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2015年9月 3日 (木)

半世紀の節目

先月23日、JRの寝台特急「北斗星」の臨時列車がラストランを終え、57年の歴史を持つブルートレインが姿を消した。さらに31日には、日本を代表するホテルのひとつ、ホテルオークラ東京本館が53年の歴史に幕を下ろしている。

半世紀は大きな節目。時代の境目に新旧の入れ替えが起きるのは世の常だが、それでもこういうニュースに触れるたび一抹の寂しさが募る。

そんな感慨に浸る間もなくトウショウ牧場閉鎖のニュースが飛び込んできた。1965年の開業だから、やはりこちらも半世紀。老舗の退場が止まらない。

Sweep 

トウショウ牧場を開いた故・藤田正明氏は、フジタ工業副社長、藤和不動産社長などを歴任した実業家であり、歴代最年少(当時)の64歳で参院議長に就任した政治家でもあり、日本馬主協会連合会の会長職を務めた日本屈指のホースマンでもあった。なんでも、戦時中の学徒出陣で軍馬の世話係を担当して以来、無類の馬好きになったのだという。

今回の牧場閉鎖、馬主廃業に関しては、突然のニュースとして受け止められているようだが、実際には夏前から既に伏線は表れていた。これまでセリで生産馬を売却したことがほとんどなかったトウショウ牧場の1歳馬が、セレクションセールに3頭、サマーセールには大挙13頭が上場されたのである。そして先週上場馬が発表されたオータムセールにも10頭が上場。トウショウ牧場の昨年の生産頭数は牡13頭、牝16頭の合計29頭だから、そのほとんどが売りに出されたことになる。早晩、牧場をたたむんじゃないか?―――そんな噂が広まるのも無理はなかった。

Shiis 

気になるのはスイープトウショウやシーイズトウショウといった繁殖牝馬たちの動向だ。名門牧場が大切にする牝系ラインは、時が経過しても決して鮮度を失ったりはしない。トウショウ牧場が近年送り出した活躍馬の父を見ると、そのことがよく分かる。

トウショウショウギア(父:オジジアン)、トウショウヴォイス(父:ラストタイクーン)、トウショウノア(父:オールドヴィック)、……等々。サンデーサイレンス系の人気種牡馬でなくても活躍馬を送ることができるのは、それだけ母系の力が優れている証拠。トウショウブランドの繁殖牝馬を手に入れたいと思う人は、少なくあるまい。あのウオッカだって、母系に流れるのはトウショウ牧場の血筋だ。

Voice 

政治家として参議院改革に熱意を燃やした藤田正明氏も、牧場経営については何かと批判を浴びていたという。フジタ工業の大株主でありながら、その配当収入を上回る額の赤字を牧場が出し続けているとして毎年のように赤字申告を繰り返していた。それを悪質な所得隠しだとして、野党やマスコミが叩いたのである。

しかし、その後もトウショウ牧場は生産活動を続けて今日に至る。競馬ファンとしての私は、そのことに感謝したい。この名牧場の歴史が途絶えていたら、スイープトウショウやウオッカといった歴史的名馬の活躍を、我々は目にすることができなかったのだから。

 

***** 2015/09/03 *****

 

 

 

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