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2015年10月31日 (土)

天皇賞馬メイショウサムソン

天皇賞を翌日に控えた東京のメインは2歳牝馬による重賞アルテミスS。この時季の2歳重賞だというのに、ディープインパクト産駒は不在。しかし、2歳リーディングではダイワメジャーがトップを独走中なのだから、まあこれもアリか。

人気を集めるメジャーエンブレムはそのダイワメジャーの産駒。そういえばダイワメジャーは2006年の秋の天皇賞を勝っている。

Daiwa 

クナウのお父さんは秋天連覇のシンボリクリスエス。不利と言われる大外を克服し、1分58秒0のタイレコードで駆け抜けた2003年のゴール前もまだ記憶に新しい。

Simbori 

しかし勝ったのは12番人気のデンコウアンジュ。直線で逃げ込みを図るメジャーエンブレムめがけて大外を追い込み、ゴール寸前で差し切ってみせた。思い切ったレース運びは、いかにも田辺裕信騎手らしい。明日のクラレントがちょっと怖くなってきた。

Denkoh 

なんて出馬表をあらためて見れば、デンコウアンジュの父は2007年秋天優勝馬のメイショウサムソンではないか。なんとこれが産駒によるJRA重賞初勝利。おめでとうございます。それにしても明日が天皇賞だと意識していながら、なぜ秋天優勝馬の産駒同士の決着に思いが至らなかったのか。この辺の馬券センスが私には乏しい。

Meisho 

3歳春のクラシック2冠を制し、古馬となってからは春秋天皇賞制覇を成し遂げた名馬も、種牡馬となってからは思うように配合相手が集まっていない。2012年までは毎年百頭以上に種付けをしていたのに、13年は32頭、昨年は少し増やしたがそれでも43頭に留まった。

だがしかし、今日は東京3Rのをプレイヤーサムソンが勝ち上がっているし、福島メインの河北新報杯もメイショウブイダンが勝った。メイショウサムソン産駒の1日3勝は珍しい。秋の天皇賞が近づいて血が騒いだのだろうか。明日もJRA3場で7頭の産駒がスタンバイしている。思い出の天皇賞の週に固め打ちがなるだろうか。そろそろ生産者も来年の配合を意識する時季。少しでもリーディング上位に食い込みたい。

 

***** 2015/10/31 *****

 

 

 

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2015年10月30日 (金)

大勝軒@一ノ割

今でこそ、うどんばかり食べている私だが、子供の頃は毎日のように近所のラーメン屋さんに通っていた。

客の少ない午後ならば、ラーメンを食べ終えてなお漫画雑誌のページをめくっていても、別に咎められたりしない。昨今のラーメンブームが到来する前であるから、客はいつも私一人だった。そのうちに友達が店にやって来る。漫画を読みつつ、彼らがラーメンを食べるのを待ってから、やおら遊びに出かけるのである。すなわちラーメン屋が我々の待ち合わせ場所だった。

ラーメン一杯の値段は350円。同じ頃にマクドナルドが390円の「サンキューセット」を売り出していたが、それよりも安かったのである。しかも、マクドナルドなんかよりも遥かに美味いし、量は比較にならない。強烈な匂いの立ち込める煮干しスープは、当時としてはまだ珍しかったと記憶しているが、私はすっかりその味の虜となっていた。

Taishoken 

その店というのが東武線・一ノ割駅近くの『大勝軒』。久しぶりに暖簾をくぐると、御主人は相変わらずカウンターの中で巨大な茹で釜に対峙していた。

午後4時過ぎということもあり、例によって客は私一人。昔話をするにはちょうど良いが、そろそろ下校時間のはず。かつての私たちのように、学校が終わって、すっ飛んでくる中高生が来るものと思っていたのだが、そんな気配はない。

「最近は中学生も高校生も来ないね」

私の心境を察したかのように御主人が呟いた。

「昔と違うからね。学生がラーメン一杯に750円も出せないだろ」

Menu 

私は深く頷く。あれから30年。世間一般のラーメンの値段は上がったが、マクドナルドはむしろ値下がりしている。いや、それよりも、ここで友達と待ち合わせする必要などないのであろう。携帯で“今どこ?”と言えば済むことだ。「待ち合わせ」という言葉自体が、もはや死語になりつつある。

「時代が変わった、ってとこかな」

御主人がまだ修行中の頃、毎週土日になると早朝から生麺を東京競馬場に配達していたのだそうだ。40玉入りのトレー50枚とういから凄い。

「それでも足りなくなったりしてさぁ。大至急持って来い!なんて怒鳴られて、慌てて車を飛ばしたもんだよ。そのくせ、余ったら返品なんだから、たまんねぇよなぁ」

「それにしても2千食は凄いですね」

「昔の競馬場ったら、ラーメンとかうどんしかなかったろ。一杯200円で、たしか馬券と同じ値段だったかな?」

今は馬券は100円から買える。一方、場内のラーメンはいちばん安くて500円といったところか。ここでもラーメンは肩身が狭い。

御主人は、関係者用の通行証でスタンドに出入りしていたが、忙しくてとても馬券を買う暇はなかったそうだ。

「だけど、練習中の馬はいつも見てたよ。尻尾とかたてがみが朝日に光ってさ。芝生の緑と相まって、きれいだなぁと思ったもんだ」

Ramen 

こういう話を聞くと、たまには競馬場でラーメンを食べてみたくなる。明日の東京競馬場でのお昼はラーメンで決まりだな。

 

***** 2015/10/30 *****

 

 

 

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2015年10月29日 (木)

ファンは友達

今週末は天皇賞。勝ち負けはともかく、レースの鍵を握るのが武豊とエイシンヒカリであることは間違いない。

Hikari1 

通算9戦8勝。毎日王冠の逃げ切り勝ちは、あのサイレンススズカ以来のこと。今年の天皇賞(秋)が行われるのは11月1日。偶然にもサイレンススズカの悲劇が起きた1998年と同じではないか。それで早くから、エイシンヒカリにサイレンススズカの姿をダブらせる声が挙がっていた。だが、当の武豊騎手はそれをやんわりと否定する。

同じ逃げ馬と言ってもタイプが違う。サイレンススズカはスタートから猛ペースで後続を突き放しての大逃げ。一方のエイシンヒカリは後続を引き付けてのタメ逃げで、どちらかと言えば“普通の”逃げだ。また、そもそもサイレンススズカの領域にはまだまだ達していないという思いも、武豊騎手にはあるのだろう。それほどあのスピードは強烈だった。

だが、エイシンヒカリの坂口正則調教師が、昨日こんな言葉を漏らしていた。

「たぶんお客さんが嫌いなんだろう。お客さんを好きになってほしい」

Hikari2 

エイシンヒカリはパドックで極端にテンションが上がってしまう。それで毎日王冠ではホライゾンネットを着用したが、あまり効果は無かった。調教師の言葉はそれを嘆いたものだが、これが実に興味深い。というのも、あのサイレンススズカの陣営からも、同じような言葉を聞きたことがあるからだ。

溢れる才能を秘めたサイレンススズカだが、デビュー当初からその素質をぞんぶんに発揮していたわけではない。レース前に何かの理由で興奮すると、それを抑えることができず、ガーッと飛ばしてしまうその気性が特に弱点とされた。ゆえに観客に近いスタンド前の発走は致命的。ゲート扉の下を前肢で掘って、くぐり抜けようとした弥生賞は、今も語り草になっている。

1998年の毎日王冠ではGⅡとしては異例の13万人が東京競馬場に詰めかけた。宝塚記念を楽勝したサイレンススズカに、ひとつ年下のエルコンドルパサーとグラスワンダーが挑む。本馬場入場でサイレンススズカが芝コースに姿を現すと、スタンドからはGⅠ並みの大歓声が上がった。

ただでさえテンションに気を遣うサイレンススズカである。だからなるべくスタンドから遠い内ラチ沿いを一目散に向こう正面まで逃げていきたい。普通はそう考える。

だが、鞍上の武豊騎手は敢えて若いファンが陣取る外ラチ沿いにサイレンススズカを誘導した。頚を上下に振ってイレ込むサイレンススズカを、ゆっくりと1コーナーまで歩かせたのである。そしてレースではエルコンドルパサーらを寄せ付けずに逃げ切ると、今度はGⅠのように芝コースを引き上げてきた。しかも、再び敢えて大歓声の待つ外ラチ沿いをゆっくり歩いて戻ってきたのである。

お客さんは危険な存在ではない。ともだちだ。彼らの大声援は君のスピードに対する賞賛の嵐なんだ―――。

武豊騎手はそれをサイレンススズカに教えていたに違いない。続く天皇賞の本馬場入場でも武豊騎手は毎日王冠と同じように外ラチ沿いをゆっくりと歩いた。ただ毎日王冠と違ったのは、レースが終わってからファンの大歓声が迎える外ラチ沿いを引き揚げてくることがなかったことだ。

Suzuka 

エイシンヒカリにとっては初めてのGⅠレース。そろそろお客さんは友達だと分かってほしい。超満員のパドックでそれが試される。

 

***** 2015/10/29 *****

 

 

 

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2015年10月28日 (水)

チャイの謎

先日、競馬の実況を聞いていたら、アナウンサーが「ちゃいます」と繰り返していた。いったい何を間違えたのか? いや、そもそも「違います」と言わずに「ちゃいます」では、聞いている人に失礼ではないか。

だが、しばらくして、それが馬の名前であることに気付いた。だとしたらアナウンサーに非はない。それにしても「チャイマス」なんて馬名がよく認められたものだ。馬名審査がザルと化して久しいが、いよいよここまで来たか。

しかし、すぐにまた勘違いに気付く。「チャイマス」ではなく「チャイマックス」だった。それでも、TAKE2の東MAXさんが口にしそうなフレーズにも聞こえる。JRAのサイトによれば「紅茶+最大限」とあるが、それを聞いてパッと頭に思い浮かんだのは、ティーバッグから限界まで紅茶のエッセンスを絞り出しているイメージだ。結局、よく分からん。

少なくとも「チャイ」の名は母馬の「Icy Tea」から取ったのだろう。インドやパキスタン、トルコなどでは紅茶をチャイと呼び、彼らは一日に何杯もこれを飲む。地域によって作り方に違いがあるが、インドやパキスタンでは牛乳で紅茶の葉を煮出し、砂糖をたっぷり加えるミルクティーが一般的。我々が口にする紅茶のような華やかな香りはないが、穏やかなコクと砂糖の甘みがとけ合い、どこかほっとする味だ。

そんなことを考えながら府中の繁華街を歩いていたら『Chai』という看板を見つけた。

Chai 

どうやらカレー専門店らしい。

Spice 

インド人の生活に欠かせぬチャイを名乗るのだから、これは相当ディープなインドカレー専門店である可能性がある。いくぶん緊張しながらカウンターに座り、この店のイチオシだというメニューをオーダー。しかるのちに出てきた一皿がこちら。

どーん!

Meat1 

ハッハッハ! どうです! この素晴らしい眺め。その名も「肉肉肉カレー」。これを見ればディープなインドも何もないでしょ。実はこの店、我々が昔から親しみを抱いているような街のカレー屋さんである。だからトッピングは目玉焼き、ソーセージ、ハンバーグ、チャーシューと多種多彩。しかも学生は大盛り無料ときた。

Meat2 

それにしても「麺が見えないほど肉が載ったチャーシュー麺」や「ご飯が見えないほど肉が載った焼肉丼」みたいなフレーズは聞いたことがあるが、「ご飯とルーが見えないほど肉が載ったカレーライス」というのは初めてだ。しかもこの肉が柔らかくて美味いのである。カレーに合わせてヨシ。ご飯に合わせてヨシ。カレーとご飯に合わせればなおヨシである。次回はぜひこれにハンバーグをトッピングして「肉肉肉肉カレー」を実践せねばなるまい。チャイマックスのおかげで、競馬場の近くに良い店を見つけた。

 

***** 2015/10/28 *****

 

 

 

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2015年10月27日 (火)

スマホ老眼

先週の読売新聞にこんな記事が出ていた。

News

若い人に「スマホ老眼」が増えているんだそうである。厳密に言えば老眼ではない。若いのに老眼と同じ症状が出る。その原因がスマホにあると指摘されるのが「スマホ老眼」。医学的には「調節緊張」と呼ばれるらしい。近くのものを凝視しすぎると、筋肉が凝ってピント調節ができなくなる。症状は一時的なことが多いが、重篤化するとピントが固定されたままになってしまうんだそうだ。

毎度同じことを書き連ねているが、昨今の私も手元が見えずに難儀している。しかも日を追うごとに悪化の一途を辿っているようで怖い。

新聞はまだ読める。馬柱欄は厳しいがどうにかなる。だが、マークシートの記入が絶望的。こればかりはミスが許されぬので、眼鏡を外しての記入を強いられるのだが、ふとオッズを確認したくなって頭上のモニタを見ようとするとまるで見えない。それで眼鏡をかけなおす。ふむふむ。それでマークシートに戻る。するとまた見えない。あー、もう! ストレスが溜まる。私の馬券が当たらないのはこのせいなんじゃないか?

これは老眼なのだから仕方ないと諦めていたのだが、ひょっとしたら私もスマホに原因があるのかもしれない。先日誕生日を迎えて、またひとつトシを食ったばかりだが、それでも「老」と名が付く症状が出るのはイヤだ。

ただ、月のデータ通信料が3GBにも満たない私が「スマホの使い過ぎ」というのも無理があるだろうか。LINEはやらない。動画も見ない。むしろ世間的にはもう少し使った方が良いような気がしないでもない。

「眼の健康のためになるべく遠くの緑を見る機会を増やしましょう」

昔からそう聞かされてきた。人間ドックでも毎回そう言われる。だが、自慢じゃないが、遠くの緑なら毎週土日に嫌というほど眺めている。

Green 

それでも眼は悪くなる一方。スマホをいじる時間の長さではなく、仕事としてどれだけ眼を使うか。個人的にはそれが眼の酷使に繋がるような気がしてならない。なんだかんだ眼を使う仕事である。

最近、大井や川崎のナイター照明が年々暗くなるように感じていた。てっきり主催者が電気代をケチっているのだと思い込んでいたが、実はこれも眼の老化が原因かも知れぬ。暗闇でファインダーを覗いて馬を追いかけるなんて、よくよく考えたら眼には悪そうなことをしている。

 

***** 2015/10/27 *****

 

 

 

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2015年10月26日 (月)

キタサンまつり

「菊花賞、取ったんじゃないですか?」

知人からそんなメールが届いた。

ハテ? なんのことやらさっぱり分らぬ。それで「なんで?」と返信すると、「だってブログに書いてたじゃないですか」とのこと。ああ、なるほど。9月21日付(「ひと夏の成長」)ですね。たしかに「キタ」と名がつく馬は菊花賞に縁があるとは書いたけど、むしろ私が抱いていたのはキタサンブラックの距離適性に対する懸念である。だからキタサンブラックの馬券も買えなかった。

その時も書いたことだが、セントライト記念でのキタサンブラックはピタリと折り合っていたとはとても言い難い。北村騎手も言外に距離への不安を口にした。なにせ母の父がサクラバクシンオーで、母の母の父はジャッジアンジェルーチである。だが、そんな雑音を一蹴し「菊花賞参戦」を決断したのは、ほかならぬ北島三郎オーナーであった。クラシック登録がなく、追加登録料200万円を支払っての参戦。しかし、それは間違いなく大英断であった。

Kitasan 

北島さんは、子供の頃から自宅で買われていた馬の世話をするうち、いつしか無類の馬好きになっていたという。好きが高じて48年間の馬主人生。ヒット曲「北の漁場」の作詞を手掛けたのは、当時船橋競馬場で働いていた新條カオルさん。競馬は不思議な縁も運んでくれた。さらに、ノーギャラで道営競馬のCMに出演したかと思えば、川崎競馬場に「キタサンカワサキ号」(等身大の馬模型)を寄贈したことも。中央地方分け隔てなく競馬に心血を注いでいらっしゃるその姿からは、ただひたすら馬を愛する北島さんの純粋な気持ちが見えてくる。

ファンも競馬関係者もそれを知っている。だからこそ、昨日の菊花賞の表彰式があれほど盛り上がったのであろう。「皐月賞を勝ったら歌う」という公約が「ダービーを勝った」に変わり、ついに菊花賞で実現した。絵に描いたような三度目の正直は、さすがはエンターテイナーと言うほかない。人を楽しませる術をよくご存じだ。

実は、日本ダービー当日のバックヤードにはひそかに音響機器が搬入されていた。私、見ちゃったのである。もしキタサンブラックが勝てば、10万人の観客との大合唱という算段である。

今回そこまでの準備がなかったのは、自信が無かったのかもしれないし周囲への配慮かかもしれない。結果的に5万人の手拍子によるアカペラとなったわけだが、あれはあれで良かったではないか。優勝馬オーナーへのインタビューはまだしも、オーナーがマイクを握って一曲歌うなんて過去に例がない。最終レースの発走が5分遅れたなんて些細なこと。前代未聞の場に立ち会えたファンの皆さんは、それを自慢して欲しい。

 

***** 2015/10/26 *****

 

 

 

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2015年10月25日 (日)

価値あるひと鞍

事情があって11時には競馬場を出なければならない。見ることができるのは3レースまで。限られた時間の中で、菊花賞にも勝るような価値あるひと鞍を目撃したい。

1レースと2レースは2歳の未勝利戦。芝のマイル戦と2000m戦だから、ひょっとしたら来年のクラシック候補が勝ち上がる可能性だってなくはない。―――なんて、かすかな期待を抱きつつゲートは開いた。

1レースのマイル戦を勝ったのは2番人気のブルーオリエント。ワイルドラッシュ産駒の牝馬で、5戦目にして念願の初勝利を掴んだ。

1r 

2レースの2000m戦を勝ったのは1番人気のシュペルミエール。ゲートで大きく出遅れて最後方からの競馬となったが、3コーナー手前から徐々に進出を開始し、ゴール手前できっちり差し切った。ステイゴールド産駒の牡馬。

2r 

上位人気馬が勝つには勝った。だが、そのレースぶりに目を見張るものがあったかと言われると正直答えに窮する。両馬とも勝ち時計は平凡。シュペルミエールのゲート難は変わっていないし、ブルーオリエントは上がりに36秒4を要した。両レースの出走馬に1番人気の経験を持つ馬はゼロ。そういうレースを狙ってしっかり勝つのも大事だよな、と思いつつあらためて出馬表を眺めれば、ブルーオリエントは関西からの遠征馬だ。

なんとなくヘコんで迎えた3レースはダートマイルの新馬戦。好スタートから無理なく先行したストロングバローズが、直線に向いても後続を突き放す一方。持ったまま2着馬を4馬身突き放す楽勝劇を演じて見せた。

Strong 

猪熊オーナーと堀調教師のコンビで外国産馬。それが東京競馬場のダートを圧勝するシーンを見れば、ゴールデンバローズを連想せぬわけにはいかない。ゴールデンバローズはヒヤシンスSを圧勝し、UAEダービーで3着に健闘した。来月の武蔵野Sでも有力馬の一頭に数えられている。

ストロングバローズが、ゴールデンバローズを上回る能力の持ち主である可能性はじゅうぶんにある。ストロングバローズに騎乗したクリスチャン・デムーロ騎手が「直線では何もする必要がなかった」と振り返れば、2着に敗れた嘉藤貴行騎手は「勝った馬が強すぎる」と呆れた。ぜひとも来春のUAEダービーでゴールデンバローズのリベンジを果たし、今日のこのレースの価値を上げて欲しいところだ。

 

***** 2015/10/25 *****

 

 

 

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2015年10月24日 (土)

じょんならん

競馬場にいると「仕方ない」という言葉をやたらと耳にする。

「あれで差されちゃ仕方ない」

「この馬場では仕方ない」

「枠順ばかりは仕方ない」

「血統だから仕方ない」

「この相手では仕方ない」

挙句の果てには、

「競馬だから仕方ない」

なんて言葉も飛び出す。競馬場は無数の「仕方ない」で埋め尽くされていると言って良い。

なにせ便利な言葉である。競馬という競技は圧倒的に負けることの方が多い。しかも、レースは一日に何度も行われる。競馬関係者にせよ馬券を買うファンにせよ、ひとつの敗戦やひとつの失敗をいちいち抱え込んで、精神的ダメージを引きずるようでは、とても戦えたものではない。だから「仕方ない」の一言で済ませる。時と場合によっては叱られるかもしれないこの言葉も、こと競馬場においては魔法の呪文のような輝きを発する。

Mise 

東急東横線の白楽駅から徒歩5分。商店街を抜け、横浜上麻生道路を渡った先に『じょんならん』といううどん店が暖簾を掲げている。あの讃岐うどん界のアイドルと称される「るみばあちゃん」の下で、修業を積んだという大将が切り盛りする人気店だ。

うどんは注文を受けてから大将が生地を伸ばし、切って、茹でる。待つこと約15分。それを長いと感じさせないのは、一連の動作ひとつひとつに説得力があるからであろう。仕事ぶりが客から見やすい店のつくりも見逃せない。

Oyako 

ご覧の「親子ぶっかけ」は店のイチオシメニューだという。待たされればそのぶん余計に期待が膨らんでしまうものだが、この一杯はその期待をまったく裏切らなかった。麺が生き生きしているのである。口でくわえて、ぞぞーっとすする時の麺の伸びが違う。単に柔らかいというのではない。この弾力はいったいなんだ? そんなことを考える間もなく、あっと言う間に食べ終えてしまった。

Menu 

店名でもある「じょんならん」とは、讃岐の言葉で「どうにもならない」「仕方ない」という意味。修業時代、師匠のるみばあちゃんに「じょんならん」と言われたことがきっかけで店の名前に使っているのだそうだ。しかし、その手から生み出されるうどんは「じょんならん」とはまるで逆。勝手な憶測だが、この店名は一種の戒めではあるまいか。「じょんならん」ばかりでは先はない。それに抗う姿勢が大事なのである。

競馬でも同じこと。終わったことはたしかに「仕方ない」。けれど、前に進むための努力は必要だ。それが成績の差となって表れる。私の馬券もしかり。ただ、こればかりは本当に「じょんならん」なあ。

 

***** 2015/10/24 *****

 

 

 

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2015年10月23日 (金)

鷹番特別の謎

東急東横線の学芸大学駅の東口界隈は「鷹番」と呼ばれる町域。蕎麦好きには名店の多い町として知る人も多いかもしれない。いくぶん変わった町名は、江戸時代に将軍が鷹狩りに訪れる鷹場を監視するため鷹番屋敷が、この地域に置かれていたという史実に由来する。

その鷹番に『恩家』という讃岐うどん専門店がひっそりと暖簾を掲げているのをご存じだろうか。駅から歩いて1分とかからない細い路地の先にある、知る人ぞ知る名店。昼時は開店直後から行列が絶えることがない。私も列の最後尾に並ぶと、席が空くまでの間、鷹番という地名についてしばし思いを巡らせた。

Noren 

むかし大井競馬場で「鷹番特別」というレースが行われたことがある。2006年11月29日の10レース。ダートの1600m戦で、勝ったのは酒井忍騎手騎乗のスズランメイクだった。

Suzuran 

鷹番だけでなく、その隣町の「碑文谷特別」や「柿の木坂特別」というレースが行われたという記録もある。私は幼少期をこの一帯で過ごしたので、誇らしい気持ちを抱く一方で、正直そこはかとない違和感も禁じ得ない。「目黒区特別」のような区の名称や、「自由が丘特別」のように有名な駅の名前を使うのなら分かる。名所名跡があるわけでもなく、知名度だって低いはずの「鷹番」「碑文谷」「柿の木坂」といった単なる町域名が、なぜ競馬に使われたのであろうか。

大井競馬場のお膝元は品川区であるが、「中延特別」とか「八潮特別」といったレースが行われた記憶はない。それを思うと、学芸大学駅一帯の地名がことさらの特別扱いを受けているように感じたとしても無理はなかろう。

敢えて競馬との接点を探せば、かつての目黒競馬場の存在である。当時を知る人に聞いたところでは、鷹番周辺には目黒競馬の外厩施設があり、今の目黒通りは競馬場への行き帰りの馬がポコポコと蹄音を響かせる長閑な街道だったそうだ。

とはいえ、そんな昔の話を引っ張り出してレース名に使ったりするだろうか。そもそも目黒競馬と大井競馬とでは関係がない。

ならば、立会川の源流説はどうだろうか。大井競馬場の脇を流れる立会川は、碑文谷公園の池にその流れを発するのである。しかし、それなら碑文谷公園特別とでもするだろうし、「源流に敬意を表する」というのも理由として理解しにくい。

そんなことを考えているうちに、ようやく席が空いて店内に通された。店内は小じんまりとしていて、座席数はテーブルとカウンター合わせても12席しかない。しかしこれが妙に落ち着くのである。厨房では大将がうどんを茹でる釜をじっと見つめている。

Hanpen 

注文はぶっかけ。トッピングにはんぺんの天ぷら。はんぺんの天ぷらはこの店でしか食べたことがない。もちろん揚げたて。サクッという歯応えは瞬時に消え、たちどころにフワッとした食感が訪れる。これがたまらない。

Onya 

麺はいくぶん細めながら、噛むとしっかり歯応えがある独特の食感だ。人によっては固いと感じるかもしれない。だが、この麺を求めて行列を作る人もいるのだから、これこそ店の個性であろう。イリコが香るかけツユも出色。これにはんぺんの天ぷらをちょいと浸して一口食べたその瞬間、行列の苦労も鷹番特別の悩みもたちどころに吹き飛んだ。悩んだときは、美味いものを食べるに限る。

 

***** 2015/10/23 *****

 

 

 

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2015年10月22日 (木)

5連勝に思う

先週のハイセイコー記念では4連勝中のソルテや3連勝中のグランユニヴェールが1勝馬のトロヴァオに敗れるという結果に終わったが、昨夜の鎌倉記念は、デビュー以来4連勝中のポッドガイがきっちり差し切って重賞初制覇。連勝を「5」に伸ばした。

Podguy 

矢野貴之騎手とパイロ産駒とのコンビは、戸塚記念に続く川崎での重賞連勝となった。先週の京都・もみじSを勝ったメイショウスイヅキや、門別では負け知らずのタービランスなど、パイロ産駒の現2歳世代は躍進目覚ましい。中でもこのポッドガイは2歳馬ながら、そのレースぶりにはセンスを感じさせる。折り合いに問題があるようにも見えず、この先の距離延長にも不安はなさそうだ。

デビューから5連勝で鎌倉記念を制した例は過去にないが、ハイセイコー記念なら2006年のロイヤルボスの例がある。彼もまたデビューからの4連勝を経て初めての重賞に挑み、みごと5連勝目を重賞勝利で飾ってみせた。

あの時も思ったことである。なぜ、2歳の秋までに4連勝もするような馬が、重賞未出走でいられるのだろうか。

実は2006年に限って言えば特殊な事情があった。この年は、鎌倉記念が施行されず、11月のハイセイコー記念まで2歳牡馬が出走できる重賞レースがなかったのである。

だが今年は違う。ハイセイコー記念も鎌倉記念も10月のほぼ同時期に行われ、それぞれのレースで4連勝中の馬が初めての重賞タイトルに挑んだ。

そもそも、なぜ南関東の2歳重賞は秋も深まった10月になってから始まるのか。6月に新馬が始まるJRAでは、翌7月には函館2歳Sが行われるのに、南関東では4月の新馬戦から重賞が始まるまで半年も待たなければならない。

重賞がなければ有力馬は分散する。結果、ファンは同じようなメンバーによるつまらない番組を見せられる危険をはらむ。4連勝中の馬が1勝馬に負けるのも競馬だが、その連勝の価値が貶められるようでは、頑張った馬も、それを見ていたファンも到底浮かばれるものではない。

南関東では4月から8月までの間に41の新馬戦が行われた。これに他の2歳戦を含めると、8月末までに66頭が勝ち上がっている。これだけ頭数がいるのだから、6月、7月は無理でも、せめて9月には重賞が行われても良いのではないか。端的に言えば8月か9月に1200mの2歳重賞が欲しい。南関東の2歳重賞がほぼ1600mのみで行われている現状も、個人的には奇異に映るのである。

 

***** 2015/10/22 *****

 

 

 

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2015年10月21日 (水)

監督退任

まずはこちらの予想をご覧いただきたい。

 2012年 有馬記念
 ---------------------
 ◎ゴールドシップ
 ○ルーラーシップ
 ▲スカイディグニティ 
 △トレイルブレイザー
 △オーシャンブルー
 ---------------------
 馬単◎△5200円
 三連単◎△○24250円

 2013年 有馬記念
 ---------------------
 ◎オルフェーヴル
 ○ゴールドシップ
 ▲ウインバリアシオン
 ---------------------
 馬単◎▲1020円
 三連単◎▲○5240円

いずれもちゃんと活字になって新聞紙面に掲載された予想である。10番人気のオーシャンブルーを拾った2012年も、3点予想で上位3頭をピタリと当てた2013年も、どちらの予想も素晴らしいと言うほかない。

Arima 

いったい誰の予想かお分かりになるだろうか。実は和田豊・前阪神監督の予想。有馬記念ともなると各界の著名人の予想が紙面を賑わすものだが、本職でないにも関わらずここまで見事な予想をされるとは、正直驚きを禁じ得ない。さすがは勝負師。ここ数年続いた「ここぞというところで勝負弱い」というタイガースの評価は、和田さん個人の勝負運とは無関係に違いない。少なくとも私はそう思う。

ここ数日、プロ野球では監督の退任劇が相次いだ。日本シリーズ前だというのに、スポーツ紙の一面は監督人事のネタで埋め尽くされている。

都合12年間に渡り巨人を率いた原辰徳監督も、「新陳代謝が必要」との言葉を残してユニフォームを脱いだ。原さんもまた大の競馬ファンである。「バッテリーが折り合いを欠いた」。「行きたがる気持ちは分かるが、ここは手綱を抑える時期」…等々。競馬に喩えたコメントは数知れない。基本的にGⅠレースは必ず馬券を購入するし、背番号にちなんだ「8-8」のゾロ目は必ず買っているという。

忘れられないレースのひとつが1990年の有馬記念だそうだ。それまで無敵の強さを誇っていたオグリキャップが、あの年突然勝てなくなった。もうオグリは終わった。皆がそう口を揃える中、それでも最後の最後に有馬を勝った。それはまさに奇跡と呼ぶにふさわしい復活劇だった。

馬が走る。そこに自分のドラマを重ね合わせることができる。そこに競馬の楽しさがある。

オグリが有馬記念で奇跡的な復活を遂げたこの年、当時現役だった原辰徳選手は開幕直後の肉離れで1か月間の戦線離脱を余儀なくされた。本塁打はプロ入り10年目にして最少の20本。しかも日本シリーズでは西武に4連敗の屈辱も味わっている。そんな時にオグリキャップの劇的な勝利を目の当たりにすれば、共感するところもあろう。しかもゼッケンは自分の背番号と同じ「8番」。奇縁、それ以上のものを感じてもおかしくはない。

なのにオグリの馬券は買っていなかったそうだ。そう言って豪快に笑うところが、いかにも原さんらしい。「馬券は馬に飼い葉を買ってあげているようなもの」。そう言ってはばからない人である。「無駄な運を野球以外で使いたくない」とも言っていた。ならば馬券は当たらない方が良いに決まってる。そういう意味では、和田さんは少し当たり過ぎたのかもしれない。

 

***** 2015/10/21 *****

 

 

 

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2015年10月20日 (火)

栗の節句

明日10月21日は旧暦で九月九日。「菊の節句」である。江戸時代には五節句の中でも最も重視されていた節句とされるが、菊ではなく「栗の節句」と呼ぶこともあったらしい。この日に栗を贈答したり栗ごはんを食べる風習があったことに由来するそうだ。

そこで、今日は『くりはち』さんで焼き栗を購入して帰宅。これがほくほくして美味い。「ほくほく」という表現は芋やかぼちゃにも使われるが、その最たる例はやはり栗ではあるまいか。「栗芋」や「栗かぼちゃ」の存在が何よりの証左。なんて具合に私が栗を贔屓するのは、数年前まで栗にちなんだペンネームを名乗っていたせいもある。

Yakikuri 

競馬に携わっていると「栗」の字を目にする機会が多いような気がしないか。小栗、石栗、栗林、栗田という人名はもとより、栗東という地名。さらには馬の毛色には「栗毛」なんてのもある。だが、むろんこれは競馬に限ったことではない。古来より日本人にとって栗は重要な食料だった。青森の三内丸山遺跡には栗を栽培した形跡があるというし、競馬ファンなら誰もが知る「栗東」の地名だって、もとを辿れば今昔物語にも登場する巨大な栗の木に由来する。

Star

以前、競馬場におやつとして甘栗を買って行き、「勝ち栗です」と言って周囲に配っていたのだが、ある日とある馬主さんから「これはカチグリじゃないね」と言われてしまった。

それで勉強したのである。昔は乾燥させたクリの実をウスで軽くついて、殻と渋皮を取って食べていた。ウスでつくことを「搗(か)つ」とも言うらしい。すなわちカチグリは「搗ち栗」である。それが「勝ち」に通じることから、戦国時代には出陣の膳に欠かせなかったという。私は勝負事の前に食べる栗ならなんでも「勝ち栗」だと勘違いしていた。

子供の頃は、この季節になると毎日のようにクリの殻と渋皮を剥く手伝いをさせられていたように思う。指が痛くなるのが嫌だったが、それでもそのあとに大好きな栗の甘露煮が食べられると思えば、我慢もできた。

だが、最近ではスーパーでも殻付きの栗をあまり見かけない。顔見知りの八百屋に「なんで?」と聞けば、長時間水につけたり、皮を剥いたり、茹でたりするのが面倒だというんで売れないんだそうだ。やっぱりね。なにせ甘栗だって殻が剥かれた状態で買える時代である。上手に殻に切れ目を入れられた時の、あのパキッと痛快な音や感触も含めて甘栗の味わいではないか。それを知らぬ子供たちが、どことなく気の毒に思えてならない。

 

***** 2015/10/20 *****

 

 

 

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2015年10月19日 (月)

マーボー焼きそば

府中市内の某食堂のメニューに「仙台風マーボー焼きそば」なるメニューを発見した。

Menu 

以前、東京競馬場の『カジュアル稲松』で「マーボーうどん」を食べたと書いたが、「マーボー焼きそば」は初めて聞く。しかも「仙台風」とはどういうことか?

なんでも仙台ではこの「マーボー焼きそば」が注目を集めているらしい。でも、少なくとも東京では見たことがない。そういう意味では新興のご当地B級グルメであろうか。

だが、調べてみるとその発祥を1966年とする資料に突き当たった。半世紀も前なら案外歴史は深い。その資料によれば、仙台市内の『まんみ』というお店でまかない料理を商品化したのを嚆矢としている。ただ、その後、メニューに載せる店舗は増えたものの、一般にはほとんど浸透しなかったようだ。

それが一転、広く知れ渡るようになったのは、4年前の震災がきっかけとされる。食料の調達が難しかった震災直後でも、シンプルな具材でできたため、早くから提供が可能だったからだそうだ。

さらに、NTV系列の番組「秘密のケンミンSHOW」で「仙台市民のソウルフード」として取り上げられたことで、注目度が一気に高まった。『まんみ』では多い日には100食以上が売れ、行列ができるほどの大人気メニューだという。

Mabo 

今日私が食べたのは、あくまで「仙台風」であるから、本物とは違うかもしれない。それでも麺のもちもち感と、それに絡む熱々のマーボーあんの相性は抜群。考えてみれば、あんかけ焼きそばが美味いのだから、マーボー焼きそばが美味くないはずがない。こうなると本物の味を確かめたくなってくる。とはいえ仙台は遠い。競馬場もない。秋の福島開催で、仙台から出張屋台でも出してくれないだろうか。

 

***** 2015/10/19 *****

 

 

 

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2015年10月18日 (日)

スポーツ・オブ・キングス

知人の娘が婚約したので、今日はささやかな焼き肉パーティー。その婚約者となぜか私が招かれて駒沢の『きんぐ』にやってきた。その知人というのは当然競馬好きであるから、この店名を見て「こりゃ秋華賞はキングカメハメハの子だな」などと盛り上がっている。マキシムドパリ、トーセンビクトリー、そしてレッツゴードンキ。なるほど無くはない。そんなら私もノリます。乾杯もそこそこに、I-PATで馬券購入と相成った。

King 

私が「キング」と聞いて気になったのは、先日何気なく読んでいた新聞(一般紙)に「英国では競馬はキング・オブ・スポーツと呼ばれる」と書いてあったことだ。こうした誤記・誤解が今なお蔓延るのはある程度やむを得ないとは思うが、発行部数を世界に誇る全国紙がこのザマでは情けない。もちろん正しくは「スポーツ・オブ・キングス」。文字通り王侯たちのスポーツの意である。この場合の「スポーツ」は運動競技ではなく、余暇を過ごすためのレクリエーションというニュアンスが強い。

とにかく、この手の誤用は後を絶たない。私にとっても戒めとする部分が多いにある。

誤用のキングは「デッドヒート」であろう。これはもはや絶望的なほど「接戦」という根を日本語の地中深くに広げてしまっている。競馬意外の分野で使われたことが仇となった。本来の意味が「同着、無効レース」であることは言うまでもない。

意外なところでは「サラブレット」が挙げられる。英語の Thoroughbred のスペルを知っていれば「サラブレッド」と読みそうなものだが、この間違いも後を絶たない。前出の全国紙にも、その系列のスポーツ紙にも、一年に数回のペースで「サラブレット」が登場している。

そうこうするうちに宴は進んで、私が簡単にはなむけの挨拶することになった。これを「花向け」と書く人がいるが、これも間違い。「はなむけ」とは「馬の鼻向け」の略。むかし、旅立つ人が乗る馬の鼻を行き先に向けて、旅の無事を祈ったことに由来する。漢字で書けばお馴染み「餞」のひと文字。旅立つ人にお花を向けてどうするのか。

―――なんてことを言ったりしたら、口うるさい年寄りだと思われそうだから、そんな話はしない。ささっと済ませていざ秋華賞の実況に耳を傾ける。

レッツゴードンキが逃げない。トーセンビクトリーはミッキークイーンをマークしている。そして直線に向くとマキシムドパリが馬群の中央を伸びてきたではないか。

うわー! 当たるかも!!

なんて盛り上がったのは一瞬のこと。終わってみれば1着ミッキークイーンと2着クイーンズリングの「クイーン」決着に終わった。

よくよく考えれば牝馬の祭典ではないか。「キング、キング」と騒ぐのではなく、「そこはクイーンだろう」という閃きがなぜ湧かなかったのか。まあ、それができればこんな愚痴だらけのブログを書いたりしてませんよね。「馬券キング」への道は遠い。

 

***** 2015/10/18 *****

 

 

 

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2015年10月17日 (土)

土曜日の主役

明日の東京メインはオープン特別のアイルランドトロフィー。先週の毎日王冠を勝ったエイシンヒカリが、昨年のこのレースで外ラチ沿いに大きく膨れながらも逃げ切ったシーンは、まだ記憶に新しい。今年の出走メンバーの中にも、将来性豊かな逸材が眠っている可能性がある。

アイルランドトロフィーといえば、かつては土曜に行われるマイル戦だった。1997年のこのレースは、3歳馬トーヨーレインボーが1分33秒5の好タイムで逃げ切っている。

Rainbow 

当時のトーヨーレインボーはタイキシャトルのライバルたり得る存在として、注目を集めていた。東西に所属は分かれてはいたものの、同じ3歳の外国産馬で、芝もダートもこなす万能型。両者の初対決となった菩提樹Sは、タイキシャトルに初めて土が着いたレースとしても知られるが、この時にタイキシャトルとクビ差の3着に敗れたのがトーヨーレインボーである。

以後、両者は別々の道を歩みながらも、お互いに意識しないわけにはいかないローテーションを歩み、それぞれ力を付けてゆく。

タイキシャトルは10月4日の東京競馬場で行われたユニコーンSで重賞初制覇を飾るのだが、同じ日の京都10R渡月橋Sではトーヨーレインボーが1分32秒7というレコードタイムを叩き出してオープン入りを果たした。その3週間後の10月25日には、タイキシャトルは京都へ遠征してスワンSで重賞連勝を果たす。同じ日の東京メインこそ、冒頭の写真のアイルランドトロフィー。負けじとトーヨーレインボーも、逃げ切り至難と言われる東京のマイルを、楽々と逃げ切って能力の高さをアピールしてみせた。

ここまでの通算成績は、タイキシャトル(5,1,0,0)に対してトーヨーレインボーは(5,3,1,0)。重賞2勝を含むタイキシャトルが格上であることは間違いないが、マイルの持ち時計ではタイキが1分36秒5に対してトーヨーが1分32秒7だから、立場は逆転する。この2頭がマイルチャンピオンシップで再び激突するのである。

だが、トーヨーレインボーには大きな不安があった。手綱を取る松永昌博騎手(現調教師)はナイスネイチャとのコンビで知られるように、大舞台で詰めが甘くなることでも知られる。GⅠレースは通算60回騎乗して(0,0,6,54)。これだけの騎乗回数を誇りながら2着さえないというのは珍しい。むろん人気薄ばかりだったわけでもなく、3番人気以内に支持されたことも8回ある。本人もそれを隠そうとせず周囲を笑わせていたのだが、結果的にこのマイルチャンピオンシップでも3着と敗れた。

その後、タイキシャトルは歴史的名馬への階段を一気に駆け上がり、翌年にはついにジャック・ル・マロワ賞を制覇。GⅠ5勝、年度代表馬のタイトルも手に入れて種牡馬入りする。

一方の、トーヨーレインボーはシリウスSと中京記念を勝つものの、GⅠのタイトルとは無縁のまま現役引退を余儀なくされた。その良血を買われて種牡馬にはなったが、残した産駒は4頭に過ぎない。あのマイルチャンピオンシップを境に、両者の明暗は残酷なほどはっきり別れた。

トーヨーレインボーが、その成績の割に今ひとつ地味な存在になってしまったのは、土曜日にばかり勝っていたせいもある。土曜の成績(6,1,0,1)(※下注)に対し、日曜は(0,2,2,3)。なぜか日曜日はさっぱりだった。

土曜のレース結果が大きく報じられる機会はほとんどないと言っていい。日曜の結果は翌日の紙面にでかでかと掲載されるのに、土曜のレースはたとえ重賞であっても日曜の馬柱の隙間にひっそりと結果だけが載る程度。せめてこのブログでは、土曜のメインに光を当ててあげたい。

 ※注:正月の4日連続開催の3日目を含む

 

***** 2015/10/17 *****

 

 

 

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2015年10月16日 (金)

誕生日が怖い

1970年生まれの人がハイセイコーやセクレタリアトと同い年なら、1968年10月16日生まれの私はミルリーフと同い年。海外で年齢を聞かれたら、そう答えることにしている。評判も悪くない。ともあれ今日は私の誕生日。ミルリーフも生きていれば47歳になっていた。

とはいえ、このトシになって誕生日と騒いだところで、特に楽しいイベントが私を待ち受けているわけでもない。だから好きな映画のDVDでも買って、お昼に好きなモノを食べて、午後は自宅でDVDを観て過ごそう。それで分相応じゃないか。そう思って「優駿 ~ORACION~」のDVDを買い、大井町の『ハピネス』でしょうが焼き定食を食べようと店の前まで来たら……、

Happiness 

がびーん!coldsweats02

ここへくれば、ささやかではあるけれど私なりに特別な一日を過ごせると思ってわざわざやってきたのに、こんな仕打ちに遭うなんてひどい。だって、そんな高望みをしたわけではないじゃないですか。

ともあれ、このまま帰宅して映画を観られるような気分ではない。なにせ「優駿」である。それならどうするか。……なんて悩むまでもなく、こうなりゃ大井競馬場に行くしかない。そう思ったところでハッと閃いた。いつも誕生日にちなんで10-16とか1,6,10のBOXを買うのだけど、年齢にちなんだ馬券を買う方がこういう場合は正解なのではなかろうか。

そこでさっそく購入。

Baken 

その結果は、

1r 

6枠6番のエクレアオールが7馬身差の圧勝でした。この馬、去年の社台ツアーで買おうかどうか悩んだ一頭ではないか。あ~、やっぱ勝ったかぁ。でも、さして悔しくない。なぜか。もうこういうのには慣れたから。私が最後まで悩んで買わなかった馬は走るのである。その顛末を詳しく書き始めると暗い誕生日になってしまうのでまたの機会に。

Baken2 

ところで1Rの2着と3着は4-7だったから、ひょっとしたらこの作戦は脈があるかもしれない。そう思って、その後もベタベタと枠連4-7や馬連4-7を購入したのだけど、結果的に的中はゼロ。ま、そりゃそうですよね。結局は「暗い誕生日」になってしまった。最近は毎年こんな誕生日を過ごしているような気がする。早くも来年の誕生日が怖くなってきた。来年の10月16日は4-8が来ますように。

 

***** 2015/10/16 *****

 

 

 

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2015年10月15日 (木)

柏木集保氏、ハイセイコーを語る

競馬場に行っても見るのはメイン前後の2、3鞍だけだったりするので、専門紙を買わないことも多いのだけど、昨日はきちんと「日刊競馬」を携えて大井競馬場に向かった。

Nikkan 

なぜか。この方がハイセイコー記念の予想ステージに立たれたからである。敬意を示すべく、「日刊競馬」の題字がステージに見えるように紙面を頭の上に掲げていると、マイクを持った柏木集保さんがステージに姿を現した。

Shuho 

冒頭、柏木さんは集まった聴衆に1970年生まれの人はいますかと聞いた。それに応えて10人ほどが手を挙げただろうか。

1970年と言えばハイセイコーの生まれた年である。つまりその10人はハイセイコーと同い年というわけだ。ちなみに米3冠馬セクレタリアトとも同い年。

「素晴らしい」

「お酒の席で自慢して欲しい」

「だって、生まれた年のダービー馬を言っても意味がないでしょ」

そんなトーンでステージは順調に始まった。

ハイセイコーの中央初戦となった弥生賞で、超満員のスタンドから溢れた観客が馬場になだれ込んだことは以前ここでも紹介したが、柏木さんによれば、当時一般席よりちょっとだけ上にあった記者席の壁にも何人かよじ登ってきたそうだ。その高さ3~4m。登ったのはいいが、今度は降りられない。そうまでしてでも、みんなその目でハイセイコーを見たかった。

そんなハイセイコーから柏木さんはひとつのことを学んだという。

ハイセイコーは皐月賞を勝ったあと、当時ダービートライアルとして2000mで行われていたNHK杯に出走。直線で抜け出したカネイコマに、とても届かないという位置から驚異のストライドでアタマ差かわしてみせた。

誰が見ても「負けた」と思えるレースを勝つには、150点の力を出す必要がある。そこで能力を出し尽くした馬は、その次走ほとんどが例外なく負けるのである。結果、ハイセイコーもダービーで歴史的な敗戦を喫した。

ハイセイコーの話は尽きないが、ステージの本題は「ハイセイコー記念」である。「さっき地方競馬に詳しい古谷剛彦さんにコーチしてもらったところでは……」と切り出して笑いを誘いつつ、本命には2番人気のグランニュニヴェールを指名した。大井のマイルを勝っている実績に比べ、古谷さんに聞いたらここ10年の道営転入馬は勝っていないというのがその根拠。対抗がゴールジュニア―の勝ち馬ラクテ。そして▲がトロヴァオだという。

「え? でもトロヴァオは道営からの転入初戦ですが……」

進行役の西島まどかさんが突っ込んだ。

「10年って聞くと凄く長いように感じるけど、10回って聞くとそうでもないじゃないですか。たかだが10回ですよ」

そんなこんなで迎えたレースは、道中4~5番手でレースを進めたトロヴァオが、直線外から突き抜けて転入緒戦を重賞制覇で飾った。2着グランユニヴェール。圧倒的1番人気のラクテは4着に沈んだ。柏木さん、お見事!

Hiseiko 

ここまで3戦1勝。獲得賞金は出走14頭中最下位の格下馬が、大井の4勝馬を相手にしなかった。転入緒戦ということで、厩舎サイドも様子見感がありありだったが、それでこの勝ちっぷりなら先々の展望は明るい。このレース、柏木さんの目にはどのように映っただろうか。レース回顧のステージがあればもっと嬉しかった。

 

***** 2015/10/15 *****

 

 

 

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2015年10月14日 (水)

第7回ジョッキーベイビーズ

毎日王冠当日の東京競馬場最終レース終了後、全国ポニー競馬選手権「第7回ジョッキーベイビーズ」が行われ、全国の予選を勝ち抜いた8人が芝コースの直線400mで競った。優勝したのは北海道地区代表で小学4年生の大池崚馬君。好スタートからの逃げ切り勝ちだった。

Jbs 

イベントそのものの評価や出場者のプロフィールなどは、田中哲実さんがどこかで書かれると思うので、ここで詳しく触れることは控える。だが、かつて私が普通に応援していた騎手の「お孫さん」が出場していると聞けば、心中穏やかではいられない。向こう正面の彼方、桜ヶ丘のゴルフ場の緑を見つめつつ、己のトシについてひとしきり考え込んだ。

Stand 

敢闘賞を受賞した吉沢千風音さんは、吉沢宗一元騎手の孫娘。「将来は誘導馬に乗りたい」と言うようにプロ騎手志望というわけではないようだが、そのやわらかい騎乗フォームは、マイネルヨースで逃げまくった宗一騎手の姿を彷彿させるものがあった。ぜひとも夢を実現していただきたい。

Yoshizawa_2 

西浦調教師のお孫さんである西浦秀馬君は、矢部道晃オーナーの勝負服に身を包んで参戦。これはもちろん祖父が管理するホッコータルマエを意識してのことであろう。

Nishiura 

それにしても年々ジョッキーベイビーズを観戦するお客さんが多くなっている気がするのは、気のせいであろうか。GⅠのファンファーレに合せての手拍子。スタート直後の大歓声。どちらも、本物のGⅠレースと遜色ない。最終レースを勝ったこの人も、着替えの時間を惜しんでスタートを待っていた。

Uchida 

電光掲示板もちゃんと使用される。「大差」が生じてしまうのは、騎乗馬となるポニーの能力差が大き過ぎるから。こればかりは仕方ない。

Keijiban 

もともとは、北海道でポニー乗馬を習っていた小学生が「札幌競馬場で競馬をしてみたい」と言い出したことがきっかけだったと聞く。ダービーと同じコースで、しかも大勢のお客さんの前で走れるのだから、それだけで当人たちにとっては夢のような時間であろう。着順は気にするまい。観戦したファンもそれをよくわかっている。レースを終えてウイナーズサークルに戻る8組の人馬を迎える万雷の拍手を耳にして、恥ずかしながら目頭が熱くなった。これもトシのせいだろうか。

 

***** 2015/10/14 *****

 

 

 

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2015年10月13日 (火)

サウスポーの生きる道

一昨日のテレビ静岡賞を勝ったのは、スウェプトオーヴァーボード産駒のレッドファルクス。逃げ込みを図るノウレッジを余裕たっぷりに差し切った。

10r 

知る人ぞ知るサウスポーである。全5勝を左回りであげたからではない。そもそも左回りしか走らない。デビュー2戦目に一度だけ中山を走ったことがあるが、右回りの経験は生涯その一度きり。あとは徹底して東京、新潟、中京を渡り歩いている。

右回りのコーナーでは左トモ→右トモ→左前→右前の順に脚が地面につく。いわゆる右手前。この時に推進力を生み出すのは右トモである。レッドファルクスはこの右トモに若干の不安を抱えているようで、苦しくなった馬が勝手に左手前に変えてしまうのだという。馬は楽になるかもしれないが、それでは右回りのコーナーをスムースに回ることはできない。

エイシンヒカリは初めての左回りとなった昨年のアイルランドトロフィーで大きく外に膨れた。直線で右手前に変えた途端、右へ右へと進んでしまったのである。あのインパクトがあまりに強く、左回りが不安視された時期もあったが、エプソムカップと毎日王冠を逃げ切って不安は解消しただろうか。なんだかんだ今のところ唯一の敗戦は右回りの阪神である。

レッドファルクスもエイシンヒカリも右手前の走法に難があるのに、苦手とされる回りが異なるのが興味深い。新潟は得意でも、東京ではさっぱりという馬もいる。「右回り得意」「典型的なサウスポー」。そう言われる馬たちがいるのは事実だが、その理由は単にコーナーリングの問題に留まらない。馬場の特徴、滞在競馬か当日輸送か、気候の問題もある。それを人間の「右利き」「左利き」に喩えるのは無理があろう。だからJRAのハンデキャッパーは、回りの得手不得手そのものをハンデに加味することはしない。

準オープンを連勝してオープン入りを果たしたレッドファルクスの最大目標は、この春に出走を目指しながらも除外された高松宮記念とされる。来年も同じ憂き目に遭うのだけは避けたいところ。左回りだけのローテーションで首尾よく賞金を加算できるだろうか。陣営のレース選択にも注目していきたい。

 

***** 2015/10/13 *****

 

 

 

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2015年10月12日 (月)

大人のエイシンヒカリ

毎日王冠はエイシンヒカリがスタートからハナに立つと、直線に入っても後続を寄せ付けず、1馬身1/4差で重賞連勝を果たした。出走全馬が重賞ウイナー。うち4頭がGⅠホースという豪華メンバーということもあって人気も割れ気味だったが、終わってみればエイシンヒカリが1番人気だったという。みなさんの慧眼には毎度のことながら恐れ入る。

Mainichi 

私個人はエイシンヒカリを買えなかった。エプソムカップと同じ舞台とはいえ、あの時は6番枠からのスタート。それが今回は大外枠である。昨年のアイルランドトロフィーのように、また外にぶっ飛んでいくかもしれない……。パドックで頚をぶんぶん上下させながらイレ込むエイシンヒカリの姿を見て、正直ビビってしまったのである。

そのアイルランドトロフィーの印象からか、サイレンススズカの姿をダブらせてエイシンヒカリを応援するファンもいるようだが、同じ逃げ馬でもそのラップタイムを見る限り両者のスタイルは微妙に異なる。

サイレンススズカは国内の1800m戦のオープンで4戦4勝だった。その1000mの通過タイムは、57秒7~58秒0とオープンにしても滅法速い。その分ラスト3ハロンは36秒台に落ち込むこともあるが、前半に付けた圧倒的な差は相手に戦意を喪失させるに十分だった。

一方のエイシンヒカリも、オープンの1800m戦では4戦(3勝)しているが、その1000m通貨は58秒8~59秒9とやや遅め。だが、逆に上がりはサイレンススズカより速く、ここ2戦では34秒台の脚を使っている。逃げた馬が34秒フラットでは、さすがに後続は厳しい。武豊騎手が「天皇賞はこんなに楽はない」と言ったのも、つまりそういうことであろう。秋天5勝ジョッキーの言葉だけに、軽く聞き流すわけにもいかない。

毎日王冠と天皇賞では背後からのプレッシャーも違ってくる。2000mの天皇賞を逃げるのは至難の業だ。サイレンススズカの悲劇を持ち出すまでもない。女傑ダイワスカーレットの逃げを最後の最後に捉えたのは同じく女傑のウオッカ。無敗のまま天皇賞に挑んだカレンブラックヒルは逃げることさえできなかった。逃げ切り勝利は1987年のニッポーテイオーまで遡らなければならない。しかし、あのレースは前日の雨が残り、逃げ馬有利の重馬場だった。

とはいえ、エイシンヒカリがまだ一度しか負けたことがないことだって、動かしようのない事実なのである。アイルランドトロフィーのような悪癖を出すことももはやあるまい。パドックで恐竜の如くイレ込む割には、レースではきちんと折り合っているから不思議だ。あのアイルランドトロフィーから1年。少しは彼も大人になったか。同じ年のエプソムカップと毎日王冠を連勝した馬は、過去にプレクラスニーとダークシャドウの2頭。いずれも天皇賞で好走しているだけに、やはりエイシンヒカリも本番では目が離せない。

 

***** 2015/10/12 *****

 

 

 

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2015年10月11日 (日)

とり天の愉悦と苦悩

東京開催が始まったら、この店について再び書かねばなるまい。ここ数か月はずっとそう思っていた。府中本町のうどん専門店『厨』である。

Kuriya 

この店については、1月30日付「厨@府中本町」でも紹介した。「開店2か月目にしてはクオリティが高いものの、小麦の甘さに欠けるような気も……」と書いたはず。甚だ上から目線で申し訳ないが、その後ほぼ週1のペースで通い詰めたのも事実。そう思わせる店であり、麺であることを認めないわけにはいかないのである。気が付けば小麦の香りも甘さも申し分なくなっていた。前回書いたことは、私の思い違いだったのかもしれない。あるいは単に厨房力が安定したのかもしれない。だが、今となってはどちらでも良い。ちなみに「厨」とは「食べ物を料理する場所」という意味を持つ。

この店で嬉しいことは他にもある。ひとつはとり天が美味いこと。もうひとつは、それに合わせる酒が充実していることだ。

『厨』でとり天を単品で注文すると、大ぶりの鶏肉が3個(大きさにより異なる場合もあり)載った一皿と、「お好みでどうぞ」とカレー塩の別皿が付いてくる。カレー粉のスパイシーな風味と衣の香ばしさが混然一体となったとり天は、ほろ苦味とホップのハーブ香、そして麦芽の香ばしさ兼ね備えたビールによく合う。うどんの茹で上がりを待つ間、まずはビールでとり天1個を味わう。

うどんが到着したら、2個目のとり天はそのツユに付けていただこう。揚げたての衣にツユをたっぷり浸して味わうとり天は、ツユの旨味や甘味のおかげで膨らみのある味わいの料理へと変貌する。この味わいを引き立てることのできる酒と言えば、同じ味わいを感じる日本酒をおいてほかにあるまい。そんなわけで「醸し人九平次」をちびちびやりながら、2個目のとり天を楽しむ。

Sake 

最後のとり天は、うどんと合わせて一気に食べてしまいたい。とり天は大分グルメの代表格である一方で、香川ではうどんのトッピングの代表格。香川の人が言うのだから間違いはない。そんなとり天が3個じゃあ足りんという方は、もう一皿頼んでください。私もしょっちゅう悩んでいる。

 

***** 2015/10/11 *****

 

 

 

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2015年10月10日 (土)

特別3連勝は難しい

先週は競馬をサボって山中湖へ行ってしまった私だが、今週は競馬場で山中湖。東京9Rの山中湖特別はライラプスの娘プロクリスが1800mを逃げ切った。

09r 

8/30のワールドオールスタージョッキーズ第4戦に申し込むも選出されず、翌週の日高特別に向かおうとしたものの除外確実なので、距離不足を承知で1200mの札幌スポニチ賞に矛先を変えて追い切りまでこなしたのに、動きが今ひとつということで回避して、9/20の瀬戸内海特別あたりを目指そうかと思った矢先にスクミの症状を出して、それがようやく落ち着いたので今日の京都9R・久多特別に出ようとするも、やはり除外が濃厚ということで、仕方なく山中湖特別に出てきたという経緯を持つ一頭である。これだけ予定が狂いながら、それでもきっちり勝ち切るのだからたいしたもの。ハラハラの1か月余りを過ごした会員さんも、これでひと安心だろう。忘れられぬ山中湖となった。

山中湖から本栖湖へ移動して10Rは本栖湖特別。後方からレースを進めたアルバートが、大外一気の追い込みで豪快に差し切った。ノーザンファームと戸崎圭太騎手の組み合わせは、先ほどのプロクリスと同じ。こうなると両者の特別3連勝への期待が高まる。

10r 

ここで舞台は、唐突に本栖湖からサウジアラビアへと移る。メインのサウジアラビアロイヤルカップを勝ったのは、内から抜け出したブレイブスマッシュ。父トーセンファントムはオープン特別当時のいちょうSを勝っているから、ある意味「父子制覇」と言えなくもない。まあ、それよりも産駒の重賞初勝利の方が意義深いことであろう。トーセンファントム産駒はこれがJRA6勝目となるが、そのうち5勝までが横山典弘騎手の手綱によるものであることは果たして偶然だろうか。念のために頭の隅に置いておきたい

11r 

ノーザンファーム産で戸崎騎手が手綱を取ったイモータルは、1番人気に推されたもののハナ差の2着に敗れてしまった。騎手であれ生産牧場であれ特別3連勝の達成は難しい。それが同時になんてことになれば尚更である。着差が着差だけにイモータル陣営は悔しさを隠そうとしなかった。勝てば来春まで賞金的には安泰だったのに、2着賞金では足りない。クラシックはもう始まっている。

 

***** 2015/10/10 *****

 

 

 

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2015年10月 9日 (金)

ウォーエンブレムへの餞別

明日からいよいよ秋の東京連続開催がスタート。新設重賞の「サウジアラビアロイヤルカップ」で幕を開ける。

サウジアラビアロイヤルカップと言えば、昨年までは富士Sのサブタイトルだった。もっと前には春の東京ダート1600mのオープン特別にその名が使われていた時期もある。それが今年は突然に2歳重賞の名称となった。かろうじて「どれもマイル戦」という共通項はあるにせよ、ちょっと節操がないような気がしなくもない。

しかも、今回のサウジアラビアロイヤルカップは「第1回」だという、それでは前身とされる「いちょうS」はどこへ消えたのか? 名前の変更だけなら前身となる重賞の歴史を引き継いで「第2回」のはず。そもそも、今回の名称変更は日本とサウジアラビアの外交関係樹立60周年を記念して実施された。ならば来年は再び「いちょうS」に戻すのか? だとしたら、それは第何回なのか? 釈然とせぬ思いを引きずったまま、明日のレースの検討をしている。ダイワメジャー産駒のアストラエンブレムが人気を集めそうだ。

サウジアラビアの競馬を見に行ったことはない。だが、世界的なオーナーが大勢いらっしゃる国ということくらいは知っている。今年のフランスダービー馬ニューベイ、フランケル、エンパイアメーカー、ダンシングブレーヴ。サウジの王族が所有された名馬は列挙に暇がない。

2002年の米2冠馬ウォーエンブレムも、サウジアラビアのアーメド・ビン・サルマン・ビン・アブドルアジズ王子の所有馬だった。だが、それはケンタッキーダービー以後のこと。王子がウォーエンブレムを購入したのは、ケンタッキーダービーのわずか3週間前である。「勝ちたいと思えば、誰だって買うだろう」。王子の放ったその言葉は、一般には下品とも受け止められかねないが、競馬界ではよくあること。むしろ核心を突いている。

Waremb_2 

ウォーエンブレムは引退後に種牡馬として来日。成績はもちろん、その風貌からもポスト・サンデーサイレンスの期待が高まったが、ごく一部の牝馬にしか種付け興味を示さないという致命的な癖の持ち主だった。血統登録された産駒は、わずか121頭に留まる。そんな彼は13年間に渡る日本での生活を終え、まさに今日、成田空港から米国に向けて飛び立った。

それでも、数少ない産駒からブラックエンブレムが秋華賞を勝つのだから、秘めたる遺伝力は相当なものがあったに違いない。明日のサウジアラビアロイヤルカップで人気を集めそうなアストラエンブレムは、そのブラックエンブレムの産駒。レース発走の頃には、もうウォーエンブレムは故郷の土を踏んでいるだろうか。ともあれ偉大な祖父にゆかりの深いレース名でもある。餞別代りのタイトルをプレゼントしたい。

 

***** 2015/10/09 *****

 

 

 

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2015年10月 8日 (木)

湯麺

昨夜から今朝にかけて東京はめっきり冷え込んだ。大井、船橋、また大井、川崎と、競馬はまだまだナイター開催が続く。冬にはまだ遠いが、寒さ対策は早めが肝要。だから先日訪れた山中湖では、熱々の湯気が立ち上るほうとうを食べて、これまた熱い温泉の湯船で身体を温めた。

「湯気」や「湯船」に使われる「湯(ゆ)」の字は、日本ではお湯、すなわち熱い水のことを指す。だが、これが中華料理店だと「タン」と読み、その意味は「スープ」に早変わり。「白湯」は日本語なら「さゆ」だが、中国語は「パイタン」だ。意味は全然違う。ちなみに韓国語でも「参鶏湯(サムゲタン)」のように「湯」の字はスープを意味する。何も知らぬ彼らが「男湯」なんて表記を見たら、ひっくり返って驚くのかもしれない。

逆に、日本人は「湯」がスープだとなかなか認識できないらしい。それで「湯麺」と書いてあるメニューを見て、ただのお湯に麺を浮かべたものだと勘違いする人が、いまだにいるんだそうだ。「タンメン」と聞けば「ああ、なんだ」と思うに違いないが。

ともあれ、寒い日はタンメンに限る。それで昨日は船橋の『宝楽』に行ってみた。街の中華屋さんとして、長年地元に愛されてきた知る人ぞ知る名店。その人気メニューはずばりタンメンだ。

Tanmen 

どんぶりも、スープも、具も、麺も、湯気も含めてすべてが熱々。タンメンはこうでなくちゃいけない。具は白菜がたっぷり。葉の部分は甘くそして柔らかく、芯に近い部分はしゃきしゃきとした歯ごたえが痛快で、どちらもスープが絡んで旨味が倍増している。これで600円だから言うことはない。

タンメンを食べていると、唐突にオータムセールの結果が飛び込んできた。実は私、昨日のセリに1歳馬を上場していたのである。おかげでめでたく落札。ああ、よかった。

Alice2014 

聞けば昨日のセリ会場の雰囲気も寒かったようだ。オータムセールの最終日では、それも仕方ない。それでも買ってくれた人がいらしたのはありがたいこと。寒い懐にタンメンの温かさが妙に染み渡った。

 

***** 2015/10/08 *****

 

 

 

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2015年10月 7日 (水)

馬も救ったイベルメクチン

生理学医学賞の大村智さん。物理学賞の梶田隆章さん。連日のノーベル賞受賞のニュースにメディアが沸き立っている。

競馬ばかりで、ノーベル賞だとかニュートリノなんぞに興味はないだろ!

周囲からはそう思われているかもしれないが、決してそんなことはない。私は以前、ノーベル賞関連のフォーラムを取り扱う事務局で働いていたことがある。しかも、その頃にはロングニュートリノという馬が活躍していた。ヤエノムテキの勝った天皇賞では、彼の馬券を買った覚えがある。最近では大井のニュートリノビームが気になって仕方ない。まあ、やはり最終的にはウマに寄ってしまいますね(笑) それはともかく、梶田さんは私の卒業した学部の先輩でもある。そういう意味ではもちろん嬉しい。

むしろ競馬との関わりで言うなら、生理学医学賞を受賞した大村さんであろう。大村さんがゴルフ場で発見した微生物から開発したイベルメクチンは、もともとは動物用の寄生虫病薬として1979年に発表されたもの。ウマを含む多くの動物に劇的な効果を発揮し、今も馬を扱う多くの現場でイベルメクチンが投与されている。嫌がる馬の口を押さえて無理やり薬を飲み込ませるのは、牧場や乗馬クラブで年に数回行われる一大イベントだ。

とはいえ、大村さんにしても始めからウマをターゲットにしていたわけではない。人間に使う抗生物質探しは製薬会社が大々的に行っていて競争が激しい。それならと、大村さんは動物向けの薬に目を付けた。そこがミソ。当時、動物薬は人間の使い古しの抗生物質ばかりで、オリジナルな研究はほとんどなかった。いずれ人間にも応用できる。そういう思いがあったであろうことは想像に難くない。

Bokujo 

ウマの腸内には回線虫などの寄生虫が生息し、これが原因で疝痛や腸破裂を引き起こし、時に死に至ることもある。そんな症例が近年激減したのはイベルメクチンのおかげ。私などはその業績だけでノーベル賞を差し上げたい。

その一方で、最近は「耐性寄生虫」が新たな問題となりつつある。イベルメクチンが効かない―――。そんな報告が増えているのだという。ウインジェネシスのように、現役競走馬が寄生虫による疾病で引退を余儀なくされるというケースもなくなったわけではない。かように寄生虫問題は古くて新しい問題。今回のノーベル賞受賞を機に、この分野での研究がさらに発展することを願ってやまない。

 

***** 2015/10/07 *****

 

 

 

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2015年10月 6日 (火)

どぎどぎうどん

池袋界隈にはうどんの美味しいお店が数多く出店しているのだが、私の生活圏と重ならないせいか、立ち寄ることがほとんどない。浦和競馬に行くにしても、渋谷で埼京線に乗って、わざわざ池袋で降りるのも……ねぇ。どうせなら、京浜東北線への乗り換え駅の赤羽でいったん改札を出て、うどんの名店『すみた』に行こう、ということになる。

それでも今回わざわざ池袋で降りたのは、北九州名物の「肉うどん」の店がオープンしたと聞いたから。その名も『元祖肉肉うどん』。福岡を中心に佐賀や札幌などに支店を展開しているチェーン店で、東京出店第1号となるこの東池袋店は、今年5月にオープンしたばかりだという。

Mise 

肉うどんは戦後の小倉を発祥として、その後北九州市や博多で進化を遂げてきた。甘辛く煮込んだ牛の頬肉をつゆに入れ、うどんと一緒にに煮る。真っ黒で肉の脂が浮かぶツユを、彼の地の方言で「どぎどぎ」(東京では「ぎとぎと」)していたことにちなんで、この名が付いたとされる。博多華丸氏が最後の晩餐のメニューをひとつ選ぶならと聞かれて、このどきどきうどんを選んだことから、東京でも数年前からじわじわ人気が出てきた。

Udon 

うどんは中細でツルツルした食感。インパクト抜群のツユは、一見濃厚に見えるが、おろしショウガが投入されていることで、さほどくどさは感じない。ちなみにこちらの店ではショウガの量を指定できるから、風邪気味の時などはショウガを増量すると良い。むろん二日酔いにも効く。

この店の面白いところは、長浜ラーメンばりに替え玉ができることだ。なので私もうどんをある程度やっつけてから、替え玉を注文。すると別皿で運ばれてきたのは、

Soba1 

なんとそば!

Soba2 

こちらのお店、「うどん」の名を掲げているが、そばでのオーダーも可能。なので替え玉も、うどん・そばの両方が選べる。両方食べたいが替え玉するのは面倒くさいという人は、最初からうどんとそばの両方が入ったメニューを頼めばよい。以前、高岡で遭遇した「ちゃんぽん」に、ここで再び相見えようとは思いもしなかった。

Chanpon 

店のオススメは、最後に白ごはんでツユをやっつける食べ方らしいが、私としてはできれば麺にこだわりたい。なので理想を言えば「うどん→そば→うどん」の継投だろうか。次回、浦和のついでに立ち寄ることがあればチャレンジしてみよう。

 

***** 2015/10/06 *****

 

 

 

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2015年10月 5日 (月)

なるか掲示板独占

毎日王冠の登録メンバーが凄いと話題になっている。

登録13頭のうち、なんと10頭がディープインパクト産駒。残る3頭もそれぞれフジキセキ、ダンスインザダーク、アグネスタキオンの産駒だから、サンデーサイレンス直系の孫だけの重賞レースということになる。それにしてもディープインパクト産駒10頭はたしかに凄い。表彰台独占どころか。掲示板独占も狙えそうな状況だ。

同一種牡馬による1~3着独占は間々あるが、掲示板独占となるとなかなか例を見ない。私が知り得る限りでは、ちょうど半世紀前、1965年の有馬記念まで遡る。ご存じ、シンザンが「5冠」を達成して引退を飾った歴史的一戦は、1着から5着までを種牡馬ヒンドスタンの産駒が占めた。

【第10回有馬記念】中山 芝2600m 曇 稍重

1着 シンザン(松本善) 2分47秒2
2着 ミハルカス(加賀)
3着 ブルタカチホ(大崎)
4着 ハクズイコウ(保田)
5着 ヤマトキョウダイ(野平祐)

これより後に、JRA重賞での同一種牡馬による掲示板独占はない……はず。徹底的に調べたわけではないので、間違いはご容赦いただきたい。

だが、惜しいケースはあった。シンザンが勝ってから40年後の有馬記念。ディープインパンクとが初めての敗戦を喫したという意味では、こちらもやはり歴史的な一戦と言えなくもない。勝ったハーツクライ以下、ディープインパクト、リンカーン、そして5着のコイントスがサンデーサイレンスの産駒。残念ながら―――とも言い切れぬが―――コスモバルクが4着に割って入ったことで、サンデーサイレンスによる掲示板独占はならなかった。

Arima 

ちなみに今年のエプソムカップでも、5頭出走したディープインパクト産駒のうち4頭が掲示板に載るという出来事が起きている。今回の毎日王冠に出走するのは、エプソムカップの倍の10頭。これなら掲示板独占も夢ではあるまい。

Epsom 

しかしながら、ディープインパクト産駒が毎日王冠を勝ったことがない事実も忘れないでおきたい。昨年はスピルバーグが3着。3歳時に出走したリアルインパクトも2着に敗れた。一方で、ダンスインザダークなどは、この10年間で2頭の勝ち馬を送っている。スプリンターズSを勝ったフジキセキの勢いも侮れまい。

「ディープインパクト産駒が10頭も出走」。仮にそんな見出しが躍れば、どうしてもその10頭の中から勝ち馬を探そうとしてしまいがち。歴史的に人気サイドが強いとも言い切れぬレースでもある。こういう時こそ視野は広く持ちたい。

 

***** 2015/10/05 *****

 

 

 

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2015年10月 4日 (日)

タマモクロスの子に乗ろう

秋のGⅠ戦線が始まったというのに、ついつい出来心で山中湖に来てしまった。こちらも中山と同じ秋晴れ。しかし明け方は気温5度まで冷え込んだ。Tシャツ1枚で来たことをいたく後悔。やはり富士山麓をナメてはいけない。

Fuji 

しかし、ほうとう一杯で寒さはどこかに吹き飛ぶ。それでいつものように『小作』へ。

Houtoh 

ほうとうの麺はうどんと違って塩を入れない。煮込むのでコシの強さを求める必要がないのである。こちらのお店では、一人前の鉄鍋をひとつひとつガスコンロで煮込んで作るから、注文してから出てくるまでに15分程度を要する―――はずなのに、今日は5分ほどですぐ出てきた。理由は不明。ごろごろと投入された野菜たちも昔よりインパクトが少ない気がする。それでも、この独特のもっちりした麺はここでしか味わえまい。むろん、つゆの美味さも他店を凌駕する。

腹を満たして向かった先は、湖畔にほど近い乗馬クラブ。

Joba 

今日お世話になるのは、こちらのお馬さん。競走馬時代の名前は「グラスウィンディー」とのこと。今はなき北関東で12勝を挙げたらしい。ミスターピンクこと内田利雄騎とも、一度コンビを組んだことがある。その背にこれから跨がる。ちょっと嬉しい。

輝く芦毛は父タマモクロス譲りで、母の父はストームバードだという。お母さんのライクアバードはフォンテーヌブローファームの生産馬で、社台レースホースの募集馬。残念ながら未出走のまま引退となったが、社台繁殖牝馬セールで引き取られた先でタマモクロスを配合され、このグラスウィンディーを産んだ。

おとなしくて、人の命令に従順。私のような下手っぴには助かる。そもタマモクロスの子は、乗馬に向いている産駒が多い。それは国内の馬術大会で活躍する産駒の多さからも分かる。産駒のGⅠ勝ちこそなかったが、馬術の世界では種牡馬タマモクロスの存在感をアピールしてほしい。

Tamamo 

 

***** 2015/10/04 *****

 

 

 

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2015年10月 3日 (土)

恐ろしい種牡馬

スプリンターズSは真夏のスプリント重賞としてその歴史の幕を開け、タケシバオーが勝った年から秋に移されたが、サクラシンゲキの年からは一転して春のレースとなり、バンブーメモリーの年から有馬記念前週の冬の風物詩となったかと思ったら、ダイタクヤマトの年から再び秋に戻っている。過去にこれほど施行時期が目まぐるしく変わった重賞レースも珍しい。それがGⅠなら尚更である。

2003年のこのレース。直線坂上で先頭に立ったビリーヴが引退レースを飾ると誰もが思った。だが、そのとき。一陣の風のように栗毛の馬が迫ってくる。「大ぉ~外からデュランダル」の実況アナの声は、ゴール数メートル前だけではなかったか。ハナ差の差し切り勝ち。内外離れてはいたが、デュランダルの池添騎手は勝利を確信したように、左手でガッツポーズを作っていた。

Ikezoe 

「恐ろしい……」

1着デュランダル、2着ビリーヴ、3着アドマイヤマックス。サンデーサイレンス産駒が1~3着を独占した掲示板を見つめながら、吉田勝己氏がそう呟いた。決して得意にしているカテゴリーではないスプリントGⅠでの表彰台独占。年間GⅠ7勝目は、この時点で最多勝利記録である。ノーザンテーストの肌にサンデーという配合での初めて掴んだGⅠタイトルでもあった。歴史上に類を見ない種牡馬の凄さ。身内ゆえにそれを「恐ろしい」と感じたのであろう。結果、この年のサンデーサイレンス産駒はJRA・GⅠ10勝の大記録を樹立する。

ちなみに、ゴールで大外から迫りくるデュランダルを私のカメラは捉えることができなかった。内か外か。ギリギリの決断を迫られた私は、「ビリーヴの連覇」を取ったのである。

Believe 

最内から伸びるビリーヴの脚色に揺るぎはない。安藤勝己騎手の表情からも「勝った」と思って乗っている様子が伝わってくる。だが、ゴール寸前。ラスト一完歩というタイミングで、安藤騎手が外を見た。その表情は驚いているようにも見える。デュランダルの末脚は、それくらい非常識だった。それもサンデーサイレンスの恐ろしさに違いあるまい。以後、サンデー産駒に常識は通用しないと肝に銘じて撮影に臨んだことを思い出す。この一枚はその戒めである。

 

***** 2015/10/03 *****

 

 

 

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2015年10月 2日 (金)

まさかの優勝

今年のプロ野球セ・リーグを制したのは、昨年5位との差6.5ゲーム差でダントツの最下位に沈んだヤクルト・スワローズだった。前年最下位からの巻き返し優勝は史上7例目。関係者ならびにファンの皆様にはお祝いを申し上げる。

実は、ヤクルトが首位を走っていた春先に、一度このネタを書いている(4/18付「無敗の戴冠か大化けか」)のだが、その時はまさかホントに優勝するとは思ってなかった。人気薄の逃げ馬を軽視すると痛い目に遭う。

4/18付では、大レースにおける前走最下位からの巻き返し例として、1948年オークスのヤシマヒメ、55年桜花賞のヤシマベル、62年オークスのオーハヤブサ、そして67年天皇賞(秋)のカブトシローの4例を紹介している。だがもう一例、大事なレースを忘れていた。80年の天皇賞(秋)を逃げ切ったプリテイキャスト。彼女もまた前走目黒記念で大差のしんがりに敗れていながら、続く天皇賞で圧巻の逃げ切り勝ち。やはり人気薄の逃げ馬は侮れない。

プリテイキャストの手綱を取ったのは柴田政人騎手(現調教師)。前々走の毎日王冠からコンビを組んでいたが、ハナに立つしか勝ち目はない馬なのに、毎日王冠ではスタートに失敗して、先頭に立つまでに力を使い果たしてしまい、続く目黒記念ではハナに立つことすらできなかった。その反省から、天皇賞ではスタートだけに集中していたという。出ムチで気合を入れたのも、そんな覚悟の現れであろう。先頭に立ってからはマイペース。1週目スタンド前を過ぎるあたりから後続馬を徐々に引き離しにかかる。50m。60m。向こう正面で100m近く引き離したところでスタンドが大きくどよめいたが、政人騎手の耳には届いていなかった。

政人騎手が耳を澄ませて聞いていたのは何か? それは後続の馬の蹄音である。レース途中から、その音が聞こえなくなった。自分ではそんなに早いペースだとは思っていない。ひょっとしたら事故でも起きたのか? そんな不安が頭を過ったが、それでも後ろを振り返ることはしなかった。ペースそのものは間違っていないという確信があったという。

このレースでメジロファントムに騎乗していた横山騎手(ヨコテンのお父さん。和生騎手のおじいさん)は、政人騎手に乗り替わる前にプリテイキャストとコンビを組んでいた唯一の騎手。彼女が気分よく走っているのは、はるか後方からでも感じ取ることができた。そこで周りの騎手に「遅いぞ! なにしてるんだ。早く捕まえに行け」と怒鳴ったが、先頭との距離があり過ぎるせいかどの馬も動くに動けない。仕方なく3コーナーで自力で仕掛けて行くことになるのだが、その時はもうプリテイキャストにやられたと感じていたことだろう。結果、メジロファントムは2着でゴールするが、それでもプリテイキャストとは7馬身の差があった。

プリテイキャストの母タイプキャストは、マンノウォ―Sなど通算21勝を挙げて全米最優秀古馬牝馬にも選ばれた名牝。オーナーが飛行機事故で亡くなり、財産整理のため同馬を手放すことを知った吉田重雄氏が、72万5000ドルという当時の世界最高落札価格で購入して話題となった。「無茶な買い物」と揶揄する声もあったと聞くが、産駒が日本最高峰のレースを勝ったのだから、文句を言われる筋合いはなかろう。なにより、あれほど鮮やかな逃げ切りは見たことがないと言うファンは今なお多い。

Kencast 

今年のヤクルトは大差圧勝とまではいかなかったが、選手個々の成績を見れば優勝して当然と思わせる。春先の快走を他球団はどう見ていただろうか。前走シンガリ負けなのだから、そのうち止まる。誰もがそう思う。そこに落とし穴が潜んでいるかもしれない。「相手を間違えた」は、検量前で良く聞く言い訳のひとつである。

※写真はプリテイキャスト最後の産駒・ケンキャスト

 

***** 2015/10/02 *****

 

 

 

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2015年10月 1日 (木)

月夜の東京盃

昨日の大井競馬場には、9Rの本馬場入場の頃合いになって1コーナー奥の空に月が上り始めた。スーパームーンの名残だけあって、さすがに大きい。

Moon1 

直後の9Rを勝ったインタープレイはアドマイヤムーンの産駒である。ちょっとデキ過ぎじゃないか。うがった見方をした人もいるかもしれないが、夜になれば月は出るものだし、インタープレイにしても1番人気である。平穏な決着にケントクの意味はない。

9r 

それでも何かこじつけたいなら、メインの東京盃に出走するセイントメモリーであろう。フジノウェーブ記念の勝ち馬でダートグレードの優勝経験もある。何より管理するのは月岡調教師。10番人気は美味しい。月の力を借りて激走を期待したい。

Saint

―――なんて、無理矢理にでも穴馬を捻り出そうとする苦労をあざ笑うかのように、1番人気のダノンレジェンドが全く危なげないレースぶりで東京盃を制した。

Danon 

昨年暮れのカペラSで重賞初勝利を挙げてからというもの、ダートグレードレースばかりを使われて5戦4勝。「大外枠だけが心配だった」「自信があった」「楽しかった」と、デムーロ騎手も手放しの褒めよう。来たるべきJBCスプリントでの1番人気は、まず間違いあるまい。 

だがしかし、そもそも昨年のカペラSでのダノンレジェンドは、12番人気という低評価だった。もともとスタートで出遅れる癖があり、下級条件のうちは道中でなんとか挽回できたものの、準オープンやオープンはそれで勝てるほど甘くはない。それで成績も頭打ちになりかけたが、出遅れ癖が徐々に解消して現在の快進撃に繋がったのである。

とはいえ、一度取り憑いた出遅れの悪魔が、きれいさっぱり消えたという話はあまり聞かない。ゴールドシップの宝塚記念を思い出してみると良い。実際、ダノンレジェンドの今年唯一の敗戦となった北海道スプリントカップでも、出遅れが致命傷となった。「またか」が治っても「まさか」は起こり得る。JBCで再び悪魔が現れないとも限らない。

Moon2 

かように、けなげな穴党は必死に「穴」を探そうと試みる。が、たいていの場合、無駄に終わることが多い。私が期待したセイントメモリーにしても10着。やはりこのメンバーでは月の力を借りても厳しかったか。そういえば、ダノンレジェンドを管理する村山明調教師の名前にも「月」が隠れていた。

 

***** 2015/10/01 *****

 

 

 

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