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2015年5月29日 (金)

ダービー公開調教1993

日本ダービーを2日後に控えた金曜日。皆様、いかが過ごされましたでしょうか。

かつてこの日は、東京競馬場に入厩を済ませたダービー出走馬の調教が一般に公開される日でもあった。年によっては千人を超すファンが早朝の東京競馬場に足を運んだ一大イベントである。

西門は開いてないから、正門を目指して歩くしかない。ひんやりとした朝の空気。上空に広がる5月の空。そして人もまばらな競馬場。その広い広い馬場にポツンと姿を現した3歳馬は、明後日にはダービー馬の称号を手にしているかもしれない。少なくとも私にとっては、これを見ることはダービー直前の厳粛な儀式のようなものだった。

1993年の公開調教に、まず姿を現したのはシクレノンシェリフだ。新馬、毎日杯を連勝し、わずか2戦のキャリアで挑んだ皐月賞でも3着に食い込んで見せたのだから、その能力は計り知れない。突如現れた新星にファンの視線が集まる。

Shelif 

続いてダートコースに登場したのは皐月賞2着のビワハヤヒデ。その姿を見るために、大勢のファンがスタンドの階段を登り始めた。芦毛の馬体が朝の陽ざしを浴びて輝いている。

Biwa 

突然「おお!」という歓声が上がった。ターフビジョンにウイニングチケットが映し出されたのである。芝の感触を確かめるかのように、ゆっくりとゴール前に近づいてきた。柴田政人騎手悲願のダービー制覇は、この一頭に託されている。そう思うと神々しささえ感じないか。ダクで直線を往復しただけの調教。だが、多くのファンにはそれで十分だったことだろう。

Ticket 

ダービーの公開調教が行われなくなって久しい。当時、ダービーに出走する関西馬は木曜に入厩するのが普通だったが、今では金曜入厩が主流。東京競馬場経験の有無を気にする陣営も少なくなった。必要なら土曜の朝にスクーリングをすればよい。しかし、かつてはミスターシービーやシンボリルドルフといった関東馬も、公開調教で併せ馬を披露していたではないか。ルドルフの公開調教は、NHKの朝のニュースで異例の生中継をされるほどの盛り上がりを見せた。ファンが見たかったのはレースだけではない。馬と一緒にダービーに向かうというプロセスそのものだ。

2000年を最後に公開調教は行われなくなった。必要がなくなったとはいえ、ダービーという素晴らしい舞台から、ひとつの点景が削り取られた思いは拭えない。ほんのわずかではあるが、その分だけダービーの重みが軽くなってしまったような気がするのである。

 

***** 2015/05/29 *****

 

 

 

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コメント

ダービー当日の番組も、以前はもっと祭典色がありましたよね。happy01

投稿: 店主 | 2015年5月30日 (土) 18時00分

ダービースタリオンズSは偏りそうなのでダメでしょうが、ダービージョッキーズSの復活を切に希望します。

投稿: プレチケ | 2015年5月30日 (土) 06時54分

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