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2015年4月26日 (日)

母の無念

10Rの府中Sで目当ての馬が負けたのを確認したところで、私は西門に向けて歩き出した。2か月ぶりのJRA競馬場。あちこち歩いたせいか思ったより疲れいている。メイン前の空いた電車で帰りたい。

ところが、西門の手前でフローラS出走各馬のかえし馬を見ていたら、突然声を掛けられた。「あら、こんにちは。お久しぶりです。どの馬を撮ってらっしゃるんですか?」

見れば、知り合いの社台会員の女性である。どの馬というわけでもなく、ただ眺めていただけだが、これはどれか一頭名前を挙げなければなるまい。それで戸惑いながらも一頭気になっていた馬の名前を口に出してみた。

「んんと……、シングウィズジョイですね」

すると相手の目の色が変わった。

「うわ! 偶然! 私もなんですよ! 今日は絶対勝ちますよね! じゃあ、あとでウイナーズサークルで会いましょう」

私も……?

ひょっとしたら、彼女は「どの馬を撮って」ではなく「どの馬を持って」と言ってたのかもしれない。ありゃま。さすがに持ってませんよ。もし持ってたら、こんな冷静でいられんでしょう。ちなみに私の持ち馬、出資馬がJRAの重賞レースに出走したことはありません。

とにかく、このまま帰るわけにはいかなくなってしまったので、フローラSを見ていくことに。

いちばんの好スタートを切ったシングウィズジョイは、グリシーヌシチーを行かせて2番手でピタリと折り合っている。あとは慌てず騒がず。1000の通過は62秒6。その時点で勝負あった。直線ではディアマイダーリンとマキシムドパリの2頭が猛追するも、前半ラクをしたシングウィズジョイの脚も止まらない。後続をクビ差抑えて見事重賞制覇を果たすとともに、オークスへの出走権も手に入れた。

Joy1 

シングウィズジョイのお母さんのシングライクバードもオークスへの出走権をかけてフローラSに挑んだことがある。シングウィズジョイと同じ2番人気。道中は好位につけて直線に向いたが、前を捉えきることができず5着に終わった。優先出走権のないオークスの出走順位は19番目。わずかな望みにかけて追い切りまで行ったが、ついに出走回避馬は現れなかった。

あれから7年。積極果敢な先行策。勝って手にしたオークスへの優先出走権。シングウィズジョイは母の無念を知っていたとしか思えない。これで、クイーンズリング、ルージュバック、アースライズに加えてまた一頭、オークスにマンハッタンカフェ産駒の有力馬が挑むこととなった。クラシックに縁のなかった種牡馬マンハッタンカフェにも、ついに春が訪れるかもしれない。

Joy2 

そんなことを考えながら地下馬道へ。先ほどの会員氏をつかまえて握手を交わし、お祝いを述べた。それで私がシングウィズジョイに出資していないことを分かってもらえただろうか。興奮のあまり私の言ったこともうまく理解できていないようだったのが気になるところだが、ともあれおめでとうございます。

 

***** 2015/04/26 *****

 

 

 

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