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2015年5月15日 (金)

1億9千万円のインパクト

2頭の併せ馬が徐々に加速を始めると、それまでザワザワと話し声の絶えなかったスタンドが息を呑むように静まり返った。

千葉トレーニングセールの28組目。ゼッケン16番はムーンレディの2013。エイシンフラッシュの弟にしてディープインパクト産駒の牡。今年の、いや過去十数年を遡ってみても、間違いなく千葉セリ・ナンバーワンの血統馬の登場である。漆黒の馬体は兄に瓜二つだ。

200のハロン棒を通過。すると騎乗者がムチを入れた。内のランペルティーザの2013(父マンハッタンカフェ)の手綱は動いていないのに、外の手綱は激しく動いている。スタンドがまたざわつき始めた。結局、調教時計こそ2頭同タイム(24.6-11.4)だったものの、ムーンレディの2013がアタマ差遅れての併入。スタンドは微妙な空気に包まれた。

Choukyo 

「これ(アタマ差遅れ)が、どう影響するのかな?」

お茶を飲みながらセリが始まるのを待っていると、どこからかそんな声が聞こえてくる。

国内トレーニングセール初の1億円ホース誕生なるか―――。

そんな見出しで今年の千葉トレーニングセールの見どころを紹介する記事を見かけたが、この血統なら調教など見せずとも1億を超えることは間違いない。そもそもお台からして8千万円と聞いている。おそらく一声で1億。最終的には2億から3億の攻防ではないか。そう思っていた。

とはいえ、今日はあくまでもトレーニングセールである。「調教なんか関係ない」と言っても、もし 23.0-10.5 などという猛時計を叩き出したならば、それが価格に跳ね返ることは間違いない。だがこの時点で、少なくともその要素はなくなった。

時計と言えば、今年はひとつの傾向があったように思う。57頭が走って上がり1ハロン10秒台が一度も計時されなかったのである。

ちなみに昨年は59頭中13頭が10秒台を記録していた。しかし今年は、遮二無二時計を出そうとする姿勢は、あまり伝わってこなかったような気がする。「馬なり」で終える組もあった。それで11秒台なら悪くはない。時計ばかりに頼るのでなく、フォームや息の入り具合など、様々な視点での評価が求められるということか。ダービー馬の弟がトレーニングセールに出てくること自体もそうだが、トレーニングセールのあり方がひとつの転換点を迎えているのかもしれない。

「バレッツにも、キーンランドにも、こんな素晴らしい馬はいない!」

セリ会場で合田直弘氏が絶賛したムーンレディの2013は、結果1億9千万円で落札。落札者はマツリダゴッホでお馴染みの高橋文枝氏だった。これを高いと見るか、安いと見るか。先ほど書いたように、私の見積もりよりは安い。とはいえ、私が買える金額では、もちろんない。

ちなみに、高橋氏と最後まで競り合った相手が、よりによってセリ会場で私の隣に座っていたものだから、全く関係ないのに私の方が緊張してしまった。最後の最後、1億9500万の声を挙げられずに断念したが、もしその一声が出ていれば、2億の大台に届いていたかもしれない。あのアタマ差が500万円を逡巡させたのか。あるいは、そもそもトレーニングセールに2億は出せないのか。もちろん、そんなことを聞くわけにもいかない。その答えは、また来年探すことにしよう。

 

***** 2015/05/15 *****

 

 

 

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