« 悲しい金曜日 | トップページ | 【府中うどん探訪②】武蔵野うどん »

2015年2月28日 (土)

師弟の絆

数多くの名馬を育てた名伯楽・大久保洋吉調教師が、今日の中山開催を最後に調教師を引退した。ラストデーの出走はショウナンアイとベルゲンクライの2頭。その手綱はいずれも吉田豊騎手に託された。

大久保師が、馬だけではなく騎手も育ててきたことは、競馬ファンなら誰もが知っている。「いちばん思い出に残る馬」と師が公言するメジロドーベルの手綱を任せたのは、当時デビュー3年目で重賞も未勝利の吉田豊騎手だった。いくら所属騎手とはいえ、クラシックを狙える期待馬である。鞍上を不安視する声が無かったはずがない。実際、阪神3歳牝馬Sの直前には、ヤネを替えてはどうかという意見も周囲にはあったという。

Dober2 

だが「騎手を育てるのも調教師の使命」と、愛弟子をそのまま起用して挑んだ阪神3歳牝馬Sで見事なレコード勝ち。師の信念が結実した瞬間だった。一方、期待に応えてみせた吉田騎手にとっては、初重賞がGⅠレースという離れ業。なかなかできることではない。以後、メジロドーベルが引退するまでの全21戦に騎乗し続け、その経験を生かして千勝を超す一流騎手へと成長することになる。調教師の英断が名馬と名騎手を生み出した典型であろう。

Dober3 

吉田騎手が競馬学校を卒業して厩舎の所属騎手となった1994年3月以降、大久保洋吉厩舎が挙げた平地レースでの勝利は524を数えるが、そのうちの7割にあたる370勝が吉田騎手の手綱によるものだ。2番目に多いのが高橋智大騎手の20勝だから、この数字がいかに多いか想像できるだろう。2007年の有馬記念で、ルメール騎手をハイアーゲームに乗せたのを最後に、WSJSを除けば外国人騎手を起用したこともない。馬だけでなく騎手も育てるという信念は、調教師生活の最後まで貫かれた。

関東若手の星と言われた吉田豊騎手も4月には40歳となる。大久保厩舎一筋21年。今や完全に死語となった「師弟愛」をごく自然に語ることのできる騎手など、JRAではもはや彼だけではあるまいか。ラストランのベルゲンクライは4着。負けはしたが、検量前に吉田騎手を出迎えた大久保師のその顔は、まごうかたなき笑顔だった。

 

***** 2015/02/28 *****

 

 

 

|

« 悲しい金曜日 | トップページ | 【府中うどん探訪②】武蔵野うどん »

競馬」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 悲しい金曜日 | トップページ | 【府中うどん探訪②】武蔵野うどん »