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2014年8月14日 (木)

重賞未勝利馬の海外GⅠ挑戦

1番人気に推された札幌日経オープンを5馬身差で逃げ切ったバンデ(牡4)の、豪州遠征にGOサインが出た。管理する矢作調教師自らが、スポーツ紙のコラムで明らかにしている。目標はもちろん同国競馬最大の祭典メルボルンカップだ。

メルボルン近郊のフレミントン競馬場で開かれるメルボルンCは、単なるGⅠレースの枠に留まらない。「真の国民の日」「最高の日」「究極の日」「国全体が一つになる日」……等々。こんな題字が新聞紙上を賑わすこのレースは、世界で最も熱烈なギャンブラーとも言われる豪州人を毎年熱狂させている。

なにせ、この日はメルボルンを含むビクトリア州では休日。それ以外の州でも大半の国民は勤務を一時放棄してレース中継に見入るし、多くの小学校では、教室に出走表を掲げて、生徒同士で勝ち馬の検討を行うという。とにかく、仕事よりも、勉強よりもメルボルンカップなのである。ここまでくれば立派な文化であろう。

2005年のデルタブルース以来9年ぶりの日本馬による快挙を目指すバンデは、英ダービー馬・オーソライズド産駒の外国産馬。半兄は香港ヴァーズを連覇したドクターディノという良血だ。矢作師が2000mでも短いとオーナーに進言した上で購入を決めただけあって、ここまでに挙げた5勝はすべて2400m以上でのもの。しかしながら重賞は未勝利。重賞未勝利の古馬が帯同馬としてではなく、主役を張る海外GⅠ挑戦となると、過去にあまり例がないのではないか。

かつての海外遠征は国内でGⅠを勝った馬の目標だった。だが、国内GⅠを勝ってない馬が海外遠征してはいけないなどという決まりはない。現に36年ぶりに日本馬による海外重賞制覇を果たしたフジヤマケンザンからしてそうだった。矢作師も「そこに適正の条件でリスクに見合うだけの賞金のレースがあれば行くべき」というオーナーの意向を紹介している。 海外GⅠへのチャレンジは、国内で傑出したチャンピオンだけに与えられた権利ではない。

Hongkong 

ちなみに、デルタブルースのメルボルンカップ遠征に際しては、輸送費、登録料、スタッフ滞在費など諸々含めて約1760万円の費用がかかったとされる。それでも「適鞍があるから使う」というシンプルな判断で遠征を決断した陣営にエールを送ろう。初重賞勝利が海外のGⅠ、それもメルボルンカップなどということになれば、日本競馬史上に残る壮挙。その栄誉は約2億8800万円の賞金をも上回るリターンであるに違いない。

前哨戦には10月18日のコーフィールドC(GⅠ)か10月22日のジーロングC(GⅢ)が候補として挙げられている。日本の感覚では前哨戦と本番の間隔が短いと感じるかもしれないが、豪州ではごく普通のこと。2009年のメルボルンカップを勝ったショッキングは、その3日前に行われたレクサスS(GⅢ)で重賞初制覇を果たしてから中2日での快挙だった。日本ならこの間隔での出走は認められない。これも文化のひとつであろう。

 

 

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