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2015年7月 4日 (土)

【太麺礼讃②】いずみ食堂@門別

天候雨。気温28度。湿度90%。サウナの如き東京を逃げ出して日高へとやってきた。となれば今日の太麺礼讚は、門別『いずみ食堂』の蕎麦をおいてほかにあるまい。「うどんのような」の形容詞がピタリとハマるこの太さ。生麺の状態ではストレートなのに、なぜか茹で上がると縮れが入る不思議な蕎麦を求めて、店内は今日も道内外からの客で賑わっている。

Izu1 

蕎麦の世界は薀蓄の塊なので、あまり多くを書き連ねると痛い目に遭うのだが、江戸前の蕎麦の特徴と言えば細打ち。「切りべら23本」の言葉にあるように、1本の太さはだいたい1.3ミリ前後が理想と言われる。一方で、蕎麦の産地で食べる蕎麦は麺が太くなる傾向にあるようだ。それを田舎蕎麦と呼んだりもするわけだが、蕎麦粉の美味さをより味わうなら断然こちらであろう。

すなわち、産地から距離のある江戸では、蕎麦の風味は落ちてしまい、濃いつゆで味を補う必要があった。麺を細くしたのも、トータルの表面積を増やして、つゆの絡みを良くするための工夫であろう。だが、新鮮な蕎麦粉が手に入る蕎麦の産地では、必要以上につゆに頼る必要はない。それで自然と麺は太くなった。以上は仮説だが、『いずみ食堂』の蕎麦をもぐもぐ噛みながら食べていると、蕎麦とは本来こうして噛んで食べるものだろうなという気がしてくる。噛んで食べることで、鼻腔から抜けるその芳香が、より鮮やかさを増すのである。

Izu2 

北海道は蕎麦粉の一大産地である。もちろん『いずみ食堂』の蕎麦粉も道内産。その黒ずんだ麺を見て、つなぎを使っていないいわゆる「十割蕎麦」だと思われるお客さんも多いようだが、店によれば「色黒なのは蕎麦粉が粗挽きだから。つなぎは使ってますよ」とのこと。しかし、その割合は企業秘密だという。

「そりゃあ、ツナギは大事だからな」

私の質問が耳に入ったのか、隣のテーブルからそんな声が飛んできた。見た感じではサラブレッド生産者の方々。となれば彼らの言う「ツナギ」とは、球節と蹄部の間にある「繋」のことであろう。四肢の負担を和らげるクッションの役目を果たす部位。これが短すぎると衝撃が緩和されずに脚を痛める可能性が高まり、逆に長過ぎてはクッションが利きすぎてスピードが削がれる恐れもある。

つまり「ツナギ」はバランスが命。それは蕎麦でも馬でも同じこと。蕎麦を食べながらこんな話題で盛り上がれるのは、この店ならではであろう。ついさっきまで不快指数100%の東京にいたことを、忘れてしまいそうだ。

 

***** 2015/07/04 *****

 

 

 

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