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2015年12月31日 (木)

東京2歳優駿牝馬の涙

大晦日の定番となった東京2歳優駿牝馬は、故・川島正行調教師が滅法得意にしていた一戦。過去10年でダガーズアラベスク、ネフェルメモリー、クラーベセクレタ、カイカヨソウの4頭が優勝し、勝てはしなかったがエミーズパラダイスも2着に入っているのだから凄い。騎手時代に彼女たちの調教パートナーを務めていた佐藤裕太調教師は、今日のこのレースに管理馬スアデラを送り込む。

Suadera 

川島正行厩舎に所属し、一時は船橋競馬場の騎手会長の要職に就いたこともある佐藤裕太調教師は、騎手としては重賞を勝つ機会に恵まれなかった。内田博幸。戸崎圭太。川島正行厩舎のA級馬にはリーディングジョッキーが乗る。それは仕方ない。それでも愛弟子にひとつくらいは重賞を勝たせたいと、川島正行調教師の計らいで重賞の人気馬に裕太騎手を乗せたこともある。でも勝てなかった。当然、馬主と一悶着起きる。辛いのは騎手。それでも裕太騎手は黙々と調教に乗り続けた。

調教師となってからも佐藤裕太師は自ら管理馬に跨って調教をつけている。もちろんスアデラもその一頭。さあ、初重賞制覇をS1で飾ることができるだろうか。

ただし、別のデータが悲願を阻むかもしれない。過去10年の東京2歳優駿牝馬で3着以内に入った30頭のうち、半数の15頭までが北海道デビューを果たしていた。ハイレベルでかつ豊富な2歳戦でセレクトされた馬たちがここに臨むのだから、当然と言えば当然であろう。

Modern 

今年も道営から転厩緒戦のモダンウーマンが人気に応えて楽勝。2着リンダリンダ、3着ミスミランダ―で、終わってみれば道営デビュー馬3頭が表彰台を独占した。モダンウーマンは重賞4勝目。同じグランド牧場生産のタイニーダンサーはJRAに移籍してしまったが、再戦の機会が訪れることを祈りたい。

スアデラはまさかの4着。レース後の調教師の目には光るものがあった。だが調教師である以上、その気持ちを結果につなげることが求められる。でなければ、これだけの馬を預かることはできない。佐藤調教師には辛い大晦日になってしまった。

Ooi 

筆者自身の大晦日は競馬場に居られたことに感謝する一日。東京2歳優駿牝馬の表彰式が終わり、関係者と挨拶を交わし、うまたせにグータッチをすると私の一年も終わる。今年もなんとか乗り切った。できることなら来年もこうして競馬場で一年を締めくくりたい。

それでは皆様、良いお年を。

 

***** 2015/12/31 *****

 

 

 

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2015年12月30日 (水)

シンデレラ2015

「ブルーチッパー号は蹄鉄の打ち替えを行いますので、馬場入りが遅れます」

東京シンデレラマイルの出走各馬が返し馬を始めたちょうどその頃、場内アナウンスがブルーチッパーのアクシデントを伝えた。

1番人気は3歳牝馬のララベルだが、ブルーチッパーも3.5倍で2番人気につけている。それに次ぐ3番人気がスターローズの19.7倍だから、場内がざわめいたのも無理はない。圧倒的な2強なのである。そうこうする間に「打ち替えに時間を要しています」とのアナウンス。ざわめきはどよめに変わった。

だがしかし、先週の浦和・ゴールドカップを思い出してほしい。圧倒的1番人気のソルテが馬場入場直後に放馬。カラ馬のままトラックを1周半余り走ったのち馬体検査を経てレースに挑んだが、終わってみれば5馬身差の圧勝である。強い馬は少々のアクシデントに動じることはない。

無事に蹄鉄を打ち終えたブルーチッパーが馬場に入ってきた。ほどなくして発走のファンファーレが鳴り響く。ブルーチッパーは最内枠を利してハナへ。2番手にララベル。早くも一騎打ちか?

直線は2頭が馬体を併せての叩き合い。

Mile1 

いったんはララベルが前に出たようにも見えたのだが……、

Mile2 

並んで抜かせないのがブルーチッパーの真骨頂。見事な差し返しで今年のシンデレラとなった。

Mile3 

しかし両馬とも見事に脚の運びが揃ってますね。まるでシンクロナイズド・スイミングを見ているよう。さすが同厩の2頭。途中から併せ馬のようなリズムになってしまったのだろうか。

スタートから軽快に逃げ、直線では1番人気馬の追撃を受けて立って、交わされながらも差し返す。そのレースぶりに夏の川崎・スパーキングサマーカップを思い出した方もいたに違いない。あの時、ブルーチッパーの手綱を取っていたのは真島大輔騎手だった。ブルーチッパーのしぶとさはじゅうぶん知っていたはず。それで差し返されたのだから、悔しさは倍増であろう。

見ていた限り蹄鉄の打ち替えの影響はなかったように思える。「シンデレラマイル」だけに、靴が脱げるという事態は吉兆だったのかもしれない。

 

***** 2015/12/30 *****

 

 

 

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2015年12月29日 (火)

フジキセキに捧ぐ

東京大賞典に出走するホッコータルマエには史上初の大記録が、ふたつもかかっている。

勝てば東京大賞典3連覇。2連覇は他にアジュディミツオーとスマートファルコンが達成しているが、3連覇は過去にない。しかも勝てば前人未到のGⅠレース10勝目となる。ヴァーミリアンもエスポワールシチーもGⅠ9勝を挙げてから、あと1勝が遠かった。彼らが8歳でGⅠ9勝目に到達したことを思えば仕方ない部分もある。だが、ホッコータルマエはまだ6歳。衰えるのはまだ早い。

ホッコータルマエの偉業に待ったをかけるとすればコパノリッキーが最右翼。両者とも今年は揃ってGⅠを2勝。このレースに勝った方が「最優秀ダートホース」のタイトルに一歩近づく。特にコパノリッキーは去年のこのレースでホッコータルマエに敗れたことが、タイトルを逃す大きな原因になった。フェブラリーSとJBCクラシックを共に連覇した以上、今年のタイトルは絶対に譲れまい。

Kopano 

互いに譲れぬ2頭が先行すれば、勢いペースは厳しくなる。先手を取ったのはコパノリッキー。それをホッコータルマエがピタリとマークしている。相手はこの一頭しかいない。JBCクラシックの二の舞はごめんと言わんばかりの徹底ぶり。それで直線に向くと、早々とコパノリッキーを競り落として先頭に立った。

「さあGⅠ10勝目か!」

場内実況も沸き立つ。だが、ホッコータルマエが置き去りにした馬群から、一頭の栗毛馬が飛び出してホッコータルマエを捉えた。3番人気のサウンドトゥルー。よくよく考えたらチャンピオンズカップの最先着馬ではないか。それで3番人気とは失礼した。

Daishoten 

勝ち時計が2分03秒0で上がり36秒7は速い。負けたとはいえ、コパノリッキーを負かす競馬をして2分03秒3なら、ホッコータルマエも能力を出し切っている。幸騎手にしてみれば、あのペースで36秒台で上がる馬がいたことが誤算であろう。

有馬記念から中1日置いてGⅠ初制覇劇が繰り返された。「世代交代」が競馬界全体のトレンドに思えてくる。サウンドトゥルーの母の父はフジキセキ。昨日亡くなったばかりの偉大な祖父に、良い報告ができそうだ。

 

***** 2015/12/29 *****

 

 

 

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2015年12月28日 (月)

【訃報】フジキセキ

1994年の朝日杯と翌年の弥生賞を勝ち、皐月賞はおろか3冠も確実と言われながら脚部不安のため引退したフジキセキは、その春からすぐに種付け業務を開始した。あれから20年。JRAでは618頭が1504勝を挙げ、15年連続して重賞勝ち馬を送り続けている。

Kiseki1 

有馬記念の興奮も未だ醒めやらぬ中、唐突にフジキセキの死亡が伝えられた。23歳。4年前から種付け業務を中止していたから、ある程度覚悟はしていたとはいえ、いざ訃報に触れると衝撃を禁じ得ない。思い返せば、阪神カップで見せたロサギガンディアのハナ差勝利には、何か特別な力が働いていたようにも見えた。

Kiseki2 

超大物は出ないかもしれない。だが芝でもダートでも、2歳からでも古馬になってからでも、とにかく堅実に走る。社台の牧場ツアーに参加すると「初めて持つならフジキセキ」というフレーズが、かつては合言葉のように聞かれていた。

良くも悪くも「無難」。それゆえになかなか産駒からクラシックを勝つような大物が出なかったのも事実。それでも、最後の世代からイスラボニータを出してみせた。素晴らしい。その一言に尽きる。

さらにフジキセキの凄いところは、孫まで堅実に走るということ。後継種牡馬のキンシャサノキセキもダノンシャンティも重賞勝ち馬の父となった。イスラボニータも、いずれ素晴らしい子を送る種牡馬となるに違いない。

Kiseki3 

孫が走るということは、ブルードメアサイアーとしてのフジキセキの展望も明るいということだ。明日の東京大賞典に出走予定のサウンドトゥルーは母の父がフジキセキ。勝って天国の祖父に良い報告をしたい。

 

***** 2015/12/28 *****

 

 

 

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2015年12月27日 (日)

納めの府中

1984年の有馬記念はシンボリルドルフ、カツラギエース、ミスターシービーのいわゆる三強の激突。勝ったのはシンボリルドルフで、JC馬カツラギエースに2馬身差を着ける圧勝だった。

この日の東京競馬場の入場者数は84,382人との記録が残る。念のため書いておきますが「中山競馬場」の誤記ではないですよ。この秋から東京競馬場に新設された大型映像装置「ターフビジョン」を目当てに、単なる場外発売所に過ぎない府中にこれだけの人数がつめかけた。ちなみに中山競馬場の入場者数はこの年最多となる90,858人。それと大差ないというのだから驚く。

当時の競馬場では、レースを観ようと思っても、大半の客は馬の姿すら拝むことはできなかった。今のようにあちこちにモニタが設置されていたわけでもないし、なにより場内の混雑は絶望的である。だから大半の客は場内実況に耳を傾けてレースの行方を追っていた。実は私もそれを経験した一人。ルドルフを観てみたい。そんな思いだけで、生まれて初めて有馬記念の競馬場に足を踏み入れた私は仰天した。馬など見えない。写真など撮れるはずはない。帰途の足が心配になって、有馬記念が始まる前にそそくさと退散した。そんな苦い思い出だけが残る。

ところが東京競馬場のターフビジョンなら、向こう正面のスタートから逐一馬群の映像を映し出してくれる。これなら現地で観るよりよっぽど見やすい。三強が並んで最終コーナーを回ると、中山競馬場を凌ぐであろう大歓声が府中の杜に轟いたという。

Fuchu1 

前置きが長くなったが、そんな有馬記念当日の東京競馬場にやってきた。シンボリルドルフが三強対決を制した有馬記念から30余年。遅ればせながら、私も初めて府中で有馬記念を観戦してみたいと思った―――わけではない。正直に言うならここで見るしかなかったのである。強がっても馬券は当たらない。実際、サウンズオブアース1着固定の私の馬券はあと一歩が足りなかった。

宝塚記念やマイルチャンピオンシップなど、東京競馬場のターフビジョンで他場のGⅠ映像を見る機会はなくはない。だが、その映像に映し出されているのが、見慣れた中山のコースでありスタンドであることに多少の違和感を覚えた。その違和感が臨場感を押し潰しつつレースは終了。やはり30年前とは事情が異なる。

Fuchu2 

夕闇迫る東京競馬場のスタンドに座ってひとしきり考えた。「見る」と「観る」は同じようで違う。特に後者には「つまびらかに見きわめる」の意味がある。漠然と見るのではなく、気持ちを込めて観なければ、本当の意味での「観戦」とは言えまい。

スポーツは「観る」ことで今日の発展を得た。「観る」というのは単純に眺めることではない。競技者の息遣いを感じ、時に心をも通わせ、その場の熱を感じなければ観たことにはならない。そういう意味では、私が眺めていたのは巨大な液晶装置であり、それは馬でもなければ騎手でもなかった。これでは2015年の有馬記念を観たとは言えぬ。

Fuchu3 

それでもレースは素晴らしかった。その余韻を味わいながら啜った『馬そば深大寺』の鳥そばが、ことさら美味しかったことは特記しておきたい。

それでは府中の皆さん、良いお年を。

 

***** 2015/12/27 *****

 

 

 

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2015年12月26日 (土)

カレンダー問題2016

カレンダーを送ったり頂いたりする季節になるとつくづく思うことがある。このブログを通読されている方ならきっと「またか…」と思うかもしれない。同じことを書くのはいささか気が引けるのだが、それだけ強く思っていることなので性懲りもなく今年も書く。年末の風物詩だと思って、まあ聞いてくれ。

Dsc_3095 

「競馬のカレンダーは日曜日が週の最後にくるんですね」

競馬を知らぬ人からそう言われることがある。昔は「えっ? ほかは違うんですか?」なんて聞き返したりしていたが、今は慣れたもの。「はい。でも、この方が見やすいでしょう」と言い返す。すると大半の人は、「そうですよね。週末の予定が見やすいですよね」と言ってくれる。むろん中には「いや、日曜始まりの方が見やすいです」と言う人もいるが、その理由を尋ねれば決まって「慣れているから」である。機能面を理由に日曜始まりに投票した人には、これまで出会ったためしがない。

「競馬好きの方は、世間一般とは違う暦で生活しているんですね」

そうも言われる。これを否定することしはしないが、少なくともその「暦」とはいわゆる季節感においてにほかならない。

「暖かくなってきましたね」と挨拶されて、「はい。桜の開花ももうじきですね」と返事をしつつ、「なにせ今週は弥生賞だから」と心の中でひとりつぶやく。これが競馬好きの暦である。毎週の土日を一緒にしたがるのとは違う。土日セットは何も競馬好きに限った話ではあるまい。これだけ週休二日制が浸透したご時世なら、もはや世間の常識であろう。実益を重んじるビジネス手帳に、月曜始まりが圧倒的に多いことがなによりの証左だ。

ところが驚いたことに、2016年競馬カレンダーの中になんと日曜始まりの1本を見つけてしまった。発売元は敢えて書かないが、名のある某競馬専門紙である。しかもあろうことか「使いやすい日曜始まり」などというキャッチコピーまで添えられているではないか。私にとって2015年でもっとも驚いた出来事である。

Dsc_3096 

南関東4場のカレンダーも、今年も変わらず日曜日始まりであった。我が家のカレンダーはすべて月曜始まりで統一されているので、一本だけ日曜始まりがあると間違いのもととなりかねない。よって来年も掲示は見送らせていただく。だが、毎月の暦を飾る写真は素晴らしいものばかり。カレンダーの機能性をさしおいて、その一枚一枚のゴールシーンは鑑賞するにじゅうぶん値する。

もちろん「勝ち馬」だから素晴らしいという見方もできる。勝った馬なら美しくて当然なのである。たいていのカレンダーは勝ち馬の写真を使うが、負けた馬のカレンダーを作ったらどうだろう。敗れた馬の姿を常住坐臥眺めていれば、戒めともなり、かつ慰めにもなるのではないか―――。

いや……、身に染み過ぎていけないな。

 

***** 2015/12/26 *****

 

 

 

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2015年12月25日 (金)

鶏三昧

馴染みの寿司屋に来年の競馬カレンダーを持って行ってやろうと電話をしたら、あいにく満席だと断られた。近所の会社の忘年会が入っているという。寿司屋で忘年会とは景気の良い話だが、振られた私はうどん屋でひとり寂しく鶏天とビール。まあ、寿司よりは鶏の方がクリスマスの夜に相応しいか。

Toriten 

……と思ったところでハッと気が付いた。最近、鶏肉ばかり食べているような気がする。昨日は自宅でローストチキンを食べた。一昨日は、えーと何だっけ? そうだ、鴨鍋にしようと思って買い出しに出たら鴨肉が全然売ってなくて、仕方なく水炊きに変更したんだ。その前日の火曜は三茶の焼き鳥屋で忘年会。築地の『鳥親分店』で親子丼を食べたのが月曜で、東京競馬場近くの『ココイチ(CoCo壱番屋)』でチキンカツカレーを食べたのは日曜の夜のこと。いかん、このままでは身体が鳥になってしまう!

なーんて、そんなことはないだろうけど、クリスマスとはいえ鶏ばかり食べ続けるというのは身体にとってあまりよくない。「鶏肉はヘルシー」と言ったところで、皮目の脂たっぷりのところをバリバリ食べていれば、ヘタすりゃ焼き肉より高カロリーであろう。

本来、クリスマスの食卓を飾るのはターキー(七面鳥)であって、チキンではない。それなのに日本で鶏肉を食べる風習が広まったのは、「ケンタッキーフライドチキン」の長年にわたる販促戦略が実ったせいだとも言われる。骨付きチキンを手づかみで食べる―――。私もそんなアメリカの食文化に憧れた一人であることは間違いない。

それにしても、さすがにこれだけ鶏が続くとなんとなく胃が飽きてくる。いつもなら足りないと感じる鶏天が、うどんが運ばれるタイミングでなお残っているのがその証。昨年の高松宮記念で愛馬コパノリチャードを応援するために、昨年のラッキーフードだという鶏肉料理をケンタッキーフライドチキンや唐揚げ弁当などレース前に4食も平らげたドクター・コパ氏はつくづく凄い。

Kopano 

そんなコパ氏は、今年のラッキーフードは寿司だと言っていたような気がする。それで今年のフェブラリーSでは、レース前に寿司をたらふく食べて見事コパノリッキーを優勝に導いていた。それを考えると、寿司屋に振られた私はなんとなく縁起が悪い。有馬記念の馬券は期待薄だろうか。

おっと、そうこうするうちにメールが届いた。鎌倉に住む料理人から。なになに……。おおっ! 私が待ち焦がれたひな鶏の素揚げ料理店オープンの知らせではないか! これは明日にも行かねばなるまい。ラッキーフードとしては1年遅れかもしれないが、こうなったら7日連続で鶏肉料理を食べて有馬記念を的中させてやる。

 

***** 2015/12/25 *****

 

 

 

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2015年12月24日 (木)

枠順抽選

クリスマスイヴのお昼どき、昼飯を食べつつ有馬記念枠順公開抽選のテレビ中継に見入った。

ラブリーデイは絶好の4番。一方のゴールドシップは15番を引いてしまった。だが、ゴールドシップは3歳時に13番枠で有馬記念を優勝すると、翌年からは2年連続で14番枠を引いて3着している。何事も常識では測れないこの馬にとって、外枠が“大凶”とは限らない。

Gold 

内側から淡々と希望馬番が埋まって盛り上がりに欠けた昨年の反省を踏まえ、今年は希望馬番ではなく、馬番の入ったカプセルを選ぶ方式に変更となった。これは凱旋門賞などとほぼ同じ手法。1巡目に指名されたマリアライトが大外16番を引いてしまったことで、ババ抜き的スリルはいきなり消滅してしまったが、それでも終盤まで内外がまんべんなく残った展開は見ている方も楽しいし、陣営にも「自分で選んだ」という気持ちが芽生える。イベント的要素を加味すれば悪くなかった。

そもそも競馬で枠順が大きな意味を持つことを、今さら説明する必要はあるまい。なにせ昨年はドラフト1巡目にジェンティルドンナが4番を、2巡目にトゥザワールドが6番をそれぞれ選択したら、そのままこの2頭で決まってしまったほど。各馬の能力が接近し、海外のトップジョッキーの参戦で隙のない競馬が展開される昨今では、枠順が着順に与える影響は以前にも増して大きくなっている。馬場管理技術も向上し、内目の芝が荒れ放題ということもなくなった。それなら内側が有利なことも仕方ない。

だから、関係者の皆さんにおかれては、抽選の結果にもう少し喜怒哀楽を表して欲しかった。感情を表に出さないのが勝負師なのかもしれないし、「どこであれ引いた枠がベスト」という信念を貫かれているのかもしれない。とはいえ盛り上げを目的にわざわざしつらえたイベントでもある。ヤクルトスワローズの真中監督ばりのガッツポーズがあってもいい。希望する馬番を宣言してからカプセルを指定するという手もあったかもしれない。フジテレビの会場で行方を見守っていた客席がシーンと静まり返っていたことが、画龍に点睛を欠いた思いがした。

通常のGⅠレースでは、枠順発表後のスポーツ紙に「どこでも良かった」「決まったところで頑張る」という決まりきったコメントが並ぶ。もちろんそう思ってる部分もあるのだろうが、読者の視点からすると「どうせ形式的なもの」という思いが拭い切れない。だから公開抽選の場くらいは、もっと人間的な部分を出してもらって構わないと思う。馬だけではない。これだけの人間の熱い思いも一緒に走るのだ―――。それを世間にアピールする絶好のチャンスではないか。

そういう意味で、1番枠に思わず「よしっ!」と叫んだ池江調教師と、喜びと安堵を隠そうともしなかった石川騎手の、オーシャンブルーのコンビには好感が持てた。人気は皆無だろうから、ちょっとだけ買ってみようか。

 

***** 2015/12/24 *****

 

 

 

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2015年12月23日 (水)

24年連続GⅠ優勝記録

年賀状準備も終盤戦。だが、ここでひとつの問題に直面してしまった。

牧場宛の年賀状には、なるべくその牧場の生産馬の写真を使うようにしている。もし、その牧場が今年のGⅠレースを勝っていれば―――しかもその馬の写真が私の手元にあれば―――ぜひともその1枚を使いたい。だから例年、社台ファーム関係者への年賀状には、なにがしかのGⅠレースの写真を使ってきた。ところが、である。実は今年、社台生産馬が未だJRAのGⅠレースを勝っていないのだ。

「なあんだ、そんなことか」

大半の人には関係のない話であろう。だが、アドラーヴルのオークス以来23年間も続いてきた記録だと思えば、それが途絶えれることは一大事ではないか。先週の朝日杯FSは断然人気のエアスピネルがまさかの敗戦。これで今年の社台生産馬のGⅠレースでの2着は4度目となった。しかも、そのうち3度までがノーザンファームの生産馬が優勝していのである。これは悔しい。

そのノーザンは今年JRAだけでGⅠ9勝の荒稼ぎ。有馬記念にもラブリーデイを筆頭に大挙5頭を送り込み、GⅠ10勝目の大台を狙っている。一方の社台はと言えば、サウンズオブアースとオーシャンブルーの2頭のみ……かと思ったら、ショウナンパンドラ回避のおかげで、ダービーフィズがなんとか出走枠に滑り込んだ。

それでも両者の勢いには差を感じざるを得ない。そもそも、ダービーフィズは出走順16位で、補欠1位ペルーサ、補欠2位トーセンレーヴの順だった。事態が動いたのは先週のディセンバーSである。このレースの1番人気スーパームーンは社台の生産馬。ノーザン生産のトーセンレーヴは2番人気である。このレースで1番人気が順当に勝ってくれれば、社台にとってなんの問題もなかった。

しかし勝ったのはトーセンレーヴ。スーパームーンを破っただけに留まらず、賞金加算にも成功した。結果、ペルーサ、ダービーフィズの社台生産2頭を収得賞金で逆転してみせたのだから、この勝利は大きい。さらに、有馬記念でのオーシャンブルーの鞍上に決まっていたはずのボウマン騎手までトーセンレーヴに取られてしまった。社台にとってはまさに泣きっ面に蜂。しかし諦めるのはまだ早い。秘かにサウンズオブアースに期待を寄せる向きは多いと聞く―――なんて、それは私だけか?

Sounds 

ネオユニヴァースの産駒はJRA重賞を24勝しているが、うち13勝が中山競馬場という中山巧者ぶり。産駒が勝った4つのGⅠも、うち3つは中山競馬場である。しかも、鞍上は今月絶好調のミルコ・デムーロ。そもそも彼がノンコノユメやエアスピネルを差したりしなければ、連続GⅠ勝利記録はすんなりと更新されていた。今度は社台の顔を立てる番だ。

ちなみに、ノンコノユメが7月のジャパンダートダービーを勝っているのだから、広義の意味において「24年連続GⅠ勝利」は既に達成されている。だが、記録は分かりやすい方が良い。日本でもっとも有名なGⅠを勝てば文句はなかろう。ゴールドシップのラストラン。混沌とした年度代表馬争い。暮れの大一番の見どころは、それだけではない。サウンズオブアースが勝ってくれれば、私の年賀状問題も解決するのだが……。

 

***** 2015/12/23 *****

 

 

 

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2015年12月22日 (火)

納めの浦和

今年の浦和最終開催日を飾るゴールドカップに、重賞4連勝中のソルテが出走してきた。もちろん1番人気。パドック周回時の単勝オッズは1.1倍を指している。となれば注目すべきは勝ち負けではなく、むしろその勝ちっぷりであろう。2015年浦和競馬の締め括りにふさわしいレースを期待したい。

Solte1 

ところが本馬場入場時に事態は一変した。「わあっ!」という歓声に振り向くと、空馬になったソルテが駆けてくるではないか。その向こうには茫然と立ちすくむ吉原寛人騎手の姿が! これは大変だ。

Solte2 

万一、圧倒的1番人気の馬が競走除外ということになれば、その影響は計り知れない。大半の人はソルテ絡みの馬券を買っているのである。せっかくの浦和の2015年ラスト重賞が、ただ見るだけで終わってしまっては、あまりに切ないではないか。

だからと言って何事もなかったように出走して、万一負けたりしたら、何が起こるか分かったものではない。なにせ、ここは浦和である。少なくとも吉原騎手は無事では帰れまい―――。なんて話は冗談だが、少なくとも吉原騎手本人は内心ヤバいと思っていることだろう。騎手が平常心を失えば、それだけで余計な負担重量を背負ったことになる。

果たしてソルテはそのまま出走することに。それで結果は5馬身差の圧勝だから凄い。やはりここでは力が違った。

Solte3 

競馬場にいた多くの人がこの結果に安心したことだろうが、いちばんホッとしたのは吉原騎手本人であろう。「落馬してしまい申し訳ない」と恐縮することしきり。それでも「かしわ記念までは負けたくない」と言ってのけるあたりはたいしたものだ。

今日の勝利で吉原騎手は今年の南関東重賞7勝目。それに次ぐのが矢野騎手の4勝である。南関東のファンは、もはや彼が金沢所属であることを意識してないのではないか。しかも来週月曜からは南関東での期間限定騎乗が始まる。ユーロビートで東京大賞典、ロゾヴァドリナで東京シンデレラマイルに参戦予定。とうぶん彼の手綱から目が離せそうもない。

ともあれ、これで今年の浦和競馬はおしまい。浦和の皆様、よいお年を。

 

***** 2015/12/22 *****

 

 

 

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2015年12月21日 (月)

冬至

古来より冬至の日はことさら重要視された。それは、冬至が太陽の観測に一番適していたから。冬至を特定するには、物の影が一番長くなる日を見つければよい。しかもこの季節は晴天が多いから、観測条件も整っている。ために我が国の季節感に今なお残る二十四節気は、冬至をスタートとして定められた。すなわち季節の「原点」でもある。

だがしかし。暦の上では大事な日であっても、屋外で、動くものを、照明も使わずに撮らねばならないカメラマンにとっては、決して嬉しい日とは言えない。正直、冬至近くの中山開催はなんとなく気が滅入った。有馬記念とて例外ではない。メインレースが近づく頃には、芝コースを照らしていた陽の光は背後のスタンドに遮られ、表彰式の頃になるとあたりはすっかり夕闇に包まれてしまうのだから。

同じことを生前の野平祐二氏もおっしゃっていた。ただし騎手の視点である。有馬記念というと、どうも暗いイメージがある。ゴールを照らす灯りを除けば、あとは真っ暗闇。スタンドも暗かったし、空はいつも曇っていた。そんな印象が強いのだという。「レース中に蹄鉄と蹄鉄がガチンとぶつかって火花が飛ぶんです。周りが暗いから、その光が余計目に焼き付いてしまってね」。そんなこともおっしゃっていた。

たしかに昔の有馬記念は、今よりもっと暗い中で行われていたイメージがある。発走時刻が今より遅かったのだろうか? そう思って調べてみた。スピードシンボリが名手・野平祐二騎手の手綱で有馬記念史上初となる連覇を果たした1970年の発走時刻は、あろうことか15時10分。なんと、今より15分も早いではないか。それでも皆が暗いと感じたのは、競馬自体がそういう暗鬱さを拭い切れぬ時代だったということか。

暗かったのはスタンドのせいかもしれない。現在のスタンドが竣工する前は、名物の大屋根が威容を誇っていた時代。それが空を覆い、わずかな西日をも遮っていた。今のようなガラス張りになる前のスタンドは照明も乏しく、帰途にふと振り返って見たそれはまるで漆黒の貨物船のようであったと記憶する。さらに、馬場の色味も見逃せない。今のように真冬でも緑色に輝く芝生が導入される前は、茶枯れた芝の合間から土が剥き出しになった黒い馬場で有馬記念は行われていた。

1994 

そんな中山競馬場では、冬至ステークスとか冬至特別といった「冬至」にちなんだレースも数多く行わてきた。アンバーシャダイが1980年に勝ったのは冬至特別。サクラローレルが94年に勝ったのは冬至ステークス。マツリダゴッホも2006年の冬至ステークスで2着と好走している。競馬の世界における冬至は、のちの有馬記念馬たちの「原点」だったのかもしれない。それを思うと、近年の番組表から「冬至」の名が消えてしまっていることが、少しばかりさびしい思いが募ってくる。明日は冬至だ。

 

***** 2015/12/21 *****

 

 

 

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2015年12月20日 (日)

納めの中山

昨日の話です。

Paddock 

冷たい北風が吹きつける中山競馬場のメインは重賞昇格1年目のターコイズS。パドックを歩く馬の影もご覧の長さ。それもそのはず明後日は冬至。そして来週は有馬記念ですよ。今年もいよいよ押し詰まってきた。個人的にはこれが今年最後の中山となる。なんと今年はたった5回しか来なかった。来年はもっと減りそうだ。

ともあれ年が押し詰まって気になるのがリーディングである。リーディングジョッキー争いは先週の時点で福永騎手121勝に対し、戸崎騎手が120勝。残る開催はこの日を含めて4日間。さあ、逆転なるか!?

―――と思いつつ昼過ぎに競馬場に着いて見れば、午前のレースで戸崎騎手が3勝しているではないか。なーんだ。実にあっさりとリーディング確定。勝つときはまとめて勝つというあたり、いかにも彼らしいのだが、勝手を言えばもう少し我々の興味を引っ張って欲しかった。でも、まあ、とにかくおめでとうございます。連続リーディングジョッキーは最近では武豊騎手が達成して以来の快挙。だが、その時の彼の記録は7年連続である。しかも、その前には9年連続も記録していた。「2年」では比較にならない。武豊騎手の凄さをあらためて実感する。

そんなことを思いつつ眺めたターコイズSは、なんと11番人気のシングウィズジョイが勝って波乱の決着。戸崎騎手は今日4勝の固め打ち。しかもラストを重賞勝利で締めるとはニクい。

Tosaki 

今年の戸崎騎手は5月までにGⅠヴィクトリアマイルを含む重賞6勝の大活躍。このペースなら昨年の記録をことごとく塗り替えるのでは?……と思わせたものだが、その後の重賞勝ちは、今日のターコイズSを含めても2勝に留まっている。年間勝利数や勝率も昨年より落ちた。

逆に2着の数が増えたのは、やはりデムーロ騎手とルメール騎手の影響であろうか。今年は途中参加だった彼らと、来年は完全に同じ土俵で戦わなければならない。3年連続リーディングへの道は、これまで以上に険しいものとなろう。だが、その前に有馬記念。できることなら連覇で2年連続リーディングに花を添えたい。ルージュバックとの雪辱を果たす最後のチャンスかもしれない。そう思ってTV中継を観ることにしよう。

それでは中山の皆さん、良いお年を。

 

***** 2015/12/20 *****

 

 

 

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2015年12月19日 (土)

最強世代の2歳チャンプ

思うに2001年生まれのサラブレッドは実に層が厚かった。ダービーを2分23秒3の大レコードで制したキングカメハメハは今や大種牡馬。ダイワメジャーもハーツクライも日本を代表する種牡馬となり、次々とGⅠ馬を輩出している。

他にもこの世代の古馬GⅠの優勝馬を挙げれば、アジュディミツオー、カンパニー、コスモバルク、スイープトウショウ、スズカマンボ、ダンスインザムード、デルタブルース、ハットトリック、メイショウボーラーと列挙に暇がない。毎年のようにGⅠを勝ちまくった。そんな粒ぞろいの2001年生まれ世代の2歳牡馬チャンピオンを、みなさんは覚えているだろうか。

「ザグレブ産駒のコスモの馬」と言えば、誰もがコスモバルクを思い浮かべるだろうが、実は先にGⅠ馬となったのはコスモサンビームの方だ。2003年朝日杯FSの最後の直線、逃げ込みを図るのは大本命馬のメイショウボーラー。だが、コスモサンビームも一完歩ごとに詰める。そしてついに前を捉えたところがゴール。バルジュー騎手の右手が上がった。

Cosmo 

だがしかし、期待された3歳春シーズンは皐月賞が4着。NHKマイルCは2着と好走したものの、キングカメハメハからは5馬身離された。ダービーはさすがに距離が長く大敗。しかもその直後に左前脚の第一指節種子骨骨折が判明する。当初の報道では「再起不能」という見出しが躍るほどの重症だった。それでも陣営は現役続行を決断。1年2か月の休養を経て復帰した関屋記念では上がり33秒1で差を詰めて1分33秒0だから凄い。5着に敗れたとはいえGⅠ馬の底力は示した。

その後、京成杯AH(10着)、富士S(9着)とマイル戦を続けて使われたあと、連闘で挑んだスワンSを快勝し、見事に復活を果たす。再起さえ危ぶまれた左前脚の骨折から立ち直った愛馬の頑張りに、佐々木晶調教師は目を潤ませながらインタビューに応じた。「走ってること自体がすごいことなんです」。その言葉からは関係者の努力と苦労のほどが伺い知れる。

連闘後ということもありマイルCSは回避。目標は翌春の高松宮記念に据えられる。その前哨戦に選ばれたのが阪急杯だった。

馬群の最後方で4コーナーを回ったコスモサンビームは、みるみる速度を落として直線で競走を中止。脚元に異常は見られない。鼻出血だろうか? 私はそう思った。だが、結果は急性心不全。復活劇の第二章で、舞台は突然の暗転を迎えてしまったのである。調教師をはじめ関係者の気持ちを思うとやるせない。競馬の神様は、まれにひどいことをする。

朝日杯の時点でコスモサンビームの戦績は6戦3勝。その3勝はいずれも武豊騎手の手綱によってもたらされたものだった。その中には京王杯2歳Sのレコード勝ちも含まれる。だが、そのとき既に朝日杯の武豊騎手にはグレートジャーニーの先約があった。それで仕方なくコスモサンビームの手綱をバルジューに譲ったという経緯がある。

Great 

競馬にはよくあること。とはいえ、話の転がり方次第ではこのとき武豊騎手は朝日杯を勝っていたかもしれない。あれから12年。今は亡きコスモサンビームに思いを馳せつつ、武豊騎手の手綱にも注目したい。

 

***** 2015/12/19 *****

 

 

 

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2015年12月18日 (金)

挨拶回りか、うどん屋巡りか

今日も朝から挨拶回り。今年も残すところ2週間ともなれば、最近出不精の私でもある程度は忙しくなる。

01 

まずは人形町の『寿堂』へ。私の差し入れの定番―――と言えるほど贔屓にしているわけでもないが、美味しいし、手頃だし、日持ちするし、なにより歴史がある。ということで、こちらの「黄金芋」いは世話になりっぱなし。そうそう、この店は朝9時から暖簾を掲げてくれることもありがたい。なにせまだ10時前である。

02 

「黄金芋」の見かけは焼き芋だが、実はサツマイモは使っていない。外の皮は小麦粉製でさくっと歯触りよく、中は卵黄を加えた白あんで、鮮やかな黄金色。口溶けよく、上品な甘さである。シナモンの風味と相まって、ほかにはない独特の味わいを生んでいる。

大量の黄金芋を抱えて、ひとつ目の訪問先は日本橋三井タワーのギャラリー「日本橋ART+」。知人のクリエイターが展示会を開催中ということでやってきたのだが……なんとご本人は不在であった。残念。今日はギャラリーにいる日だと聞いていたのだけど、年末だからこういうこともある。

ひと通り作品を見て、黄金芋だけ置いてきた。ちなみに作品というのは鍛金。金属をハンマーとかでカンカン叩いてお皿とか作るやつ。間近で見るとなかなかすごい。リアルな重厚感を感じる。「たたいて、伸ばす」は馬の世界にも通じなくもない。

目当ての人には会えなかったが、わざわざ日本橋まで来たのだから、神田まで歩いて『一福』へ。春の福島開催みたいな名前の店だけど、実は今年開店したばかりの話題の讃岐うどん店である。

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うわ! この店は美味いですよ。この店については、またあらためてリサーチせねばなるまい。

銀座線と大江戸線を乗り継いで新宿区のカメラ店『極楽堂』へ。ここの主人とは20年来の仲で、今日は数年ぶりの直接訪問なのだが……、なんと大阪に出張中とのこと。う~む、残念。残念だがこれは私が悪い。本当なら2月に来なきゃならんのを、そのうち、そのうちと伸ばしに伸ばしてきたのはオノレ自身である。

ちなみにこちらのお店は若干競馬とのかかわりがある。詳しく書くには紙幅が足りないので、知りたい人はここでコンタックスのカメラを購入してから、お店の方にお話を聞いてみるとよい。

ともあれ、ここにも黄金芋だけ置いて撤収。でもせっかく新宿まで来たのだからと『麺通団』へ。

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黄金色のダシに浮かぶ麺のなんと美しいことか。本日2杯目となるが30秒でダシまで完食。

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なんとなく朝から2レース続けて馬券をハズした気分だが、めげずに挨拶回りを続ける。京王線に乗って府中へ。元調教師のお宅にカレンダーを届けに行くのだが、まあ、やはりと言うべきか、案の定と言おうか、ご本人は不在であった。仕方ない。年末なのである。こうしている間に、私の自宅に誰かが私を訪ねているかもしれないのだし。

これで挨拶回りは3連敗。その屈辱を晴らすにはココしかあるまい。

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そう、府中のうどんと言えば『喜三郎』。

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ちく天ぶっかけで今日の東京横断の旅を締めくくろう。噛むとキュウッとしていながらビヨンと伸びる独特の歯ごたえの麺は、本日3杯目の胃袋にさえも、躊躇うことなくするする入ってしまう。あー、美味い。結果的には挨拶回りというよりは、うどん店巡りの一日となった。年末はみんな忙しいんですね。

 

***** 2015/12/18 *****

 

 

 

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2015年12月17日 (木)

納めの川崎

昨夜は都内某所で忘年会。たしか2時まで飲んでいたはずなのに、どういうわけか普段よりも早起きしてしまった。それで犬を散歩に連れて行き、プラスチックゴミを出し、家中に掃除機をかけ、洗濯物を干し、郵便局に行ってお世話になった方へ来年のカレンダーを発送すると、その足でクリーニング店で仕上がりを受け取り、ついでに昼食の買い物まで済ませてきた。

普段からこんなにマメに家事をする私ではない。ではなぜこんなことをしているのか。つまり、他にやっつけなければならない強敵がいるのだけど、それが面倒くさいので、ちょっとでも対決を先延ばししたいがために普段やらない家事を突然始めたりするんですよ。まあ、でもそんなことをやってもいずれやらねばならんので、意を決してその強敵と対峙。

強敵というのは―――。

そうです、ただの年賀状です。始めてしまえば2時間ほどで終わるんだけど、なぜか毎年手を付けるまでに2週間くらいうだうだ悩んでしまう難敵なのである。

とにかく100枚を超える敵のうち90枚ほどをやっつけたところで、いったん手を止めて川崎競馬場へ。何を隠そう今日は今年の川崎競馬最終日。しかも1レースには知り合いの馬が出るから、結果如何ではその写真を年賀状に使う可能性もなくはない。実際に1レースを勝ったのはカリズマティック産駒のヴォーチェ。4角最後方の位置取りから、短い直線をものともせず豪快に差し切って見せた。

1r 

鞍上の瀧川寿希也騎手はこれが通算100勝目。3年目の20歳は、デビューの年に8勝、2年目の昨年が31勝、そして今年はこれが61勝目だというのだから凄い。川崎競馬場の場所別勝利数でも、今野忠成騎手や町田直希騎手を上回っている。ただ、同期の笹川翼騎手は今日の4レースを勝って今年105勝目。通算でも208勝。この数字を見れば瀧川騎手も自分の成績に満足はしていまい。

そしたら、瀧川騎手は最終レースのホワイトクリスマス賞も勝ってみせた。なかなかやりますな。2015年の川崎競馬を締めくくる勝利を挙げた若手も、来年は勝負の4年目を迎える。その手綱さばきに注目したい。

 

***** 2015/12/17 *****

 

 

 

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2015年12月16日 (水)

エアメサイアに捧ぐ

朝日杯FSに出走予定のエアスピネルは、2005年の秋華賞を勝ったエアメサイアの息子として注目を集めている。

Air 

エアメサイアはラインクラフト、シーザリオなど共に2005年の牝馬クラシック戦線を彩った一頭。オークスでクビ差及ばなかったシーザリオは、今ではエピファネイアの母として脚光を浴びる存在である。エアメサイアも(社台ファームも)負けてはいられない。そんなことを思い始めた昨年9月12日、突然エアメサイアがこの世を去ってしまった。放牧中の事故。生き物だからそういうこともある。でも、よりによって……。不謹慎ながらそうも思う。エアスピネルが新馬を勝ったのは、ちょうど1年後となる今年9月12日のことだった。

エアスピネルの手綱を取るのは、エアメサイアのすべてのレースに騎乗した武豊騎手。管理するのは、当時伊藤雄二厩舎の調教助手としてエアメサイアを担当していた笹田調教師。これだけ条件が揃えば、デイリー杯を勝って2戦2勝という戦績がなくても注目を集めていたに違いない。

さらに武豊騎手には、この朝日杯に「JRA・GⅠ完全制覇」の偉業もかかる。JRAのGⅠ69勝を誇る名手でありながら、朝日杯だけは未だ勝利を掴めてはいない。ただ、以前は香港国際レースの週と重なっていたため、そもそも騎乗機会が少なかった。もちろん巡り合わせの問題でもある。だから、チャンスが巡って回ってきた今回はきっと勝つに違いない―――。なんとなく、そんな空気が漂っている。

だが、そこは競馬であるからやってみなければわからない。デイリー杯で2着につけた3馬身半という着差は同レースがマイルになってからの最大着差。それ以前の記録は1998年のエイシンキャメロンの3馬身差であり、マイルになる前も含めれば96年のシーキングザパールの5馬身というとてつもない記録が残る。後者の2着は、のちの天皇賞馬メジロブライトだから、決して相手が弱かったわけでもない。

実はこのエイシンキャメロンの記録も、シーキングザパールの記録も、武豊騎手の手綱で生み出されたものだ。両馬とも3歳チャンピオン間違い無しと言われながら、結果的に朝日杯(シーキングザパールは阪神3歳牝馬S)で敗れている。デイリー杯の着差はアテにならない。そもそも、デイリー杯の優勝馬が朝日杯を勝ったことがないのだから、穴党の出番だってないとは言い切れぬ。なんだかんだで波乱になりやすいレースでもある。

とはいえ、普段は穴党のはずの私も、今回ばかりはエアメサイアに勝ってもらいたい。2005年の牝馬クラシック戦線をエアメサイアに託したひとりとしては当然の思いであろう。もし勝てば秋華賞馬を母に持つ初めてのGⅠホース誕生となる。その栄誉を天国のエアメサイアに届けて欲しいのである。

 

***** 2015/12/16 *****

 

 

 

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2015年12月15日 (火)

歴史と伝統の2歳重賞

今週末に行われる朝日杯フューチュリティステークスは、数えて第67回目。戦後に制定された重賞の中では3番目に古い。

第1回は1949年の暮れに行われた。今はなき中山芝1100m戦。レースは1番人気アヅマホマレが1分7秒3のタイムで優勝している。

ちなみにこのレースには翌年のダービーを勝つことになるクモノハナも出走していたが、あろうことかしんがり負けを喫してしまった。さすがに1100mという距離はダービーを占うには短かったのかもしれないが、翌年にはトキノミノルが同じ距離の朝日杯を圧勝し、無敗のまま日本ダービーを制している。

朝日杯が始まった翌50年には川崎競馬場が開設。さっそく、その年の8月に「第1回全日本三才優駿」が実施されている。したがってこちらは今年が第66回目。中央地方を問わず2歳重賞の歴史は案外深いのである。

こちらも今はなき川崎ダート1200m。勝ったのは、のちに中山の金杯などを勝つサチフサという馬で、8馬身差の圧勝であった。ちなみにこのレースからは、第8回の覇者ダイゴホマレが翌年の日本ダービーを制している。

World

全日本が中央地方全国指定交流競走に指定された97年には、アグネスワールドが朝日杯と全日本の両方のレースに出走し、全日本を1番人気で制した。この年の全日本は12月29日の実施ということで、朝日杯から十分な間隔(中21日)が取れたことが大きい。その後、全日本は日程が前倒しになる傾向にあり、逆に朝日杯の方は有馬記念の前週に日程変更されたことで、今では両レースへの参戦はほぼ不可能となっている。05年にフィールドカイザーが中9日で連戦したのが最後だ。

ところで、97年当時の南関東では、暮れになると2場で同時開催が行われるのが通例だった。川崎がアグネスワールドの勝利に沸いている頃、多摩川を挟んだ対岸の大井では暮れの名物レース「勝島オープン」が行われていたと記憶する。しかもどちらかと言えば、大井がメイン開催で川崎は裏開催的存在だった。それゆえ全日本が行われている川崎には、的場文男や内田博幸といった名手は不在。川崎の至宝・佐々木竹見さんですら大井で乗っていたのである。

97年の全日本3歳優駿当日の川崎競馬場の入場人員は1万9530人。売り上げは12億8889万7100円。一方、同じ日の大井のそれは2万3697人で16億2684万5100円である。あれから20年も経たぬのに、昨今では信じられない数字。明日の川崎には、果たしてどれくらいのお客様が来てくれるだろうか。

 

***** 2015/12/15 *****

 

 

 

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2015年12月14日 (月)

母キャッチータイトルと言えば

昨日の阪神JFをメジャーエンブレムが勝ったことで、今年の2歳リーディングサイアーはダイワメジャーに確定の赤ランプが灯った。2位につけるディープインクトの産駒は、朝日杯にも全日本2歳優駿にも登録がない。

Daiwamejar 

ダイワメジャー産駒として初の牝馬のGⅠホースとなったメジャーエンブレムは、そもそもレース前から目を引く存在だった。逞しい首差し。発達した胸前の筋肉。ボリュームあふれる臀部。そして容積たっぷりの腹袋。父と瓜ふたつなのはその顔立ちだけではない。まるで、2歳牝馬の中に1頭だけ古馬が紛れ込んでいるような、そんな圧倒的な存在感を漂わせていた。

母キャッチータイトルに父ダイワメジャーと言えば、サンデーサラブレッドクラブの会員にはそれこそ“メジャー”な配合として知られる。だから、メジャープレゼンスとメジャーステップという2頭の兄が気性難で苦労していたことも、会員たちは良く知っていた。それが牝馬に出たのだから会員がざわついたのも無理はない。

もっとひどい気性難を露呈したらどうする?

牝馬の気性難は手に負えないゾ―――。

それがまるで手が掛からないイイ子となってGⅠを制するのだから、つくづく馬選びは難しい。

Embrem 

メジャーエンブレムの1歳下にはディープブリランテの牝馬がいて、その下の当歳馬はゴールドアリュールの牝馬。そして今年の配合相手にはスクリーンヒーローが選ばれた。だが、受胎しなかったことでジャスタウェイに変更になっている。もしスクリーンヒーローの子が生まれれば、注目を集めたことは間違いあるまい。なにせ今や「世界のモーリス」の父である。

ただ、私の頭の中にはキャッチータイトルといえばダイワメジャーというイメージが刻み込まれてしまっている。オリエンタルアートに徹底してステイゴールドが付けられたように、キャッチータイトルはとことんダイワメジャーで行ってほしい。相性だけで言うのではない。産駒デビュー以来5年間首位を守り続けたディープインパクトの牙城を破って、ついに2歳リーディングサイアーに輝いた旬の種牡馬。メジャーエンブレムをしのぐ大物が出てもおかしくはない。

 

***** 2015/12/14 *****

 

 

 

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2015年12月13日 (日)

エイシンヒカリ38倍に思う

10頭の日本馬が参加した香港国際レースは、香港マイルをモーリスが勝つと、続く香港カップでエイシンヒカリとヌーヴォレコルトがワンツーフィニッシュの快挙。2頭の馬連は104倍の万馬券となった。

来年秋から日本馬が出走する海外レースの馬券を国内でも買えるようになることは周知の通り。対象レースの最終発表はまだないが、来年の香港国際レースが含まれることは間違いない。そうなった場合、エイシンヒカリの単勝がよもや38.7倍もくつことはなかろう。

当初は、海外のブックメーカーのように、JRAなどが独自にオッズを付けて馬券を販売できるような方向で法案を提出するとみられていたが、最終的にそれは見送られた。つまりオッズは国内の投票分だけで決まる。となれば、実際の能力差はさておき日本馬が人気を集めることは避けられまい。その分、現地での本命馬が高いオッズになる可能性もある。馬券の買い方は人それぞれだが、儲けようと思うなら普段から海外の競馬事情に目を向けなければならない。

かつてジャパンカップが創設された頃は、「馬券はケン」というファンも珍しくはなかった。初めて見る外国馬。聞いたことのない血統。技量の分らぬ騎手。これではとても手が出せない。今のようにネットで簡単に海外の競馬の情報を手に入れることができる時代ではなかったせいもある。だが、日本のファンは偉い。あっと言う間にジャパンカップを攻略してしまった。勉強しなければジャパンカップは当たらない。それなら詳しくなってやろうじゃないか。それが日本の競馬ファンの姿なのである。

専門紙もスポーツ新聞も、そんなファン気質をよく知っている。だから、来年から日本で発売される海外のレースについては、日本のGⅠレースと同じように馬柱を組み、予想を載せる準備を進めているのだそうだ。ファンには朗報であろう。

だが、断っておくがこれは簡単なことではない。なにせどの新聞も「フルゲートは最大で18頭」というシステム上の縛りがある。これを解くのは意外に難しい。9文字を超える馬名はジャパンカップで経験済みだが、日本とは数も種類も異なる馬場状態の表記や、「着順なし」(公式記録に着順が残らないケース)の扱いなど、日本の競馬慣習では有り得ないケースへの対応にシステム改修は艱難を極めているそうだ。だが、そのおかげで、現地のオッズと変わらないとは言わないまでも、極端な「日本馬贔屓」にはならない可能性もある。それを左右するのは全体のパイ。すなわち売り上げにほかならない。

実は今年のフェブラリーSの馬券は豪州のニューサウスウェールズ州でも発売されていた。だが、その売り上げは220万円程度だったという。自国の馬が出走していないとはいえ、これはいくらなんでもひどい。これでは正しいオッズなど生まれない。

Kenzan 

農水省は1レース当たりの売り上げを20億円程度と見込んでいるが、「やってみなけりゃ分らない」というのが当事者の本音だろう。日本馬のオッズが低すぎると嘆く貴兄は、現地での応援を強く勧める。1995年に香港国際カップを勝ったフジヤマケンザンは単勝8番人気、98年のミッドナイトベットに至っては12番人気だった。これなら飛行機代にホテル代を加えて、ついでに高級レストランでフカヒレを食べても、まだ十分におつりが出る。今回現地でエイシンヒカリを買った人も、今ごろきっと現地観戦の醍醐味を味わっていることだろう。

 

***** 2015/12/13 *****

 

 

 

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2015年12月12日 (土)

あれから20年

先日、20年来の友人たちと久しぶりに酒を飲む機会に恵まれた。

むろん競馬絡みではある。だが、生まれたばかりの赤ん坊が成人するほどの歳月の付き合いというのは、簡単に得られるものではない。

その友人とは海外の競馬観戦ツアーで知り合った。しかし約80人の団体旅行である。思い返してみても飛行機やバスの席が近かったわけではないし、ホテルの部屋が隣同士だったというわけでもない。食事の席もずいぶんと離れていた記憶がある。

仮にツアー参加者同士が親しくなることはあっても、ツアー中の一時的な仲であってもおかしくはない。なのに、そのツアーに参加した人と今もこうして会って酒を飲んでいる。あるいは競馬場で会って話をする。あるいは年賀状のやりとりをしている。「不思議な縁ですよね」。酒の席では自然とそんな言葉が出た。そんな不思議の縁を実現させた馬というのが、20年前の香港国際カップを勝ったフジヤマケンザンである。

この日の香港国際競走には3頭の日本馬が参戦していた。香港国際ヴァーズのタニノクリエイト、香港国際ボウルのドージマムテキ、そして香港国際カップのフジヤマケンザン。いずれも森秀行調教師の管理馬である。中でも前評判が高かったのはドージマムテキ。タニノクリエイトにもひょっとしたらチャンスはあるかもしれない。

「フジヤマケンザンの評価は?」

現地コーディネーターにそう聞いてみた。すると彼は首を振って「ノーチャンス」と笑う。カップには地元の最強馬ミスターヴァイタリティが出る。この馬は強い。馬主も大金持ちだ。優勝祝賀パーティーのために、今夜は香港ナンバーワンのホテルのレストランを借り切ったらしい。他の馬に勝ち目はない。

実際のレースではタニノクリエイトは4着。日本期待のドージマムテキも、あわやのシーンを作ったものの5着に敗れた。日本からの観戦ツアー客が陣取る来賓室に重い空気が漂う。

ノーチャンスと笑われたフジヤマケンザンは単勝38倍の低評価。だが、ポンとスタートを決めて4、5番手の好位に付けている。4コーナーを回ったところでも、まだ手応えは良さそうだ。後続も伸びてこない。あとは前を交わすだけ。蛯名騎手の手綱が激しく動く。そしてついにゴール前で先頭のヴェンティクアトロフォグリを交わして、そのまま3/4馬身差をつけてゴール。3度目の香港挑戦でついに栄冠を手にした。

Fujiyama 

私は興奮のあまり沙田のゴール前で発狂した。蛯名騎手も興奮のあまり鞭を落とした。来賓席もたいへんな騒ぎだったらしい。なにせ日本馬による海外での重賞勝利は1959年のハクチカラ以来、36年ぶり。日本人の騎手の手による勝利としては初の快挙である。これで興奮するなという方がおかしい。しかもツアー客の大半は、フジヤマケンザンの単勝をしこたま買い込んでいるのである。

応援ツアーに組み込まれた夕食会は、盛大な祝賀パーティーと相成った。それでも飲み足りない人は、宿泊ホテルのラウンジで2次会。思えば、この2次会で一緒になった面々が今も付き合いが続く人たちということになる。その中には野平祐二氏やフジヤマケンザンの生産者・吉田重雄氏の姿もあった。

あれから20年。明日の沙田競馬場では、5頭のGⅠ馬を含む10頭もの日本馬が走る。時代は変わった。野平祐二氏も、吉田重雄氏も、もうこの世にはいないのだと思えばそれも当然か。森厩舎ばかり3頭の遠征。しかしそれを「大挙遠征」と喜んで、勇んで香港まで応援に出かけて行ったあの当時が懐かしい。

 

***** 2015/12/12 *****

 

 

 

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2015年12月11日 (金)

愛しの豚まん

朝晩の冷え込みが一層厳しくなり、いよいよ冬本番を感じさせる今日この頃。嬉しいことに豚まんの詰め合わせが贈られてきた。いつもありがとうございます。

Butaman 

冷え込んだ真冬の夜にホカホカの豚まんを頬張る。これに勝る幸福など、そうはあるまい。全国的には「肉まん」と呼ばれる中華まんじゅうだが、西日本では「豚まん」が常識。彼の地で「肉」と言えばそれは牛肉を指す。

私の中では阪神競馬場に行く途中の西宮北口駅で食べた豚まんが思い出深い。1996年の阪神3歳牝馬ステークスのその日、尋常ならざる寒さに耐え切れず、乗り換えの途中に「豚まん」の看板を見つけて、つい足を止めてしまった。塩コショウで味付けされたタマネギと豚肉はジューシーで、ほんのり甘みのある皮との味の対比が楽しい。もちろんアツアツだった。正直言って味よりも、あの温かさの方が忘れがたい。

Mejiro 

その日は贔屓のメジロドーベルが勝ったので、数か月後の桜花賞でもゲンを担いで同じ店で豚まんを食べたものだが、残念ながらキョウエイマーチの逃げ切りを許してしまった。やはり豚まんは寒さに震えながら食べてこそ本領を発揮するのであろう。

ちなみに、件の西宮北口の豚まん屋さんは関西人なら誰もが知る『551』だが、私自身は「ゴーゴーイチ」という牝馬の産駒に一口出資したことがある。ゴーゴーイチの母はオークス馬のテンモン。しかも、半兄のマイネルシアターがソコソコの活躍をしていたことから、これは良かろうと思って出資したものの、結局は未勝利のまま引退。その後も冬の金沢で2勝しただけに終わった。

そこは「ゴーゴーイチ」の子である。やはり寒くないとパフォーマンスが発揮できないタイプだったのかもしれない。マイネルシアターが活躍したのも、そう言えば冬場ばかりだった。

 

***** 2015/12/11 *****

 

 

 

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2015年12月10日 (木)

年賀状の懊悩

ボチボチ年賀状作りにも取り掛からねばならぬ頃合いだが、今年はまだ手を付けられずにいる。

どういうわけか、連日のように喪中欠礼のはがきが届けられるのである。哀しいことに今日も1通届いた。これで23通目。いつまでこれが続くのか。年賀状を印刷し終えてから喪中のご連絡をいただくのも切ないから、もう少し待った方がよかろう。

過去にこんなにも喪中はがきを受け取ったことはない。それだけ歳を取ったということか。喪中ではなく、そもそも年賀状をやりとりする本人も何人か亡くしてしまった。ラブミーチャンの柳江仁調教師、オオエライジンの寺嶋正勝調教師、そしてメイセイオペラの佐々木修一調教師。こうして振り返れば、地方の名伯楽の訃報が相次いだ年でもある。年賀はがきは例年並みの枚数を購入してしまったのだが、このぶんでは大量に余ることは避けられまい。

一方で今年は転居通知が1通も届かなかった。これも初めてのこと。入学、就職、結婚、出産など、人生において引っ越しをする契機はだいたい絞られる。私の周辺はそんな人生の契機をひとしきり過ぎたということか。転居通知はなくなり、喪中はがきが増える。これが四十代後半男性の「師走あるある」なのかもしれない。

Nenga2007 

ところで、私の年賀状は長らくジャパンカップの写真を使っていたが、今年はどうしたものだろうか。ショウナンパンドラと池添騎手のパフォーマンスはたしかに素晴らしかったが、2015年を象徴するレースとは正直言いにくい。ならばラブリーデイの天皇賞という手もあるが、有馬記念の結果次第では若干ピントがズレた感じになる恐れもある。ドゥラメンテのダービーは半年以上も前。個人的にはモーリスを押したいのだが、世間一般への認知度という意味では弱かろう。

Nenga2008_4 

かように年賀状の写真は年度代表馬の選考にも似る。有馬記念の写真が使えればそれに越したことはないのだが、残念ながら行く予定がない。なんだかんだで東京大賞典の写真になったとしても、どうかご容赦ください。

 

***** 2015/12/10 *****

 

 

 

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2015年12月 9日 (水)

再び、納めの船橋

船橋に来るのは昨夜が年内ラストと決めていたのに、諸事情あってクイーン賞に来ることができた。二夜連続の「納めの船橋」の感想としては、まあとにかく寒い! 夜になると海に向かって北風が吹きすさぶ船橋では、冬場のナイターはまさに修羅場。早く発走してくれ。

そんな極寒のクイーン賞を勝ったのはハーツクライ産駒の3歳馬・ディアマイダーリン。ハーツクライは、意外にもこれが産駒によるダートグレードレース初勝利となった。

Dearmy 

父はたしかにダート重賞初勝利かもしれないが、ディアマイダーリンの母系はと見れば、ゴールドアリュールを筆頭に、ソロル、ゴールスキーなどダートの猛者がずらりと並ぶ。いわゆるニキーヤの一族である。ダート初挑戦がいきなりの重賞。しかもキャリアの浅い3歳馬。ディアマイダーリンの前に据えられたハードルは、決して低くはなかったはずだが、それを正攻法の競馬でクリアしてみせたのは、やはりこの母系の為せる業に違いない。見事な勝利だった。

ただ、ハーツクライの母系にだって、あのノンコノユメの名前が出てくるのだから、決して血統的にダートがダメということはあるまい。今日のディアマイダーリンの勝利によって、ダートを目指すハーツクライ産駒が増えるようならそれは歓迎すべきであろう。選択肢の広がりは、種牡馬ハーツクライの可能性の広がりに直結する。マスクトヒーローやベルゲンクライだけではないはずだ。

ノンコノユメといえば、先週のチャンピオンズカップでわずかに届かなかったルメール騎手は、今日のレースでは圧倒的人気のトロワボヌールの手綱を任された。よりによって、またも1番枠。嫌な予感は的中した。直線ではチャンピオンズC同様に最内を突いて伸びてきたが、今日もクビだけ及ばずの2着。直線では激しい既視感を覚えたが、勝ち馬と3キロ半の斤量差を思えば仕方ない。

ともあれ、今夜こそ本当に納めの船橋でした。船橋の皆様、よいお年を!

 

***** 2015/12/09 *****

 

 

 

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2015年12月 8日 (火)

納めの船橋

今年最後の船橋開催にやってきた。来週以降、川崎、浦和、大井と開催納めが続く。いよいよ2015年も大詰め。目の前の2歳馬たちが「2歳」と呼ばれるのも、あとわずかだ。

Funabashi 

今日の船橋は2歳戦が2鞍。まず3レースは2歳二組による一般戦。道営から転入緒戦となるノーノーイエースがハナを奪うと、直線ではミラチャンの追い込みを凌いで1500mを逃げ切ってみせた。

3r 

道営での1勝に加えて、これが通算2勝目。ただ、道営1勝とはいえ、重賞レースに3度出走していずれも掲示板は確保してきたのだから侮れない。アジュディミツオーの牝馬。そろそろお父さんにも重賞のタイトルをプレゼントしてあげたいところだが、ノーノーイエースは孝行娘になれるだろうか。最後は脚色が鈍って詰め寄られたあたりが課題であろう。

ひとつおいて5レースが2歳一組によるリバーサイドジュニア特別。このレースもやはり逃げ切り決着となったが、3レースと違ったのはその圧巻の勝ちっぷりである。2着馬に6馬身差。さらに7馬身離れて3着馬。勝ち馬が入線してからひとしきり間があって、しかるのちに激しい3着争いにスタンドが沸くという、ちょっと不思議なゴール前だった。

5r 

勝ったのはやはり道営から転入して2戦目となるモリデンルンバ。転入緒戦の前走・平和賞では、1分42秒6という好タイムでアンサンブルライフの2着。これがフロックかどうか。穴党の願いはその一点に注がれていたわけだが、今日の勝ちタイムが1分42秒7である。これはもうフロックではあるまい。穴党も白旗である。次走は年明けのニューイヤーカップあたりであろうか。そんなローテに思いを巡らせれば、師走の競馬を実感せずにはいられない。

ともあれ私自身はこれが納めの船橋でした。それでは船橋の皆さま、よいお年を。

 

***** 2015/12/08 *****

 

 

 

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2015年12月 7日 (月)

引退規定

昨日のチャンピオンズCは12番人気サンビスタの優勝で幕を閉じた。ショウナンパンドラに続いて、2週続けて牝馬が牡馬を蹴散らしたことになる。JRAのダートGⅠを牝馬が勝ったのは初めて。いやそれよりも、6歳12月の牝馬によるGⅠ勝利自体が異例であろう。彼女が「7歳」と呼ばれるまで、あと1か月もかからない。

クラブ法人が所有する牝馬は、6歳春を以て現役を引退するのが一般的。どのクラブも内規にそう定めてある。サンビスタの所属するクラブ法人「ヒダカブリーダーズユニオン」も例外ではない。規定に従えば、彼女もこの3月にめでたく繁殖入りし、今頃は牧場でのんびり過ごしていたはずだった。だが、社長の判断で現役を続行。4月以降だけでも、マリーンC、レディスプレリュード、そして今回のチャンピオンズCを優勝だから、その判断は間違っていなかったことになる。

Sunbista 

とはいえ、サンビスタの現役続行はあくまで例外。たいていのクラブ所属の牝馬は6歳春までに競走生活に別れを告げなければならない。秘めたる素質をゆっくりと開花させ、ついに5歳の秋にGⅠを制したブルーメンブラッドやクィーンスプマンテといった名牝たちも、翌年の活躍を見ることなく規定に従ってターフを去っていった。

牧場に戻って母となる―――。競走生活と同様に、いやそれにも増して繁殖生活が牝馬に課せられた大事な役割であることは言うまでもない。だが、ようやくGⅠのタイトルを手にしながら、「クラブ規定」のひと言であっさり引退してしまうことについては、ファンやマスコミからも失望や疑問の声が上がっていた。そう思えば、今回のサンビスタの優勝は、単なる牝馬のチャンピオン誕生に留まらず、別の意味を帯びてくる可能性も孕む。

ひと昔前なら6歳牝馬が重賞を勝てば、ちょっとしたニュースになった。しかし、調教技術の向上や飼料の進歩などにより競走馬の現役生活は以前に比べて格段に長くなっている。加えて牝馬のレース体系は充実一途。無理のないレース選択が可能となったことで、馬にかかる負担も格段に減った。サンビスタを管理する角居調教師もダート馬を育てるポイントとして、「馬を傷めずにコンスタントに競馬をこなすこと」と述べている。

だから6歳牝馬のサンビスタがチャンピオンSを勝ち、同じく6歳牝馬のストレイトガールがGⅠを2勝しても、その年齢を聞いていちいち驚く人は今では少なかろう。なにせ今年は2頭のほかにケイアイエレガント(京都牝馬S)、アンバルブライベン(シルクロードS)、メイショウスザンナ(クイーンS)といった6歳牝馬たちが重賞を勝っている。6歳という馬齢は、いまやどういう換算式を用いても「高齢馬」などではない。彼女たちは元気いっぱいである。

ただし誤解のないように付け加えておくと、かつて筆者は自らの所有馬を6歳の夏に引退、繁殖入りさせた経験を持つ。一言で言ってこれは大変だった。春までに引退させておけば……。何度そう思ったことか。これが仮に牡馬だと大変さはいや増す。牡馬の引退はタイミングとの勝負。種牡馬であれ乗馬であれ地方行きであれ、タイミングを逃すと取り返しがつかない。そういう意味において「6歳春の引退」は、牝馬に優しいルールであると思える。

それはそうと、明後日の船橋クイーン賞に出走予定のパワースポットは7歳の牝馬。しかもグランド牧場生産のスズカマンボ産駒とくれば、誰もがあの馬を意識せずにはいられまい。年齢なんて単なる数字。油断していると痛い目に遭いそうだ。

 

***** 2015/12/07 *****

 

 

 

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2015年12月 6日 (日)

愛しの生牡蠣

牡蠣が好きだ。

とりわけ殻の付いたままの生の牡蠣に、さっとレモンを絞っただけのシンプルな食べ方が最高である。

店のメニューに「生ガキ」とあればすぐさま注文。「夏の新潟」と聞けば競馬よりむしろ岩牡蠣を連想してしまうタチである。凱旋門賞のためにパリを訪れれば、名物の生ガキを食べねば気が済まない。「危ないからヤメとけ」と必死に止める同行者を横目に、10月のパリに来て牡蠣を食わずに帰れるか!とばかりに意地になってツルツルと食べ続けるのである。幸いなことに「大当たり!」とか「ホテルの部屋で悶絶!」とか「入院、帰国延期」などという目に遭ったことは―――今のところ―――ない。

ついさきほど、近所のレストランで「赤崎産生牡蠣¥980」なるメニューを見つけた。

牡蠣好きには知られた大船渡赤崎湾モノと聞けばイチもニもなく注文しなけりゃならんところだが、1個980円はちと迷う。むろん1個では満足できないから1960円(2個)、いや2940円(3個)を覚悟しなければならない。

とはいえ、馬券を買ってしまえば一瞬でトケる金額にも満たないと気づけば「どってことないか」と思えたので注文。

Kaki_2 

出てきた牡蛎は長さ15センチはあろうかという大きなもの。ぷっくり盛り上がった身は「一口で吸い込む」というよりは「頬張る」という感覚でないと食べられない。弾力のある身をぎゅっと噛み締めると、海の香りと濃厚な旨味が口いっぱいに広がった。

なんでも、赤崎のヨシダなにがしという漁師の方が養殖された牡蠣だそうで、仲買人の間でもつとに人気が高く、ただでさえ市場でも入手困難な赤崎産牡蛎にあってさらに輪を掛けて滅多に手に入らない逸品らしい。

実際にこれを食せばさもありなんと思う。が、同じ赤崎湾内で養殖したものでありながら、なぜヨシダさんの牡蠣だけが抜けて旨いのか? 場所が同じで何か特別な餌を与えられるものでもない。

しかしもちろん差が生まれる技術もある。その一つが「温湯駆除」。65度の湯を満たした水槽に養殖中の牡蠣を漬け、貝殻に付いたフジツボなどを殺す作業で、牡蠣を殺さずに余計な貝だけ死滅させる温度と時間こそが生産者の腕の見せ所だという。

結局は日々の手入れがすべてを分けるのだ。地味で手を抜きがちな日々のルーチンワークの僅かな差が積み重なり、ある日それは決定的な格差となって具現化されるのだという。なんだか馬づくりにも通じる話にも聞こえてきた。いや、しかしこの牡蠣は美味いですね。

 

***** 2015/12/06 *****

 

 

 

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2015年12月 5日 (土)

14年の歳月

2001年7月8日函館6レースは芝1200mの新馬戦。3番手からレースを進めたフォルクローレが、直線で力強く抜け出すと後続に3/4馬身差をつけてデビュー勝ちを収めた。

Folk 

ダンスインザダーク産駒の牝馬は、その後JRAで5勝を挙げる活躍をしたのち、6歳春の2005年にクラブの規定に従って繁殖入り。今日のステイヤーズSを勝ったアルバートは5番仔にあたる。母のデビュー戦から実に14年。血統を追いかけるのは時間がかかるもの。分かっているつもりでも、やはり長く感じる。

Albert 

ダンスインザダークはブルードメアサイアーランキング(総合)で自身過去最高の2位につけている。1位サンデーサイレンスとの差は50億円以上もあるから、もはや上を見ても仕方ない。だが、3位のフレンチデピュティとの差は1億5千万円余り。これならまだ逆転の可能性が残る。ダンスインザダークBMSランキング2位躍進の功労者はもちろんラブリーデイだが、最終的に今日のアルバートの勝利が意外なカギを握ることになるかもしれない。

ちなみに12月1日付「長距離の遺伝子」で注目したカムフィーは、今日のステイヤーズSでアルバートの2着と敗れた。勝てなかったのは残念だが、7番人気を思えばむしろ健闘であろう。

だがしかし、この敗戦のインパクトは小さくない。なぜか。実はBMSで好調なダンスインザダークだが、一方で産駒成績は芳しくないのである。今年はJRA重賞をいまだ未勝利。ステイヤーズSの数分後に行われた金鯱賞のクラレントも、奮闘むなしくコンマ3秒差の5着に敗れた。

ダンスインザダークは初産駒が3歳になった年から昨年まで、毎年途切れることなくJRA重賞の勝ち馬を送り続けてきた。それがついに途切れるかもしれない。初重賞勝利は2001年フローラSのオイワケヒカリだから、フォルクローレのデビューと同じ年。14年の歳月の重さをあらためて思う。

 

***** 2015/12/05 *****

 

 

 

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2015年12月 4日 (金)

競馬場のカラス

先週土曜の馬事公苑で不思議な事件が起こった。ベンチに置いてあったはずのドーナツの入った袋が、忽然と消えてしまったのである。

置き引きか―――!?

そんな思いも頭を過ったが、ショルダーバッグを残してわざわざドーナツだけを盗るとは考えにくい。それで犯人に思い当たった。カラスである。武蔵野の面影を残す馬事公苑では、カラスの鳴き声が途切れることがない。「うわ!このドーナツ、ちょーウマくね?」とか言ってるのだろうか。「ドーナツプラント」のミックスナッツチョコとヴァローナチョコレート。そりゃあ美味いに決まってる。

カラスの鳴き声を聞きながらつらつらと考えた。

競馬場にもカラスはいる。私と同じように食べ物をカラスにかすめ取られるような被害はないのだろうか。昼どきを挟む上、馬券購入のために居場所を離れることもあるから、結構ありそうなことだと思う。

競馬場のカラスと聞いて思い出すのが、1981年の阪神4歳牝馬特別。軽快に逃げていたブロケードが、突然両前脚を突っ張らせて急にスピードを落とした。見ていた我々は「故障か?」と色めいたし、鞍上の柴田政人騎手も「何が起きたのか分からなかった」と振り返る。その原因はカラスだった。ブロケードは飛び立ったカラスに驚いたのである。

そのあとのブロケードは、恐怖から一刻も早く逃れようとしてか狂ったように走り、2着馬に6馬身もの大差をつけてゴールしている。

逆の例もある。2002年の弥生賞でバランスオブゲームに騎乗した田中勝春騎手の作戦は先行策。しかし、カリカリする気性が災いして向正面で走りに力みが見え始めた。

その時である。バランスオブゲームの視線が前方の内ラチにとまっていたカラスにクギ付けになった。一瞬にして走りから力みが消え、見事な逃げ切り勝ちを収めたのである。レース後のインタビューで勝春騎手は「本番(皐月賞)では作り物のカラスを向正面に置いてくれ」とコメントしたほどから、よほどカラスに助けられたという思いが強かったのだろう。

Sapporo 

札幌競馬場の馬場には、たまに鮭が落ちていると聞いたことがある。いくら北海道とはいえ、鮭が馬場を遡ってくることなどあり得る話ではなく、この犯人もカラス。隣接する札幌中央卸売市場で失敬してきた鮭を何かのはずみで落としてしまったのだろう。レース中に空から鮭が降ってきたら、馬だけでなくさすがに騎手も仰天するに違いない。

 

***** 2015/12/04 *****

 

 

 

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2015年12月 3日 (木)

大井所属馬初の快挙へ

昨日行われた浦和記念は大井所属のハッピースプリントが完勝。昨年の東京ダービー以来の勝ち星で、ダートグレードレース3勝目をマークした。

Happy 

「勝たないといけないと思っていた」とは、ハッピースプリントの手綱を取った宮崎光行騎手の談。2着も地方馬のサミットストーン。3、4着はJRA勢に譲ったが、5着は地元のトーセンアレスである。だが、これをして地方馬のレベルが上がったとは当然言えまい。ソリタリーキングもドコフクカゼもマイネルクロップも、仮にチャンピオンズカップに出ていたとしても、印を集めるような存在ではない。宮崎騎手のコメントは正論であろう。

それでも競馬で勝ったことは賞賛されていい。ひょっとして勝ち方を忘れちゃったのではないか―――。そんな心配をされていたファンの方も、これでとりあえず一安心ではあるまいか。勝利は何よりの薬。チャンピオンズカップを回避してまで臨んだレースである。万一負けていたら、東京大賞典もおぼつかないところだった。

東京大賞典と合わせて気になるのが、NAR年度代表馬の行方。ダートグレードの勝利数を物差しにすれば道営のタイニーダンサーが2勝で一歩リードしているが、格でいえばGⅡの浦和記念が上だし、6馬身差で圧勝したユーロビートのマーキュリーカップも忘れがたい。なにせ年度代表馬を決めるのは人による投票。印象も大事なファクターになる。

ともあれハッピースプリントが東京大賞典を勝てば、文句はあるまい。昨秋の今頃は勝島王冠でよもやの5着に敗れた。クラシックの激戦で蓄積した疲労が抜けきっていなかったという。それでも次走の東京大賞典は4着。ローマンレジェンド、ワンダーアキュート、クリソライトといった面々に先着。それを思えば今年は期待が高まる。

地方馬が東京大賞典を勝てば2005年のアジュディミツオー以来10年ぶり。地元の大井所属としてはJRA交流となってから初の快挙となる。その瞬間をぜひ見てみたい。

 

***** 2015/12/03 *****

 

 

 

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2015年12月 2日 (水)

愛しの牛タン

先週のこと。東京競馬場馬場内にて開催されていたワールドグルメフェアの会場に、ひときわ目立つ「牛タン」の文字を見つけた。

Kanban 

「ワールド」を銘打つイベントに仙台名物の屋台はいささか場違いな気もするが、なにを隠そう私は仙台牛タンに目が無い。焼き肉店でタン塩を頼むことは無いのに、この東京競馬場に店を構える『なとり』の牛タン弁当はしょっちゅう食べているし、おやつのポテトチップスは牛タン味と決まっている。場違いであろうが、これは食べてみなければなるまい。

Chips 

念のため屋台をぐるりと一瞥して屋号を確認すると『陣中』とあった。仙台でも名を知られた専門店。これなら心配あるまい。たまに大井競馬場に“自称”仙台牛タンの屋台が現れるので用心深くなっているのである。

牛タンカレーと串焼きを注文。カレーは大ぶりの牛タンの塊がほろほろになるまで煮込まれたのが入っているイメージだったのだが、実際には細かく刻まれた牛タンが混ぜ込んであった。ちょいと残念。残念だが、これはこれでじゅうぶん美味しい。どこをすくっても牛タンが口に入るから、牛タンの味わいがずっと続く。

Curry 

「串焼きは塩と味噌どちらにしますか?」と聞かれた。味噌というのは経験がない。自席に持ち帰ってゆっくりと味わうことに。

Kushi 

ご覧のように仙台みそのタレがまんべんなくかけてある。さっそく一口。この歯触りの良さ。噛み締めるごとに広がる旨味。これほど完成された串焼きもそうあるまい。ちょっと辛めのみそが、ちょうど良いアクセントになる。失礼ながら大井競馬場の牛タン串とは雲泥の差だ。

ただし問題がないわけでもない。カレーが1杯900円。串は1本800。先日も書いたことだが、イベント価格だからやむを得ないのは分かる。しかも牛タンは高級品。なにせ牛一頭から1本しか取れない。だが、それらを承知の上でも割高感は残る。

折しも、大筋合意を見たTPP交渉においては、輸入牛タンの関税が撤廃の方向に動くという。TPP発効後1年目に牛タンの関税は半減され、11年後には完全撤廃されるそうだ。その暁には少しは安くなるだろうか。

牛タンは国産だけでは需要を賄い切れず、海外からの輸入品が9割以上を占めている。それを考えれば、たしかに牛タンは「ワールド」な料理なのかもしれない。ちなみに輸入元は米国と豪州とのこと。この2か国は今年はJCに参加しないのかと思っていたら、なんとしっかりと牛タンを東京競馬場に送り込んでいたのであった。

 

***** 2015/12/02 *****

 

 

 

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2015年12月 1日 (火)

長距離の遺伝子

関東の競馬はいよいよ暮れの中山開催に移る。初日のメインは師走の中山名物ステイヤーズS。関東のベテラン横山典弘騎手は、このレースが1997年にGⅡに昇格以降、9回騎乗して(5,1,1,2)だから凄い。

Nori 

俗に「長距離は騎手で買え」と言われる。「馬7:人3」とされる力量の比率が、「人4」あるいは「人5」にもなる。折り合い、駆け引き、ペース判断、そして仕掛けのタイミング。とかく長距離戦は騎手の技量差が出やすい。

なかでも大事なカギを握るのはペース判断。だが、天皇賞(春)の3分15秒やステイヤーズSの3分45秒をピタリと計れるか? そう質問されて「できる」と答える騎手などほとんどいない。じゃあ、実際のレースではどうしているのか?

「ノリさんのポジションで判断します」

「ユタカさんに付いていくだけだよ」

ペース判断に長けた騎手はごく一握り。横山典騎手と武豊騎手が東西の双璧だ。彼らの位置取りを見ながら、他の大半の騎手はペースを知る。ゆえに、この二人が不在の長距離戦は乱ペースによる紛れが生じることも。ヒシミラクルが勝った菊花賞などはその典型であろう。

なかでも菊花賞のセイウンスカイでの逃げ切り、天皇賞(春)のイングランディーレの独走など、横山典騎手は正確無比のペース判断を誇る。負けはしたが、アドマイヤジャパンの菊花賞などはその最たる例ではあるまいか。禁忌とされる坂での仕掛け。それがあわやのシーンを演出し、結果的にディープインパクトの三冠達成がより衝撃的なものとなった。興醒めのスローペースでレースの評価を下げたりはしない。

思えば、記念すべき第1回のステイヤーズSを勝ったのは横山富雄騎手。横山典騎手のお父さんである。絶妙なペース判断は血筋かもしれない。今年はカムフィーで参戦予定。1600万条件で6連敗中の馬が別定GⅡに挑むのだから正直ハードルは低くはないが、カムフィーの父はと見てみればダンスインザダークである。人馬に受け継がれる長距離のDNAを意識しながら、3分45秒のドラマを楽しみたい。

 

***** 2015/12/01 *****

 

 

 

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