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2015年5月31日 (日)

2冠馬の秋

ダービーのパドックに姿を現したドゥラメンテは、見ているこちらが拍子抜けするほど落ち着いていた。逆に覇気のなさを指摘する声もあったほど。それでも、その瞳から魂の発露が消えたわけではない。

この時点で勝負アリ。圧倒的能力の高さを誇る一方で、「高ぶりやすい気性が弱点」とされていたのに、その唯一の弱点が消えてしまったのだから、ライバルたちは白旗を挙げるしかない。

Derby 

ただ、落ち着いてはいたものの、馬体の迫力という点ではサトノラーゼンやサトノクラウン、リアルスティールの方が優っていた感は否めない。「この秋は凱旋門賞に」。巷には早くもそんな声が上がっているようだが、心身とも完成するのはもっと先のような気がする。大事なことは馬の成長曲線を慎重に見極めること。でないと、取り返しのつかないことになりかねない。

一方で、ノーザンファームの生産馬には、チャンスがある限り凱旋門賞を目指すという不文律もある。吉田勝己代表は次走について「国内はない」と言いかけて、慌てて「白紙」と訂正するシーンがあった。これだけの馬ならすぐにでも海外に出たいのは当然。しかし、その能力の高さゆえに慎重になる必要もある。

Derby2 

ミルコ・デムーロ騎手も、凱旋門賞でも勝負になるとコメントしたようだが、菊花賞を勝ってネオユニヴァースのリベンジを果たしたい思いはないのだろうか。日本の騎手として日本のクラシック3冠獲得を超える誉れはあるまい。

かように気になるのは2冠馬の秋。しかしその前に、なんと今週から新馬が始まることに気がついた。また、長い長い1年が始まる。

 

***** 2015/05/31 *****

 

 

 

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2015年5月30日 (土)

いとこ対決

今日の京都9Rに出走したアドマイヤクーガーと、東京9Rに出走したタガノエンブレムは、ともに母・キャッチザゴールドだから兄弟ということになる。西と東に分かれてレースに臨んだが、結果は7着と6着。兄弟が揃って同時に勝つのは、やはり簡単なことではない。

Tagano 

兄弟が同じレースで走ることも間々ある。GⅠでは2001年の中山大障害に出走したユウフヨウホウとゴーカイが兄弟でワンツーフィニッシュという快挙を為した。平地でも10年の有馬記念でルーラーシップとフォゲッタブル(母・エアグルーヴ)が、12年のJCダートでミラクルレジェンドとローマンレジェンド(母・パーソナルレジェンド)など、数年に一度程度の割合で実現している。だが、クラシックレースでとなると、過去に聞いたことがない。

当たり前だ。クラシックは同一世代によるレース。競走馬でも双子が生まれる可能性が捨てきれない以上、100%有り得ないとも言い切れないが、クラシックレースでの兄弟対決が実現することはほとんどない。

だが、従兄弟なら「同い年」が有り得る。グレード制が導入された1984年以降、従兄弟同士の間柄にある2頭がダービーの出馬表に名を連ねたケースは、これまで3度あった。

 1984年 祖母:スズキール
  スズマッハ  2着
  スズパレード 4着

 1997年 祖母:ピーチガール
  シルクジャスティス 2着
  シルクライトニング 除外

 2012年 祖母:クラフテイワイフ
  トーセンホマレボシ 3着
  ヒストリカル   18着

ご覧の通り、いずれのケースでも従兄弟のどちらかが馬券に絡んでいるのである。そして今年のダービーには、共に祖母にエアグルーヴを持つドゥラメンテとポルトドートウィユの2頭が参戦。どちらかが馬券に絡む可能性は十分ある。しかも、無事に2頭が揃って出走した1984年と2012年のケースでは、いずれも人気薄の方が先着を果たした。そう思うと、ドゥラメンテもうかうかしていられない。

Mente 

それにしても、先に紹介した有馬記念の兄弟対決に続いて、ここでも名前が出てくるエアグルーヴという牝馬はいったいどこまで凄いのか。自身の産駒は今年の2歳がラストクロップとなるが、来年にはルーラーシップ産駒がいっせいにデビュー。いずれドゥラメンテも種牡馬となるだろうから、その血統の枝葉はますます広がってゆくことになる。

 

***** 2015/05/30 *****

 

 

 

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2015年5月29日 (金)

ダービー公開調教1993

日本ダービーを2日後に控えた金曜日。皆様、いかが過ごされましたでしょうか。

かつてこの日は、東京競馬場に入厩を済ませたダービー出走馬の調教が一般に公開される日でもあった。年によっては千人を超すファンが早朝の東京競馬場に足を運んだ一大イベントである。

西門は開いてないから、正門を目指して歩くしかない。ひんやりとした朝の空気。上空に広がる5月の空。そして人もまばらな競馬場。その広い広い馬場にポツンと姿を現した3歳馬は、明後日にはダービー馬の称号を手にしているかもしれない。少なくとも私にとっては、これを見ることはダービー直前の厳粛な儀式のようなものだった。

1993年の公開調教に、まず姿を現したのはシクレノンシェリフだ。新馬、毎日杯を連勝し、わずか2戦のキャリアで挑んだ皐月賞でも3着に食い込んで見せたのだから、その能力は計り知れない。突如現れた新星にファンの視線が集まる。

Shelif 

続いてダートコースに登場したのは皐月賞2着のビワハヤヒデ。その姿を見るために、大勢のファンがスタンドの階段を登り始めた。芦毛の馬体が朝の陽ざしを浴びて輝いている。

Biwa 

突然「おお!」という歓声が上がった。ターフビジョンにウイニングチケットが映し出されたのである。芝の感触を確かめるかのように、ゆっくりとゴール前に近づいてきた。柴田政人騎手悲願のダービー制覇は、この一頭に託されている。そう思うと神々しささえ感じないか。ダクで直線を往復しただけの調教。だが、多くのファンにはそれで十分だったことだろう。

Ticket 

ダービーの公開調教が行われなくなって久しい。当時、ダービーに出走する関西馬は木曜に入厩するのが普通だったが、今では金曜入厩が主流。東京競馬場経験の有無を気にする陣営も少なくなった。必要なら土曜の朝にスクーリングをすればよい。しかし、かつてはミスターシービーやシンボリルドルフといった関東馬も、公開調教で併せ馬を披露していたではないか。ルドルフの公開調教は、NHKの朝のニュースで異例の生中継をされるほどの盛り上がりを見せた。ファンが見たかったのはレースだけではない。馬と一緒にダービーに向かうというプロセスそのものだ。

2000年を最後に公開調教は行われなくなった。必要がなくなったとはいえ、ダービーという素晴らしい舞台から、ひとつの点景が削り取られた思いは拭えない。ほんのわずかではあるが、その分だけダービーの重みが軽くなってしまったような気がするのである。

 

***** 2015/05/29 *****

 

 

 

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2015年5月28日 (木)

リアライズリンクスの一年

ちょうど一年前。2014年5月27日の浦和10RはJRAとの条件交流マルチステッキ特別だった。

当時B2クラスのリアライズリンクスは、ハナを奪うと後続を大きく離して独走。2着に2秒3もの大差をつけ、ゴールを駆け抜けた。しかし特筆すべきは着差ではない。勝ち時計1分25秒6は直後の11Rに行われたオープンクラスの1分27秒5を楽々と凌ぎ、さらに翌日のさきたま杯を勝ったノーザンリバーの勝ち時計1分26秒7をも上回っていたのである。

たしかこの時、リアライズリンクスを管理する小久保調教師は「来年のさきたま杯を勝てる馬だよ」と言っていたはず。馬が馬なら笑われてもおかしくないシチュエーションだが、このパフォーマンスを見ればとても笑えなかった。その言葉を裏付けるように、今年1月のウインタースプリントまで怒涛の7連勝。陣営の自信は確信に変わったに違いない。

Goldcup 

だが、この連勝中には気になることもあった。リアライズリンクスにとって初めての重賞制覇となった昨年暮れのゴールドカップで、ハナに立つまでにやたら手こずったのである。勝つには勝ったが、一方で「こんなもんか」という印象を受けた。当時のブログを読み返すと、「他の馬たちの不甲斐なさの方が気になる」と書いてある。私の中では、確信よりも不安の方が大きくなっていたのかもしれない。

その不安は昨日のさきたま杯で現実のものとなる。そも、馬場入りからしておかしかった。馬場に入るなり立ち止まり、左海騎手が押せども引けども、まったく動こうとしないのである。発走時刻までに1400mのスタート地点に辿り着けるだろうか……。笑い話のようだが、現場は本気でそれを心配した。

Rinks_2 

絶好の2番枠からのスタートも、やはりスッとハナに立てない。押して、叩いて、コーナーワークでどうにかハナ。しかしゴールドカップの時とは相手が違う。4コーナーで後続勢に交わされて万事休す。それでも3着に粘ったのは能力の証に違いないが、1分27秒6の時計は1年前のマルチステッキ特別に遠く及ばず、この1年間でのワーストタイム。陣営は納得できまい。

River 

さきたま杯を勝ったのは昨年と同じノーザンリバー。勝ち時計1分26秒7も昨年とまったく同じ。抜群の安定感でこのレース連覇を果たした。来年の3連覇を阻むのは、リアライズリンクスであってほしい。

 

***** 2015/05/28 *****

 

 

 

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2015年5月27日 (水)

ハイアーゲームの魂

「今年こそ青葉賞からダービー馬が出るかな?」

ダービー前になると、きまってそんな会話が交わされるようになって久しい。2002年シンボリクリスエス、03年ゼンノロブロイ、そして12年フェノーメノ。青葉賞のレベルが低いわけでは決してないのである。なのに、GⅠをいくつも勝つような名馬ですら、青葉賞を勝った直後のダービーでは揃って2着に敗れてきた。これを近年のダービーのジンクスとする声もあるが、青葉賞が重賞に昇格して22年と思えば、確かにジンクスと言えなくなくもない。

しかし、ひとつ間違えばこのジンクスは成立しなかった可能性もあることを、ここに記しておきたい。それがキングカメハメハの勝った04年のダービー。青葉賞馬はハイアーゲームだった。

この年の青葉賞でハイアーゲームが記録した2分24秒1という時計は、今も破られぬレースレコード。しかもその中身が凄い。前半の1200m1分12秒9の流れはスローに近く、普通ならレコードタイムが出るようなペースではなかった。中団に控えたハイアーゲームのラストの1000mは、58秒0-45秒7-33秒7。翌週のNHKマイルでキングカメハメハが記録した上がり1000mが57秒5-45秒9-34秒0だから、ハイアーゲームはマイル戦に匹敵するような猛ラップで2400mをまとめたことになる。

Higher 

しかしダービーは非情だ。ハイアーゲームはキングカメハメハを左前に見る絶好の位置でレースを進めたが、先行していたコスモバルクが4コーナーを回れず大きく膨れた影響で、キングカメハメハが外へ張り出してきた。ハイアーゲームがそのままの進路を取り続ければ、行き場をなくしたキングカメハメハは下げるしかない。と同時に自らのダービー制覇はグッと近づく。だが、ハイアーゲームの蛯名正義騎手は敢えて外に進路を取り、キングカメハメハとの真っ向勝負を挑んだのである。

結果はハーツクライにも差されての3着。だが舞台を問わずフェアプレーを貫く蛯名騎手の判断が無ければ、この年のダービーは後味の悪いものになっていた可能性は否定できない。

Cosmo 

ダービーでの悔しさはダービーで晴らす。種牡馬となったハイアーゲームは、2世代目の産駒からコスモナインボールを送り込んできた。おそらく最低人気。だが、すべて左回りで挙げた昨年の3連勝は、サウスポーとして名を馳せた父・ハイアーゲームを彷彿とさせるものがあった。父がもっとも輝いた舞台で、魂の走りを見てみたい。

 

***** 2015/05/27 *****

 

 

 

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2015年5月26日 (火)

ジンクス

「ジンクスが解けた」

そう言って笑ったのは管理馬・ミッキークイーンでオークスを制した池江泰寿調教師。GⅠを9勝もしていながら、これまでなぜか牝馬のGⅠタイトルとは縁がなかったことを、自ら笑い話にしてみせたのである。ジンクスが解けたのだから、これからは牝馬のGⅠタイトル総ナメかもしれない。

私は馬券にジンクス・占いの類は持ち込まないようにしている。もちろん、それで馬券を買うことが悪いとは言わない。競馬の楽しみ方は自由であるべき。合理的な理由を見いだせないものに、私が金を出せないケチな人間であるだけの話。それでも、ことダービーとなると、ついついジンクスを気にしてしまう自分がいる。

2007_2 

なぜか。おそらく舞台の大きさゆえであろう。過去のダービーを顧みて、能力は抜きんでているのに、なぜかダービーで不可解な負け方をした馬はたくさんいる。それを馬のせいにするのは、ちと残酷過ぎやしないか。だったらジンクスに罪をかぶせてしまえば良い。ジンクスに狙われてはどんな強豪馬も敵わない。よって私は「ダービーは運の良い馬が勝つ」論を信ずる。

かつてダービーのジンクスに「9字名馬は勝てない」というものがあった。このジンクスが、我が国ダービー史上いちばんの大本命馬・1934年のミラクルユートピアを襲ったのである。

ダービーの前走が古馬相手の帝室御賞典(現在の天皇賞)というのも驚きだが、そこで前年のダービー馬・カブトヤマを破ったのだからもはや言葉もない。無敗のダービー馬誕生は確実―――。誰もがそう思った。この年のダービーが、史上最少頭数の10頭立てとなったのも無理はない。

ところが当日朝の運動中に右前を脱臼する悲劇。JRA発行の「日本ダービー25年史」には「世界のダービー史上でも、かつてない不幸な出来事」と記されている。

“9文字馬の呪い”は1954年のダービーをゴールデンウエーブが勝ったことで、ひとまずの終焉を見たが、一転してこの年から「数のついた馬名は勝てない」というジンクスが囁かれ始めた。ゴールデンウエーブが勝ったダービーの本命がダイナナホウシユウだったのである。

無敗の11連勝で皐月賞は8馬身差で独走した大本命馬だったが、よりによってダービーで大出遅れをやらかしてしまった。秋には菊花賞を6馬身差で制するのだから、能力に文句のつけようはない。「ダービーは一番運のいい馬が勝つ」という言葉には、やはり実感がある。

テンポイントやホウシュウエイトもこのジンクスにダービーの栄冠を阻まれたわけだが、昨年ついにワンアンドオンリーがこれに終止符を打った。この手のジンクスは途切れた途端に逆の現象が起きるというジンクス(?)もある。今年のキタサンブラックとコスモナインボールには、常に視線を払っておきたい。

最後に継続中のジンクスとして「1番人気馬が8番枠に入ると勝てない」が残されている。毎年書いていることなので、詳しくは2013年5月21日付当ブログ「1番人気を背負うのは」をご一読いただければと思う。ともあれドゥラメンテには8番枠を引いてほしくない。

 

***** 2015/05/26 *****

 

 

 

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2015年5月25日 (月)

枠入り不良

GⅠのファンファーレが鳴り響いてオークス出走の17頭が奇数号馬から順に1頭、また1頭とゲートに吸い込まれてゆく。前日までの雨予報は外れて府中の上空は青空。これ以上ないオークス日和に恵まれた。

ふと外に目を向けると1頭ゲート入りを拒んでいる馬がいる。17番のクルミナル。騎手が促しても、係員が押しても、前扉を開けても入ろうとしない。これは時間がかかりそうだ。こうなると、ゲートの中で待たされている馬たちはたまったものではない。なにせ3歳牝馬。ちょっとしたことで、気持ちが途切れてしまう可能性もある。

実際、既にゲート入りを済ませていたキャットコインは、ゲートの中で待たされて、扉を蹴ったり前扉に脚を上げたりしていた。この時点で彼女のオークスは終わっていた可能性が高い。

17gate 

覆面を被せられたクルミナルがようやくゲートに収まって、レースがスタート。結果はご存じの通りミッキークイーンがルージュバックを差し切って優勝を果たした。そのどちらも偶数号馬である。

Oaks 

オークスの上位9頭のうち奇数号馬は13番アンドリエッテと17番クルミナルの2頭だけに留まった。ただし17番クルミナルは奇数号馬とはいえ実質後入れみたいなもの。すなわち、クルミナルのゲート入りを待っていた奇数号馬のうち、真ん中より上位に食い込むことができたのはアンドリエッテ1頭のみということになる。そのアンドリエッテにしても、レース後は「ゲートで待たされてしまい、気持ちがなくなってしまった。ちょっとかわいそう」と、陣営は恨み節を隠そうとしなかった。

クルミナルには6月14日までの出走停止と、停止期間満了後の発走調教再審査が課せられた。再審査は厩舎にとって負担となるが、この期間の出走停止はほとんど意味をなさない。これでファンの気持ちは収まるか。

そもそも奇数号馬はゲート先入れの不利があるのだから、奇数号馬を買うことはそのリスクごと買うことになる。

それは承知しているつもりだが、大舞台を目前にしながらゲート入りに四苦八苦する姿を見せつけられるのは興醒めも甚だしい。それでゲート入りを拒んだ張本人(馬)が好走を果たしたりすると、競馬場全体がどことなく気まずい空気になってしまう。ゴールドシップ、ローブディサージュ、キタサンロングラン。同じ厩舎の馬ばかりが、枠入り不良で発走調教再審査を受けていることも、気にせずにはいられない。

ゲート入りは発走委員や騎手との共同作業でもあるので、一概に誰が悪いと決めつけることはできない。せめて今週のダービーの舞台では、ゲート入りに神経を尖らすようなシーンはあって欲しくないと願うばかりである。

 

***** 2015/05/25 *****

 

 

 

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2015年5月24日 (日)

4頭上位独占のインパクト

馬体重のわずかな増減に一喜一憂するのはどうかと思うが、相手がこの時期の3歳牝馬と思えば、やはり細化は避けたい。

桜花賞で12キロ減らしたキャットコインは、今日も2キロ減って426キロ。昨年10月のデビュー戦に440キロで快勝して以来、体を減らし続けてきたベルフィカも2キロ減らして420キロ。わずかとはいえ、また減らしてしまった。逆にクイーンCでの東上時に20キロ減らした前歴のあるミッキークイーンは、4キロばかり増やして430キロ。細身には違いないが、落ち着きもあり、パドックの印象は悪くはない。

Queen1 

ミッキークイーンの母・ミュージカルウェイは仏国産。GⅠ勝ちの実績はないが、GⅡとGⅢを合わせて3勝。2007年の香港カップ(GⅠ)で日本のシャドウゲイトと一緒に走り3着に入ったこともある。ちなみにシャドウゲイトは5着だった。

そんなミュージカルウェイが08年のタタソールズ・ディセンバー繁殖セールに上場されると、すかさず吉田勝己氏が約4400万円で落札。3年続けてディープインパクトを種付けされ、3頭目の産駒があっさりと結果を出した。ミュージカルウェイも凄いが勝己氏も凄い。

Queen2_2 

勝己氏の凄さはオークスの着順にも現れている。ミッキークイーン、ルージュバック、クルミナル、アースライズ。ノーザンファームはこのオークスに4頭の生産馬を送り込んだが、1~4着をその4頭が占めたのである。2013年のジャパンカップもノーザンファームが1~4着を独占したが、古馬のレースとクラシックでは重みが違う。しかも、来週のダービーでは掲示板独占さえ狙えそうなメンバーだと聞けば、思わず言葉を失う。

Queen3 

「あんなに強いのなら、桜花賞に出てれば勝ってたんじゃね?」

帰途の車中で乗客同士がそんな会話をしていた。私もその意見を否定しようとは思わない。だが、そんな彼女を我々の競馬システムは3分の2の抽選でレースから締め出した。抽選のもたらす悲劇は、競馬ファンにも振り掛かる。ひょっとしたら我々は、3年ぶりに出現するはずだった牝馬3冠馬を、むざむざと見逃してしまったのかもしれない。

 

***** 2015/05/24 *****

 

 

 

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2015年5月23日 (土)

右回り用の「瞬足」を作るなら

今日は娘の小学校の運動会。この日のために用意した「瞬足」を履いて、気合たっぷりに出かけていった。左回り用のスパイクが靴底に施された「瞬足」を履いて走ると、左回りのカーブでスピードが落ちにくい。いわば小学生の勝負鉄。むろん右回り用はない。

運動会に限らず、人が周回する競技は、まず例外なく左回りで行われる。陸上トラック競技、スピードスケート、競輪、競艇、オートレース。それに野球もそうだ。

それでもかつてのトラック競技は右回りコースが主流だった。近代オリンピックでも、1896年の第1回から第3回までは右回りで行われている。左回りになったのは、第4回のロンドン大会(1908年)から。その後、1912年に国際陸上競技連盟が設立されると、「走る方向は、左手が内側になるようにしなくてはならない」と、左回りが明確に規定された。

なぜ左回りなのか。それは人間の生理的感覚に基づいていると説明されることが多い。実際、人は右旋回よりも左旋回の方を好む。フィギュアスケートのスピンもほとんどが左回りだし、陸上円盤投げもハンマー投げも左回り旋回の方が距離が伸びる。パドックで騎乗する騎手が馬の左から乗るのも同じこと。右から乗る騎手はいない。騎乗という動作も旋回運動である。

Left 

翻って競馬場には右回りと左回りの二種類がある。JRAでは、東京、中京、新潟の3か所が左回り、残りの7か所が右回り。地方でも左回り4場に対して右回りが10場と、右回りが多数を占めるから面白い。

Right 

今では左回りの新潟競馬場が、ちょっと前までは右回りコースだったことは多くの方が知るところだろうが、かつて東京競馬場にも右回りコースが共存していたことをご存じだろうか。

いわば“スイッチコース”。芝の1000m、1100m、1200m、そしてダートの1000m、1100mは向こう正面を2コーナーに向かってスタートし、1コーナーを回り、200m余りの直線の先にゴール板が存在していた。

現在の東京競馬場ゴール板から真っ直ぐ2000mのスタート地点方面に向かう外回りの芝コースは「いったい何のためにかるのか?」と首を傾げる人もいるが、あれは右回りコースの名残である。いずれにせよ、右回り用の「瞬足」を作るなら、それが競走馬向けであれば需要があるかもしれない。

 

***** 2015/05/23 *****

 

 

 

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2015年5月22日 (金)

桜花賞馬の娘

ダービーやオークスを間近に控えたこの時季の3歳未勝利戦となれば、勢い興味も薄くなりがち。勝ち馬のレースぶりが、その先の馬券に役立つというケースもあまり期待できない。だから未勝利戦はパス。そういう方も多かろう。それは私も理解できる。いったん競馬場の外に出て、うどんでも食べにいこうか……。

だが、先週土曜の東京5Rは牝馬限定の未勝利戦ながら、なかなか興味を惹かれた。出走馬の血統に、馴染みのある名前が実に多かったのである。

3号馬ヤギリヴィーナスはフジキセキの姪。

4号馬ピンクシャンパンの母は牝馬ながらNHKマイルを勝ったピンクカメオ。発汗が凄い。

04 

6号馬エアリーチューンはバウンシーチューンの全妹。

8号馬アルマニンファは南部杯マイルチャンピオンシップを勝ったゴールドティアラの従姉妹。

9号馬スターウインドは名牝・ベガの姪。

10号馬ネコハッピーは人気馬ネコパンチの半弟。

11号馬ラプンツェルダンスは朝日杯を勝ったセイウンワンダーの全弟。

11 

14号馬ラセレシオンはペルーサの全妹。

14 

16号馬アンドトゥモローの母は2006年の桜花賞馬キストゥヘヴン。

16_2 

17号馬レオアルテミスはマイネルラクリマの半妹。

なかでも私の興味を引いたのはアンドトゥモロー。その母さん、キストゥヘヴンである。

Kiss 

「ロングバージンの2003」は、2004年10月20日の1歳オータムセールで落札された。価格は970万円(税抜)。比較的廉価で売買されるオータムセールの牝馬としては高い。ところが、その10日後に父のアドマイヤベガが急死。さらに1か月半後の12月12日には母ロングバージンの父であるノーザンテーストが33歳で大往生を遂げる。オーナーの吉田和子氏は、天国のアドマイヤベガとノーザンテーストに捧げるという気持ちを込めて、彼女を「キストゥヘヴン」と名付けた。

桜花賞でキストゥへヴンの手綱を取ったのは、当時JRAに移籍して4年目の安藤勝己騎手。ゴール前で早くも飛び出したガッツポーズを見て―――裁決委員は怒ったかもしれないが―――多くのファンはその気持ちを理解したはずだ。笠松所属だった95年、ライデンリーダーとのコンビで挑んだ桜花賞は日本中の注目を集めたが、結果は追い込み及ばずの4着。周囲は「騎乗ミス」と容赦なく地方の騎手を叩いた。

あのガッツポーズに11年分の思いが込められていたかどうかまでは分かりかねるが、桜花賞がJRA移籍を目指すきっかけとなった因縁のレースであることはハッキリしている。キストゥヘヴンでひとつ勝つと、その後堰を切ったように6年の間に桜花賞を4勝するという離れ業を演じて見せた。そのこと自体が、アンカツと桜花賞の因縁の深さを、現しているように思えてならない。

そんなことを考えているうち、目の前のレースがスタートした。

5r 

芝1800mにフルゲート18頭。後方からレースを進めたアンドトゥモローは、直線でバテた馬を何頭か交わして8着で入線。初勝利はならなかったが、勝ち馬から1秒差なら悪くない。次に期待しよう。「そして明日」と名付けた吉田和子オーナーの気持ちに、いつか応えてくれるはず。こんなふうに見れば、この時季の3歳未勝利戦というのも、なかなか楽しい。

 

***** 2015/05/22 *****

 

 

 

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2015年5月21日 (木)

大井競馬場前駅開業50年

昨日の大井10Rは「大井競馬場前駅開業記念賞」。圧倒的1番人気に推されたビリーバローズが余裕の手応えで抜け出し、大井転入後無傷の4連勝を飾った。その末脚は今週末のオークスに出走する叔母・ココロノアイにもひけをとらない……かもしれない。

10r 

前回の東京オリンピック開催年に開業した東京モノレールは、当初は羽田-浜松町間13キロをノンストップで結んでいた。その路線上に初めてできた中間駅が「大井競馬場前」駅。全国でも珍しい“海上駅”として、1965年5月27日に営業を開始した。すなわち来週水曜に生誕50周年を迎えるのである。

Ooi 

大井競馬場前駅が開業50年の節目なら、歴史と伝統の重賞・大井記念は60回の節目。思わず「速ぇな」と記者が呟くほどの激流を後方で虎視眈々と眺めていたプレティオラスが、直線大外から一気に前を飲み込んで見せた。

11r 

3年前の東京ダービー馬は、これが重賞3勝目。そのいずれもが本橋孝太騎手の手綱だから、やはり手が合うのだろう。ダービー馬が大井記念を勝ったのは、第6回のダイニコトブキ以来。それが大井競馬場前駅の開業前のことだと思えば、大井記念の歴史の長さを感じずにはいられない。大井次開催の重賞はその東京ダービー。こちらは今年で61回目を迎える。

 

***** 2015/05/21 *****

 

 

 

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2015年5月20日 (水)

マンハッタンカフェの挑戦

シングウィズジョイ、クイーンズリング、ルージュバック、アースライズ。今週末のオークスにはマンハッタンカフェが4頭の産駒を送り込む。1番人気が予想されるルージュバックを筆頭に、4頭いずれもに勝つチャンスがありそうだ。もし勝てば、種牡馬マンハッタンカフェはついにクラシックの勲章を手にすることになる。

Queens 

菊花賞、有馬記念、天皇賞(春)のタイトルを引っ提げて種牡馬入りしたマンハッタンカフェは、初年度から211、206、221、201頭と4年連続で200頭を超える交配数を記録。ジョーカプチーノとレッドディザイアがブレイクした2009年に突如リーディングサイアーの座が転がり込んだが、その後は5位、5位、9位、7位、8位、6位とベストテンの安定勢力に甘んじている。先述したように、クラシックのタイトルも未だ手にしていない。

代表産駒は、NHKマイルCのジョーカプチーノ、秋華賞のレッドディザイア、天皇賞(春)のヒルノダムール、フェブラリーSのグレープブランデー、そして短距離重賞4勝のガルボといったあたり。スプリンターもステイヤーもダート巧者もいる。産駒の傾向をひと口で表すのは難しい。敢えて言葉を探せば「千差万別」であろう。かと言って母方の特質を濃く出すわけでもない。これがリーディング争いで今ひとつ突き抜けられない理由だとする声もある。

その原因はマンハッタンカフェ自身にあるというより、彼が種牡馬として置かれた立場にあったのかもしれない。サンデーサイレンスと瓜ふたつのルックスから、彼は特に日高の生産者に根強い人気を誇る。それを考慮した社台スタリオン側も、種牡馬入り当初は種付け料を300万円に抑え、かつ種付け希望も自らの繁殖より日高の牧場を優先するという方針を取っていた。それが結果的に産駒の特性をバラつかせた可能性は否定できない。

Cafe1 

ところが今年の3歳世代になって、突然エリート街道を歩む産駒が大挙出現した。なぜだろうか。

2009年にリーディングサイアーとなり、さらに翌10年には皐月賞5頭出し、ダービー4頭出し、菊花賞5頭出しと、一定の存在感を示したことで、11年から種付け料が500万円に引き揚げられたのである。それはすなわち、社台グループの良質牝馬に種付けする機会が増えることを意味する。その翌年に産まれてきたのが現3歳世代。シングウィズジョイ、クイーンズリング、ルージュバック、アースライズの4頭もすべて社台グループの生産馬だ。

Cafe2 

もともと、骨格のバランスや筋肉の柔らかさは父・サンデーサイレンス以上と評されたマンハッタンカフェである。そこに母系のアシストを受ければ、産駒がこれくらい走っても不思議でない。オークスを勝てば、さらに人気沸騰は確実であろう。だがしかし、種牡馬入り当初の激務が祟ったのか、最近の彼は疲労が激しく、種付けにも苦労するほどだと聞く。まだ17歳。これからという気もするが、無理はさせられまい。今年の社台募集1歳馬リストのマンハッタンカフェ産駒が、俄に気になってきた。

 

***** 2015/05/20 *****

 

 

 

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2015年5月19日 (火)

よみがえるヒート競走

今日、大井2日目の注目レースといえば、そりゃあメインの「ゆりかもめオープン」なのかもしれないが、私個人は3Rの「2歳」が気になって仕方ない。なにせ、出走全馬が前走で同じレースに出走しており、その時の1~6着馬がソックリそのまま対戦するのである。JRAでこの番組は考えられない。地方ならではの一戦と言えよう。

前回から変わったことといえば、2頭が乗り替わりになったことと、距離が1000mから1200mに伸びたことくらい。なぜか枠順まで前走と似通っている。馬場状態も前回と同じ稍重。つまり、力関係が分かり切ったメンバーでわざわざ競馬をするという、なかなか画期的なレースが実現したわけだ。

なぜこんなことが起きたのか。一般的に年の最初の新馬戦は2鞍以上で行われ、次の開催ではそれぞれの上位入着馬同士と、敗退馬同士の2鞍のレースを組む。それなら、ファンの購買意欲を削ぐようなことはない。だが、今年最初の新馬は1鞍しか組まれなかった。4月10日の能試をパスした2歳馬は13頭。そのすべてがデビューすれば問題なかったが、実際に新馬にエントリーしてきたのは7頭に留まった。これではレースを分割することはできない。

今年からの試みとして、例年6月だった新馬戦のスタートを2か月近く前倒しした影響もあろう。ともあれ、現時点で「2歳既出走」の条件を満たす馬はこの時に走った7頭しかいないのだから、今日の3Rはやむを得ない。だが、買う側としては予想も何もあったもんじゃない。前走4馬身差圧勝のイジワルナハローが1番人気なのは当然。そのイジワルナハローには敗れたものの、3着馬を5馬身置き去りにしたサブノクロヒョウが2番人気。これも当然であろう。

果たして結果はこのようになった。

Ijiwaru 

 着順 馬名 前走着順 
 ----------------------------
 ①イジワルナハロー  (1)
 ②サブノクロヒョウ  (2)
 ③フォートカルガリー (3)
 ④ロイヤルタイド   (5)
 ⑤ネコグリン     (4)
 ⑥クラージュ     (6)

前走とは4着と5着が入れ替わっただけ。ネコグリンの今回は出遅れが痛かった。とはいえ馬券に影響はない。これで3連単450円は、むしろ“つけた”感がある。

「さっきのレース、やる意味あったのかな?」

次のレースのパドックでは、そんな声も聞こえた。敢えて意味を探すなら、4番人気で勝ったイジワルナハローの前走が、フロックではなかったということか。同じメンバーで2度走って、いずれも1着なのだから、イジワルナハローがこの条件では能力上位であることがはっきりした。そういう意味では、近代競馬黎明期の英国でさかんに行われていたヒート競走を見た思いがする。

 

***** 2015/05/19 *****

 

 

 

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2015年5月18日 (月)

ミズナラの女王

「日本ダービー」の呼び名の通り、JRAのダービーには「日本」の冠が付くのに対し、オークスを「日本オークス」と呼ぶことはない。だから、日本国内で行われるクラシックレースのうち、オークスだけは本家イギリスと同名になっている。

ただし、これがいわゆる通称であることは大半の方がご存知だろう。通称「オークス」の正式名称は「優駿牝馬」である。「日本ダービー」の正式名称が「東京優駿」であることも、競馬ファンのほとんどが知っている。

Nuvo 

では、英語のOAKSが、実際には「樫」ではなく「ミズナラ」を指す言葉であることをご存知の方は、どれくらいいらっしゃるだろうか。

Smile 

元を辿れば明治時代の誤訳に原因はある。英語のOAKを「樫」と訳した英文学者は、残念なことに植物学者ではなかった。ちなみに樫とミズナラは遠縁には違いないが、近親と呼べるほどの間柄ではない。桜と桃くらいの間柄だそうだ。

Gentil 

ともあれ、「OAKS」というレース名の起源ともなったダービー卿の別邸に生い茂っていたその木は、樫ではなくミズナラだったのである。

Air 

しかし少なくとも競馬の世界では「オーク=樫」として定着して、その根を地中深くまで伸ばしてしまっている。昨年の表彰式でも「樫の女王」というフレーズが幾度となく使われていた。いまさらオークス馬を「ミズナラの女王」と呼ぶのは難しい。語感的にも「樫」の方がピタッとハマる。「ミズナラの女王・エアグルーヴ」と言われても、あまり強そうに感じないもんね。

 

***** 2015/05/18 *****

 

 

 

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2015年5月17日 (日)

浦和桜花賞馬の娘

東京1Rの馬柱を見ていたら、出走馬の母欄に見知った名前を見つけた。

Diamondcore 

2番人気に推されているウエバフラッシュの母・ダイアモンドコアは、1997年の東京3歳優駿牝馬と翌年の浦和桜花賞を勝った南関東の名牝。5歳時(※当時表記)に挑戦したエルムSでは、単勝オッズ288.7倍というとてつもない人気薄にもかかわらず、あわやの4着に追い込んで一部の南関ファンを狂喜させた。

Naiki 

繁殖入りしたダイアモンドコアの産駒からは、羽田盃馬・ナイキハイグレードを筆頭に5頭が24勝を挙げる活躍をしているが、JRAでの勝利は5年前に記録されたべルーフの未勝利勝ち1勝のみ。たしかい南関東に縁のある牝系ではあるが、だからといって産駒が中央で活躍しないで良いはずがない。

1r 

―――と期待してはみたのだが、果敢に先行したウエバフラッシュは、直線で一度は先頭に立つシーンもありながら、追い比べに敗れての3着。初勝利は次回に期待したい。

ところで「ウエバ」って何なんだろうと思ったら、オーナーの苗字だという。しかし、昨年のセリで落札したのは「ハナズ」の冠名でお馴染みのM.タバート氏だったはず。どういう経緯があるのか知らないが、この馬にタバート氏が絡んでいるのなら、ひとつくらいは勝ってくれるだろう。そう思いたい。今日のハナズゴールは残念だったけど。

 

***** 2015/05/17 *****

 

 

 

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2015年5月16日 (土)

クロフネ産駒が地方通算1500勝

クラリティスカイのNHKマイルカップ勝利は、クロフネ産駒のJRA通算1000勝目の勝利でもあった。JRA史上16頭目。2005年6月19日、プラチナローズが阪神の新馬戦を勝ってから足掛け10年での記録達成である。節目の勝利をGⅠレースの父子制覇で飾ることなど、そうそうできることではない。

Kurofune 

クロフネ産駒が積み重ねたJRA1000勝の内訳は、芝288勝に対してダートはその倍以上の684勝、残り28勝が障害である。

実は、今日の高知8Rをサクラシリアスが勝って、クロフネ産駒は地方の勝利数でも通算1500勝に到達した。おめでとうございます。ちなみにこの数字は、勝ち星が芝に特化するディープインパクトはもちろん、芝・ダート兼用種牡馬の代表格・キングカメハメハをもはるかに凌ぐ。

Capture 

ほとんどの勝ち星をダートで稼いでいるクロフネなのに、「ダート向き種牡馬」というイメージが湧かないのは、ホエールキャプチャ、カレンチャン、スリープレスナイトといった代表産駒が、みな芝のチャンピオンだからであろう。「エースは芝」。この言葉が馬主ゴコロを微妙にくすぐる。

Natare 

もうひとつ。クロフネには「エースは牝馬」という格言もあった。クラリティスカイやアップトゥデイトの活躍で、いずれ死語になる可能性もあるが、地方所属の代表産駒もナターレ、ミヤサンキューティ、トーコーヴィーナスとやはり牝馬ばかりが目に留まる。

だがしかし、つい先日はステファノスが香港のGⅠで2着と好走。また、ホープフルSを勝ったシャイニングレイはリタイアしてしまったが、代わりにポルトドートウィユが京都新聞杯2着確保でダービー出走を確実にした。ここへきて母の父としても存在感を増しつつあるクロフネにとって、牝馬の活躍は決して悪い話ではない。

生産頭数が減少している現在、牝馬たちの活躍は歓迎すべきことで、繁殖牝馬の総体レベルが高くなれば、全体のレベルダウンも避けられる。そういう意味では、牝馬の活躍馬を送り続けるクロフネこそ、勝利数や獲得賞金のランキングでは測れぬ優れた種牡馬ということなのだろう。

 

***** 2015/05/16 *****

 

 

 

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2015年5月15日 (金)

1億9千万円のインパクト

2頭の併せ馬が徐々に加速を始めると、それまでザワザワと話し声の絶えなかったスタンドが息を呑むように静まり返った。

千葉トレーニングセールの28組目。ゼッケン16番はムーンレディの2013。エイシンフラッシュの弟にしてディープインパクト産駒の牡。今年の、いや過去十数年を遡ってみても、間違いなく千葉セリ・ナンバーワンの血統馬の登場である。漆黒の馬体は兄に瓜二つだ。

200のハロン棒を通過。すると騎乗者がムチを入れた。内のランペルティーザの2013(父マンハッタンカフェ)の手綱は動いていないのに、外の手綱は激しく動いている。スタンドがまたざわつき始めた。結局、調教時計こそ2頭同タイム(24.6-11.4)だったものの、ムーンレディの2013がアタマ差遅れての併入。スタンドは微妙な空気に包まれた。

Choukyo 

「これ(アタマ差遅れ)が、どう影響するのかな?」

お茶を飲みながらセリが始まるのを待っていると、どこからかそんな声が聞こえてくる。

国内トレーニングセール初の1億円ホース誕生なるか―――。

そんな見出しで今年の千葉トレーニングセールの見どころを紹介する記事を見かけたが、この血統なら調教など見せずとも1億を超えることは間違いない。そもそもお台からして8千万円と聞いている。おそらく一声で1億。最終的には2億から3億の攻防ではないか。そう思っていた。

とはいえ、今日はあくまでもトレーニングセールである。「調教なんか関係ない」と言っても、もし 23.0-10.5 などという猛時計を叩き出したならば、それが価格に跳ね返ることは間違いない。だがこの時点で、少なくともその要素はなくなった。

時計と言えば、今年はひとつの傾向があったように思う。57頭が走って上がり1ハロン10秒台が一度も計時されなかったのである。

ちなみに昨年は59頭中13頭が10秒台を記録していた。しかし今年は、遮二無二時計を出そうとする姿勢は、あまり伝わってこなかったような気がする。「馬なり」で終える組もあった。それで11秒台なら悪くはない。時計ばかりに頼るのでなく、フォームや息の入り具合など、様々な視点での評価が求められるということか。ダービー馬の弟がトレーニングセールに出てくること自体もそうだが、トレーニングセールのあり方がひとつの転換点を迎えているのかもしれない。

「バレッツにも、キーンランドにも、こんな素晴らしい馬はいない!」

セリ会場で合田直弘氏が絶賛したムーンレディの2013は、結果1億9千万円で落札。落札者はマツリダゴッホでお馴染みの高橋文枝氏だった。これを高いと見るか、安いと見るか。先ほど書いたように、私の見積もりよりは安い。とはいえ、私が買える金額では、もちろんない。

ちなみに、高橋氏と最後まで競り合った相手が、よりによってセリ会場で私の隣に座っていたものだから、全く関係ないのに私の方が緊張してしまった。最後の最後、1億9500万の声を挙げられずに断念したが、もしその一声が出ていれば、2億の大台に届いていたかもしれない。あのアタマ差が500万円を逡巡させたのか。あるいは、そもそもトレーニングセールに2億は出せないのか。もちろん、そんなことを聞くわけにもいかない。その答えは、また来年探すことにしよう。

 

***** 2015/05/15 *****

 

 

 

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2015年5月14日 (木)

「府中」「京王」「SC」と言えば

突然だが、「府中」「京王」「SC」と聞いて何を連想するだろうか?

これを読んでいる方なら、まず間違いなく土曜の府中で行われる京王杯SC(スプリングカップ)を思い浮かべるに違いない。大事な大事な安田記念の前哨戦。グレード制が導入された1984年以降の優勝馬30頭のうち、GⅠホースは16頭と実に半数を超えている。84年以降ならレースは31回行われているはずなのに優勝馬が30頭なのは、スティンガーがレース史上唯一の連覇を果たしているからだ。

Stinger 

そんな価値あるレースを差し置いて、「府中」「京王」「SC」をキーワードにウェブを検索すると―――ほぼ間違いなく―――「京王府中SC(ショッピングセンター)」関連のサイトが上位を独占するのである。これには驚いた……って、私だけだとは思いますが(笑)

Sc 

ともあれ「京王府中SC」とは、京王線府中駅に直結し、京王ストアや京王アートマンといった京王系列店舗や様々な飲食店が軒を並べる複合施設。以前「築地の名店の親子丼が味わえる」という触れ込みで紹介した『汁るべ家』も、実はこの施設内の一店舗である。京王杯SC的中の願掛けにとばかりに再訪してみた。

実はこの店、昼間はうどんをメインに据えながら、夜になると鶏料理主体にメニューを変える。そこで注文したのは鶏天うどん。うどんと鶏の二刀流を謳う店なら、この一杯に期待せぬ手はない。

Toriten 

「二刀流」「府中」「京王」「SC」で私の頭の中を検索すると、一頭の馬がヒットする。

芝とダートで2勝ずつを上げているレッドファルクスは、京王杯SC出走予定メンバー中では唯一「二刀流」と呼べる存在であろう。しかも母ベルモットは、あのスティンガーの全妹。その弟のアーバニティも京王杯SCでは3着に好走した。明後日が雨予報である点も見逃せない。来れば大穴間違いなし。へっへっへっ……とほくそ笑んでたら、なんと回避だそうである。残念。それでも、鶏天は柔らかくて美味かった。

 

***** 2015/05/14 *****

 

 

 

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2015年5月13日 (水)

【カレー麺②】空腹の男

朝から虎の門の病院に行ったら、思いのほか時間がかかってしまった。時計を見ると1時に近い。腹ペコで死にそうだ。空腹のあまり虎の門界隈をふらふらと歩くうち、美味そうな匂いに誘われて辿り着いたのが『ミスターハングリー』。「焼きスバゲッチ」でその名を知られるこの店は、大手町『リトル小岩井』に並ぶ“ロメスパ”の聖地でもある。

Hungry1 

昼休みも終わりの時間だというのに、店の外には“ミスターハングリー”や“ミスハングリー”らが、長い行列を作って席が空くのを待っており、厨房では屈強な男たちがジャッジャッという音をたてて巨大なフライパンを振っている。そこから漂うバジリコやケチャップが焦げる独特の匂いがたまらない。並んでいる間に気を失ってしまいそうだ。

Hungry3 

幸いにも意識を保ったまま席に着くことができたので「キーマカレースパゲッチ」を注文。昨日書いた通り、カレー麺を見かけたら手当たり次第やっつけていくことにする。

Hungry2 

それにしても「ミスターハングリー」とは絶妙なネーミングだ。競走馬にいそうな気もする。でもいない。待っている間に調べた。それでも「ハングリージャック」という馬はいる。どちらも同じく「空腹の男」の意。フジキセキ産駒のハングリージャックは、社台オーナーズの所有にかかる一頭で、2歳秋のデビュー戦で1着入線を果たしながら、他馬の進路妨害により最下位に降着の憂き目をみた。

Jack 

あの日、中山で天国から地獄に落とされた共有馬主さんの姿は、なかなか忘れられるものではない。“アングリージャック”になっていた馬主もいた。それもこれも終わってみれば貴重な想い出……。そうなるためにハングリージャックにはもうひと頑張りしてもらう必要がある。8歳になった今年もまだ現役続行中。来週日曜、オークス当日のフリーウェイSに出走予定である。

キーマカレースパゲッチに話を戻す。

昨日、カレーにおける温泉たまごのポテンシャルを力強く訴えたばかりだが、パスタ相手となると事情が異なる。そもそもこの店には、温泉たまごというトッピングは用意されていない。合うかどうかも正直微妙だ。

その代わりと言ってはなんだが、ここには粉チーズというバイプレイヤーが控えている。ちょっと多いかな、と思うくらいドバっとかけたら、皿からこぼさぬよう慎重に混ぜ合わせて一気に頬張る。極太のパスタに挽肉の旨味たっぷりのカレーソースである。美味くないはずがない。鼻腔から抜けるカレーと粉チーズの香りも痛快至極。それを食べながら「さて、明日はどこでカレー麺を食べようか」と考えたりする私は病気かもしれない。食べ終わったら、また病院に戻った方がよさそうだ。

 

***** 2015/05/13 *****

 

 

 

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2015年5月12日 (火)

【カレー麺①】おんたまの力

台風ですね。

「5月の台風は珍しい」などと囁かれているが、気象庁の統計によれば、年に11.4個の台風が日本に接近し、うち5月に接近するのは0.6個だという。それほど珍しいものでもない。実際、4年前の日本ダービー当日に激しい雨をもたらしたのも、5月台風の仕業だった。

Orfe3 

予報によれば、明日の東京は雨も上がって晴れるらしい。それで最高気温を見たら30度とある。まじか? しかも、明後日も明々後日も予想最高気温は30度。真夏日が3日続けば、もう立派な夏である。となれば我々が採るべき道はひとつ。そう、カレーを食べるしかない。

―――なんてこともないけど、夏はやっぱりカレーですよ。先週土曜は夏を先取り。東京競馬場4Fの『馬そば深大寺』にて、牛すじカレーそばを軽く引っ掛けた。

Jindai 

うどんにしなかったのは、なんとなく温泉たまごにはこっち(そば)が合うかなぁ、と思ったから。深い意味はありません。でも、この温泉たまごは素晴らしい仕事をしている。黄身に箸を入れ、とろっと溶け出したところをそばに絡めてツツッとひとくち。たまごの濃厚な味が抜け出しを図ろうとするところに、パンチのあるカレーの風味が追い込んで、やがて両者が馬体を併せてゴールを目指す。美味い。冬もいいが、夏はなおいい。

Kaguya1 

府中駅近くの『かぐや亭』は、あまり見かけぬ焼きそばの専門店。そこにカレー焼きそばなるメニューがあったものだから、つい頼んでしまった。

Kaguya2 

スマホからホームページの画面を見せるだけでトッピングが無料になるというので、迷わず温泉たまごを発注。カレー自体はそんなに辛くいものではないが、なんとなく味が画一的になりがちな気がするので、温泉たまごで味にグラデーションをつけるのは悪くない。なんか、カレー麺というより温玉の話だな、これじゃ(笑)

辛くないと思ったのに、それでも食べ進めるうちにじわりと額に汗が滲んできた。カレーの力は侮れない。明日からの暑さもカレー麺を食べて乗り切ろう。

 

***** 2015/05/12 *****

 

 

 

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2015年5月11日 (月)

買い物上手、買い物下手

今日は朝から時間が空いていたので、ついに重い腰を上げて洋服屋に出かけた。夏のローカル競馬に着ていくジャケットの購入。実は一昨年からの宿題であった。ために、昨年は冬用のジャケットを着て夏の福島へと繰り出し、ひとり大汗をかいていたという苦い記憶がある。

Fukusima 

別に青山や銀座の有名店に行くわけではない。買うのも既製品。それがなぜ2年がかりの悲願になったのか? それはひとえに私がお買い物を苦手としていることに尽きる。「買い物かぁ。面倒臭いなぁ。何かのついででいいや」。その“ついで”はついに現れなかった。

だから、家人の買い物に付き合わされるのは苦痛でしかない。せっかくの休日を買い物をして潰すと思うと、そら恐ろしくなる。特に解せないのは「ウインドウショッピング」というやつ。買いもしないバッグや雑貨をただひたすら見て店を回ることの、いったい何が楽しいのか? 実際、口に出してそう言ってみたりもする。

「あなただって、買えもしないくせにセレクトセールに行くじゃない。それと同じでしょ。ふん」

そう言い返されると、こちらも黙るしかない。

買い物が苦手とはいえ、買う物を選ぶのは早いほうだと思う。例えばジャケットなら売場でまず目についた一着を決める。これが暫定チャンピオン。あとは、その暫定チャンピオンを片手に、片っ端から挑戦者と対戦してゆけばよい。すると最終的に比類なき真のチャンピオンが誕生する。

そう考えると、私は買い物が「苦手」なのではなく「好きではない」と言った方が正確な気がする。むしろ買い物は上手い方なんじゃないか。今回のジャケットも入店から5分とかからずに購入完了。これで福島だろうが、新潟だろうが、万事心配はない。

だから、買い物に付き合わされた上に、色やデザインやサイズなどでうだうだ悩んでいる姿を見ると、つい「早く決めてくれよ」と口に出してしまう。こちとら即断即決の買い物上手。うだうだ悩むのは買い物下手の見本だぞ。

「冗談言わないでよ! 買った馬はろくに走んないし、馬券もぜんぜん当たらないあなたに買い物下手呼ばわりされる筋合いはないんだから。ふん!」

そう言われてまた黙ってしまった。馬も馬券もジャケットと同じような選び方をしているからダメなんだろうか。やっぱり買い物は苦手で、そして下手である。

 

***** 2015/05/11 *****

 

 

 

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2015年5月10日 (日)

Jockeys be ambitious !

昨日のプリンシパルSは、クリストフ・ルメール騎手のアンビシャスが1番人気を集めていた。東京の2000mで16番枠は正直厳しい。それでも慌ててポジションを取りに行ったりせず、道中は後方でじっくりと構える作戦。直線に向くと馬群のまん真ん中に進路を取り、馬群を縫うように伸びて先頭ゴールイン。たった1枚の、貴重な日本ダービーへの優先出走権を手にした。

11r_2 

この日のルメール騎手は、9Rをゼウスで、12Rをフェリーチェレガロで勝つなど、3勝(2着2回)の固め打ち。通年免許取得後初めてとなる東京参戦で、その技術の高さを改めてファンや関係者に印象着けた。

8r_2 

それにしてもルメール騎手がこの時期の東京で乗っていることに、私自身がまだ馴染めていないような気がする。2002年以来、毎年欠かさず短期免許で来日して、すっかり日本の競馬でもお馴染みになった彼だが、来日するのは決まって冬の数か月間。欧州のオフシーズンに限られていた。だから、彼の姿を見ると、なんとなく寒く感じる……なんてことはさすがにないけど、5月の東京で見る彼が新鮮であることは疑いようもない。

12r 

本人もそれを楽しんでいるようだ。最終レースの口取り撮影を終えたあと、彼に用事があったので検量室の前で待っていたのだが、待てど暮らせど戻って来ない。おかしいな。別のルートから帰っちゃったのかな? 心配になってウイナーズサークルを覗いてみたら、最後まで残っていたファン全員にサインをして、写真を撮り、プレゼントを受け取っていたのである。「次のレースがないから、みんなにサインできたよ」。日本語で茶目っ気たっぷりにおどけて見せた彼は、もうすっかり日本の人気ジョッキーになっていた。

フランス・シャンティイ生まれの35歳。障害騎手だった父親の影響で、物心ついた時から騎手という職業に憧れていたという。普通高校に通いながらアマチュア騎手として腕を磨き、19歳で念願のプロライセンスを取得した。そんな大事なライセンスを返上してまで叶えたかった日本への移籍である。彼の覚悟は相当であろう。

「日本ダービーを勝つ」

免許交付式のあと、彼は高らかに目標を宣言した。日本行きを決断した理由を問われて、「常に高い目標を持つことがスポーツ選手にとっては重要」とも言っている。お茶目な仕草や童顔な顔立ちについ油断してしまいがちだが、内に秘めたる志は大きく、そしてアツい。ダービーでは引き続きサトノクラウンの手綱を取ることが既に決まっているが、この「アンビシャス」とのコンビでダービーに挑むのも悪くなかった気がする。

 

***** 2015/05/10 *****

 

 

 

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2015年5月 9日 (土)

麻婆うどん@東京競馬場

「担々うどん」「カルボナーラうどん」「ちゃんぽんうどん」「明太クリームうどん」「ミートソースうどん」……等々。

かつては変わり種とされた創作うどんが、最近になって続々と市民権を得ている。『つるとんたん』のような人気店の果たした影響も否定できないが、「何にでも合う」といううどんの本質に昨今のうどんブームが重なれば、当然の成り行きか。逆に「おかめうどん」とか「ちからうどん」といったかつての不動のレギュラーが、徐々に姿を消しつつあるようにも感じる。

Inamatsu 

そんな折に東京競馬場・フジビュースタンド1Fのレストラン『稲松』に、創作うどんのメニューを発見した。

それがコチラ。

Mabo1 

そう、「麻婆うどん」です。

Mabo2 

この店は以前から「麻婆ライス」を出していた。「白飯に合うんなら、うどんでもイケるんじゃね?」的な発想で、うどんに麻婆豆腐をかけてみたのだろうか。でも、その発想は決して間違っていない。今では定番のカレーうどんだって、そうやって生まれてきたのである。

とろみのついたマーボーはさほど辛くはなくマイルドな味わい。挽肉たっぷりのあんは、むしろ甘く感じられるほどだ。うどんへの絡みも悪くなく、すいすい口に入る。豆腐がやたらと大きくカットされているのは手抜きなどではなく、この方が食べやすいから……と思いたい。さきほど「辛くはない」と書いたが、やっぱり汗が出る。冬ももちろん良いが、夏場はなお良い。

Vs 

こんな具合に、こちらの店はメニューにひと工夫あることでも知られる。長い長い東京開催は、様々な麺料理で乗り切ろう。

 

***** 2015/05/09 *****

 

 

 

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2015年5月 8日 (金)

シンコウエルメスの血

先週土曜の東京9Rは芝2400m陣馬特別。2010年の春の天皇賞を勝ったジャガーメイルは、この陣馬特別の勝利をきっかけに3連勝でオープン入り。その勢いのまま暮れの香港ヴァーズで3着に入り、2年後には春の盾を制するまでに成長した。今年のメンバーの中に将来の天皇賞馬がいないとも限らない。1000万の条件戦とはいえ、ごまかしのきかない府中の12ハロンなればこそ、注目する価値はある。

Jinba 

勝ったのは戸崎圭太騎手騎乗のワールドレーヴだった。ファンタスティックライト産駒の5歳牡馬。4角最後方の位置取りから、直線だけで13頭をゴボウ抜き。その上がりは33秒6だというからすごい。中団から抜け出して一度は先頭に立ちながら2着に敗れたレオニーズの田中勝春騎手は、「見えないところから来られた」と悔しがった。その気持ちは分かる。

NZT2着のセイクレットレーヴの半弟で、叔母にには重賞戦線で活躍したエルノヴァがいる血統。祖母シンコウエルメスから広がる母系には、重賞勝ち馬こそいないが活躍馬が多い。シンコウエルメス自身、英・愛ダービーとキングジョージを圧勝したジェネラスの半妹という良血で話題になった。だが、デビュー戦で5着に敗れたあと、重度の骨折を負ってしまう。

本来なら予後は不良だった。だが、世界的名血を残したいという関係者たっての願いもあり、わずかな可能性にかけて手術に踏み切る。結果は成功。競走馬としての復帰こそ叶わなかったが、命を救うことができたおかげで、セイクレットレーヴやエルノヴァやワールドレーヴが生まれてきたのである。そう思うとワールドレーヴの勝利も、何か特別なものに見えてくる。

Jinba2 

2001年にはシンコウエルメスの全妹・イマジンが英オークスを勝った。これでシンコウエルメスの牝系にかかる期待はますます大きくなるに違いない。むろんその期待はワールドレーヴにも向く。父ファンタスティックライト、母の父ブライアンズタイム、母の母の父サドラーズウェルズ。さすがにこの配合なら遅デキだろうとは思っていたが、5歳春にしてようやく末脚が切れるようになった。なにより奇跡的に繋がった血統ゆえの生命力の強さを感じる。

果たして彼はジャガーメイルの軌跡を追えるだろうか。注目していきたい。

 

***** 2015/05/08 *****

 

 

 

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2015年5月 7日 (木)

幻の一戦

今週土曜の東京メインはプリンシパルS。1996年に新設されたダービートライアルだが、これまでのところプリンシパルSからダービーを勝った馬はまだ出ていない。

だが、惜しいケースは一度だけある。プリンシパルS創設初年度のこと。この年の優勝馬はダンスインザダークだった。

Dance1 

いま思えばダンスインザダークほどの器の持ち主が、わざわざプリンシパルSに出走してきたこと自体が奇跡的に思えてならない。弥生賞を快勝。一躍皐月賞の主役に躍り出るも、レース6日前に発熱して出走回避を余儀なくされた。しかも、その皐月賞を制したのが弥生賞で3着に負かしたイシノサンデーだというのだから、悔しさも倍増である。

こうなればダービーだけは絶対に譲れない。しかし弥生賞から直行では間隔が空き過ぎるし、本番前に東京コースを経験しておくことも必要だ。そこで陣営は万全を期してプリンシパルSを使うことを決断する。こうしてプリンシパルSは、いきなりダービー最有力候補が出走する注目レースとしてその歴史をスタートさせた。

ところで、このプリンシパルには、もう一頭の有力馬が出走を予定していたことをご存じだろうか。この時点で2戦2勝。ダービーの秘密兵器と噂されていたフサイチコンコルドである。

もともと1週前の青葉賞に出走するプランがあったのだが、GWの渋滞に巻き込まれるのを嫌って回避していた。デビュー前に北海道から栗東に輸送したときに、輸送熱を出した経験を考慮してのこと。この時点では、ダンスインザダークとフサイチコンコルドがダービー前に顔を合わせる可能性が極めて高かったことになる。

しかし、話はそう簡単には進まない。首尾よく渋滞を避けてプリンシパルSの前日に府中に到着したフサイチコンコルドだったが、それでもやはり発熱。そのまま栗東に引き返すことになる。両馬とも発熱に翻弄されるあたりが、なんとも示唆的で興味深い。いずれせよ、プリンシパルSでのダンスインザダークとフサイチコンコルドの直接対決は幻に終わった。

Dance2 

もしあのプリンシパルSで2頭の直接対決が実現していれば、1996年のダービーはまた違った結末になっていたかもしれない。だが結果だけが競馬である。2頭の運命は変えようもなかった。

Derby 

 

***** 2015/05/07 *****

 

 

 

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2015年5月 6日 (水)

馬事公苑に込められた思い

昨日まで馬事公苑で行われていた「ホースショー2015」を観戦に来ていた知人と会うため駒沢公園へ。なぜ駒沢公園か。それは知人が「肉フェス」を覗いてみたいと言い出したから。GWの過ごし方はホントいろいろですね。

Niku 

「それにしても、再来年のホースショーはどうなるんだろうなぁ……」

もぐもぐと『格之進』の熟成肉を頬張りながら私が言った。馬事公苑は年東京五輪の馬術競技会場として使用されることが決まっている。だが、施設の一部は老朽化しており、また馬場の大きさなどが現在の国際大会の基準を満たしていないことから再来年の1月から2年半余りかけて全面改修工事を行うらしい。その間のGWは3回。国内最大級の馬術大会であるホースショーもその影響を免れまい。

もともと東京五輪の馬術競技は夢の島の仮設会場で行われる計画だった。だが、このエリアは羽田空港を離発着する航空機の通過コース。競技の最中に、たまたま飛行機が離陸し、その大音響に馬が驚かないとも限らない。

近くには大井競馬場もあるが、競馬であれば影響は全頭に及ぶから公平性が損なわれることはない。しかし、ひと組ずつ順番に競技を進めていく馬術競技の場合、影響を受ける競技者と受けない競技者とがハッキリ色分けされてしまう。飛行機の侵入ルートを変えるわけにもいかない。そういう意味では馬事公苑への会場変更は理に叶っている。むろん、既存施設の有効利用という効果も否定できない。

Jump 

「ところで、馬事公苑はなんで“公園”じゃなくて“公苑”なんだ?」

今度は知人が聞いてきた。「園」は植物のある庭、それに対し「苑」は動物のいる庭という意味がある。この駒沢公園のように市民に憩いの場所を提供する「公園」であるという側面と、動物を飼っていて囲いのある「苑」という側面。その二つのファクターを勘案して「馬事公苑」と名付けられた。

かつては馬以外に孔雀やほろほろ鳥なんかも苑内で飼われていたというが、「人と馬とが相互に理解を深めるための施設」というこだわりこそが、「公苑」という絶妙の言葉を生み出したのであろう。たかが漢字一文字とはいえ、そこには先人の強い思いが込められている。来るべき東京五輪では、世界の人にそんな思いを伝えたい。

 

***** 2015/05/06 *****

 

 

 

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2015年5月 5日 (火)

GWの過ごし方

普段からぼけーっとしていることが多いので、外で不意に呼び掛けられるともの凄く驚く。それが1日に二度となれば尚更である。

かしわ記念に向かう武蔵野線の車中で、偶然にも大学時代の同級生にバッタリ出会った。

向こうは家族連れで、これから『ららぽーと』にショッピングに行くという。こちらはGWだというのに一人で、しかもこれから競馬なわけだが、別に隠したり臆したりする必要もないので、そういった話をして南船橋駅で別れる。競馬客でごった返す改札口に彼はちょっとだけ嫌な思いをしたかもしれないが、こちらとしても歩道橋を埋め尽くした『ららぽーと』の買い物客には難儀させられた。

買い物客にとっては競馬というのはとても珍しいものなのだろう。レースが近づくたびに『ららぽーと』から買い物客がどやどや溢れ出てきて、コースが見渡せる歩道橋には黒山の人だかりが出来ることになる。これが「船橋競馬場3号スタンド」と呼ばれる所以。競馬そのものには、皆なんとなく興味を持っているわけだ。

3stand 

だからと言って、彼ら彼女らのほとんどの人は、実際に競馬場に足を踏み入れることには抵抗がある。だから遠巻きに競馬というものがどんなものかを恐る恐る眺めているのだろうが、こういう人たちの1割でもいいから競馬に呼び込みたい。

かしわ記念はワンダーアキュートの完勝。なんと9歳馬である。

Wounder 

8歳馬のGⅠ優勝ならばタイムパラドックスとカンパニーの先例があるが、9歳馬となると当方記憶にない。彼の初重賞制覇となったシリウスSは、もう6年前の話。2着ベストウォーリアも、3着ハッピースプリントも、まだ生まれていなかった。

Bowmore 

そんなことに思いを寄せながら茶色い酒でも飲もうかと、桜新町の『ルレ・サクラ』に立ち寄ったところ、カウンターに座っていたひとりの客が私の名前を叫んだのである。

「へ?」という間抜けな顔で声の主を見たら、近所の鮨屋でたまに顔を合わせる常連さんではないか。

しかし、実際にはこうして声を掛けてくれる人ばかりでないだろうから、普段からぼけーっと食事している姿を見られているでしょうなぁ。聞けば連休中は自宅に閉じこもって海外ドラマ「24シリーズ」を観まくっていて、キリが良いところで久しぶりに外出してこうして飲んでいるんだそうだ。世の中にはいろんなGWの過ごし方がある。

 

***** 2015/05/05 *****

 

 

 

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2015年5月 4日 (月)

豊橋の味を府中で

東京競馬場の西門から歩いて5、6分。府中街道沿いに暖簾を掲げる『砂場』に、一風変わったメニューがあることに気付いた。

Mise 

運ばれてきたのがこちら。その名も「とろめしカレーうどん」。この壺はいったい……?

Tsubo 

壺の蓋を開けるとこんな感じ。

01 

うどんはこの界隈で食される武蔵野系からすれば明らかに細め。カレーはそこそこ辛い。ダシが効いたいわゆる蕎麦屋のカレーうどんです。

食べ進めるうちに姿を現したのは、……とろろ?

02 

さらにその下から白飯が出現。いつの間にか私はカレー丼を食べていたのである。

03 

豊橋にお住まいの方はもうお分かりですね。これは愛知県豊橋市でブレーク中(らしい)の「豊橋カレーうどん」。2010年に産声を上げたばかりの新しいB級グルメで、今朝の新聞には「豊橋市内で100万食達成」がニュースとして取り上げられていた。

「ご飯、とろろ、カレーうどんの3層構造」など五つの約束事を守れば、あとはお店がどんな工夫をこらしても構わない。食べ進むうちに別の食べ物に変身してしまう画期的な一杯。それを豊橋から遠く離れた府中で食べられるのだからありがたい。食べる側の注意点はただひとつ。かきまぜ厳禁である。

これを面白いと思うか。あるいは邪道と捉えるか。評価は分かれるに違いない。4年前から始まった「全国ご当地うどんサミット」に4年連続出品して、3位、2位、4位、3位という投票結果が、そんな微妙な立場を如実に映し出している。突き抜けるにはもうワンパンチ欲しい。それでもご当地うどん界のステイゴールド的存在として、注目し続ける価値はありそうだ。

Menu 

【豊橋カレーうどんの五箇条】

①自家製麺を使用する
②器の底からごはん、とろろ、カレーうどんの順に盛り付ける
③豊橋産ウズラ卵を使用する
④福神漬けまたは壺漬・紅ショウガを添える
⑤愛情を持って作る

 

***** 2015/05/04 *****

 

 

 

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2015年5月 3日 (日)

繋がった血

ゲートに入るのを嫌がって発走時刻を遅らせ、道中は唯一頭ポツンと最後方を追走。2周目の向こう流しで早くも進出を開始して、ゴール前はカレンミロティックを捉えつつ、フェイムゲームの猛追を凌いでみせた。

それが出走メンバー中ただ一頭の芦毛馬である。目立って当然。最初から最後までファンの視線はゴールドシップに釘付けだった。終わってみれば、今年の春天はゴールドシップのためのレースだったと言っても過言ではあるまい。そしてそれは、ゴールドシップの母の父であるメジロマックイーンに捧げる天皇賞でもあった。

メジロアサマ~メジロティターン~メジロマックイーンによる父子3代天皇賞制覇の偉業から四半世紀。「父子」の系譜は途切れたかもしれないが、天皇賞馬の血統表にマックイーン、ティターン、アサマの名前が載ったことには違いない。何よりゴールドシップのこの真っ白な毛色は、祖父・メジロマックイーン譲りである。

Gold 

そもそも、たとえ「母の父」としてであっても、たいへんな偉業であることは言うまでもない。同じく母の父にメジロマックイーンを持つドリームジャーニーとオルフェーブルという、疾風怒濤の兄弟をもってしても、ドリームジャーニーの3着が最高着順。ゴールドシップ自身も2年続けて敗れていた。この3頭でダメなら、この先チャンスなどあるまい。ある意味ではラストチャンスだった。

むろん横山典弘騎手の常識に囚われない騎乗ぶりも忘れてはならない。坂の手前から動くその姿にメジロライアンの宝塚記念を見た思いがする。あのレースで負かした相手は、父子3代天皇賞制覇を成し遂げたばかりのメジロマックイーンだった。あれから24年。「馬の機嫌を損ねないように」と強調したそのインタビューに月日の流れを感じた。

 

***** 2015/05/03 *****

 

 

 

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2015年5月 2日 (土)

春光に輝く黄金の勇気

5連休初日の今日は全国的に気温が上昇。甲府や長野は30度超えの真夏日となり、府中でも27.1度を記録した。おかげで競馬場内では生ビールが飛ぶように売れ、冷水機の前には行列が絶えない。「夏も近づく八十八夜」はもはや昔の話。現代の八十八夜は実質的に夏であろう。

なのに、東京の10レースは「春光ステークス」だという。「春光」とは春のやわらかな陽光を指すと同時に春の景色のことも指す。たしかに立夏まであと4日あるのだから、暦の上では今日が「春」であることは否定しようがない。だが、この暑さである。灼熱の陽光にさらされている身に「春光」と言われても、どうもピンと来ない。

地方競馬でも「春光賞」とか「春光特別」というレースは行われているが、ほとんどが2月から3月に実施されている。遅くても4月。5月の「春光」はJRAだけだ。

実はJRAでも「春光」の名を冠したースを2月に実施した年がある。1998年と1999年の2回。この時は900万条件の芝マイル戦で、1998年の覇者はのちにGⅠを2勝するブラックホークである。まだまだ寒い時季でありながら、今年も戻って来た春の陽光、その下に輝くのどかな競馬場の景色こそが、私にとっての「春光」だった。

Syunko 

さて、夏日の春光ステークスを勝ったのは1番人気のクラージュドール。昨秋に準オープンで3戦連続して2着に敗れた時は、伯父・ステイゴールドの呪いかと軽口を叩かれもしたが、きっちり勝って二度目のオープン入りを果たした。

直線最内を突くも前を4頭に塞がれて万事休す……と思ったのもつかの間、横に広がった4頭のさらに外に持ち出すと、颯の如き勢いでその4頭をまとめて差し切って見せのだから凄い。クラージュドールという馬名は「黄金の勇気」という意味だが、騎手にも相当の勇気が要ったことだろう。「ああ……届かない」。誰もがそう思った位置からそれでも差し切った末脚に、偉大な伯父の引退レースが重なった。

 

***** 2015/05/02 *****

 

 

 

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2015年5月 1日 (金)

ドローンと言えば

首相官邸の屋上で小型無人機が見つかった事件を受け、新聞、TV、そしてネット上に「ドローン」という言葉が氾濫する日々が続いている。「ドローン(drone)」とは複数の回転翼をもつ小型の電動無人ヘリコプターなどの総称。その言葉の由来は蜂の羽音にあるとされるが、ちょっと競馬を知る人ならば米国の種牡馬を連想するに違いない。

サーアイヴァーやハビタットと同じサーゲイロードを父に持つドローンは、ハイアリアパーク競馬場での未勝利戦を勝って自らの競走馬生活をスタートさせた。その後も条件戦ばかりを使われ通算4戦全勝のまま引退。重賞には出走さえしていない。だが、その4戦で2着につけた着差の合計は22馬身半。1レースあたりの平均着差は5馬身半あまりだと思えば、馬の能力を測るにはそれで十分だったであろう。

それでもやはり初年度産駒は30頭に留まった。だが、その僅かな産駒が4つのステークスを勝つ活躍を見せたのだから、周囲が放っておくはずがない。結果、ドローンは593頭の産駒を送り52のステークスを手にする。さらにダンシングブレーヴの母の父となったことで、ブルードメアサイアーとして一躍脚光を浴びる存在となった。

実際、ドローンは直系よりも母系に入って存在感を増すことで知られる。ダンシングブレーヴ以外にも、グラインドストーン、ワイルドラッシュ、プリンセスルーニー、カリズマティック、テイエムオペラオー、メイショウサムソン、スイープトウショウ、カレンブラックヒル、ノボジャック、クラレント、アドマイヤモナーク、ハギノリアルキングと、母系にドローンを持つ活躍馬は列挙にいとまがない。

Meisho 

そういう意味では自身にドローンの血を持つ繁殖牝馬は貴重だ。写真(下)の「ポーカーアリスの2014」はシニスターミニスター産駒の牝馬。4代母にあたるDinのお父さんがドローンである。夏のセリに出しますので、繁殖牝馬としての価値までご考慮いただいて、ぜひともご注目ください。なんて、これは宣伝ですcoldsweats01

Alice2014 

そういえば、あの白毛のアイドル・ユキチャンもボトムラインにドローンを持つ活躍馬の一頭だった。あさって日曜の新潟1レースに初仔のポリアフが出走を予定している。そろそろ初勝利を狙いたい。

 

***** 2015/05/01 *****

 

 

 

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