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2015年10月24日 (土)

じょんならん

競馬場にいると「仕方ない」という言葉をやたらと耳にする。

「あれで差されちゃ仕方ない」

「この馬場では仕方ない」

「枠順ばかりは仕方ない」

「血統だから仕方ない」

「この相手では仕方ない」

挙句の果てには、

「競馬だから仕方ない」

なんて言葉も飛び出す。競馬場は無数の「仕方ない」で埋め尽くされていると言って良い。

なにせ便利な言葉である。競馬という競技は圧倒的に負けることの方が多い。しかも、レースは一日に何度も行われる。競馬関係者にせよ馬券を買うファンにせよ、ひとつの敗戦やひとつの失敗をいちいち抱え込んで、精神的ダメージを引きずるようでは、とても戦えたものではない。だから「仕方ない」の一言で済ませる。時と場合によっては叱られるかもしれないこの言葉も、こと競馬場においては魔法の呪文のような輝きを発する。

Mise 

東急東横線の白楽駅から徒歩5分。商店街を抜け、横浜上麻生道路を渡った先に『じょんならん』といううどん店が暖簾を掲げている。あの讃岐うどん界のアイドルと称される「るみばあちゃん」の下で、修業を積んだという大将が切り盛りする人気店だ。

うどんは注文を受けてから大将が生地を伸ばし、切って、茹でる。待つこと約15分。それを長いと感じさせないのは、一連の動作ひとつひとつに説得力があるからであろう。仕事ぶりが客から見やすい店のつくりも見逃せない。

Oyako 

ご覧の「親子ぶっかけ」は店のイチオシメニューだという。待たされればそのぶん余計に期待が膨らんでしまうものだが、この一杯はその期待をまったく裏切らなかった。麺が生き生きしているのである。口でくわえて、ぞぞーっとすする時の麺の伸びが違う。単に柔らかいというのではない。この弾力はいったいなんだ? そんなことを考える間もなく、あっと言う間に食べ終えてしまった。

Menu 

店名でもある「じょんならん」とは、讃岐の言葉で「どうにもならない」「仕方ない」という意味。修業時代、師匠のるみばあちゃんに「じょんならん」と言われたことがきっかけで店の名前に使っているのだそうだ。しかし、その手から生み出されるうどんは「じょんならん」とはまるで逆。勝手な憶測だが、この店名は一種の戒めではあるまいか。「じょんならん」ばかりでは先はない。それに抗う姿勢が大事なのである。

競馬でも同じこと。終わったことはたしかに「仕方ない」。けれど、前に進むための努力は必要だ。それが成績の差となって表れる。私の馬券もしかり。ただ、こればかりは本当に「じょんならん」なあ。

 

***** 2015/10/24 *****

 

 

 

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