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2015年11月26日 (木)

天国と地獄

あまりの寒さについにコートを引っ張り出した。

Tck 

ジャパンカップの公開調教でシーズン最初のコートを羽織るのがかねてからの習慣であったが、折しも今朝はその当日である。ただしここ数年は早朝の府中に出かけることもなく、今日にしてもコートをまとって出かけたのは夜の大井競馬場にほかならない。う~、さぶさぶ。もうナイター開催の季節ではないですよ。

Prime 

馬主席からは新スタンド「G-FRONT」がよく見える。3Fのプライムシートは、1人ずつの空間を重視した独立タイプのシート。冷暖房完備の快適な空間。柔らかそうなソファシート。専用モニタ。そして広いデスク。見るからに快適そうではないか。なるほど、これは「プライム」の名にふさわしい。

Banushi 

振り返って私の座る馬主席はどうか。吹きすさぶ北風にガタガタ震えながら、固い椅子に座り、手元にモニタなどあるはずもないから遥か彼方のビジョンに目を凝らしつつ、新聞も置けぬ狭い机でちまちまとマークカードをこする。正直言ってかなりキツい。「馬主席」なんて偉そうに書いてあっても、しょせんこんなもん。すぐ隣のプライムシートについつい羨望の眼差しを送ってしまう。まさに天国と地獄。なんでこんな目に遭わなきゃならんのか―――?

寒さに震えながら自問していると、足下から「にゃーにゃー」という鳴き声が聞こえてきた。ここは5階である。あまりの辛さについに幻聴まで聞こえてきたか。雪山で遭難した経験のある人にそんな話を聞いたことがある。馬券もハズレ続きで意識も遠のいてきた。もとより競馬場でくたばるなら本望。最期は万馬券を握り締めたまま死んでやる。

Cat1_2 

そんなことを考えながら足下を見れば、ホントに猫がいた。客をひとりひとり回って酒のツマミのおすそわけをねだっているようだが、あいにく私は飲んではいない。それが分かるとプイと踵を返して向こうにいってしまった。

Race 

この3号スタンドは年末を以て取り壊されることが決まっている。その跡地に新しいスタンドが建つ予定はない。となればこの景色もこれが見納めだろうか。寒い寒いと文句を言いつつ、それでも敢えてここに座っているのは、30年近く慣れ親しんだこの角度からの大井の景色を目に焼き付けておきたいから。さきほどの猫が心配だが、猫は猫だからきっとうまくやっていくことだろう。

 

***** 2015/11/26 *****

 

 

 

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