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2015年10月30日 (金)

大勝軒@一ノ割

今でこそ、うどんばかり食べている私だが、子供の頃は毎日のように近所のラーメン屋さんに通っていた。

客の少ない午後ならば、ラーメンを食べ終えてなお漫画雑誌のページをめくっていても、別に咎められたりしない。昨今のラーメンブームが到来する前であるから、客はいつも私一人だった。そのうちに友達が店にやって来る。漫画を読みつつ、彼らがラーメンを食べるのを待ってから、やおら遊びに出かけるのである。すなわちラーメン屋が我々の待ち合わせ場所だった。

ラーメン一杯の値段は350円。同じ頃にマクドナルドが390円の「サンキューセット」を売り出していたが、それよりも安かったのである。しかも、マクドナルドなんかよりも遥かに美味いし、量は比較にならない。強烈な匂いの立ち込める煮干しスープは、当時としてはまだ珍しかったと記憶しているが、私はすっかりその味の虜となっていた。

Taishoken 

その店というのが東武線・一ノ割駅近くの『大勝軒』。久しぶりに暖簾をくぐると、御主人は相変わらずカウンターの中で巨大な茹で釜に対峙していた。

午後4時過ぎということもあり、例によって客は私一人。昔話をするにはちょうど良いが、そろそろ下校時間のはず。かつての私たちのように、学校が終わって、すっ飛んでくる中高生が来るものと思っていたのだが、そんな気配はない。

「最近は中学生も高校生も来ないね」

私の心境を察したかのように御主人が呟いた。

「昔と違うからね。学生がラーメン一杯に750円も出せないだろ」

Menu 

私は深く頷く。あれから30年。世間一般のラーメンの値段は上がったが、マクドナルドはむしろ値下がりしている。いや、それよりも、ここで友達と待ち合わせする必要などないのであろう。携帯で“今どこ?”と言えば済むことだ。「待ち合わせ」という言葉自体が、もはや死語になりつつある。

「時代が変わった、ってとこかな」

御主人がまだ修行中の頃、毎週土日になると早朝から生麺を東京競馬場に配達していたのだそうだ。40玉入りのトレー50枚とういから凄い。

「それでも足りなくなったりしてさぁ。大至急持って来い!なんて怒鳴られて、慌てて車を飛ばしたもんだよ。そのくせ、余ったら返品なんだから、たまんねぇよなぁ」

「それにしても2千食は凄いですね」

「昔の競馬場ったら、ラーメンとかうどんしかなかったろ。一杯200円で、たしか馬券と同じ値段だったかな?」

今は馬券は100円から買える。一方、場内のラーメンはいちばん安くて500円といったところか。ここでもラーメンは肩身が狭い。

御主人は、関係者用の通行証でスタンドに出入りしていたが、忙しくてとても馬券を買う暇はなかったそうだ。

「だけど、練習中の馬はいつも見てたよ。尻尾とかたてがみが朝日に光ってさ。芝生の緑と相まって、きれいだなぁと思ったもんだ」

Ramen 

こういう話を聞くと、たまには競馬場でラーメンを食べてみたくなる。明日の東京競馬場でのお昼はラーメンで決まりだな。

 

***** 2015/10/30 *****

 

 

 

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