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2015年7月31日 (金)

夏休み中につき

数日前から千葉県某所の乗馬クラブを併設したホテルで過ごしている。来月に迫った全日本馬場馬術大会に備えた合宿調整―――などではもちろんなく、単なる夏休みです。

Joba1 

関東は連日の猛暑が伝えられており、むろん千葉も例外ではないのだが、ここは海に近い上、小高い丘の上というロケーションのおかげで、朝夕は驚くほど過ごしやすい。ヒグラシの声を聴きつつ馬を駆れば、あたかも騎乗技術が上達したかのような爽快感を覚える。もちろんまったくの勘違いなのだけど。

Joba3 

写真の彼はキャロルハウス産駒のサラブレッド。つまり元競走馬。ちょっと臆病なところがあるけど、おとなしい性格で私のような下手な乗り手が跨っても、黙って言うことを聞いてくれる。ありがたいお馬さんです。聞けば従兄弟に2002年の中山大障害を勝ったギルデッドエージがいる血統らしいから、飛越も上手いのかもしれない。が、残念ながら私の技術では障害飛越などとんでもない。また物足りない客が来やがった。この眼は、そう思っているかもしれない。

Age 

日中はプールや海で涼み、朝夕の時間帯に馬に乗る。こんな毎日が一年中続かんものか……と思い始めた頃合いで、体中が強烈な筋肉痛に苛まれた。気がつけば7月も終わり。そろそろ引き揚げ時であろう。

 

***** 2015/07/31 *****

 

 

 

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2015年7月30日 (木)

夏の桜

アイビスサマーダッシュに出走予定のあるセイコーライコウは、昨年の同レースの優勝馬。勝てばカノヤザクラ以来の連覇達成となる。カノヤザクラといえば、2008年、09年と2年連続でサマースプリントチャンピオンに輝いた名牝。09年のスプリンターズSでも8番人気ながら3着と頑張った。

Sakura 

彼女の能力の片鱗は、新馬を勝って臨んだ2戦目のかえで賞に垣間見ることができる。この日騎乗予定だった上村洋行騎手が午前中のレースで落馬負傷。急遽、手綱を任された安藤勝己騎手は、スタートから行きたがるカノヤザクラをなだめ通して進んだが、鞍上の制止を振り切るようにして突っ走って1着ゴール。その勝ち時計は、なんと1分20秒8のレコードタイムだった。

かえで賞の舞台は京都の内回り芝1400m。従来の2歳レコードは、1995年にイブキパーシヴが樹立した1分21秒4だった。それを、さして追われることもなく0秒6も短縮してみせたのである。

その血統から距離に限界があるであろうことは誰もが感じていたはずだが、それでもこのレースぶりなら、桜花賞でもスピードで押し切れるかもしれない。なんと言っても「桜」を名前に戴く彼女である。勇躍、ダイワスカーレットとウオッカの待つ仁川の舞台に向かったが、結果は9着と大敗であった。彼女が生涯でマイル以上のレースに出走したのは、後にも先にもこの一回きり。以後、彼女は一貫してスプリンターの道を歩み続ける。

そんな彼女がもっとも輝いたのが、二度の優勝を果たしたアイビスサマーダッシュだったことは間違いあるまい。冬場は冬毛が伸びて調子を維持できないのに、夏場になるとどんどん調子を上げてくる典型的な夏女。しかもその馬体は500キロを超え、スプリンターであるのにスタートも決して速い方ではない。コーナーで置かれることのない新潟1000mはベストのコース。まさにアイビスサマーダッシュは彼女のために用意された舞台だった。2連覇に留まらず、3連覇を確実視する声があったのも無理はない。

だが、舞台は突然の暗転を迎える。3連覇をかけて臨んだ2010年のレースは、ゴール目前で左第1指関節脱臼を発症。悲しくも予後不良となった。勝てば我が国初の牝馬による同一平地重賞3連覇の偉業達成だったが、そんなことより痛感させられるのは、毎度のことながら競馬の非情である。せめてもの救いは、そこが彼女がもっとも輝いた舞台であったということか。スタートから横一列になって疾風の如く迫り来る馬群を見たその時、きっと今年も彼女が輝いたあの夏を思い出すに違いない。

 

***** 2015/07/30 *****

 

 

 

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2015年7月29日 (水)

小倉サマージャンプ

「新潟・小倉・札幌」と聞くと、夏本番を実感するという競馬ファンは少なくあるまい。土曜は小倉サマージャンプ、日曜にアイビスサマーダッシュ。「サマー」と名の付く重賞目白押しで、JRAも夏気分を盛り上げている。

Load1 

写真は2004年の小倉サマージャンプ。勝ったロードプリヴェイルは、強いのか弱いのかよく分らない一頭だった。いや、重賞を勝っているのだから、そりゃあ強いに決まっている。初勝利を挙げた札幌の未勝利戦では、後続を3秒(18馬身)も千切り捨てた。JRAに限って言えば、このロードプリヴェイル以上の記録を見つけることができない。

5歳時には1000万条件の御嶽特別で中京ダート1700mのレコードを更新。このレースはハンデ戦で、58キロのトップハンデを背負いながら、従来の記録をコンマ6秒も縮めたのだから恐れ入る。しかも昇級戦となる次走の香港JCTでも、同じコースを同じタイムで走って5馬身差の圧勝。決してフロックではない。

障害入りしてからも、そのスピードは際立っていた。2004年6月のオープン戦から小倉サマージャンプまで3走続けてレコード勝利の快挙。その後、阪神ジャンプSと京都ハイジャンプも勝って、障害5連勝を達成している。暮れの中山大障害で1番人気に推されたのも、この走りからすれば当然の流れだった。

だが、そこは「強いのか、弱いのか」と言わしめる一頭である。私は正直危ないと思っていた。小倉サマージャンプをレコードで勝ったというのに、管理する池江泰郎調教師が「まだアテにならんけど……」と口にしたのを聞いていたからである。

Load2 

師がそう言った背景には、この馬のムラっ気にホトホト手を焼いていたからであろう。負ける時は人気に関わらず、実にアッサリと負けた。通算37戦で25回の敗戦を喫した同馬だが、25回の敗戦のうち10回が1番人気。そのうちの1回が例の中山大障害である。単勝1.7倍の圧倒的人気を集めながら、メルシータカオーから2秒4離れた5着に敗れた。

マキシマムの能力ならGⅠに手が届いていた―――。そう言われて否定するつもりはない。だが、そのマキシマムを発揮できるか、できないか。その先が「競馬」なのだと、あらためて思わされる一頭である。

 

***** 2015/07/29 *****

 

 

 

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2015年7月28日 (火)

17連勝

大井競馬場は、すっかりお馴染みになったサンタアニタウィーク開催の真っ最中。明日はメインカードとなるサンタアニタトロフィーが行われる。写真はベルモントアクターが勝った2002年のレース。いまも破られぬ南関東の無敗連勝記録「17」は、このレースで樹立された。

Actor1 

同馬を管理していたのは船橋の出川克己調教師。2歳春に初めて見たときの印象は「小柄で420キロくらいしかなく、どこといって目立つところはなかった」と、それほどのインパクトはなかったという。

3歳1月のデビュー時には493キロと、1年足らずで70キロも増える成長ぶりを見せたが、体質の弱さはなかなか解消しなかった。ツメや脚部の不安に悩まされ続け、6カ月以上の長期休養が3回。トータルの休養期間は2年7か月にも及ぶ。そのためオープン入りまで時間がかかったが、大事に使われたぶんだけ、着実に力を付けることができた。それが無傷の17連勝という結果になって表れたのであろう。

ただし、このサンタアニタトロフィーは、さすがにそれまでのレースとは勝手が違ったようだ。前走で重賞の船橋記念を勝っていたとはいえ、同じSⅢ格でもサンタアニタトロフィーは前身の「関東盃」の当時から、クラシックやダートグレード級のメンバーが集まることで知られる。しかも、写真を見れば分かるように、大井のマイルでは圧倒的に不利と言われる大外16番枠を引いていた。

それを克服して勝ったのだから強いことは間違いない。だが、その一方で馬には相応の負担がかかっていたと思われる。このレースのあと、18連勝をかけて臨む予定だった報知オールスターカップを直前になって回避。理由は脚部不安であった。3か月の休養を経て、あらためて京成盃グランドマイラーズで18連勝に挑むも、久々が影響したのかまさかの4着。ついに連勝はストップする。生涯初の敗戦をベルモントアクターはどう受け止めたのだろうか。

Eishin 

ちなみに、いま大井に所属しているエイシンコクーンという芦毛の牝馬をご存じだろうか。デビュー以来無傷の5連勝中で、そのすべてで後続を1秒以上離して勝つというワンサイドの競馬を続けている。この開催では最終日の盛夏特別に出走予定。17連勝への道は遠いが、ひとつでも近づくような活躍を期待したい。

 

***** 2015/07/28 *****

 

 

 

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2015年7月27日 (月)

画面越しの競馬

「この夏はパークウインズの東京競馬場ばかり来ている」

昨日、半ば愚痴気味にそう書いた。来月も新潟、札幌、小倉に行く予定はなく、逆に“行けない”予定が入っている。こうなれば「パークウインズ皆勤賞」の偉業を狙ってやろうか。

都心のウインズではなく競馬場に来ているのは、やはり馬場にこだわりたい気持ちがどこかにあるのであろう。とはいえ、そこは馬のいない競馬場である。わびしい。切ない。暗い。だが、そんな気持ちで眺めているゆえだろうか、逆にモニター画面の中で走る馬たちの気迫が漲っているのが分かる。こちらはエアコンの効いたスタンドの中に座っているはずなのに、画面越しに現地の暑さと人馬の熱さが伝わってきて、見ているこちらも思わずアツくなってしまう。それで昔の夏競馬の“匂い”を思い出した。

Niigata 

夏競馬をアツくさせる存在がしばしば牝馬であるのは、今も昔も変わりあるまい。ダイナオレンジ、ニフティニース、センゴクヒスイ。猛暑をものともせず健気に走る彼女たちを画面越しに見ては、すごいすごいと熱を上げていた。その後、競馬が中央場所に戻ってくれば、それまで画面越しに見ていた彼女たちを、今度は目の前で見ることができる。それでまた熱が上がったのか、ついつい大きく張り込んで泣きを見た。夏の思い出は、秋も深まらぬうちに、苦い思い出に変わる。その繰り返しだった。

「夏馬」の多くは「ローカル巧者」などとも呼ばれる。だが、本当にそうなのだろうか。デビューが遅れたり、デビュー後にひと頓挫あってクラシックを棒に振るかして、絶好調の時季がたまたま夏になった。そういうこともあろう。そこでポンポンと2つくらい勝ったとする。絶好調ならば、なくもない。こりゃあ、今後の活躍が楽しみだ。秋は大きいところを狙わせよう。きっと周囲はそう考える。

だが、競走馬の調子のピークはそんなに長続きするものではない。疲れも出てくる。調子が落ちてきたところに「大きいところ」に挑むのは、馬にとってはただの災難であろう。案の定大敗して、すっかり調子を崩してしまったりする。「夏馬」とか「ローカル巧者」などと呼ばれた馬でも、実は「暑さが好き」とか「平坦が好き」というわけではないのかもしれない。だとすれば馬にとってはいい迷惑だ。画面越しに馬を見ていると、いろいろな物事を考える。現場にいては、そこまでの余裕はない。

Summer_2 

かつて夏の競馬開催は画面越しに見るものだった。それが少なくとも私の決まりであり、さればこそ、遥かなる競馬場に対する憧憬の念も募ったのである。場外で見る夏競馬を嘆いてはいけない。遠くにいることで見えてくるものも、きっとある。

 

***** 2015/07/27 *****

 

 

 

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2015年7月26日 (日)

【夏は冷やして②】ニシンそば

今週もパークウインズ開催の東京競馬場に来ている。これで3週連続。こんな夏を過ごすのは何年ぶりだろうか。少なくとも今世紀に入ってからは記憶がない。

Tokyo 

こうした行動パターンをどう評価すべきか。私個人に限って言えば、少なくとも良い傾向ではなかろう。土日にやることがないから仕方なく来ている。どうもそんな感じがする。以前なら福島や函館に行っていた。それを行かないのは、行っても馬券を買う以外にすることがないからだ。実は最近JRAではほとんど写真を撮ってない。それならパークウインズに行っても同じこと。そういうことになる。

それで馬券が当たるのならまだいい。私の馬券下手は知る人ぞ知る。すると馬券にも飽きて、勢い食道楽に走ることとなる。せっかく人間ドックで好成績を得たのに、これでは元の木阿弥ではないか。

パークウインズ期間中の食事のテーマは「チャレンジ」と決めている。先日紹介した「冷やし牛すじうどん」もそのひとつ。新たなメニューを開拓するために失敗を恐れてはいけない。―――なんて、変なところで、前向きさを取り戻したりする。

今日のチャレンジも『むぎんぼう』がその舞台。『むぎんぼう』なのに敢えて「そば」を、そして「ニシンそば」なのに敢えて“冷やし”で注文してみた。

ニシンそばは有名ですね。京都の名物。身欠きニシンを甘いタレで炊いて、一晩くらい置いて寝かしたやつを、熱いつゆそばの上にポンと乗せて出来上がり。つゆは昆布だしに薄口醤油の関西風。濃厚な味付けのニシンと、すっきりした味のそばとつゆのバランスの妙が良い。食べるうちに京都の街の景色が広がってくる一杯だ。

Menu 

ただ、今回はそれを「冷やし」で食べようと言うのである。ここの店は「かきあげうどん」や「ごまねぎうどん」など大半のメニューに「温・冷」と書き添えてあり、どちらも対応しますよとアピールしているのだが、この「ニシンそば」に関しては「温」としか書いてない。店としては「冷」はオススメできぬということか、あるいはニシンそばを冷やしで食べるようなアホな客などいるはずがないのか。後者だったら嫌だなと思いつつ、お店の方に「ニシンそばを“冷やし”にしてもらえますか?」と聞くと、「はい、大丈夫です」とあっさりOKが出た。

それで出てきた一杯がこちら。

Nishin 

まず注目すべきは、身欠きニシンが2本入っていること。さらに大根おろしまで入っている。あとはカマボコに青ネギといったところ。つゆは昆布ベースの関西風で、言うまでもなく冷たい。

結論から先に書くと、スタンディングオべーションで絶賛するほどの味ではないにせよ、だからと言って決して悪くもない。まず驚いたことに―――と書いては店に失礼だが、そばが美味いのである。そういえば、ここでそばを食べること自体が初めてだ。なにせここは「京うどん」を看板に掲げる一店であり、私は自他ともに認めるうどん喰い。この期に及んで、まさかこんな発見をするとは思わなかった。

熱いつゆに比べニシンの香りは若干落ちるが、その分甘さは増しているようにも思われ、大根おろしをまとうことでその甘味はさらに際立つ。聞けば、ニシンそば発祥の店とされる京都祇園の『松葉』にも、冷やしニシンそばがメニューにあるんだそうだ。まあ、納得できなくもない。京都の夏も暑いですからねぇ。

 

***** 2015/07/26 *****

 

 

 

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2015年7月25日 (土)

【訃報】ブラックホーク

今日の福島1Rを勝ったウメジマオーはブラックホーク産駒の6歳牡馬。先日急逝した父に届けとばかりの、積極果敢な走りだった。

GⅠ2勝のブラックホークの訃報が伝えられている。21歳。既に種牡馬は引退して、のんびり余生を過ごしているものとばかり思っていたら、熊本に移ったあとも種付けは続けていたという。この春の種付けでも、少なくとも3頭の受胎が確認されているそうだ。

Black1 

スプリンターズSを勝つまでのブラックホークは、典型的なマイラーだと思われていたフシがある。その時点で1600m(4,2,2,1)の戦績。ダービー卿チャレンジトロフィーで重賞初制覇も果たしていた。だが、安田記念、マイルチャンピオンシップと王道を歩むも思うような結果が出ない。そんな時、横山典弘騎手がスプリンターズSへの出走を進言する。だが、ブラックホークは1200m戦の経験がない。それでも陣営が出走に踏み切ったのは、距離はともかく馬の素質では負けないと、信じていたことの表れであろう。

Black2 

アグネスワールド、キングヘイロー、マイネルラヴ、シンコウフォレスト、トロットスター、そしてマサラッキ。このスプリンターズSでブラックホークが負かした相手には、スプリントGⅠ優勝馬6頭が含まれる。決して相手に恵まれたわけではない。しかも舞台は初経験の芝1200m。スプリンターとしての素質が開花した―――。私としても、そう評価する以外、適当な言葉が見つからなかった。

Black3 

だが、その後のブラックホークのローテーションを見る限り、スプリント戦にも出走はするのだが、マイル路線を諦めたようにも見えないのである。翌年の安田記念9着、マイルチャンピオンシップが8着。挙句の果てには、暮れの香港マイルに登録。首尾よく選出されるも、現地の口蹄疫蔓延により遠征は実現しなかった。国枝調教師の残念な口ぶりを思い出す。

「マイルでは足りない馬と思われたくない」

たしか、そうおっしゃっていた。それは引退後に訪れるであろう種牡馬としての評価にほかならない。あくまでマイルGⅠにこだわる師の姿勢は、自らに初めてのGⅠタイトルをもたらしてくれた孝行息子に対する“親心”にも思える。

だから2001年の安田記念を勝った時の、国枝師の喜びはひとしおだったことだろう。マイルGⅠ5度目の挑戦。9番人気の低評価を覆す鮮やかな勝利だった。あるいは馬が調教師の思いを察知したのかもしれない。結果、これが彼の引退レースとなった。最後のレースを勝利で飾ることの難しさは、競馬ファンならよく知っている。名スプリンターにして名マイラーの冥福を祈りたい。

 

***** 2015/07/25 *****

 

 

 

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2015年7月24日 (金)

採尿

実は、習志野きらっとスプリントの当日は、朝から人間ドックを受診していた。さらに、その日の昼は北習志野で『大勝軒』のハシゴをしている。つまり私は胃カメラを飲んだ数時間後に、1キロを超えるであろう麺をその胃に流し込んでいたわけだ。そう思うと、オノレの胃袋が多少気の毒にも思えてきた。

人間ドックの朝は自宅での「採尿」で幕を明ける。

だが、普段にも増して早起きを強いられた頭は完全に寝ボケており、その覚束ない手での採尿は困難を極める。私が子供の頃は、紙コップからスポイトで吸い上げていたはずだが、今は紙コップから直接試験管のような入れ物に注がねばならない。

霞む目で見つめるその指先は、間違いなく小刻みに震えている。

一度仕切り直した方が良いだろうか……。いや、ここまで来て引き返せるか。数分の葛藤ののちに、なんとか無事ミッションをクリア。意気揚々と病院へ向かった。

競馬においても、上位入線馬と人気を背負って大敗した馬は、レース終了直後の採尿を義務付けられている。むろん健康診断などではなく、公正確保のためのドーピング検査。禁止薬物は毎年のように増え続けている。

Bagun 

寝起きの人間の採尿も大変だが、口のきけない馬から半ば強制的に尿を取るのも大変なミッションだ。しかも発走後70分以内という制約もある。誰にでもできる仕事ではない。そこには馬を扱う特別な技術が求められる。

まず馬の体を洗ってリラックスさせ、薄暗い検体採取馬房に誘導する。採尿係員は口笛を吹いたり、馬にブリンカーを装着したり、意図をさとられないように採尿器具を寝ワラで隠したり…。あの手この手を使って採尿を試みるが、こればかりは馬の生理現象に任せるしかない。中には歩きながらしたり、体を洗っている最中にする馬もいるから、油断は禁物だ。

せっかく採取できたのに、規定量に足りず、やむなく自分の尿を付け足して大騒ぎになった―――。地方競馬では、そんな笑えない話もある。人間の尿が混入すれば、たいていカフェインが検出されるからタダでは済まない。

ちなみに私の検査結果はすこぶる良好であった。尿だけでなく、血液検査も、エコー検査も、骨密度も、肺活量も、どこにも問題なし。胃カメラで所見を述べた医師は「すばらしくきれいな胃です」と絶賛してくださった。数時間後にそこを大量のラーメンで満たしたと思うと、多少なりとも気が咎めないでもないが、もとよりそういう行為をしたいからこそ健康に気を遣うのである。そんなわけで、明日も大量の麺で胃を満たしてやろう。

 

***** 2015/07/24 *****

 

 

 

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2015年7月23日 (木)

牛久の丑の日

暑い暑いと文句ばかり言ってられないので、牛久の育成牧場まで2歳馬を見に出かけた。

Srs 

「うしく」と言えば、明日は「土用のうしの日」である。まあ、多少強引だが、牛久が鰻の名産地であることは間違いない。この暑いのに牛久までわざわざやって来たのは、実はそれも楽しみにしてのことであった。

何を隠そう私の母の実家は目黒で鰻屋を営んでいるので、私は幼少の頃から日々三度の食事に鰻重を食べて育ってきた……というのは真っ赤な嘘だが、母の実家が鰻屋なのはホントです。毎日とは言わないけど、鰻が珍しいメニューではなかったのも間違いない。自宅にはあの鰻のタレビンがたくさんあったし、毎日学校に持って行った弁当も週イチのペースで「うな弁」だった。いま思えば贅沢な話だが、当時は「また鰻かよ~」と文句ばかり言っていた気がする。

母の実家は鰻屋を始める前は鮮魚店だったので、鰻に限らずとにかく家での献立は魚ばかり。逆に、牛、豚、鶏、鹿、猪、兎の類を問わず、自宅で肉料理というものにお目にかかったという記憶はほとんどない。ハンバーグとか焼き鳥といった肉料理は家で食べるものではなく、外食でないと口にすることができない贅沢な代物だった。

そんな私と鰻との親密な時代はとうに過ぎ去り、今ではたまに外で食べるだけ。だから希に美味しいお店に当たると凄く嬉しいのだけど、「これだ!」という鰻屋さんに巡り会う可能性は、万馬券が当たる確率よりも少ないかもしれませんね。

そんな中にあって、牛久沼畔に店を構える『鶴舞家』は数少ない「これだ!」と思える一軒。わざわざ鰻だけを食べに来る価値もきっとある―――とは思うのだけど、自宅から2時間以上かかると思うと、やはり牧場とセットにしたくなる。

Una 

アツアツの丼飯に焼きダレをかけまわして、ふわっと香ばしく焼き上がった蒲焼きを載せて一気に食べる。そんな鰻丼のルーツは江戸時代のこの牛久沼界隈にあるのだそうだ。キッパリとした皮の焦げ具合。ふっくらやわらかい身。ほどよい甘さのタレ。伝統というのはダテではない。

 

***** 2015/07/23 *****

 

 

 

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2015年7月22日 (水)

真夏の表彰式

自分の書いたものがとある賞を頂くこととなり、その表彰式のため都内に出向いた。

たとえ芥川賞でなくとも、書いたものが評価されるのは嬉しい。だが、炎天下にネクタイを締め、ジャケットを羽織って外出するのは辛い。ラッキーなのかアンラッキーなのか……。まあ、ラッキーなのであろう。だが、子供たちは「競馬場に行くんでしょ」と怪しむ始末。競馬場以外に私がネクタイを締めて出かける場所があるかと問われれば、自分自身でも答えに窮するが、ともかく今日は競馬ではない。

それにしても暑い。来たるべき東京オリンピックがこの炎天下で行われるのだと思うとゾッとする。馬術競技は大丈夫だろうか。サラブレッドよりも高額な馬たちが、体調を崩したりしないだろうか。心配の種は尽きない。

夏場のJRA馬主席のドレスコードが緩和されたのは2011年から。東日本大震災の影響で節電を余儀なくされた末の措置だったが、それ以前は気温35℃の炎天下であっても、ネクタイ・上着は必須だった。今では夏のローカル開催の馬主席はノーネクタイが主流。でも、表彰台に上がるとなって、慌ててネクタイを締める馬主さんの姿も見かける。暑さが苦手の私だが、それでも表彰式は特別な場所であり続けて欲しいと願う。

それがGⅠの舞台ならなおさら。中でも歴史と伝統の天皇賞は、その最たる舞台であろう。かつては、いざ表彰式となった場合に備え「式服」を持参する馬主さんもいた。すると、その噂はたちまち広まり、「あの馬主は式服を用意しているから勝負気配だ」などという怪情報が場内を駆け廻ったものである。

今日の私は「式服」という格好にはとても及ばないが、問題は服装よりも受賞スピーチの方にあった。テンパったわけではない。逆に、調子に乗って余計なことを口にしたような気がして、今ちょっと気が沈んでいる。先日のこのブログで、G1レーシング新社長のスピーチにイチャモンを付けた自分が恥ずかしい。スピーチの難しさというものを痛感させられた。

Shadow 

ちなみに「シャドウ」の冠名で知られる飯塚オーナーのスピーチは、いつ聞いても出色の面白さ。軽妙な語り口から次々と繰り出される言葉に、いつも会場は爆笑の渦に包まれる。折しも今週の函館2歳Sにはシャドウアプローチがスタンバイ。現時点では抽選対象のようだが、祝勝会でオーナーのスピーチを聞くためにも、まずは抽選突破を願いたい。

 

***** 2015/07/22 *****

 

 

 

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2015年7月21日 (火)

北習志野の不思議

昨日の話。

習志野きらっとスプリントと言えば、ワンターンに賭ける馬たちの祭典である。

私も馬券必勝を期して「ワンタン」に賭けているのだが、毎年せっせとワンタンを食べているにも関わらず、馬券が当たったというためしがない。いったい何が足りないのか? 考えて、考えて、ハタと気づいた。そもそもこのレースは習志野市を冠に戴く重賞ではないか。「習志野きらっと」は習志野市民が愛する夏まつりの名称にほかならない。なぜそこに気付かなかったのであろうか。つまり、習志野でワンタンを食わねば効果はないのである。

Station 

そんなわけで、昨日は東西線を西船橋で下車することなく、北習志野まで足を延ばしてみた。目指す店は下車徒歩1分の『大勝軒』。

Taisho 

14時を過ぎていたというのに、炎天下を15分も並んでようやくありついたのはこちらのワンタン麺である。いやあ、美味い。習志野まで足を延ばしたかいがあった。これで馬券もバッチリであろう。

Wantan 

ちなみに私の購入した馬券はご覧の通りである。

Baken 

なのに……。

Tiger 

ハズレちゃいました。

あれぇ? おかしいな。ちゃんと習志野までいってワンタン食べてきたんだけど。

またまた考えた。考えて、考えて、またまたハタと気づいた。実は北習志野は習志野市内にはない。その住所は「船橋市習志野」なのである。私のような習志野素人は、みんなこの習志野トラップに引っ掛かるらしい。サトノタイガーには悪いことをした。

しかも、習志野トラップはそれだけではなかった。なんと北習志野には「駅徒歩1分の『大勝軒』」が2軒存在したのである。冒頭に紹介した『大勝軒』は駅西口にあるのだが、駅東口には『北習・大勝軒』という店が堂々と暖簾を掲げているではないか。駅を挟んで二つの『大勝軒』がある町など、そうそうあるまい。

Kitanara 

西口の『大勝軒』がいわゆる永福町系であるのに対し、東口はつけ麺主体の東池袋系である。で、なぜ、こんな写真があるのか。そう。実は私、最初に間違えて東口のお店に入っちゃったのである。

Tukemen 

席について、メニューを見た瞬間に「シマッタ」と思った。だが、お冷やまで運ばれてきたら後へは引けない。それで、仕方なくあつもりを注文した。救いだったのは、このつけ麺が美味しかったことと、店員さんの感じがことのほか良かったこと。店内も地元のお客さんで満員だった。

つまり、私は昨日の昼飯に『大勝軒』のハシゴをしたことになる。さすがに腹はキツい。死ぬんじゃないかと思った。だって、あの『大勝軒』ですからね。そもそも「ワンタンに賭ける」というダジャレのために行ったに過ぎない。だから1軒目を食べ終えた時点で、そのまま競馬場に向かっても良かったのである。それでもハシゴに挑んだのは、「滅多にできる経験ではない」という気持ちが勝ったのだろうか。北習志野は不思議な街だった。

 

***** 2015/07/21 *****

 

 

 

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2015年7月20日 (月)

キラッと輝く3歳馬

ワンターンに賭けるスーパー・スプリント・シリーズのファイナル「習志野きらっとスプリント」は、直線で抜け出したルックスザットキルが、サトノタイガーの追撃を3/4馬身抑えて1番人気に応えた。このレース創設以来5年目にして、3歳馬の優勝は初めてのこと。サトノタイガーにしてみれば5キロの斤量差が恨めしいが、斤量も競馬のうち。恨み節は呑み込むしかない。

Kiratto 

それにしても、この時期の南関東で古馬相手の重賞を勝った3歳馬など、過去にいただろうか?

JRAのレマーズガールとラヴェリータが3歳でスパーキングレディカップを勝っているが、南関東所属馬となると少なくとも私の記憶にない。実際、昨年の南関東で3歳馬が古馬相手に重賞を勝ったのは、暮れも押し詰まった12月30日。ノットオーソリティーが勝ったシンデレラマイルまで待たねばならなかった。

JRAと異なり、3歳のトップクラスであっても、古馬に混じると条件戦を走ることが許される編成上の理由もあって、そもそも3歳馬が古馬相手の重賞に出てくる機会が少ないという事情もある。だからこそ、この時期の3歳馬がサトノタイガーを破ったという事実は大きい。なにせ相手は昨年のNARグランプリ最優秀短距離馬である。

スーパー・スプリント・シリーズも今年が5年目。過去の勝ち馬、ラブミーチャンとナイキマドリードは、2頭で2010年から4年続けてNARグランプリ最優秀短距離馬のタイトルを獲り続けたが、ついにJBCは勝てなかった。

果たしてルックスザットキルはどうか。JBCでも3歳馬は2キロのアドバンテージが与えられる。地元大井で開催されるJBCスプリントが、今から待ち遠しい。

 

***** 2015/07/20 *****

 

 

 

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2015年7月19日 (日)

続・コスパ

「コスパ」という言葉が嫌いだ。

昨日そう書いたばかりだが、そのエントリを今朝読み直して、ちょっとばかり不安になった。

このブログの以前のエントリに「コスパ」って言葉を使ってたりしねぇだろうな―――。

いい加減な私のことである。ひょっとしたらポロッと使ってしまっているかもしれない。それで慌てて検索してみたところ、あろうことか1件の記事がヒットしてしまった。やばい! やっぱり使っていたか。あー、俺ってバカだ。このままでは「以前の記事に“コスパが良い”って書いてるじゃないですか!」というお叱りのコメントが届いてしまう。

そう思いながら、恐る恐るその記事を開いてみた。昨年の7月24日付。ほぼ1年前のエントリで、タイトルは「明太子スパのありがたさ」である。しかし、パッと見た感じでは「コスパ」とか「コストパフォーマンス」とか「費用対効果」といった文字は見当たらない。あれおかしいな。それで、ページ内を検索してみると、おお! あった!!

「タラコスパゲティー」

ここにちゃんと「コスパ」の3文字が隠れていたんですね。なーんだ。でもホッとした。これなら叱られることはあるまい。

そんなわけで、今日のお昼はタラコスパゲティーにしようと思った。

そんでパークウインズの東京競馬場内をぐるぐる歩いてみたのたが、タラコスパゲティーを出している店が見つからない。なので、仕方なくフジビュースタンド3F『ファーストキッチン』の明太子スパゲティーで妥協することに。でもまあ、メンタイコスパゲティーの中にだってちゃんと「コスパ」は隠れてますから。

Mentai 

と思ったら、こちらの正式なメニュー表記は「明太子バターパスタ」なんですね。あちゃー、これでは「コスパ」にならないではないか。食べてからそんなこと言われても……。

Fk 

これではコスパの呪い(なのか?)が解けそうもないから、福島9Rの南相馬特別で

③コアプライド(7人気)
⑫スパーブデイ(4人気)
②パリカラノテガミ(2人気)

の馬連BOXを購入してみた。3頭の頭文字が「コ・ス・パ」なのである。

そしてレースがスタート。直線で先頭に立ったスパーブデイめがけて、パリカラノテガミが猛然と追い込んでくる。

「よっしゃあ!」

―――と叫んだ声もむなしく、結果は1着、3着。パリからの手紙は届かなかった。例によって私の馬券はコスパが悪い。でもそんなこと言ってたら馬券なんて買えないよ。

 

***** 2015/07/19 *****

 

 

 

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2015年7月18日 (土)

コスパ

先月からG1レーシングの代表に就任した吉田正志氏が、壇上でマイクを取った。ご存じ吉田晴哉氏のご長男。聴衆は500人を超える社台グループ会員の面々である。いつもなら登壇に合わせて、「まぁさしっ!」と声を張るのが私の役目だが、新社長の挨拶となれば結婚披露宴のノリは慎まねばなるまい。固唾を呑んで、その言葉を待った。

曰く。

「経営者という立場になって気を引き締めている」

「コストパフォーマンスを重視して」

「顧客満足度を高めてゆくつもりだ」

彼の口から「コストパフォーマンス」とか「顧客満足度」などという単語が出るとは思わなかったので、会場はソコソコ盛り上がった。「ガラじゃねぇだろ」という笑い声も聞こえる。だが私は、拍手をしながら「つまらないこと言ったもんだ」とガッカリしていた。

G1 

そもそも私はコストパフォーマンス(費用対効果)という言葉が好きではない。最近では「コスパ」とか「CP」と略されて、ネット上のみならずTVや紙媒体にも溢れかえっている。どのくらいの価格が妥当なのか。レストランも、家電ショップも、最近では交通手段までもがコスパで評価されているのだから驚く。

コスパを意識するのは、ゆとり世代の消費の特徴なのだそうだ。幼い時からネットに親しんだ「デジタルネイティブ世代」は、ネットで豊富な情報を仕入れ、「これならいくら払ってもいい」という自分なりの相場観を自然と培っているのだという。

それはそれで良いことかもしれない。だが、ネットで調べる手間のコストや比較に頭を使うコストはどうなるのか。食べたものに金属片や人の歯が入っているリスクはコスト換算しなくてよいのか。私のような古い人間は、そちらの方が負担に思えたりもする。だから私はいわゆる「比較サイト」を利用したことがない。

そもそも、である。理由もなく欲しいと思うものや、唯一無二のものを手に入れようとするにあたり、コスパを考える人がいるだろうか。その典型が競走馬であろう。6000万円で募集されたオルフェーヴルは13億円を稼ぎ出したが、だからといって1億2千万円の馬が26億円を稼ぐかと言ったら、そんなことがあるはずがない。それでも馬を買うのは、単純に「その馬が欲しい」と思う気持ちの強さであり、その馬が地球上で「唯一無二」の存在であればこそではないか。

G2 

正志氏の祖父・吉田善哉氏は競走馬生産を「虚業」と言い切った。それを思えば、コストパフォーマンスや顧客満足度といった「実業」の用語ではなく、「ひとつでも多つ勝つ」「社台やノーザンより強い馬を出す」といった言葉が聞きたかったのが正直なところ。「安かろう。でもソコソコ良かろう」というユニクロ的発想は、競馬の現場には似つかわしくない。もちろん、お客様の満足を願う正志氏の考えはよく分かる。だが競馬は勝ってナンボの世界。追分に期待しているからこそ、言わずにいられないのである。

 

***** 2015/07/18 *****

 

 

 

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2015年7月17日 (金)

夏バテ

いや~。台風接近のせいで関東はサウナの如き蒸し暑さ。気温は30℃そこそこでも、湿度98%は厳しい。完全にバテております。

「逃げ切り」、「埒が開かない」、「デッドヒート」。意外なとところでは、「ドーピング」や関西弁の「あかん」のように、一般的に使われながら実はその語源が競馬にあるという言葉は思いのほか多いのだが、この「バテる」という言葉も、その由来は競馬にあるとされる。

競馬をやっている人には説明の必要もないだろうけど、馬が走り疲れた様子を競馬では「バタバタになる」という。 たとえば調教欄に「終いバタバタ」と書いてあれば、ゴール寸前に足が上がって失速したことを意味する。この「バタバタになる」が簡略化されて「バテる」になったという。

1994年7月。益田競馬場(※既に廃止)で、出走予定馬が夏バテで体調を崩し、取消が相次いでレースそのものが取り止めとなったことがある。戦前の福島競馬場では、アラブのミスカズオーが暑さのために死ぬという出来事もあった。こんな例を持ち出すまでもなく、馬が暑さに弱いことは言うまでもない。夏バテの馬を見極めることが、夏の馬券作戦のイロハと言える。

夏バテをおこした馬は、眼の周囲の毛が抜けて、汗が出なくなるため黒ずんで見える。さらに牡馬ならば睾丸が大きく膨れ上がることもある。「夏は牝馬」の格言は、このあたりの事情にも裏打ちされているのであろう。

Water 

昔の夏バテ対策といえば氷柱とニンニク味噌だったが、最近はどちらもあまり見かけなくなった。厩舎には氷柱の代わりにエアコンやミスト装置が導入されているし、ニンニク味噌は匂いがキツ過ぎて人も馬も嫌がる。そういうことで最近では、夏バテ予防食として「酢」が注目されているらしい。人間と同じですね。蜂蜜入りのリンゴ酢のような甘いモノなら馬も喜ぶし、言うまでもなく酢には疲労回復や食欲増進といった効果がある。

ただし、酢で夏バテを予防することはできても、夏バテの症状を呈してしまった馬への有効な治療法というのは特になく、そうなれば休養させて涼しくなるまで待つほかはない。夏は「厩舎力」がそのまま成績に現れる時季でもある。

 

***** 2015/07/17 *****

 

 

 

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2015年7月16日 (木)

マンハッタンカフェ産駒を狙え

今年の牝馬クラシックで存在感を発揮した種牡馬と聞かれれば、まず真っ先にマンハッタンカフェの名前を挙げたい。なにせ、桜花賞ではルージュバックとクイーンズリングが無敗の有力馬として人気を集め、オークスは4頭出しの快挙である。

その勢いはローカル開催に移った今も衰えず、先々週の日曜は5勝の固め打ち。翌週も1勝を上乗せして今年ここまで54勝。JRAサイアーランキング6位を死守したマンハッタンカフェの産駒が、果たしてどのような評価を受けるのか。私の今年のセレクトセールの注目ポイントはその一点にあった。祭典に参加できぬ者のささやかな楽しみ。できることなら、私だって現場で手を挙げたい。

とはいえ結果は顕著であった。セレクトセールで1歳セリが始まった2006年から昨年までに落札されたマンハッタンカフェ産駒48頭の平均価格は1784万円であるのに、今年落札された6頭はその平均をことごとく上回る価格で落札されたのである。その6頭の平均価格は4217万円。ルーラーシップ(4607万円)とキングカメハメハ(4580万円)にはわずかに及ばなかったものの、ハーツクライ(3775万円)、ステイゴールド(3208万円)、ダイワメジャー(3014万円)といったリーディング上位の種牡馬たちをことごとく上回った。

Manhattan2 

菊花賞や春の天皇賞を勝ち、奥手のステイヤーというイメージの強かったマンハッタンカフェだが、その種牡馬としての評価はまったく違ったものだった。皮膚の薄さや顔つきは父・サンデーサイレンスにうりふたつ。生産者の人気は抜群で、初年度から211頭の交配相手を集めると、2~4年目も205頭、221頭、201頭と4年連続200頭超えという、絶大な人気を集めた。

その後、08年にいったん154頭にまで減ったものの、09年にリーディングサイアーの座に輝くと、翌10年から3年続けて200頭超えと再ブレークを果たしている。これはひょっとしたら、ハーツクライやキングカメハメハを脅かす存在になるのでは?―――そう思われた矢先、昨年の種付けは113頭に留まった。そして今年はさらにそれを下回ることになる。

原因は体調不良。一昨年に股関節を痛めた影響か、はたまた年齢から来るものか。ともあれ、今年はシーズン途中で種付け中止を余儀なくされた。社台グループ会員のツアーでもお披露目されなかったところを見ると、よほど状態が悪いのであろう。17歳はまだまだ若い。だが、毎年のように200頭を超える相手と交配を続けてきたツケが回ってきた可能性もある。来年以降の種付け業務も行えるかどうか、見通せる状況ではないという。

セレクトセールに集まる人たちが、そんな事情を知らぬはずはない。勢い産駒のプレミア感は増す。中でもスターアイルの2014は、全体でも11番目となる8800万円の値を付けた。「GⅠ馬ミッキーアイルの半弟なのだから当然」という声もあろうが、セレクト1歳で落札されたマンハッタンカフェ産駒としては歴代最高価格である。今年のマンハッタンカフェ産駒が違ったのではなく、マンハッタンカフェ産駒を見る人の目が違った。そういう部分もあろう。週明けのセレクションセールには、6頭のマンハッタンカフェ産駒が上場される。こちらの動向にも注目しておきたい。

 

***** 2015/07/16 *****

 

 

 

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2015年7月15日 (水)

夏の入院

春日部のとある病院に来ている。

開催中の浦和競馬場まではクルマで30分もかからぬ距離。とはいえ、身内の見舞いやら何やらで来ている以上、「ちょっと競馬に…」と席を外すこともできない。だが、ラッキーなことに今週の南関東には重賞が予定されてなかった。病院に居ながら「ラッキー」は不謹慎だから、せめて「不幸中の幸い」としておこうか。いや、どちらでも同じか。

5Fにある病室の窓からは夏の雲が見える。陽炎が揺らいでいるところを見ると、外の蒸し暑さは尋常ではあるまい。浦和競馬場はどうであろうか、とまた競馬に心が揺らいだ。

Starter 

「入院」とか「見舞い」とか言うと、そこに夏の記憶が重なるのは、いったいになぜであろうか。

生前の野平祐二氏が入院生活を送られたのは、たしか今ぐらいの季節。新装なった新潟競馬場の開催を間近に控えた頃だった。ある夜、不意に自宅の電話が鳴り、出ると受話器の向こうからいきなり「死ぬかと思いましたよ」と聞き覚えのある声が聞こえた。死ぬかと思ったのはこっちの方である。それくらい驚いた。聞けば、体調を崩して入院しているのだとおっしゃる。

数日後に面会させていただいた時には、サンケイスポーツ紙が主催する「祐ちゃんと行く新潟記念ツアー」をことのほか楽しみにされていて、そのためのYシャツを新調されたことなどを楽しく話されていた。だが残念ながら、野平氏はそのYシャツを着ることなく、この世を去ってしまう。新潟記念まであと3週間。さぞかし無念であったことだろう。後日、野平氏の娘さんがそのYシャツを着て新潟競馬場に現れると、周囲の人たちはまた涙した。

私自身、真夏の2週間を病院のベッドの上で過ごした経験がある。1992年の夏のこと。入院したのがバルセロナ五輪の開幕日で、退院したのが閉会式の翌日だったものだから、周囲が13泊15日間の「バルセロナ五輪観戦ツアー」に出掛けていたものと信じて疑わなかったのも無理はない。

しかし、国内にいたとはいえ、夜中は遠くバルセロナで行われている競技の生中継に没頭し、昼間は眠っているか競馬中継を見ていたことに違いはない。だから、今も岩崎恭子さんや吉田秀彦さんの姿を拝見すると、なぜかスプライトパッサーの勝った関屋記念を思い出す。

今週末の南相馬特別に登録しているマイネルスパーブと、インディアTに登録しているメイショウドゥーマは、どちらもスプライトパッサーの孫。夏女の血が騒ぐかもしれない。

―――なんて病院にいながら、やはり考えることは競馬のことばかり。これは病気だろうか。

 

***** 2015/07/15 *****

 

 

 

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2015年7月14日 (火)

夏の定番

スダチの話といっても、うどんの話。シゲルスダチのお話を期待された方は、申し訳ございません。

『なか卯』の夏の定番メニュー「すだちおろしうどん」が、今日から販売開始となったらしい。折しも都心は34.3度を記録。もちろんこの夏いちばんの暑さ。冷たくてさっぱりしたうどんで少しでも暑さを忘れようと、炎天下をものともせず足を運んで食べてみた。

Sudachi 

大根おろしと冷やしうどんの上から醤油をかけられ、そこに1個分のスダチが添えられている。それを手に取り、ギュっと果汁を絞ってから、大根おろしと馴染む程度に軽く掻き混ぜ、うどんを箸に取って一気に啜ると、小麦の甘い香りと大根の辛味、そして爽快な酸味が渾然一体となって口の中に広がった。

このスダチは徳島産だという。全国シェア98%を誇る徳島の名産だというのに認知度はいまひとつ。「うどん県」で盛り上がる隣県香川との違いは否めない。主役のうどんと脇役のスダチの立ち位置の差。そう諦めるしかないのか。

だが、徳島県の農業関係者は「たとえ脇役でも名脇役を目指す」と鼻息が荒い。それまでは、繁盛店のうどんにスダチが添えられることは少なく、たとえ添えられても8分の1カットがやっとという有様だった。そんな状況を打破するべく、「うどんにはスダチ1個分くらい絞った方が美味い」と、うどん店や消費者に直接訴える作戦に出たのである。

折からのうどんブームも手伝って、いまやスダチうどんもすっかりメジャーになった。一部には「コバンザメ商法」と揶揄する声もあるらしいが、私としては美味いスダチうどんが食べられれば何の文句もない。だが、店頭のポスターの写真と、実際に目の前に供された一杯とではずいぶん印象が違う。もちろんポスターの方が美味そう。うどんの盛り方ひとつで、印象は大きく変わる。印象が変わると味も変わる。せっかくの美味しいスダチもこれでは真価を発揮できまい。

Poster 

茹でたてのうどんには小麦粉特有の“もったり”とした香りが漂う。そこにスダチを絞ることでほどよい小麦の香りを引き立てることができるし、大根おろしとスダチの相性の良さについては説明の必要もあるまい。そもそも、スダチおろしうどんは、理にかなったレシピなのである。ただし、輪切りのスダチがたくさん浮いているタイプのスダチうどんは、終盤になってスダチの味の割合が激増してしまい、酸っぱさばかりが際立つのでちょっと苦手。もちろんそれが好きだという人もいるだろうから、これは好みの問題である。

 

***** 2015/07/14 *****

 

 

 

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2015年7月13日 (月)

【太麺礼讃④】小平うどん@府中

「麺は極太」

Kanban 

こんな看板を掲げているのは、府中駅近くに暖簾を掲げる『小平うどん』。東京競馬場からも歩いて行ける距離にある。看板にもある通り、極太でやや茶色がかった地粉麺がウリ。夏場はつけカレーうどんが人気の中心なのだが、最近になって夏限定の新メニューが登場したらしい。しかもそれを食べた人間に聞けば「ちょっとインパクトを受けた」という。そこまで聞けば行かねばなるまい。東京開催もとっくに終わったというのに、わざわざ足を運んでみた。

新メニュー「ゴマだれ冷やしうどん」の麺は、意外や普通の中太麺であった。しかもあからさまに白い。見た目は讃岐うどんと変わらない。これがインパクトの正体か? いや、この程度ではわざわざ来るほどの価値はないゾ。

Udon 

そしてこちらがつけ汁の器なのだが……むむむ? これは、かき氷ではないか。しかも、シロップの代わりにかけてあるのはなんとラー油である。これはいったい……?

Ice 

ここでお店の方から説明が入る。

「このゴマだれを器にまんべんなく流しかけて、氷を溶かしてから、うどんをつけてお召し上がりください」

Tare 

なるほど。言われた通りにやってみると、氷の下から刻んだ長ネギと茹でた豚肉が現れた。まだ幾分シャリシャリ感が残っているつけ汁に、うどんをつけて食べてみる。うん、美味い。だが、それにも増して冷たい。メニューでは“激辛”を謳っているのに、あまり辛く感じないのである。それもこの冷たさの為せる業か。

讃岐には、キリッと氷水で締めたうどんを大量のかき氷で覆い隠してから客に出す、「かき氷うどん」を出す店がある。つまり、いま私が食べているのとは逆のパターン。だが、「かき氷うどん」は温かいつけ汁につけて食べるのに対し、この「ゴマだれ冷やしうどん」に温かい要素はいっさいない。まさに冷やしうどんの極み。これは確かにインパクトがある。うどんを食べ終えてから温かいお茶が欲しくなったのは、これが初めてだ。

通常の極太麺ではなく細めの麺を使っているのは、おそらくこの冷たさゆえであろう。この温度では麺のしなやかさが失われて、啜るのが若干難しい。それを避けるためには「柔らかめ」で注文しよう。あるいは、最初からあつもりにしてもらうという手もある。今日は今年いちばんの暑さだったが、明日はもっと暑くなるという。冷たい麺で暑さを乗り切ろう。

 

***** 2015/07/13 *****

 

 

 

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2015年7月12日 (日)

パークウインズの場所取り

セレクトセールに行こうという知人の誘いを断り、馬券仲間が企画した「特別観覧室で見る七夕賞観戦ツアー」にも不参加の連絡を入れた私が、今朝から出かけたのはこちら。

Tsuuro 

パークウインズと化した東京競馬場ですね。ノーザンホースパークにも福島競馬場にも行けないので、せめて七夕賞の馬券でも仕入れようかとやって来たのだが、どうも様子がおかしい。上の写真でもわかるように、女性や子供の姿がやたらと目立つのである。

加えてスタンドには仕切りと矢印。

Yajirusi 

しかも、函館1レースの出走前だというのに、早くもビニールシートの花が咲き乱れている。

Sheet 

今日は福島で七夕賞が行われるものとばかり思っていたが、それは私の勘違いだったようだ。きっと今日はここでGⅠが行われるに違いない。でなければ、こんなに朝早くからこんな熾烈な場所取りが展開されるものか。あまりの暑さで私の頭がどうかしてしまったようだ。

そんな結論に達した私をあざ笑うように、こんな貼り紙が目に入ってきた。

Hanabi 

なるほど。毎年8月下旬に行われていた花火大会が、今年は今日行われるんですね。なぁ~んだ。ネットや雑誌に告知されることもなく、完全口コミだけで周辺住民だけに知らされる花火大会として知る人ぞ知る。しかし今から場所取りしても、開始は10時間後ですよ。最終レースまでべっとり馬券で遊んだとしても、そこからまだ3時間もある。たった30分間の花火のためにそこまで待てるなんて凄いなぁ……。

―――そう思ったのは一瞬。ここは、2分23秒余りのレースのために、数十人のファンが一週間も泊まり込む場所ではないか。それに比べたらなんてことない。とはいえ私はどちらも無理。花火は見ずに七夕賞の馬券を仕入れて、そそくさと競馬場を後にしたのだが、最低人気マデイラの激走で3連単百万馬券には驚いた。見事な尺玉炸裂。その衝撃はなまなかではない。

水沢競馬場の花火大会では、在厩馬が花火の音に驚かぬよう、打ち上げ前にメンコを着用させるらしい。東京競馬場の乗馬苑に暮らす乗用馬たちは平気なんだろうか?

 

***** 2015/07/12 *****

 

 

 

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2015年7月11日 (土)

隻眼の騎手

実は数年前から緑内障を患っており、毎日の投薬ならびに定期的な視野検査が欠かせない。右眼の視野がことのほか狭いのである。

撮影という行為においてはもちろん、普通に生活する上でも不便であることは言うまでもない。しかも此度の視野検査において、狭窄エリアの進行が確認されてしまったのである。これはヘコむ。眼鏡が合わなくなったと感じた原因は、老眼だけではなかったようだ。

ぼんやりとした眼でパソコンを開き、高知競馬のネット中継を観ていたら、最終レースをカネマサゴールドが制した。3年前の道営・赤レンガ記念を勝っている8歳セン馬。その手綱を取ったのは宮川実騎手である。

高知競馬の宮川実騎手が不慮の事故に遭ったのは、2009年5月2日の第1レースだった。2番人気クラウザーサンに騎乗していた彼は、3コーナー過ぎで落馬。あろうことか左眼失明の大怪我を負ってしまう。

競馬学校の入学条件にあるように、視力は騎手にとって生命線。それを一瞬にして失った本人の落胆は想像に難くない。当時の日本最多勝記録となる45勝をマークしたオリジナルステップや、通算41勝のストロングボスなどの主戦を務めたトップジョッキーのキャリアが、こんな形で終わってしまうのか。病院のベッドの上で彼は絶望の淵に立たされていたという。

だが、そんな暗闇の中に一筋の光明が差し込む。それは彼が師と仰ぐ、故・打越初男調教師の一言だった。

「むかし高知には隻眼の騎手がいた」

この言葉を胸に彼は復帰を決意。片目だけで距離感をつかむ訓練を重ね、1年余りで復帰を果たしたのである。

Miyagawa 

翌年には黒潮皐月賞で復帰後初の重賞勝ち。その後も年間100勝ペースで勝利を積み重ねているから凄い。カネマサゴールドでの勝利は今年の62勝目。今年も100勝到達が見えてきた。

その手綱さばきは、彼が隻眼であることを微塵も感じさせない。私の右眼が多少見えにくいことなんて大したことないじゃないか。そう思えてきた。そういう意味では、彼を凄いと思うだけではなく、彼に感謝もせねばなるまい。

***** 2015/07/11 *****

 

 

 

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2015年7月10日 (金)

父に捧げるGⅠ勝利

今年のジャパンダートダービーは、降りしきる雨を切り裂くように伸びたノンコノユメが、ユニコーンSに続く重賞連勝でGⅠ初制覇を飾った。鞍上のルメール騎手もJRAに移籍してからこれが初めてのGⅠ勝利である。いきなり1ヶ月間の騎乗停止。しかも、その間にデムーロ騎手はクラシック2冠を制覇したのだから、馬の背中で喜びを爆発させた彼の気持ちはよく分かる。素直に祝福したい。

Jdd_2 

先月28日に24歳で急死した種牡馬トワイニングにとっても、図らずもこれが初めてのGⅠタイトルとなった。現役時代は米GⅡ2勝を含む6戦5勝。2001年から北海道浦河町のイーストスタッドで供用され、02年にいったん米国に帰ったが、04年に社台グループが再輸入したという経緯がある。

トワイニングが勝った二つのGⅡは、その距離が8ハロンと9ハロンであり、その着差も5馬身、7馬身半と圧倒的な勝利だった。にも関わらず、産駒はなかなか距離をこなしてくれない。勝ち上がり率こそ高いものの、産駒の大半がダートの短距離向きという種牡馬であれば、社台よりも日高にいた方が良かろう。そういう判断も働いて09年からは門別のブリーダーズスタリオンステーションに転厩していた。

だが、トワイニングの父フォーティナイナーは、エンドスウィープや、訃報が伝えられたばかりのユートピアが示したように、適性の幅を広げつつ枝を伸ばす万能型とされる。すなわち、その血に秘めた可能性は広く、そして高い。また、トワイニング自身が、皐月賞馬ノーリーズンや阪神3歳牝馬Sを制したヤマニンパラダイスと同じファミリーの出身であることにも注意が必要だ。その一族は距離もこなせば芝もこなすのである。

ノンコノユメ以外にも、京王杯2歳Sのセカンドテーブル、東京湾カップの覇者ドライヴシャフトなど、この世代になって芝も距離もこなす産駒が登場したのは、あながち偶然ではあるまい。トワイニングの可能性の枝はじゅうぶんに広がり、見事な花を開かせたのであろう。よくよく考えれば社台グループがわざわざ再輸入に動いたほどの種牡馬である。これくらいの活躍をしても、なんら不思議ではない。

Twining 

しかし、そう思えば思うほど先の急死が惜しまれる。これからのノンコノユメに課された使命は、強いチャンピオンとなり、父の血を後世に繋ぐ種牡馬となること。そのためには、ホッコータルマエやコパノリッキーの厚い壁を打ち破らなければならない。秋の対決が楽しみだ。

 

***** 2015/07/10 *****

 

 

 

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2015年7月 9日 (木)

目指せ地方のディープインパクト

昨日のジャパンダートダービーで、今年に入り南関東では32の重賞レースが行われたわけだが、その中でいちばん数多く勝っている種牡馬をご存じだろうか。

実はこの馬。

Time1 

この馬。

Time2 

そう、タイムパラドックスなんですな。

Time3 

彼の産駒が今年南関東で獲得した重賞は、報知オールスターカップ、京浜盃、川崎マイラーズ、京成盃グランドマイラーズの4タイトル。地方競馬のサイアーランキングではサウスヴィグラス、ゴールドアリュール、キングカメハメハ、クロフネに続く堂々の5位に立っている。シンボリクリスエスやワイルドラッシュよりも上にいると聞けば、意外に思われる方もいるかもしれない。なにせ、JRAではランキング83位。「その他大勢」に等しい存在である。

Time4 

タイムパラドック自身は2004年のJCダートを皮切りにGⅠを通算5勝したが、うち4勝は地方の競馬場で掴んだタイトルだ。川崎記念、帝王賞、JBCクラシックのGⅠ3勝を果たした2005年には、NAR特別表彰馬に選定されている。所属こそ「栗東・松田博資厩舎」だったかもしれないが、彼の活躍の場は間違いなく地方だった。地方で実績を残した馬の産駒が地方で活躍している今の状況は、ある意味では歓迎すべきこと。もっと評価が上がっても良いように思う。

 

***** 2015/07/09 *****

 

 

 

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2015年7月 8日 (水)

【訃報】ユートピア

雨に煙る大井競馬場のジャパンダートダービー。

人気を分けた2頭が直線で馬体を併せ、最後には2番人気の馬が1番人気の馬を差し切ったそのレースを見て、12年前のこのレースを思い起こされた方もいたのではないか。ビッグウルフが接戦の末にユートピアを競り負かしたあのレース。ただ、あの時はもっと接戦だった。その差はわずかにハナ。写真を見る限り私はユートピアが勝ったと見ていたに違いない。それくらいの際どい勝負だった。

Utopia1 

そんな因縁のレースの朝にユートピアの訃報が飛び込んできた。このブログでも、米国からトルコに渡ったとお伝えしたばかり。ともあれ15歳は若い。種牡馬として、もっとも期待がかかる年齢ではないか。

Utopia2 

宝塚記念を勝つなど目下絶好調の金子真人オーナーの、唯一の海外レース制覇を実現した一頭がユートピアである。トゥザヴィクトリーやディープインパクトを以てしても掴めなかった勝利は、2006年のゴドルフィンマイルでもたらされた。同時にそれは日本の競走馬として初となる海外ダート重賞勝ちでもあり、日本競馬界にとっても歴史に残る快挙。いや、それだけでは終わらない。その後に待ち受けていたゴドルフィン移籍も含めれば、まさに壮挙と言っても過言ではあるまい。

ゴドルフィンマイルは賞金60万ドルのGⅡに過ぎないが、持ったまま後続を4馬身も置き去りにするというその圧倒的パフォーマンスがモハメド殿下の心を打ったのであろう。殿下が提示したトレードマネーは400万ドル。ドバイワールドカップの1着賞金360万ドルを上回る金額と聞けば、驚かずにはいられない。なにせ日本の現役馬が海外のトップ馬主に請われて海を渡るということ自体が史上初の出来事。その瞬間は喝采を叫んだ覚えがあるが、これがディープインパクトやウオッカだったら、果たして喜ぶことができただろうか。あれから12年の月日を経て、複雑な思いに駆られることもある。

Utopia3 

ただし、ユートピアはダートGⅠを4勝していたとはいえ、種牡馬としてはさほど期待されていなかったフシがある。我が国のダート競馬の位置付けからすればそれも仕方ない。だから、馬の将来を考えれば、オファーを受けた関係者の選択は正しかった。移籍初戦となる米国ウエストチェスター・ハンディキャップ(GⅢ)で、いきなり優勝。その秘めたる能力をあらためて示したユートピアは、米国サラトガで種牡馬入りを果たし、自身の遺伝子を受け継ぐ多くの産駒を全米に送り出したのである。

Utopia4 

川崎の小さな競馬場で初めて重賞を勝った1頭の2歳馬は、勝ったり負けたりを繰り返しながら、それでも堅実に競走生活を送り、いつしか「世界のユートピア」になっていた。豊臣秀吉も唸るような波乱の出世物語。その生涯は幸福であったと思いたい。

 

***** 2015/07/08 *****

 

 

 

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2015年7月 7日 (火)

【太麺礼讃③】あま屋@静内

今日ご紹介する太麺はこちら。

Umen 

静内に極太麺のラーメンを出すお店があると聞いてやってきたのは、割烹の『あま屋』さん。たしかにこの麺の太さは尋常じゃない。まるでうどんじゃないか。そう思って、一口すすってみると……むむ?……、この麺は紛れもなくうどんだ。

いや、実はコレ、ラーメンのスープにうどんを入れた「うーめん」なんです。メニューにもちゃんとそう書いてある。ふざけて申し訳ない。だが料理はまったくふざけていない。鰹ダシと鶏ガラをベースにしたスープはまろやか至極。しかも、アクセントに使われた柚子のおかげで、全体としてはすきっとした味わいに仕上がっている。麺は讃岐風でコシもあり、ぶっかけで食べてみたいと思わせるクオリティ。写真は「ミニサイズ」だがフルサイズにすれば良かったと後悔した。

なぜ、ミニサイズなんか頼んでお茶を濁したのか?

それは、こちらも注文していたからですな。

Butadon 

静内産ホエー豚の塩ぶた丼です。

「塩」を謳っているが、しょっぱさは皆無。むしろ甘い。肉が甘いのはわかるが、塩タレもなぜか甘い。さすが「あま屋」さん。筆者は「豚丼」と言えば分厚い肉に黒い醤油ダレをつけて炭火で焼いた、いわゆる帯広豚丼を好むのだけど、この味にはいささか衝撃を受けた。上にちょこんと乗せられた山わさびも癖になる。とはいえ「明日も来よう!」というわけにいかないのが悲しいところ。次の機会はサマーセールかなぁ。

Amaya 

なお、こちらのお店、今週土曜から月曜まで臨時休業だそうです。「ひょっとしてセレクトセールに行かれるのですか?」と聞いてみたのだが、「はぁ?」という顔をされた。そうではなく、お店でイベントを行うので、通常営業の方をお休みするとのこと。ご注意ください。

 

***** 2015/07/07 *****

 

 

 

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2015年7月 6日 (月)

2頭のトップマイラー

青空の下でもの想いに耽っているのは、

Taiki1 

21歳になったタイキシャトルですな。ジャック・ル・マロワ賞制覇の快挙からはや18年。最近では、ワンアンドオンリーやストレイトガールの活躍で「母の父」としての活躍が目立っているような気もするが、それでも今年も百頭以上の交配相手を集めた。生産者の期待は衰えていない。

一方、厩舎の窓から頚を覗かせて、大きなアクビをしているのは、

Boss1 

今年から種牡馬となったグランプリボスです。こちらはまだ7歳。競馬場ではずいぶんとベテランに感じる数字だが、種牡馬の世界では若い。

「サクラバクシンオーの最高傑作!」

2月の種牡馬展示会では、駆け付けた矢作芳人調教師がそう言って生産者にアピールしていたが、120頭を超える種付け頭数が生産者の気持ちをそのまま表している。朝日杯とNHKマイルの両方を勝った馬はグランプリボス以外に未だなく、京王杯2歳Sではあのオルフェーヴルを相手にしなかった。世界一のジャスタウェイとハナ差の激闘を繰り広げたことも、まだ記憶に新しい。

Boss2 

忘れられないのは、彼がNHKマイルカップの直後に挑戦したセントジェームスパレスSだ。3歳春の英国遠征は馬にとって相当過酷であったはず。しかしその苦労を乗り越えて、彼はアスコット競馬場のターフに立った。

タイキシャトルのような快挙は掴めなかったかもしれない。だが、ロイヤルアスコットであのフランケルと戦ったという事実は、それだけで十分評価に値する。そこは偉大な曾祖父テスコボーイがクイーンアンステークスを勝ったゆかりの地。半世紀近くの時を経てなお、日本でその血を繋ぎ続けるテスコボーイの末裔の姿は、現地の人の目にどう映っただろうか。

 

***** 2015/07/06 *****

 

 

 

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2015年7月 5日 (日)

午後のスタリオン

日高界隈では夏空の下で当歳馬たちが遊んでいる。

Kouma 

そんな昼下がり空気を味わっているこちらの馬は……、

Illhave 

2012年の米2冠馬・アイルハヴアナザー。今年はアメリカンファラオが37年ぶりに米3冠馬となったわけだが、ひょっとしたらその3年前にこの馬が3冠馬となっていたかもしれない。なにせ突然の引退発表は、34年ぶりの3冠がかかったベルモントSの前日だった。

2010年のキーンランドセプテンバー1歳せールで、1万1千ドルでピンフックされた同馬は、翌年のOBS社スプリング2歳トレーニングセールで3万5千ドルで購買され、3歳6月の電撃引退までに270万ドルを稼ぎ出し、1千万ドルというトレードマネーで日本に輸入された。わずか2年足らずで評価額が千倍にも膨れ上がったのだから凄い。これぞアメリカンドリームという気さえする。

父Flower AlleyはトラヴァーズSの勝ち馬。日本のファンには馴染みが薄いかもしれないが、マイルチャンピオンシップ勝ちのトーセンラーや、昨年の天皇賞・秋を勝ったスピルバーグの半兄と書けば、途端に親近感が湧いてくる。

Ill

初年度は152頭の繁殖牝馬を集め、その産駒は今年1歳となった。中にはアイアムアクトレスやラヴァリーフリッグといった重賞勝ち牝馬も含まれる。競走馬デビューは来年。楽しみである一方で、「生産」というサイクルの長さを思う。当の馬はそんなこと気にも留めていないようだけど。

 

***** 2015/07/05 *****

 

 

 

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2015年7月 4日 (土)

【太麺礼讃②】いずみ食堂@門別

天候雨。気温28度。湿度90%。サウナの如き東京を逃げ出して日高へとやってきた。となれば今日の太麺礼讚は、門別『いずみ食堂』の蕎麦をおいてほかにあるまい。「うどんのような」の形容詞がピタリとハマるこの太さ。生麺の状態ではストレートなのに、なぜか茹で上がると縮れが入る不思議な蕎麦を求めて、店内は今日も道内外からの客で賑わっている。

Izu1 

蕎麦の世界は薀蓄の塊なので、あまり多くを書き連ねると痛い目に遭うのだが、江戸前の蕎麦の特徴と言えば細打ち。「切りべら23本」の言葉にあるように、1本の太さはだいたい1.3ミリ前後が理想と言われる。一方で、蕎麦の産地で食べる蕎麦は麺が太くなる傾向にあるようだ。それを田舎蕎麦と呼んだりもするわけだが、蕎麦粉の美味さをより味わうなら断然こちらであろう。

すなわち、産地から距離のある江戸では、蕎麦の風味は落ちてしまい、濃いつゆで味を補う必要があった。麺を細くしたのも、トータルの表面積を増やして、つゆの絡みを良くするための工夫であろう。だが、新鮮な蕎麦粉が手に入る蕎麦の産地では、必要以上につゆに頼る必要はない。それで自然と麺は太くなった。以上は仮説だが、『いずみ食堂』の蕎麦をもぐもぐ噛みながら食べていると、蕎麦とは本来こうして噛んで食べるものだろうなという気がしてくる。噛んで食べることで、鼻腔から抜けるその芳香が、より鮮やかさを増すのである。

Izu2 

北海道は蕎麦粉の一大産地である。もちろん『いずみ食堂』の蕎麦粉も道内産。その黒ずんだ麺を見て、つなぎを使っていないいわゆる「十割蕎麦」だと思われるお客さんも多いようだが、店によれば「色黒なのは蕎麦粉が粗挽きだから。つなぎは使ってますよ」とのこと。しかし、その割合は企業秘密だという。

「そりゃあ、ツナギは大事だからな」

私の質問が耳に入ったのか、隣のテーブルからそんな声が飛んできた。見た感じではサラブレッド生産者の方々。となれば彼らの言う「ツナギ」とは、球節と蹄部の間にある「繋」のことであろう。四肢の負担を和らげるクッションの役目を果たす部位。これが短すぎると衝撃が緩和されずに脚を痛める可能性が高まり、逆に長過ぎてはクッションが利きすぎてスピードが削がれる恐れもある。

つまり「ツナギ」はバランスが命。それは蕎麦でも馬でも同じこと。蕎麦を食べながらこんな話題で盛り上がれるのは、この店ならではであろう。ついさっきまで不快指数100%の東京にいたことを、忘れてしまいそうだ。

 

***** 2015/07/04 *****

 

 

 

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2015年7月 3日 (金)

【太麺礼讚①】くぼやん@西新宿

「うどん好きでいらっしゃるから極太で打ちました」

Sakura 

嘘か真か分からぬが、桜新町の『ルレ・サクラ』ですすめられた地鶏ラグーのパスタは、なんと直径6ミリはあろうかという極太麺。いや、これうどんでしょう? だが、むっちりしたコシに、噛み締めると広がる小麦粉の風味は間違いなくパスタである。もちろん美味い。フォークに巻きつけるのに多少難儀するが、ぜひとも定番化してほしい。

パスタも、そばも、あまり食べないがラーメンであっても、私は太い麺を嗜好する。理由は『ルレ』のマスターが言うようにうどんの食感に近いから。ゆえにパスタはいわゆる「ロメスパ」系が嬉しい。仕事場が大手町にあった頃は、大手町『リトル小岩井』を筆頭に、有楽町『ジャポネ』、虎の門『ミスターハングリー』で太麺の喉越しを堪能していた。

ところが仕事場が府中郊外に移ってからは、足が遠のいてしまっているのである。府中から電車を乗り継いでまで、大手町までメシを食べに行くわけにもいかない。それで困っていたら、西新宿にロメスパ店があることを知った。近いとは言えないが、大手町よりは近い。

『スパゲティ屋くぼやん』は丸ノ内線西新宿駅下車徒歩1分。だが、京王線の新宿駅から歩いても10分とかからない。

Kuboyan 

オーダーはミートソース。ソースはデミグラス系で大人の味。しかし眼目は麺である。アルデンテなどクソくらえなどと言わんばかりのブヨブヨの茹で置き麺なのに、これくらいの太さがあるとなぜかもっちり感が増して美味い。太いからソースもしっかり乗る。そしてなによりたっぷり食べたという実感が嬉しい。来週の大井開催は、久しぶりに大井町『ハピネス』のカレースパを食べることにしよう。

 

***** 2015/07/03 *****

 

 

 

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2015年7月 2日 (木)

うどんの日

今日7月2日は「うどんの日」です。みなさん、ご存じでしたか?

夏至から数えて11日目は、二十四節季をさらに三分割した七十二候のひとつ「半夏生」(はんげしょう)にあたる。この時季、讃岐では田植えのお終わる頃合いで、農家はうどんを打って、田植えを手伝いに来た人をもてなす風習があった。「うどんの日」はそれにちなんで香川県の団体が制定したのだが、国内はもとより地元讃岐でも認知度はそれほど高くないという。

なぜか。そもそも讃岐では毎日が「うどんの日」なのである。今日はうどんの日だからうどんを食べよう―――そんな意識が芽生えるような土壌ではない。讃岐のうどん文化の根強さをあらためて思い知らされる。

だけど、讃岐人ではない私にとっては特別な日。今日はきちんとうどんを食べたい。神田の『まる香』に行くか、あるいは人形町の『谷や』にしようか。あれこれ思いを巡らせながら一日を過ごしたのだが、諸事雑用に時間を取られ続けて、気づけば日はとっぷり暮れていた。

最近はこんな日ばかり。昨日も、スパーキングレディカップに行くことができなかった。それでシクシク泣きながら帰宅したら、お中元が届いていたのである。差出人は普段お世話になっている馬主氏。いつもありがとうございます。で、中身はなんだ? 期待に胸ふくらませて開けてみると……

Udon 

なんと、うどんの詰め合わせではないか! やったー!!

さっそくいただきます。いや、美味しい。送り主様は、今日がうどんの日であることを知っていたのだろうか。いや、少なくとも昨今の私の境遇はご存じであるような気がしてならない。馬主様、いつもありがとうございます。おかげでいい「うどんの日」になりました。

Yasuda 

ところで、安田記念や有馬記念など「記念」がつきものの競馬だが、競馬の「記念日」というのはまだ制定されていない。

一応、9月16日が「競馬の日」ということになっているらしいが、これは日本中央競馬会の創立記念日にほかならず、一般の競馬ファンはおろか、業界的にも認知度は低い。

敢えて「競馬記念日」を定めるならば、やはり先人の労苦を讃える日とすべきであろう。ならば4月24日はどうだろうか。80年前に第1回の日本ダービーが開催された、その日である。

そんなことを考えつつ、いま私は今宵2杯目のうどんを茹で始めている。こうして「うどんの日」の夜は更けてゆくのである。

 

***** 2015/07/02 *****

 

 

 

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2015年7月 1日 (水)

雨は気まぐれ

先週日曜の東京メインは古馬オープンのパラダイスS。松岡正海騎手が手綱をとるスマートオリオンが快勝し、通算6勝目をマークした。

Smart 

このレースを見て「おや?」と感じたことがふたつある。

ひとつはスマートオリオンが11番人気の低評価だったこと。この1年間余り勝利から遠ざかっているとはいえ、昨年のオーシャンSを勝った重賞ウイナーである。前走の韋駄天Sも6着に敗れたが、勝ち馬からはコンマ3秒しか離されていない。おそらく評価を落とした最大の理由は1400mという距離であろう。これまで彼が挙げていた5勝は、すべて1200m戦なのである。

スマートオリオンがデビューを果たしたのは2歳8月の新潟だが、体質に弱いところがあって、なかなか未勝利を勝ち切ることができなかった。そこで陣営は思い切って放牧を決断。4か月の休み明けを経て函館戦でいきなり初勝利を挙げると、そこから(5,3,0,0)の好成績で一気にオーシャンSまで駆け上がる。ただし、復帰後に走った競馬場がたまたま函館と中山だったため、どうしても1200m戦ばかりにならざるを得なかった。1分20秒5の時計で勝てたのだから、1400mがダメということはあるまい。

実は、もうひとつの驚きというのがその勝ち時計である。芝1400mで1分20秒5は、とりたてて速いというわけでもないが、この時期の東京としては速くないか。なにせ、10週連続開催の最終日。しかも東京は梅雨真っ只中である。

しかし、先日も指摘したように、この開催の東京は雨がほとんど降ってない。調べてみると、芝コースは「重」「不良」が一度も記録されなかった。これは8年ぶりの出来事。だからといって、ここまで速いタイムが出るものだろうか。

東京競馬場の芝コースは野芝にイタリアンライグラスをオーバーシードしているが、この時季、コース一面に青々と茂っているのは野芝で、イタリアンライグラスは茶色く枯れている。だが、その根は地中に広く張り巡らされ、馬の蹄で馬場が掘られることを防ぐと同時に、クッション材となって馬たちの脚を支えているのである。最終日に連発された好時計は、単に天候に助けられただけではなく、馬場管理技術の賜物でもあるわけだ。

Turf 

この日は開催最終日ということもあって、最終レース終了後に芝コースが開放されるイベントが行われた。ファンの皆さんには、そんなクッション性をぞんぶんに体感してほしい。そう思った矢先、時ならぬ豪雨が東京競馬場を襲った。この日の多摩地域に雨予報は出ていなかったはず。傘を持たぬファンは慌ててスタンドへと逃げ込んだ。せっかくの機会である。なのに、スタンドに音を立てて叩きつける雨の勢いは半端ではない。これはちょっと気の毒だった。レースでは降らないのに、イベントでは容赦なく降る。雨雲の気まぐれにもほどがある。

 

***** 2015/07/01 *****

 

 

 

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