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2014年12月21日 (日)

「中古馬」の違和感

イルポスティーノは父がフレンチデピュティ、母は京都牝馬Sを勝ったチアズメッセージという血統の5歳セン馬。兄にJRA5勝のプレファシオがいる。3200万円(一口40万円)でサンデーサラブレッドクラブの募集にかかると、2歳9月の中山で新馬デビュー。そこから22戦してダートで2勝を稼いだ。

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先日の川崎競馬場でのこと。全日本2歳優駿のレースが終わった直後の最終レースのパドックに、そのイルポスティーノの姿があったのである。ちなみにこのレースは中央交流競走ではない。サンデーレーシングの地方ファンド馬として地方に移籍したわけでもない。

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実は、10月26日の福島戦で勝ち馬から12馬身離れた10着に大敗したことを受け、関係者は同馬のファンド解散を決断。その4日後には楽天のサラブレッドオークションに出品され、約120万円の値で売却されていたのである。

クラブが引退馬を地方競馬の馬主に売却し、その売却益を会員に還元することはこれまでも行われてきたが、基本的には相対取引で、「よくわからないまま売られてしまった」という思いを抱く会員がいたことも事実。社台グループでは、この夏からその取引をネットオークションに委ねた。3200万円の馬が120万円と聞けば、中には驚く方もいるかもしれないが、従来の取引を考えても十分妥当な金額。ほとんどが一声落札のセリに比べれば、むしろこちらの方が市場原理が働いているようにも思える。

オークションのメリットは市場原理に伴う健全性だけではない。社台とは無縁だった関係者が社台ブランドの血統馬を手に入れることもできるし、買おうと思えば元の会員が自分ひとりの所有馬にすることも可能。ひいては地方競馬の活性化にも繋がる。

オークションに参加するには楽天会員登録のほかに、サラブレッドオークションの利用登録申請が必要で、実際には馬主登録番号などが求められる。だから一般の誰もが参加できるというわけでもない。むろん落札した瞬間から、その馬は落札者のものであるから、そこから(実際には翌日分から)預託料が発生するし、輸送費も当然落札者が負担する。入厩先だってすぐに決めなければならない。そういう意味では相応の責任も伴うが、「馬を持つ」ということは元来そういうことでもある。それを重荷と感じるくらいなら、クラブ会員のひとりとして出資を続けている方が楽しかろう。

オークションサイトには他クラブの現役競走馬や繁殖牝馬も上場されている。先週は空胎の繁殖牝馬サトノジェイドが583万5千円(税別)で落札される一方、ロジユニヴァースを受胎しているセレブレイトコールへの入札は0件であえなく主取となった。見ているだけでもなかなか面白い。セリ会場の緊張感とは無縁だから、つい入札してしまいそうになる。危ない。

ただひとつ。上場馬を紹介する画面には、現在価格やオークションの残り時間、入札件数などと並んで「商品状態」という項目があるのだが、そこに「中古」と表示されていることがとても気になる。オークションサイトなのだから当然なのかもしれないが、サラブレッドは生き物。ブランドバッグやゲームソフトのような扱いはして欲しくない。

 

***** 2014/12/21 *****

 

 

 

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コメント

ライカ犬様

コメントありがとうございます。オークションそのものは悪くないと思うんですけど……。馬たちには、せめて新天地で愛されてくれよと願うばかりです。

投稿: 店主 | 2016年2月18日 (木) 20時06分

応援してきた馬が今日、今まさにオークションにかけられている最中です。
「中古」の二文字をぼんやり眺め、同じ違和感を持ちました。
生き物ですものね。
その馬を、息子のように、娘のように慈しんできた人たちの事を思うと、切ない二文字ですよね。

投稿: ライカ犬 | 2016年2月18日 (木) 10時52分

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