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2016年2月29日 (月)

サクラローレルの血

両前骨折明けのドゥラメンテが中山記念を勝った。ゴール寸前でアンビシャスに迫られたとはいえ、2キロの斤量差を思えば完勝と言って良い。20年前にやはり両前骨折明けで中山記念を勝ったのがサクラローレル。だからというわけではないが、中山記念の2時間後に行われる佐賀の重賞レース・鏡山賞のスイングエンジンに注目していた。彼はサクラローレル産駒の重賞ウイナーとして、現役を続ける唯一頭の競走馬である。

Swing1 

サクラローレルの産駒が2歳戦で活躍するケースはほとんどない。3歳になってダート1800mで頭角を現す馬がようやく出てくる程度。つまり奥手のダート血統。サクラローレル自身もダートで3戦して(2,1,0,0)の成績を残している。唯一の敗戦にしても、負けた相手がタイキブリザードなら致し方あるまい。2年連続でBCクラシックに挑むことになるダートの猛者には3/4馬身及ばなかったが、それでも3着馬には7馬身の差をつけていた。

私は現役時代のサクラローレルに直接触れたことがある。いや、結果的に現役最後のレースとなったフォア賞のあとだから、厳密に言えばそれは「現役」ではないかもしれない。いずれにせよ、それは1997年の凱旋門賞の前日のこと。途方もない広さのシャンティイの森を一日中歩き回り、ようやく探し当てた厩舎の窓から顔を出していた日本最強馬は、どことなく憂いを含んだような、哀しげな表情だった。

レース中に故障を発症したフォア賞はまさかの最下位入線。屈腱炎であることと、現役引退が同時に発表されたのはその2日後。それから3週間近くが経ち、夢にまでみた凱旋門賞を翌日に控えたこの日になっても、サクラローレルはまだシャンティイに留まっていたのである。

Sakura 

「せっかく来たんだから顔を撫でていきなさいよ」

そう言う女性スタッフの言葉に一瞬戸惑った。ひょっとしたら聞き間違いだったかもしれない。なにせフランス人の話す英語である。それでもこんな機会はないとばかりに鼻面を撫でてみた。その時の温もりと、微動だにしないサクラローレルの姿はいまも忘れがたい。それは私が抱く「最強馬」の概念を大きく覆した。おそらくよほど頭が良いのだろう。凱旋門賞は残念だったけど、命に係わる怪我でなくて良かったじゃないか。そんなことを馬に語りかけたように思う。

そのサクラローレル産駒として2006年に産まれたスイングエンジンは、JRA2勝の実績を引っ提げて佐賀に転入すると、一昨年の吉野ヶ里記念、そして昨年の九州オールカマーを勝ち、3年連続の重賞勝ちを目指して昨日の鏡山賞のゲートに入った。

レースは2番手追走から楽に前を捉えての完勝。10歳を迎えてますます強さが増したように感じたのは私だけではあるまい。そこはサクラローレルの血統である。

Swing2 

しかし、競馬の神様は時に非情だ。馬主氏にお祝いを伝えようとしたそのタイミングで、その馬主のツイッターがスイングエンジンの故障を知らせてくれた。レース中の発症で、このまま引退とのこと。そんなところまでお父さんの跡を辿る必要もあるまいに。それ以外に言葉が見つからない。奥手のダート血統が開花するのは、まさにこれからだったはず。命に係わるような怪我でなかったのが、せめてもの救い。レースから一日経った今は、そう思うことにしようと務めている。

 

***** 2016/02/29 *****

 

 

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2016年2月28日 (日)

日本一の場外の隣で

今日は東京ドームでプロ野球のオープン戦を観戦。巨人対ヤクルトは1か月後の開幕と同じカードということもあってか、オープン戦にしてはずいぶんとお客さんが入っている。どうせガラガラだろうとタカをくくってたんで、ちょいと驚いた。

Dome 

馬券は隣のウインズ後楽園で仕入れてきた。ドームの混雑ぶりに比べると、こちらはずいぶんと空いていた印象がある。しかし単なる印象の問題かもしれない。なにせ、ひと昔前の狂気的な混雑ぶりを知る世代である。

1949年に開業したウインズ後楽園は、場外馬券発売所としては、売上、広さ、そして入場者数ともに日本一を誇る巨大場外。その巨大さを以てしても、競馬ブームの折には窓口に並ぶ客の列が場外にまで溢れ出て、ぐるりと建物を取り囲んでいた。当然、レース発走締切時刻までに買えない客も出てくる。そのたびに客が暴れた。なんとかしろ! 俺らは客だぞ!!

JRAが取った窮余の策は、「大レースに限り馬券発売を特券(千円券)のみとする」というもの。しかも、慢性的な混雑が社会問題化していたウインズ新宿に至っては、「常時特券のみ」という暴挙に出たのである。実現には至らなかったものの、「5千円券」「1万円券」の発売も真剣に検討された。千円券を「特券」と呼ぶのなら、もし1万円券があれば何と呼ばれてたのだろうか。「超特券」ですかね?

ともあれ、発売単価を上げることしかできなかったのだから、いかに場外馬券売場の混雑対策が難しいものだったか想像できるだろう。中日が巨人のV10を阻止し、キタノカチドキが春のクラシック2冠を制した1974年、この年、JRA(当時は日本中央競馬会)の売り上げ総額7700億円のうち、場外での売り上げが初めて50%を突破した。競馬場で観戦するよりも、場外で馬券勝負に徹する場外馬券時代に突入したのである。

それから40余年。ヤクルトが巨人のV4を阻止し、ドゥラメンテが春のクラシック2冠を制した2015年のJRAの売り上げは2兆5833億円。そのうち半分以上を電話・インターネット投票が占めた。いまや場外の発売割合は3割にも満たない。そんな時代ならウインズが空いていると感じるのも当然。一方で、後楽園球場から東京ドームに場所を変えても、野球ファンは変わらずこの地にやってきている。

ちなみに、私が先ほどウインズ後楽園で購入してきた馬券はコチラ。

Baken 

火曜付「リピーターの血」であのように書いた以上、これを買わないわけにいかんでしょう。特券でないことは勘弁していただきたい。結果7着と聞いた時は耳を疑ったが、厳しい展開を踏ん張って自身の時計を詰めたのだから立派なもの。今日ばかりは相手が悪かった。私の単勝馬券も多少なりとも足枷になったかもしれない。

 

***** 2016/02/28 *****

 

 

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2016年2月27日 (土)

ゆずのチカラ

今日はまた一段と花粉がひどい。おかげで鼻はグズグズ、目はショボショボ。それで昼メシはこの店で食うことに。

Umasoba 

毎度おなじみ『鳥そば深大寺』ですね。今日から開催は中山に替わるので、馬はいないが店は開いている。なんだかんだ言っても、カラダは食べ慣れたものを欲しがってしまうわけですよ。

ただし、今日の眼目はコチラ。

Yuzu 

そう、柚子胡椒。この店の秘かなセールスポイントだ。

柚子には風邪予防の効果があるとされる。ひと昔前は花粉症に効くと話題にもなった。なによりピリッと爽快な辛味で、この不快な鼻づまりを吹き飛ばしたい。

柚子胡椒がメインなので、いつもの「鳥そば」ではなく、今日は「鳥うどん」を注文。この店には長いこと通い詰めているけど初めてのオーダーだ。

Udon 

柚子胡椒を少しばかり溶いてからダシを一口すすると、ふわっと爽やかな香りが広がった。その香りと小麦の風味が相まって、うどんを口に運ぶ前から「美味い」と感じてしまう。

Yuzu2 

もとより、うどんに柚子やスダチを絞る食べ方は珍しくない。九州でうどんの薬味と言えば柚子胡椒だし、甘く炊かれた鶏肉との相性も抜群。すなわちこの店のセールスポイントでもある柚子胡椒を楽しむのなら、この「鳥うどん」こそベストマッチだったのである。そうと知ってて、なぜ今まで注文しなかったのだろうか。慣れというのは怖い。

Baken 

気分を良くしてアーリントンカップの馬券を購入。6番人気のシゲルノコギリザメを買ってみることに。その理由は、同オーナーのかつての所有馬に「シゲルユズ」という一頭がいたことを思い出したから。でも残念ながら12着。そんなことで当たるほど馬券は甘いもんじゃない。でも、柚子胡椒と鳥うどんがウマかったから、今日のところはヨシとする。花粉なんかに負けないぞ。

 

***** 2016/02/27 *****

 

 

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2016年2月26日 (金)

トライアル連闘

リオデジャネイロ五輪代表の最終選考会となる名古屋ウィメンズマラソンに福士加代子選手が一般参加でエントリーしてきた。優勝した大阪国際女子マラソンから、わずか1か月半での“連闘”にメディアは沸き立っている。背景にはリオ五輪の代表問題があるわけだが、ここでその是非を論じることはしない。私は陸上競技についてはまったくの門外漢である。

弥生賞を勝った馬がスプリングSに出るようなものか―――。

今回の福士選手の一件を聞いて、そんな風に感じる競馬ファンもいるのではないか。昔のクラシック戦線では、このローテーションは珍しくなかった。1969年ワイルドモア、翌70年タニノムーティエ、そして73年ハイセイコー。彼らは弥生賞を勝ち、スプリングSも勝って、皐月賞をも制している。彼ら3頭以外にも、弥生賞を勝ちながらスプリングSに出走した馬は数知れない。

理由は様々ある。かつてはレースを使いながら本番に向けて徐々に仕上げて行くスタイルが普通だったし、使えるレースがあるなら使っておこうという風潮もなくはなかった。さらに当時は、弥生賞を勝っても、皐月賞の優先出走権が付与されなかったという事情もある。弥生賞の上位入着馬に皐月賞の優先出走権が与えられるようになったのは1982年から。それ以降は弥生賞馬がスプリングSに出てきたケースがないことを考えると、やはり「優先出走権」というのはバカにできないのであろう。そう思うと、福士選手の気持ちも門外漢なりに分からないでもない。

優先出走権を持ちながら再度トライアルに出てきたケースで、もっとも有名な馬としてはサニーブライアンの名前が挙げられる。弥生賞でランニングゲイルの3着して優先出走権を得たにも関わらず、中2週で若葉Sに出走してきた。当然1番人気。ところが4着に敗れて一部のメディアから「無理使い」との非難を浴び、それが皐月賞での人気低下につながる。

Derby 

実際、サニーブライアンが若葉Sを走ったのは「太りやすい」という体質を考慮してのものだった。結果、皐月賞とダービーの2冠を達成したことを考えれば、陣営の判断は間違っていなかったことになる。福士選手も、「名古屋出走は間違っていなかった」とあとで思えるよう頑張ってください。

 

***** 2016/02/26 *****

 

 

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2016年2月25日 (木)

【焼きそば探訪①】たんたん焼きそば

先日、府中市内のとある食堂で、このようなメニューを見かけた。

Menu 

湯河原風担々焼きそば―――?

神奈川県湯河原町のご当地焼きそばらしいが、神奈川の東の果てに住む者として、「湯河原」という神奈川県西端の地名にはどこかしら心惹かれるものがある。それで思わず注文してみることに。

Yugawara 

見た目は普通の焼きそばに近い。だが、食べてみるとピリ辛のあんが喉を刺激する。うん、悪くない。だけど、もうちょっと美味しくするために、もうひと工夫できそうな気もする。たとえば焼きそばであることを活かした何か。しかしまあ、そこまで期待するのは酷であろう。ここは府中の食堂。しかも、メニューにはあくまで「湯河原風」と断ってある。

湯河原町の担々焼きそばは、湯河原に食の名物を作ろうと商工会が動き出したのがきっかけで生まれた。いわば創作型のご当地B級グルメ。静岡県富士宮市の「富士宮焼きそば」や秋田県横手市の「横手焼きそば」など、B-1グランプリで焼きそばが人気を集めていたことに注目して考案された。正式名称は「たんたんたぬきの担々焼きそば」。神の使いとして湯河原の温泉を守り続けている、伝説のたぬきにちなみ命名されたという。

湯河原の担々焼きそばには、レモンやオレンジなどの柑橘類を添えたり、茹で玉子を載せたりと様々な流派があるようだが、品川から大井競馬場に向かう途中、京急・新馬場駅近くの中華料理店『味丸』には、湯河原風ではない、単なる「担々焼きそば」がメニューに掲げられている。

Ajimaru 

具材はニラ、もやし、炒り玉子と極めてシンプル。だが、これがめっぽう美味い。完成された美味さとでも言おうか。味の決め手は勝浦担々麺と同じ辣油のピリ辛。だが、その辛さの末脚を、炒り玉子の甘さが封じてくれる。おかげで辛さに悶絶するようなことはない。

Tantan 

ここはラーメンも美味しいと評判の店だが、この担々焼きそばを食べないのはもったいない気がする。ちなみに注文するときは「たんたんやき」と言うと、ちょっとツウな感じになれる。やってみよう。

 

***** 2016/02/25 *****

 

 

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2016年2月24日 (水)

骨折明け

中山記念のドゥラメンテは買えるのか―――?

年季の入ったファンほど、悩んでいるのではあるまいか。昨年2冠を制したレースぶりはまさに別次元。GⅡのここででは能力が違う。それは分かる。しかし、両前の骨折による9か月の休養明けで、果たして能力全開となるのか? しかも舞台は小回りの中山1800m。イスラボニータやリアルスティールに上手く立ち回れてしまえば、能力全開となる前にレースが終わってしまうかもしれない。こういう時こそリスクとオッズを慎重に天秤にかける必要がある。

20年前の中山記念を思い出す。人気を集めたのは前年の皐月賞馬ジェニュイン。前年暮れの香港国際カップを勝ったフジヤマケンザンも凱旋して、この年の中山記念は盛り上がっていた。だが、勝ったのはサクラローレル。信じられないことに9番人気である。だが、そんな低評価をあざ笑うかのような豪快な末脚で、一気に先頭のジェニュインを捉えると、さらに突き放すという圧巻のレースぶりを見せた。

Sakura 

この時、サクラローレルは1年1か月の休み明け。休養の原因はドゥラメンテと同じく両前の骨折だった。

「手探り」

「やってみなければわからない」

レース前、陣営は慎重姿勢に終始。長距離血統でありながら復帰戦に中山記念が選ばれたのも、「いきなり長距離では厳しい」との判断からだ。これでは9番人気も仕方あるまい。しかし、それでこのパフォーマンス。逆に展望は一気に広がった。直後の天皇賞でナリタブライアンとマヤノトップガンの「2強」を相手にしなかったことも、あとから考えれば十分納得できる。

対して20年後のドゥラメンテである。両前の骨折自体はサクラローレルに比べれば大したことはない。問題は仕上げ。ダービーを勝った時の馬体重は484キロ。それが9月には550キロ近くにもなった。現在は520キロを切るくらいらしいが、それでもダービーより30キロも重い。果たして日曜日のパドックには、どれくらいの体重で出てくるのだろうか。

Dora 

そこは堀厩舎のこと。無理矢理に体を絞るような真似はしない。しかも厳寒期。骨折明けとなればなおさら。むろん成長分も無視できない。あとはパドックに現れた馬を実際に見て、どう判断するか。ファンの目が試される中山記念でもある。

サクラローレルを管理していた境勝太郎調教師は、「おれは肉屋じゃない」と言って馬体重について聞かれることを嫌がった。太い細いは自分の目で見て判断する。数字にとらわれるべきではない。そういうことだろう。

 

***** 2016/02/24 *****

 

 

 

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2016年2月23日 (火)

リピーターの血

中山記念にドゥラメンテが登場するということで、早くも新聞や週刊誌は盛り上がりを見せている。

GⅠ・フェブラリーSは53,315人の観衆を集めたが、今週はそれを上回るのではないかという声も聞こえるほど。言われてみれば、クラシック2冠馬が4歳初戦に中山記念を選んだというケースなど当方記憶にない。春シーズンのA級古馬たちは、天皇賞ではなくドバイや香港や豪州を目指すのが普通になりつつある。時代は変わった。

ただし、古馬の目標が変わっても、中山記念そのものが大きく変わったわけではない。春の中山で行われる芝1800mの別定GⅡ。皐月賞馬の活躍が目立つのも、この条件なら自明のことと納得がいく。古くはハイセイコーが勝ってファンの喝采を浴び、最近ではヴィクトワールピサがここを勝つと、返す刀でドバイをも制してみせた。今年は3頭の皐月賞優勝馬が登場してくる。衆目一致の人気馬はドゥラメンテ。これは当然。次いでGⅠであと一歩の競馬が続くイスラボニータか。これも順当。最年長の皐月賞馬ロゴタイプの肩身は……、やや狭い。

Logo 

だからこそ、というわけでもないが、私はロゴタイプに肩入れしている。なぜか。カネミカサ(1978-79年)、エイティトウショウ(82-83年)、バランスオブゲーム(05-06年)、カンパニー(08-09年)。連覇だけでも過去に4頭。勝てないまでも、2年連続馬券圏内好走のような実例まで取り挙げるときりがない。中山記念と言えばリピーターの活躍するステージ。ならば一昨年3着、昨年2着のロゴタイプに注目せぬわけにはいかない。

ロゴタイプの父はローエングリン。スプリンターズSにも菊花賞にも出走した異質の経歴の持ち主だが、彼は4歳時に中山記念を勝っている。連覇を目指した5歳では3着。6歳、7歳は出走機会がなく、8歳になって3度目の出走を果たすと、後藤浩輝騎手を背に鮮やかな逃げ切りを決めてみせた。4歳時と8歳時に中山記念を2勝。連覇ではない。だがある意味連覇より難しい。歴史的なリピーターである。

Loen 

そんな父から中山記念への適性をロゴタイプが受け継いでいたとしても、おかしくはあるまい。これまでのところ父子合わせて中山記念【2,1,2,0】。これ以上のスペシャリストはいない。後輩の皐月賞馬2頭に先輩の意地を見せてもらいたい。

 

***** 2016/02/23 *****

 

 

 

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2016年2月22日 (月)

夏のフェブラリーS

昨日の東京競馬場はコートが邪魔になるほどの暖かさに恵まれた。最高気温14.4度。それで思わず春の陽気だと口に出したら、隣の釧路馬主は「いや、夏だよ」と訂正してきた。たしかに空に浮かぶ雲は夏を思わせる。まさかの「夏のフェブラリーS」だ。

Tokyo 

そんな素晴らしい陽気なのに私の心は冴えない。なぜか。その原因は前夜に吉祥寺で飲んだこの一本にある。

Sake 

釧路馬主が持ってきた「北の勝 搾りたて」。極めて入手困難なこの一本を求めるため、発売日には道内各地からファンが店頭に訪れて極寒をものともせず行列を作るという。それは凄い。さっそく味わってみたい。

栓を開けると生酒特有の「シュッ」という音が響き、しかるのちにふくよかな香りが漂ってきた。若干トロリとした感じの濃厚な口当たり。これは美味い。しかも新酒だけに爽快さも兼ね備えており、いくらでも飲めそうな気がする。

だがその見かけに騙されてはいけない。アルコール度数は18度もあるという。「こりゃあ危ないな~。明日競馬行けくなるかもなぁ~」なんて飲み進めたら、危なくホントに来れなくなるところだった。とにかく二日酔いがひどい。細かい文字を読むと気分が悪くなるから新聞も読めない。こうなると春の陽気も夏の空もあったもんじゃない。

それでも何か胃に入れておこう。こんな状態でフェブラリーSを迎えるわけにはいかない。二日酔いにはカレーが効く。でもカレーライスを食べる気にはなれない。ならばと向かったのは『馬そば深大寺』。そこで注文したのは牛すじカレーそば。これなら二日酔いの胃でも食べられそうな気がする。

Umasoba 

パドックを見下ろすテラスで麺をちょっとだけ口に運び、よく噛んで、ひと口食べ終えるたびに水を飲んだ。それの繰り返し。それでどうにか汁まで飲み干すと、食べる前よりずいぶん楽になった気がする。あくまで気のせいかもしれないけど、二日酔いの問題点は気分そのものなのだから、それでよかろう。

ぼんやりした頭でモーニンの快走を見届けて、表彰式を見ることなく早めに競馬場をあとにした。身体にはまだ酒が残っている。さっきのカレーでは足りなかったか。それで隣の分倍河原まで出て『立来(たっくる)』で牛すじカレーうどんを食べることに。頑張れ牛すじカレー! 俺の二日酔いを差し切ってくれ!!

Tackle 

それにしても「北の勝」は美味かった。こんな目に遭っても美味かったと思える酒なんてそうはない。昨日のフェブラリーSを見た人は圧倒的な強さを見せたモーニンに酔いしれ、それに激しく迫ったノンコノユメの強さも印象に残っただろうけど、私はすっかり「北の勝」に酔いしれ、それに激しく迫った牛すじカレーの強さがありがたかった。それが私の感じた夏のフェブラリーS。印象というものは人それぞれだ。

 

***** 2016/02/22 *****

 

 

 

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2016年2月21日 (日)

小さな体に大きな夢

「ノンコノユメってオスだったの?」

競馬場へ向かう南武線の車中でそんな会話が聞こえてきた。

誤解をしている人、あるいは最近まで誤解していた人は少なくあるまい。愛情を込めて「ノンコちゃん」と呼ぶファンもいる。それでも牡馬であることは変えようがない。間違ってもらっちゃあ困る。それなのに、フェブラリーSのパドックに現れたノンコノユメを一目見て、あれ? 間違っているのは俺の方か?と一瞬戸惑った。

Nonko 

出走16頭中もっとも軽い馬体にクリッと潤んだ瞳。お尻のサイズもダートの強豪馬にしては小さい。この中から1頭の牝馬を探せ!というお題を出されたら、私は迷わずノンコちゃんを選んでしまいそうだ。

それにしても、この小さな身体のどこに、あの爆発的な末脚を繰り出すエンジンが隠されているのだろうか? ダートの強豪馬と言えば500キロを超すのが当たり前のご時世である。過去10年のフェブラリーSのうち9回までの優勝馬が500キロオーバー。そして今日のレースでも目の前のパドックを周回する16頭のうち15頭が490キロを超えている。ただ一頭だけ、ノンコノユメが454キロと突出して軽い。

Paddock 

ただし、そういう意味では昨日の雨はノンコノユメに味方しそうだ。水分を含んだ馬場はパワーよりもスピードが優先される。実際、午前の3歳未勝利戦では、1分35秒7という破格の時計が飛び出した。これならフェブラリーSは34秒台前半の決着となるに違いない。

一方で調教師は時計が早過ぎることへの不安を隠さなかった。ノンコノユメは追い込み一手。だが、これだけ馬場が早いと1頭くらい止まらない先行馬が出てきてもおかしくない。結果その不安は的中した。ノンコノユメは期待通りに34秒7という芝並みの上がりで追い込んで見せたのに、ひと足先に抜け出したモーニンがゴール板を駆け抜けていたのである。

Feb 

1分34秒0の勝ち時計はレコード。実は前走の根岸Sもレースレコードの1分22秒0という猛時計で勝っていただから、モーニンの陣営にしてみれば時計勝負なら自信があったのかもしれない。でも私はレコードでの快走から中2週では疲労が抜け切らないのでは?と思ってしまった。それが2戦連続の激走だから素晴らしい。思えばデビューからまだ1年も経っていない4歳馬。その若さの前には、中年男の危惧など関係なかった。

Feb1 

ノンコノユメはチャンピオンズCに続きまたも2着。能力は誰もが認めるところだが、将来の種牡馬入りを展望するなら結果が欲しい。ノンコノユメは、亡き父「トワイニングの夢」でもあり、「軽量馬の夢」でもあり、私にとっては「関東の夢」でもある。フェブラリーSでの関東馬の勝利は、1998年のグルメフロンティアを最後に途絶えたまま。悲願は今年も持ち越された。毎年のように馬場貸しを見せつけられて面白いはずがない。ノンコノユメには来年のリベンジを期待しよう。と同時に、同期モーニンとのライバル物語を紡いでいってほしい。

 

***** 2016/02/21 *****

 

 

 

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2016年2月20日 (土)

回数券

東京競馬場がある府中にたまたま仕事場もある関係で、府中本町駅まではJR回数券を利用している。その回数券を使い切ってしまったので、いつもように駅の券売機で回数券を買おうとしたら、「回数券」の表示がない。隣の券売機を見ても同じ。メンテナンス中とはどこにも書いてないけど、どうやら今は買えないようだ。

ちぇっ、と舌打ちしてこの日はSUICAで改札をくぐったが、翌日も券売機に「回数券」の文字は表示されてない。これはいったいどうしたことか。ひょっとしたら回数券は廃止か? いやそんなバカな!

狼狽える私の目にこんな貼り紙が飛び込んできた。

Jr01
 

ナニ? ここで買えと?

Jr02 

んで、出てきた回数券がこちら。

Jr03 

デカい! まるで新幹線のきっぷじゃないか。これを持って「明日、競馬に行く」と言ったら、周りは京都や小倉に行くと思うんじゃなかろうか。

いやそもそもこんなデカいの11枚も財布に入れてらんないよ。ネットの反応を見たら「嫌がらせか!」と書いてあったけど、まさにその通りですよね。ICカード専用の自動改札機も増える一方。きっぷ・回数券からICカードへとシフトさせようという流れは、なにもJRに限った話ではない。首都高速に乗るたびに回数券で支払っていた時代は、ずいぶん昔になった。

「JR」ではなく「JRA」でも回数券はある。競馬場の入場券。JRの回数券が10回分の料金で11回分を買えるのに対し、JRAは5回分の料金で8回分だから、中央開催だけで使うならおトク度は比較にならない。デザインもJRの回数券に比べれば秀逸。財布にも入れやすい。お客さんのことをちゃんと考えている。

Jra 

入場券以外に回数券は考えられないだろうか。馬券や新聞は法律上難しい。無難なのはやはりコーヒーあたりであろうが、個人的には吉野家の回数券を強く希望する。もちろん競馬場内の店舗限定で結構。その名も「JRA競馬場共通牛丼回数券」。札幌、函館以外のJRA8場で営業している吉野家さんだからこそ敢えてお願いする。是非ともご検討いただきたい。

 

***** 2016/02/20 *****

 

 

 

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2016年2月19日 (金)

失言

政治家の「失言」騒動が引きも切らない。

高鳥内閣府副大臣の「ブルーチーズ」に始まり、高市総務相の「停波」、丸川環境相の「放射能」、溝手自民参院議員会長の「うらやましい」、丸山参院議員の「黒人」、等々。しかも自民党だけに留まらず、民主党の中川元文部科学相までも「安倍首相の睡眠障害を勝ち取ろう」と発言して物議を醸した。

政治家の失言をいちいち取り上げて辞任や謝罪を求める―――。そんなシーンが繰り返されるたびうんざりする。失言をした側にではない。追及する方にである。メディアにとってはボーナスステージみたいなシチュエーションだから、ここぞとばかりに攻め立てるわけだが、それで発言者が辞めたり、あるいは謝って幕引きというのなら、それは結果として間違っているように思えてならない。

例外はあるけど、私は基本的にはマイクを向けられる人の発言はもっと自由であって良いと考えている。さもないとその人の本心が分からない。政治家はなおさら。好きなようにしゃべらせて、その政治家がウラでは何を考えているかを選挙民に開示する。それこそが文字通り「メディア(媒介)」の仕事であろう。言葉狩りの果てに、相手がしゃべらなくなったら、メディアは食いっぱぐれるしかない。

広辞苑によれば、「失言」とは「言ってはいけないことを、不注意で言ってしまうこと」とある。「放言」や「暴言」に比べて「ついうっかり」のニュアンスが強い。英語にも同じ意味「slip of the  tongue(舌の滑り)」という表現があることを踏まえれば、うっかり口が滑ることは、洋の東西を超えた人間の性(さが)と言えそうだ。それならば失言に対してもう少し寛容であっても良さそうだが、以前なら「言い過ぎだぞ」とたしなめられて終わるケースでも、メディアや情報機器の発達により噂やニュースになってたちまち広範な人に知られてしまう時代状況がそれを許さない。

競馬の世界でも発言には注意が必要とされる。出走する馬の調子を尋ねられて、誰もが判で押したように「良い」と答えるのはその最たる例であろう。うっかり「悪い。とても勝負にならない」なんて正直に答えたりすれば、馬主は怒るだろうし、主催者は故意に負けることを示唆したとして発言者を罰することになる。実際、そういう騒ぎも過去にはあった。

逆に調子の良さをアピールするあまり、「この程度の相手に負けるはずがない」などと口を滑らせてしまえば失言になる。これもたまにありますね。対戦相手を怒らせるだけだし、もし負けてしまえば、自分の馬の関係者やファンをも怒らせる結果になる。ひとつも良いことはない。口は災いの元だ。

Lian 

昔、レース実況中についうっかり「そのまま!」と叫んでしまった解説者もいる。有馬記念で大川慶次郎氏が発した「ライアン!」の声にしても、杓子定規に捉えれば大きな失言に違いない。だが、大半の人は大川氏の声を好意的に捉えた。ゴール前で思わず本音が出るのは、競馬ファンなら誰しも経験があるからであろう。

 

***** 2016/02/19 *****

 

 

 

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2016年2月18日 (木)

スズガモ賞

夕暮れの船橋競馬場にやってきた。

Funa 

曜日を間違えたわけではない。報知グランプリカップが行われたのは昨日。それは分かっている。でも昨日は来れなかったので、仕方なく一日遅れでやって来た。今日のメインは駿麗賞だという。

そんなレース名を言われても知りませんよね。私も知らない。準オープンのハンデ戦。なのに前走でオープンを勝っているレガルスイを含め、出走馬の大半が同じ57キロとはどういうことか。これならレガルスイに勝ってくれというようなもの。結果、4馬身差圧勝だが、それで驚くわけにもいかない。

11r 

続く最終レースはスズガモ賞。……つっても、やっぱり知りませんよね。ただ、社台地方オーナーズの関係者には知られたレースかもしれない。なぜか。実は過去6度行われたスズガモ賞に、社台(社台RH1頭を含む)の所属馬が5頭出走しているのだが、その成績は(2,2,1,0)と馬券に絡まなかったことがないのである。そんな社台が、今年のスズガモ賞にはエミーズプライドを送りこんできた。

母は船橋所属ながらJRAの寒竹賞とアネモネSを勝ち、桜花賞にも出走したエミーズスマイル。姉にロジータ記念勝ちのエミーズパラダイス。それで父がキングカメハメハなら、こんなところで負けてはいられまい。しかも社台が得意とするスズガモ賞である。単勝オッズは2.2倍。

Emiz1 

でも、実は私にはほかに勝って欲しい馬がいた。具体的な馬名は控えるが、寒い中せっかく来たのだからぜひ勝ってもらいたい。でもエミーズプライドはいかにも強そうだ。筋肉の張り艶、歩様も申し分ない。

Emiz2 

よーし、こうなったら、あの手を使うしかない!

Baken 

買ってしまった。果たして結果は……。

12r_2 

なんとエミーズプライドはまさかの最下位。

Emiz3 

私の単勝馬券の前には、血統はおろか、社台とスズガモ賞との相性さえも歯が立たないのである。そう思うと自分のこととはいえ、少しばかり怖くなってきた。この力は軽々しく使ってはいけない。己を強く戒めよう―――。いやいや、問題はそこじゃないだろ! 私はこの先一生単勝を的中させることができないのか。そう思ってもやはり怖い。

ともあれエミーズプライドの会員さんに、この場を借りてお詫びします。ごめんなさい。少なくとも故障とかではなかったようなのでホッとしました。おわびに次回は馬券買わずに全力で応援します。

 

***** 2016/02/18 *****

 

 

 

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2016年2月17日 (水)

鼻出血

今年も本格的な花粉のシーズンが到来。文字通り息苦しい日々に突入する。しかも私の場合、これが6月いっぱいまで続くから、息苦しさも半端ではない。

当然ながら鼻をかむ回数も増える。そのタイミングで数年前からやたらと鼻血が出るようになった。最近では風呂に入っただけでも出るし、顔を洗っただけでも出る。外出時に突然出たりもするから始末に負えない。トラネキサム酸のカプセルを処方してもらって飲んではみたが、あまり変わらない気がする。

しかも出るのはなぜか右側の鼻のみ。右の鼻をかむ時だけ、気付かぬうちに力んでいるのかもしれない。それならクセの問題である。ただ、実際には原因は分からない。こないだこのブログで「最近貧血気味だ」と書いたが、ひょっとしたら鼻血のせいじゃないか。だとしたら、いくら鴨を食べて鉄分を補給したところで全然足りない気がする。

人間にとっても鼻血はやっかいだが、競走馬となるとなおさら。馬は口は使わず、鼻だけで呼吸している。だから鼻血で鼻が詰まると呼吸困難に陥ってしまう。しかも鼻の粘膜ではなく、肺から出血するケースがほとんど。毛細血管がもろくなるので、どうしても慢性化しやすくなる。ショウワモダン、ブラックエンブレム、そしてウオッカ。鼻出血を理由に引退を決意した名馬は数知れない。

ただし、鼻出血は慢性化する可能性もある一方で、克服しながら活躍するケースも少なくない。最近ではオルフェーヴルが、古くはハイセイコーなども、鼻出血と付き合いながら活躍していた。JRAでは発症が確認されると1度目なら1か月、2度目は2か月、3度目以降は3か月の出走停止処分が課される。だから、鼻出血を発症する前に手を打つことも大切。軽度の肺出血の段階でいかに検知できるか。そこが鍵となる。

Hanazi 

―――と、ここまで書いてきて、ふと思ったのだけど、私の鼻血の原因は点眼薬の「タブロス」ではなかろうか。緑内障を患っているので、眼圧を下げるため毎日欠かさず点眼しているのである。それも右眼だけに。

この薬の副作用としては、まつ毛が伸びるとだけ聞かされている。おかげで私のまつ毛はやたら長い。長すぎて大井のカメラマンに「まつ毛エクステしてんの?」とからかわれるほど。ともあれ鼻血の副作用という話は聞かなかったよなぁ。

Desire 

レッドディザイアやトレイルブレイザーが米国遠征に踏み切ったのは、彼の地では「ラシックス」の使用が認められているところが大きい。彼らも能力はあるのに鼻出血に悩まされていた。ラシックスは利尿剤だが、鼻出血防止にも効果があるとされる。私もラシックスを使えば鼻血が止まるだろうか。でも、トイレの回数が増えるのは絶対に嫌だ。かように薬には副作用がつきもの。それなら鼻血の方がまだマシと思うことにしよう。

 

***** 2016/02/17 *****

 

 

 

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2016年2月16日 (火)

成るか2日連続3連覇

今週末のフェブラリーSでは、JRAでは史上初めてとなるGⅠ3連覇の快挙が見られるかもしれない。もちろん記録を狙うのは昨年このレース連覇を果たしたコパノリッキー。ここ2戦は不本意な着順であるのに、それでも注目を集めるのは、メジロマックイーンやジェンティルドンナを以てしても達成できなかった大記録に挑む存在であればこそであろう。

Kopa 

それに比べるとあまり話題になっていないようだが、前日土曜の東京競馬場で、もうひとつの「3連覇」が達成される可能性がある。一昨年、昨年とダイヤモンドSを連覇したフェイムゲームが、3連覇をかけてダイヤモンドSに出走予定。ハンデGⅢとはいえ、同一重賞3連覇はなかなか見られるものではない。メルボルンカップ以来の休み明けに加え、手綱を取るはずだったF.ベリー騎手が直前で騎乗停止。しかも初めて背負う58.5キロ。不安材料がないわけでもないが、3連覇の壁というものはそういうものだと思いたい。

1996年に52キロで勝ち、翌97年には57キロを背負ってダイヤモンドSを連覇したユウセンショウが、3連覇をかけて臨んだ98年に背負ったハンデは1.5キロ増の58.5キロだった(結果は13着)。また、89年に57.5キロでこのレースを勝ったスルーオダイナは、翌90年になんと61キロを背負って出走。見事連覇を果たしている。ちなみに昨年のフェイムゲームのハンデは58キロ。それで56キロのファタモルガーナに2馬身の差を付けて勝っている。それで今年は0.5キロだけ増えた。ファタモルガーナは56キロで据え置き。過去の例を顧みると、この58.5キロはむしろ恵まれた感さえ漂う。

それにしても、この0.5キロという刻みは微妙だ。59キロでは重すぎるが、かといって58キロでは軽い。それなら間を取って58.5キロに―――。そんなハンデキャッパーの苦労の痕がしのばれる。ファンにしても「59キロ」と「58.5キロ」では、印象がまるで違うだろう。俗にハンデ戦は全馬横一列でのゴールが理想と言われるが、それだけではない。重いハンデを嫌って有力馬に回避されてしまわぬよう、さらにはどの馬にもチャンスがある面白い番組としてファンの購買意欲が高まるよう、1キロ、0.5キロのさじ加減にハンデキャッパーは汗を流す。

ちなみに、今回の出走予定馬の中でもっとも軽いハンデを背負うのはサイモントルナーレ。48キロはジョッキーの体重を勘案すれば事実上の下限とされる。だが、JRAでアラブが走っていたころは、サラブレッド相手のレースでもっと軽いハンデを貰うアラブがいた。半世紀以上も前のこのダイヤモンドSで7着になったリンドウのハンデは45キロと記録に残る。勝ったキクノヒカリとのタイム差は1秒8。3頭のサラブレッドを負かしたのなら健闘と言えるかもしれない。

だが、実際問題として48キロを背負った牡馬が重賞を勝った例となると、76年のステイヤーズSを勝ったホッカイノーブルまで遡る。軽ハンデを味方に思わぬ好走をする馬はたしかにいる。しかし、勝ち切るとなると難しい。それは歴史が示している。

 

***** 2016/02/16 *****

 

 

 

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2016年2月15日 (月)

申告の季節

社台で一口馬主を続ける知人からのメールに確定申告の話が書いてあった。稼ぎ過ぎも考えもの。気の毒に思うと同時に羨ましくも思う。私の馬はまったく稼いでくれなかった。加えて原稿料収入も昨年はついにゼロに。それなのに私も御多分に漏れず税務署には行かなくてはならないのである。あ~、面倒くさい。

Kanban 

実は昨年、馬券の的中で5億円ほどの一時所得があったので、ほんの僅かだけど国家に貢献するため税金を納めにやって来た……というのはもちろん嘘。まあおわかりでしょうけど諸々の還付申請ですよ、そりゃ。

ともあれ世の中はいずこも同じ確定申告の季節。他のスポーツ選手同様、この時季、騎手たちも頭が痛い。騎手の収入は、賞金の5%と約3万円の騎乗料が主だから、税務署から見れば明朗会計だ。常に命を危険にさらしている割に、騎手の収入の歩留まりは悪い。

1997年春。岡部幸雄、武豊、横山典弘ら東西の有力騎手たちが一斉に国税の税務調査を受け、過去3年間に遡って申告漏れを指摘されるという事態が発生した。追徴税額額はそれぞれ2千万円~5千万円にも及び、新聞・TVは「有名騎手たちが申告漏れ」という見出しで、これを報じたのである。

だが、本来これは税務当局の非が問われるべき案件であった。先ほども書いたように騎手の収入はガラス張りである。申告のポイントは経費算出ということになるが、「35%の経費率を以て算出する」という税務当局が認めた慣例があり、騎手たちはそれに従って申告していたに過ぎない。

だが、この年突然当局は税務調査に踏み切った。その理由は、「騎手によって収入が大きく異なるのに、経費率が同じであるはずない」というもの。

そりゃそうだ。だが、それをいうなら、事前に次の申告からはこの慣例は適用できない旨を通達するべきであった。それなのに、唐突に掌を返して税務調査を行っただけでなく、過去にも遡って税金を搾取するなど話にもならない。他人の申告漏れを指摘する前に、自らの指導漏れが問われるべきだ。

しかももっとひどいのは、それを新聞各社やTV各局にリークして、報道するようそそのかしたことだ。普段、競馬関係者には努めて優しく、役人にはことのほか厳しい姿勢で臨むはずのマスコミも、このときはなぜか国税の言いなりだった。

「中央競馬××騎手の申告漏れが判明し……追徴課税○千万円を……」

なんて記事を平然と掲載して、そして申し訳程度に騎手本人の談話を添えるのである。

「税務署で認められてきた通りに申告してきたので、驚いている」

経費率35%の慣例はマスコミ関係者にしてみれば周知の事実であり、ちょっと調べれば……、いや普通に考えても当局の言っていることのほうがおかしいと気付いたはず。なのに、まるで騎手が意図的に所得隠したかのような印象を与えてしまうような報道姿勢に終始した。

この件に限らず、マスコミは税務当局との対峙を避けたがる。たとえ自らの社が税務調査を受けても、反論記事を掲載したりすることはなく、広報のコメントとして遺憾の意を示す程度だ。

まあ、税務署とイザコザを起こすのは誰だって嫌なもの。大のオトナが寒風の中わざわざやってきて、文句のひとつも言わずに長々と待たされている光景をこうして眺めてみると、分からないでもない。そうこうするうち花粉も容赦なく飛び始めた。つくづく気が滅入る季節だ。

 

***** 2016/02/15 *****

 

 

 

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2016年2月14日 (日)

トラブル

一本の電話で起こされた。

「仕事場でちょっとしたトラブルが起きている。休みのところ申し訳ないが、すぐ来てもらえないだろうか?」

疑問形ではあるがNOとは言わせぬ切迫感が伝わってくる。今日は関東の競馬ファンにとって極めて重要な共同通信杯が行われるが、「ちょっとした」トラブルなら昼過ぎには解決するだろうか。なにより仕事場は府中にあるのだから、むしろちょうどいい気さえする。

「いいですよ」と言って電話を切った。いま思えば、これが間違いの始まり。現場に到着するなり、それが「ちょっとした」問題ではないことはすぐに分かった。己の楽観主義を戒めなければなるまい。結果を言えば、そのトラブルがようやく解決を見た時は完全な夜。共同通信杯のTV中継を見る暇すらなかった。

ひと息ついて、スマホでレース結果を確認すると断然人気のハートレーが負けているではないか。ブービーとはただ事ではない。しかもスマートオーディンまで勝ち馬から遠く離された6着に敗れている。極端な不良馬場だったわけでもない。あちらさんでも何かトラブルが起きていたのだろうか。もとよりトラブルなしの人生などありえない。

さて、こっちのトラブルは解決しても、今度は原因を究明し、対応プロセスの是非を検証しなければならない。いわゆるインシデント検証。それがまた時間がかかる。やれやれ、組織というのはつくづく面倒臭いですね。だって、私に言わせれば単なる「うっかりミス」。その「うっかり」をなくすにはどうすれば良いか―――? それを延々議論する。これ以上の時間の無駄遣いもそうそうあるまい。もとより「うっかり」のない人間などありえない。

ハートレーとスマートオーディンが揃って惨敗した原因はいったい何であろうか。ハートレーの横山典弘騎手は「ノメってはいたけど、それにしても……」とコメントし、スマートオーディン武豊騎手は「分からない」と首をひねった。

むしろ、インシデント検証が大事なのは競馬ではないか。すなわち自分の本命馬の敗因を究明するとともに、そこに至ったプロセスの検証である。後者は自分のことだからわかりやすい。だが前者についてはどうか。もとより物言わぬ馬の事である。一生懸命何かを考えたところで、全ては人間の勝手な思い込みに過ぎない。だから考え過ぎないことも大事。ゴールドシップの取り捨てに悩んだ昨年の競馬シーンを思い出してみるといい。

Gold 

「(ハートレーは)気持ちに難しいところがある」

横山典弘騎手は、そうも言ったらしい。今日もかえし馬が終わったところで動くのを止めようとしたそうだ。ゴールドシップとのコンビで苦労を重ねたベテランの一言だけに、軽く扱えない重みがある。

 

***** 2016/02/14 *****

 

 

 

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2016年2月13日 (土)

鬼門

昨年の阪神ジュベナイルフィリーズの覇者メジャーエンブレムが、3歳初戦のクイーンカップを快勝した。後続に5馬身。勝ち時計1分32秒5は、これまでのレースレコードを一気に1秒5も更新してみせたから凄い、

Mejar 

2歳女王がクイーンCを勝つシーンを見た記憶は、そう多くはない気がする。今回はヒシアマゾン以来22年ぶりの出来事。ただし、ヒシアマゾンの場合は3歳初戦というわけでもなかった。既に1月の京成杯を走っていたのである。(結果はビコーペガサスの2着)

当時、ヒシアマゾンのような外国産馬は桜花賞にもオークスにも出る権利はなかった。当然ながら、出走可能なレースも限られる。ために、新馬、プラタナス賞、京成杯3歳S、阪神3歳牝馬S、京成杯、そしてこのクイーンCと、休むことなく使われていた。レース間隔も、距離も、相手も、芝もダートも関係ない。選り好みできる立場ではなかったのである。

それを思えば「ヒシアマゾン以来」と言いつつも、メジャーエンブレムとは大きく違う。メジャーエンブレムはデビュー戦こそ芝の1800mを使われたが、その後は一貫して芝のマイル戦ばかりを走ってきた。しかもその間のレース間隔は、3か月、1か月半、1か月半、2か月と、かなりゆったりしている。

それというのも、レース後は必ず福島県の天栄トレセンに放牧に出し、じゅうぶんリフレッシュさせてから次走に備えているから。この血統はレース後にテンションが上がってしまい、それが激しい気性難に繋がることが経験的に知られている。そのために必要なルーチンワーク。よって今回もただちに天栄に放牧に出され、桜花賞トライアルを使うこともなく、本番の桜花賞を目指すという。

外野の心配はクイーンCが桜花賞にとって鬼門となっていることであろう。クイーンCの創設は1966年。実に半世紀の歴史を持つ伝統の重賞レースでありながら、その優勝馬が桜花賞を勝った例となると76年の牝馬2冠馬テイタニヤが最後となる。ただし、その当時のクイーンCは春の中山開催で実施されていた。考えようによってはまったく別のレースである。冬の東京で行われるようになってからは、2着が2頭いるだけで桜花賞馬は出ていない。

馬券の予想とは、血統やパドックでの馬の状態、騎手の技量など様々なファクターが複雑に絡み合ってひとつの答えを導き出す作業だが、中でも多くのファンが頼りにするのは過去の経験、すなわち「データ」であろう。ならば、今年の桜花賞では多くのファンは悩むかもしれない。メジャーエンブレムの能力の高さは分かっている。その一方で、過去40年にも及ぶクイーンCと桜花賞の関連性も、無視してしまうにはあまりに歴史が深い。

とはいえジンクスや定説は破られるためにあるもの。フサイチコンコルドやウオッカのような馬が現れるたび、我々は思い知らされてきた。時代は動き続けている。データは傾向を我々に教えてくれるが、それは絶対ではない。今年はついに鬼門が破られるだろうか。

 

***** 2016/02/13 *****

 

 

 

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2016年2月12日 (金)

大井の新名物

好天に恵まれた一昨日の大井競馬場では、伝統の古馬重賞・金盃が行われた。

サミットストーンやユーロビートといったダートグレードレースの優勝経験のある馬に注目が集まる中、7歳馬ジャルディーノはA2クラスの条件馬。それでも、昨夏以降4連勝中の勢いを買われたのか、差のない3番人気に推されている。

Jaru1 

馬場入りの時に、少しばかり場内が沸いた。本馬場に姿を現したジャルディーノが、立ち止まったまま動こうとしないのである。その脇を後続の馬が追い抜いてゆくが、ジャルディーノに動じる様子はまったく感じられない。

Jaru2 

その姿にカメラマンやお客さんからは失笑が漏れたが、実はコレ、いつものことである。重賞以外のレースにも足を運ぶ熱心なファンならば、「ジャルディーノの立ち止まり」はもはや見慣れた光景であろう。「大井の新名物」という人もいる。

Jaru3 

かえし馬があまり好きでないのか、他の馬がいなくなるのを待っているのか、とにかく馬は動きたがらない。以前は真島騎手も無理矢理促して動かしていた。だが、最近では騎手も分かったもので、慌てて促すことはない。頚を撫でたりしながら、馬が自分から動き出すのを気長に待っている。そこにはもう厩務員の姿さえない。すべての馬が入場を終え、思い思いのかえし馬をしながら向こう正面へと駆けてゆき、仕事を終えた誘導馬が戻ってきたその時、やおらジャルディーノが踵を返した。スタンドからは安堵の声。その一方で「あんなんで大丈夫か?」の声も聞こえてくる。

しかしこれが大丈夫なんですなぁ。好スタートから内目の4番手でじっくりと折り合い、最後の直線に向いて馬場の真ん中に持ち出すと、ユーロビートとの叩き合いに持ちこみ、結果2馬身半もの差をつけての快勝。7歳にして嬉しい重賞初制覇を果たした。

3歳時には羽田盃3着(同着)、東京ダービーにも出走した素質馬である。だが、当時は蹄に不安を抱えながらの競馬。その後も思うようにレースを使えない時期が続いた。それでも無理だけはさせなかったからこそ、今日の姿がある。東京ダービーのゴールでは8馬身も前にいたプレティオラスに、この日は逆に3馬身近い差をつけた。陣営にしてみれば溜飲を下げる思いであろう。

だが、この日はプレティオラス57キロに対し、条件馬のジャルディーノは54キロと3キロのハンデをもらっていた。同斤量なら差はなかったかもしれない。両馬は大井記念で再戦する可能性が高いという。ならばそこで決着をつければいい。南関重賞が面白くなるのは大歓迎だ。

 

***** 2016/02/12 *****

 

 

 

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2016年2月11日 (木)

西と東の境目は

建国記念の日を祝して日清「どん兵衛」の公式サイトに掲載されていた「釜玉うどん兵衛」を作ってみた。どうです? 日の丸に見えませんか? 見えませんかね? 黄身が崩れちゃったんだよなぁ。粉末スープをちょいとふりかけて、醤油をちょいと垂らして、よく混ぜていただきます。

Don1 

うどんを食べつつサイトをJRAに移動。今日は木曜日だから今週末の出走メンバーを確認しなければならない。今週から小倉が始まって3場開催。また馬券が忙しくなるなぁと思いつつ、ひとつひとつレースをチェックしてゆく。するとあることに気付いた。東京の除外がやたらと目立つのである。

実際に数えてみると、2日間の合計で京都の除外馬は45頭であるのに対し、東京は実に70頭が除外の憂き目に遭っていた。長時間の輸送を伴う小倉への遠征は関東馬には厳しい。これから1か月の間は、関西馬が2場をフルに使える一方で、関東馬は実質1場での戦いを強いられる。中京が終わったばかりの今はまさしく正念場だ。

JRAは中京競馬場を「関西圏」として扱っているが、こうした事情を鑑みるに「関東圏」なのではないかと思ってしまう。いや関東と言い切ってしまうと憤慨される方もいるかもしれないから言い直す。少なくとも関西ではない。それは歴史や文化が証明している。

同じ銘柄で売られているカップうどんのつゆの味が、関東と関西とで違うことはご存じであろう。関東ではカツオだしを効かせた色の濃いつゆ。一方、関西では昆布だしを効かせた薄い色のつゆが使われている。パッケージをよくみると「E」とか「W」といった地域記号が刻まれているはずだ。

Don2 

カップうどんを全国発売するにあたり、食品メーカーの研究員たちが中部地方各地のうどんを食べ歩き、東西の味の境目を探し回ったというエピソードは今や語り草だ。その境界線は、三重の名張から関ヶ原を通り、富山県を経て新潟の糸魚川へと続いていたという。これは日本列島の地殻構造にも合致するから、なお興味深い。

「関西」の言葉は、鎌倉時代の「吾妻鏡」に初めて登場するとされるが、奈良時代から既に関東・関西の概念は存在していた。三重県にある「鈴鹿の関」を境として、「関の東」と「関の西」を区別していたのである。現在も、三重県の東にある津や四日市は東海圏とされ名古屋への通勤者も多く住むが、同じ県内でも西側の名張や伊賀は大阪文化圏。同じ全国紙でも三重県内には東京版と大阪版のそれぞれが配達されているし、店頭に並ぶカップうどんの味も「E」と「W」が混在しているという。その味が歴史を裏付けていると思えば、たかがカップうどんとバカにはできない。

ちなみに冒頭で作った「釜玉うどん兵衛」だが、意外な美味さに驚いた。期待していなかった“釜玉感”がちゃんとある。粉末スープの投入量を間違えたせいか、やたらと味が濃い仕上がりになってしまったことが反省点。「E」の粉末スープはそもそも味が濃いから、さじ加減が難しい。確かに公式サイトのレシピには「入れ過ぎると塩辛くなります」と書いてある。ふんじゃあ、どれだけ入れりゃ良いんだ? まあ、こういうものは試行錯誤の楽しさもあろう。次回は「W」の粉末スープで試してみたいところ。私の中ではカップうどんは関西優位。競馬同様、「西高東低」現象が長らく続いている。

 

***** 2016/02/11 *****

 

 

 

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2016年2月10日 (水)

万事塞翁がイナリワン

「平成の3強」と聞けば、ウイニングチケット、ビワハヤヒデ、ナリタタイシンではなく、マヤノトップガン、サクラローレル、マーベラスサンデーでもなく、やはりイナリワン、オグリキャップ、スーパークリークの3頭を思い浮かべる私である。だから先日飛び込んできた訃報に、一瞬言葉を失った。イナリワンが死んだという。その年齢を聞いてまた驚く。32歳。「平成の3強」は遠い昔の話になった。そう痛感せずにはいられない。ひとつの時代が終わったという感慨も募る。

Inari 

3強の中でも私はイナリワン贔屓であった。理由を書く必要もあるまい。なにせもともとは大井の馬である。大井でデビューし、大井の東京王冠賞を勝ってクラシックホースとなり、大井の東京大賞典を勝って地方の日本一となった。それが翌年の天皇賞(春)と宝塚記念と有馬記念を勝ってJRA年度代表馬に選ばれるのだから、これほどの痛快事はない。だから今回、イナリワンの訃報を伝える記事に「重賞2着5回のシグナスヒーローを送った程度」と書かれていることには、多少なりとも憤りを覚える。

イナリワン産駒の稼ぎ頭は東京記念や大井記念など南関東重賞4勝のイナリコンコルドだ。その獲得総賞金は2億4535万円にも及ぶ。「重賞2着程度」と評されるシグナスヒーローにしても2億3939万円を稼いだ。さらに東京王冠賞の父子制覇を成し遂げたツキフクオーも忘れてはならない。彼も南関東重賞2勝で、その獲得賞金は1億1407万円にも達する。獲得賞金が1億円を超える産駒を送り出しているのは、3強の中ではイナリワンだけ。それが3頭となれば差は歴然であろう。さらに付け加えれば、母の父にイナリワンを持つテンケイだって1億円を稼ぎ出しているのである。ミルリーフの血を軽く見ないで欲しい。

ところで、この横断幕をご存じの方はいらっしゃるだろうか。知っているすれば、写真に並んでいる関係者の方か、あるいはよほどのイナリワン・フリークか、そうでなければ熱心な「別冊宝島」の愛読者であろう。

Oudanmaku 

人間万事塞翁がイナリワンじゃ!

今では規定サイズをゆうにオーバーするその大きさもさることながら、なによりそのメッセージが独特であるとして当時話題になった1枚である。が、この横断幕が掲げられたのは89年秋の天皇賞当日の東京競馬場。あろうことかイナリワンは6着に敗れて、ショックのあまり一同アワを吹いた。

ちなみに勝ったのは3強の一角、スーパークリークと武豊。それが私を初めての有馬記念観戦へと奮い立たせた。有馬記念は混むのでできれば行きたくない。それでもスーパークリークにリベンジを果たすならこの舞台しかないと信じ、私なりに頑張って出かけたのである。結果、ゴール強襲のハナ差勝ち。あの興奮と感動は今なお忘れ難い。おかげで翌年のオグリキャップの有馬記念にも、混雑を覚悟で行ってみる気になれた。どちらのレースもつくづく見ておいて良かったと思う。それというのも、秋の天皇賞でイナリワンが負けて悔しい思いをしたおかげ。万事塞翁がイナリワンなのである。

 

***** 2016/02/10 *****

 

 

 

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2016年2月 9日 (火)

肉の日 in 大井

雲取賞の大井競馬場に向かう途中、青物横丁の『おにやんま』に立ち寄った。今日2月9日は年に一度の「肉の日」。いつもなら「鳥天ぶっかけ」を注文するところだが、それならと「肉ぶっかけ」を注文してみた。

Niku1 

甘辛く炊かれた牛肉はそれだけで食べてもかなり美味しい。白飯で食べてみたい気もする。だが、それ以上にダシに合う。極端なことを言えば、うどんが無くても良い。これなら「肉うどん、うどん抜きで」という肉吸的な注文もアリかと思う。だけど私はやっぱりうどんが食べたい。うどん屋さんに来てんだし。

そんなこんなで雲取賞。こないだも書いたように、都内最高峰の山の名を戴くこのレースは、3歳クラシックシーズンの登山口でもある。となれば、注目すべきはヤマノカミを置いてほかにいまい。

金沢で2歳チャンピオンに輝いた実力に加え、門別の1600mでレコード勝ち実績があるようにスピードも兼ね備えている。しかも、その時に負かした相手は、ニューイヤーCを勝ったモリデンルバではないか。父アッミラーレは昨年のNAR年度代表馬・ハッピースプリントを送り出し、母の父フレンチデピュティは東京大賞典勝ち馬サウンドトゥルーの父。血統的な不安もない。単複勝負だ!

ところが勝ったのはハタノリヴィール。しまった! こちらもフレンチデピュティ産駒ではないか。しかも、昨年6月の門別でヤマノカミに4馬身の差をつけて勝った実績もある。そこまでちゃんと見ていれば、3連単取れたなぁ……。でも、ありがたいことにヤマノカミが3着に頑張ってくれた。ささやかな複勝払戻金を掴んでやってきたのは、新スタンド「G-フロント」1Fで営業するコチラ。

Don94 

『DON94』はドンブリとラーメンとスイーツがウリだという、いささか甘ピンのお店。遠目に見ているとソフトクリームがいちばん売れているようだ。次いで緑茶ハイ。店名からすれば、丼ものがイチオシのはずなのだが誰も注文しようとしていない。

Don2 

思い切ってメニューの中でも最高価格のステーキ丼をオーダーしてみた。「肉の日」なのだから多少の肉贅沢も許されよう。肉は注文を受けてからフライパンで焼き始めて、ご飯の上に載せられたのち、醤油ベースのタレがかけられて出てくる。

Don1 

私が思っていたより肉の分量は多かった。厳密には「ステーキ」と呼べない代物だが、そこは大目に見ることにしよう。肉の味と食感は想像通り。敢えて全体的な感想を述べれば「このネギ美味ぇ!」である。それじゃあ「肉の日」もあったもんじゃないが、そう思ったのだから仕方ない。「ネギの日」なんてのは、制定されていないのだろうか。

 

***** 2016/02/09 *****

 

 

 

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2016年2月 8日 (月)

蛯名正義騎手2400勝

昨日の東京4Rは芝1400mの3歳未勝利戦。このレースをミッキーグローリーで勝った蛯名正義騎手は、これがJRA通算2400勝の記念すべき勝利となった。武豊、岡部幸雄、横山典弘に続く、史上4人目の快挙。1987年3月のデビュー以来通算1万9160回での到達は、決して平たんな道のりだったわけではない。彼もまた減量特典の消滅と共に、騎乗数の減少に悩まされたひとりだ。

Mickey 

デビューの年に30勝を挙げて関東での新人賞を獲得した蛯名騎手は、2年目に43勝、3年目は36勝と順調に勝ち星を積み重ねてゆく。だが勝率は1年目の139から、122、101と下降の一途を辿っていた。騎乗回数は増えたのに、その割に勝ち星はついてこない。そして4年目にはついに077にまで勝率を落としてしまう。

当時のルールでは、デビューから数えて4年目まで減量の恩恵に与れる。ために修羅場は5年目の91年にやってきた。勝率を落とし続け、しかも減量の特典もなくなった騎手に、山のように騎乗依頼が舞い込むはずがない。しかも当時はデビュー3年目の田中勝春騎手がブレイクの真っ最中。この年、重賞3勝を含む63勝を挙げ、全国リーディングの10位に食い込む大活躍を見せた。その一方で、前年に352回を数えた蛯名騎手の騎乗回数は、後輩の活躍に押されるように257回にまで減少。年間23勝は蛯名騎手の30年に及ぶ騎手人生における「キャリア・ロー」である。

Ebina 

さらに競馬学校同期の武豊騎手は競馬史に残る華々しい活躍を続けていた。デビュー2年目にスーパークリークで菊花賞を勝って、史上最年少でクラシック制覇を達成。翌3年目には全国リーディングの首位となり、4年目の有馬記念ではオグリキャップ感動のラストランを演出した。バラエティ番組に出演し、写真集が発売され、一般誌の表紙を飾り、競馬場には「追っかけギャル」が登場。競馬ブームの立役者であったことは否定しようがない。

同期や後輩の活躍を見ながら、蛯名騎手どんな日々を送っていたのだろうか。開催日に1頭も乗り馬がいないという日もしばしば。それでも徒に焦ったり、腐ったりすることはなかったという。それは彼が人一倍「競馬好き」であるということと無関係ではなかろう。好きなことに対する努力は、苦にならないのである。

Ebina1_2 

「自分のペースでひとつずつ積み重ねて」

2400勝達成セレモニーで蛯名騎手はそうコメントした。武豊という圧倒的な存在を意識してのことだろうが、それでいながら2400もの勝ち星を積み重ねて、46歳になった今もリーディング上位を堅守しているのだから、なんだかんだでやはり凄い。

Ebina2 

先日は武豊騎手の30年連続重賞勝利が話題となったが、それに次ぐ記録は蛯名騎手の24年連続。今年ひとつでも勝てば「25年連続」となる。記念すべき蛯名騎手の初重賞制覇は92年のGⅢフェブラリーハンデ。そこから蛯名騎手は「自分のペースで、ひとつずつ」前に進んで現在に至った。馬に早熟タイプや晩成タイプがいるように、騎手にもそれぞれ個別の成長曲線がある。だから、いま苦労している若手騎手も焦ったり、腐ったりする必要はない。蛯名騎手の足跡はそれを教えてくれている。

 

***** 2016/02/08 *****

 

 

 

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2016年2月 7日 (日)

頑張れ、あんちゃん

2月1週目の開催を終了したところで、JRAの騎手リーディングはクリストフ・ルメール騎手とミルコ・デムーロが22勝で並んでいる。3位が昨年のリーディングジョッキー戸崎圭太騎手で20勝。4位にようやく武豊騎手が顔を出す。騎手ランキング上位10傑のうちJRA生え抜き騎手は4人のみ。エージェント制導入の影響で、一部のトップ騎手に有力馬が偏るようになって久しい。

そんな世界に、間もなく6人の新人騎手が飛び込んでくる。早ければ1か月後の中山や阪神で、彼らもデムーロやルメールといった世界の一流相手に勝負を挑まなければならない。

スポーツ界の新人は、段階ごとに経験や実戦を積み、時間をかけて本舞台に立つのが普通だ。対して競馬の世界は厳しい。二十歳にも満たない少年少女が実戦経験もないまま、いきなりトップレベルの戦いの場に置かれる。高卒投手がメジャーのマウンドに立ち、序の口力士が白鵬と対戦するようなもの。プロ野球や大相撲などとは新人の扱いが大きく異なる。

ただし、競馬の新人は負担重量で3キロのハンデをもらうことができる。それでも、通算で100勝を挙げるか、デビューから3年が経過すると減量の恩典はなくなり、一人前となる―――はずだった。この2月までは。

JRAではこの3月から見習騎手の減量特典をデビュー後5年に延長することを発表している。つまり本来なら、今月いっぱいで減量特典がなくなるはずだった伴啓太騎手、岩崎翼騎手、城戸義政騎手の3人に加え、昨年いったん減量がとれた長岡禎仁騎手、中井裕二騎手、原田和真騎手も再び減量騎手に戻ることになる。

Jockey 

ここ数年は、騎乗機会に恵まれず、若くして引退を余儀なくされる騎手が増える傾向にある。特にデビューから3年が過ぎ、減量特典がなくなった途端に騎乗依頼が激減するというケースが後を絶たない。さきほど名前を挙げた原田騎手などは、一昨年は405回の騎乗回数を確保したのに、3キロの減量がなくなった昨年は167騎乗にとどまった。しかし、来月から再び3キロ減で乗ることができる。これは大きい。

競馬の現場では、「減量騎手」のことを親しみを込めて「あんちゃん」と呼んだりもするが、5年目にもなって「あんちゃん」呼ばわりされることには多少の抵抗があるかもしれない。ちなみに、今年の新人騎手の中には、JRA史上7人目の女性騎手として話題の藤田菜七子さんが含まれているが、彼女も「あんちゃん」などと呼ばれたりするのだろうか。少なくとも「ねえちゃん」ではまずかろう。ともあれせっかくの減量特典である。何と呼ばれようが、これを活かさぬ手はあるまい。

 

***** 2016/02/07 *****

 

 

 

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2016年2月 6日 (土)

ゆりかもめ賞と言えば

今日の東京7R・芝2400mの3歳500万下戦は、昨年まで「ゆりかもめ賞」として行われていた一戦。そのせいか、単なる平場戦の割には好メンバーが集まった。そんな素質馬たちの中に入って1番人気に推されたのは、新馬を勝ったばかりのレーヴァテイン。重賞好走馬や特別レースで惜敗してきた馬たちを差し置いて、単勝1.6倍の圧倒的支持を集めている。

Rev 

アプレザンレ-ヴ、レーヴディソール、レーヴミストラルといった重賞勝ち馬の半弟で、しかも父はディープインパクト。これなら募集価格1億2千万円も仕方あるまいが、それでも一口300万円と思えば喉も乾く。万一こんなところで負けてしまうようでは、怒った会員さんがクラブ事務所に押し掛ける事態になりかねない。

レースでは中団外目を追走。3角過ぎから少しずつ仕掛けて、直線では持ったまま先頭に並びかけた。さあ、そこから突き抜けのるか……と思わせたのはほんの一瞬、内から馬体を併せてきた3番人気ヴァンキッシュランとの叩き合いの末、あろうことかクビ差2着に敗れてしまったではないか。こりゃたいへんだ。怒った会員さんが検量室に押し寄せるぞ!

Tokyo7r 

しかし、レースは審議である。しかも、ご丁寧に1発目の場内アナウンスから「上位入線馬が対象です」とファンに釘を刺している。これはマジの審議だ。

Chakujun1 

結果はご存じのとおり。

Chakujun2_2 

1位入線のヴァンキッシュランが降着となって、1、2着が入れ替わって確定。結果的にレーヴァテインはデビュー2連勝を果たした。F.ベリー騎手の御法が降着に値するものだったかどうかの議論はここではさておく。サンデーサラブレッドクラブの関係者は胸を撫で下ろしたに違いない。この時期に2勝するのと1勝のままとでは天地の差がある。

しかし、サンデーのスタッフにしてもいつまでもホッとしているわけにいかない。ベリー騎手での出走を予定していた共同通信杯のハートレーやダイヤモンドSのフェイムゲームの、代わりの騎手を探す必要に迫られた。ハートレーは横山典弘騎手が確保できたようだが、フェイムゲームはまだ決まっていないという。むろん騎乗予定は重賞だけではない。スタッフの苦労は尽きない。

それにしても気になるのはレーヴァテインの評価である。走行妨害がなければ被害馬は加害馬に先着できたと裁決委員は認めた。ゆえの降着にほかならない。だが、レーヴァテインのルメール騎手は「最後の脚色は同じだった」とも言った。その表情の裏に「もっと弾けるイメージだったのに……」という心境が透けて見えたのも事実。もしイメージ通りの脚を使えば、ヴァンキッシュランにぶつけられることもなかったはず。かつて繰り上がりで貴重な勝利を掴んだマヤノマタドールやアイズオンリーといった馬たちが、その運をクラシック出走に結びつけることはできなかったことを、ふと思い出した。

ルメール騎手には、クラシックを展望する3頭のお手馬がいる。若駒Sを圧勝したマカヒキ、明日のきさらぎ賞で1番人気に推されているサトノダイヤモンド、そして今日の東京7Rを勝ったレーヴァテイン。いずれもノーザンファーム生産のディープインパクト産駒であり、現時点で2戦2勝であることも共通している。ルメール騎手にしてみれば、身体がふたつ、いや三つ欲しい。

しかし、実際にはいずれ1頭を選ぶことになる。明日のきさらぎ賞の結果にもよるが、今日のレーヴァテインをルメール騎手はどう評価しただろうか。もちろん皐月賞を目指すのだろうが、個人的には青葉賞からダービーでも良いような気がする。3兄弟による青葉賞制覇の偉業を見てみたい。かつてのゆりかもめ賞と言えばトキオエクセレント、ペインテドブラック、シンボリクリスエスらが出走。皐月賞というよりは、青葉賞に縁のあるレースでもあった。

 

***** 2016/02/06 *****

 

 

 

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2016年2月 5日 (金)

頂上遥かなり

なんとなくユングフラウ賞の話のつづき。

このレースが近づくたび、知人から「ユングフラウって馬がいたのか?」と聞かれたエピソードを思い出す。モエレエターナルが勝った年だから、かれこれ7年前の話だ。

Moere 

「ユングフラウ」はたしかに馬の名前にありそうな響きだが、残念ながらこれはセントライトやシンザンのような名馬の名前ではない。スイスアルプスにそびえる山の名前。標高は4158mで、その名はドイツ語で「乙女」を意味する。この時季に行われる3歳牝馬限定戦の名称としては、なるほど悪くない。美しさと気高さを感じさせる。

ところで来週は大井で雲取賞が行われるが、この「雲取」も山の名前に由来する。ユングフラウ賞が桜花賞のトライアルなら、雲取賞は羽田盃の重要なステップレース。そもそも山の名前を頂いた重賞レースは数が少ない。JRAでは富士ステークスのみ。南関東でも、準重賞を含めたところでこの2鞍しかない。それが立て続けに行われるのは、3歳クラシック戦線を登山になぞらえてのことだろうか―――。

よもや主催者にそんな意図があるとも思えぬが、こう続くとそんな勝手な想像もしたくなる。むろん頂上は東京ダービーで異論はあるまい。その頂を遥か遠くに眺めつつ、今はこの先に待ち構える険しい山道に備えて力を蓄えているところ。むろん頂上にアタックできるのは、選ばれた一部のメンバーだけだ。

雲取山にしても、登山をする人でなければ耳にする機会は少ないかもしれない。私自身、この大井の準重賞で名前を聞くことがなければ、その存在すら知ることはなかった。

東京都、埼玉県、山梨県の3県にまたがる雲取山は、実は東京都の最高峰だという。「都内最高峰」と聞いても、たいしたことのないように聞こえるかもしれないが、なんとその標高は2017mもある。ちなみに高尾山は599mだから比較にならない。よって登山者の遭難事故もしばしば。「都内の山」だからとナメてはいけない。

一方で、レースの「雲取」の方も、準重賞だからと言ってナメてかかると痛い目に遭う。過去、このレースを足掛かりにクラシックを制した馬は、グレイドショウリ、ツキフクオー、セントリック、サプライズパワー、ミスジュディ、シーチャリオットと列挙に暇がない。ここ数年はしばらく落ち着いているが、それでも3年前のこのレースを勝ったアウトジェネラルは、その後に羽田盃を制した。いまだメジャーな登山ルートのひとつであることに変わりはない。

Kumotori 

雲取賞は来週火曜日のメインレースで行われる。ぜひとも注目していただきたい。心配された雪も、どうやら降られずに済みそうだ。登山であれ競馬であれ雪は歓迎されない。

 

***** 2016/02/05 *****

 

 

 

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2016年2月 4日 (木)

万全の試走

昨日のユングフラウ賞はTV観戦だった。

かつてなら、現地に行けぬことが癪に触って、とてもまともな精神状態でレース映像を見ることができなかった私も、最近はようやく大人になれた……と言うよりも、トシのせいか至極大人しくTV観戦ができるようになった。しかもこれまで現場では見えなかったものも、見えてくるような気さえするのである。

衆目の一致は昨年のグランダムジャパン2歳女王・モダンウーマンで異論はなかろう。桜花賞への出走に必要な賞金は既に獲得済み。なのに、他馬より重い斤量を背負ってまでして、わざわざここを走るその理由のひとつには、浦和コースの試走という面があったに違いない。浦和コースは初めてという有力馬が、幾度となく不可解な負けを喫してきたのをこの目で見てきた。

「(路盤が)弾むような感触を受ける」

「蹄音が妙な響き方をする」

馬場の一部が川を跨いでいるせいか、初めて浦和を訪れた騎手や調教師が、そんな違和感を口にすることが稀にある。人が感じるなら馬が感じぬはずはあるまい。それが時として不可解な敗戦に繋がる。今日はそれを防ぐための予行演習。ついでに控える競馬をして砂を被らせてもみた。少なくとも私の目にはそう映る。結果はどちらもまるで問題なし。手綱を持ったまま3馬身差の圧勝はひとこと凄い。

山崎誠士騎手は昨年に続いてユングフラウ賞連覇となった。川崎所属の騎手でありながら、山崎誠士騎手というと、どうも浦和で勝っているイメージが強い。それであらためて調べてみた。これまで重賞11勝。そのうち5勝が浦和だからやはり突出している(残りは川崎2勝、大井2勝、名古屋1勝、水沢1勝)。浦和コースに違和感を感じる騎手がいれば、逆にそれを味方に変える騎手がいてもおかしくはない。騎手生活14年目にして、ようやくクラシック制覇の大チャンスが巡ってきた。

Seiji 

浦和の桜花賞と言えば、どうしても枠順抽選の不安がついて離れない。だが、万一大外を引いてしまっても、大丈夫だろうと思わせるだけのスタートの技術を山崎誠士騎手は備えている。そういえば、お父さんの山崎尋美調教師も騎手時代はゲートが速かった。スタートセンスは父親譲りかもしれない。前走まで手綱を取った阿部龍騎手も腕達者だが、山崎誠士騎手を新たなパートナーに迎えたことで、モダンウーマンの桜花賞制覇の可能性は大きく高まった。そんな気がしてならない。敢えて不安を挙げるとするならば、この私が推していることくらいか。これは確かに手ごわい(笑)。

 

***** 2016/02/04 *****

 

 

 

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2016年2月 3日 (水)

芦毛×芦毛=鹿毛

先週土曜の東京メイン・白富士Sは芝2000mに古馬のオープン馬12頭が出走してきたが、そのうち10頭までがいわゆる社台グループの生産馬。残る2頭も育成したのは社台ファームとノーザンファームだから、つまりは「社台グループ出身馬のみによるレース」ということになる。

なんとなく興味に欠けたのはそのせいだけではあるまい。12頭のうち9頭が7歳以上という枯れたメンバー構成であることに加え、5頭が前走2桁着順の大敗を喫しており、4頭が休み明けである。この時季の古馬オープン特別らしいと言えばらしい。寒かったせいもあるが、パドックはメインレースとは思えぬ静けさだった。

Paddock 

そういう意味では、出走メンバー中ただ1頭の4歳馬ケツァルテナンゴが勝ったことは、注目に値しよう。直線坂下では7番手の位置取り。鞍上のF.ベリー騎手がゴーサインを送ると一気に加速して、内で食い下がる1番人気のファントムライトをクビ差競り落としてみせた。上がり33秒8はメンバー最速。とかく「切れない」と揶揄されがちなチチカステナンゴ産駒だが、この切れ味なら文句は言われまい。

11r 

もともと新馬、オープンを連勝した素質馬である。デビューの舞台に選ばれたのは、2014年関西最初の新馬戦。その前年にはレッドリヴェールが世代最初の新馬戦を勝ち、そのまま暮れの阪神JFを制して2歳チャンピオンに輝いている。ケツァルテナンゴの展望も明るい。遅かれ早かれ、父のチチカステナンゴに初めての重賞タイトルをもたらすだろう。私はそう思っていた。

だが、そこから重賞を4戦するが、掲示板に載ることもできない。ダービー出走権をかけて臨んだプリンシパルSでは、アンビシャスの末脚に屈して2着に敗れた。ダービーは補欠の1番手。しかも優先出走権を得たはずのアンビシャスはダービーを袖にするのだから、いたたまれない。結局、ダービーの代わりに出走した白百合Sでも5着に敗れた。もうこのあたりでは馬のリズムが壊れていたように思う。

チチカステナンゴは2008年に社台グループが約7億円で購入。だが、わずか3世代のみを残しただけで急死してしまった経緯がある。産駒による重賞勝ちはまだない。

Chichikasu 

ちなみに、チチカステナンゴは処女雪の如き芦毛の持ち主であり、母のダイワオンディーヌもご覧の通り芦毛であるのに、その子ケツァルテナンゴはなんの変哲もない鹿毛に出た。それをなんとなく「惜しい」と感じてしまうのは私だけであろうか。そんな私のかつての持ち馬にも、父母ともに芦毛なのに、本人は真っ黒な黒鹿毛という牝馬がいたことを思い出す。芦毛の不思議。でも毛色の遺伝をちょっとだけ勉強すれば、これは不思議でもなんでもない。ただただ、惜しい。

Daiwa_2 

ケツァルテナンゴの次走について、「重賞だろうけど、どこにするかはこれから」と調教師は明言を避けた。ともあれまずは重賞を勝って、天国の父に報告したい。

 

***** 2016/02/03 *****

 

 

 

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2016年2月 2日 (火)

火曜日のカレーうどん

「冷たいうどんは太らない」

いつ、どこで、誰に聞いたのかは思い出せない。たぶんテレビ番組で誰かが言ってるのを聞いたように思うのだが、ひょっとしたら夢の中だった可能性もある。したがって正しいかどうかは分からない。だけど、そのフレーズが私の脳裏に致命的なシミのようにこびりついて離れないのである。だから最近の私は、冷たいぶっかけや、ざるうどんばかりを注文している。

むろん「100%太らない」なんてことがあるはずない。加えてこの寒さである。冷たいものばかり胃に送り込むのも辛いところだ。しかも、先週土曜の歴史的大敗が尾を引いて、なにより心が冷え切っているのである。あぁ…、寒い。

そんなこんなで府中本町のうどん店『厨(くりや)』を訪れたら、こんなメニューが目に留まった。

Menu 

御多聞に漏れず私はこの「限定」というメニュー表記にすこぶる弱い。ラッキーなことに今日は火曜日。たまにはアツアツのうどんと辛いカレーの力を借りて、冷え切ったこの身体と心を温めるのも悪くはなかろう。

カレーうどんは明治後期、カレーライスの広がりと同時に誕生したと言われる。和洋折衷が日本人の心たるお米だけでなく、麺にも及んでいたことには新鮮な感動を禁じ得ない。しかも、カレーうどんは「ダシとカレーの融合」という側面も持つ。和洋折衷の度合いからすれば、むしろこちらの方がインパクトが強かったのではあるまいか。

到着した「鶏天カレーうどん」は、気持ち赤っぽいカレーにネギの緑と鶏天の白のコントラストが美しい。この下にあのうどんが隠れていると思うと、多少なりとも興奮してくる。

Carry1 

実際に食べてみると、このカレーは絶妙だ。うどんにマッチするダシの風味、ひき肉の旨味、そして野菜の甘みが見事なバランスで凝縮している。ポタージュのようなトロりと濃厚な口当たり。しかし、カレーの辛さはあとからちゃんとついてくる。

Carry2 

おかげで馬券惨敗で冷え切っていた心も、そしてもちろん身体もずいぶんと温まった。惜しむらくはこのカレーうどんが、火曜と金曜のみの限定メニューであることか。ここで紹介しても、競馬のついでに……とは、正直なりにくい。それでもと調べてみたら、今年は12月23日(金)にJRA開催が予定されているではないか。だが残念ながら東京開催ではなく中山。もしパークウインズ開催の東京競馬場を訪れる機会があったら、立ち寄ってみてはいかがだろうか。かなり先の話だけど。

 

***** 2016/02/02 *****

 

 

 

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2016年2月 1日 (月)

切麦

所用があって新宿御苑近くのプロラボ「クリエイト」を訪れた。

かつては毎日のように通い詰めた店である。競馬が終わって撮り終えたフィルムを現像に出しに行き、翌日また受け取りに行く。その繰り返しの日々。いま思えばたいへんな労力を割いていたような気もするが、当時は何も感じなかった。むしろ楽しんでいたように思う。特に現像の仕上がりを受け取る時の、期待と緊張の入り混じったあの高揚感に勝る楽しみを私はほかに知らない。それを知らぬデジカメ世代をむしろ気の毒に思ったりもする。

周囲のデジタル化を横目に見ながら、半ば意地になってフィルムを使い続けた私も、ウオッカのダービーを最後に、ついにデジタルの世界に足を踏み入れた。と同時に、この店との縁も途絶えた。よってこの界隈を訪れるのも9年ぶりということになる。

それで久しぶりに周辺をぶらぶら歩いてみることに。かつては地元のように慣れ親しんだ町だったのに、いまでは見覚えのない店もチラホラ。現像の仕上がりを待つ間に時間を潰した喫茶店は、つけ麺屋さんに変貌を遂げていた。やはり9年の歳月は重い。

「切麦」

唐突にそんな二文字が視界に飛び込んできた。暖簾に「切麦や甚六」と書いてある。「きりむぎ」とはうどんの別名。この店構えからすれば、開店してから一年と経ってはいまい。

Noren 

店に入って驚かされるのは、およそうどん屋とは思えぬその内装だ。壁に向いたカウンター席は椅子の間隔もゆったり取ってあり、ライティングはショットバーのよう。デートにも使えそうだが、あくまでここはうどん屋である。

Counter 

だからといって、うどんに力を入れてないわけではない。麺は注文を受けてから伸ばして、切って、茹でるという。天ぷらも揚げたてが出てくる。麺は大盛り無料。しばらく待って現れたうどんは、その純白のフォルムといい、盛り付けの曲線と言い、実に美しい。できることならリバーサルフィルムで撮影したいところだが、やむなくスマホで撮影した。その見た目に違わず、もちろん美味い。

Udon 

うどんの起源には諸説あるが、一説には鎌倉時代に中国から帰国した僧が冷や麦の原型と言われる「切麦」を伝え、これを熱い湯につけても腰が保てるように太麺にアレンジしたと言われる。それから八百年。得た部分もあれば、失った部分も当然あろう。進化とはそういうものである。結果的にうどんは今日の味と形に至った。この一風変わった店名には、そんな歴史への敬意と戒めの念が込められいるのかもしれない。

「切麦」をすすりつつ考えた。フィルムからデジタルへ。それで我々が得たものは計り知れない。だが、失ったものもきっとある。現像仕上がりを待つ高揚感はそのひとつだろうが、決してそれだけではあるまい。それを思い出すためにも、次の競馬はひとつフィルムで撮ってみようか。

 

***** 2016/02/01 *****

 

 

 

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