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2014年12月31日 (水)

そして2015年へ

川島正行調教師が亡くなって初めての東京2歳優駿牝馬を迎えた。この10年間で4度の優勝を誇る名伯楽の不在は、このレース初となる他地区からの優勝馬誕生を予感させる。

Juel 

注目はグランダムジャパン2歳シリーズでトップを走る愛知のジュエルクイーン(※上写真)。このレースで4着以内を確保すれば、他の馬の着順に関係なくチャンピオンの座が確定するが、地方限定2歳戦としては最高額の1着賞金2000万円という舞台で着狙いなどに走るはずもあるまい。

Miracle 

北海道からはミラクルフラワー(※上写真)とユヅルノオンガエシ(※下写真)の重賞ウイナー2頭が参戦してきた。特にユヅルノオンガエシは田中淳司調教師と吉原寛人騎手のタッグ。両者に縁のあるハッピースプリントばりの快走をつい期待してしまう。

Yuzuru 

迎え撃つ南関東勢はローレル賞勝ち馬のララベルが筆頭格か。社台オーナーズの2歳勢の中では、現時点でもっとも高い評価を得ている一頭。だが、あろうことか16番枠を引いてしまった。大井のマイルは中山芝2500mにも匹敵する外枠不利コース。だが、決まってしまったものは仕方ない。先々に向けて底力が試される。

ところがレースでは好スタートから3番手につけて1コーナーを回る積極的な競馬ぶり。道中は馬場の外々を追走し、4コーナーで押し出されるように先頭に立つと、ゴール前では内から強襲したティーズアライズの追い込みをハナ差凌ぎ切った。着差以上の強さ。見事な優勝と言うほかはない。

Lala1 

パドックでも口取りでも落ち着き払っていて、2歳牝馬らしからぬおっとりした性格であるのに、2戦続けてハナクビの接戦を制する勝負根性を発揮するのだから驚く。レースが始まればまるで別馬である。7月の新馬戦を勝った時に「来年のクラシックを意識させる逸材」とここで書いたが、どうやら「意識させる」程度には納まらない逸材のようだ。

Lala2 

数時間後に迫った2015年は真島大輔騎手にとって、大きな飛躍の年となるかもしれない。いや、飛躍の年にしなければならない。真島騎手も15年目。いつまでも南関東リーディングの3、4番手で、年間に重賞を一つ二つ勝つ程度の騎手でいてもらっては困るのである。いや、「なんでお前が困るんだよ!」というご指摘があるのも重々承知。その理由を説明し始めると年を越してしまう。なので、また別の機会に。

Ooi 

今年も大晦日に大井にいられたことを感謝しつつ2014年は暮れてゆく。

それでは皆様、良いお年を。

 

***** 2014/12/31 *****

 

 

 

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2014年12月30日 (火)

納めのうどんとシンデレラ

明日の大晦日は朝から晩まで予定でビッシリなので、今日が2014年うどんの食べ納め。東品川『おにやんま』ならその栄誉にふさわしい。

Dsc_1770 

だが、そう考えた人は存外多かったのであろう。14時半だというのに店内は満席。しかも、あろうことかダシ切れだという。仕方ないので、うどんに直接醤油をかけていただくことにした。裏メニューには違いないが、讃岐ではメジャーな食べ方。あのイリコ香るダシは、年明けのTCK女王盃当日の楽しみに取っておこう。

Dsc_1769 

“納めのうどん”を食べ終えて向かったのは当然のごとく大井競馬場。東京シンデレラマイルも、年末の風物詩としてすっかり定着した。

Dsc_1776 

レースは2番手でレースを進めたノットオーソリティが4角手前で逃げ馬を交わすと、直線では後続を突き放す一方。5馬身差で圧勝してみせた。

Not 

圧倒的1番人気を背負いながら、ゲートで躓き5着に敗れた東京2歳優駿牝馬からちょうど1年である。発走直前のアクシデントで除外の憂き目を見た桜花賞に、スマートバベルの出し抜けを許した東京プリンセス賞―――。思い描いていたものとは違った3歳シーズンになったかもしれないが、最後はロジータ記念、シンデレラマイルと重賞連勝で締めた。しかも、1年前に敗れたレースと同じコースでリベンジも達成。良い一年だったと思いたい。

Not2 

亡くなった川島正行調教師をして「オーラが違う」と言わしめた素質の持ち主。来るべき来年は、南関東の牝馬代表としてJRA相手の勝負が待っている。

 

***** 2014/12/30 *****

 

 

 

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2014年12月29日 (月)

タイトルの行方

今年のダート路線を牽引してきたコパノリッキーとホッコータルマエが東京大賞典で4度目の対決。「勝った方が最優秀ダートホース」。そんな声が、レース前の記者だまりから聞こえてくる。

Kopa 

とはいえ両馬の一騎打ちが濃厚かと問われれば、そうとも言い切れない。たとえばワンダーアキュートは、半年前に同じコースで行われた帝王賞でコパノリッキーを2馬身差で下して優勝しているのである。手綱を取る武豊騎手は、この7年間で東京大賞典に6回騎乗して(3,3,0,0)という成績。割って入ったとしても不思議ではない。

Wounder_2 

波乱の予感は出走頭数にも表れている。フルゲート16頭が揃ったのは2003年以来11年ぶりのこと。特に南関東の有力馬が勇躍参戦してきてくれたことは素直に嬉しい。大将格は浦和記念でJRA勢を破ったサミットストーンだが、秘かな期待は3歳馬・ハッピースプリント。実はこの2頭についても、先着した方がNARグランプリのタイトルを獲得する可能性が高い。

Nar 

二つのタイトルの行方がかかった一戦は、実に分かりやすい決着で幕を閉じた。ホッコータルマエが2着コパノリッキーを4馬身も突き放して完勝。3着がサミットストーンで、ハッピースプリントは4着である。

Hokko 

これでJRA最優秀ダートホースの座はホッコータルマエでほぼ確定であろう。両者ともGⅠは3勝ずつ。直接対決でも2勝2敗と成績は互角だが、最後の4馬身差が投票に与える影響は小さくないはず。ホッコータルマエにしてみれば、昨年GⅠを4勝しても手が届かなかったタイトル。それを、今年は3勝で手に入れることができるかもしれない。

NARグランプリの方も先着を果たしたサミットストーンで決まりか。ハッピースプリントにしても、3歳でローマンレジェンドやワンダーアキュートに先着したことを思えば、相当高い評価が与えられてしかるべきだが、サミットストーンのGⅡ勝ちという事実は今年のダート路線の中でも燦然と輝く。

JRAの各部門のタイトルは来週にも発表される。投票の不思議は起きるだろうか。

 

***** 2014/12/29 *****

 

 

 

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2014年12月28日 (日)

年忘れ

有馬記念はジェンティルドンナの劇的な勝利で幕を閉じた。これで今年のJRA開催は終了。GⅠレースという意味では明日の東京大賞典が最後に残されているとはいえ、大半のファンにとって有馬が一年の締めくくりであることは今更言うまでもない。西船橋界隈は忘年会の競馬ファンで賑わったことだろう。

かくいう私は、珍しく馬券が当たったのに今年の有馬はTV観戦だった。自慢する相手がいないのでは面白くない。だが、夜は馴染みの寿司屋で馬主関係者と忘年会の約束がある。そこで、さんざん自慢してやろうと張り切って出かけて行ったら、他の参加者もほとんどが当てたというので唖然とした。長いこと競馬を見てきたが、周囲のみんなが取った万馬券というのは経験がない。

Bonen 

それにしても、なぜ日本人は暮れになると「年忘れ」を理由に酒を飲むのであろうか?

「年忘れ」を辞書で引くと、「年末にその年の苦労を忘れるために開く宴会」とあるから、すなわち「年忘れ」という言葉自体が「忘年会」の意味を持つようだ。遡れば室町時代にも辿り着く言葉で、当時は年末に催した連歌の会を指したとも。紅白歌合戦の趣もある。

今では親しい者同士が集まり、酒を飲んで一年の労苦を忘れ、息災を祝う会であろう。だが、悪いことをきれいサッパリ忘れるというのは存外難しく、むしろ良いことばかりを忘れてしまっているような気がする。大晦日の大井最終12レースの発走を待ちながら、「今年は何もイイことがなかった……」などとひとり呟いてしまうのは、きっとそのせいではあるまいか。とはいえ、もちろん忘れてはいけないこともある。それをひとつひとつ思い返しつつ酒を飲むのも、忘年会の大事な作法に違いあるまい。

Tosaki 

戸崎騎手がJRA移籍2年目にしてリーディングジョッキーの栄冠を手にした。しかも有馬記念優勝で自らの偉業に花を添えたのだから大したもの。これも2014年の出来事として忘れずにおきたい。移籍2年目のリーディング獲得は同じく南関東からJRAに移籍した内田博幸騎手と同じ。しかもその内田騎手は移籍3年目にエイシンフラッシュでダービーを獲ってみせた。戸崎騎手もそれに続けるか。3年目の戦いは既に始まっている。

 

***** 2014/12/28 *****

 

 

 

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2014年12月27日 (土)

ホープフルな競馬

有馬記念当日の名物レース・ホープフルSが今年から重賞に昇格。しかもいきなりのGⅡ格付けには驚いた。過去の勝ち馬にウイニングチケットやエアシャカールがいるとはいえ、昨年の勝ち馬がエアアンセムで、一昨年がサトノネプチューンである。果たしてこれでレーティングが足りるのか?

Air 

―――なんて心配をしていたら、GⅡのホープフルSは昨年までのオープン特別のホープフルSが昇格したのではなく、昨年まで阪神の最終週に行われていたラジオNIKKEI杯2歳S(GⅢ)が、中山に施行場所を移し、名前を「ホープフルステークス」に替えた上でGⅡに昇格を果たしたというのである。だからレーティングの問題はないらしい。ややこしい話ですね。そこまでして今年からのGⅡ格付けにこだわる必要があったのだろうか。

分かりやすく言えば、今年から「過去5年のホープフルS勝ち馬」みたいなデータを紹介するにあたっては、

2013年 エアアンセム
2012年 サトノネプチューン
2011年 アドマイヤブルー
2010年 ベルシャザール
2009年 アリゼオ

ではなくて、

2013年 ワンアンドオンリー
2012年 エピファネイア
2011年 アダムスピーク
2010年 ダノンバラード
2009年 ヴィクトワールピサ

とするのが正しいということ。実際、スポーツ新聞にはそのように掲載されている。だが、ちょっと待って欲しい。昨年のホープフルSの優勝馬がワンアンドオンリーであるはずがないではないか。JRAが2歳レース体系の整備を進めるのは勝手だが、我々ファンの記憶を無理矢理ねじ曲げるような真似はしてほしくない。競馬は記憶のゲームでもある。

そういう意味でも2006年のホープフルSは忘れられぬ一戦だ。ディープインパクトのラストランとなる有馬記念の前座のホープフルSに、ディープインパクトの弟・ニュービギニングが登場してきたのである。

兄と同じ勝負服。兄と同じ武豊騎手。そして兄と同じようにポツンと最後方からレースを進めたニュービギニングが、3コーナーから徐々に進出を開始すると、12万人を集めたスタンドから地鳴りのような歓声が上がった。ニュービギニングの脚色は衰えることなく、馬場の真ん中を堂々と突き抜けて先頭に立つ。スタンドの興奮はもはやオープン特別のレベルではない。それは間違いなくGⅠレースの光景だった。

New 

ディープインパクトとの別れを惜しむファンたちは、新たなヒーロー誕生の予感に安堵したことだろう。実際に涙を流すファンもいた。しかもそれがディープインパクトと血を分けた弟だと思えば、勢い期待も高まる。あれほどhopefulな空気に包まれた競馬場というものが、かつてあっただろうか。ニュービギニングのその後の成績を言い出すのは野暮。ホープフルSは、そういうレースであり続けてほしい。

 

***** 2014/12/27 *****

 

 

 

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2014年12月26日 (金)

ツインズ

先日一緒に飲んだ牧場主と話すうちに、柴田未崎騎手の話になった。

Misaki 

決してメジャーな騎手とは呼べない(失礼!)未崎騎手の話題で盛り上がれたのは、たまたまお互いが彼との縁を持っていたから。競馬業界は広いようで実は狭い。その未崎騎手は今年3年ぶりに現役復帰。7月の福島では復帰後初勝利を挙げた。双子の兄・大知騎手も今年は重賞2勝と活躍している。

双子と言えば、小倉2歳Sで重賞初勝利を果たした国分優作騎手も忘れてはならない。双子の弟・恭介騎手は、ひと足先に2010年の府中牝馬Sをテイエムオーロラで勝っていることから、ここに日本初の双子の兄弟騎手による重賞制覇が達成された。ツインズジョッキーの先達として柴田未崎騎手も負けていられまい。ならば、彼に重賞を勝てるだけの馬を任せてみようじゃないか!―――なんて無責任な話題で酒席が盛り上がったのである。まあ、いつのことになるかわかりませんけど、我々も頑張りますから、それまで騎手続けててくださいね。

ところで双子の活躍は競馬界だけに留まらないようだ。一週間後に迫った箱根駅伝では村山謙太・紘太の兄弟を筆頭に、大東大の市田孝・宏、順大の松村優樹・和樹、中央学院大の海老沢剛・太と、なんと4組の双子ランナーが出場する可能性がある。既に卒業してしまったが、昨年の東洋大優勝の立役者、設楽啓太・悠太の二人も双子だった。こうなると、駅伝という競技に双子の遺伝形質が特別な影響を及ぼすとしか思えない。

中でも注目を集めるのは駒大の村山謙太選手。昨年は2区を任され区間2位と好走した駒大のエースは、実は競馬にも興味を持っているらしい。競走馬育成シミュレーションゲーム「ダビスタ」でイメージトレーニングを重ねる理論派だ。

もちろん本人はいたって真面目。馬の調教は駅伝の練習にも通じる上、レースでの仕掛けどころなども競馬を参考にしているのだという。本人は自分の脚質を“好位差”と評するが、昨年の2区では12秒差の2位でタスキを受け取ると、6キロ地点で早くも先頭に立つ早仕掛けの競馬、もといレース。その後は意外に伸びあぐねて、戸塚中継所での後続との差は27秒差に留まった。あの仕掛けどころに間違いは無かったか。今年は最後の箱根である。期するところがあろう。

Sea 

ちなみに、有馬記念で人気を背負うエピファネイアの母・シーザリオの馬名はシェークスピアの「十二夜」に登場する双子の妹の名にちなむ。双子が活躍した一年の締め括りとしては気になるところだ。

 

***** 2014/12/26 *****

 

 

 

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2014年12月25日 (木)

クリスマスと鶏

クリスマスですね。

Christmas 

さっき近所のケンタッキーフライドチキンの前を通ったら、昨日に続いて今日もフライドチキンを買い求める客が行列を作っていた。今日は大井でナイター開催があるわけだけど、Lウイングのケンタも繁盛しているんだろうか?

「クリスマスにチキンを食べる」とか「ホール型のケーキにロウソクを灯して祝う」というのは、実は我が国固有の習慣であり、海外のクリスマスでは見られない光景だ。特にチキンついては、ケンタッキーフライドチキン・ジャパン社が販促活動の一環として開始した企業キャンペーンが根付いた成果である。

とはいえ、私の子供の頃もローストチキンとかフライドチキンは特別なごちそうだったから、クリスマスに食べるケンタのチキンは楽しみのひとつだった。骨付きの鶏肉を手で持ってかぶりつくというのはいかにもアメリカっぽくて、子供心に憧れたもの。クリスマスの点景としては悪くないように思う。

生前の大川慶次郎氏から「忘れられない味」としてローストチキンの話を聞いたことがある。

学生の頃から北海道の牧場で暮らしていた大川氏だが、そこでご馳走になったローストチキンの味は生涯忘れ得ぬ味だと絶賛されていた。広い土地でのびのびと育てられたヒナ鶏のお腹の中に新鮮なジャガイモやトウモロコシを詰め込み、塩とコショウのみで軽く味付けしてオーブンで焼いただけのシンプルな料理。それゆえ、素材の味がストレートに表れる。

「柔らかくって、味が濃くって。あの味は忘れられませんねぇ」

細い目をさらに細めてお話されたことを思い出す。

ウチでも今日は丸鶏のローストを作ってみた。ケンタも悪くないけど、こういうものは自分で作った方がはるかに楽しい。ちと時間はかかるけど。

Chiken_2 

ちなみに、アメリカのケンタッキーダービーは、ケンタッキーフライドチキンを展開するヤム・ブランド社が2006年からスポンサー契約をしている。なので、正式には「ケンタッキーダービー」ではなく、

Kentucky Derby presented by Yum! Brands

と表記する必要がある。もちろんこのビックリマーク(!)も忘れてはならない。

 

***** 2014/12/25 *****

 

 

 

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2014年12月24日 (水)

拭えぬ疲労

今年も残すところあと1週間。クリスマスの華やかさや歳末の忙しさに気を取られて、蓄積された1年間の疲労に気付かないなんてことは避けたい。

昨日は浦和の準重賞プラチナカップに行くつもりだったのだが自宅で寝たまま過ごし、ならば年内開催最終日の今日にしようかとも思ったが、やはり行くことができなかった。なぜか。自分があまりに疲れていていたせいである。月曜などは、モノレールの大井競馬場前駅で人を待っている僅かな間に、立って壁に寄り掛かった状態のまま完全に“落ちて”しまった。それで膝からガクンと崩れ落ちて、たまたま通りかかった乗降客に「大丈夫ですか?」と声までかけられる始末。恥ずかしい。いや、それよりも危ない。

そこで私が待っていた相手は浦河の牧場主。大井で馬を見てから忘年会という算段である。しかし、私がこんな状態では酒もほどほどにしておかなければなるまい。

―――なんて思いながら、到着した相手の話を聞けば、彼は千歳から名古屋、さらに金沢と回って、いま大井に着いたのだという。それで明日の朝には北海道に帰る。移動が身体に与える疲労の度合いは、時間ではなく距離に比例するという持論を持つ私が思うに、彼の疲労はなまなかではあるまい。それを思えば、自分の疲れなど大したことないと思えてきた。それで、大森界隈で零時近くまで大盛り上がりである。疲れていようがいまいが、馬の話をしながら酒を飲めば盛り上がらないわけがない。

その代償として、翌日、すなわち昨日は起き上がるほども困難な状態に陥った。むろん浦和どころではない。

しかもその疲れが、クリスマスイヴの今日になっても一向に消える気配がないのである。午後4時頃に昼寝のつもりで自宅で横になって、ハッと気が付けば時計の針は11時を指しているではないか。慌ててリビングに行ったら、テーブルの上にカチカチに冷めたケンタッキーフライドチキンが1本だけ残されていた。しくしく泣きながらチキンを齧り、しかるのちに今このテキストを打っている。たかが疲れと軽く見てはいけない。でないと、こんなに悲しいクリスマスイヴを過ごすことにもなる。

Jasta 

有馬記念をラストランと定めているジャスタウェイは、もともと「JCで引退」と聞いていた。どういう事情があって出走を決めたのかは知る由もないが、昨年の有馬記念と今年の宝塚記念を回避した馬であることは忘れないでおきたい。両レースの回避の理由はいずれも「疲労」であったはず。シーズン最後のグランプリレースは疲労との戦いでもある。凱旋門賞とJCを転戦した現在の疲労は果たしてどうか。まだ大丈夫、好調キープなどと思っていても、内面は意外に疲れていたりするものである。テンションが上がって一時的に疲れを忘れてしまうのは、人も馬も変わりはない。

 

***** 2014/12/24 *****

 

 

 

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2014年12月23日 (火)

集客減でも混む不思議

日曜中山の9Rは、このブログでも「大事」と書いた2歳500万のひいらぎ賞。最後方からレースを進めた牝馬のキャットコインが直線で堂々と差し切り、成績を2戦2勝とした。

Cat 

中山のマイルで外々を回って1馬身1/4差は強いのひと言。最後は手綱を抑える余裕もあった。しかも、ゼンノロブロイの姪という良血でサンデーレーシングの服色である。それで単勝8番人気だから、人気の盲点と言うしかない。その口取りの列に見知った顔を見つけた。「桜の蕾が膨らんできましたね」とお祝いの言葉をかけると、彼は握手をしながら「満員のスタンドでの口取りは最高だよ」と言う。そして「やはり秋の中山開催が無かった反動なのかな?」と続けた。スタンド改築(取り壊し)工事の影響で、この秋の中山開催は新潟に振り替えられたのである。

たしかにこの日も中山競馬場は混雑していた。指定席が満席なのはもちろん、ゴール前から10mも離れれば空席が目立ったはずの自由席も、ウイナーズサークルの正面までほぼ埋まっている。スタンド内の販売窓口周辺も人が多い。挨拶に立ち寄ったコーヒーショップの方は、「昨日も今日も凄い人」と言いつつ、「でも人数発表を聞くと、それほどでもないのよ」と笑った。

それで気になって昨年と今年の12月の中山開催の入場者数を比べてみた。

   昨年  今年
----------------------
初日 23,965 29,239
2日 28,138 27,926
3日 19,999 21,070
4日 30,607 28,566
5日 23,225 22,892
6日 35,394 27,464

ふなっしーが来場した初日こそ前年に比べて5千人以上の増加を見たが、その日と3日目が微増だった以外は軒並み減少しているのである。だが、実際に場内は混んでいる。混んでいると感じられる。クリスタルコーナーで競馬場の1日を過ごしていた客が、メインスタンドに流れてきたと考える以外に説明はつくまい。コーヒーショップの方は有馬記念の混乱を今から心配していた。混雑も度を超せば、コーヒーどころではなくなってしまうのだという。

帰途の混雑が心配なので、この日は阪神の朝日杯を見ずにいそいそと船橋法典駅へ。そしたら駅で増沢末夫さんの姿をお見かけした。

ご存じハイセイコーの主戦騎手。そのハイセイコーの中央初参戦となった1973年の弥生賞には、ハイセイコー目当てに12万を超える大群衆が中山競馬場に押し寄せた。発走直前、ハイセイコーの姿をひと目見ようとファンがラチ沿いに殺到し、後ろから押された最前列の人たちが命の危険を感じ、サクを越えて馬場へと溢れ出したことは今も語り草だ。圧倒的に人気を背負った増沢騎手だったが、ファンの熱気の方にばかり気を取られて、さほどプレッシャーを感じずに済んだという。

そこまで尋常ならざる事態にまで及ぶことはあるまいが、今年の有馬記念は仮に入場者数が減ったとしても、昨年より場内が混雑することは避けられまい。私は行く予定がないから心配はしていないが、指定席を持たぬ方は当日の立ち回り方に注意が必要であろう。

 

***** 2014/12/23 *****

 

 

 

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2014年12月22日 (月)

節目の馬

昨日は年末の挨拶を兼ねて中山競馬場へ足を運んだ。「よいお年を」と言うにはちょっと早い気もするが、このあとのスケジュールを考えると、昨日しか無かったのである。

そんで、馬主の方やら、カメラマンの方やら、クラブの方やら、コーヒーショップの方やら、食堂のオバちゃんなんかを見つけては、片っ端から「よいお年を」と言って回った。しかし、馬主やカメラマンはともかく、コーヒーショップに行けばコーヒーを注文するのが礼儀であろうし、食堂に顔を出せば何らかのメニューを注文しないわけにはいかない。かくしてタポンタポンとなった腹を抱えてメインレースを迎える羽目に。そのディセンバーSは、後方からレースを進めたレッドレイヴンが直線に向くなり瞬く間に2馬身突き抜けて、見事1番人気に応えてみせた。

Red 

母のワンダーアゲインはグラスワンダーの全妹であり、自身も米国でGⅠを2勝した名牝。それを思えば、オープン特別を勝ったくらいで関係者は喜んでもいられまいが、実はこの勝利が藤澤和雄調教師のJRA通算1254勝目だという。武田文吾元調教師の持つ1253勝の記録を上回り、JRA史上4位の勝利数記録なんだそうだ。まあ、藤澤先生がそれを喜んでいるかどうかはさておくとして、とりあえず節目の勝利であることには違いあるまい。

それで、激しい既視感に苛まれた。

いつかどこかで似たようなシチュエーションを見た気がするのである。

いつだ?

そうだ去年の12月の中山だ!

実はレッドレイヴンは、昨年の美浦Sを勝っている。同じ12月の中山の芝1800mが舞台のこのレース。2馬身差という着差まで一緒だった。それが藤澤調教師の通算1200勝という節目の勝利だったのである。

さらに遡れば、レッドレイヴンがデビュー勝ちを果たした函館の新馬戦は、藤澤調教師の通算1132勝目。これは稲葉幸雄元調教師の1131勝を抜き、JRA史上8位のメモリアル勝利だった。レッドレイヴンが節目の勝利を運ぶ“メモリアルホース”であることに、もはや異論はあるまい。

史上4位の勝利を積み重ねた藤澤調教師の上に立つ3人の名伯楽とその勝利数は、以下の通り。

 尾形藤吉 1670勝。
 松山吉三郎 1358勝
 藤本冨良 1338勝

藤澤師がこのまま順調に勝ち星を重ねていけば、再来年にも3位の勝利数が見えくる計算になる。仮にあと1勝という場面でレッドレイヴンが出てくるようなら、これを買わぬ手はないだろう。

 

***** 2014/12/22 *****

 

 

 

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2014年12月21日 (日)

「中古馬」の違和感

イルポスティーノは父がフレンチデピュティ、母は京都牝馬Sを勝ったチアズメッセージという血統の5歳セン馬。兄にJRA5勝のプレファシオがいる。3200万円(一口40万円)でサンデーサラブレッドクラブの募集にかかると、2歳9月の中山で新馬デビュー。そこから22戦してダートで2勝を稼いだ。

Iru1 

先日の川崎競馬場でのこと。全日本2歳優駿のレースが終わった直後の最終レースのパドックに、そのイルポスティーノの姿があったのである。ちなみにこのレースは中央交流競走ではない。サンデーレーシングの地方ファンド馬として地方に移籍したわけでもない。

Iru2_2 

実は、10月26日の福島戦で勝ち馬から12馬身離れた10着に大敗したことを受け、関係者は同馬のファンド解散を決断。その4日後には楽天のサラブレッドオークションに出品され、約120万円の値で売却されていたのである。

クラブが引退馬を地方競馬の馬主に売却し、その売却益を会員に還元することはこれまでも行われてきたが、基本的には相対取引で、「よくわからないまま売られてしまった」という思いを抱く会員がいたことも事実。社台グループでは、この夏からその取引をネットオークションに委ねた。3200万円の馬が120万円と聞けば、中には驚く方もいるかもしれないが、従来の取引を考えても十分妥当な金額。ほとんどが一声落札のセリに比べれば、むしろこちらの方が市場原理が働いているようにも思える。

オークションのメリットは市場原理に伴う健全性だけではない。社台とは無縁だった関係者が社台ブランドの血統馬を手に入れることもできるし、買おうと思えば元の会員が自分ひとりの所有馬にすることも可能。ひいては地方競馬の活性化にも繋がる。

オークションに参加するには楽天会員登録のほかに、サラブレッドオークションの利用登録申請が必要で、実際には馬主登録番号などが求められる。だから一般の誰もが参加できるというわけでもない。むろん落札した瞬間から、その馬は落札者のものであるから、そこから(実際には翌日分から)預託料が発生するし、輸送費も当然落札者が負担する。入厩先だってすぐに決めなければならない。そういう意味では相応の責任も伴うが、「馬を持つ」ということは元来そういうことでもある。それを重荷と感じるくらいなら、クラブ会員のひとりとして出資を続けている方が楽しかろう。

オークションサイトには他クラブの現役競走馬や繁殖牝馬も上場されている。先週は空胎の繁殖牝馬サトノジェイドが583万5千円(税別)で落札される一方、ロジユニヴァースを受胎しているセレブレイトコールへの入札は0件であえなく主取となった。見ているだけでもなかなか面白い。セリ会場の緊張感とは無縁だから、つい入札してしまいそうになる。危ない。

ただひとつ。上場馬を紹介する画面には、現在価格やオークションの残り時間、入札件数などと並んで「商品状態」という項目があるのだが、そこに「中古」と表示されていることがとても気になる。オークションサイトなのだから当然なのかもしれないが、サラブレッドは生き物。ブランドバッグやゲームソフトのような扱いはして欲しくない。

 

***** 2014/12/21 *****

 

 

 

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2014年12月20日 (土)

鍋は料理だ

年の瀬から寒い日が続きますね。こう寒いと鍋が恋しくなる。

Dober 

昔、ワールドスーパージョッキーズシリーズで来日したフランス人カメラマンを食事に連れて行ったことがある。同じ日に行われた阪神3歳牝馬Sをメジロドーベルが勝っていたということは、1996年の12月か。とにかくこの日の阪神はとてつもなく寒かった。なので、ここは鍋しかあるまいとカニ鍋を奮発したのである。そしたらそいつが、「日本の鍋料理というのは“料理”と言えるのか?」みたいなことを言い出した。せっかくご馳走してやっているのに、フランス人はこういうところが面倒くさい(笑)

ただ、鍋に関してはフランス人に限らず多くの外国人はこう思っているフシがあって、刺身にしても「美味いけど魚を切っただけだろう?」などと言い出す。「ナベだって、料理人は具材を切ってるだけじゃないか」と彼は主張するのである。

具材の下ごしらえとか、出汁の取り方には料理人の技術が凝縮されていて、それが味を大きく左右すんだよと説明しても、「それなら厨房で最後まで煮込んで、出来上がりを出せばイイ」と反論してくる始末。

元来日本の家屋には囲炉裏というものがあり、冬場はそこに鍋を吊して煮炊きすることで暖房効果も得られた。その吊された鍋から直接食事をすることが、鍋料理の原点と言われる。そしてその習慣は、囲炉裏をガスコンロに変えて現在も生き続けているのだ。

ともあれ私は鍋料理は立派な料理だと考えているので、自宅で食べることもさることながら専門店で食べることも結構多い。調理の過程を客自身が実践できるから、他の料理に比べてプロのワザを盗むという楽しみもある。具材の切り方や出汁の味、あるいは鍋に入れる順番などに「これは!」というモノがあれば、忘れぬうちに自宅で再現に挑むことにしている。

実は今日は恵比寿の『軍鶏丸』で忘年会だった。むろんメインは水炊きである。

Shamo 

濃厚なコラーゲンスープを張った鍋に、まずは砂肝、レバー、つくねを投入。続いてジューシーなもも肉。ムネ肉は火を通し過ぎないよう、しゃぶしゃぶ感覚でいきたい。それらが済んだらようやく野菜。そしてシメのうどんへと続く。これが水炊きの流儀。最初に野菜を入れてしまうと、スープが薄くなってしまうのである。

旨い。一同声を無くしてつくねを頬張り、ムネ肉を齧り、そしてうどんをすすった。この旨さは何より鮮度の良さの賜物。酒よりもこのスープを飲み続けたい。あらためて鍋は立派な料理だと実感した。今度、自宅で同じ味の再現にトライしてみよう。

 

***** 2014/12/20 *****

 

 

 

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2014年12月19日 (金)

7年目のGⅠ勝利

デビューした2008年に、武豊の持つ新人最多勝記録を大幅に更新する年間91勝をマーク。翌年には早々に史上最速の通算100勝を達成すると、史上最年少での海外勝利記録(英国で2勝)まで打ち立てた三浦皇成騎手に、史上最年少GⅠ勝利記録の更新が期待されていたのは、言ってみれば当然の成り行きだった。

しかし、記録更新はおろか、GⅠのタイトルを手にすることのないまま彼はデビュー7年目のシーズンを迎えることになる。NHKマイルカップでは17番人気ながらあわやの2着。グランプリボスとのコンビで臨んだ安田記念では、直線で内から追い込んだジャスタウェイを肘でブロックしながら馬を追うという離れ業を演じて見せた。GⅠに対する並々ならぬ執念がつたわってくる。だが、最後の1完歩でハナ差だけ交わされてまたも2着。検量室に戻ってきた彼の悔しさに満ちた顔は今も忘れない。

そんな彼がついにGⅠのタイトルを手にした。一昨日に行われた全日本2歳優駿。ディアドムスの手綱を取り、直線で追いすがる1番人気タップザットを競り落としての堂々の勝利である。優勝賞金3500万円。しかも表記上は「JpnⅠ」とされることもあるが、これがGⅠであることに変わりない。

Dear1 

勝ったディアドムスの父はジャングルポケットだが、私としては母の父アグネスデジタルに目を向けたい。芝もダートも問わぬ活躍で国内外でGⅠ6勝をマークした彼は、このレースの1999年の優勝馬でもある。

Disital 

種牡馬としては初年度産駒が重賞7勝と絶好のスタートを切りながら、その後は徐々に尻つぼみ。ここ数年は重賞も勝てていなかった。そういう意味では三浦皇成騎手の境遇にも似る。三浦騎手も初年度の91勝がキャリア最多。以降、その勝ち星を上回った年はない。

Dear2 

アグネスデジタルも今年は産駒のカゼノコでついにGⅠ制覇を果たした。アグネスデジタルも三浦騎手も、今年のGⅠ勝利を来年の飛躍へのステップにしたい。「史上最年少」という記録は、騎手養成のカリキュラムや減量騎手のGⅠ騎乗制限ルールに左右されるもの。世間が騒ぐほどの価値はないのかもしれない。それよりは「史上初」の方が記録として大きいに決まっている。目指すならそちらであろう。

 

***** 2014/12/19 *****

 

 

 

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2014年12月18日 (木)

実は大事なひいらぎ賞

一昨年がマイネルホウオウ。そして昨年がミッキーアイル。2年続けてその優勝馬がNHKマイルCを制した注目のひいらぎ賞が日曜の中山9レースに行われる。

Houou 

実質的には朝日杯に抽選で漏れた馬たちの残念レースである。だから、朝日杯と同じくらい歴史も深い。消えたり復活したりが当たり前の特別戦でありながら、そのレース名は半世紀近い歴史を誇る。80年代半ばの一時期を除けば、朝日杯と同じ中山の芝マイルという条件も変わらない。

その長い歴史の中で、ひいらぎ賞を勝ってGⅠ級のレースを制した馬を列記してみる。コーネルランサー、カブラヤオー、プレストウコウ、ダイナガリバー、メジロライアン、サクラチトセオー、シンボリインディ、アサクサデンエン、マイネルホウオウ、ミッキーアイル。一介の500万特別としては悪くあるまい。朝日杯のバックアップという役目を十分に果たしている一方で、抽選システムの功罪にも思いが及ぶ。

さらに他にも注目すべきひいらぎ賞勝ち馬もいる。

1997年の優勝馬シンコウエドワードは、次走のNHKマイルCであのエルコンドルパサーの2着と好走した。種牡馬リアファン(Lear Fan)の産駒として日本における最多獲得賞金を誇る。

Sinko 

99年のマルターズホークもサザンヘイロー(Southern Halo)の日本における賞金王。同じ日にスプリンターズSを勝ったブラックホークは伯父にあたる。

Maruta 

メジロライアンはアンバーシャダイの賞金王で、シンボリインディはエーピーインディ(A.P. Indy)の日本賞金王だ。マイネルホウオウも現時点ではスズカフェニックス産駒の中ではいちばん稼いでいる。ひいらぎ賞は出世レースである一方で、時に種牡馬の代表産駒を炙り出すレースでもある。

~ひいらぎ賞の歴代優勝馬~

2013 ミッキーアイル
2012 マイネルホウオウ
2011 チェリーメドゥーサ
2010 フレンチカクタス
2009 ギンザボナンザ
2008 メジロチャンプ
2007 レオマイスター
2006 カタマチボタン
2005 マッチレスバロー
2004 マチカネオーラ
2003 マイネルデュプレ
2002 カフェベネチアン
2001 アサクサデンエン
2000 ミヤビリージェント
1999 マルターズホーク
1998 シンボリインディ
1997 シンコウエドワード
1996 スピードワールド
1995 ゴールデンカラーズ
1994 オートマチック
1993 ヒゼンマサムネ
1992 サクラチトセオー
1991 オンエアー
1990 シンボリダンサー
1989 メジロライアン
1988 アンシストリー
1987 タイガーローザ
1986 スズラバン
1985 ダイナガリバー
1984 ブラックスキー
1983 ビゼンニシキ
1982 ウメノシンオー
1981 ニシノエトランゼ
1980 トドロキヒホウ
1979 キタノリキオー
1978 ホクセーミドリ
1977 シービークロス
1976 プレストウコウ
1975 ザグロス
1974 カブラヤオー
1973 コーネルランサー
1972 (実施せず)
1971 カネアキバ

 

***** 2014/12/18 *****

 

 

 

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2014年12月17日 (水)

ひつじの国

年賀状の受付開始のニュースを聞くと年の瀬ムードも高まる。今年は比較的時間に余裕があるので、年賀状の準備も万事怠りない。2~3の相手を除けばあとは投函を待つばかりである。当然ながら使う写真はウマ。干支を間違えたわけではないが、ヒツジばかりの賀状の中にウマが1枚混ざって届くのだから、「あれ? 去年のやつか?」と戸惑う人もいるかもしれない。

ただし、それは私の知人宛の年賀状に限った話。家族はそんな趣味に付き合ってはくれない。それで娘が「羊の写真持ってない?」と聞いてきた。

何年も前にアイルランドで撮った記憶はある。ただし、当時はネガフィルムだから、探すのがたいへん。馬なら索引を作ってあるけど、羊まではいちいち管理してない。

Hitsuji 

アイルランドにはそこらじゅうに羊がたくさんいる。なにせ約460万の人口に対し、羊は約700万頭もいるのである。それを飼うにも牧柵など存在しない。その辺の丘や原っぱの草を、何十頭という羊たちがメェメェ言いながら食べている。

羊たちはどこに行くのもおかまいなし。草さえ生えていれば、大群でどこにでも移動していく。道路には「羊注意」の標識。羊の大群に行く手を阻まれたら、彼らが通り過ぎるまで待たなければならない。それでも、アイルランドの人たちはクルマの中で怒りもせずに待っている。

競馬場のコースに羊が侵入してくることも珍しくはない。日本のように競馬場の周囲が柵で囲まれているわけではないし、コース上には羊が大好きな草がたっぷり生えている。1頭、また1頭とやってきて、あれよあれよと言う間に大量の羊がスターティングゲートを取り囲んでしまうことも。「羊たちが移動するまで発走が遅れます」という場内アナウンスに驚いたのは我々日本人だけであった。万事ゆっくり、そして大らかに。それこそがアイリッシュスタイルの神髄であろう。

 

***** 2014/12/17 *****

 

 

 

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2014年12月16日 (火)

未勝利戦を見逃すな

日曜中山の話を続ける。

わざわざ朝イチで中山まで出かけたのは、カレンダー欲しさだけではない。いま時分は夏から秋にかけてのハイレベルの新馬戦で惜敗した馬たちが、あらためて必勝を期して出走してくる頃合い。新馬より未勝利の方が意外とレベルが高かったりする。事実、昨年12月の中山、阪神、中京の新馬戦優勝馬から重賞を勝った馬は今のところいないのに、未勝利戦を勝ち上がった組からは、ショウナンラグーン、レッドアルヴィス、ステファノスと3頭の重賞ウイナーが出ているではないか。早起きすれば三文の得があるかもしれない。

1レースはダート1200m戦。勝ったのは戸崎圭太騎手のノーモアベット。芝ではどうしてもあと一歩届かなかった馬が、ダートに変わった途端2馬身も突き抜けた。祖母プリマの妹にはオークス馬・シルクプリマドンナの名前も見える。そのシルクプリマドンナも初勝利と2勝目はダートだった。

1 

2レースはダート1800m戦。その出馬表の前走成績欄が凄いことになっている。1番人気のコスモボアソルテは前走2秒6差負け。直前まで2番人気だったユアーザワンは驚愕の13秒2差負け。そのユアーザワンに替わって最終的に2番人気に推されたクラウンリバティーも前走は3秒9も離されているではないか。

こりゃあ、まともには収まらんぞ―――。

なんて思いながらレースを見ていたら、コスモボアソルテが早め先頭から直線では独走。持ったまま後続を4馬身千切り捨ててみせたのから、恥ずかしいったらありゃしない。ふんじゃあ、この馬を大差で下したゴールデンバローズはどれだけ強いんだ。

2r 

3レースは芝のマイル戦。後方からレースを進めたナイトフォックスが、直線の急坂をものともせずに追い込むと、最後は後続を3馬身突き放す圧勝で1番人気に応えた。3代母が3冠馬の母・パシフィカスである。

3r 

そして未勝利戦のラストを飾る4レースは芝の1800m戦。スタートで大きく遅れて最後方で1コーナーを回った2番人気ボルゲーゼだったが、コーナーを回るごとに順位を上げて行くと、直線でも脚色衰えることなく前を捉えて逆に2馬身半の差をつけて完勝した。常に外々を回りながら、それでも最後に突き抜けたそのレースぶりには大物感が漂う。あらためて血統表を見てみれば、5代母はやはり3冠馬の母・スイートルナだ。

4r 

それにしても中山の芝は時計がかかっている。上がりに37秒を要する馬が続出。芝のラピスラズリSとダートのカペラSの走破時計を比べても、それほどかけ離れていない。この馬場状態が有馬記念まで続くようなら……。ちょっと気になるところではある。

 

***** 2014/12/16 *****

 

 

 

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2014年12月15日 (月)

カレンダー問題ついに決着

昨日はJRAの来年のカレンダーが配られるということで、朝も早くからいそいそと中山競馬場に出かけた。

01 

「タダ」という言葉に釣られている面もあろうが、毎年メインで使っているカレンダーだけに、できれば同じものを継続して使いたいという思いが強い。我が家から中山までの電車賃は往復1200円余り。「無料配布」と言いながら、その実普通に買うより高い金を払っているのである。しかも行けば行ったで馬券を買わぬわけにもいかない。これでは完全にJRAの思うつぼではないか。

改装後の中山競馬場を訪れるのは初めて。そこに見慣れた建物が無い。あのレストランも、あのベンチも姿を消している。その違和感に慣れるまでは、多少なりとも時間がかかった。

02 

新たな検量室を見渡せる場所に立つと、思いのほか空が広いことが分かる。観客と人馬の距離もなるほど近い。検量室の建物の形はまるで違うのだが、函館競馬場を思わせる開放感がある。

03 

ローカル感を覚えた理由は開放感あふれる検量室だけではない。スタンドが一棟まるまる姿を消したことに加え、これまでなら観客が立っていたはずの場所がウイナーズサークルに姿を変えていた。どうしても場内が手狭になった感が拭えないのである。

04
 

全ての指定席は第1レース発走前に完売。馬主席も来賓席もほぼ満席だった。昨年の朝日杯当日はガラガラだったことを考えれば、やはりクリスタルコーナー廃止の影響は小さくあるまい。今日のような通常開催であれば、むしろこれくらいが健全な混み具合なのだろうが、有馬記念は大丈夫だろうか。

05 

帰宅するとAmazonから荷物が届いていた。ここ数日間、あちこち探し続けたカレンダーがようやく手に入った。JRAのカレンダーも手に入ったことだし、今年の“カレンダー問題”はこれですべて解決。ギムレット様、情報ありがとうございました。

 

***** 2014/12/15 *****

 

 

 

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2014年12月14日 (日)

投票の不思議

しつこく投票の話を続ける。皆さん、投票には行かれましたか?

今回の選挙結果もほぼ大勢が見えてきた。だが、大半が順当と思える結果の中にも、「えっ? コイツが?」というような当確結果もあったりして面喰ったりすることもある。そこで野村克也氏の言葉が頭に浮かんだ。「勝ちに不思議の勝ちあり」。いちばん驚いているのは候補者本人かもしれない。

投票という行為が、時に思わぬ結果を導き出すことがあるは前にも書いた。皐月賞を勝っただけのウイルデイールが年度代表馬に選ばれた1959年の年度代表馬投票。他に候補がいないのならまだしも、秋の天皇賞と有馬記念を連勝したガーネツトを差し置いての受賞である。こうなると投票の不思議としか言い様がない。これもまた「不思議の勝ち」であろう。

そんな不思議が来年早々に繰り返されるかもしれない。既にあちこちで話題になりつつあるが、今年これまでJRAで行われたGⅠレースで2勝以上を挙げた馬は今日時点でゼロ。しかも問題は年度代表馬に留まらず、最優秀3歳牡馬や最優秀スプリンターなどすべての部門で「これ!」という一頭が見えていない状況なのである。

フェブラリーS コパノリッキー
高松宮記念 コパノリチャード
桜花賞 ハープスター
中山GJ アポロマーベリック
皐月賞 イスラボニータ
天皇賞・春 フェノーメノ
NHKマイル ミッキーアイル
ヴィクトリアM ヴィルシーナ
オークス ヌーヴォレコルト
日本ダービー ワンアンドオンリー
安田記念 ジャスタウェイ
宝塚記念 ゴールドシップ
スプリンターズS スノードラゴン
秋華賞 ショウナンパンドラ
菊花賞 トーホウジャッカル
天皇賞・秋 スピルバーグ
エリザベス女王杯 ラキシス
マイルCS ダノンシャーク
ジャパンC エピファネイア
チャンピオンズC ホッコータルマエ
阪神JF ショウナンアデラ

Jasta 

ただし、本来なら海外のGⅠと地方主催のGⅠ(ダートグレードのJpnⅠ)も評価の対象とすべきであろう。それを加えれば、複数のGⅠを勝った馬は既に存在しているのである。だが、昨年ダートGⅠ4勝のホッコータルマエが最優秀ダート馬のタイトルを逃したように、投票者の間では地方主催GⅠの評価は総じて低い。東京大賞典の前に投票を済ませてしまう記者もいるほど。海外GⅠの評価も記者によって大きく異なる。「JRA賞」の看板はダテではない。

川崎記念 ホッコータルマエ
ドバイDF ジャスタウェイ
ドバイSC ジェンティルドンナ
オールエイジドS ハナズゴール
かしわ記念 コパノリッキー
帝王賞 ワンダーアキュート
JDD カゼノコ
南部杯マイルCS ベストウォーリア
コーフィールドC アドマイヤラクティ
JBCクラシック コパノリッキー
JBCスプリント ドリームバレンチノ
JBCレディスC サンビスタ

Kasiwa 

近年においても、ビワハヤヒデやエアグルーヴのように、GⅠを1勝しかしていないにも関わらず年度代表馬に選ばれた例がないわけではない。いやそれどころか、日本国内で1走もしていない馬が年度代表馬となったこともある。年度代表馬はJRA主催のGⅠの数で決まるとは限らない。

有馬記念ではラストインパクトあたりが勝ってくれないものか―――と秘かに願っている。ウインバリアシオンやトーセンラーでもいい。そんな状況下で、投票権を持つ方たちが果たしてどういった投票行動に出るのか。そこが外野としては非常に興味深いのである。

海外での優勝の評価、ダートグレードの評価、レーティングの評価、そして敗れたレースに対する評価、等々。彼らの競馬観が白日の下にさらされることになる。ぜひとも記者の皆様には、己の主観にどっぷり根ざした清き1票を投じていただきたい。ポイント制ではなく、敢えて投票という制度を取った以上、ここは見せ場である。どのみち万人が納得するような投票結果などあり得ない。「不思議の勝ち」が起こり得るのが投票という制度である。

 

***** 2014/12/14 *****

 

 

 

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2014年12月13日 (土)

GⅠ選挙

明日は第47回総選挙の投票日であり、阪神競馬場ではGⅠ・ジュヴェナイルフィリーズが行われる日でもある。

総選挙の投票日がGⅠと重なったことは、1996年の秋華賞と一昨年の朝日杯FSの二度しかない。グレード制導入後が対象になるとはいえ意外な感じがする。参院選に関しても、こちらは夏に行われるのが通例だから、なかなかビッグレースと重なることはない。

それでもグレード制導入前のビッグレースが参院選投票日と重なったことがある。タニノハローモアが勝ったダービーの1968年7月7日は、第8回参議院選挙の投票日でもあった。

ダービーが7月にずれ込んだのは東京競馬場改築のため。その日程は前年12月には既に決まっており、農林大臣の認可も取り付けてあった。参院選の日程は5月の閣議で正式決定したのだから、日程をかぶせてきたのは選挙の方にほかならない。

だが、このダービーの日程が世間の怒りを買ってしまう。「国家の一大事たる選挙当日にダービーを行うのはけしからん」とか、「これこそ縦割り行政の象徴」といったもの。実は、選挙の日程を決めた国対委員長会談でもダービーの話題が出ていたというが、特に異論は出なかったという。ともあれ、こうなってしまっては、先に決まっていたとはいえダービーが譲歩するしかない。

そこで、競馬会が出した結論は、

①当日の第1レースを2時間繰り下げて12時30分とする。
②全10レースを予定していたのを全8レースとする。
③競馬ファンに投票後の来場をPRする。

というもの。おかげで選挙もダービーも無事終えることができた。まあ、ダービー自体は大波乱だったわけだけど。

それから28年後の秋華賞当日は第41回総選挙の投票日。この日も発走時刻は繰り下げられたが、東京が10時20分、京都が10時25分。通常より30分程度遅らせたに過ぎない。しかも12レースまでいつも通り行われた。とはいえ、ターフビジョンには「選挙に行きましょう」といった案内が何度も出ていたように思う。かと思うと「投票は早めにお済ませください」というアナウンスが流れる。これはどっちの「投票」だ? 周囲と顔を見合わせて苦笑いである。

Shuka 

そして、一昨年の朝日杯当日は第46回総選挙投票日。この日は発走時刻の繰り下げさえなかった。明日も同様であろう。期日前投票が定着し、かつてより投票時間も長くなった昨今である。競馬ごときが選挙に気を遣うような時代でもあるまい。衆院選の投票を済ませてから勝ち馬投票するもよし。勝ち馬投票を済ませてから衆院選投票所に立ち寄るもよし。順序はともかく、どちらの投票もサラリとこなしたい。

 

***** 2014/12/13 *****

 

 

 

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2014年12月12日 (金)

師走の選挙

夜の仕事に備えて昼寝をする習慣のある身にとって、不愉快な日々が続いている。

そう、あの忌まわしき選挙カーである。

耳栓をものともせぬ絶叫に束の間の安眠を遮られて、その候補者に投票しようと思う人間などいるものか。昼寝をしていなくとも、同じ思いをしている方は多いと思う。だが選挙のプロに言わせると、「そう言われることが多いのだけど、実際にはあれ(選挙カー)がいちばん票につながる」とにべもない。選挙なんて所詮そんなモンなんですね。早く終わってほしい。

ところで、往々にして選挙は競馬に喩えられる。

当選が有力視される候補者は「本命」、本命を脅かす候補者は「対抗馬」である。こっちの党よりあっちの党の方が勝ち目があると思えば「鞍替え」も厭わない。「勝ち馬に乗りたい」と願う面々がギリギリまで態度を決めかねる光景は、まるで発売締切1分前の馬券売り場のよう。選挙戦が終わって「当確」が報じられても、「まだ確定じゃない」と気を引き締めるあたりは、万馬券を手に確定の赤ランプを待つ心境だろうか。

なぜ競馬用語と選挙が結びついたのか。

我が国の選挙では永らく中選挙区制が続き、同じ政党から複数候補が立つこともあった。ために、本命・対抗の例えにぴったりの状況も生まれやすかったからではないか、というのが大方の見方である。高度経済成長期の60年代から70年代半ばにかけて、多くの人が競馬を楽しむようになった。政治に対する国民の関心も高い時代。競馬に例えて選挙への関心を一層高める効果もあったのだろう

ちなみに選挙も競馬も本場のお国イギリスでは、単純小選挙区制を採用している。これは一人だけが勝つ制度。僅かな差であれ2着以下は「敗者」である。競馬でもひたすら単勝馬券を好む彼らの国民性がここにも表れている。

Goal 

小選挙区に比例代表をも並立させた日本では、選挙区の勝負で1着を取れなくても「比例復活」の道が残されている。馬券の中心が連勝でありかつ、レースでも露骨な「着拾い」が横行する日本の競馬に、どことなく似ていなくもないか。競馬にも選挙にもお国柄が現れるものだ。

 

***** 2014/12/12 *****

 

 

 

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2014年12月11日 (木)

カレンダー問題の根は深い

昨日に続きカレンダーを探し求めて浦和パルコの紀伊国屋書店へ。だがここでも目当ての一本を見つけることはできなかった。昨日も書いたことだが、私が欲しいのは別に特殊なカレンダーではない。実際、昨年はそこら辺の書店で売っていた。自分用なら我慢して使うこともできるのだけど、他人から頼まれたとあっては、おいそれと妥協することもできない。カレンダー問題の根はかくも深いのである。

失意にかられてパルコを後にし、浦和界隈をふらふらと歩いていたら、浦和競馬場にたどり着いた。今日は木曜日だが、重賞・ゴールドカップが行われるのである。

人気は5連勝中のリアライズリンクス。ダイタクリーヴァ産駒の4歳牡馬。3歳夏の黒潮盃、戸塚記念でトラバージョ相手に連敗すると、そこからは徹底して地元浦和でのレースに専念してきた。ここまで5連勝中。圧巻だったのが前走で、同じ浦和の1500mで後続を7馬身千切ってここに臨んできた。

だが、今日はスタートダッシュが今ひとつ。なんとかハナに立つことができたのも、周りが控えてくれたおかげという印象が強い。向こう正面から左海騎手の手綱が激しく動き始め、3コーナーでは早くも鞭が入る。だが、2番手以下の馬たちもなぜか差を詰められない。まさに浦和1500mの摩訶不思議。結局、リアライズリンクスがアタマ差逃げ切ってしまった。

Goldcup 

4歳馬がB3クラスからの6連勝で初の重賞のタイトルを獲得したことは賞賛に値する。しかもリアライズリンクスは南関東の生え抜き。私個人としても嬉しくないはずがない。

だが、この流れを差せなかった他の馬たちの不甲斐なさの方が気になるのである。重賞5勝。ここ浦和でもダートグレード勝ちのあるセイントメモリーに至っては、いちばんの好発を決めていながら、3コーナーで早くも圏外に飛んでしまった。

それはそうとして、小久保智調教師の勢いは素晴らしい。兵庫ジュニアグランプリをジャジャウマナラシで勝ったと思ったら、返す刀で翌日の笠松グランプリをジョーメテオで圧勝。しかも、こうして地元の重賞もきっちり勝つのである。こうなると日曜の中山・カペラSに遠征予定のサトノタイガーから目が離せない。

Calender1 

帰り際に来年の南関東競馬カレンダーをいただいた。欲しかったモノとは違うけど、これはこれでありがたい。明日は目当てのカレンダーを持ち帰れるだろうか。

 

***** 2014/12/11 *****

 

 

 

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2014年12月10日 (水)

よもだそば@日本橋

来年のカレンダーを探して日本橋まで出てきた。

競馬カレンダーではない。月めくり、縦長で、日付が左端に並んだ横書きの実用タイプもの。横幅は30センチ以内で余計な絵や写真はいらない。これがありそうでなかなか無いんですよ。伊東屋や三省堂では見つからなくて、ついに日本橋の丸善までやってきたのに、やはり見つからない。もう疲れた。

疲れ果てて辿り付いたその店は、一見してごく普通の立ち食いそば屋であるが、実はそうではない。午後4時半という半端な時間ながら、客で賑わっている店内がその証だ。

その店は『よもだそば』。日本そばのツユでラーメンを食べる「ラそば」や、蕎麦屋なのにカレーが美味いといった一風変わった店として、TVでもたびたび取り上げられる有名店だが、決して奇をてらった店ではない。自家製の生蕎麦に、カツオ、サバ、ソーダ鰹、ウルメ鰯、昆布で取ったダシは、立ち食いとは思えぬクオリティを誇る。

ゴボウ天そばを注文。普段ならうどんを頼むところだが、ここに来たらやはりそばを食べたい。

Gobo 

このお店に来た客は、やたらと「東北牧場」という名前を目にするはずだ。天ぷらなどに使う野菜が、「東北牧場からの直送である」旨があちこちに書いてある。大半の客は気にも留めないかもしれないが、競馬ファンなら「おや?」と思うことだろう。そう、ケイワンバイキングやクロックワークを生産したあの東北牧場である。

K1 

東北牧場さんでは、生産現場から出たボロを有効活用した完全有機農法で、最近では馬よりも野菜でその名を知られているとのこと。なるほどそう思って食べると、このゴボウも一味違って感じられる。

『むぎんぼう』のゴボウ天は薄切りスタイルで、昨日紹介した『麺一滴』は千切りスタイルだが、こちらのゴボウ天はご覧のとおり「太切り」。旬を迎えて旨味を増したゴボウそのものを味わうには、このスタイルの方が良いかもしれない。カレンダーは見つからなかったが、美味いものを食えたという満足感を抱いて帰宅。明日は浦和界隈を探してみるか。

 

***** 2014/12/10 *****

 

 

 

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2014年12月 9日 (火)

麺一滴@川崎

冬はゴボウが旬を迎える時季。筆者は数あるうどんメニューの中でも特にゴボウ天うどんに目がない。寒くて競馬場に行くのが嫌だなぁ……と外出が億劫になる陽気でも、美味いゴボウ天うどんにありつけると思えば、重い腰だって軽くなる。

Mugi 

こちらは東京競馬場『むぎんぼう』のかきあげうどん。メニューに「ゴボウ」の文字はないが、その実は薄くスライスされたゴボウのかき揚げが大量に乗せられたまごうことなきゴボウ天うどんである。ツユに浸っていな部分をそのまま齧ってサクサクッという食感を楽しむもよし、風味沸き立つツユにくぐらせて、そのうま味をじっくり味わうのもまたよし。ああ、2月の東京開催が待ち遠しい。

あと2か月も待てないという貴兄には、川崎競馬場から徒歩7、8分の距離にある『麺一滴』をお勧めする。今年最後の川崎開催は来週に迫った。

Itteki1 

素晴らしい讃岐うどんを食べさせる店として知られた一軒だが、麺のみならず各種天ぷらも相当美味い。こちらのゴボウ天はご覧の千切りタイプ。別皿で出されるので、いつも私は半分を塩だけで味わい、もう半分はつけ汁に浸して味わうことにしている。

Itteki3 

ゴボウも美味いが、ゴボウの旨味が染み出したツユで食べるうどんはなお美味い。ゴボウ天うどんをメジャーな地位に押し上げている九州の皆さんの卓見には、今更ながら恐れ入る。

Itteki 

ちなみにこのお店、営業時間が変則的なので、事前に確認してから出かけることをお勧めする。「準備中」とか「定休日」の札を目の当たりにして、真冬の路頭に迷うような事態だけは避けたい。

 

***** 2014/12/09 *****

 

 

 

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2014年12月 8日 (月)

スポンサー導入を考える

今年のJCウィークの東京競馬場は、スタンドから見る景色がいつもの年と少し違っていた。

Longines1 

そう、今年のJCはロンジン社とパートナーシップ契約を結んでいたのである。この時計板があるだけで、まるで海外の競馬場にいるような錯覚を覚えた方も多かったのではないか。海外のビッグレースではお馴染みの光景だ。

ロンジンは今月行われる香港国際レースのスポンサーでもある。だから香港カップの正式名称は「ロンジン香港カップ」。むろんその賞金はロンジンが持つ。だがJCとはパートナーシップ契約に留まった。当然ながら賞金2億5千万円はJRA単独の負担である。

Epifa 

折しもJRAは、来年のJCの1着賞金を3億円に増額すると発表したばかり。古馬の中距離競走振興の一環であり、有馬記念や天皇賞なども合わせて増額されるという説明だが、JCに関して言えば国際的な相場に合せた感が強い。

現在、世界最高賞金を誇るドバイワールドカップの1着賞金が約7億円。そこまでは無理としても、凱旋門賞(約4億2千万円)、メルボルンカップ(約3億6千万円)、ドバイシーマクラシック(約3億5千万円)、ドバイデューティーフリー(約3億5千万円)、BCクラシック(3億2千万円)。このあたりと肩を並べるには、やはり3億の大台に乗せておくことが必要だったのであろう。

だが、これら海外のビッグレースの高額賞金を支えているのは、香港におけるロンジン同様、国際的なスポンサー企業である。凱旋門賞に至っては企業ではなくカタール政府がスポンサー。それがレースの総賞金のみならず、パリ市内の装飾費用として30億円以上を拠出したというから、スケールの大きさも半端ではない。ともあれ、スポンサーが高額賞金レースを支える構図は、海外では一般的になっている。

だが、JRAでのスポンサー導入の前には「日本中央競馬会法」という壁が立ちはだかる。JRAの業務範囲を定めた第19条には、スポンサー収入の獲得は正当な業務と規定されておらず、その導入には19条の中の「競馬の健全な発展を図るため必要な業務」を広く解釈するか、思い切って法改正をしてしまうかしかない。

「NHKマイルカップ」とか「トヨタ賞中京記念」のような冠レースはあっても、JRAのレースの場合、冠企業が賞金そのものを負担しているわけではない。東京競馬場でコラボ企画を展開している日清製粉も、スポンサーではなくタイアップの範疇。かつて「ワールドシリーズ」のスポンサーをしていたエミレーツ航空が、ワールドシリーズに組み込まれたJCで自由な広告活動ができずに、JRAと一悶着起こしたこともあった。競馬会法の壁は案外高いのである。

Longines2 

賛否はあろうが、スポンサー企業が競馬のイメージアップ役を果たすことは、じゅうぶんに考えられる。競馬に関心が薄かった層が興味を持ち、競馬に注目する企業が出てくるかも知れない。従来とは異なる枠組みが思わぬ相乗効果をもたらすこともある。売り上げ回復に向けた努力は当然だが、スポンサー導入に向けた議論の深まりにも期待したい。

 

***** 2014/12/08 *****

 

 

 

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2014年12月 7日 (日)

パークウインズの客

朝も早くから府中界隈に出かけた。

開催場を間違えたのではない。競馬とは別の用事である。

さて、朝メシをどうしよう。できれば温かいものを食べたい。ということはコンビニはないな。かといって駅前のドトールというのも味気ない。それで、ひとつアイディアが浮かんだ。ちょっと歩くがあれなら悪くない。

それは、

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どこかというと、

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富士山の眺望も美しい、

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このお店です。それにしても開門直後だというのに先客の多さに驚く。やはりみな同じことを考えているんですかね。

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朝から『馬そば深大寺』の鳥そば。これは贅沢だ。冷え切っていた身体が、ひと口ごとにじわ~んと温まるのが分かる。

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実はわざわざここにやって来たのは他にも理由があった。

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東京競馬開催中に配られていた「グルメクーポン」。有効期限は有馬記念当日の12月28日まで。むろん東京競馬場でしか使うことはできない。

私もJC当日に何枚か使ったのだが、あろうことかJCが終わって帰ろうとしたタイミングで、とある方から「余ったからあげる」とさらに貰ってしまった。「もう来ないから」とその方はおっしゃる。「いや、私だって来ませんよ!」と言いたかったが、さっそく翌週に来ているとは身も蓋もない。根が貧乏性なので、こういうものは早く使ってしまいたいのですよ。

それが目的なのだから、クーポンを使ったらさっさと引き揚げるに限る。馬券なんか買ってはいけない。

いけない。

いけない、と思いつつ……、

買ってしまった……。

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知り合いの馬だからハズれたことは問題ではいない。だが、これではJRAの思うツボではないか。それがどうも癪に障る。

ところで先ほど鳥そばをすすっていたら、「あら、いらっしゃい。久しぶり!」「いやぁ、寒くなったね」「また今週からお世話になります」という店員と客の会話が聞こえてきた。客の方は夫婦と思しき中年の男女である。どうやらその客はパークウインズ開催時に限って東京競馬場を訪れているらしい。ふーむ、そういうお客さんもいるんですね。空いているし、入場料もかからない。競馬の楽しみ方にはいろいろある。朝から思いを新たにしてしまった。

 

***** 2014/12/07 *****

 

 

 

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2014年12月 6日 (土)

キャピタルS(OP)

先週日曜の9RはJC開催週恒例のキャピタルS。ゴール直前で6頭が横に並ぶ展開に、10万人を超えるスタンドは大いに沸いた。

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今年のキャピタルSが盛り上がったのは、出走メンバーが豪華だったせいもある。GⅢ馬2頭、GⅡ馬2頭に加え、なんとGⅠ馬リアルインパクトまでが参戦してきた。一介のオープン特別に古馬GⅠの優勝馬が出走してくることは珍しい。一週前には適鞍のマイルCSもあった。だが、敢えてここに挑んできたのは、やはりそれなりの事情があってのことであろう。周囲とそんな話をするうち、懐かしい時代に話題が及んだ。

昔は「オープン」というレースがあった。すなわち収得賞金上の制限がない平場戦である。そこにタイトルホースが稀に出走してきた。と言っても賞金は安いから、メイチの勝負ではない。狙ったレースまでの間隔が空き過ぎる場合であったり、ハッキリと調教替わりと分かる場合もあった。そこにもやはり「事情」はあったのである。

ただ普通に出走すれば、相当量の斤量を背負わされかねない。だが「平場戦」というところがミソである。見習い騎手を起用することで、減量特典にあやかることができるわけだ。

若手騎手たちにとっても、それは貴重な体験だった。調教でもなかなか乗ることができない一流馬の背中の感触を味わうことができる。しかも実戦で、である。それを「騎手人生の誇り」と言った元騎手もいた。トウショウボーイは5歳秋(当時表記)にオープンに出走。当時見習いの黛幸弘騎手を背に、芝1600mを1分33秒6のレコードタイムで圧勝している。

最近では短期免許で来日する外国人騎手が後を絶たない。デムーロやルメールに至っては、来年から日本でフル参戦する可能性すらある。現代の若手騎手が一流馬に触れる機会は減る一方だ。見習い騎手限定レースに一流馬が出走してくるとは考えにくい。現在は平場に限られる減量特典の幅を広げることはできないだろうか。

Impact2 

リアルインパクトは新馬戦を勝ってから前走まで、22戦連続で重賞レースばかりを使われてきた。6歳秋にして初の「特別戦」出走である。初めて聞くファンファーレの音色に戸惑ったのか、結果は6着。GⅠホースとすればオープン特別で掲示板にも載れなかったことを恥じるべきだが、決して順調とは言えなかったここまでの調整過程を思えば上々であろう。そう割り切れるのもオープン特別の良さ。なんとなく昨日の話の続きみたいになった。よもやキャピタルSまで重賞に格上げされることはあるまいな。

 

***** 2014/12/06 *****

 

 

 

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2014年12月 5日 (金)

ターコイズS(OP)

今週日曜の中山メインはターコイズS。GⅠの裏番組だから関西の人にとっては印象が薄いかもしれないが、関東のファンには師走の中山の名物として馴染みが深い。名牝・スカーレットブーケが58キロをものともせずに完勝し、引退の花道を飾ったのは1991年のことだ。

Scaret 

古馬牝馬による唯一のオープン特別として長らく独特の存在感を誇ってきたこのレースも、来年からは重賞に格上げされるという。嬉しい反面、寂しい気持ちがないわけではない。ダイナカール、キョウエイタップ、ホクトベガ、キストゥヘヴンといったGⅠ馬の走りが、空いている競馬場で間近に見ることができる。オープン特別にはそんなささやかな愉悦があった。

Kiss 

ターコイズS史上唯一の連覇は、2006-07年の覇者コスモマーベラス。07年でクビ差2着に退けたザレマは08年の覇者だから、相手に恵まれたわけでもない。

Cosmo 

そして今年はレイカーラが2頭目の連覇に挑む。府中牝馬Sは7着に敗れたが、勝ち馬とはわずかコンマ4秒差。休み明けを叩かれたここは勝負気配であろう。

Reika 

折しもひとつ上のお兄さんダノンシャークが先日のマイルチャンピオンシップを勝ったばかり。その勢いを借りて連覇を果たしたい。

 

***** 2014/12/05 *****

 

 

 

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2014年12月 4日 (木)

ボスラシャムの肖像

歳をとるにつれ自分の趣味というものについて真剣に考えるようになってきた。人並みの趣味も持たない中年というのは寂しい。

本を読むのは嫌いではないが、ほとんどは競馬に関する書物。相撲を見るのが好きだけど、私の周囲には年6場所全て見に行っているというツワモノがいて、とても比べものにならない。スキーに狂った時代もあったが、最後にゲレンデに行ったのは前世紀の話だ。

「好きなだけ競馬に行ってんだから趣味は競馬でいいじゃん」と人は言う。だが「趣味」という言葉の定義とは、

 ・自分が定めたルールで
 ・自分のために楽しむ

であると考えているので、私の中では必ずしも趣味とは呼べない。他人の依頼で写真撮をるために嫌々競馬場に行くことだってある。
 
何年か前に、南青山のギャラリーで個展を開いたことがある。昼間はギャラリーとして営業し、18時を過ぎると、そのままショットバーとして営業が始まる珍しいスタイルのギャラリーで、とある馬主さん―――JRAの大馬主―――がオーナーをつとめていた縁での個展開催となった。開催期間中、私はギャラリーのいちばん奥の壁際の席に座って、写真を見に来てくれる来訪者を待ったものである。

夜になってギャラリーとしての営業が終わっても、私は同じ席に座ったままシングルモルトウィスキーのショットグラスを片手に、ライトアップされた自分の作品を心ゆくまで眺めた。私が座る席の上の壁には、当時私がもっとも気に入っていたボスラシャムとパット・エデリーのツーショット。そして、私が手にしているグラスには、ボウモアの17年ものが注がれている。

Bosra 

ごくまれに夜中に知人が訪れて写真を見てくれることもあったが、多くの時間帯で私はひとりで飲んでおり、店内の客も私ひとりだった。これ以上の贅沢な時間・空間が他にあるだろうか。

それ以来、ひとりで酒を飲むことが好きになった。それは競馬場の帰りであったり、家人が寝静まってから家を抜け出すこともある。おしゃれなバーである必要はない。蕎麦屋、イタリアンレストラン、鮨屋、定食屋。ひとり飲みができる店を探すのも、また楽しい。これは趣味と言えるのではあるまいか。あぁ、良かった。

ちなみに、土曜の阪神6Rでデビューする角居厩舎期待の2歳牝馬エルラディユーの祖母はボスラシャム。彼女の血を受け継ぐ馬が日本で走るのは初めてのことではないか。名伯楽ヘンリー・セシル師をして「牡馬を含めても私が関わった馬のなかで最高の馬」と言わしめた馬の孫娘に祝杯を挙げよう。

 

***** 2014/12/04 *****

 

 

 

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2014年12月 3日 (水)

スミヨンのJC

「スミヨンに替わったから、これが勝つでしょう」

「ジャスタウェイもこれが最後だし3着以内には来そうですね」

「あとスピルバーグ。これは良くなった」

JCのパドックで、私と一緒に馬を見ていた関係者2人の発言である。これを素直に聞き入れていれば、3連複19750円を一点で仕留められたかもしれない。だが、私の目の前を周回しているエピファネイアの瞳は血走り、その馬体からは尋常ならざる汗が噴き出ている。果たしてこれで大丈夫なのか?

Epifa 

この10年間だけでもハナ差決着が5回。JCの歴史は接戦の歴史でもある。それが4馬身差とは凄い。タップダンスシチーが9馬身差で逃げ切ったことがあるにはあるが、あの時は重馬場だった。そのJCで1番人気に押されながら3着に敗れたのが、エピファネイアの父・シンボリクリスエス。引退戦となる有馬記念をぶっちぎった印象が強い一方、2年続けて3着に敗れたJCを始め、宝塚記念やダービーなど、人気の割に詰めの甘さが出て取りこぼすことも多かった。

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弥生賞からダービーまで3戦続けてコンマ1秒差の惜敗を続けたエピファネイアのレースぶりも、父シンボリクリスエスと母シーザリオの双方に流れる米国血脈の特質であろう。すなわち良くも悪くもワンペースなのである。

Seazario 

だから、ライバルのディープインパクト産駒には瞬発力勝負では勝負にならない。先日のJCでは、逆にスタミナが問われるペースと馬場になったことが、エピファネイアの大きな勝因となった。これほど多くの産駒を送り出していながら、ディープインパクト産駒は3000m以上で勝った例がない。スタミナ勝負なら立場は逆転する。もちろん腹をくくってワンペースを貫いたスミヨン騎手の判断も、さすがと言うほかはない。

Epifa2 

ウイニングランを終えて検量に戻ってきたスミヨンの口からは、「なだめるのに苦労した」という言葉が聞こえたが、それでも私の目にはエピファネイアはスミヨンの手の内にあるように見えた。豪快に引っ掛かり、騎手が立ち上がって手綱を引くようなエピファネイアの姿を何度もを見てきたからである。パドックで「スミヨンに替わったから…」と言った関係者の言葉が重く響く。

そのスミヨンは有馬記念に乗ることができないはずだったのが、一転、ブドー騎手の突然の帰国で短期免許の枠が一つ空いた。JRAが果たしてどういう判断を下すのか。仮に乗り替わりとなれば、次に手綱を取る騎手がスミヨンと比較されることは避けられない。大きなプレッシャーとなりそうだ。

 

***** 2014/12/03 *****

 

 

 

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2014年12月 2日 (火)

【訃報】トレーディングレザー

豪華メンバーが素晴らしいレースを繰り広げて大いに盛り上がったJCだったが、トレーディングレザーの故障、予後不良という事態が起きてしまったことで、ウイニングランも表彰式も上の空のまま終わってしまった感がある。JCでの競走中止は過去に一度だけあるが、予後不良となると34回を数えるJCの歴史の中でも初めて。それがついに起きてしまった。

Tradingleather 

トレーディングレザーのキャリアのハイライトが昨年のアイリッシュダービーであることは衆目の一致するところ。無敗の英ダービー馬・ルーラーオブザワールドをまったく相手にすることなく退けると、返す刀で臨んだキングジョージではノヴェリストの2着に踏ん張った。この時点で、彼が欧州3歳牡馬の頂点に立っていたことは間違いない。

アイルランドにエイダン・オブライエン調教師を訪れた時のことを思い出す。“ニジンスキーの再来”と呼ばれていたキングオブキングスを見せてもらい、「来年はぜひJCに」と訴えてみた。だが、オブライエン師は「日本は遠いから……」とちょっと困ったような顔をしたのである。数年後にパワーズコートとジョシュアツリーの参戦が実現したとはいえ、欧州の西端に住む彼らにとって、東の果ての日本はあまりに遠かった。

そのオブライエン師の師匠にあたるのが、トレーディングレザーを管理するジム・ボルジャー調教師。ボルジャー師もまたJCへに参戦しないことで知られていた。トレーディングレザーのオーナーも、この14年間すっかりJCとは疎遠になったゴドルフィン。普通に考えればトレーディングレザーの日本遠征が実現する可能性は低かった。だが、JC参戦をゴドルフィンに進言したのは、ほかならぬボルジャー師自身だったという。その結果がこれではあまりにむごいではないか。

アイリッシュダービーが行われるカラ競馬場のコースを歩いてみたことがある。ひざ下まで隠れるほど草丈のナチュラルグラスが一面にびっしり生えそろったその走路は、激しい起伏を繰り返しながら遥か彼方のゴールポストまで続いていた。こんなタフなコースで行われるダービー馬とは、いったいどんな素晴らしい馬だろうか―――。JCのパドックで間近に見たトレーディンレザーは、そんな期待に違わぬ素晴らしい馬だった。力強さだけではない。欧州の名馬にふさわしい気品もしっかりと兼ね備えていたのである。

我々日本のファンは、アドマイヤラクティという名馬を豪州に失ったばかり。さらに前にはホクトベガの悲劇も経験した。だが、もしこれがキズナだったら……。そんなこと想像もできない。だが現実にアイルランドの競馬ファンは、自国のダービー馬を遠征先の客死という形で失ってしまった。唐突に。しかも遥か遠く離れた日本という国で。

これを単に「不運」とか「悲劇」といった言葉で済ますことはできない。アイルランドが生んだダービー馬の死を我々が悼むのはもちろんのことだが、トレーディングレザーという一頭の競走馬がJCに挑んだという事実をこの先ずっと忘れてはならない。それが彼の最後の雄姿を見届けた日本人に課された宿命だと思うのである。

Trading Leather has died after suffering a fracture while running in the Japan Cup on Sunday.We never forget the 2013 Irish Derby winner.

 

***** 2014/12/02 *****

 

 

 

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2014年12月 1日 (月)

師走の鍋焼きうどん

日本ウマ科学会の学術集会に参加するため外に出た途端、思わず寒気を覚えた。今日から師走。JRAは中山開催。開催替わりは季節の変わり目でもある。体調管理には気を付けたい。

昨年までの私は、ジャパンカップの前後に必ずと言っていいほど風邪をひいていた。急激に冷え込む朝晩に、やれ調教だ、やれパーティーだと外出ばかりの数日間。JCの当日ともなれば、見た目は浮かれているようでも、身体は疲労のピークなのであろう。ディープインパクトのJC当日は競馬場の医務室で点滴を受けていた。写真が残っているからレースはちゃんとゴール前で見たはずなのだが、恐ろしいことにそのレースを含めて当日の記憶はほとんど残っていない。

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今年は疲労とは無縁のJCウィークを過ごしたはずなのに、それでもなんとなく風邪っぽいのは気のせいだろうか。もはや「JC」と聞いただけで、風邪のウイルスに反応してしまう身体になってしまったのかもしれない。ともかく困った。

寒くなると食べたくなるメニューのひとつに鍋焼きうどんがある。巷では試験勉強の夜食というイメージがあるようだが、私の中では風邪をひいて寝込んだ時に作ってもらった思い出が強い。食べられるものなら夜食に食べたかったが、それより私は夜更かしが苦手だった。

ところで学術集会の会場は東大である。本郷界隈には昔ながらのそば屋さんが多い。目についた一軒に入って、鍋焼きうどんを注文した。

鍋のふたを開ける時の高揚感。立ち上がる湯気―――。

鍋焼きうどんの醍醐味はこの瞬間に凝縮されていると言っても過言ではあるまい。アツアツのツユの中には、かまぼこ、ねぎ、きぬさや、にんじん、そしてえび天。なんとも贅沢な光景が広がる。

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戦前の文献を辿ると、「鍋焼きうどんはツユが命であるから、うどんは少ない方が美味しい。うどんひと玉で五人前を目安とするとよかろう」みたいなことが書いてあって驚いたりもするが、せっかくだから麺も美味しい方が嬉しい。その点こちらのうどんは、そば屋のそれでありながら、ダシの味がよく染みてなかなか美味かった。

豪快にすすって喉越しで味わううどんも美味いが、ハフハフ、ふーふー、あ~アチい、とか言いながら食べるうどんもまた美味い。これで風邪が治るなら安いもの。鍋焼きうどんのパワーで師走を乗り切ろう。

 

***** 2014/12/01 *****

 

 

 

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