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2015年8月14日 (金)

【訃報】マンハッタンカフェ

今日、マンハッタンカフェの訃報が一斉に報じられた。17歳。GⅠ3勝馬にして、2009年のチャンピオンサイアーの名馬の死を、今はただ静かに悼みたい。

Cafe1 

中には「急死」という表現を使っているメディアもあるが、彼の容態はこの春から芳しくはなかった。このブログでも折りに触れマンハッタンカフェが決して軽くはない病を患っていることに触れてきたつもりである。関係者の口調には諦感がありありだったし、その話の内容からすれば、マンハッタンカフェが患っている病が癌であることも察しがついた。おそらく長くはあるまい。夏を越せるかどうか……。だが、もちろんそんなことをここに書くわけにもいかないから、せめて産駒たちの活躍を祈る文章を書き綴った。

Cafe2 

私が彼の姿を最後に見たのは先週の木曜日のことだ。早来界隈は朝から北海道らしからぬ蒸し暑さに見舞われ、アブたちがぶんぶん飛び回っていたと記憶する。

「相当悪い」。そう聞かされていたから、きっと床に伏しているものと思っていた。だが馬房内の彼は、3個のGⅠタイトルをもたらしたその4本の強靭な脚を直立させ、見事に立っていたのである。その顔つきは、私が知るいつものマンハッタンカフェと変わりはなかった。

皆が言うほど危なくはないんじゃないか―――?

最初はそう思った。だが、その馬体を見れば背中からお尻の肉は落ちて、まるで骨格標本のように骨の形が浮かび上がっている。目の前の飼い葉を食べようとする様子もない。

しかし何より致命的なのはアブだった。

自分の身体にアブが止まれば、すぐに追い払うのが普通。たいていは筋肉をブルブルっと小刻みに震わせるか尻尾で払う。だが、彼はそれをしていない。いや、していないのではなく、できないのである。筋肉を震えさせることも、尻尾を動かすことさえもできぬほど、彼の身体は病魔に蝕まれていた。それでも決して床に伏したりせず、その四肢をピンと伸ばして立ち続けている彼の姿は、これまでに見たどんな名馬にも負けず神々しかったことは明記しておきたい。それがチャンピオンとしてのプライドだったのであろう。

Cafe3 

惜しむらくは、彼の存命中に産駒によるクラシック制覇がならなかったことだ。レッドデザイアも、ヒルノダムールも、ルージュバックでさえも、あと一歩のところで涙を飲んだ。残された産駒の中から、クラシックホースが誕生することを祈りたい。合掌。

 

***** 2015/08/14 *****

 

 

 

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