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2015年11月29日 (日)

記憶の中のJC

ジャパンカップも迎えて35回目だという。競馬中心の生活を送っていると、月日の経つのがことのほか早い。

1994 

第1回ジャパンカップの1着賞金は6500万円。当時の東京芝2400mのレコードタイムは、その4年ほど前のAJCCでグリーグラスが記録した2分26秒3だった。それがいまや1着賞金3億円。レコードタイムもジャパンカップの舞台で繰り返し更新され、今では2分22秒1まで縮まっている。35年先は果たしてどうなっているだろうか。なんて、2分半先も見通せないのに、そんな先のことが分かるはずもない。

1995 

いや、先のことはまだしも、覚えているはずの昨日のことすら怪しいのである。今日も地方競馬の関係者とロッキータイガーがシンボリルドルフの2着した1985年の思い出話に花が咲いた。「パドックにロッキータイガーの横断幕が3枚も出ていた」。「桑島騎手の風車ムチは凄かった」。……等々。なのに、去年のジャパンカップに話題が移った時に、その勝ち馬がこない。あれ? 去年勝ったのは……?? 誰だっけ???

昔のレースは覚えていても、最近のレースが思い出せない。私と同年代の方々なら思い当たるフシもあろう。競馬は記憶のゲームであるから、記憶力の衰退は競馬をつまらなくしかねない。でも、トシには勝てないから、最近ではメモを残すようになった。このブログもそのひとつかもしれない。

だけど大事なことはどんどん忘れていく。寝しなに大事なことを思い出すことが多いので、枕元にメモとエンピツを常備してあるのだが、そのメモが中途半端だったりして朝になって首をかしげることもしばしば。つい先日も、朝目覚めたら枕元のメモ用紙に、

「コーヒーの原理」

と書いてあった。

「コーヒーの原理」っていったい何だ?

このメモを書いた時の私は、これだけ書いておけば思い出すはずと思ったに違いない。だが、朝起きた私はその時とは違う自分である。とりあえずコーヒーを飲めば何か思い出すかもしれないと思い、慌てて飲んでみたが、何も出てこなかった。かようにひとたび眠ってしまえば、私の記憶は掟上今日子さんの如く忘却の彼方に飛んでいってしまう。35年後が怖ろしい。

どの世界でもそうだが、一流の人は記憶力が優れている。かつてアイルランドにエイダン・オブライエン調教師を訪ねた時のこと、三百頭以上もいる管理馬の、どの馬のことを質問しても瞬時に答えが返ってきて思わず舌を巻いた。ゲーム好きの子供のようなその風貌に騙されてはいけない。見た目は子供、頭脳は大人。いや大人以上。本当の天才とはこういう人を言うのか。

武豊騎手の記憶力の良さも知られている。いつ騎乗して、どんなレースをしたか。一度乗った馬ならば大抵は覚えているというから凄い。そんな記憶の集積がレース中の一瞬のジャッジにも繋がるのであろう。そんな武豊騎手がジャパンカップに乗り馬がなかったのは2008年以来のこと。あの年のジャパンカップは誰が勝ったんだっけ? う~む、ダメだ。思い出せない。

Dsc_000007 

今年の覇者はショウナンパンドラ。最後の追い比べは見応えがあったし、馬券もわずかだが当たった。それなのに、今日いちばん印象に残ったのは、ゴールドシップの異様なまでの落ち着きである。「覇気のなさ」と言った方が正しいかもしれない。ちょっとショック。さらに、調教師が「マクる競馬はするな」と騎手に指示したとも伝えられている。いったいどういう意図があってのことか。こうやって勝ち馬以外のことばかりが気になるようになって、少しずつレースのことを忘れてゆくのだろう。それならそれで仕方ない。

 

***** 2015/11/29 *****

 

 

 

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