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2015年12月 6日 (日)

愛しの生牡蠣

牡蠣が好きだ。

とりわけ殻の付いたままの生の牡蠣に、さっとレモンを絞っただけのシンプルな食べ方が最高である。

店のメニューに「生ガキ」とあればすぐさま注文。「夏の新潟」と聞けば競馬よりむしろ岩牡蠣を連想してしまうタチである。凱旋門賞のためにパリを訪れれば、名物の生ガキを食べねば気が済まない。「危ないからヤメとけ」と必死に止める同行者を横目に、10月のパリに来て牡蠣を食わずに帰れるか!とばかりに意地になってツルツルと食べ続けるのである。幸いなことに「大当たり!」とか「ホテルの部屋で悶絶!」とか「入院、帰国延期」などという目に遭ったことは―――今のところ―――ない。

ついさきほど、近所のレストランで「赤崎産生牡蠣¥980」なるメニューを見つけた。

牡蠣好きには知られた大船渡赤崎湾モノと聞けばイチもニもなく注文しなけりゃならんところだが、1個980円はちと迷う。むろん1個では満足できないから1960円(2個)、いや2940円(3個)を覚悟しなければならない。

とはいえ、馬券を買ってしまえば一瞬でトケる金額にも満たないと気づけば「どってことないか」と思えたので注文。

Kaki_2 

出てきた牡蛎は長さ15センチはあろうかという大きなもの。ぷっくり盛り上がった身は「一口で吸い込む」というよりは「頬張る」という感覚でないと食べられない。弾力のある身をぎゅっと噛み締めると、海の香りと濃厚な旨味が口いっぱいに広がった。

なんでも、赤崎のヨシダなにがしという漁師の方が養殖された牡蠣だそうで、仲買人の間でもつとに人気が高く、ただでさえ市場でも入手困難な赤崎産牡蛎にあってさらに輪を掛けて滅多に手に入らない逸品らしい。

実際にこれを食せばさもありなんと思う。が、同じ赤崎湾内で養殖したものでありながら、なぜヨシダさんの牡蠣だけが抜けて旨いのか? 場所が同じで何か特別な餌を与えられるものでもない。

しかしもちろん差が生まれる技術もある。その一つが「温湯駆除」。65度の湯を満たした水槽に養殖中の牡蠣を漬け、貝殻に付いたフジツボなどを殺す作業で、牡蠣を殺さずに余計な貝だけ死滅させる温度と時間こそが生産者の腕の見せ所だという。

結局は日々の手入れがすべてを分けるのだ。地味で手を抜きがちな日々のルーチンワークの僅かな差が積み重なり、ある日それは決定的な格差となって具現化されるのだという。なんだか馬づくりにも通じる話にも聞こえてきた。いや、しかしこの牡蠣は美味いですね。

 

***** 2015/12/06 *****

 

 

 

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