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2015年1月 4日 (日)

ステイヤーの憂鬱③

ステイヤーが輝きにくい時代にあるのは、なにも日本に限った話ではない。日本が競馬の範を取ったと言われる英国においてもセントレジャーの凋落は著しく、クラシック三冠の概念そのものが形骸化しつつあるし、仏国においてもダービーが2100mに短縮されて既に10年が経過した。それを思えば、三冠最終関門として独自の存在感を誇る日本の菊花賞はまだまだ捨てたものではない。

かつて秋の天皇賞が2000mに短縮され、なおかつ3歳馬にも開放されるらしいと報じられるや、一部の馬主から猛烈な反対運動が起きた。曰く「菊花賞の地位を貶めるもので、伝統あるレースの存亡に関わる」というものである。

なるほど的を得た主張だが、今のところGⅠの格付は残されているし、施行時期がちょっと早まっただけでレースも存続している。件の馬主は心配し過ぎだったのか? いや、その後も皐月賞のマイル変更案が出たり、つい最近も春の天皇賞の距離短縮がまことしやかに噂された。菊花賞だけが聖域と言うわけにはいくまい。

ドバイワールドカップにせよ、BCクラシックにせよ、香港カップにせよ、国際的なチャンピオンシップを争う距離は、いまや2000mが主流である。さらに一昨日付でも書いたように、我が国における新設重賞レースもほとんどが2000m以下。この流れは止まりそうもない。

実はサラブレッドを生物学的、医学的に見た場合、個体としての特性はマイラーであるという考えが、近年では主流になりつつある。それなら世界的な距離短縮の潮流は当然のことのように思えるが、一方で競馬には「血」へのあくなき挑戦という普遍のテーマが存在することを忘れてはならない。サラブレッドがマイラーだからといって、能力検定をすべてマイルで行うようでは、サラブレッドの進歩はそこで終わる。

ところで「最も印象に残ったステイヤー」を聞いたら、皆さんはいったいどんな名前をあげるのだろうか。

オールドファンならグリーングラスやタケホープ。若いファンなら、史上初めて春天を連覇したメジロマックイーンに、そのマックイーンの3連覇を阻んだライスシャワーあたりであろう。デルタブルースのメルボルンカップ制覇は競馬史に残る偉業であろうし、私などは61キロを背負ってダイヤモンドSを連覇したスルーオダイナもぜひ加えたい。

Rice_2 

肉を切らせて骨を断つ―――。本物のステイヤーたちの走りには、そんな見るものを震わせる凄味があった。特にライスシャワーの走りはその典型であろう。本質はマイラーであるはずの彼らサラブレッドたちが、それでも死力を振り絞り、距離の限界に果敢に挑まんとするその姿に、見る人は心を打たれ、時には涙を流して感動するのである。スローの上がり勝負ばかりで退屈なレースが多いと言われれば返す言葉もないが、時に素晴らしいドラマが生まれるのもまた長距離戦であるような気がしてならない。

 

***** 2015/01/04 *****

 

 

 

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コメント

最近じゃドバイでもドバイゴールドカップがステイヤーの祭典として出来たんだが。
フェイムゲームのレースはステイヤー戦特有の乱ペースで良かったが後藤落馬では…。
春はドバイゴールドカップ秋はメルボルンカップ行けになるのか。
春は天皇賞春そのままで香港国際競走ではステイヤー部門が無いから秋にジャパンカップのアンダーカードとしてステイヤーチャンピオン決定戦をやったらどうか。
帯道馬向けのアンダーカード、欧州のステイヤー、メルボルンカップ出走馬、日本のステイヤーが世界のステイヤーオリンピックとして行うG1は興業的にありだと思うが。
アメリカはBCマラソンは同時期のメルボルンカップがあるから駄目だけどドバイゴールドカップを見る限り興業的にはステイヤーは欠かせなかったりする。

投稿: 名無し | 2015年3月 5日 (木) 01時07分

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