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2015年6月 3日 (水)

新種牡馬たちの一年

昨年のJRAファーストシーズンサイアーランキングでリーディングに輝いたのは、2010年の“キングジョージ”を11馬身差で独走したハービンジャー。2歳サイアーランキングでも5位に入る健闘を見せたが、2歳の重賞タイトルには手が届かなかった。

Harbinger0 

期待外れという声が上がる一方で、古馬になって大成した父同様、真価発揮は明け3歳からとする擁護論の方が多かった。もとよりクラシックを意識して導入した種牡馬。2歳の成績だけで評価するのは時期尚早というわけである。ならば、ダービーが終わり、現3歳世代がデビューを果たしてちょうど1年となるこのタイミングで、改めて新種牡馬たちの成績を検証してみたい。

この一年間におけるJRA獲得賞金、およびJRA勝利数で共にトップだった新種牡馬は、やはりハービンジャーだった。昨年6月から127頭が42勝。ただし重賞はベルーフの京成杯(GⅢ)に留まる。特筆すべきはその1900mという平均勝ち距離と、ダートがわずかに3勝という点であろう。地方でも6頭がデビューしたが勝ち上がった馬はいない。すべての勝ち星を芝10ハロン以上でマークした父の特徴が、良くも悪くも産駒には現れている。JRAでの勝ち上がり率29.1%という数字を見ても、健闘というよりは苦労している印象だ。

JRA獲得賞金、JRA勝利数でハービンジャーに次ぐ成績を残したのは、高松宮記念連覇のキンシャサノキセキで、これまで65頭が31勝を挙げている。JRAの勝ち上がり率43.1%はハービンジャーを凌ぐが、特筆すべきは地方での勝ち上がり率65.0%で、これは短距離ダートの適性を存分に生かしていると言えよう。

Kiseki 

勝ち上がり率でそのキンシャサノキセキをも上回るのがアドマイヤオーラで、JRAでは15頭がデビューして7頭が勝ち上がり(46.7%)、地方でも21頭がデビューして15頭(71.4%)が28勝と、決して多くはない産駒が大暴れしている。しかも、先月はクロスクリーガーが兵庫チャンピオンシップを勝ってみせた。新種牡馬産駒のGⅡ勝ちは、この1勝のみ。返す返すも、アドマイヤオーラの急逝が惜しまれる。

Admire 

ハービンジャーに話を戻す。今年の3歳クラシック戦線は、天候にも恵まれて高速馬場になることが多かった。となれば、ダービーを2分23秒3の猛時計で駆け抜けたキングカメハメハやディープインパクトの産駒に分があったのも仕方ない。ヨーロッパの底力を伝えるハービンジャーには少々気の毒だった。

だがしかし、である。この世代のハービンジャー産駒の母を見れば、ダンスインザムード、ダイワスカーレット、レジネッタ、ハッピーパス、ディアデラノビア、シーザリオ、キストゥヘヴン、レーヴディソール、グレイスティアラ、コイウタ、チアズグレイス、ロゼカラー、オレンジピールと、綺羅星の如き我が国の名牝の名前がずらりと並ぶ。なのに、オークス、ダービーの出馬枠に、ついに1頭も送り込むことができなかった。これだけの母の力を借りておきながら、馬場を言い訳にすることはできない。

キングカメハメハのスピードやディープインパクトのキレに対抗するために、どういう騎乗をすれば良いのか。底力勝負に持ち込むにはどのようなレースを選択すれば良いのか。2世代目のデビューを前にした関係者は、よくよく思案すべきであろう。世界にその名を知る名馬の産駒を、まさかGⅢひとつで終わらせるわけにはいかない。

 

***** 2015/06/03 *****

 

 

 

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