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2015年11月19日 (木)

名馬「池月」

大岡山の病院に行ったついでに、ぶらぶらと洗足池まで歩いてみた。

Senzokuike 

池のほとりには千束八幡神社が建つ。その境内、うっそうとした木々に囲まれるように一頭の馬の像が建っているのをご存じだろうか。

Ikeduki_2 

馬の名は「池月」。平家物語の「宇治川の先陣争い」に、もう一頭の名馬「磨墨」と並んで登場する。熱心な南関東の競馬ファンなら、大井競馬場で毎年行われるレース名にもなっていることをご存じのはずだ。

伝承によれば、もともとはこの洗足池付近で捕えられた野馬であったという。その馬体はあくまで逞しく、青い毛並みに白の斑点を浮かべたその馬体が、まるで池に映る月影のようであったことから「池月」と名付けられたという。

だがその一方で、池月は「生食」(いけじき)という名で平家物語に登場してくる。生きているものと見れば何にでも食らい付く激しい気性から、その名がついたという説はなかなか興味深い。

武将が求めた馬の資質は、乗りやすさや足の速さだったわけでは決してない。それは近寄るものを手当たり次第に噛み殺すような悍性の強さである。

当時の騎馬武者の戦法は、荒ぶる馬に跨がって敵陣に深くに飛び込み、手にした槍や刀で相手を斬るのはもちろん、それと同時に自馬が敵を噛み、あるいは踏みつけて殺戮を果たすというものだった。そう思いつつあらためて池月の馬像を見れば、なるほど今にも襲い掛かってきそうな、そんな気性がよくよく表現されている。

中原街道の洗足坂を登ると、こんな黄色いひさしの店が目に入った。赤い文字で『MOON』とあり、ガラス戸には「カレー居酒屋」の張り紙がある。

Moon 

カレー居酒屋とは初めて聞くが、このタイミングで「MOON」とは絶妙だ。しかも「カレー炒飯」なるメニューを見れば、注文せぬわけにはいくまい。ほどなくして出された一皿を見れば、まるで池の水面に浮かぶ月影のようではないか。現代の「池月」はここにいたのである。

Charhan 

ここからなら池上線の長原駅は目と鼻の先だが、腹ごなしに大井町線の北千束駅まで歩く。と言っても10分ほどの距離。このあたりは東急の駅が多い。

Station 

北千束駅はかつて「池月駅」として開業した歴史を持つ。もちろん名馬・池月にちなんでのもの。競馬場の名がついた駅は珍しくないが、馬の名前をそのまま駅名にした例はおそらく後にも先にもこの一例だけであろう。

 

***** 2015/11/19 *****

 

 

 

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