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2015年11月10日 (火)

隠れた出世レース

先週のJRAは土日で重賞4鞍。いずれも暮れのビッグタイトルの前哨戦である。土曜は東西で2歳重賞が行われボールライトニングとキャンディバローズが暮れの2歳GⅠの優先出走権を獲得。日曜の京都・みやこSはロワジャルダンが勝ってチャンピオンズCに名乗りを挙げた。

日曜東京のメインはアルゼンチン共和国杯。勝ったのは1番人気のゴールドアクターだった。先に抜け出したメイショウカドマツを捕まえ切れぬのではないかと思わせる瞬間もあったが、それでも渋馬場をものともせぬ脚できっちり捕えたのだから凄い。吉田隼人騎手は相手を見もせずにガッツポーズを繰り出した。内外離れてのアタマ差である。着差以上に余裕があったのかもしれない。

Actor 

このレースの好走馬からは近年、のちに天皇賞馬となるトーセンジョーダンやアドマイヤジュピタ、宝塚記念を勝つアーネストリーが出るなど、53回の歴史を誇るGⅡには失礼かもしれないが、隠れた出世レースとして知られる。

中でもその傾向が突出しているのは2008年のレースであろう。優勝馬スクリーンヒーローは直後のJCを勝ち、2着馬ジャガーメイルも翌々年の天皇賞・春を勝ってみせた。だが、調べてみると、この2頭以外にものちに重賞を勝つ馬がこれだけいたのである。そのほとんどが初重賞制覇であったのだから、これほど「出世レース」を体現しているレースはあるまい。

2008年 第46回アルゼンチン共和国杯
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1着 スクリーンヒーロー 08年JC
2着 ジャガーメイル 10年天皇賞
3着 アルナスライン 09年日経賞
4着 テイエムプリキュア 09年日経新春杯
5着 ダンスアジョイ 09年小倉記念
6着 ネヴァブション 09-10年AJCC
7着 トウショウシロッコ
8着 キングアーサー
9着 トウカイトリック 10年阪神大賞典など
10着 ヤマニンアラバスタ
11着 ゴーウィズウィンド
12着 マキハタサイボーグ
13着 マンハッタンスカイ 08年福島記念
14着 セタガヤフラッグ
15着 エアジパング 08年ステイヤーズS
16着 メイショウカチドキ

スクリーンヒーローといえばJC史に残る上がり馬でもあるが、アルゼンチン共和国杯の前には、関係者からしてJCなど頭の中にはなかったに違いない。なにせ準オープンの身。除外を想定して京都の自己条件・比叡Sに回るプランもあった。ところがふたを開けてみればレコード勝ちである。JC出走に際しても賞金不足が懸念されたが、どうにか出走馬決定順15番目に滑り込んだ。外国招待馬が4頭に留まった幸運も見逃せまい。JC史上最大の上がり馬は、いくつもの幸運を重なって誕生したのである。

今年のアルゼンチン共和国杯を勝ったゴールドアクターは、そんなスクリーンヒーローの産駒。父と同じくJCを目指すという声も聞こえてくる。思えばオクトーバーSからの転戦で、管理調教師がJRA重賞初勝利となったのも同じ。父子の軌跡を重ねたくなる気持ちも分からないではない。

だが、調教師の口から「JC」が明言されることはなかった。なぜか。おそらく除外を懸念しているのであろう。そんなところまで父の軌跡に似る必要もないと思うのだが、父のような幸運が起きるかどうかは分からない。というのも、今年のJCには外国招待馬6頭の参戦が有力視されている。となれば日本馬の枠は12頭しかない。現時点でJCを展望する日本馬で、ゴールドアクターより賞金上位の馬はラブリーデイやごオールドシップなど12頭前後。エリザベス女王杯の結果によってはさらに増えるかもしれない。

それで思った。京王杯2歳Sも、フェアリーSも、みやこSも、優勝馬にはGⅠへの優先出走権が与えられるのに、なぜアルゼンチン共和国杯にそれがないのか。「隠れた出世レース」の名がすたる。仮に除外ということになれば、もったいないと感ずるのは私のみではあるまい。ゴールドアクターにとって、他陣営の動向が気になる日々が続く。

 

***** 2015/11/10 *****

 

 

 

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