« 進歩 | トップページ | ドーナツと競馬の浅からぬ関係 »

2016年3月28日 (月)

同期の一番星

先週の浦和で2つ勝ったこともあって、メディアを中心とした「ナナコフィーバー」も、ようやく落ち着いてきたのだろうか。ドバイで日本馬の大活躍があり、高松宮記念で春のGⅠシーズンも開幕した。競馬を盛り上げるのは構わないが、いつまでも浮かれられていては困る。そろそろ冷静さを取り戻そう。ゼッケンが盗まれたことなど管理者の手落ちである。

浦和で2勝したとはいえ、それはJRAのキャリアにはならない。ゆえにJRAのサイトで藤田騎手を紹介するページの「初勝利」欄は空欄のままだ。それをいちばん意識しているのはご本人であろう。

へそ曲がりな私は、藤田騎手に注目が集まる陰で、同期の誰かが初勝利を挙げたりしないかと秘かに期待していた。同じ新人騎手でありながらあまりに違うメディアの扱いに対する、それがプロの意地というものであろう。それくらいの根性がなければ、やっていけない世界でもある。なのに、先週まで誰も勝ってくれない。私が焦っても仕方ないが、焦る理由はもうひとつあった。藤田騎手を含む競馬学校騎手課程第32期生は、他に菊沢一樹、木幡巧也、荻野極、坂井瑠星、森裕太朗を合せた6人がこの3月にデビューを果たしたが、先週まで誰ひとりとしてJRAで勝利を挙げていなかったのである。

厳しい勝負の世界とはいえ、デビューしたばかりの新人騎手に勝てそうな馬が用意されることは珍しくない。馬主からすれば祝儀の意味合いもあるし、調教師には馬だけでなく人材の育成という使命がある。ひとつ勝てば本人は大きな自信につながるだろう。同時に厩舎にも勢いがつく。そういう意味では「今年の新人騎手が初勝利」というニュースは3月の風物詩である。実際、昭和60年の競馬学校1期生デビューから昨年の31期生まで、必ず誰かしらひとりは3月中に初勝利を挙げてきた。

そんなこんなで迎えた3月最終週。ここで新人騎手の誰かが勝たなければ記録は途切れる。土曜は全員未勝利。ああ、もう後がない。そう思いつつ迎えた昨日の中山1Rを、木幡巧也騎手のモンサンアルナイルが勝った。いやあ、初勝利おめでとうございます。これが32期生によるJRA初勝利。と同時に、新人騎手が3月中に勝利を挙げてきた記録も繋がった。

もちろん早く勝てば良いというものでもない。同期の一番星となりながら、その後大成せずに終わった騎手のなんと多いことか。先日の日経賞を勝った吉田隼人騎手の初勝利は4月24日だし、古くは横山典弘騎手でも4月29日まで待たなければならなかった。田辺裕信騎手に至っては8月の新潟である。

Tanabe 

共に1000勝を達成しダービージョッキーでもある加賀武見氏と増沢末夫氏は同い年だが、騎手デビューを果たした年の成績は加賀氏58勝に対し、増沢氏はたった3勝だった。ところが両者が49歳になった1986年の成績を紐解けば、加賀氏の6勝に対し、増沢氏は106勝である。競走馬同様、騎手にも早熟タイプや晩成タイプがあるに違いない。今年の新人騎手たちは果たしてどのような成長曲線を描くのだろうか。焦らずじっくり見守りたい。

 

***** 2016/03/28 *****

 

 

|

« 進歩 | トップページ | ドーナツと競馬の浅からぬ関係 »

競馬」カテゴリの記事

コメント

新人騎手の報道について全く同感です。木幡巧騎手の初勝利の記事が、「菜七子また勝てず」の記事より小さい扱いだったのは、怒りを通り越して呆れてしまいました。

投稿: ちゅう太郎 | 2016年3月29日 (火) 16時03分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 進歩 | トップページ | ドーナツと競馬の浅からぬ関係 »