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2015年1月 2日 (金)

ステイヤーの憂鬱①

ここ数年のJRAは毎年のように重賞レース体系をいじってきた印象があるが、明けて2015年は大きな変更はない。たまにはこういう年があっていいと思う。と言うか、重賞カレンダーをファンの心に定着させるためには、ある程度の据え置き期間が必要であろう。鳴尾記念なんて、グレードはいくつで、何月頃に何メートルの距離で行われてるのか―――パッと思い浮かばないほどグチャグチャにされてしまった。

ともあれ今年から12月のターコイズSがGⅢ重賞に昇格。これで古馬のマイル重賞は14に増えることになる。それで気になって年を遡って重賞レースの平均距離を調べてみた。調査対象はグレード制導入以降のJRA古馬GⅠ~Ⅲ重賞。2歳および3歳の限定戦と障害、そしてアラブ限定戦は含まない。

年 レース数 平均距離
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1984年 58鞍 2005.17m
1995年 62鞍 1969.35m
2005年 76鞍 1882.89m
2015年 80鞍 1832.50m

ご覧の通り、古馬の重賞レースの数は増える一方で、その平均距離はどんどん短くなっているのである。感覚的にはそうだろうなと思ってはいたが、こうして実際に数字にして表してみると、分かっていたこととはいえ愕然としてしまう。

そもそも、1984年の時点で1200mの古馬重賞は、CBC賞、北九州記念、そしてスプリンターズSの3鞍しかなかった。それが今ではアイビスサマーダッシュも含めて12鞍である。同様に1400mの重賞も3鞍から7鞍に増加。一方で2400m以上の重賞は13鞍から11鞍へと漸減である。これでは平均距離が短くなるのも無理はない。ダンスインザダークの悲鳴が聞こえてきそうだ。

Dance_3 

もちろんJRAだってやみくもに変えているわけではない。短距離を好む―――長距離を退屈と感じる―――ファンの嗜好や、市場の短距離血統指向、さらには全世界規模で進むレース短距離化の流れが背後にはある。

それでも、我が国のチャンピオンシップは相変わらず2400mで争われており、チャンピオンホースはまるで魅入られたように凱旋門賞を目指すから不思議だ。2000mで行われるBCクラシックや、ドバイワールドカップの方が、日本の重賞距離体系に近い上に凱旋門賞より賞金も高いのに……。結果としてマイルや2000mの重賞をステップに凱旋門賞に挑むという、欧米人からすればちょっと不可解なローテーションが生まれたりする。

ディープインパクトもオルフェーヴルの最初のチャレンジの時も、凱旋門賞では最後の最後に苦しくなったところを他馬に差された。オルフェーヴルがゴール前にヨレたのは「気の悪さ」とも言われたが、スミヨンがそんなヘマをするはずがない。ディープインパクトにしても、ゴール後は脚も頸も上がっていた。日本のチャンピオンに足りないものが、スタミナであることは疑いようがない。

サンスポの佐藤洋一郎氏は「本気で凱旋門賞を勝ちたいと思うなら、秋の天皇賞を3200mに戻せ」と事あるごとに訴えている。だが、現在の古馬重賞の平均距離は約1800m。驚くべきことに秋天の2000mは、重賞全体の中においてむしろ長い部類に入ってしまう。昨年のドバイデューティーフリー(1800m)で見せたジャスタウェイの強さは、日本の古馬重賞体系を象徴していたのかもしれない。

 

***** 2015/01/02 *****

 

 

 

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