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2015年9月18日 (金)

デビュー56日目の快挙

今週末(厳密には来週月曜)に行われるセントライト記念は不思議なレースだ。イスラボニータやフェノーメノが鮮やかに勝って、その長い歴史とGⅡ格付けの重みを実感する年がある一方で、「あれ? このレース500万条件だったっけ?」と思わせる年もある。トーセンシャナオーが勝った2006年などは後者の典型だった。

2000年のセントライト記念も1勝馬が優勝を果たしているが、勝ったのがアドマイヤボスだったせいか、この時はレースの格を疑問視するような声は聞いていない。なにせ、ダービー馬・アドマイヤベガの全弟。しかも、デビューからわずか56日での重賞勝利である。2歳や3歳春の重賞ならまだしも、3歳秋のセントライト記念では前例のない快挙。各メディアがいっせいに「新星誕生」と沸き立ったのも無理はない。

Boss

体質的に弱く、3歳夏の函館でようやくデビューを迎えた時でさえも、歩くことすら覚束ない状態だったという。それでも持ったまま4馬身差の圧勝だから、器が違ったのは間違いない。続く500万条件戦はハナ差で敗れるも、勝ったフサイチソニックはのちに神戸新聞杯でダービー馬と2冠馬をまとめて負かす素質馬。デビュー2戦目、しかも初めての芝のレースで、そんな相手とハナ差の勝負をした事実は、むしろアドマイヤボスの評価を高めた。

だが、完勝に思えたセントライト記念でも、体質の弱さがレースぶりに現れていた印象は否めない。

直線で外から豪快に伸びたと言いつつ、その実は内へ外へと蛇行を繰り返し、他馬の進路を塞ぐシーンは一度や二度に留まらなかった。長い審議の末の快挙である。しかし、初めての距離に加え、初めての道悪競馬を考えれば賛辞を惜しむわけにもいかない。そういう意味では、期待と不安が激しく入り混じる微妙な一戦だった。

管理する橋田調教師も、そんな思いを抱いていたのであろう。「成長途上のこの馬に二度の坂越えは厳しい」として、菊花賞に向かうことはしなかった。

Boss2 

セントライト記念で負かしたトーホウシデンが菊花賞で2着したことで、「アドマイヤボスが出ていれば勝ち負けだった」とする声を未だに聞くことがある。確かにそうかもしれないが、逆に取り返しのつかない目が出ていた可能性だって否定できない。アドマイヤボスは引退後に種牡馬となり、早世したアドマイヤベガの代わりに偉大なる母ベガの血を後世に繋ぐ役目を果たした。初年度から136頭もの交配相手を集めることができたのは、あのセントライト記念があったからにほかならない。今年はセントライト記念史に残るような一戦になるだろうか。

 

***** 2015/09/18 *****

 

 

 

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