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2014年12月 4日 (木)

ボスラシャムの肖像

歳をとるにつれ自分の趣味というものについて真剣に考えるようになってきた。人並みの趣味も持たない中年というのは寂しい。

本を読むのは嫌いではないが、ほとんどは競馬に関する書物。相撲を見るのが好きだけど、私の周囲には年6場所全て見に行っているというツワモノがいて、とても比べものにならない。スキーに狂った時代もあったが、最後にゲレンデに行ったのは前世紀の話だ。

「好きなだけ競馬に行ってんだから趣味は競馬でいいじゃん」と人は言う。だが「趣味」という言葉の定義とは、

 ・自分が定めたルールで
 ・自分のために楽しむ

であると考えているので、私の中では必ずしも趣味とは呼べない。他人の依頼で写真撮をるために嫌々競馬場に行くことだってある。
 
何年か前に、南青山のギャラリーで個展を開いたことがある。昼間はギャラリーとして営業し、18時を過ぎると、そのままショットバーとして営業が始まる珍しいスタイルのギャラリーで、とある馬主さん―――JRAの大馬主―――がオーナーをつとめていた縁での個展開催となった。開催期間中、私はギャラリーのいちばん奥の壁際の席に座って、写真を見に来てくれる来訪者を待ったものである。

夜になってギャラリーとしての営業が終わっても、私は同じ席に座ったままシングルモルトウィスキーのショットグラスを片手に、ライトアップされた自分の作品を心ゆくまで眺めた。私が座る席の上の壁には、当時私がもっとも気に入っていたボスラシャムとパット・エデリーのツーショット。そして、私が手にしているグラスには、ボウモアの17年ものが注がれている。

Bosra 

ごくまれに夜中に知人が訪れて写真を見てくれることもあったが、多くの時間帯で私はひとりで飲んでおり、店内の客も私ひとりだった。これ以上の贅沢な時間・空間が他にあるだろうか。

それ以来、ひとりで酒を飲むことが好きになった。それは競馬場の帰りであったり、家人が寝静まってから家を抜け出すこともある。おしゃれなバーである必要はない。蕎麦屋、イタリアンレストラン、鮨屋、定食屋。ひとり飲みができる店を探すのも、また楽しい。これは趣味と言えるのではあるまいか。あぁ、良かった。

ちなみに、土曜の阪神6Rでデビューする角居厩舎期待の2歳牝馬エルラディユーの祖母はボスラシャム。彼女の血を受け継ぐ馬が日本で走るのは初めてのことではないか。名伯楽ヘンリー・セシル師をして「牡馬を含めても私が関わった馬のなかで最高の馬」と言わしめた馬の孫娘に祝杯を挙げよう。

 

***** 2014/12/04 *****

 

 

 

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コメント

はっ!coldsweats02

そうでしたbleah

投稿: 店主 | 2014年12月 5日 (金) 20時21分

いやいや、食べ歩きが趣味じゃないですか(笑)

投稿: tsuyoshi | 2014年12月 5日 (金) 10時46分

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