ、いろいろ気の毒だった人馬も少なくない。敗れた馬たちにもダービーで巻き返す余地はじゅうぶんにある。

そんなことを思いながら千葉県八街市内を走行していると、唐突に「讃岐うどん」の五文字が飛び込んできた。

Sanuki 

その名も『讃岐将軍』。チェーン店ならいざ知らず、こんなところに一軒家の讃岐うどん専門店は珍しい。しかも16時過ぎという半端な時間であるのに「営業中」の札が出ているではないか。これは食べぬわけにはいかぬ。なにせ最近は焼きそばばかりで、うどんに飢えている私である。暖簾をくぐると、夫婦と思しきご主人とおかみさんが迎えてくれた。

天ざるうどんを注文すると、うどんを茹でるのに10分ほどかかると説明される。「構いません」と応えつつ口元が緩んだ。それは期待ができるじゃないか。

Udon1 

うどんはもちろん手打ち。粉も香川から取り寄せているらしい。実際、運ばれてきたうどんには、手打ちの特徴であるねじれが所々に見受けられ、美しいツヤと相まって食欲をそそる。

Udon2 

濃いめのツユは関東の味覚を意識してのことだろうか。うどんの喉越しはツルリと爽快。『讃岐将軍』という店名はダテではない。ただ、昭和の雰囲気そもののというお店のつくりのせいか、あるいは落花生畑の真ん中にポツンと佇むロケーションのせいか、強風のたびに店が大きく揺れるのが怖かった。このまま店ごと飛ばされんじゃねぇか?と思わせるほどの、容赦のない揺れ方である。でも、ご主人とおかみさんは平然と仕事に打ち込んでいたから、心配するほどではないのだろう。

こんな店がこんなところに―――と書いては失礼だが―――あるとは思わなかった。焼きそば店探しの旅はひとまず終えて、今後は千葉のうどん屋さんを巡ってみようか。

 

***** 2016/04/18 *****

 

 

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2016年4月17日 (日)

【焼きそば探訪⑥】炒麺

昨日の話。ヤボ用で横浜を訪れたついでに皐月賞の馬券も横浜の場外で仕入れた。

WINS横浜は昨年暮れにリニューアルオープンしたばかり。現在の建物は以前の「WINS・A館」の跡地に建っている。そのA館が建つ前は、現WINSよりもっと奥の、丘の上に場外馬券売り場があった。いわゆる「野毛場外」。そこは1952年の開業だいうから、この地に場外が根付いて半世紀をゆうに超えたことになる。52年の皐月賞馬は2冠馬クリノハナ。さすがは近代競馬発祥の地。「ハマの場外」の歴史は古い。

場外があれば飲食店が繁盛する。事実、この界隈には、歴史を感じさせつつ、今なお人気を博する名店が少なくない。そのひとつがWINS横浜から歩いてすぐの『三幸苑』。シンザンが3冠を制した1964年の創業という老舗だが、ここへきて俄かに注目を集める一軒となっている。

Sankoen 

きっかけは、とんねるずの番組の企画「きたなトラン」。それまでは、ごくありふれた街の中華料理店として、WINSの常連客で賑わう程度だったのが、番組のファンが遠方からわざわざ訪れる店に様変わりしてしまった。彼らの目当てはこの炒麺。もちろん私も注文する。

Chamen 

我々の知るソース焼きそばは完全なる日本のオリジナル。戦後の食糧難の時代に、安くて手軽な食べ物として誕生した。そば1玉を3等分し、それぞれに大量のキャベツを加えて1人前とした上で、ドバドバとソースをかけて焼く。闇市で飛ぶように売れたというそのレシピが、現代まで生き抜くソース焼きそばの原型となっている。

一方で中国料理の炒麺は明治時代に日本に入って、横浜や神戸で広まった。麺と具を一緒に炒めるタイプと、パリパリに焼いた麺に餡をかけるタイプの二種類があり、後者は「あんかけ焼きそば」として広く浸透した感があるものの、前者についてはあまり見かけることがない。だから人は『三幸苑』にやって来るのである。

その炒麺はもっちり美味い。ロメスパの中華版、と言ったら怒られるだろうか。店には「パスタに似て非なる」のキャッチコピーが掲げられているから、似ていると言うのは間違ってなかろう。ただ、違うものは違う。その違いを知るには食べてみるしかない。この地で半世紀守られてきた味がそこにある。

食べながらつくづく思った。私の馬券歴は半世紀には及ばないが、それでも40年に近い。さすがに「チリも積もれば」の感はある。何がチリかは説明の必要もあるまい。あの立派なWINSの、ひょっとしたら柱の一本分くらいにはなっているのではないだろうか。

 

***** 2016/04/17 *****

 

 

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2016年4月16日 (土)

思い出の一本

実家に帰ったついでに、父親から使わなくなったネクタイをたくさん譲り受けた。

5年ほど前に定年退職した父親は、長くアパレル業界に身を置いていた。ゆえに一般に年配向けの柄になりがちな「父親譲りのネクタイ」も、十分私が使える。と言うより、むしろ私よりももっと若い人向けのような気がしなくもない。

ともあれネクタイをもらって困る社会人男性はいないであろう。最近はネクタイを締めて競馬場に行く機会に恵まれない私だが、父親の厚意に報いるには、この中の一本をキリリと締めて競馬場に出向き、万馬券を的中させて歓喜の雄叫びをスタンドに轟かせねばなるまい。ま、競馬場に行くのはともかく、馬券の方はハードルが高いなぁ……。

Stand 

勝負の世界でゲンを担ぐことは珍しくないが、競馬関係者の場合、ゲン担ぎのアイテムはネクタイであることが多い。

よくあるのは、帽色と同じ色のネクタイを締めて来場するというケースだろうか。ただ1枠と2枠の場合だと、周囲から結婚式とか通夜だと思われてしまうので、3枠より外でないと難しい。

帽色とは関係なく、自らの定めた「勝負ネクタイ」を締める関係者もいる。GⅠの常連の調教師だと、「あ、今日も同じネクタイしているな」と分かることもある。

帰宅してネクタイを整理しながら、ふと考えた。

不思議なことに、何本ネクタイを持っていようが、実際に頻繁に締めるものとなると数本に限られる。そこには、お気に入りばかりがくたびれるという悲しい現実が待ち受けているのだが、こればかりはいくら色あせても、あるいはほつれが生じても、捨てるわけにはいかない。

Tie 

私の中での3強は写真の3本。黄色はパントレセレーブルの凱旋門賞当日にロンシャンで、赤はアスコットでデットーリ騎手が7戦7勝を達成した日に締めていた1本である。いずれも現地で買い求めたものだ。

いちばん右の青い1本は、20年前にJRAからいただいた「日本ダービー記念ネクタイ」。思い入れという点では上記2本に譲るが、なぜかハマりが良いので重宝している。重宝しているぶんだけ、くたびれ方も半端ではない。そのくたびれた姿が、最近の私自身に重なる今日この頃である。

 

***** 2016/04/16 *****

 

 

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2016年4月15日 (金)

まだらの怪物現る

「まだらの怪物」と言えば芦毛の快速馬・ザテトラークを真っ先に思い浮かべる。最近のファンならブチコの名前を挙げるだろうか。おとといの船橋マリーンカップで1番人気のブチコはまさかの発走除外。TV画面を通していても、雨のなか足を運んだファンのため息が聞こえてくるようだった。ルメール騎手は最近ちょっとツキがない。

その船橋に、ブチコ以外にも「まだら」が現れると聞いた。もちろんマーブルケーキ(ブチコの姉)などではない。「いや、まだらというよりも縞模様に近いゾ」と言う声もある。ひょっとしてシマウマでも走っているのか? そんなバカな。だが、栗東の坂路には稀にシカが紛れて走っていると聞く。どこぞの動物園から逃げ出したシマウマが、船橋競馬場の内馬場で秘かに暮らしているのかもしれない。

Start 

もちろん実際のところはシマウマではなく照明の話。船橋競馬場では昨年6月からナイター開催が始まった。そのために設置したライトは500台をゆうに超える。ただ、その照らされ方が他の競馬場に比べて均一性に欠けると、特にカメラマンの間で話題になっているのだ。実際、スタンドから走路を見ると、たしかに明るさの加減が縞模様に見えなくもない。

Dirt 

実は、船橋では昨年のナイター開幕の時から「他場に比べて暗い」という指摘もあった。だが、照度は他のナイター開催場と同じだという。一方で「他場に比べ照明が眩しい」という声は乗り手の側から寄せられた。暗いとか、眩しいとか、シマウマとか、いったいどれが正しいのか―――?

実際にはどれも正しい。船橋競馬場の照明はすべてLEDライトが使用されている。その特徴としては、従来のライトに比べて発光部分が小さく、しかも光の指向性が高い。つまり同じ光量なのに、光源は小さく、かつ特定方向に向けて光が放たれる。だから眩しくて、暗くて、シマウマなのである。照明をすべてLED化した横浜スタジアムでも、同じような問題がクローズアップされたばかりだ。

Light 

もっともシンプルな改善方法はライトを従来品に戻すことだろうが、LED化はもはや時代の趨勢だ。特に節電が至上命題とされるこの手の設備において、LED化は避けて通れない。しかも、船橋競馬場のナイター化に際しては、ナイターの光が近隣の干潟の野鳥に影響を及ぼしかねないとして、反対運動が起きた。光の拡散を防ぐLEDの採用は、その対策という側面もある。

じゃあ、せめてライトを向ける方向を調整してくれという声もあろうが、おそらく何度も試行錯誤を重ねた最良の結果が、現在の配置であるはずだ。しかもファンからは特に苦情も届いていないという。文句を言っているのは、身内ともいえる乗り役と、光にやたらと敏感なカメラマンのみ。となれば何らかの変更がなされる可能性は低い。私などは、眩しくても暗くてもいいから、シマウマがいる方が楽しいのだが。

 

***** 2016/04/15 *****

 

 

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2016年4月14日 (木)

二刀流

一昨年のマーチSを勝ったソロルが障害練習を開始したらしい。ソロルの会員さんにしてみれば、心境様々であろうが、それを聞いた私の反応はポジティブである。久しぶりに平地と障害の両方の重賞を勝つ馬が誕生するかもしれない。

かつて私は「障害には大化けの楽しみがある」ということをここに書いた。すなわち、仮に平地で未勝利に終わった馬でも1億円ホースとなる可能性を秘めているということである。中山大障害5勝のバローネターフを筆頭にギルテッドエージなど11頭が、平地未勝利でありながら大障害(JGⅠ)のタイトルを手にしている。

だが、一方で平地・障害両方の能力を兼ね備えている馬を探すこともまた、障害レースの醍醐味であることは間違いあるまい。我が国で行われた障害重賞レースの勝ち馬で、平地重賞も勝っていた馬はわずか9頭。そのうち平地と障害のそれぞれでGⅠを勝っていた馬となると、オーストラリアからの遠征馬・カラジしかいない。芝とダートの二刀流に比べて、平地と障害の二刀流がいかに難しいかをこの数字が物語っている。

ソロルの障害調教では、中竹和也調教師自らが跨っているとのこと。それは心強い。なにせ、騎手時代には障害レース90勝を誇る名ジャンパーである。しかも、「体の使い方がいい」とお墨付きまでもらったらしい。

これは今週あたりの未勝利戦で障害デビューか?―――などと、外野は勝手に色めいた。だがしかし、しっかりと阪神のアンタレスSに出馬投票してるじゃないか。

聞けばあくまでも障害調教は気分転換とのこと。だが、ホクトベガやメジロパーマーのように、障害調教や障害レースを挟んだ後の平地の一戦でいきなりの変わり身を見せる例は少なくない。アンタレスSのソロルには大化けの気配が漂う。

アンタレスS発走後の中山では、障害レースの最高峰・中山グランドジャンプが行われる。中竹師にとっては、騎手時代にダイカツストームで制した思い出のレース。満開の桜をバックに、スタートから先頭を譲らず大差の逃げ切り勝ちだった。

Daikatsu 

ちなみに、この中山大障害(春)のあとに行われた条件戦に、ノーザンレインボーが出走していたことをご存じだろうか。当時の彼はダート1800mを主戦場にしながら、掲示板に載ったり載らなかったりを繰り返す、ごく普通の条件馬だった。実際このレースでも3着に敗れている。それが3年後の中山大障害(春)を勝ってしまうのだから、やはり障害の素質はどこに眠っているか分からない。あるいは、ダイカツストームの力強い飛越ぶりを目の当たりにして、何か心に感ずるところがあったのだろうか。ソロルにもそんな覚醒があってもいい。―――などと、外野は勝手に期待してしまうのである。

 

***** 2016/04/14 *****

 

 

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2016年4月13日 (水)

【訃報】フジヤマケンザン

UAEダービーのラニ、ドバイターフのリアルスティール。ドバイ国際レースの興奮もまだ冷めやらぬこの日、国際派の先達たるフジヤマケンザンの訃報が届いてしまった。28歳。老衰だという。引退後は種牡馬となったが目立った活躍馬を出せず、2005年からは生まれ故郷の吉田牧場で余生を過ごしていた。

今でこそ、毎年のように日本調教馬が海外の重賞レースを勝っているが、実質的にその先陣を切った一頭と言える。1995年の香港国際カップ優勝。国際GⅡ格付けのレースとはいえ、それは日本競馬界にとっては期を画する、歴史的な出来事だった。

Kenzan1 

その日のことは昨年12月12日付のこのブログ「あれから20年」にも書いたが、そこに書き切れなかったことがある。レース終了後、ツアーの参加者がバスが待つ駐車場に向かってぞろぞろと歩くうち、たまたま吉田重雄氏が我々の隣を歩いていた。そこで私の妻が「おめでとうございます」とお祝いの言葉を掛けたのである。それに対する重雄氏の言葉が忘れられない。

「ようやくです……。本当に……、夢を見ているみたいだ」

フジヤマケンザンの父・ラッキーキャストを知る人はほとんどいまい。フジヤマケンザンと同じ吉田牧場の生産馬。だが、日本ではなく米国でのデビューを目指して2歳時に渡米していた。

ラッキーキャストの父・マイスワローはグランクリテリウム、ロベールパパン賞、モルニ賞の仏国2歳三冠レースを完全制覇した全欧2歳チャンピオン。引退後は種牡馬として愛国で繋養されていたが、重雄氏が中心となり1978年に日本へ輸入された。

また、ラッキーキャストの母タイプキャストは、マンノウォ―Sなど通算21勝を挙げて全米最優秀古馬牝馬にも選ばれた名牝。それを重雄氏が、72万5000ドルという当時の世界最高落札価格で購入して話題となった。「無茶な買い物」と揶揄する声もあったと聞く。産駒のプリティキャストが天皇賞を勝っても、展開に恵まれただけだと周囲の評価は厳しかった。

米国デビューを目指して渡米しながら、屈腱炎のため競走馬としてデビューすらできなかったラッキーキャストを、それでも種牡馬としたのは重雄氏の執念であろう。それが牧場ゆかりのワカクモの牝系で結果を出したのだから、嬉しくないはずがない。しかもそのラッキーキャストは、同じ年の2月にこの世を去ったばかり。タイプキャストを日本に連れてきてから23年。テンポイントの海外遠征が幻に終わってから17年。「ようやく」の言葉に重みが増す。いま思えば、フジヤマケンザンの香港国際カップ制覇は、重雄氏の執念の結晶だったように思えてならない。

Kenzan2 

熱狂の祝勝会が終わり、ホテルのラウンジで2次会を楽しんでいると、重雄氏がアッと言って立ち上がった。なんと牧場への連絡を忘れていたという。皆にせかされて慌てて国際電話をかけると、アイルランドにいる息子さんから先に連絡が入っていたそうだ。それを聞いて笑いながらまた飲んだ。あの夜はいつまで飲んでいたのだろうか。

Kenzan3 

そんな重雄氏も2001年に亡くなっている。いまごろ向こうでフジヤマケンザンと再会しているだろうか。ひょっとしたら、再会を祝して一杯やっているかもしれない。ひとりのホースマンと、その夢を叶えた一頭の馬を想い、今宵は私もグラスを傾けよう。

 

***** 2016/04/13 *****

 

 

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2016年4月12日 (火)

近くて遠いは

最近わけあって千葉方面に出向く機会が増えた。

敢えて「千葉方面」と書くからには船橋や中山ではない。それよりもっと奥のリアル千葉。東京生まれで、埼玉で学生時代を過ごし、今は神奈川に住む私にとって、永らく千葉は近くて遠い県だった。なにせ、今をときめく千葉大学に合格したものの、「遠い」という理由で入学手続に行かなかったほどである。それなら何のために受験したのか。合格を喜んだばかりの両親は泣き、周囲は「バカなヤツだとは思っていたが、ここまでバカだとは思わなかった」と呆れた。

ともあれ、それくらい千葉に縁がない。「けいよう」と聞けば、「京葉」ではなく「繋養」だと思うタチである。だからであろうか、このトシになって知らぬ街をあちこちウロつくのはとても楽しい。今日は念願叶って、幕張新都心のイオンモールに立ち寄ることができた。

とはいっても、ショッピングを楽しむわけではなく、いわんやよしもとのステージを見たいわけでもない。実は、讃岐うどんの名店『竹清』がこの施設内に出店していると聞き、一度訪れてみたいと願っていたのである。

Egg1 

『竹清』に来たからには半熟玉子天は欠かせない。なんて、香川の本店を訪れたことはない身だが、私の周りのうどん好きはみなそう口をそろえる。表面にうっすらと衣を纏いつつも中はトロリと半熟。それは本店のおかみさんの職人技でもある。なんでも玉子を茹でる回数と時間にコツがあるらしい。さあ果たして、この幕張のお店ではおかみさんのレシピを忠実に再現できているのだろうか―――。

Egg2 

まずまずですかね。実際食べてみると、ちゃんと美味しいです。一方で、本店で食べてみたいという欲が高まったことも否定できない。うどんの味もしかり。聞けばこちらへの出店には「はなまるうどん」が絡んでいるらしいが、そのノウハウを以てしても、いや、ノウハウがあればこそだろうか。良くも悪くもフードコート的な味わいがする。まあ、でも食べることができて良かった。

Chikusei 

そのまま帰るのも何なので、船橋競馬場にも寄り道。せっかく開催しているのだから行かぬ手はない。

Okamura 

5Rのミラクルフォンテンに騎乗の岡村健司騎手は昨日デビューを果たしたばかりの新人ジョッキー。中学3年と高校1年の2回、JRA競馬学校の二次試験で不合格となったが、それでも騎手になることを諦めず、20歳にしてついにデビューを果たした。1年目の目標を50勝に設定するなど志も高い。このレースでは2番人気に推されたが、残念ながら2着に終わった。初勝利はお預けとなったが、若手の有望株が凌ぎを削る南関東に、また1人イキの良いルーキーが加わったことは嬉しい限り。初勝利が楽しみだ。

 

***** 2016/04/12 *****

 

 

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2016年4月11日 (月)

マリーンカップ2003

水曜夜の船橋競馬場ではダートグレードのマリーンカップが行われる。女王・ホワイトフーガやアムールブリエの名前こそないが、ブチコとナナコが参戦するとあって、ある意味で熱い戦いが繰り広げられそうだ。

ひょっとしたら1番人気はブチコであろうか。重賞実績は乏しいが、鞍上込みならあり得る。いずれにせよ、上位人気はJRA所属馬が占めるだろし、結果も概ねその通りに収まるのであろう。ダートグレードでJRA馬が上位を独占するのは、珍しい出来事ではない。―――というか、たまに地方馬が2着や3着に食い込むと、驚かれたりもする。仮に1着だったりすると、そりゃあもう大騒ぎになる。情けない話だけど……。

しかし昔はそうではなかった。中でも2003年のこのレースは南関東関係者にとっては語り草になっている。1着ラヴァリーフリッグ、2着ジーナフォンテン、3着アオバコリン、4着ネームヴァリュー。なんと1~4着を南関東所属馬が占めた。勝ったラヴァリーフリッグはJRAからの転入馬などではない。東京2歳優駿牝馬と浦和の桜花賞を勝った、れっきとした地方のクラシックホース。南関東を根城にする私が狂喜したことは言うまでもない。

Marine2003 

しかも、である。11頭立てのこのレースで、9着、10着、11着(競走中止)にJRA所属馬が名前を連ねた。JRAと地方、お互いの定位置の逆転。もちろん空前にして絶後の出来事である。この先もおそらく二度と起きることはあるまい。

この日、競走中止の憂き目を見たヘルスウォールは、アルテミスSを勝つマーブルカテドラルの母となり、10着に大敗したビーポジティブの子・トリップも、ジャパンダートダービーで2着するなど活躍した。

そして、このレースで9着に敗れたホワイトカーニバルは、母としてダートの女王・サンビスタを送り出している。チャンピオンズカップの勝利はまだ記憶に新しいところだが、昨年の春にはこのマリーンCで58キロを背負いながら後続を4馬身千切る圧勝劇を演じていた。サンビスタは12年前の母のリベンジを果たしたのである。

Marine2015 

サンビスタの2着はトロワボヌールで3着アクティビューティ。JRA所属馬の表彰台独占は、いまや日常茶飯事となった。果たして今年のマリーンCで、地方馬は上位に食い込むことができるだろうか。せめて期待くらい抱きたいのだが、南関東期待のララベルが回避では、どうも気勢が上がらない。ならばブチコとナナコで盛り上がるのが、きっと正しいファンの姿勢なのだろう。

 

***** 2016/04/11 *****

 

 

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2016年4月10日 (日)

ウマと落花生の街

諸事情これありで家族総出で千葉・八街の馬術施設に出向いた。桜花賞当日ではあるが、桜は本物をイヤというほど見たので、これでヨシとする。

Sakura 

八街には乗馬クラブがたくさんあり、隣接する富里には千葉県両総馬匹農業協同組合が事務所を構えている。関東では数少ない馬に縁のある土地柄と言っていい。とはいえ、巷で八街と言えば(八街ダジャレ)、やはり落花生のイメージが強いのではあるまいか。ちょっとそのへんの道を走れば、落花生専門店の看板がいくつも目に飛び込んでくる。

目についた専門店に入ってみた。その名も『でよしの豆』。なぜこのお店を選んだかと言うと、看板猫が戸を開けて待っていてくれたから。いい加減に思われるかもしれないが、このチョイスは悪くないはずだ。加工場が併設されたこちらの店なら、私の目当ての商品があるに違いない。

Cat 

イチ押しはさや煎りの落花生。試食させてもらうと、なるほどそのへんのピーナツに比べて格段に味が濃い。「千葉半立種」という品種とのこと。「落花生の王様」というコピーは決して大げさではない。

Rakka1 

できることなら、獲れたての落花生を茹でて食べる「茹で落花生」が食べたいのだが、残念ながら季節が違う。あれは夏から秋の収穫の季節でなければ手に入らない。昔はそれが当たり前だった。しかし最近では茹でたてを急速冷凍して売っているらしい。それが私の目当てなわけだが、やはりこちらのお店には置いてあった。あー、よかった。

茹で落花生に使われていたのは「おおまさり」という品種。「大きなさやで、食味が勝る」ことからそう名付けられたとのこと。千葉半立種よりも茹で豆に適しているらしい。自然解凍ののち、殻を剥いて薄皮ごと食べる。なるほどたしかに大きい。そして甘い。ちょっと水っぽさを感じるのは冷凍だから仕方がないか。秋に八街に来たら、絶対に茹でたてを食べてやる。

Rakka2 

もろもろの用件を終え、渋滞に四苦八苦しながら帰宅すると、千葉県両総馬匹農業協同組合から来月の千葉セリのカタログが届いていた。さっきまで近くにいたのだから、直接受け取りに行けばよかっただろうか。ともあれ、昨年はセリ参加のお礼に八街産の落花生をたくさんいただいた恩もあるので、微力ながらここで今年のセリの宣伝をさせていただく。

Moonlady 

昨年はエイシンフラッシュの半弟が1億9千万円という高額で落札されて話題となった千葉サラブレッドセール。今年もディープインパクト産駒2頭を含む35頭の社台ファーム生産馬、9頭の白老ファーム生産馬など全66頭の2歳馬を取り揃えてオーナー様の御来場をお待ちしております。ヴィクトリアマイル翌日の5月16日(月)の開催で、会場は都心からもアクセスしやすい船橋競馬場。公開調教は8時スタートなので、ぜひとも早起きしていらしてください。

 

***** 2016/04/10 *****

 

 

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2016年4月 9日 (土)

アメリカンオークス3着馬の娘

明日の桜花賞ではシンハライトに注目している。

馬券的検討の結果ではないし、無敗の桜花賞馬の誕生が見たいわけではない。もちろん、圧倒的人気メジャーエンブレムへの反骨というわけでもない。シンハリーズを母に持つシンハライトが気になる、と言った方が正しいだろうか。

シンハリーズは2005年のデルマーオークスを勝ったチャンピオン牝馬。07年のキーンランドの繁殖馬セールにおいて、お腹にラーイの子を宿した状態で吉田勝己氏に落札されたのだが、実はこの馬、シーザリオが勝ったアメリカンオークスに出走して、3着という成績を残しているのである。

05年のアメリカンオークスは、ハリウッドパーク競馬場に5か国から12頭の3歳牝馬が集結。芝の2000mで覇を競った。結果はご存じの通り、日本のシーザリオが2着馬を4馬身突き放す圧勝劇で日米オークス制覇を果たしている。日本調教馬の米GⅠ制覇が初めてなら、3歳牝馬による海外GⅠ制覇も初の快挙であった。母としてもエピファネイアやリオンディーズを輩出し、名牝としての地位を確立しつつある。

Flowercup 

とはいえここで注目したいのは、アメリカンオークスで負けた馬たちのことだ。このレースで9着に敗れたイスラコジーンは、後に日本に渡りフジキセキとの間に皐月賞馬イスラボニータを誕生させた。

Isura 

また、シーザリオの11着に大敗したシルクアンドスカーレットは、のちにマイルチャンピオンシップなどを勝ったエイシンアポロンの母となっている。他にもベルモントオークス招待H(米GⅠ)の勝ち馬ミノレッテや、ジュベルハッタ(首GⅠ)を勝ったマスターオブハウンズを輩出しているから凄い。

Apron 

そして、同じアメリカンオークスで3着に敗れていたのが、他でもないシンハリーズなのである。もし、シンハライトが桜花賞を勝つようなことがあれば、この年のアメリカンオークス出走馬のうち4頭が、我が国におけるGⅠ馬の母となるわけだ。これはなかなか興味深い出来事と言えるのではあるまいか。

リオンディーズ(母・シーザリオ)は来週の皐月賞の有力候補だし、イスラドラータ(母・イスラコジーン)やミリッサ(母・シンハリーズ)といった2歳馬たちも、デビューに向けて着々と準備を進めている。11年前のアメリカンオークスを走った牝馬たちの、その産駒によるGⅠ勝利数は今後もっと増えてもおかしくない。賞金が大幅に減額され、近年では凋落が著しいとされるアメリカンオークスだが、そもそも牝馬の評価には時間がかかるもの。10年、20年先になって、ようやくレースの価値が定まることもある。シンハライトやリオンディーズやイスラボニータらが走り続ける限り、あの年のアメリカンオークスの看板が色褪せることはあるまい。

 

***** 2016/04/09 *****

 

 

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2016年4月 8日 (金)

チューリップと桜

知人から嘆きのメールが届いた。

社台にて一口出資するカイザーバルが桜花賞を除外されたらしい。1勝馬の身で臨んだチューリップ賞は最後方から直線の末脚に駆けたものの、脚を余しての6着。3着との差はコンマ2秒でしかない。その後、フリージア賞を勝って何とか2勝目を挙げたが、桜花賞出走の栄誉にはあと一歩届かなかった。

カイザーバルの母はダンスインザムードで、父は昨年限りで米国に戻ったエンパイアメーカー。桜花賞馬の娘が出走すれば話題になったであろう。―――と同時に「走るのはマル外ばかり」と揶揄されたエンパイアメーカーにとっては、またとない面目躍如の機会となったかもしれない。そう思えば、出資会員でない私にしてもチューリップ賞の内容が悔やまれる。

ところで、先日の大井では「チューリップ特別」というレースが行われた。

3歳のマイル戦という意味ではJRAのチューリップ賞にも似るが、牡馬牝馬混合であるところが異なる。2012年にここを勝ったアートサハラは直後の羽田盃を勝ち、2010年のチューリップ賞勝ち馬マカニビスティーは羽田盃2着のあと東京ダービーを制した。ハッピースプリント級の馬が不在の今年の南関牡馬クラシック戦線なら、チューリップ特別出走馬の中に羽田盃やダービーの勝ち馬が隠れていても不思議ではない。

レースはイノデライトの逃げ。デビューから土つかずの4連勝中だから、ここを逃げ切るようならクラシックでも通用するかもしれない。ところが、直線に向くと楽な手応えで牝馬のラッキーバトルが外から並びかけてきた。そのまま差し切ってゴール。着差は1馬身半に過ぎないが、それ以上の力の差がありそうだ。

Battle 

ラッキーバトルの父・バトルプランは、先述したエンパイアメーカーの直子である。バトルプランも輸入後3世代がデビューを果たしたが、未だこれといった活躍馬には恵まれていない。父子揃って願いは同じ、産駒によるビッグタイトル制覇であろう。なのに、このラッキーバトル、賞金的に出走可能であるにも関わらず、桜花賞(浦和)には出ようとさえしなかった。道営の重賞・ブロッサムカップでリンダリンダを完封した実績を物差しにすれば、桜花賞に出ていても好勝負になった可能性は低くはない。

こうなるとラッキーバトルの次走が気になる。牡馬相手のレースを続けてきた勢いそのままに羽田盃に向かうのか。あるいは女王モダンウーマンの待ち受ける東京プリンセス賞か。ファンのみならぬバトルプランの関係者もきっと気を揉んでいることだろう。

 

***** 2016/04/08 *****

 

 

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2016年4月 7日 (木)

翡翠

日曜阪神の9Rに行われる忘れな草賞は、いわゆる「残念桜花賞」。桜花賞を除外になった馬たちが、オークスに向けてその悔しさをぶつける一戦でもある。桜花賞を抽選除外になったミッキークイーンがここを勝ち、その勢いのままオークスをも制した昨年の牝馬クラシックも記憶にまだ新しい。

ラインクラフト、シーザリオ、エアメサイアといった名牝たちが凌ぎを削った2005年の忘れな草賞を勝ったのは、グリーンポーラの娘・ジェダイト。彼女もまた桜花賞を除外になり、その鬱憤をここで晴らしたのだった。

Jadeite 

ジェダイト(jadeite)とは「翡翠」の意。翡翠と言えばむろん宝石だが、食べることしか頭にない私などは、ついつい「翡翠麺」を連想してしまう。

幡ヶ谷の中華の名店『龍口酒家』の翡翠麺は、美しいターフを思わせる素晴らしい色合い。キリッと冷えているのにその味わいはアスコットの芝の如き深さで、ひと口啜れば爽やかな風味が軽快なキャンターで喉を駆け抜けていく。新緑のこれからの季節に、ぜひとも食べておきたい。

Hisui 

翡翠には水色、赤茶、黄、白、青、黒など、様々なカラーバリエーションがあるが、やはり緑色のイメージが強い。実際、宝石としての価値も緑色がもっとも高いのだそうだ。

だからグリーンポーラの娘に「ジェダイト」と名付けられたのである。さらにその子「サナシオン」の名はスペイン語で「癒し」の意味があるが、これは翡翠の宝石言葉だという。親から子に受け継がれるのは血だけではない。そのサナシオンは、来週の中山グランドジャンプに挑む。おそらく圧倒的な1番人気であろう。そういえば翡翠の宝石言葉には「飛躍」の意味もあった。大障害を飛ぶように越えて、母に大きなタイトルを贈りたい。

 

***** 2016/04/07 *****

 

 

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2016年4月 6日 (水)

嗜み

最近、コーヒーを飲む量が減ってきたような気がする。

職場のコーヒーベンダーマシンがずっと不調で小銭を入れる気が失せたことに加え、競馬場に行く機会がなくなったことが主たる原因に違いない。競馬場ではレースが終わるたびにコーヒーをお代わりしていた私である。おかげでメインの頃は胃がゼーゼー言ってた。それでも飲み続けたのは、アドレナリンをじゃんじゃん分泌しなければ、神様とカネのやりとりをするなんて恐ろしい真似などできないということであろう。

コーヒーに癌の予防効果があるなどと喧伝されたことも、コーヒー離れのひとつかもしれない。タバコや酒などもそうだが、私はコーヒーは純粋な嗜好品だと考えている。嗜好品に効果などを期待するものではない。期待した瞬間、それは嗜好から志向へと変わってしまう。すなわち健康志向である。嗜好品はあくまで嗜み(たしなみ)のためだけにあって欲しい。

Coffee 

「馬券は買う方ですか?」

と尋ねられ、

「嗜む程度に」

と答えたことが何度かある。「下手ですが、少しばかり」。そんな謙遜の意味を表したつもりだった。酒を飲むかと聞かれて「嗜む程度」と返す人は少なくあるまい。関西弁なら「ぼちぼち」という便利な言葉がある。だが、これは「嗜」という文字が持つ本来の意味ではないらしい。直木賞作家であり馬主でもある浅田次郎氏が、誰か(忘れた)の言葉を引用しながらそれを説いていたと記憶する。曰く、「老いて旨しとするもの」と。

なるほど。「老いて旨し」とは含蓄がある。酒やタバコは言うに及ばず。子供の時分にはコーヒーなどただの苦い水であった。それが大人になると徐々に旨いと感じられるようになる。さらに歳を重ねることで、その味わい深さに気付いてしまった。焼き魚なんてどれも似たようなものと思っていたはずが、いつしか天然鮎のありがたみを知り、「酒なんて酔えれば何でもいい」と言ってた若造が、日本酒やワインやシングルモルトの銘柄に一喜一憂しては、それをしみじみ旨いと感じる。要するに、ただ食べたり飲んだりするだけでなく、嗜むようになったのである。

ならば、「馬券を嗜む」という使い方は結局のところ正しいような気がしてならない。下手さ加減は若い時分となんら変わりがないが、楽しみ方という点ではずいぶん上達した感がある。昔は勝負馬券がハズレると、悔しさのあまりしばらく馬券を買う気が起きなかった。それが今ではハズレてもハズれたなりに楽しい。たまの当たりはなお楽しい。「老いて楽し」なら立派な嗜みであろう。それを他人に言ったら、「老いて悔しさを忘れただけ。ボケの初期段階」と一蹴された。

なるほど。その可能性はあるな。

 

***** 2016/04/06 *****

 

 

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2016年4月 5日 (火)

ねこびより

ここ数日東京はずっと雨が降ったり止んだりの天気が続いている。晴れたら花見―――。そう決めていたのだが、これでは花見の前に花が散ってしまいかねない。それで寒さに震えつつ、花見がてら大井に行ってみた。パドック周辺や4コーナー付近の桜は今が盛りと咲き誇っているが、ソメイヨシノのあの色合いを写真に表現するのは難しい。

Sakura 

1Rは1番人気のヴェラクルスが楽々と逃げ切った。16か月の休み明けで馬体重はなんと27キロ増。それでもここでは相手が違った。輝く芦毛はお母さんのエイシンバーリン譲りだ。

1r 

2Rを前に4コーナー付近の桜を見に行ってみる。するとそこには既に先客が花見の宴を開いていた。その先客というのは……、

Cat 

猫たちです。

「2Rは荒れそうだにゃ~」

Cat1 

「3番は20キロも減ってるじゃにゃいか!」

Cat2_2 

「でも今27キロ増の馬が勝ったばかりにゃん」

Cat3 

「ちょっと予想屋さんに聞いて来るにゃ」

Cat4 

「やばい! 発売締切のベルだにゃ~!」

Cat5 

―――なんて話で盛り上がっていそうなほど猫がたくさん。花見というより猫見ですな、こりゃ。

Gate 

そんなこんなで2Rも1番人気の芦毛馬・エイダイサンボーイが逃げ切った。こちらの芦毛はお婆ちゃんのユキノサンライズ譲り。猫たちの馬券は当たったのだろうか。

2r 

 

***** 2016/04/05 *****

 

 

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2016年4月 4日 (月)

不安と期待の桜花賞

いよいよ今週は桜花賞。クイーンCが1分32秒5で、チューリップ賞は1分32秒8。例年の桜花賞勝ちタイムを上回る時計を持つ馬が何頭もいる。果たしてここも同じ時計でこなせるのか。時計の裏付けの無い馬では苦しいのか。例年にも増して時計が気になって仕方ない。

桜花賞の前日には中山でニュージーランドトロフィーが行われる。2002年のこのレースを勝ったタイキリオンは、前走で中京の500万下の平場戦を勝っての参戦だった。良馬場の芝1200mの勝ち時計は1分10秒0。特に早くもない。11番人気も仕方のないところであろう。ところが、ハイペースで逃げた1番人気のサーガノヴェルをゴール前でかわして重賞初制覇を果たしてしまう。

Rion

1分32秒1は当時のJRA3歳史上最速の時計。それまでに行われたNHKマイルカップの勝ち時計さえも、ことごとく上回っていたことになる。ニュージーランドTのレースレコードとしては、あれから14年が経った今も破られていない。それでタイキリオンは一躍NHKマイルカップの有力馬に躍り出た。

だが、2番人気(1番人気はタニノギムレット)で迎えた本番では、テレグノシスの14着と大敗してしまう。時計も1分35秒2を要した。続くファルコンSでも圧倒的1番人気に推されるものの、やはり15着と大敗。結果、ニュージーランドTのあとは(0,0,0,9)の大不振に陥り、障害戦に活路を見出してゆく。

タイキリオンよりも前に、3歳春の時点で1分32秒台の勝ち時計をマークしたことのある馬は、第1回のNHKマイルカップの覇者タイキフォーチュンただ一頭。だがしかし、NHKマイルカップを1分32秒4のレコードで勝ったその後は、まるで燃え尽きたかのように8連敗で現役を退いた。実はタイキリオンは、このタイキフォーチュンの弟でもある。スタミナもスピードも、全能力を出し切らないと快走できないマイル戦を猛時計で走ったその代償は、我々の想像以上に大きいのであろう。その後、NHKマイルで驚異のレコードを叩き出したダノンシャンティの例を出すまでもない。

Mejar

翻って今年の桜花賞には1分32秒台の時計を持つ有力馬が3頭も登場してくる。そのうちの一頭が逃げるのならば、ペースが緩むことはなかろう。ちなみに昨日の阪神では500万下でも1分33秒4で乗り切っていた。アパパネがマークした桜花賞のレコード1分33秒3に匹敵する。メジャーエンブレムやシンハライトといった3歳牝馬たちは、繰り返される激戦に耐えられるのだろうか。だが仮にそれを乗り切ることができれば、その瞬間に歴史的名牝が誕生するのかもしれない。不安と期待が渦巻く桜花賞になりそうだ。

 

***** 2016/04/04 *****

 

 

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2016年4月 3日 (日)

スクラッチ

以前このブログでも紹介したカタルーニャの会員さんが肩を落としていた。どうしたと聞けば左前トウ骨の骨片が飛んだという。全治6か月は痛い。他人の馬ながら、私が淡い期待を抱いていた菊花賞挑戦も、これで絶望的となった。

どうやらレース中に発症したらしい。同馬は先週日曜中京の大寒桜賞に出走していた。その前の週までの中京の芝コースはほどよく時計がかかり、メイショウサムソン産駒のカタルーニャに合うはず。そんな調教師の読みは見事に裏切られた。ご存じの通り、わずか1週間で中京の芝コースはレコード連発。鉄板の如き超高速馬場に変貌を遂げていたのである。その鉄板の前にカタルーニャの左膝は悲鳴を上げてしまった。

Turf 

中京の馬場問題については、調教師、騎手、オーナー、メディア、そしてファンからも批判の声が高まってなお止まない。そもそも、2012年にリニューアルオープンしてからの中京では、スピードだけでなくパワーも求められる芝コースが一種のウリとなっていた。エアロヴェロシティのように海外からの参戦馬があるのも、この芝コンディションのおかげと言っても良い。ロードカナロアの走破時計にそれが端的に表れている。中山のスプリンターズSを1分06秒7で勝った馬が、中京の高松宮記念では1分08秒1を要した。それでもその時計がコースレコードになるのである。

だが先週は、土曜の時点で芝コースの異常にみんな気付いていた。1000万条件の岡崎特別を勝ったシゲルチャグチャグは、それまで1分08秒4が精一杯だったのに、いきなり1分07秒4である。この時点でロードカナロアのレコードをコンマ7秒も更新してしまった。これを受けて高松宮記念の前売りオッズも大きく動く。エイシンブルズアイやスノードラゴンといった、タフな馬場を得意とする馬の人気が落ち、1分06秒7というメンバー中もっとも速い時計を持つビッグアーサーに票が集まり始めた。

前の週は1200mに1分12秒を要した馬場が、たった一週間でこうも変わるのか? そもそもなぜ敢えてこんな馬場を仕立てたのか? エイシンブルズアイやスノードラゴンの各陣営は、さぞ困惑したことであろう。もちろんカタルーニャの陣営とて例外ではない。

来日直後のセン痛で回避が決まっていたエアロヴェロシティが、仮に無事に出走にこぎつけていたら、この馬場状態を見て何と言っただろうか。「こんな固い馬場で馬を走らせるわけにいかない。スクラッチさせろ」。そう言ったかもしれない。だが、日本の競馬では馬場状態を理由にした当日の出走取消は認められないことになっている。

ならば、もしスクラッチが制度として認められていたら―――。

高松宮記念後に私が考えたのはそんなことだ。急変した馬場状態のせいで狙った本命馬が負けたというファンは、その怒りの矛先をJRAや馬場造園課に向けたがる。だが、スクラッチが可能ならば、馬場が合わないと判断した陣営はスクラッチを選べばよい。それなら馬券も返還される。仮に陣営が出走に踏み切り、それで敗れたとしても、馬場状態はもはや勝ち負けの理由にはできない。スクラッチが増えてもっとも困るのはJRA。それならば、レコード狙いとしか思えない極端な馬場コンディションを造作するような真似はしないだろう。なんとなく三方丸く収まるような気がしてならない。

ただし、実際にスクラッチを決断するには相応の勇気がいるのではないか。それが数か月も前から目標としてきたレースならなおさら。また、それがいわゆる一口馬主の馬だと、会員から文句も出かねない。

高松宮記念発走の十数時間前。ドバイシーマクラシックの返し馬に入ろうとしたドゥラメンテに落鉄が確認された。だが、彼の地では馬場入り後に蹄鉄を打ち直す習慣がない。そのまま走るか、あるいはスクラッチか。その場で二者択一を迫られた堀調教師は、「スクラッチ」の5文字が頭をよぎったという。

結局はデムーロ騎手と協議した上で出走。結果は堂々の2着である。だが、もし出走に踏み切ったことで、馬に万一のことがあったら……。そう考えたら背筋が寒くなった。なにせ陣営にはスクラッチというカードも手渡されていたのである。そういう意味では、難しいことを考えなくて良いルールを日本の競馬は採用しているのかもしれない。だが、秋には海外のレースの馬券発売が開始される。海外のルールや習慣が、馬券に大きな影響を与える可能性は否定できない。それを理解して買う人は、どれほどいるのだろうか?

 

***** 2016/04/03 *****

 

 

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2016年4月 2日 (土)

ノロの呪い

久しぶりの中山で知人の馬を応援するはずが、突如として沸き起こったノロウイルス騒動のおかげで、馬のいない府中に来ざるを得なくなった。おそらく中山の桜は満開であろう。悔しさのあまり、西門近くで桜の木を探して無理矢理に花見を決め込んでみたものの、かえって侘しさを募らせる結果となった。電線越しでは絵にならない。

Dsc_3394 

府中と言えば桜よりも欅(けやき)である。大国魂神社から競馬場のパドック付近にかけては欅の森が続いているし、ダートオープンの欅ステークスも行われている。だが、東京競馬場でもっとも有名な欅は、3~4コーナー中間付近にそびえる「大ケヤキ」であろう。スタンドからの視界を遮る樹木というのは、日本の競馬場では珍しい。

大ケヤキの根元には、この地の開祖とされる井田是政の墓があり、それを取り囲むように20本ほどの木々が生えている。だが、はるか昔はもっと生えていたらしい。観戦の邪魔になるからと、一部の欅を切った。すると、直後にその作業員が原因不明の病気で死んだという逸話が残る。いわゆる「大ケヤキの呪い」。その真偽は定かではないが、それが理由でそれ以上木を切ることはできなくなり、現在に至る。ちなみに、最も高くそびえていた欅は、数十年前に落雷を受けて折れてしまったらしい。現存する最も高い木は高さ15mほどの榎(えのき)だという。それでも「大ケヤキ」の呼び名は昔から変わっていない。と同時に「大ケヤキの呪い」も残っている。あの日、大ケヤキを過ぎたあたりでサイレンススズカが骨折した時も、「呪い」を口にするファンがいた。

Ss 

・モンタヴァルの血の呪い
・日本ダービー8番枠の呪い
・ディープインパクトの2着馬にかけられた呪い

……等々。御多聞に漏れず競馬界には様々な呪いがかけられていて、無垢な人々を惑わせている。かく言う私も「アイツに写真を撮られた馬は呪われる」などと、あらぬ嫌疑をかけられた時代があった。私が撮影した種牡馬がその直後にバタバタと死んだのである。トニービンは半年後、カーリアンは4か月後、サンデーサイレンスは1か月後、ダンシングブレーヴに至っては撮影のわずか5日後に死んでしまった。むろん偶然であることは言うまでもない。むしろそれくらい熱心に撮り歩いていたと理解してほしい。もちろん呪いなどであろうはずがない。だが、昨夏に撮影させてもらったマンハッタンカフェがそのわずか2日後に死んでしまったことを思うと、オノレの呪い疑惑を呪いたくもなる。

Cafe 

さて、中山に出走した知人の馬は、他の人気馬たちの追撃を凌いで見事1着ゴールを果たした。これはめでたい。めでたいが心境はどこか複雑である。これは私が現地に行かなかったせいなのか?

なにせ、その馬の過去3走はしっかり現地で応援していた私である。その3戦で結果が出なかったのに、今日のレースで馬は見違える動きを見せていた。現地に行けなかった私にとっては「ノロの呪い」だが、馬にとっては「ノロの祝い」だった可能性がある。

ちなみに朝から私が東京場外に立ち寄ったのは、何も花見のためではない。このレース、単勝2倍の1番人気馬がいた。その単勝を買えば、知人の所有馬のアシストになればと考えたのである。私が単勝馬券を的中させることなど有り得ない。それを逆手に取った殺し馬券。これも一種の呪いであろう。ルメール騎手には悪いことをした。「ノロの呪い」だと思って諦めてくれ。

 

***** 2016/04/02 *****

 

 

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2016年4月 1日 (金)

新年度

今日から新年度。社会人であればいろんな節目を感じる昨日今日であったはずが、なんと私の職場ではこのクソ忙しい時期にノロウイルスに罹患した奴が出た。むろん当人は自宅待機。その余波を受けるのは他ならぬ私である。2日間に及ぶ長い長い「一日」が終わって帰宅の途につけば、スーツ姿の若者がやたらと目につく。なんだコイツらは?と不思議に思ったりもしたが、どうやら新社会人らしい。私の知らぬ間に新年度はしっかりとスタートしていた。

Calender 

帰宅するなり社台さんからいただいたカレンダーをめくる。すると4月を飾るのは、昨年の共同通信杯を勝ったリアルスティールである。昨年暮れに届いたカレンダーをパラパラとめくった時は、「なんで4月にリアルスティール?」と思ったりもした。そこは1番人気で悔しい思いをした皐月賞の月ではないか。関係者はどうしたって一年前を思い出すだろう。そんなの嫌がらせじゃないか―――。その時はたしかにそう思った。

だが、実際に2016年の4月が訪れて、いざカレンダーをめくってみると、なんと素晴らしいタイミングかと思わず拍手を送りたくなる。カレンダー制作の担当者は3月末のドバイでリアルスティールが勝つことを、昨年秋の時点で既に見抜いていたのだろうか。常識的には有り得ない難い話だが、あまりにタイミングが良過ぎる。今年すでに重賞4勝。オーナーランキングのトップを走るサンデーレーシングなら、そんなことがあったとしても、もはや驚かない。

一方で気になるのはタテ縞(社台レースホース)である。最近どうも元気がない。オーナーランキングでは金子真人氏の後塵を拝し、まさかの4位に甘んじている。その差は現時点で約5800万円。今週の産経大阪杯でラブリーデイが勝ったりすれば、その差はさらに広がりかねない。

【収得賞金ランキング】
①サンデーR 9億6472万円
②キャロット 8億1713万円
③金子真人  4億3358万円
④社台RH  3億7551万円
⑤シルクHC 3億4941万円
     (2016/3/31現在)

むしろ社台が心配すべき相手は眼下に迫るシルクであろう。その差約2600万は無きに等しい。この数字は日本国内のみの賞金を対象としているが、仮にラストインパクトのドバイシーマクラシックでの3着賞金60万ドルを加えれば、実質逆転との見方もできる。

Kinpai 

「社台はいつから地方専門になった?」

口の悪い会員さんが、先日そう言うのを耳にした。たしかに最近の社台が勝った重賞と言えば、大井の金盃(ジャルディーノ)や船橋の報知グランプリカップ(タイムズアロー)しか思い浮かばない。実際、先月の会報ではその2頭が大きく紹介されていた。それは地方所属の社台の馬たちが頑張っている証のはずだが、中央の馬の成績が伴わないために、地方ばかりが目立ってしまう。つまりそういうことであろう。

冒頭のカレンダーをあらためて見返してみると、3月はララベルの浦和桜花賞で、7月はノンコノユメのジャパンダートダービーが使われている。なんと、ここでも社台ファーム生産馬は南関東での活躍がクローズアップされていた。それを悪い話とみなすのは、南関東を根城にする人間として躊躇われるところだが、思うような成績が出ていないことの裏返しであることも否定できない。ちと悲しい。

「悲しい」と言えば、明日は久しぶりに中山に行って知人の馬を応援するつもりだったのだが、件のノロウイルス騒動のせいで府中の仕事場に行かねばならなくなった。中山と府中ではエラく違う。

こんな理不尽が許されるのか?と問えば、信じがたいことにこれが許されてしまうのである。それが社会だ。新社会人の方々は覚悟しておいた方が良い。いや、その前にノロウイルスに感染したりせぬよう注意してください。新生活は始まったばかりだ。

 

***** 2016/04/01 *****

 

 

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