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2016年3月20日 (日)

GⅠ増殖の果てに

昨日の続き。

私が競馬を始めた頃は「八大競走」という言葉が普通に使われていた。3歳クラシック5冠に春秋の天皇賞、それに有馬記念を加えた8つのレースこそがチャンピオン決定戦であり、それ以外のすべてのレースは、その8つのタイトルへのステップレースに過ぎなかったのである。

その後、1984年にグレード制が導入されると、15のレースに「GⅠ」の格付けが与えられる。前述の8つに加え、安田記念、宝塚記念、エリザベス女王杯、マイルチャンピオンシップ、ジャパンカップ、阪神3歳S、朝日杯3歳Sが新たにチャンピオン決定戦に加えられた。チャンピオンになるチャンスは一気に倍増したことになる。

そして現在、日本国内では障害やダートグレードを含め年間34ものGⅠレースが行われている。「さらに倍」どころではない。そこに来年から産経大阪杯が加わるという。さらに、ホープフルSも「GⅠ昇格を目指す」と明確に謳われて重賞昇格を果たした経緯がある。つまり36のGⅠレースが行われるかもしれない。こうなるとむしろ「GⅠのない週」の方が希少ではないか。

「ああ、珍しく今週はGⅠがないんだね」

「そうか、それならのんびり競馬を見られるな」

そんな会話が聞かれる日は、案外近そうだ。

Dirt 

それにしても、国内生産頭数漸減の折にもかかわらず、優良繁殖馬選定レースたるGⅠレースが増え続ける姿は奇妙に映る。GⅠの数が増えれば増えるほど、その価値が薄まることは言うまでもない。「GⅠ馬10頭の豪華メンバー」みたいなフレーズは陳腐となり、「GⅠ7勝」といった経歴も輝きを失う。すると人々はそれに代わる指標を求めるだろう。それは「クラシック」かもしれないし「海外GⅠ」かもしれない。あるいは、国内のGⅠをさらにランク分けするという禁断の手もある。

「禁断の手」と書いて佐賀競馬を思い出した。佐賀競馬は数年前からメインレースのほとんどすべてを「重賞」化するという荒業に出ている。距離体系も条件もあったものではない。下級条件馬同士による「重賞」が平然と行われている。売上確保のための窮余の策であるとはいえ、結果的に佐賀における重賞の権威は地に落ちた。禁断の手を使うからには、相応の代償を払わねばならない。佐賀の売上に一定の目途が付いた暁には、速やかに重賞体型の見直しがなされることを期待している。

大阪杯とホープフルSに続くGⅠ昇格の有力候補は、札幌記念と阪神カップ。どちらも待望論が湧き続けて久しい。GⅠレース増殖路線の行きつく果ては佐賀と同じか、あるいは別のどこかか。私個人は、出走条件が「GⅠ優勝馬であること」という“GⅠ条件”の誕生を予感しているが、果たして―――。

 

***** 2016/03/20 *****

 

 

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コメント

たるみ様

コメントありがとうございます。
見る人は「G1」と「G1.5」をちゃんと区別しているんですね。G1乱立の影で皐月賞や天皇賞の立場が危うくなっている現状を憂いでますdespair

投稿: 店主 | 2016年3月21日 (月) 11時43分

"大阪杯がGI昇格”
このニュースを聞いたとき、またGI増やすのか、と言うのが正直な感想であり、ちょっと辟易としてしまいました。個別にあげてしまうと異論はあるかもしれませんが、秋華賞とか、NHKマイルCとか当初の設立意義が薄れてきているGIレースもあるわけで、まずはGIの整理改廃が必要なのではと、考えます。
当方、地方に住んでいるのですが、ファンファーレ後の手拍子にしても、ウイニングランにしても、以前ほどGIが盛り上がらなくなっていると、画面を通しても感じておりますし、ブログ主さんが書いておられるようにGIの大安売りにならないことを切に祈っています。

投稿: たるみ | 2016年3月20日 (日) 23時55分

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