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2015年12月 7日 (月)

引退規定

昨日のチャンピオンズCは12番人気サンビスタの優勝で幕を閉じた。ショウナンパンドラに続いて、2週続けて牝馬が牡馬を蹴散らしたことになる。JRAのダートGⅠを牝馬が勝ったのは初めて。いやそれよりも、6歳12月の牝馬によるGⅠ勝利自体が異例であろう。彼女が「7歳」と呼ばれるまで、あと1か月もかからない。

クラブ法人が所有する牝馬は、6歳春を以て現役を引退するのが一般的。どのクラブも内規にそう定めてある。サンビスタの所属するクラブ法人「ヒダカブリーダーズユニオン」も例外ではない。規定に従えば、彼女もこの3月にめでたく繁殖入りし、今頃は牧場でのんびり過ごしていたはずだった。だが、社長の判断で現役を続行。4月以降だけでも、マリーンC、レディスプレリュード、そして今回のチャンピオンズCを優勝だから、その判断は間違っていなかったことになる。

Sunbista 

とはいえ、サンビスタの現役続行はあくまで例外。たいていのクラブ所属の牝馬は6歳春までに競走生活に別れを告げなければならない。秘めたる素質をゆっくりと開花させ、ついに5歳の秋にGⅠを制したブルーメンブラッドやクィーンスプマンテといった名牝たちも、翌年の活躍を見ることなく規定に従ってターフを去っていった。

牧場に戻って母となる―――。競走生活と同様に、いやそれにも増して繁殖生活が牝馬に課せられた大事な役割であることは言うまでもない。だが、ようやくGⅠのタイトルを手にしながら、「クラブ規定」のひと言であっさり引退してしまうことについては、ファンやマスコミからも失望や疑問の声が上がっていた。そう思えば、今回のサンビスタの優勝は、単なる牝馬のチャンピオン誕生に留まらず、別の意味を帯びてくる可能性も孕む。

ひと昔前なら6歳牝馬が重賞を勝てば、ちょっとしたニュースになった。しかし、調教技術の向上や飼料の進歩などにより競走馬の現役生活は以前に比べて格段に長くなっている。加えて牝馬のレース体系は充実一途。無理のないレース選択が可能となったことで、馬にかかる負担も格段に減った。サンビスタを管理する角居調教師もダート馬を育てるポイントとして、「馬を傷めずにコンスタントに競馬をこなすこと」と述べている。

だから6歳牝馬のサンビスタがチャンピオンSを勝ち、同じく6歳牝馬のストレイトガールがGⅠを2勝しても、その年齢を聞いていちいち驚く人は今では少なかろう。なにせ今年は2頭のほかにケイアイエレガント(京都牝馬S)、アンバルブライベン(シルクロードS)、メイショウスザンナ(クイーンS)といった6歳牝馬たちが重賞を勝っている。6歳という馬齢は、いまやどういう換算式を用いても「高齢馬」などではない。彼女たちは元気いっぱいである。

ただし誤解のないように付け加えておくと、かつて筆者は自らの所有馬を6歳の夏に引退、繁殖入りさせた経験を持つ。一言で言ってこれは大変だった。春までに引退させておけば……。何度そう思ったことか。これが仮に牡馬だと大変さはいや増す。牡馬の引退はタイミングとの勝負。種牡馬であれ乗馬であれ地方行きであれ、タイミングを逃すと取り返しがつかない。そういう意味において「6歳春の引退」は、牝馬に優しいルールであると思える。

それはそうと、明後日の船橋クイーン賞に出走予定のパワースポットは7歳の牝馬。しかもグランド牧場生産のスズカマンボ産駒とくれば、誰もがあの馬を意識せずにはいられまい。年齢なんて単なる数字。油断していると痛い目に遭いそうだ。

 

***** 2015/12/07 *****

 

 

 

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